生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_磁気誘導断層撮影のシステムおよび方法
出願番号:2008546755
年次:2009
IPC分類:A61B 5/05,G01N 27/72


特許情報キャッシュ

イグニー,クラウディア ハンネロア ピンター,ローベルト ズーフ,オラーフ JP 2009520549 公表特許公報(A) 20090528 2008546755 20061214 磁気誘導断層撮影のシステムおよび方法 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 590000248 伊東 忠彦 100070150 大貫 進介 100091214 伊東 忠重 100107766 イグニー,クラウディア ハンネロア ピンター,ローベルト ズーフ,オラーフ EP 05112737.1 20051222 A61B 5/05 20060101AFI20090501BHJP G01N 27/72 20060101ALI20090501BHJP JPA61B5/05 AG01N27/72 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW IB2006054834 20061214 WO2007072343 20070628 27 20080619 2G053 4C027 2G053AB21 2G053BA08 2G053BB03 2G053BB11 2G053BC05 2G053BC07 2G053BC14 2G053CA04 2G053CB21 2G053DA06 2G053DA09 2G053DA10 2G053DB03 2G053DB04 2G053DB21 4C027AA10 4C027DD03 4C027EE01 4C027HH11 4C027KK03 本発明は、対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影のシステムおよび方法に関する。 磁気誘導断層撮影(MIT: magnetic induction tomography)は、非侵襲的な撮像技法で、工業におけるおよび医療撮像のための用途をもつ。他の電気的撮像技法とは対照的に、センサーのMITは撮像される対象との直接接触を必要としない。 MITは一つまたは複数の発生器コイル(励起コイルとも呼ばれる)からの磁場を加えて調査する物質中に渦電流を誘導する。換言すれば、スキャン領域は時間変動する磁場で励起される。伝導性および/または透磁性の物質の存在は内部で励起場をゆがめる。前記一次磁場の摂動、すなわち渦電流から帰結する二次的な磁場がいくつかのセンサー・コイル(測定コイル、検出コイルまたは受信コイルとも呼ばれる)によって検出される。測定値の諸セットが取られ、対象の位置、形および電磁的性質を復元するために使われる。MITは電気伝導率、誘電率および透磁率という三つの受動的な電磁的性質すべてに感度をもつ。結果として、目標とする対象におけるたとえば伝導率の寄与が再構成できる。特に、生物組織の透磁率の値はμR〜1なので、MITは生物組織の検査に好適である。 複数測定を使ったMITによる画像再構成は、非適切、不足決定かつ非線形な逆問題であり、問題を線形化することによって推定できる。さらなる詳細はOlaf D¨ossel, “Bildgebende Verfahren in der Medizin. Von der Technik zur medizinischen Anwendung”, Springer-Verlag, 2000の章9.10および章11.6に説明されている。したがって、次の式が得られる: S(x0)*(x−x0)=b−b0ここで、S:感度行列(磁場導出行列[lead field matrix])、x:画像ベクトル(伝導率)、x0:初期伝導率値、b:測定ベクトル(センサー・コイルによって測定された電圧)およびb0:伝導率x0での初期の測定されたベクトルである。以下のために、感度行列(伝達行列[transfer matrix])Sは: Sx=bと書けると想定される。感度行列は x=S-1bのように逆行列を求められる必要がある。 逆行列の計算は、種々の逆行列計算方法を使って、たとえばムーア・ペンローズの擬似逆行列(MPS: Moore-Penrose pseudo-inverse)、一般化交差検定技法を用いたティホノフ正則化(TCGV: Tikhonov Regularization with Generalized Cross-Validation)または非負性制約条件を用いたティホノフ正則化(TNN: Tikhonov Regularization with non-negativity constraint)を使って実行できる。多数の独立な測定情報(bの値)が存在すれば、感度行列Sの逆行列計算はより簡単に実行でき、解はより安定であり、再構成された画像の空間解像度はより高い。 換言すれば、好ましくは多数の(独立な)測定が必要とされる。E個の発生器コイルおよびM個のセンサー・コイルを有するMITシステムはE(M−1)個の測定値を許容し、このうちE(M−1)/2個の測定値のみが独立である。したがって、従来技術の解法は常に、増加した数のコイルを使うことによって測定値の数を増やすことを提案する。これは非常に大型で複雑なMITシステムにつながる。さらに、そのようなシステムは、要求される操作設備のために非常に高価である。 コイルの数を増やす必要なしに高解像度のMIT技法を提供することが本発明の一つの目的である。 この目的は、本発明によれば、対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影システムであって、対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させるよう適応された一つまたは複数の発生器コイルを有し、前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知するよう適応された一つまたは複数のセンサー・コイルをさらに有し、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える手段とを有するシステムによって達成される。 本発明の前記目的は、対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影方法であって、一つまたは複数の発生器コイルによって、対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させる段階、一つまたは複数のセンサー・コイルによって、前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知する段階、ならびに、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える段階とを有する方法によっても達成される。 本発明の前記目的は、対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影システムを動作させるコンピュータ・プログラムであって、前記システムは、対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させるよう適応された一つまたは複数の発生器コイル、前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知するよう適応された一つまたは複数のセンサー・コイル、ならびに、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える手段を有しており、当該コンピュータ・プログラムは、コンピュータ上で実行されたときに、前記コイル(単数または複数)の動き(単数または複数)および/または前記対象の動き(単数または複数)を自動的に制御するコンピュータ命令を有している、コンピュータ・プログラムによっても達成される。よって、本発明に基づいて必要な技術的効果は、本発明に基づく前記コンピュータ・プログラムの命令に基づいて実現されることができる。そのようなコンピュータ・プログラムはCD-ROMのような担体上に記憶されていることができ、あるいはインターネットもしくは他のコンピュータ・ネットワーク上で利用可能であることができる。実行に先立ち、前記コンピュータ・プログラムは、該コンピュータ・プログラムをたとえばCD-ROMプレーヤーによって担体から、あるいはインターネットから読み込み、それをコンピュータのメモリ内に記憶させることによってコンピュータにロードされる。コンピュータは、なかんづく、中央処理ユニット(CPU)、バス・システム、メモリ手段、たとえばRAMもしくはROMなど、記憶手段、たとえばフロッピー(登録商標)・ディスクもしくはハードディスク・ユニットなどおよび入出力ユニットを含んでいる。あるいはまた、本発明の方法は、ハードウェアで、たとえば一つまたは複数の集積回路を使って実装されることができる。 本発明の中核的な発想は、目標とする対象に関して発生器コイルおよび/またはセンサー・コイルを動かすことである。そうすることによって、より多数のコイルを必要とすることなく、独立した測定の数が増やされる。結果として、感度行列の逆行列計算がより簡単に実行でき、解がより安定になり、再構成される画像の空間解像度がより高くなる。提案されるMITシステムおよび方法に基づいて、高価でコントロールが難しい操作設備なしに、高品質な画像再構成が可能である。 本発明のこれらの側面およびその他の側面について、従属請求項で定義される以下の実施形態に基づいてさらに論じる。 本発明のある好ましい実施形態によれば、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルが非対称な仕方で配列される場合、さらに多くの独立な測定が可能である。コイルの非対称な配列を相対的なコイルの動きと組み合わせて使うことは、感度行列において使用されるべき独立した測定情報の著しい増加につながる。この実施形態は、発生器コイルの互いに対する非対称な配列も、センサー・コイルの互いに対する非対称な配列も、発生器コイルのセンサー・コイルに対する非対称な配列も含む。 もう一つの好ましい実施形態では、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルはアレイの形に配列される。この実施形態は、いくつかの発生器コイルがアレイの形に配列される場合も、いくつかのセンサー・コイルがアレイの形に配列される場合も、一つもしくは複数の発生器コイルおよび一つもしくは複数のセンサー・コイルがアレイの形に配列される場合も含む。たとえば、たとえば、単一の発生器コイルがセンサー・コイルのアレイと協働してもよいし、あるいは発生器コイルのアレイがセンサー・コイルのアレイと協働してもよい。コイルのアレイ状の配列は、すべてのセンサー・コイルが同時に信号を取得できるので、より高速なスキャン・パフォーマンスにつながる。さらに、対称的な配列が使用されるなら完全な360°回転は必要ないので、システムの機械的設計はそれほど複雑でなくなる。 本発明のもう一つの実施形態では、前記動き手段は、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルが互いとは独立に動きを実行できるよう適応されている。この実施形態は、いくつかの発生器コイルが互いと独立して動く場合も、いくつかのセンサー・コイルが互いと独立して動く場合も、一つもしくは複数の発生器コイルが一つもしくは複数のセンサー・コイルと独立して動く場合も含む。コイルが独立して動かされることの主たる利点は、あらゆる可能な幾何学的配置が到達可能であるということである。換言すれば、あらゆるコイル位置が別個に到達可能である。 コイルの動きの種類は、コイル配置の幾何学に依存して変わることができる。本発明のある実施形態では、動き手段は、一つまたは複数のコイルを調査すべき対象に対して回転させるよう、特に一つまたは複数のコイルを対象のまわりに回転させるよう適応されている。この実施形態は、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを対象に対して回転させる場合を含む。回転運動は好ましくは、単純な円状の実験的レイアウトとともに使われることができる。回転運動を適用することのもう一つの利点は、完全な360°の測定情報のセットが簡単に集められることである。完全な測定情報のセットは、対象のまわりを360°動く一つのセンサー・コイルを使って、あるいは対象のまわりをそれぞれ180°動く二つの等間隔のセンサー・コイルを使って、あるいはたとえば対象のまわりをそれぞれ22.5°動く16個の等間隔のセンサー・コイルなどを使って収集できる。好ましくは、動き手段は、コイル(単数または複数)を任意の小さなステップで回転させるよう適応される。それらの各ステップののち、二次磁場の感知が実行される。たとえば、前記の16個のセンサー・コイルのそれぞれは、10(または100)の中間ステップを実行することによって22.5°の領域をカバーしてもよい。それは、その22.5°の回転の間に10(または100)回の測定が実行される、すなわち2.25°の回転ごとに(または0.225°の回転ごとに)単一の測定が実行されることを意味する。 本発明のもう一つの実施形態では、動き手段は、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを回転軸に沿って、すなわちz方向に動かすよう適応される。z方向の動きの主たる利点は、対象を動かすことなく、より大きな3D領域が検査できるということである。このようにして、対象の完全なスキャンが達成でき、少数のコイルだけを使って追加的な独立な測定情報を得ることができる。 MITスキャンの間、スキャンされる対象は好ましくは静止している。しかしながら、本発明の別の実施形態では、システムはさらに調査すべき対象を、一つもしくは複数の発生器コイルに対しておよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルに対して動かす手段、特に対象を回転させるよう適応された該手段を有する。 所与の伝導率変化の結果としてどのくらいの電圧変化が受領されるかを表すMITスキャナ感度は、測定ユニットの中心よりも、周沿いおよび周近くでより高いことが見出されている。換言すれば、MITスキャナの感度、よってMITスキャナの解像度は、スキャナの中心あたりで最低になる。こうして、本発明の他の実施形態では、当該システムは、MITスキャナに対して対象を、ある平面内で第一の測定位置から第二の測定位置に動かす手段および/または調査すべき対象に対してMITスキャナをある平面内で動かす手段を有する。換言すれば、調査すべき対象およびMITスキャナの位置が互いに対して単一平面、好ましくは水平面内で変えられる。結果として、スキャナに対する対象の位置が、測定手順の間に変化する。対象の相対位置は、スキャナの中心での感度が改善されるように、変わる。さらに、多数の独立な測定情報が生成され、より高い画質につながる。 本発明のもう一つの実施形態では、発生器コイルおよび/またはセンサー・コイルとして異なるコイルが使われる。好ましくは、異なるコイル・サイズを示すいくつかの発生器コイルおよびいくつかのセンサー・コイルが使われる。特に、発生器コイルおよび/またはセンサー・コイルの直径ならびに/または導線材料の直径および/または長さのような他のコイル・パラメータが異なっている。こうして、そのような異なるコイルが使われる場合、より多数の独立な測定情報(bの値)が生成される。これによって、コイルの総数を増やすことなく、感度行列の貧弱な調整が改善される。換言すれば、逆先行場行列(inverse lead-field matrix)の計算がより堅牢にされる。すなわち、計算の曖昧さが低減される。これは、コイルのいくつかについて影響の領域が限定される、たとえばセンサー・コイルが信号を受信する領域および/または発生器コイルが渦電流を誘導する領域が縮小されるからである。 本発明のこれらの側面およびその他の側面は以下で例として、以下の実施形態および付属の図面を参照して詳細に述べられる。 本発明に基づくMITシステム1のブロック概略図が図1に示されている。MITシステム1は生物学的対象、特に伝導性組織2の電磁的性質を調査するよう適応されている。MITシステム1はなかんづく、測定ユニット3を有する。該測定ユニット3は励起モジュール3′および受信モジュール3″を有する。励起モジュール3′は電力増幅器および時間変動する一次磁場を発生させるよう適応されたいくつかの発生器コイル4を含む。該一次磁場が組織2に渦電流を誘導する。この目的のため、交流が発生器コイル4に導入される。受信モジュール3″は測定増幅器および前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知するよう適応されたいくつかのセンサー・コイル5を有する。MITシステム1はさらに、一つまたは複数の発生器コイル4を組織2に対して動かすための電気的に駆動されるアクチュエータ6と、一つまたは複数のセンサー・コイル5を組織2に対して動かすための電気的に駆動されるアクチュエータ7とを有する。アクチュエータ6、7はコイルの動きを制御するために測定ユニット3に接続されている。両アクチュエータ6、7は、中央制御ユニット8に接続されており、そこから両者は制御される。 制御ユニット8は機能モジュールまたはユニットをもつコンピュータ・システム9を有する。機能モジュールまたはユニットは、ハードウェア、ソフトウェアの形で、あるいはハードウェアおよびソフトウェア両方の組み合わせの形で実装される。コンピュータ・システム9はマイクロプロセッサなどおよびソフトウェアの形のコンピュータにロードできるコンピュータ・プログラムを有していてもよい。あるいはまた、コンピュータ・プログラムはハードウェア・コンピュータ・コードの形で実現される。コンピュータ・プログラムは、該コンピュータ・プログラムがコンピュータ・システム9において実行されるときに前記コイルの動きを自動的に制御するためのコンピュータ命令を有する。 MITスキャンの間、検査されるべき組織2は静止している。本発明の別の実施形態では、MITシステム1はさらに、前記一つもしくは複数の発生器コイル4に対しておよび/または前記一つもしくは複数のセンサー・コイル5に対して組織2を動かすよう適応されたアクチュエータ11を有する。該アクチュエータ11も制御ユニット8によって制御される。アクチュエータ11およびアクチュエータ11と制御ユニット8との間の接続は図1では破線で示されている。 発生器コイル4は、好ましくは、100kHzないし20MHzの励起周波数で動作するよう適応される。本発明のある好ましい実施形態では、発生器コイル4は「掃引」を許容するよう、複数の周波数で動作させられる。たとえば、発生器コイルに導入されるべき電流のために非正弦波形、たとえば方形波形を使うことによって、いくつかの発生器コイルが2MHzおよび5MHzで同時に動作させられる。結果として得られる測定情報から、高速フーリエ変換(FFT)を使って異なる周波数情報が抽出される。この目的のため、測定ユニット3は読み出しユニット(図示せず)に接続されている。読み出しユニット3は好ましくは、マイクロプロセッサまたは別のコンピュータ手段と組み合わされたデータ収集ユニット(データログ記録器)である。異なる種類の組織は異なる励起周波数に関して異なる挙動を示すので、このアプローチは調査対象についての追加的な情報につながる。あるいはまた、いくつかの第一の発生器コイル4が2MHzで動作させられ、同時にいくつかの第二の発生器コイル4が5MHzで動作させられる。あるいはまた、異なる複数の励起周波数が逐次的に使われてもよい。たとえば、第一の測定サイクルでは発生器コイル4はたとえば2MHzで動作させられ、第二の測定サイクルでは同じ発生器コイル4がたとえば5MHzで動作させられる。しかしながら、この第二のアプローチは、第一のアプローチより遅いが、結果を分離する労力はより少なくなる。すべてのセンサー・コイル5の読み出しは好ましくは同時に、すなわち一度に実行される。これによって、測定速度を上げられる。 本発明は、たとえば通常のコイル整列で、あるいは平面グラジオメータ・セットアップで使用できる。図2および図3には、コイル4、5の通常の(すなわち縦の)整列をもつ測定ユニットが示されている。この実施形態では、測定ユニット3は、8つの発生器コイル4および該発生器コイル4に対応する8つのセンサー・コイル5を有する。図2では明確のため、一つの発生器コイル4しか示されていない。ソレノイド・コイル4、5はスキャンされるべき組織2のまわりに円形に配列されている。発生器コイル4およびセンサー・コイル5は共通の平面上に位置され、センサー・コイル4の軸12は発生器コイル5の軸13に垂直に配向されている。特に、発生器コイル5の軸13は動径方向に整列されており、組織2のほうに向けられている一方、センサー・コイル4の軸12はz方向に整列されている。 図4および図5では、平面型グラジオメータの形のコイル・セットアップが示されている。ここでもまた、測定ユニット3は8つの発生器コイル4および該発生器コイル4に対応する8つのセンサー・コイル5を有する。図4でもまた、明確のため、一つの発生器コイル4および8つのセンサー・コイル5のうちの4つしか示されていない。コイル4、5はスキャンされるべき組織2のまわりに円形に配列されている。ソレノイド発生器コイル4については、通常の整列と同じ配列が使われる。しかしながら、センサー・コイル5としては、平面型グラジオメータが使われる。平面型グラジオメータは、巻き方向が反対の二つの方形渦巻きとして描かれている。 図6および図7では、コイル4、5の一次場無補償整列をもつ測定ユニットが示されている。センサー・コイル4の軸12は発生器コイル5の軸13と平行である。ここでもまた、明確のため、発生器コイル4一つだけしか示されていない。すべてのソレノイド・コイル4、5は組織2のまわりに円形に配列されており、共通の平面上に位置されている。このセットアップのため、本発明は高解像度撮像に関して大いなる利点をもたらす。 三つの実施形態すべてにおいて、発生器コイル4および/またはセンサー・コイル5は、一つまたは複数のアレイの形に配列されてもよく、各コイル・アレイはアクチュエータ6、7によって全体として動かされるよう適応されてもよい。たとえば、図4および図5における8つのセンサー・コイル5は一つのセンサー・コイル・アレイに組み合わされることができる。結果として、センサー・コイル5に接続されたアクチュエータ7がしかるべく制御されれば、8つすべてのセンサー・コイル5が組織2に対して動く。あるいはまた、前記の数のセンサー・コイル5は二つのコイルのアレイに分けることができる。それにより、各アレイは4つのセンサー・コイル5、たとえば4つの隣り合うセンサー・コイル5または4つの任意のセンサー・コイル5を有する。あるいはまた、前記の数のセンサー・コイル5は任意の数のアレイに分けることができる。各アレイは独立して動かされるよう適応される。 アクチュエータ6、7はいくつかの発生器コイル4および/またはいくつかのセンサー・コイル5を互いに独立に動かすよう適応される。特に、アクチュエータ6、7は単一の発生器コイル4または発生器コイル4のアレイをある方向に、(同時に)単一のセンサー・コイル5またはセンサー・コイル5のアレイを別の方向、たとえば逆方向に動かすよう適応される。 円形コイル配列では、アクチュエータ6、7は、コイル配列内に位置されている組織2のまわりに発生器コイルおよび/またはセンサー・コイル4、5を回転するよう適応される。センサー・コイル5の等距離の配列の場合、各センサー・コイル5は45°の領域をカバーしなければならない。換言すれば、測定情報の360°のセットは、組織のまわりの45°の領域にわたって8つのセンサー・コイル5のアレイを動かすことによって得ることができる。この動きは、アクチュエータ6、7によって、多数の小さな中間ステップ、たとえば45個のステップを使って実行される。結果として、完全なMITスキャンはコイル配列の45°回転によって実行される。それにより、1°の解像度が達成される。アクチュエータ6、7は、発生器コイル(単数または複数)4およびセンサー・コイル(単数または複数)5が独立して回転できるよう適応される。図2ないし図7において、発生器コイル(単数または複数)4の回転方向は矢印14を使って示されており、センサー・コイル(単数または複数)5の回転方向は矢印15を使って示されている。中間ステップの数は用途に応じて選ぶことができる。 図8では、12個の発生器コイル4および12個のセンサー・コイル5が使われる本発明のある実施形態が示されている。明確のため、5個の発生器コイル4aないし4eおよび5個のセンサー・コイル5aないし5eしか示されていない。コイルは、図6および図7に示されるように、一次場無補償セットアップで配列されている。コイル4、5の配列は二つの「コイルになっていない」ストリップ(励起モジュール3′および受信モジュール3″)の形で示されている。これらのストリップは、通常、スキャンされるべき対象2のまわりの閉ループを形成する。本システムは、発生器コイル4aないし4eの非対称な配列およびセンサー・コイル5aないし5eの対称的な配列を示している。換言すれば、センサー・コイル5aないし5eは互いに等距離に位置され、センサー・コイル5aないし5eのz方向の、すなわち回転軸16に沿った変位はない。よって、2つのセンサー・コイル5の間の距離はφ=30°である。 他方、発生器コイルは異なる種類のオフセットを使って位置されている。この例では、発生器コイル4eは変位のない通常の位置(基準位置)に位置されている。発生器コイル4aはz軸の負方向に変位されている。発生器コイル4bはz軸の正方向に変位されている。発生器コイル4cは「水平」方向に変位され、その元の位置からΔφ=7.5°の負のオフセットを示している。発生器コイル4dは「水平」方向に変位され、その元の位置から正のオフセットΔφを示し、同時に、z軸の正方向に変位されている。 スキャン手順の間、単一の発生器コイル・アレイをなす発生器コイル4は回転方向14に回転させられる。センサー・コイル5はその位置に留まる。発生器コイル4の回転は10°のステップで実行される。発生器コイル・アレイの360°回転の間、発生器コイル4の非対称的な配列のため、常に異なって位置されたコイル組み合わせがある。換言すれば、発生器コイル・アレイが10°の動きを実行するたびに、発生器コイル4は対応するセンサー・コイル5に対して別の相対位置を示す。これは、増加した数の独立した測定につながり、それが画像再構成に利用できる。図8に示される実施形態は、一例として理解されるべきである。他のコイル変位および/または他のコイル動きも可能である。特に、一方では、発生器コイル4もしくはセンサー・コイル5いずれかの非対称な配置、あるいは非対称に配列された発生器コイルおよびセンサー・コイル4、5の組み合わせを使うことができ、他方では発生器コイル4もしくはセンサー・コイル5の動き、あるいは発生器コイルおよびセンサー・コイル4、5の組み合わされた動きを使うことが可能である。 図9にはもう一つの実施形態が示されている。MITシステム1の測定ユニットは、z方向18に動かせるよう適応されている。これらの目的のために、一つまたは複数の発生器コイル4および/または一つまたは複数のセンサー・コイル5を回転軸16に沿って動かすためにアクチュエータ6、7が備えられる。コイル回転が同時に実行される場合、スパイラル状のスキャンが実行され、MITシステム1は、コイル4、5が組織2を横断して動く際に、ノンストップで画像を撮ることができる。 図10および図11には本発明のあるさらなる実施形態が示されている。上面図(図11)は二つの異なる測定位置を示している。第一の測定位置19(点線で示されている)では、対象2は測定ユニット3の中心21に位置されている。第二の測定位置20では、対象2は測定ユニット3の中心21の外側に位置されている。対象2の変位は、対象2を測定ユニット3に対して動かすことによって、あるいは測定ユニット3を対象2に対して動かすことによって、あるいは対象2と測定ユニット3を互いに対して動かすことによって達成できる。動きは、上記のように、アクチュエータ6、7、コンピュータ・システム9を有する制御ユニット8および/またはアクチュエータ11によって達成される。 変位は単一の水平面22内で、すなわち対象またはスキャナをz軸方向18に動かすことなく実行される。第二の測定位置20で、対象2は、変位平面22内で、第一の水平方向23に、かつ第二の水平方向24(第一の水平方向23に垂直)に変位されている。換言すれば、対象2の中心は、スキャナの中心21内の敏感でない領域内に常時あるわけではないことが保証される。スキャン手順の間、スキャナの敏感でない中心は、対象2の種々の領域に一致する。よって、最初低い感度でスキャンされた対象2の領域が、別の測定位置では高い感度を使ってスキャンできる。結果として、種々の(たとえば第一および第二の)測定位置についてMIT信号が得られるので、種々の感度をもったMIT信号が得られ、改善された全体的なMIT解像度につながる。ある代替的な実施形態(図示せず)では、変位平面は水平ではなく、z軸18に関して傾いている。 本発明のもう一つの実施形態が図12に示されている。MITシステム1は、異なるコイル・サイズの発生器コイル4および異なるコイル・サイズのセンサー・コイル5を有する。より小さな直径をもつ発生器コイル4′はその電磁場を近くの環境に集中させる。結果として、調査すべき対象のより深いところに起因しうる測定結果に対する影響が排除できる。より大きな直径をもつ発生器コイル4″が追加的により深いところを励起するために使われる。より小さな直径をもつセンサー・コイル5′はその近い環境への高い受信感度を示し、一方、長距離では敏感でない。他方、より大きな直径をもつセンサー・コイル5″はより深いところをカバーする。両方の型のコイルを用いることにより、両者の利点、すなわち調査すべき対象のより深い深さをカバーしつつの短距離での高感度が組み合わされる。結果として、再構成された映像の高い画質が得られる。 記載されたMITシステム1は、より多数の独立した測定情報を提供する。よって、画像再構成のために解くべき非適切かつ非線形な逆問題を、よりよい結果につながる、より快適な仕方で解くことができる。 当業者には、本発明が以上の例示的な実施形態の詳細に限定されるものではなく、本発明はその精神および本質的な性質から外れることなく他の個別的な形で具現されてもよいことは明白であろう。したがって、本実施形態は、あらゆる観点において、制限するものではなく例示的なものと考えられるべきである。本発明の範囲は、以上の記載ではなく、付属の請求項によって示される。したがって、請求項の意味および等価の範囲内にはいるあらゆる変更は、そこに包含されることが意図されている。さらに、「有する」の語が他の要素またはステップを排除するものではないこと、単数形の表現が複数を排除しないこと、およびコンピュータ・システムまたは他のユニットのような単一の要素が請求項において記載されているいくつかの手段の機能を満たしてもよいことは明白であろう。請求項に参照符号があったとしても、当該請求項を限定するものと解釈してはならない。符号の説明1 MITシステム2 組織3 測定ユニット4 発生器コイル5 センサー・コイル6 アクチュエータ7 アクチュエータ8 制御ユニット9 コンピュータ・システム10 (欠)11 アクチュエータ12 センサー・コイル軸13 発生器コイル軸14 発生器コイルの回転方向15 センサー・コイルの回転方向16 回転軸17 オフセット18 z軸19 第一の測定位置20 第二の測定位置21 測定ユニットの中心22 水平面23 第一の水平方向24 第二の水平方向本発明に基づくMITシステムのブロック概略図である。第一のコイル・セットアップ(「通常整列」)を示す図である。図2のコイル・セットアップの上面図である。第二のコイル・セットアップ(「平面型グラジオメータ」)を示す図である。図4のコイル・セットアップの上面図である。第三のコイル・セットアップ(「一次場無補償セットアップ」)を示す図である。図6のコイル・セットアップの上面図である。センサー・コイルの非対称な配列を示す図である。z方向に動かせる測定ユニットを示す図である。水平面内に動かせる測定ユニットを示す図である。MITスキャナに対する対象の変位を示す図である。異なる大きさのコイルの配列を示す図である。 対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影システムであって、 ・対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させるよう適応された一つまたは複数の発生器コイル、 ・前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知するよう適応された一つまたは複数のセンサー・コイル、 ・一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える手段、を有するシステム。 一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルが非対称な仕方で配列されていることを特徴とする、請求項1記載のシステム。 一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルがアレイの形に配列されていることを特徴とする、請求項1記載のシステム。 前記動き手段が、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを互いとは独立に動かすよう適応されていることを特徴とする、請求項1記載のシステム。 前記動き手段が、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを調査すべき対象に対して回転させるよう適応されていることを特徴とする、請求項1記載のシステム。 前記動き手段が、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを回転軸に沿って動かすよう適応されていることを特徴とする、請求項1記載のシステム。 当該システムがさらに、調査すべき対象を、前記一つもしくは複数の発生器コイルに対しておよび/または前記一つもしくは複数のセンサー・コイルに対して動かす手段を有しており、該手段は特に前記対象を回転させるよう適応されていることを特徴とする、請求項1記載のシステム。 当該システムが、調査すべき対象を、前記一つもしくは複数の発生器コイルに対しておよび/または前記一つもしくは複数のセンサー・コイルに対して、ある平面内で第一の測定位置から第二の測定位置に動かす手段を有することを特徴とする、請求項1記載のシステム。 当該システムが、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを、調査すべき対象に対して、ある平面内で第一の測定位置から第二の測定位置に動かす手段を有することを特徴とする、請求項1記載のシステム。 少なくとも二つの異なる発生器コイルおよび/または少なくとも二つの異なるセンサー・コイルがあることを特徴とする、請求項1記載のシステム。 対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影方法であって: ・一つまたは複数の発生器コイルによって、対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させる段階、 ・一つまたは複数のセンサー・コイルによって、前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知する段階、ならびに、 ・一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える段階、を有する方法。 対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影システムを動作させるコンピュータ・プログラムであって、前記システムは、対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させるよう適応された一つまたは複数の発生器コイル、前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知するよう適応された一つまたは複数のセンサー・コイル、ならびに、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える手段を有しており、当該コンピュータ・プログラムは、コンピュータにおいて実行されたときに、前記コイル(単数または複数)の動き(単数または複数)および/または前記対象の動き(単数または複数)を自動的に制御するコンピュータ命令を有している、コンピュータ・プログラム。 本発明は、対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影のシステムおよび方法に関する。コイル数を増す必要なしに高解像度のMIT技法を提供するために、対象(2)の電磁的性質を調査するための磁気誘導断層撮影システム(1)であって、対象(2)中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させるよう適応された一つまたは複数の発生器コイル(4)、前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知するよう適応された一つまたは複数のセンサー・コイル(5)、ならびに、一つもしくは複数の発生器コイル(4)および/または一つもしくは複数のセンサー・コイル(5)と調査すべき対象(2)との間の相対的な動きを与える手段(6、7、8、9)とを有するシステムが提案される。 20080624A16333全文3 対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影システムであって、 ・対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させるよう適応された一つまたは複数の発生器コイルと、 ・前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知するよう適応された一つまたは複数のセンサー・コイルとを有しており、当該システムがさらに、 ・一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える手段を有しており、前記動き手段が、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを調査すべき対象に対して回転させるよう適応されていることを特徴とする、システム。 一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルが非対称な仕方で配列されていることを特徴とする、請求項1記載のシステム。 一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルがアレイの形に配列されていることを特徴とする、請求項1記載のシステム。 前記動き手段が、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを互いとは独立に動かすよう適応されていることを特徴とする、請求項1記載のシステム。 前記動き手段が、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを回転軸に沿って動かすよう適応されていることを特徴とする、請求項1記載のシステム。 当該システムがさらに、調査すべき対象を、前記一つもしくは複数の発生器コイルに対しておよび/または前記一つもしくは複数のセンサー・コイルに対して動かす手段を有しており、該手段は特に前記対象を回転させるよう適応されていることを特徴とする、請求項1記載のシステム。 当該システムが、調査すべき対象を、前記一つもしくは複数の発生器コイルに対しておよび/または前記一つもしくは複数のセンサー・コイルに対して、ある平面内で第一の測定位置から第二の測定位置に動かす手段を有することを特徴とする、請求項1記載のシステム。 当該システムが、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを、調査すべき対象に対して、ある平面内で第一の測定位置から第二の測定位置に動かす手段を有することを特徴とする、請求項1記載のシステム。 少なくとも二つの異なる発生器コイルおよび/または少なくとも二つの異なるセンサー・コイルがあることを特徴とする、請求項1記載のシステム。 対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影方法であって: ・一つまたは複数の発生器コイルによって、対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させる段階と、 ・一つまたは複数のセンサー・コイルによって、前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知する段階とを有しており、当該方法がさらに、 ・一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える段階を有しており、該段階において一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを調査すべき対象に対して回転させられることを特徴とする、方法。 対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影システムを動作させるコンピュータ・プログラムであって、前記システムは、対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させるよう適応された一つまたは複数の発生器コイル、前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知するよう適応された一つまたは複数のセンサー・コイル、ならびに、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える手段を有しており、前記動き手段は、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを調査すべき対象に対して回転させるよう適応されており、当該コンピュータ・プログラムは、コンピュータにおいて実行されたときに、前記コイル(単数または複数)の動き(単数または複数)および/または前記対象の動き(単数または複数)を自動的に制御するコンピュータ命令を有している、コンピュータ・プログラム。A16330全文3 本発明は、対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影のシステムおよび方法に関する。 磁気誘導断層撮影(MIT: magnetic induction tomography)は、非侵襲的な撮像技法で、工業におけるおよび医療撮像のための用途をもつ。他の電気的撮像技法とは対照的に、センサーのMITは撮像される対象との直接接触を必要としない。 MITは一つまたは複数の発生器コイル(励起コイルとも呼ばれる)からの磁場を加えて調査する物質中に渦電流を誘導する。換言すれば、スキャン領域は時間変動する磁場で励起される。伝導性および/または透磁性の物質の存在は内部で励起場をゆがめる。前記一次磁場の摂動、すなわち渦電流から帰結する二次的な磁場がいくつかのセンサー・コイル(測定コイル、検出コイルまたは受信コイルとも呼ばれる)によって検出される。測定値の諸セットが取られ、対象の位置、形および電磁的性質を復元するために使われる。MITは電気伝導率、誘電率および透磁率という三つの受動的な電磁的性質すべてに感度をもつ。結果として、目標とする対象におけるたとえば伝導率の寄与が再構成できる。特に、生物組織の透磁率の値はμR〜1なので、MITは生物組織の検査に好適である。 複数測定を使ったMITによる画像再構成は、非適切、不足決定かつ非線形な逆問題であり、問題を線形化することによって推定できる。さらなる詳細はOlaf D¨ossel, “Bildgebende Verfahren in der Medizin. Von der Technik zur medizinischen Anwendung”, Springer-Verlag, 2000の章9.10および章11.6に説明されている。したがって、次の式が得られる: S(x0)*(x−x0)=b−b0ここで、S:感度行列(磁場導出行列[lead field matrix])、x:画像ベクトル(伝導率)、x0:初期伝導率値、b:測定ベクトル(センサー・コイルによって測定された電圧)およびb0:伝導率x0での初期の測定されたベクトルである。以下のために、感度行列(伝達行列[transfer matrix])Sは: Sx=bと書けると想定される。感度行列は x=S-1bのように逆行列を求められる必要がある。 逆行列の計算は、種々の逆行列計算方法を使って、たとえばムーア・ペンローズの擬似逆行列(MPS: Moore-Penrose pseudo-inverse)、一般化交差検定技法を用いたティホノフ正則化(TCGV: Tikhonov Regularization with Generalized Cross-Validation)または非負性制約条件を用いたティホノフ正則化(TNN: Tikhonov Regularization with non-negativity constraint)を使って実行できる。多数の独立な測定情報(bの値)が存在すれば、感度行列Sの逆行列計算はより簡単に実行でき、解はより安定であり、再構成された画像の空間解像度はより高い。 換言すれば、好ましくは多数の(独立な)測定が必要とされる。E個の発生器コイルおよびM個のセンサー・コイルを有するMITシステムはE(M−1)個の測定値を許容し、このうちE(M−1)/2個の測定値のみが独立である。したがって、従来技術の解法は常に、増加した数のコイルを使うことによって測定値の数を増やすことを提案する。これは非常に大型で複雑なMITシステムにつながる。さらに、そのようなシステムは、要求される操作設備のために非常に高価である。次の文献には従来技術から知られている種々の測定構成が記載されている:WO2005/057467A、Hermann Scharfetter et al. “A new type of gradiometer for the receiving circuit of magnetic induction tomography (MIT)” Physiological Measurement, Institute of Physics Publishing, Bristol, GB, vol. 26, no. 2, 1 April 2005, pp. 307-318およびUS5,144,236。 コイルの数を増やす必要なしに高解像度のMIT技法を提供することが本発明の一つの目的である。 この目的は、本発明によれば、対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影システムであって、対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させるよう適応された一つまたは複数の発生器コイルを有し、前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知するよう適応された一つまたは複数のセンサー・コイルをさらに有し、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える手段とを有しており、前記動き手段が、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを調査すべき対象に対して回転させるよう適応されている、システムによって達成される。 本発明の前記目的は、対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影方法であって、一つまたは複数の発生器コイルによって、対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させる段階、一つまたは複数のセンサー・コイルによって、前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知する段階、ならびに、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える段階とを有しており、該段階において、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルが調査すべき対象に対して回転させられる、方法によっても達成される。 本発明の前記目的は、対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影システムを動作させるコンピュータ・プログラムであって、前記システムは、対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させるよう適応された一つまたは複数の発生器コイル、前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知するよう適応された一つまたは複数のセンサー・コイル、ならびに、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える手段を有しており、前記動き手段が、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを調査すべき対象に対して回転させるよう適応されている、当該コンピュータ・プログラムは、コンピュータ上で実行されたときに、前記コイル(単数または複数)の動き(単数または複数)および/または前記対象の動き(単数または複数)を自動的に制御するコンピュータ命令を有している、コンピュータ・プログラムによっても達成される。よって、本発明に基づいて必要な技術的効果は、本発明に基づく前記コンピュータ・プログラムの命令に基づいて実現されることができる。そのようなコンピュータ・プログラムはCD-ROMのような担体上に記憶されていることができ、あるいはインターネットもしくは他のコンピュータ・ネットワーク上で利用可能であることができる。実行に先立ち、前記コンピュータ・プログラムは、該コンピュータ・プログラムをたとえばCD-ROMプレーヤーによって担体から、あるいはインターネットから読み込み、それをコンピュータのメモリ内に記憶させることによってコンピュータにロードされる。コンピュータは、なかんづく、中央処理ユニット(CPU)、バス・システム、メモリ手段、たとえばRAMもしくはROMなど、記憶手段、たとえばフロッピー(登録商標)・ディスクもしくはハードディスク・ユニットなどおよび入出力ユニットを含んでいる。あるいはまた、本発明の方法は、ハードウェアで、たとえば一つまたは複数の集積回路を使って実装されることができる。 本発明の中核的な発想は、目標とする対象に関して発生器コイルおよび/またはセンサー・コイルを動かすことである。そうすることによって、より多数のコイルを必要とすることなく、独立した測定の数が増やされる。結果として、感度行列の逆行列計算がより簡単に実行でき、解がより安定になり、再構成される画像の空間解像度がより高くなる。提案されるMITシステムおよび方法に基づいて、高価でコントロールが難しい操作設備なしに、高品質な画像再構成が可能である。 動き手段は、一つまたは複数のコイルを調査すべき対象に対して回転させるよう、特に一つまたは複数のコイルを対象のまわりに回転させるよう適応されている。これは、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを対象に対して回転させる場合を含む。回転運動は好ましくは、単純な円状の実験的レイアウトとともに使われることができる。回転運動を適用することのもう一つの利点は、完全な360°の測定情報のセットが簡単に集められることである。完全な測定情報のセットは、対象のまわりを360°動く一つのセンサー・コイルを使って、あるいは対象のまわりをそれぞれ180°動く二つの等間隔のセンサー・コイルを使って、あるいはたとえば対象のまわりをそれぞれ22.5°動く16個の等間隔のセンサー・コイルなどを使って収集できる。好ましくは、動き手段は、コイル(単数または複数)を任意の小さなステップで回転させるよう適応される。それらの各ステップののち、二次磁場の感知が実行される。たとえば、前記の16個のセンサー・コイルのそれぞれは、10(または100)の中間ステップを実行することによって22.5°の領域をカバーしてもよい。それは、その22.5°の回転の間に10(または100)回の測定が実行される、すなわち2.25°の回転ごとに(または0.225°の回転ごとに)単一の測定が実行されることを意味する。コイルの動きの種類は、コイル配置の幾何学に依存して変わることができる。 本発明のこれらの側面およびその他の側面について、従属請求項で定義される以下の実施形態に基づいてさらに論じる。 本発明のある好ましい実施形態によれば、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルが非対称な仕方で配列される場合、さらに多くの独立な測定が可能である。コイルの非対称な配列を相対的なコイルの動きと組み合わせて使うことは、感度行列において使用されるべき独立した測定情報の著しい増加につながる。この実施形態は、発生器コイルの互いに対する非対称な配列も、センサー・コイルの互いに対する非対称な配列も、発生器コイルのセンサー・コイルに対する非対称な配列も含む。 もう一つの好ましい実施形態では、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルはアレイの形に配列される。この実施形態は、いくつかの発生器コイルがアレイの形に配列される場合も、いくつかのセンサー・コイルがアレイの形に配列される場合も、一つもしくは複数の発生器コイルおよび一つもしくは複数のセンサー・コイルがアレイの形に配列される場合も含む。たとえば、たとえば、単一の発生器コイルがセンサー・コイルのアレイと協働してもよいし、あるいは発生器コイルのアレイがセンサー・コイルのアレイと協働してもよい。コイルのアレイ状の配列は、すべてのセンサー・コイルが同時に信号を取得できるので、より高速なスキャン・パフォーマンスにつながる。さらに、対称的な配列が使用されるなら完全な360°回転は必要ないので、システムの機械的設計はそれほど複雑でなくなる。 本発明のもう一つの実施形態では、前記動き手段は、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルが互いとは独立に動きを実行できるよう適応されている。この実施形態は、いくつかの発生器コイルが互いと独立して動く場合も、いくつかのセンサー・コイルが互いと独立して動く場合も、一つもしくは複数の発生器コイルが一つもしくは複数のセンサー・コイルと独立して動く場合も含む。コイルが独立して動かされることの主たる利点は、あらゆる可能な幾何学的配置が到達可能であるということである。換言すれば、あらゆるコイル位置が別個に到達可能である。 本発明のもう一つの実施形態では、動き手段は、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを回転軸に沿って、すなわちz方向に動かすよう適応される。z方向の動きの主たる利点は、対象を動かすことなく、より大きな3D領域が検査できるということである。このようにして、対象の完全なスキャンが達成でき、少数のコイルだけを使って追加的な独立な測定情報を得ることができる。 MITスキャンの間、スキャンされる対象は好ましくは静止している。しかしながら、本発明の別の実施形態では、システムはさらに調査すべき対象を、一つもしくは複数の発生器コイルに対しておよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルに対して動かす手段、特に対象を回転させるよう適応された該手段を有する。 所与の伝導率変化の結果としてどのくらいの電圧変化が受領されるかを表すMITスキャナ感度は、測定ユニットの中心よりも、周沿いおよび周近くでより高いことが見出されている。換言すれば、MITスキャナの感度、よってMITスキャナの解像度は、スキャナの中心あたりで最低になる。こうして、本発明の他の実施形態では、当該システムは、MITスキャナに対して対象を、ある平面内で第一の測定位置から第二の測定位置に動かす手段および/または調査すべき対象に対してMITスキャナをある平面内で動かす手段を有する。換言すれば、調査すべき対象およびMITスキャナの位置が互いに対して単一平面、好ましくは水平面内で変えられる。結果として、スキャナに対する対象の位置が、測定手順の間に変化する。対象の相対位置は、スキャナの中心での感度が改善されるように、変わる。さらに、多数の独立な測定情報が生成され、より高い画質につながる。 本発明のもう一つの実施形態では、発生器コイルおよび/またはセンサー・コイルとして異なるコイルが使われる。好ましくは、異なるコイル・サイズを示すいくつかの発生器コイルおよびいくつかのセンサー・コイルが使われる。特に、発生器コイルおよび/またはセンサー・コイルの直径ならびに/または導線材料の直径および/または長さのような他のコイル・パラメータが異なっている。こうして、そのような異なるコイルが使われる場合、より多数の独立な測定情報(bの値)が生成される。これによって、コイルの総数を増やすことなく、感度行列の貧弱な調整が改善される。換言すれば、逆先行場行列(inverse lead-field matrix)の計算がより堅牢にされる。すなわち、計算の曖昧さが低減される。これは、コイルのいくつかについて影響の領域が限定される、たとえばセンサー・コイルが信号を受信する領域および/または発生器コイルが渦電流を誘導する領域が縮小されるからである。 本発明のこれらの側面およびその他の側面は以下で例として、以下の実施形態および付属の図面を参照して詳細に述べられる。 本発明に基づくMITシステム1のブロック概略図が図1に示されている。MITシステム1は生物学的対象、特に伝導性組織2の電磁的性質を調査するよう適応されている。MITシステム1はなかんづく、測定ユニット3を有する。該測定ユニット3は励起モジュール3′および受信モジュール3″を有する。励起モジュール3′は電力増幅器および時間変動する一次磁場を発生させるよう適応されたいくつかの発生器コイル4を含む。該一次磁場が組織2に渦電流を誘導する。この目的のため、交流が発生器コイル4に導入される。受信モジュール3″は測定増幅器および前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知するよう適応されたいくつかのセンサー・コイル5を有する。MITシステム1はさらに、一つまたは複数の発生器コイル4を組織2に対して動かすための電気的に駆動されるアクチュエータ6と、一つまたは複数のセンサー・コイル5を組織2に対して動かすための電気的に駆動されるアクチュエータ7とを有する。アクチュエータ6、7はコイルの動きを制御するために測定ユニット3に接続されている。両アクチュエータ6、7は、中央制御ユニット8に接続されており、そこから両者は制御される。 制御ユニット8は機能モジュールまたはユニットをもつコンピュータ・システム9を有する。機能モジュールまたはユニットは、ハードウェア、ソフトウェアの形で、あるいはハードウェアおよびソフトウェア両方の組み合わせの形で実装される。コンピュータ・システム9はマイクロプロセッサなどおよびソフトウェアの形のコンピュータにロードできるコンピュータ・プログラムを有していてもよい。あるいはまた、コンピュータ・プログラムはハードウェア・コンピュータ・コードの形で実現される。コンピュータ・プログラムは、該コンピュータ・プログラムがコンピュータ・システム9において実行されるときに前記コイルの動きを自動的に制御するためのコンピュータ命令を有する。 MITスキャンの間、検査されるべき組織2は静止している。本発明の別の実施形態では、MITシステム1はさらに、前記一つもしくは複数の発生器コイル4に対しておよび/または前記一つもしくは複数のセンサー・コイル5に対して組織2を動かすよう適応されたアクチュエータ11を有する。該アクチュエータ11も制御ユニット8によって制御される。アクチュエータ11およびアクチュエータ11と制御ユニット8との間の接続は図1では破線で示されている。 発生器コイル4は、好ましくは、100kHzないし20MHzの励起周波数で動作するよう適応される。本発明のある好ましい実施形態では、発生器コイル4は「掃引」を許容するよう、複数の周波数で動作させられる。たとえば、発生器コイルに導入されるべき電流のために非正弦波形、たとえば方形波形を使うことによって、いくつかの発生器コイルが2MHzおよび5MHzで同時に動作させられる。結果として得られる測定情報から、高速フーリエ変換(FFT)を使って異なる周波数情報が抽出される。この目的のため、測定ユニット3は読み出しユニット(図示せず)に接続されている。読み出しユニット3は好ましくは、マイクロプロセッサまたは別のコンピュータ手段と組み合わされたデータ収集ユニット(データログ記録器)である。異なる種類の組織は異なる励起周波数に関して異なる挙動を示すので、このアプローチは調査対象についての追加的な情報につながる。あるいはまた、いくつかの第一の発生器コイル4が2MHzで動作させられ、同時にいくつかの第二の発生器コイル4が5MHzで動作させられる。あるいはまた、異なる複数の励起周波数が逐次的に使われてもよい。たとえば、第一の測定サイクルでは発生器コイル4はたとえば2MHzで動作させられ、第二の測定サイクルでは同じ発生器コイル4がたとえば5MHzで動作させられる。しかしながら、この第二のアプローチは、第一のアプローチより遅いが、結果を分離する労力はより少なくなる。すべてのセンサー・コイル5の読み出しは好ましくは同時に、すなわち一度に実行される。これによって、測定速度を上げられる。 本発明は、たとえば通常のコイル整列で、あるいは平面グラジオメータ・セットアップで使用できる。図2および図3には、コイル4、5の通常の(すなわち縦の)整列をもつ測定ユニットが示されている。この実施形態では、測定ユニット3は、8つの発生器コイル4および該発生器コイル4に対応する8つのセンサー・コイル5を有する。図2では明確のため、一つの発生器コイル4しか示されていない。ソレノイド・コイル4、5はスキャンされるべき組織2のまわりに円形に配列されている。発生器コイル4およびセンサー・コイル5は共通の平面上に位置され、センサー・コイル4の軸12は発生器コイル5の軸13に垂直に配向されている。特に、発生器コイル5の軸13は動径方向に整列されており、組織2のほうに向けられている一方、センサー・コイル4の軸12はz方向に整列されている。 図4および図5では、平面型グラジオメータの形のコイル・セットアップが示されている。ここでもまた、測定ユニット3は8つの発生器コイル4および該発生器コイル4に対応する8つのセンサー・コイル5を有する。図4でもまた、明確のため、一つの発生器コイル4および8つのセンサー・コイル5のうちの4つしか示されていない。コイル4、5はスキャンされるべき組織2のまわりに円形に配列されている。ソレノイド発生器コイル4については、通常の整列と同じ配列が使われる。しかしながら、センサー・コイル5としては、平面型グラジオメータが使われる。平面型グラジオメータは、巻き方向が反対の二つの方形渦巻きとして描かれている。 図6および図7では、コイル4、5の一次場無補償整列をもつ測定ユニットが示されている。センサー・コイル4の軸12は発生器コイル5の軸13と平行である。ここでもまた、明確のため、発生器コイル4一つだけしか示されていない。すべてのソレノイド・コイル4、5は組織2のまわりに円形に配列されており、共通の平面上に位置されている。このセットアップのため、本発明は高解像度撮像に関して大いなる利点をもたらす。 三つの実施形態すべてにおいて、発生器コイル4および/またはセンサー・コイル5は、一つまたは複数のアレイの形に配列されてもよく、各コイル・アレイはアクチュエータ6、7によって全体として動かされるよう適応されてもよい。たとえば、図4および図5における8つのセンサー・コイル5は一つのセンサー・コイル・アレイに組み合わされることができる。結果として、センサー・コイル5に接続されたアクチュエータ7がしかるべく制御されれば、8つすべてのセンサー・コイル5が組織2に対して動く。あるいはまた、前記の数のセンサー・コイル5は二つのコイルのアレイに分けることができる。それにより、各アレイは4つのセンサー・コイル5、たとえば4つの隣り合うセンサー・コイル5または4つの任意のセンサー・コイル5を有する。あるいはまた、前記の数のセンサー・コイル5は任意の数のアレイに分けることができる。各アレイは独立して動かされるよう適応される。 アクチュエータ6、7はいくつかの発生器コイル4および/またはいくつかのセンサー・コイル5を互いに独立に動かすよう適応される。特に、アクチュエータ6、7は単一の発生器コイル4または発生器コイル4のアレイをある方向に、(同時に)単一のセンサー・コイル5またはセンサー・コイル5のアレイを別の方向、たとえば逆方向に動かすよう適応される。 円形コイル配列では、アクチュエータ6、7は、コイル配列内に位置されている組織2のまわりに発生器コイルおよび/またはセンサー・コイル4、5を回転するよう適応される。センサー・コイル5の等距離の配列の場合、各センサー・コイル5は45°の領域をカバーしなければならない。換言すれば、測定情報の360°のセットは、組織のまわりの45°の領域にわたって8つのセンサー・コイル5のアレイを動かすことによって得ることができる。この動きは、アクチュエータ6、7によって、多数の小さな中間ステップ、たとえば45個のステップを使って実行される。結果として、完全なMITスキャンはコイル配列の45°回転によって実行される。それにより、1°の解像度が達成される。アクチュエータ6、7は、発生器コイル(単数または複数)4およびセンサー・コイル(単数または複数)5が独立して回転できるよう適応される。図2ないし図7において、発生器コイル(単数または複数)4の回転方向は矢印14を使って示されており、センサー・コイル(単数または複数)5の回転方向は矢印15を使って示されている。中間ステップの数は用途に応じて選ぶことができる。 図8では、12個の発生器コイル4および12個のセンサー・コイル5が使われる本発明のある実施形態が示されている。明確のため、5個の発生器コイル4aないし4eおよび5個のセンサー・コイル5aないし5eしか示されていない。コイルは、図6および図7に示されるように、一次場無補償セットアップで配列されている。コイル4、5の配列は二つの「コイルになっていない」ストリップ(励起モジュール3′および受信モジュール3″)の形で示されている。これらのストリップは、通常、スキャンされるべき対象2のまわりの閉ループを形成する。本システムは、発生器コイル4aないし4eの非対称な配列およびセンサー・コイル5aないし5eの対称的な配列を示している。換言すれば、センサー・コイル5aないし5eは互いに等距離に位置され、センサー・コイル5aないし5eのz方向の、すなわち回転軸16に沿った変位はない。よって、2つのセンサー・コイル5の間の距離はφ=30°である。 他方、発生器コイルは異なる種類のオフセットを使って位置されている。この例では、発生器コイル4eは変位のない通常の位置(基準位置)に位置されている。発生器コイル4aはz軸の負方向に変位されている。発生器コイル4bはz軸の正方向に変位されている。発生器コイル4cは「水平」方向に変位され、その元の位置からΔφ=7.5°の負のオフセットを示している。発生器コイル4dは「水平」方向に変位され、その元の位置から正のオフセットΔφを示し、同時に、z軸の正方向に変位されている。 スキャン手順の間、単一の発生器コイル・アレイをなす発生器コイル4は回転方向14に回転させられる。センサー・コイル5はその位置に留まる。発生器コイル4の回転は10°のステップで実行される。発生器コイル・アレイの360°回転の間、発生器コイル4の非対称的な配列のため、常に異なって位置されたコイル組み合わせがある。換言すれば、発生器コイル・アレイが10°の動きを実行するたびに、発生器コイル4は対応するセンサー・コイル5に対して別の相対位置を示す。これは、増加した数の独立した測定につながり、それが画像再構成に利用できる。図8に示される実施形態は、一例として理解されるべきである。他のコイル変位および/または他のコイル動きも可能である。特に、一方では、発生器コイル4もしくはセンサー・コイル5いずれかの非対称な配置、あるいは非対称に配列された発生器コイルおよびセンサー・コイル4、5の組み合わせを使うことができ、他方では発生器コイル4もしくはセンサー・コイル5の動き、あるいは発生器コイルおよびセンサー・コイル4、5の組み合わされた動きを使うことが可能である。 図9にはもう一つの実施形態が示されている。MITシステム1の測定ユニットは、z方向18に動かせるよう適応されている。これらの目的のために、一つまたは複数の発生器コイル4および/または一つまたは複数のセンサー・コイル5を回転軸16に沿って動かすためにアクチュエータ6、7が備えられる。コイル回転が同時に実行される場合、スパイラル状のスキャンが実行され、MITシステム1は、コイル4、5が組織2を横断して動く際に、ノンストップで画像を撮ることができる。 図10および図11には本発明のあるさらなる実施形態が示されている。上面図(図11)は二つの異なる測定位置を示している。第一の測定位置19(点線で示されている)では、対象2は測定ユニット3の中心21に位置されている。第二の測定位置20では、対象2は測定ユニット3の中心21の外側に位置されている。対象2の変位は、対象2を測定ユニット3に対して動かすことによって、あるいは測定ユニット3を対象2に対して動かすことによって、あるいは対象2と測定ユニット3を互いに対して動かすことによって達成できる。動きは、上記のように、アクチュエータ6、7、コンピュータ・システム9を有する制御ユニット8および/またはアクチュエータ11によって達成される。 変位は単一の水平面22内で、すなわち対象またはスキャナをz軸方向18に動かすことなく実行される。第二の測定位置20で、対象2は、変位平面22内で、第一の水平方向23に、かつ第二の水平方向24(第一の水平方向23に垂直)に変位されている。換言すれば、対象2の中心は、スキャナの中心21内の敏感でない領域内に常時あるわけではないことが保証される。スキャン手順の間、スキャナの敏感でない中心は、対象2の種々の領域に一致する。よって、最初低い感度でスキャンされた対象2の領域が、別の測定位置では高い感度を使ってスキャンできる。結果として、種々の(たとえば第一および第二の)測定位置についてMIT信号が得られるので、種々の感度をもったMIT信号が得られ、改善された全体的なMIT解像度につながる。ある代替的な実施形態(図示せず)では、変位平面は水平ではなく、z軸18に関して傾いている。 本発明のもう一つの実施形態が図12に示されている。MITシステム1は、異なるコイル・サイズの発生器コイル4および異なるコイル・サイズのセンサー・コイル5を有する。より小さな直径をもつ発生器コイル4′はその電磁場を近くの環境に集中させる。結果として、調査すべき対象のより深いところに起因しうる測定結果に対する影響が排除できる。より大きな直径をもつ発生器コイル4″が追加的により深いところを励起するために使われる。より小さな直径をもつセンサー・コイル5′はその近い環境への高い受信感度を示し、一方、長距離では敏感でない。他方、より大きな直径をもつセンサー・コイル5″はより深いところをカバーする。両方の型のコイルを用いることにより、両者の利点、すなわち調査すべき対象のより深い深さをカバーしつつの短距離での高感度が組み合わされる。結果として、再構成された映像の高い画質が得られる。 記載されたMITシステム1は、より多数の独立した測定情報を提供する。よって、画像再構成のために解くべき非適切かつ非線形な逆問題を、よりよい結果につながる、より快適な仕方で解くことができる。 当業者には、本発明が以上の例示的な実施形態の詳細に限定されるものではなく、本発明はその精神および本質的な性質から外れることなく他の個別的な形で具現されてもよいことは明白であろう。したがって、本実施形態は、あらゆる観点において、制限するものではなく例示的なものと考えられるべきである。本発明の範囲は、以上の記載ではなく、付属の請求項によって示される。したがって、請求項の意味および等価の範囲内にはいるあらゆる変更は、そこに包含されることが意図されている。さらに、「有する」の語が他の要素またはステップを排除するものではないこと、単数形の表現が複数を排除しないこと、およびコンピュータ・システムまたは他のユニットのような単一の要素が請求項において記載されているいくつかの手段の機能を満たしてもよいことは明白であろう。請求項に参照符号があったとしても、当該請求項を限定するものと解釈してはならない。符号の説明1 MITシステム2 組織3 測定ユニット4 発生器コイル5 センサー・コイル6 アクチュエータ7 アクチュエータ8 制御ユニット9 コンピュータ・システム10 (欠)11 アクチュエータ12 センサー・コイル軸13 発生器コイル軸14 発生器コイルの回転方向15 センサー・コイルの回転方向16 回転軸17 オフセット18 z軸19 第一の測定位置20 第二の測定位置21 測定ユニットの中心22 水平面23 第一の水平方向24 第二の水平方向本発明に基づくMITシステムのブロック概略図である。第一のコイル・セットアップ(「通常整列」)を示す図である。図2のコイル・セットアップの上面図である。第二のコイル・セットアップ(「平面型グラジオメータ」)を示す図である。図4のコイル・セットアップの上面図である。第三のコイル・セットアップ(「一次場無補償セットアップ」)を示す図である。図6のコイル・セットアップの上面図である。センサー・コイルの非対称な配列を示す図である。z方向に動かせる測定ユニットを示す図である。水平面内に動かせる測定ユニットを示す図である。MITスキャナに対する対象の変位を示す図である。異なる大きさのコイルの配列を示す図である。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る

特許公報(B2)_磁気誘導断層撮影のシステムおよび方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_磁気誘導断層撮影のシステムおよび方法
出願番号:2008546755
年次:2014
IPC分類:A61B 5/05,G01N 27/72


特許情報キャッシュ

イグニー,クラウディア ハンネロア ピンター,ローベルト ズーフ,オラーフ JP 5478071 特許公報(B2) 20140221 2008546755 20061214 磁気誘導断層撮影のシステムおよび方法 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ 590000248 伊東 忠重 100107766 伊東 忠彦 100070150 大貫 進介 100091214 イグニー,クラウディア ハンネロア ピンター,ローベルト ズーフ,オラーフ EP 05112737.1 20051222 20140423 A61B 5/05 20060101AFI20140403BHJP G01N 27/72 20060101ALI20140403BHJP JPA61B5/05 AG01N27/72 A61B 5/04 − 5/05 G01N 27/72 A61B 6/03 国際公開第2005/057467(WO,A2) 特開昭56−054830(JP,A) 特開2000−107174(JP,A) 特開2001−112730(JP,A) 特開2005−241575(JP,A) 特開2004−141656(JP,A) 国際公開第2005/016113(WO,A2) Hermann Scharfetter et al.,A new type of gradiometer for the receiving circuit of magnetic induction tomogoraphy(MIT),PHYSIOLOGICAL MEASUREMENT,英国,INSTITUTE OF PHYSICS PUBLISHING ,2005年 4月 1日,Vol.26,No.2,pp.S307-S318 10 IB2006054834 20061214 WO2007072343 20070628 2009520549 20090528 14 20091210 門田 宏 本発明は、対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影のシステムおよび方法に関する。 磁気誘導断層撮影(MIT: magnetic induction tomography)は、非侵襲的な撮像技法で、工業におけるおよび医療撮像のための用途をもつ。他の電気的撮像技法とは対照的に、センサーのMITは撮像される対象との直接接触を必要としない。 MITは一つまたは複数の発生器コイル(励起コイルとも呼ばれる)からの磁場を加えて調査する物質中に渦電流を誘導する。換言すれば、スキャン領域は時間変動する磁場で励起される。伝導性および/または透磁性の物質の存在は内部で励起場をゆがめる。前記一次磁場の摂動、すなわち渦電流から帰結する二次的な磁場がいくつかのセンサー・コイル(測定コイル、検出コイルまたは受信コイルとも呼ばれる)によって検出される。測定値の諸セットが取られ、対象の位置、形および電磁的性質を復元するために使われる。MITは電気伝導率、誘電率および透磁率という三つの受動的な電磁的性質すべてに感度をもつ。結果として、目標とする対象におけるたとえば伝導率の寄与が再構成できる。特に、生物組織の透磁率の値はμR〜1なので、MITは生物組織の検査に好適である。 複数測定を使ったMITによる画像再構成は、非適切、不足決定かつ非線形な逆問題であり、問題を線形化することによって推定できる。さらなる詳細はOlaf D¨ossel, “Bildgebende Verfahren in der Medizin. Von der Technik zur medizinischen Anwendung”, Springer-Verlag, 2000の章9.10および章11.6に説明されている。したがって、次の式が得られる: S(x0)*(x−x0)=b−b0ここで、S:感度行列(磁場導出行列[lead field matrix])、x:画像ベクトル(伝導率)、x0:初期伝導率値、b:測定ベクトル(センサー・コイルによって測定された電圧)およびb0:伝導率x0での初期の測定されたベクトルである。以下のために、感度行列(伝達行列[transfer matrix])Sは: Sx=bと書けると想定される。感度行列は x=S-1bのように逆行列を求められる必要がある。 逆行列の計算は、種々の逆行列計算方法を使って、たとえばムーア・ペンローズの擬似逆行列(MPS: Moore-Penrose pseudo-inverse)、一般化交差検定技法を用いたティホノフ正則化(TCGV: Tikhonov Regularization with Generalized Cross-Validation)または非負性制約条件を用いたティホノフ正則化(TNN: Tikhonov Regularization with non-negativity constraint)を使って実行できる。多数の独立な測定情報(bの値)が存在すれば、感度行列Sの逆行列計算はより簡単に実行でき、解はより安定であり、再構成された画像の空間解像度はより高い。 換言すれば、好ましくは多数の(独立な)測定が必要とされる。E個の発生器コイルおよびM個のセンサー・コイルを有するMITシステムはE(M−1)個の測定値を許容し、このうちE(M−1)/2個の測定値のみが独立である。したがって、従来技術の解法は常に、増加した数のコイルを使うことによって測定値の数を増やすことを提案する。これは非常に大型で複雑なMITシステムにつながる。さらに、そのようなシステムは、要求される操作設備のために非常に高価である。次の文献には従来技術から知られている種々の測定構成が記載されている:WO2005/057467A、Hermann Scharfetter et al. “A new type of gradiometer for the receiving circuit of magnetic induction tomography (MIT)” Physiological Measurement, Institute of Physics Publishing, Bristol, GB, vol. 26, no. 2, 1 April 2005, pp. 307-318およびUS5,144,236。 コイルの数を増やす必要なしに高解像度のMIT技法を提供することが本発明の一つの目的である。 この目的は、本発明によれば、対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影システムであって、対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させるよう適応された一つまたは複数の発生器コイルを有し、前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知するよう適応された一つまたは複数のセンサー・コイルをさらに有し、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える手段とを有しており、前記動き手段が、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを調査すべき対象に対して回転させるよう適応されている、システムによって達成される。 本発明の前記目的は、対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影方法であって、一つまたは複数の発生器コイルによって、対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させる段階、一つまたは複数のセンサー・コイルによって、前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知する段階、ならびに、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える段階とを有しており、該段階において、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルが調査すべき対象に対して回転させられる、方法によっても達成される。 本発明の前記目的は、対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影システムを動作させるコンピュータ・プログラムであって、前記システムは、対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させるよう適応された一つまたは複数の発生器コイル、前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知するよう適応された一つまたは複数のセンサー・コイル、ならびに、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える手段を有しており、前記動き手段が、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを調査すべき対象に対して回転させるよう適応されている、当該コンピュータ・プログラムは、コンピュータ上で実行されたときに、前記コイル(単数または複数)の動き(単数または複数)および/または前記対象の動き(単数または複数)を自動的に制御するコンピュータ命令を有している、コンピュータ・プログラムによっても達成される。よって、本発明に基づいて必要な技術的効果は、本発明に基づく前記コンピュータ・プログラムの命令に基づいて実現されることができる。そのようなコンピュータ・プログラムはCD-ROMのような担体上に記憶されていることができ、あるいはインターネットもしくは他のコンピュータ・ネットワーク上で利用可能であることができる。実行に先立ち、前記コンピュータ・プログラムは、該コンピュータ・プログラムをたとえばCD-ROMプレーヤーによって担体から、あるいはインターネットから読み込み、それをコンピュータのメモリ内に記憶させることによってコンピュータにロードされる。コンピュータは、なかんづく、中央処理ユニット(CPU)、バス・システム、メモリ手段、たとえばRAMもしくはROMなど、記憶手段、たとえばフロッピー(登録商標)・ディスクもしくはハードディスク・ユニットなどおよび入出力ユニットを含んでいる。あるいはまた、本発明の方法は、ハードウェアで、たとえば一つまたは複数の集積回路を使って実装されることができる。 本発明の中核的な発想は、目標とする対象に関して発生器コイルおよび/またはセンサー・コイルを動かすことである。そうすることによって、より多数のコイルを必要とすることなく、独立した測定の数が増やされる。結果として、感度行列の逆行列計算がより簡単に実行でき、解がより安定になり、再構成される画像の空間解像度がより高くなる。提案されるMITシステムおよび方法に基づいて、高価でコントロールが難しい操作設備なしに、高品質な画像再構成が可能である。 動き手段は、一つまたは複数のコイルを調査すべき対象に対して回転させるよう、特に一つまたは複数のコイルを対象のまわりに回転させるよう適応されている。これは、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを対象に対して回転させる場合を含む。回転運動は好ましくは、単純な円状の実験的レイアウトとともに使われることができる。回転運動を適用することのもう一つの利点は、完全な360°の測定情報のセットが簡単に集められることである。完全な測定情報のセットは、対象のまわりを360°動く一つのセンサー・コイルを使って、あるいは対象のまわりをそれぞれ180°動く二つの等間隔のセンサー・コイルを使って、あるいはたとえば対象のまわりをそれぞれ22.5°動く16個の等間隔のセンサー・コイルなどを使って収集できる。好ましくは、動き手段は、コイル(単数または複数)を任意の小さなステップで回転させるよう適応される。それらの各ステップののち、二次磁場の感知が実行される。たとえば、前記の16個のセンサー・コイルのそれぞれは、10(または100)の中間ステップを実行することによって22.5°の領域をカバーしてもよい。それは、その22.5°の回転の間に10(または100)回の測定が実行される、すなわち2.25°の回転ごとに(または0.225°の回転ごとに)単一の測定が実行されることを意味する。コイルの動きの種類は、コイル配置の幾何学に依存して変わることができる。 本発明のこれらの側面およびその他の側面について、従属請求項で定義される以下の実施形態に基づいてさらに論じる。 本発明のある好ましい実施形態によれば、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルが非対称な仕方で配列される場合、さらに多くの独立な測定が可能である。コイルの非対称な配列を相対的なコイルの動きと組み合わせて使うことは、感度行列において使用されるべき独立した測定情報の著しい増加につながる。この実施形態は、発生器コイルの互いに対する非対称な配列も、センサー・コイルの互いに対する非対称な配列も、発生器コイルのセンサー・コイルに対する非対称な配列も含む。 もう一つの好ましい実施形態では、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルはアレイの形に配列される。この実施形態は、いくつかの発生器コイルがアレイの形に配列される場合も、いくつかのセンサー・コイルがアレイの形に配列される場合も、一つもしくは複数の発生器コイルおよび一つもしくは複数のセンサー・コイルがアレイの形に配列される場合も含む。たとえば、たとえば、単一の発生器コイルがセンサー・コイルのアレイと協働してもよいし、あるいは発生器コイルのアレイがセンサー・コイルのアレイと協働してもよい。コイルのアレイ状の配列は、すべてのセンサー・コイルが同時に信号を取得できるので、より高速なスキャン・パフォーマンスにつながる。さらに、対称的な配列が使用されるなら完全な360°回転は必要ないので、システムの機械的設計はそれほど複雑でなくなる。 本発明のもう一つの実施形態では、前記動き手段は、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルが互いとは独立に動きを実行できるよう適応されている。この実施形態は、いくつかの発生器コイルが互いと独立して動く場合も、いくつかのセンサー・コイルが互いと独立して動く場合も、一つもしくは複数の発生器コイルが一つもしくは複数のセンサー・コイルと独立して動く場合も含む。コイルが独立して動かされることの主たる利点は、あらゆる可能な幾何学的配置が到達可能であるということである。換言すれば、あらゆるコイル位置が別個に到達可能である。 本発明のもう一つの実施形態では、動き手段は、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを回転軸に沿って、すなわちz方向に動かすよう適応される。z方向の動きの主たる利点は、対象を動かすことなく、より大きな3D領域が検査できるということである。このようにして、対象の完全なスキャンが達成でき、少数のコイルだけを使って追加的な独立な測定情報を得ることができる。 MITスキャンの間、スキャンされる対象は好ましくは静止している。しかしながら、本発明の別の実施形態では、システムはさらに調査すべき対象を、一つもしくは複数の発生器コイルに対しておよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルに対して動かす手段、特に対象を回転させるよう適応された該手段を有する。 所与の伝導率変化の結果としてどのくらいの電圧変化が受領されるかを表すMITスキャナ感度は、測定ユニットの中心よりも、周沿いおよび周近くでより高いことが見出されている。換言すれば、MITスキャナの感度、よってMITスキャナの解像度は、スキャナの中心あたりで最低になる。こうして、本発明の他の実施形態では、当該システムは、MITスキャナに対して対象を、ある平面内で第一の測定位置から第二の測定位置に動かす手段および/または調査すべき対象に対してMITスキャナをある平面内で動かす手段を有する。換言すれば、調査すべき対象およびMITスキャナの位置が互いに対して単一平面、好ましくは水平面内で変えられる。結果として、スキャナに対する対象の位置が、測定手順の間に変化する。対象の相対位置は、スキャナの中心での感度が改善されるように、変わる。さらに、多数の独立な測定情報が生成され、より高い画質につながる。 本発明のもう一つの実施形態では、発生器コイルおよび/またはセンサー・コイルとして異なるコイルが使われる。好ましくは、異なるコイル・サイズを示すいくつかの発生器コイルおよびいくつかのセンサー・コイルが使われる。特に、発生器コイルおよび/またはセンサー・コイルの直径ならびに/または導線材料の直径および/または長さのような他のコイル・パラメータが異なっている。こうして、そのような異なるコイルが使われる場合、より多数の独立な測定情報(bの値)が生成される。これによって、コイルの総数を増やすことなく、感度行列の貧弱な調整が改善される。換言すれば、逆先行場行列(inverse lead-field matrix)の計算がより堅牢にされる。すなわち、計算の曖昧さが低減される。これは、コイルのいくつかについて影響の領域が限定される、たとえばセンサー・コイルが信号を受信する領域および/または発生器コイルが渦電流を誘導する領域が縮小されるからである。 本発明のこれらの側面およびその他の側面は以下で例として、以下の実施形態および付属の図面を参照して詳細に述べられる。 本発明に基づくMITシステム1のブロック概略図が図1に示されている。MITシステム1は生物学的対象、特に伝導性組織2の電磁的性質を調査するよう適応されている。MITシステム1はなかんづく、測定ユニット3を有する。該測定ユニット3は励起モジュール3′および受信モジュール3″を有する。励起モジュール3′は電力増幅器および時間変動する一次磁場を発生させるよう適応されたいくつかの発生器コイル4を含む。該一次磁場が組織2に渦電流を誘導する。この目的のため、交流が発生器コイル4に導入される。受信モジュール3″は測定増幅器および前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知するよう適応されたいくつかのセンサー・コイル5を有する。MITシステム1はさらに、一つまたは複数の発生器コイル4を組織2に対して動かすための電気的に駆動されるアクチュエータ6と、一つまたは複数のセンサー・コイル5を組織2に対して動かすための電気的に駆動されるアクチュエータ7とを有する。アクチュエータ6、7はコイルの動きを制御するために測定ユニット3に接続されている。両アクチュエータ6、7は、中央制御ユニット8に接続されており、そこから両者は制御される。 制御ユニット8は機能モジュールまたはユニットをもつコンピュータ・システム9を有する。機能モジュールまたはユニットは、ハードウェア、ソフトウェアの形で、あるいはハードウェアおよびソフトウェア両方の組み合わせの形で実装される。コンピュータ・システム9はマイクロプロセッサなどおよびソフトウェアの形のコンピュータにロードできるコンピュータ・プログラムを有していてもよい。あるいはまた、コンピュータ・プログラムはハードウェア・コンピュータ・コードの形で実現される。コンピュータ・プログラムは、該コンピュータ・プログラムがコンピュータ・システム9において実行されるときに前記コイルの動きを自動的に制御するためのコンピュータ命令を有する。 MITスキャンの間、検査されるべき組織2は静止している。本発明の別の実施形態では、MITシステム1はさらに、前記一つもしくは複数の発生器コイル4に対しておよび/または前記一つもしくは複数のセンサー・コイル5に対して組織2を動かすよう適応されたアクチュエータ11を有する。該アクチュエータ11も制御ユニット8によって制御される。アクチュエータ11およびアクチュエータ11と制御ユニット8との間の接続は図1では破線で示されている。 発生器コイル4は、好ましくは、100kHzないし20MHzの励起周波数で動作するよう適応される。本発明のある好ましい実施形態では、発生器コイル4は「掃引」を許容するよう、複数の周波数で動作させられる。たとえば、発生器コイルに導入されるべき電流のために非正弦波形、たとえば方形波形を使うことによって、いくつかの発生器コイルが2MHzおよび5MHzで同時に動作させられる。結果として得られる測定情報から、高速フーリエ変換(FFT)を使って異なる周波数情報が抽出される。この目的のため、測定ユニット3は読み出しユニット(図示せず)に接続されている。読み出しユニット3は好ましくは、マイクロプロセッサまたは別のコンピュータ手段と組み合わされたデータ収集ユニット(データログ記録器)である。異なる種類の組織は異なる励起周波数に関して異なる挙動を示すので、このアプローチは調査対象についての追加的な情報につながる。あるいはまた、いくつかの第一の発生器コイル4が2MHzで動作させられ、同時にいくつかの第二の発生器コイル4が5MHzで動作させられる。あるいはまた、異なる複数の励起周波数が逐次的に使われてもよい。たとえば、第一の測定サイクルでは発生器コイル4はたとえば2MHzで動作させられ、第二の測定サイクルでは同じ発生器コイル4がたとえば5MHzで動作させられる。しかしながら、この第二のアプローチは、第一のアプローチより遅いが、結果を分離する労力はより少なくなる。すべてのセンサー・コイル5の読み出しは好ましくは同時に、すなわち一度に実行される。これによって、測定速度を上げられる。 本発明は、たとえば通常のコイル整列で、あるいは平面グラジオメータ・セットアップで使用できる。図2および図3には、コイル4、5の通常の(すなわち縦の)整列をもつ測定ユニットが示されている。この実施形態では、測定ユニット3は、8つの発生器コイル4および該発生器コイル4に対応する8つのセンサー・コイル5を有する。図2では明確のため、一つの発生器コイル4しか示されていない。ソレノイド・コイル4、5はスキャンされるべき組織2のまわりに円形に配列されている。発生器コイル4およびセンサー・コイル5は共通の平面上に位置され、センサー・コイル4の軸12は発生器コイル5の軸13に垂直に配向されている。特に、発生器コイル5の軸13は動径方向に整列されており、組織2のほうに向けられている一方、センサー・コイル4の軸12はz方向に整列されている。 図4および図5では、平面型グラジオメータの形のコイル・セットアップが示されている。ここでもまた、測定ユニット3は8つの発生器コイル4および該発生器コイル4に対応する8つのセンサー・コイル5を有する。図4でもまた、明確のため、一つの発生器コイル4および8つのセンサー・コイル5のうちの4つしか示されていない。コイル4、5はスキャンされるべき組織2のまわりに円形に配列されている。ソレノイド発生器コイル4については、通常の整列と同じ配列が使われる。しかしながら、センサー・コイル5としては、平面型グラジオメータが使われる。平面型グラジオメータは、巻き方向が反対の二つの方形渦巻きとして描かれている。 図6および図7では、コイル4、5の一次場無補償整列をもつ測定ユニットが示されている。センサー・コイル4の軸12は発生器コイル5の軸13と平行である。ここでもまた、明確のため、発生器コイル4一つだけしか示されていない。すべてのソレノイド・コイル4、5は組織2のまわりに円形に配列されており、共通の平面上に位置されている。このセットアップのため、本発明は高解像度撮像に関して大いなる利点をもたらす。 三つの実施形態すべてにおいて、発生器コイル4および/またはセンサー・コイル5は、一つまたは複数のアレイの形に配列されてもよく、各コイル・アレイはアクチュエータ6、7によって全体として動かされるよう適応されてもよい。たとえば、図4および図5における8つのセンサー・コイル5は一つのセンサー・コイル・アレイに組み合わされることができる。結果として、センサー・コイル5に接続されたアクチュエータ7がしかるべく制御されれば、8つすべてのセンサー・コイル5が組織2に対して動く。あるいはまた、前記の数のセンサー・コイル5は二つのコイルのアレイに分けることができる。それにより、各アレイは4つのセンサー・コイル5、たとえば4つの隣り合うセンサー・コイル5または4つの任意のセンサー・コイル5を有する。あるいはまた、前記の数のセンサー・コイル5は任意の数のアレイに分けることができる。各アレイは独立して動かされるよう適応される。 アクチュエータ6、7はいくつかの発生器コイル4および/またはいくつかのセンサー・コイル5を互いに独立に動かすよう適応される。特に、アクチュエータ6、7は単一の発生器コイル4または発生器コイル4のアレイをある方向に、(同時に)単一のセンサー・コイル5またはセンサー・コイル5のアレイを別の方向、たとえば逆方向に動かすよう適応される。 円形コイル配列では、アクチュエータ6、7は、コイル配列内に位置されている組織2のまわりに発生器コイルおよび/またはセンサー・コイル4、5を回転するよう適応される。センサー・コイル5の等距離の配列の場合、各センサー・コイル5は45°の領域をカバーしなければならない。換言すれば、測定情報の360°のセットは、組織のまわりの45°の領域にわたって8つのセンサー・コイル5のアレイを動かすことによって得ることができる。この動きは、アクチュエータ6、7によって、多数の小さな中間ステップ、たとえば45個のステップを使って実行される。結果として、完全なMITスキャンはコイル配列の45°回転によって実行される。それにより、1°の解像度が達成される。アクチュエータ6、7は、発生器コイル(単数または複数)4およびセンサー・コイル(単数または複数)5が独立して回転できるよう適応される。図2ないし図7において、発生器コイル(単数または複数)4の回転方向は矢印14を使って示されており、センサー・コイル(単数または複数)5の回転方向は矢印15を使って示されている。中間ステップの数は用途に応じて選ぶことができる。 図8では、12個の発生器コイル4および12個のセンサー・コイル5が使われる本発明のある実施形態が示されている。明確のため、5個の発生器コイル4aないし4eおよび5個のセンサー・コイル5aないし5eしか示されていない。コイルは、図6および図7に示されるように、一次場無補償セットアップで配列されている。コイル4、5の配列は二つの「コイルになっていない」ストリップ(励起モジュール3′および受信モジュール3″)の形で示されている。これらのストリップは、通常、スキャンされるべき対象2のまわりの閉ループを形成する。本システムは、発生器コイル4aないし4eの非対称な配列およびセンサー・コイル5aないし5eの対称的な配列を示している。換言すれば、センサー・コイル5aないし5eは互いに等距離に位置され、センサー・コイル5aないし5eのz方向の、すなわち回転軸16に沿った変位はない。よって、2つのセンサー・コイル5の間の距離はφ=30°である。 他方、発生器コイルは異なる種類のオフセットを使って位置されている。この例では、発生器コイル4eは変位のない通常の位置(基準位置)に位置されている。発生器コイル4aはz軸の負方向に変位されている。発生器コイル4bはz軸の正方向に変位されている。発生器コイル4cは「水平」方向に変位され、その元の位置からΔφ=7.5°の負のオフセットを示している。発生器コイル4dは「水平」方向に変位され、その元の位置から正のオフセットΔφを示し、同時に、z軸の正方向に変位されている。 スキャン手順の間、単一の発生器コイル・アレイをなす発生器コイル4は回転方向14に回転させられる。センサー・コイル5はその位置に留まる。発生器コイル4の回転は10°のステップで実行される。発生器コイル・アレイの360°回転の間、発生器コイル4の非対称的な配列のため、常に異なって位置されたコイル組み合わせがある。換言すれば、発生器コイル・アレイが10°の動きを実行するたびに、発生器コイル4は対応するセンサー・コイル5に対して別の相対位置を示す。これは、増加した数の独立した測定につながり、それが画像再構成に利用できる。図8に示される実施形態は、一例として理解されるべきである。他のコイル変位および/または他のコイル動きも可能である。特に、一方では、発生器コイル4もしくはセンサー・コイル5いずれかの非対称な配置、あるいは非対称に配列された発生器コイルおよびセンサー・コイル4、5の組み合わせを使うことができ、他方では発生器コイル4もしくはセンサー・コイル5の動き、あるいは発生器コイルおよびセンサー・コイル4、5の組み合わされた動きを使うことが可能である。 図9にはもう一つの実施形態が示されている。MITシステム1の測定ユニットは、z方向18に動かせるよう適応されている。これらの目的のために、一つまたは複数の発生器コイル4および/または一つまたは複数のセンサー・コイル5を回転軸16に沿って動かすためにアクチュエータ6、7が備えられる。コイル回転が同時に実行される場合、スパイラル状のスキャンが実行され、MITシステム1は、コイル4、5が組織2を横断して動く際に、ノンストップで画像を撮ることができる。 図10および図11には本発明のあるさらなる実施形態が示されている。上面図(図11)は二つの異なる測定位置を示している。第一の測定位置19(点線で示されている)では、対象2は測定ユニット3の中心21に位置されている。第二の測定位置20では、対象2は測定ユニット3の中心21の外側に位置されている。対象2の変位は、対象2を測定ユニット3に対して動かすことによって、あるいは測定ユニット3を対象2に対して動かすことによって、あるいは対象2と測定ユニット3を互いに対して動かすことによって達成できる。動きは、上記のように、アクチュエータ6、7、コンピュータ・システム9を有する制御ユニット8および/またはアクチュエータ11によって達成される。 変位は単一の水平面22内で、すなわち対象またはスキャナをz軸方向18に動かすことなく実行される。第二の測定位置20で、対象2は、変位平面22内で、第一の水平方向23に、かつ第二の水平方向24(第一の水平方向23に垂直)に変位されている。換言すれば、対象2の中心は、スキャナの中心21内の敏感でない領域内に常時あるわけではないことが保証される。スキャン手順の間、スキャナの敏感でない中心は、対象2の種々の領域に一致する。よって、最初低い感度でスキャンされた対象2の領域が、別の測定位置では高い感度を使ってスキャンできる。結果として、種々の(たとえば第一および第二の)測定位置についてMIT信号が得られるので、種々の感度をもったMIT信号が得られ、改善された全体的なMIT解像度につながる。ある代替的な実施形態(図示せず)では、変位平面は水平ではなく、z軸18に関して傾いている。 本発明のもう一つの実施形態が図12に示されている。MITシステム1は、異なるコイル・サイズの発生器コイル4および異なるコイル・サイズのセンサー・コイル5を有する。より小さな直径をもつ発生器コイル4′はその電磁場を近くの環境に集中させる。結果として、調査すべき対象のより深いところに起因しうる測定結果に対する影響が排除できる。より大きな直径をもつ発生器コイル4″が追加的により深いところを励起するために使われる。より小さな直径をもつセンサー・コイル5′はその近い環境への高い受信感度を示し、一方、長距離では敏感でない。他方、より大きな直径をもつセンサー・コイル5″はより深いところをカバーする。両方の型のコイルを用いることにより、両者の利点、すなわち調査すべき対象のより深い深さをカバーしつつの短距離での高感度が組み合わされる。結果として、再構成された映像の高い画質が得られる。 記載されたMITシステム1は、より多数の独立した測定情報を提供する。よって、画像再構成のために解くべき非適切かつ非線形な逆問題を、よりよい結果につながる、より快適な仕方で解くことができる。 当業者には、本発明が以上の例示的な実施形態の詳細に限定されるものではなく、本発明はその精神および本質的な性質から外れることなく他の個別的な形で具現されてもよいことは明白であろう。したがって、本実施形態は、あらゆる観点において、制限するものではなく例示的なものと考えられるべきである。本発明の範囲は、以上の記載ではなく、付属の請求項によって示される。したがって、請求項の意味および等価の範囲内にはいるあらゆる変更は、そこに包含されることが意図されている。さらに、「有する」の語が他の要素またはステップを排除するものではないこと、単数形の表現が複数を排除しないこと、およびコンピュータ・システムまたは他のユニットのような単一の要素が請求項において記載されているいくつかの手段の機能を満たしてもよいことは明白であろう。請求項に参照符号があったとしても、当該請求項を限定するものと解釈してはならない。符号の説明1 MITシステム2 組織3 測定ユニット4 発生器コイル5 センサー・コイル6 アクチュエータ7 アクチュエータ8 制御ユニット9 コンピュータ・システム10 (欠)11 アクチュエータ12 センサー・コイル軸13 発生器コイル軸14 発生器コイルの回転方向15 センサー・コイルの回転方向16 回転軸17 オフセット18 z軸19 第一の測定位置20 第二の測定位置21 測定ユニットの中心22 水平面23 第一の水平方向24 第二の水平方向本発明に基づくMITシステムのブロック概略図である。第一のコイル・セットアップ(「通常整列」)を示す図である。図2のコイル・セットアップの上面図である。第二のコイル・セットアップ(「平面型グラジオメータ」)を示す図である。図4のコイル・セットアップの上面図である。第三のコイル・セットアップ(「一次場無補償セットアップ」)を示す図である。図6のコイル・セットアップの上面図である。センサー・コイルの非対称な配列を示す図である。z方向に動かせる測定ユニットを示す図である。水平面内に動かせる測定ユニットを示す図である。MITスキャナに対する対象の変位を示す図である。異なる大きさのコイルの配列を示す図である。 対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影システムであって、 ・対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させるよう適応された一つまたは複数の発生器コイルと、 ・前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知するよう適応された一つまたは複数のセンサー・コイルとを有しており、当該システムがさらに、 ・一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える手段を有しており、前記動き手段が、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを調査すべき対象のまわりに回転させるよう適応されており、前記一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または前記一つもしくは複数のセンサー・コイルは、前記回転の軸のまわりに円形に配列されており、(i)複数の発生器コイルがあり、かつ、隣り合う発生器コイルの間の距離が均等でない;および/または(ii)複数のセンサー・コイルがあり、かつ、隣り合うセンサー・コイルの間の距離が均等でない;および/または(iii)複数の発生器コイルがあり、かつ少なくとも一つの発生器コイルが他のコイルに対して前記回転の軸の方向に変位している;および/または(iv)複数のセンサー・コイルがあり、かつ、少なくとも一つのセンサー・コイルが他のコイルに対して前記回転の軸の方向に変位しているよう、非対称な仕方で配列されている、システム。(i)複数の発生器コイルがあり、かつ、前記複数の発生器コイルがアレイをなす、および/または(ii)複数のセンサー・コイルがあり、前記複数のセンサー・コイルがアレイをなす、請求項1記載のシステム。(i)複数の発生器コイルがあり、かつ、前記動き手段が、前記複数の発生器コイルを互いとは独立に動かすよう適応されている;および/または(ii)複数のセンサー・コイルがあり、かつ、前記動き手段が、前記複数のセンサー・コイルを互いとは独立に動かすよう適応されている;および/または(iii)前記動き手段が、前記一つまたは複数の発生器コイルを、前記一つまたは複数のセンサー・コイルとは独立に動かすよう適応されている;および/または(iv)前記動き手段が、前記一つまたは複数のセンサー・コイルを、前記一つまたは複数の発生器コイルとは独立に動かすよう適応されている、ことを特徴とする、請求項1記載のシステム。 前記動き手段が、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを前記回転の軸に沿って動かすよう適応されていることを特徴とする、請求項1記載のシステム。 当該システムがさらに、調査すべき対象を、前記一つもしくは複数の発生器コイルに対しておよび/または前記一つもしくは複数のセンサー・コイルに対して動かす手段を有する、請求項1記載のシステム。 前記対象を動かす手段が、前記対象を回転させるよう適応されている、請求項5記載のシステム。 当該システムが、調査すべき対象を、前記一つもしくは複数の発生器コイルに対しておよび/または前記一つもしくは複数のセンサー・コイルに対して、ある平面内で第一の測定位置から第二の測定位置に動かす手段を有することを特徴とする、請求項1記載のシステム。 当該システムが、一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルを、調査すべき対象に対して、ある平面内で第一の測定位置から第二の測定位置に動かす手段を有することを特徴とする、請求項1記載のシステム。 少なくとも二つの異なる発生器コイルおよび/または少なくとも二つの異なるセンサー・コイルがあり、異なる発生器コイルは直径および/または他のコイル・パラメータにおいて異なっており、異なるセンサー・コイルは直径および/または他のコイル・パラメータにおいて異なっている、請求項1記載のシステム。 対象の電磁的性質を調査する磁気誘導断層撮影方法であって: ・一つまたは複数の発生器コイルによって、対象中に渦電流を誘導する一次磁場を発生させる段階と、 ・一つまたは複数のセンサー・コイルによって、前記渦電流の結果として生成される二次磁場を感知する段階とを有しており、当該方法がさらに、 ・一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルと調査すべき対象との間の相対的な動きを与える段階を有しており、該段階において一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または一つもしくは複数のセンサー・コイルが調査すべき対象のまわりに回転させられ、前記一つもしくは複数の発生器コイルおよび/または前記一つもしくは複数のセンサー・コイルは、前記回転の軸のまわりに円形に配列されており、(i)複数の発生器コイルがあり、かつ、隣り合う発生器コイルの間の距離が均等でない;および/または(ii)複数のセンサー・コイルがあり、かつ、隣り合うセンサー・コイルの間の距離が均等でない;および/または(iii)複数の発生器コイルがあり、かつ少なくとも一つの発生器コイルが他のコイルに対して前記回転の軸の方向に変位している;および/または(iv)複数のセンサー・コイルがあり、かつ、少なくとも一つのセンサー・コイルが他のコイルに対して前記回転の軸の方向に変位しているよう、非対称な仕方で配列されている、方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る