生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_退形成性神経膠腫に対する補助的化学療法
出願番号:2008525035
年次:2009
IPC分類:A61K 45/00,A61P 25/00,A61P 35/00,A61K 31/15,A61P 35/04,A61K 49/00,A61K 45/06,A61K 31/166,A61K 31/17,A61K 31/475,A61K 31/185


特許情報キャッシュ

タウナー レアル エー. コタケ ヤシゲ フロイド ロバート エー. JP 2009503072 公表特許公報(A) 20090129 2008525035 20060728 退形成性神経膠腫に対する補助的化学療法 オクラホマ メディカル リサーチ ファウンデーション 508034244 清水 初志 100102978 刑部 俊 100119507 新見 浩一 100128048 小林 智彦 100129506 渡邉 伸一 100130845 井上 隆一 100142929 タウナー レアル エー. コタケ ヤシゲ フロイド ロバート エー. US 60/705,721 20050804 A61K 45/00 20060101AFI20081226BHJP A61P 25/00 20060101ALI20081226BHJP A61P 35/00 20060101ALI20081226BHJP A61K 31/15 20060101ALI20081226BHJP A61P 35/04 20060101ALI20081226BHJP A61K 49/00 20060101ALI20081226BHJP A61K 45/06 20060101ALI20081226BHJP A61K 31/166 20060101ALI20081226BHJP A61K 31/17 20060101ALI20081226BHJP A61K 31/475 20060101ALI20081226BHJP A61K 31/185 20060101ALI20081226BHJP JPA61K45/00A61P25/00A61P35/00A61K31/15A61P35/04A61K49/00 CA61K45/06A61K31/166A61K31/17A61K31/475A61K31/185 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2006029152 20060728 WO2007019065 20070215 37 20080310 4C084 4C085 4C086 4C206 4C084AA17 4C084AA18 4C084AA19 4C084MA16 4C084MA35 4C084MA36 4C084MA52 4C084MA66 4C084NA05 4C084NA14 4C084ZA011 4C084ZA012 4C084ZB261 4C084ZB262 4C085HH07 4C085JJ01 4C085KA03 4C085LL13 4C085LL18 4C086AA01 4C086AA02 4C086CB21 4C086MA01 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA10 4C086MA16 4C086MA35 4C086MA36 4C086MA52 4C086MA66 4C086NA05 4C086NA14 4C086ZA01 4C086ZB26 4C206AA01 4C206AA02 4C206GA07 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星状細胞腫は、星状細胞と呼ばれる脳細胞またはそれらの前駆細胞から生じる神経膠腫瘍である。星状細胞は神経機能を支持する中枢神経系の細胞である。星状細胞腫は悪性度増大を示す組織学的特徴によって星状細胞腫、退形成性星状細胞腫、または多形神経膠芽腫に等級づけすることができる。退形成性星状細胞腫および多形神経膠芽腫は高グレードの神経膠腫であると考えられるが、星状細胞腫は低グレードの神経膠腫であると考えられる。高グレード腫瘍は急速に成長し、容易に脳に浸潤して拡散する。低グレード星状細胞腫も脳に浸潤しうるが、通常はより局在化し、長期間かけてゆっくり成長する。高グレード腫瘍ははるかに進行性で、非常に強力な治療を必要とする。小児の星状細胞腫瘍の大部分は低グレードであるが、成人の大部分は高グレードである。星状細胞腫は脳および脊髄のどこにでも発生する可能性があるが、大部分は大脳半球に位置する。 乏突起膠腫も神経膠腫である。これらは乏突起膠細胞および/またはそれらの前駆細胞から生じる。正常な乏突起膠細胞は、脳および脊髄の神経軸索を覆い、神経に電気インパルスをより効率的に伝導させる脂肪物質である、ミエリンを提供する。乏突起膠腫は低グレード乏突起膠腫(進行性が低い)および退形成性乏突起膠腫(より進行性)に分類される。純粋な乏突起膠腫よりも一般的なものは、星状細胞腫と乏突起膠腫との混合物である低グレードで退形成性の腫瘍(「乏突起星状細胞腫」)である。 退形成性乏突起膠腫および混合乏突起星状細胞腫は星状細胞腫よりも細胞毒性化学療法に対する感受性が高い。PCV(プロカルバジン(マチュレーン)、CCNU(ロムスチン)、ビンクリスチン)化学療法に対する反応率が高いことで、この療法の使用はこれらの腫瘍に対するケアの標準ではないとしても、少なくとも非常に一般的な治療となっている。低グレード乏突起膠腫も化学療法に対して感受性で、低グレード腫瘍がそれまでの外科/放射線療法にもかかわらず成長を始めた場合には、PCVを用いることができる。 1983年に、外科手術プラス放射線療法およびBCNU化学療法は、化学療法なしの外科手術プラス放射線療法で治療したものに比べて、患者の生存を有意に改善することが報告された。ある試験では、プロカルバジンおよびストレプトゾトシンはいずれもBCNUと同様の有効性を示した。BCNU単独での治療はBCNUの後にプロカルバジンを用いた場合と同等に有効であり、PCNUはBCNUと変わらないとする試験もあった。PCVの組み合わせが退形成性神経膠腫に対してBCNUよりもすぐれていることが判明した試験もあれば、同等と考えられる試験もあった。 もう一つのアプローチには、Levinら(2000)の試験を拡大して、退形成性神経膠腫を治療する際のDFMO-PCVの併用が含まれる。驚くことに、多形神経膠芽腫で見られた結果とは著しく対照的に、DFMOとPCVとの組み合わせは退形成性神経膠腫の患者の全生存を有意に増大させた。DFMOに対する腫瘍反応を分けている特徴は酵素であるオルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)のレベルおよび活性である可能性がある。DFMOの利点を特徴付ける一つの因子は腫瘍のODCレベルであると考えられる。すなわち、ODCレベルが比較的低い患者はDFMOおよびDFMO-ニトロソウレアの組み合わせへの反応がよいようである。この結論は(1)ODCレベルは神経膠腫の悪性度に直接相関している(Scalabrinoら、1982;ScalabrinoおよびFerioli、1985;Ernestusら、1992;Ernestusら、1996);(2)DFMO(+/-メチルグリオキサールビスグアニルヒドラゾン)活性は多形神経膠芽腫では見られず、ODCレベルの低い中グレード退形成性神経膠腫で最もよく見られたという事実(Levinら、1995;Levinら、1992);および(3)ニトロソウレアとの組み合わせで、活性は多形神経膠芽腫では見られず、ODCレベルの低い中グレード退形成性神経膠腫で最もよく見られた(Pradosら、1989;Levinら、2000)ことを示す、公表された知見に基づいている。 生存を基準とした対照臨床試験に加えて、神経膠腫患者における反応を基準とした試験でも多数の薬剤が試験されている。しかしながら、今日までに、ニトロソウレアよりも有効であることが判明した薬物はない。したがって、退形成性神経膠腫に対する有効かつ改善された治療法が必要とされている。発明の概要 したがって、本発明に従い、該神経膠腫の成長を阻害するのに有効な用量のニトロンフリーラジカル捕捉剤を、神経膠腫を有するヒト対象に投与する段階を含む、神経膠腫の血管新生、成長または拡散を阻害する方法が提供される。ニトロンフリーラジカル捕捉剤は、フェニルN-tert-ブチルニトロン、3-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、2-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、2-スルホキシフェニルN-tert-ブチルニトロンまたは4-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロンを含む、フェニルブチルニトロンなどのN-アルキルニトロンフリーラジカル捕捉剤であってよい。同様に、5,5-ジメチル-1-ピロリン-N-オキシドおよびアルファ(4-ピリジル-1-オキシド)-N-tert-ブチルニトロンなどの修飾ブチルニトロン化合物も含まれる。この方法のヒト対象は再発性もしくは転移性神経膠腫を有していてもよく、または以前に一つまたは複数の抗神経膠腫療法に失敗していてもよい。有効用量は1日に体重1kgあたり約5から約150mgでありうる。投与は、食物成分の補充を通じてなどの、食事投与によるものであってもよい。有効量は投与する食事の約0.005w/w%から約0.1w/w%である。神経膠腫は星状細胞腫、乏突起膠腫、または多形神経膠芽腫でありうる。 この方法は、標識した抗誘導性酸化窒素合成酵素(iNOS)抗体を用いるMRIを用いるなどの、前記神経膠腫細胞内のiNOSレベルを測定する段階をさらに含んでいてもよい。この方法は、NOスピン捕捉剤、例えば、N-メチル-D-グルカミンジチオカルバメート(MGD)-Fe(II)-NO複合体を用いるMRIを測定することによるなど、前記神経膠腫組織内の酸化窒素(NO)レベルを測定する段階をさらに含んでいてもよい。この方法は、ロムスチン、ビンクリスチン、マチュレーン、PCV、BCNU、CCNUおよび/もしくはDFMOを含む化学療法、放射線または外科手術などの二次抗神経膠腫療法をさらに含んでいてもよい。 もう一つの態様において、(a)神経膠腫を発生する危険性のあるヒト対象を特定する段階、および(b)該神経膠腫の発生を阻害するのに有効な用量のニトロンフリーラジカル捕捉剤を該対象に投与する段階を含む、神経膠腫の発生を阻害する方法が提供される。ニトロンフリーラジカル捕捉剤は、フェニルN-tert-ブチルニトロン(PBN)、3-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、2-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、2-スルホキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、4-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロンならびにPBN誘導体および類縁体を含む、フェニルブチルニトロンなどのN-アルキルニトロンフリーラジカル捕捉剤であってよい。同様に、5,5-ジメチル-1-ピロリン-N-オキシドおよびアルファ(4-ピリジル-1-オキシド)-N-tert-ブチルニトロンなどの修飾ブチルニトロン化合物も含まれる。ヒト対象は癌の家族歴を有していてもよく、または発癌環境に曝露されたことがあってもよい。特異的な神経膠腫危険因子にはN-ニトロソ化合物またはX線照射への曝露が含まれる。有効用量は1日に体重1kgあたり約5から約150mgである。投与は、食物成分の補充を通じてなどの食事投与、丸剤の形もしくは液体の形態での経口投与、または静脈内注射によるものであってもよい。有効量は投与する食事の約0.005w/w%から約0.1w/w%であってよい。神経膠腫は星状細胞腫、乏突起膠腫、または多形神経膠芽腫でありうる。 さらにもう一つの態様において、該神経膠腫の発生を阻害するのに有効な用量のニトロンフリーラジカル捕捉剤を、以前に神経膠腫を有していた対象に投与する段階を含む、神経膠腫の再発を阻害する方法が提供される。ニトロンフリーラジカル捕捉剤は、フェニルN-tert-ブチルニトロン(PBN)、3-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、2-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、2-スルホキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、4-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロンならびにPBN誘導体および類縁体を含む、フェニルブチルニトロンなどのN-アルキルニトロンフリーラジカル捕捉剤であってよい。同様に、5,5-ジメチル-1-ピロリン-N-オキシドおよびアルファ(4-ピリジル-1-オキシド)-N-tert-ブチルニトロンなどの修飾ブチルニトロン化合物も含まれる。神経膠腫は星状細胞腫、乏突起膠腫、または多形神経膠芽腫でありうる。有効用量は1日に体重1kgあたり約5から約150mgである。投与は、食物成分の補充を通じてなどの食事投与、丸剤もしくは液剤の形態での経口投与、または静脈内注射によるものであってもよい。有効量は投与する食事の約0.005w/w%から約0.1w/w%であってよい。 本明細書に記載のいかなる方法または組成物も、本明細書に記載のいかなる他の方法または組成物に関して実行できることが企図される。 特許請求の範囲および/または明細書において「a」または「an」なる用語が「含む(comprising)」なる用語と組み合わせて用いられる場合、その使用は「一」を意味しうるが、「一つまたは複数(one or more)」、「少なくとも一つ」、および「一つまたは複数(one or more than one)」の意味とも一致する。 本明細書において論じるいかなる態様も、本発明のいかなる方法または組成物に関しても実行することができ、逆もまた同じであることが企図される。さらに、本発明の組成物およびキットは本発明の方法を達成するために用いることができる。 本出願の全体を通して、「約」なる用語は、値がその値を決めるために用いる装置、方法に対する誤差の固有の変動、または試験対象の間に存在する変動を含むことを示すために用いる。 「含む(comprise)」(ならびに「comprises」および「comprising」などの含むの任意の形)、「有する(have)」(ならびに「has」および「having」などの有するの任意の形)、「含む(contain)」(ならびに「contains」および「containing」などの含むの任意の形)、および「含む(include)」(ならびに「includes」および「including」などの含むの任意の形)なる用語は、制限のない連結動詞である。その結果、一つまたは複数の要素を「含む(comprises)」、「有する(has)」、「含む(contains)」、または「含む(includes)」装置または方法は、それらの一つまたは複数の要素を有するが、それらの一つまたは複数の要素または段階だけを有することに限定されない。同様に、一つまたは複数の特徴を「含む(comprises)」、「有する(has)」、「含む(contains)」、または「含む(includes)」装置または方法の要素は、それらの一つまたは複数の特徴を有するが、それらの一つまたは複数の特徴だけを有することに限定されない。例示的態様の説明 神経膠腫は異なる成長特性を有する脳腫瘍の複雑な一群で、異なるタイプの細胞を含む。悪性度による等級づけは1949年に初めて提唱された。この分類において、星状細胞腫および膠芽腫は同じ腫瘍の悪性度の異なるグレードである。グレードIの腫瘍は典型的に成長が遅く、ほとんどの細胞は正常な特徴を有し、有糸分裂の形態はほとんど見られないことによって特徴づけられる。内皮増殖はない。グレードIIの腫瘍は以前は「星芽腫」と呼ばれたが、有糸分裂中の多形核を有する細胞数増加によって特徴づけられる。正常な組織からの明確な境界線はない。グレードIIIの腫瘍は退形成性星状細胞腫で、グレードIVの腫瘍は細胞の多形性、血管増殖、有糸分裂、および多核巨細胞によって特徴づけられる典型的多形神経膠芽腫である。 現行の形態学による腫瘍分類は、細胞系統の特徴と腫瘍成長特性を混合することが多い。しかし、次の二つの一般的分類がある−すなわち、退形成性神経膠腫層および膠芽腫である。前者は、退形成性星状細胞腫、退形成性乏突起星状細胞腫、退形成性乏突起膠腫、悪性神経膠腫、非特異的退形成性神経膠腫、および退形成性上衣腫を含む、様々な神経膠腫からなる。分類にかかわらず、残念ながらこれらの進行性で、しばしば致命的な腫瘍に対する有効な治療はない。1. 本発明 発明者らは、肝臓、胃、結腸、乳房、膵臓、前立腺、皮膚、頭頸部、および血液腫瘍を含む様々な癌を治療するための、ニトロンフリーラジカル捕捉剤の使用に関するこれまでの研究を拡大してきた。しかし、治療が難しいことで有名なタイプの癌である神経膠腫を治療する能力については取り組んでいなかった。 発明者らは、抗炎症性フェニルN-tert-ブチルニトロン(PBN)の効果を、MRI技術を用いて特定したアップレギュレートされた炎症遺伝子の存在に基づいて評価することを決めた。以下に示すとおり、この化合物は腫瘍の移植前、移植時、または移植後のいずれかで対象に提供した場合、腫瘍の発生を制御することができた。したがって、PBNおよび関連するニトロンフリーラジカル捕捉剤を神経膠腫の治療薬として用いることが提唱される。2. 退形成性神経膠腫層A. 臨床上の特徴 退形成性神経膠腫は中グレードの浸潤性神経膠腫で、低(限局性で成長が遅い)から多形神経膠芽腫(成長が速く、侵襲性が高い)の間に分類される。退形成性星状細胞腫(AA)は星状細胞と呼ばれる脳細胞および/またはそれらの前駆細胞から生じる腫瘍である。小児の星状細胞腫瘍の大部分は低グレードであるが、成人の大部分は高グレードである。これらの腫瘍は脳および脊髄のどこにでも発生する可能性がある。 乏突起膠腫は乏突起膠細胞および/またはそれらの前駆細胞に由来する神経膠腫である。乏突起膠細胞は、脳内の有髄ニューロンの構造および機能において役割を有する。退形成性乏突起膠腫(AO)は乏突起膠腫よりも進行性であるが、退形成性星状細胞腫よりも化学療法に対する感受性が高い。PCV(プロカルバジン、CCNU、ビンクリスチン)化学療法の使用に対する反応率が高いことで、放射線療法の前、放射線照射後、ならびに/または腫瘍再発および進行時のPCVの使用は一般的となっている。もう一つの神経膠腫は乏突起膠腫と星状細胞腫の両方の腫瘍型の組織学的混合物として現れ、乏突起星状細胞腫と呼ばれる。乏突起星状細胞腫は低グレードでありうるが、混合乏突起星状細胞腫の大部分は退形成性乏突起星状細胞腫(AOA)である。 最後の神経膠腫サブグループは上衣腫である。悪性上衣腫の一つのサブタイプは退形成性上衣腫(AE)であり;これらの腫瘍は、脳室と呼ばれる脳脊髄液通路を内張りする上衣細胞および/またはそれらの前駆細胞から生じる。これらの腫瘍はテント上(頭の上部)またはテント下(頭の背部)のいずれかとして分類される。 神経膠腫により生じる臨床上の特徴および症状は腫瘍の位置および患者の年齢に依存する。神経膠腫の最も一般的な位置は、成人では大脳半球で、小児では小脳、脳幹、視床下部、および視床である。脊髄神経膠腫は脳の神経膠腫よりもはるかに少ない。これらの腫瘍を有する患者は、脳または脊髄内の位置に応じて変動する症状を示す。頭痛、発作、悪心および嘔吐、四肢虚弱、一側性感覚変化、人格変化、ならびに歩行不安定の症状を呈しうる。B. 分類退形成性星状細胞腫 退形成性星状細胞腫の組織学的特徴は低グレード星状細胞腫のものと類似であるが、これらの特徴はより多く、誇張されている。これらの腫瘍はWHOグレードIIIである(Kleihuesら、1993;KleihuesおよびCavenee、2000)。細胞性は、核および細胞多形性と同様、より高まっている。これらの特徴は極度で、背中合わせの細胞および奇異で過染色性の核を伴いうる。細胞質は乏しく、核の分裂形成および拡大が退形成を示している。ほとんどの退形成性星状細胞腫で有糸分裂活性が容易に認められるが、不可解なことに大円形細胞を伴う領域にはないこともある。 このグレードの退形成性の範囲は広く、低い細胞性およびわずかな有糸分裂の形態を伴う多形性を示す例もあれば、高度に細胞性かつ多形性で、頻繁に有糸分裂し、膠芽腫の組織学的診断に必要とされる壊死だけを欠いている例もある。このため、挙動のより客観的指標を持つことは有用であり、予後をより正確に予測しようとして細胞増殖のいくつかのマーカーが用いられてきた。この分野で最も用いられたマーカーはブロモデオキシウリジン(BrdU)およびKi-67の抗体であった(Davisら、1995)。BrdUの細胞取り込みは細胞周期のDNA合成期の特異的マーカーであるが、Ki-67抗体はG0以外の細胞周期のすべての期に存在する抗原を標識する。いずれの抗体もパラフィン包埋組織切片における免疫組織化学的染色により同定することができる。一般論として、退形成性星状細胞腫に対する高い標識速度は予後不良に関連している(Hoshinoら、1993;Davisら、1995;Lambornら、1999)。多形神経膠芽腫 膠芽腫は多形神経膠芽腫としても知られており、悪性度が最も高いグレードであるWHOグレードIVの神経膠腫である(KleihuesおよびCavenee、2000)。これは頭蓋内腫瘍の15%から23%、星状細胞腫の50%〜60%を占める。神経膠線維酸性タンパク質は細胞質中で同定することができるため、ほとんどの例は一般に星状細胞から生じると考えられる。しかし、いくつかの例は明らかに、乏突起膠細胞などの他の膠細胞系統から生じる。膠芽腫は最も高頻度に生じる星状細胞腫である。剖検および連続生検により、いくつかの星状細胞腫は低グレードから退形成性星状細胞腫、神経膠腫への変換により、複数の悪性グレードを通して進行することが明らかにされている(Mullerら、1977)。しかし、膠芽腫のいくつかの例は、それ以外は健常な患者で急速に発生するようで、小さい時に認められるため、この種の膠芽腫は悪性度の低いグレードを通らずに星状細胞前駆細胞の悪性変換から直接生じることもあると考えられる(KleihuesおよびOhgaki、1997;1999)。 腫瘍壊死は、膠芽腫を退形成性星状細胞腫から区別する特有の肉眼的特徴である(Nelsonら、1983;Burgerら、1985;1991)。特徴的で診断的なもう一つの鏡検上の特徴は、腫瘍内の増殖性血管変化の存在である。これらの変化は内皮細胞(血管内皮過形成または増殖)または血管壁自体の細胞(血管壁細胞増殖)で起こる可能性がある。両タイプの変化は共に微小血管増殖と考えられることもある。膠芽腫の細胞性は通常は非常に高い。個々の細胞は小さく、核:細胞質の比が高いこともあれば、非常に大きく、奇異で、多量の好酸性細胞質を伴うこともある。これらの同じ小細胞は腫瘍壊死領域の周りに列を成して凝縮し、特有の偽柵構造を形成すると考えられる。膠芽腫腫瘍は脳に広範囲に浸潤する傾向を有し、遠隔部位にまで拡散して、多巣性神経膠腫の外観を呈する。一部の例は真に多巣性である(すなわち、複数の原発部位に同時に生じる)が、これらの多巣性腫瘍の多くは剖検で全脳を検査すると組織学的連結を示す。乏突起膠腫 星状細胞腫と同様、乏突起膠腫はそれらの推定起始細胞の組織像に類似している。これらは主に白質でも生じるが、同様の悪性グレードの星状細胞腫よりも大脳皮質に浸潤する傾向がある。星状細胞腫と同様、乏突起膠腫に対して組織学的悪性度の等級づけスキームが用いられてきたが、これらは星状細胞腫に対して用いられるものと比べて、予後との相関性が低い(Burgerら、1987;Bignerら、1998;Daumas-Duportら、1997)。乏突起膠腫を等級づけるために用いられる組織学的特徴の多くは星状細胞腫に対して用いられるものと類似している。すなわち、細胞性、多形性、有糸分裂活性、血管変化、および壊死である。低グレード乏突起膠腫は小嚢腫を有することがある。すべての組織学的グレードの乏突起膠腫は容易に皮質に浸潤し、軟膜下領域、ニューロン周囲、および血管周囲に新生物細胞のクラスターを形成する傾向がある。一般に、乏突起膠腫の細胞は丸く、規則的な核と、細胞質を明確にするはっきりした細胞質の辺縁を有する。もう一つのかなり特有で、診断上有用な特徴は、腫瘍を別々の小葉に分けることができる「金網(chicken-wire)」血管と呼ばれる乏突起膠腫の血管パターンである。退形成が増大するとともに、乏突起膠腫は高度に細胞性および多形性となり、壊死の存在を伴う多形性膠芽腫の外観に近づくことがある。これらを退形成性乏突起膠腫と分類することは正しいが、いかなる高グレード膠細胞新生物でもいったん壊死が認められれば、膠芽腫という用語を用いる者もある。退形成性乏突起膠腫を星状細胞膠芽腫から分離するための一つの根拠は、前者ではこの最も高い悪性グレードでも予後がわずかに良いことである。乏突起膠腫においてMIB-1標識指数が>3%〜5%の場合、予後不良が予想されると報告している著者もある(Heegardら、1995;Krosら、1996;Dehghaniら、1998)。乏突起星状細胞腫 ほとんどではないとしても、多くの乏突起膠腫は星状細胞腫の局所的または密接な細胞混合物を伴って発生する。混合神経膠腫の診断のために、それぞれの比率が重要であるが、厳密な数値に関しては意見が分かれている:通常は、混合神経膠腫と診断するために10%から25%の範囲の少数要素を含む混合物を用いる。乏突起星状細胞腫および退形成性乏突起星状細胞腫はそれぞれWHOグレードIIまたはグレードIIIに対応する(KleihuesおよびCavenee、2000)。退形成の組織学的特徴はいずれの成分にも存在することがあり、予後に悪い影響をおよぼすことになる。そのような特徴には、顕著な細胞性多形、高い細胞性、および高い有糸分裂速度が含まれる。微小血管増殖および壊死も見られることがある。予後および治療への反応が乏突起膠と星状細胞成分との比率に依存すると示されてはいない(Shawら、1994)が、逆説的に、星状細胞成分よりも乏突起膠成分のBrdU LIによって生存が予測され(Wackerら、1994)、はるかに進んだ腫瘍進行は星状細胞成分によって支配される。3. ニトロンフリーラジカル捕捉(NFRT)剤 化合物フェニルN-tert-ブチルニトロン(PBN)は1950年代に初めて合成されたが、1968年に化学反応中にフリーラジカルを捕捉して安定化させる上で非常に有用であることが明らかとなり、したがってスピントラップと命名された(Janzen、1971)。PBNはスピントラップの原型であるが、いくつかの他のニトロンが合成され、化学反応中にフリーラジカルを捕捉し、特徴づけるのに有用であることが明らかにされている。これらのスピントラップは最初は化学反応において用いられたが、1970年代半ばに生化学および生物系においてフリーラジカルを捕捉するために用いられ始めた(Floydら、1977;Poyerら、1978)。薬物動態試験により、PBNは容易かつ速やかにすべての組織にほとんど均等に分布し、ラットで約132分の半減期を有し、大部分が尿中に排出されることが判明した。行われた代謝試験は比較的少ないが、肝臓で化合物の環ヒドロキシル化(主にパラ位)が起こることが知られている。 Novelliは、実験動物を敗血症性ショックから保護するためにPBNを用いることができることを最初に示し(Novelliら、1986)、事実これは後に他のグループにより確認された(Pogrebniakら、1992)。PBNの使用および薬理学的物質としての誘導体化は、PBNが実験的脳卒中モデルにおいて神経保護活性を有することを示した1988年の発見(Floyd、1990;Floydら、1996;Carneyら、1991)後に始まった。これらの結果は繰り返され、拡大された(Clough-Helfmanら、1991;Caoら、1994;Folbergrovaら、1995;Pahlmarkら、1996参照)。他の発明者らはPBNおよび誘導体の神経保護に関する広範な薬理学調査の結果をまとめている(Floyd、1997;Hensleyら、1996)。神経変性疾患に加えて、PBNは、糖尿病および多くの他の状態を含む、ROS仲介性プロセスに関与する他の病的状態において保護することが明らかにされている。なぜPBNおよびその誘導体のいくつかが実験的卒中およびいくつかの他の神経変性モデルにおいて非常に神経保護的であるかのメカニズムの基礎はまだ完全には解明されていない。しかし、その作用がフリーラジカルを捕捉するその能力によって単純に説明しえないことは明らかである。 PBNの作用のメカニズムの基礎に対する研究から、PBNは遺伝子誘導を抑制することにより(Floyd、1997;Hensleyら、1996;Miyajimaら、1995;Tabatabaieら、1996;Hensleyら、1997;およびKotake、1999)、最も可能性が高いのは酸化感受性シグナル伝達プロセスにより(Sangら、1999)作用していることが明らかである。事実、PBNはミトコンドリアによるシグナル伝達増強ROS形成を抑制することにより作用していると思われる(Hensleyら、1998)。これらの知見および考えは神経変性プロセスの研究から生じてきた。 PBNの抗癌機能のメカニズムを決めることへの他の進出が最近なされた。低酸素誘導因子α(HIF-1α)は、心臓発作、卒中、癌発生、腎機能不全、糖尿病の循環器合併症および一般に加齢に関連する多くの他の問題を含む、無酸素/再酸素化事象が起こる生物医学的問題において重要である。組織無酸素は遺伝子誘導における大きい変化を活性化し、ほとんどは酸素の欠乏に対する組織の適応において有益な100を越える遺伝子の活性化を引き起こす。長期無酸素は、組織の死滅を含む重篤な合併症を引き起こす可能性がある。これらの遺伝子の誘導を仲介することができる転写因子はHIF-1αとして知られている。HIF-1αの作用およびその調節のメカニズムは徐々に理解されてきている。 酸素は好気的生命には必須である。低酸素は大きい適応反応を引き起こす。例えば、解糖代謝を増強する酵素および酸素送達のための新しい血管発生のために血管新生を増強する他のタンパク質(VEGFなど)をコードする遺伝子群が誘導される。癌性組織が発生し、成長するために、十分な酸素の供給がなくてはならない。直径2mmよりも大きい腫瘍は中心で低酸素となり、したがって酸素の供給が確立されなければ細胞死につながる。したがって、さらなる成長を行うために血管新生が起きなければならない。低酸素はHIF-1転写因子の活性化をもたらす。HIF-1は適応反応として少なくとも100の遺伝子群の誘導をもたらすことができる転写因子である。VEGFは、さらなる腫瘍成長に必要な血管新生の誘発を助ける、一つのそのような遺伝子産物である。HIF-1は多くの遺伝子の転写因子として作用することができるが、低酸素への反応における様々な遺伝子群の統合も制御する多くの他の因子がなければならない。これは、発明者らが焦点を合わせている特定の遺伝子、すなわちiNOSおよびVEGFについて特にあてはまると考えられる。発明者らは特定の細胞系を試験して、低酸素がVEGFを10倍誘導するとしても、同じ条件下でiNOSにとって必ずしもそうではないことを見いだした。これは明らかに、活性HIF-1のレベル以外のいくつかの他の因子がHIF-1によってトランス活性化される特定の遺伝子誘導の程度およびタイミングを制御することを意味している。背景となる文献に基づき、細胞系に応じて、様々なシグナル伝達プロセスがiNOS発現を制御していることは明らかである。iNOS発現の制御において、様々な細胞シグナリングプロセスがHIF-1とどのように連結して調整するかは不明である。 HIFが発見され(SemenzaおよびWang、1992;WangおよびSemenza、1993a;Semenzaら、1994)、最初に特徴づけられ(WangおよびSemenza、1993b;WangおよびSemenza、1995;Wangら、1995)てから10年以上経っている。それ以来、多くの研究が行われ、HIFの生理および発生における役割、特に癌発生におけるその役割に関して多くが明らかにされてきた。簡単に言えば、一般に低酸素に対する細胞反応は、転写因子として作用するHIF-1によって仲介される(Welshら、2004)。HIF-1はHIF-1αおよびHIF-1βのヘテロ二量体からなる。HIF-1βはアリール炭化水素受容体タンパク質としても知られている。HIF-1αおよびHIF-1βは細胞質ゾル中で結合した後、核に移動し、そこで低酸素調節性遺伝子の3'および5'両方の領域におけるDNA配列の-CACGTG-からなる低酸素調節性因子(HRE)に結合する。HIF-1αは構成性に発現もされるが、好気的条件下でユビキチン-26Sプロテオソームによって速やかに分解されるため、通常の好気的条件下では非常に低レベルのHIF-1αしか存在しない。しかし、低酸素が起これば、HIF-1αは分解されず、そのレベルが高まってはるかに高いレベルで存在することになり、したがってこれらの条件下でHIF-1は低酸素誘導遺伝子をトランス活性化する。 低酸素によって誘導される多数の遺伝子がある。事実、100を越えるものが報告されている(Vaupel、2004)。低酸素によって誘導される癌発生に関して最も該当する遺伝子は、Glut 1およびいくつかの解糖酵素などの解糖代謝に関与するもの、エリスロポエチンなどの赤血球形成を促進するもの、アポトーシスに対して保護する遺伝子、VEGFおよびiNOSなどの血管新生を促進する遺伝子である。癌発生におけるHIF-1αの重要性が最近総説に記載されている(Vaupel、2004;Kaelin, Jr.、2005;Maxwell、2005)。非常に最近の調査は、癌発生におけるHIF-1αの作用について進みつつある理解に基づき、新規治療法を見いだすことに向けられてきた(Kaelin, Jr.、2005;Maxwell、2005)。HIF-1αは低酸素領域では安定であるのに対し、酸素圧力が高い領域ではプロテオソームによって分解され、HIF-1αの最終結果はN末端の保存アスパラギンおよびC末端の二つのプロリン残基で酸化されるため、HIF-1αは腫瘍の低酸素領域でより顕著に発現される(Kaelin, Jr.、2005;Maxwell、2005;DannおよびBruick、2005)。これらの酸化はジオキシゲナーゼにより行われ、コハク酸へと酸化される基質としての2-オキソグルタル酸に依存する。HIF-1αの酸化はアスコルビン酸および補助因子としてのFeにも依存する(Kaelin, Jr.、2005;Maxwell、2005;DannおよびBruick、2005)。酸化HIF-1αは次いでポリユビキチン化され、プロテオソームにより分解される。 HIF-1αのリン酸化はいくつかの系で起こることが明らかにされている(Richardら、1999;Hoferら、2001;Nikinmaaら、2004;Gradinら、2002;Kwonら、2005)。これは大規模に研究されてはいないが、HIF-1αのリン酸化がこのタンパク質を安定化させ、これが転写因子として活性であることは明らかである(Minetら、2001)。ERK、p41ならびにp44はHIF-1αを直接リン酸化することができることが明らかにされているが、p38MAPKまたはJNKはいずれも用いた系でHIF-1αをリン酸化することはできなかった(Richardら、1999)。HIF-1αの転写活性はリン酸化によって増強されることが注目された(Richardら、1999)が、彼らはHIF-1αのどのアミノ酸がリン酸化されるかを明確に示すことはできなかった。Gradinらは後に、トレオニン844がリン酸化され、これは転写活性にとって必須であることを示した(Gradinら、2002)。低グルコースおよび虚血を課し、それにより反応性酸素種の存在を高め、ASK-1経路の活性化を引き起こした、MiaPaCa-2膵臓癌細胞を用いて、Kwonは活性化P38(実際は4つのすべての型、すなわち、α、β、δおよびγ)はHIF-1αをインビトロでリン酸化することができることを示した(Kwonら、2005)。静止細胞からのP38タンパク質はHIF-1αをリン酸化しなかった。HIF-1αのリン酸化によってこの転写因子は、HIF-1αのユビキチン化およびプロテオソーム分解において必要な基本的事象である、フォンヒッペル-リンダウ(vHL)腫瘍抑制タンパク質への結合が妨げられるため、安定化される。 酸素正常条件下でも、いくつかのシグナル伝達経路がHIF-1誘導に関与することが示されている(BardosおよびAshcroft、2005)。IGF-1はいくつかの細胞株において正常酸素条件下でHIF-1αを誘導することが示されている(BardosおよびAshcroft、2005;Chauら、2005;Fukudaら、2002;Zundelら、2000;Dimovaら、2005)。骨肉腫細胞株における正常酸素下でのHIF-1αのIGF-1誘導は、HIF-1α誘導の小分子阻害剤をスクリーニングするために有用であることが明らかにされている(Chauら、2005)。二つの有効な新規阻害剤、NSC-134754およびNSC-643735は、米国立癌研究所の2000の化合物のNational Cancer Institutes Diversity setにおいて見いだされた。NSC-134754は天然アルカロイドエメチンの半合成類縁体で、NSC-643735はアクチノマイシンDの構造類縁体である。IGF-1仲介性プロセスにおけるHIF-1α誘導の小分子阻害剤による阻害が、低酸素下でのHIF-1α誘導、ならびにプロリルヒドロキシラーゼ酵素のFeをキレートし、したがってHIF-1αへの作用を妨げ、それによりタンパク質分解のためのその標的指向を仲介する、ジエフェロキサミン(Dfx)メシレートによるものと比較された(Chauら、2005)。得られた結果はHIF-1α誘導の三つの方法すべてにおいて同様であった。低酸素による誘導後、正常酸素条件下で細胞を5分間インキュベートすることにより、HIF-1αは急速に減少(約80%)したことに注目することは興味深い(Chauら、2005)。HCT116結腸癌細胞およびIGF-1誘導を用いて、SemenzaのグループはHIF-1αがIGF-1/MEK/ERK経路またはIGF-1/PI3K/AKT/FRAP経路のいずれかにより誘導されることを示した(Fukudaら、2002)。PTENが不活化された場合の、HIF-1α誘導のAKT経路の重要性がいくつかの膠芽腫細胞株で示されている(Zundelら、2000)。 いくつかの報告は、高レベルのチオレドキシン-1(Trx-1)がHIF-1αの安定性と、したがって活性を増強したことを明らかに示している(Welshら、2002;Welshら、2003;Kimら、2005;Csikiら、2006)。第一に、癌細胞におけるTrx-1の過剰発現は、マウス異種移植試験において遺伝子産物VEGFおよびiNOSのHIF-1α転写の増強、ならびに腫瘍成長の増強を引き起こした(Welshら、2002)。第二に、PX-12(不可逆的Trx-1阻害剤)またはプルーロチン(チオレドキシンレダクターゼ阻害剤)による薬理学的処理は、HIF-1α遺伝子転写産物(VEGFおよびiNOS)の減少を引き起こし、腫瘍成長(33427)の低減を引き起こした。第三に、腫瘍細胞のアンチセンスTrx-1による処理は、HIF-1活性の低下から予想されたとおり、血管新生の低減を引き起こした(Kimら、2005)。第四に、非小細胞肺癌におけるTrx-1の過剰発現は、HIF-1αおよびCOX-2を含むその遺伝子産物の存在増大を引き起こした(Csikiら、2006)。Welshらは、Trx-1をトランスフェクトしたMCF-7ヒト乳房およびHT-29ヒト結腸癌細胞ならびにWEHI7.2マウスリンパ腫細胞を用いて、非トランスフェクト細胞に比べた場合に著しく増加した量のHIF-1αタンパク質および低酸素反応性遺伝子(VEGFおよびiNOS)のタンパク質における増加を示した(Welshら、2002)。レドックス不活性Trx-1によるトランスフェクションはHIF-1αタンパク質およびVEGF発現を著しく低減し、したがってTrx-1のレドックス活性がHIF-1αの存在および活性の増強において重要であることを示していた。Trx-1をトランスフェクトしたWEHI7.2細胞をscidマウスに注射した場合、非トランスフェクト細胞を用いた場合に比べて腫瘍成長の増大が認められた。Trx-1をトランスフェクトした細胞によって生じた腫瘍において血管新生増大が認められた。TrxがどのようにHIF-1を増強するかのメカニズムの基礎は不明であるが、レドックスにより調節される分子プロセスに関連していると考えられる。非常に早期に、細胞抽出物のH2O2処理はHIF-1がDNAに結合するのを妨げることが明らかにされた。これは抽出物をTrxまたは酸化スルフヒドリル基を還元する物質で処理することにより克服された(Huangら、1996)。このTrxの効果は、DNAと直接相互作用するタンパク質上の酸化システインのTrx還元に対して行われると推定された。Welshらは、彼らの系におけるTrxの作用を、CBP/p300のHIF-1αへの結合を増強するRef-1の還元の可能性によって解釈した。 熱ショックタンパク質90(HSP90)はHIF-1α分解の経路を調節することが知られている(Martinez-Ruizら、2005;Kuboら、2004;Minetら、1999;Ibrahimら、2005;Mabjeeshら、2002)。かなりの間、シャペロンタンパク質のHSP90はHIF-1αと結合することが知られていた(Gradinら、1996)。したがって、ゲルダナマイシン(Kuboら、2004;Mabjeeshら、2002;Isaacsら、2002)ならびに環境因子ビスフェノールA(Kuboら、2004)などのHSP90の作用を阻害する物質はHIF-1αの速やかな分解を高める。HSP90は内皮細胞をS-ニトロソ-L-システイン(CysNO)と共にインキュベートすることによりS-ニトロシル化されることが知られている(Martinez-Ruizら、2005)。C鎖上のシステインがS-ニトロシル化され、これはHSP90のeNOSへの正常な結合を妨げる(Martinez-Ruizら、2005)。S-ニトロシル化はHSP90がATPを水解するのも妨げる。 前述のとおり、発明者らはPBNがラットモデルの神経膠腫および膠芽腫の発生を予防する際に非常に有効であることを見いだした。発明者らが行ったPBNの抗癌活性に対するメカニズム試験は、その活性は誘導性酸化窒素合成酵素(iNOS)の誘導を抑制する能力に強力に結びついており、したがって標的組織における高いレベルの酸化窒素(NO)生成を防止することを示している(Floyd、2006)。いくつかのヒト腫瘍ならびに癌の動物モデルで行われた多くの試験に対する彼らの解釈は、適度なレベルのiNOSにより生じたNOは、腫瘍の持続的成長および発生を増強する非常に重要な物質であることを明らかに示している。PBNは、NO生成を防止することにより、特にiNOSの発現を阻害することにより、腫瘍成長および発生を阻害するよう作用する。これらのバックグラウンド試験は、なぜiNOS/NOが腫瘍発生において重要であるかを説明し、なぜ特定のニトロンが多大な商業的可能性を有する有効な抗癌剤であると期待されるのかを説明する、強力な科学的メカニズムの基礎を提供する。最近、発明者らは、PBNが侵襲性細胞成長に関連するチロシンキナーゼ阻害剤のc-METを阻害することを明らかにし、発明者らによるごく最近の結果は、PBNがいくつかの癌細胞でHIF-1αの誘導を阻害することを示した。HIF-1αはVEGFならびにiNOSおよび癌の発生において非常に重要な多くの他の遺伝子の誘導にとって中心となる主要なトランス活性化因子である。 米国特許第5,569,902号(参照により本明細書に組み入れられる)は癌の治療のためのNFRT剤の使用を記載している。具体的には、PBNおよび関連化合物が抗癌食の調製およびそのような補助食の調製において有用であると記載されている。ニトロンの施与を受けて有益であると考えられる対象には下記が含まれる:1)事前腫瘍試験を受けて、腫瘍が存在する可能性が高いと示されたことがあるもの、2)非常に強力な発癌環境に曝露され、腫瘍進行の確率が高いもの、および3)遺伝的素因によって腫瘍発生の見込みが高くなっているもの。 ヒドロキシ誘導体、特に2-、3-または4-ヒドロキシPBNならびにモノ-、ジ-およびトリヒドロキシtert-ブチルニトロン;エステル、特にアセトキシ誘導体などの2-、3、もしくは4-ヒドロキシフェニルt-ブチルニトロン、エチル誘導体などの2-、3-、もしくは4-カルボキシフェニルt-ブチルニトロン、またはアセトキシ誘導体などのフェニルヒドロキシブチルニトロンを放出するエステル;アルコキシル誘導体、特にメチル誘導体などの2-、または4-ヒドロキシフェニルt-ブチルニトロンを放出するアルコキシル誘導体;およびアセトアミド誘導体、特にアセチル誘導体などの2-、または4アミノフェニルt-ブチルニトロンを放出するアセトアミド誘導体;ジフェニルニトロン(PPN)および類似のジフェニルニトロン誘導体を含む、PBNおよび誘導体が企図される。 PBNおよびその有用な誘導体の一般式は下記である:式中:XはフェニルもしくはここでRはH、であり、かつnは1から5の全整数であり;またはであり;Yは一つまたは複数の位置でヒドロキシル化またはアセチル化することができるtert-ブチル基;フェニル;またはであり、ここでWはまたはZであり;かつZはC1からC5直鎖または分枝アルキル基である。 5,5-ジメチルピロリンN-オキシド(DMPO)またはα-(4-ピリジル1-オキシド)-N-tertブチルニトロン(POBN)、およびそのスピン捕捉誘導体などの、他のスピン捕捉剤を用いることもできる。誘導体は、例えば、メチル基の置換のための標準の技術を用いて調製する。DMPOの一般式は下記である:式中AおよびBは独立にCH3、CH2 OH、CH.sub.2OW、またはであり、nは1から5の整数であり、ここでWはまたはZであり;かつZはC1からC5直鎖または分枝アルキル基である。POBNの一般式は下記である:式中Yは一つまたは複数の位置でヒドロキシル化またはアセチル化することができるtert-ブチル基;フェニル;またはであり、ここでWはまたはZであり;かつS=H、(OR)n、ここでRはH、であり、nは1から4の全整数であり、またはであり;ZはC1からC5直鎖または分枝アルキル基である。 同様に、本発明のニトロンフリーラジカル捕捉剤はフェニル、アルキル置換ニトロンによって特徴づけられる。フェニルニトロンの基本中心構造は非常に単純で、実質的に合成された誘導体は数千にすぎない。特定のニトロンはアリールN-アルキルニトロンである。アルキルは三級(tert)ブチルであってもよいが、他のアルキル、シクロアルキルなどを用いてもよい。具体的アリールはフェニル、3-ヒドロキシフェニルおよび4-ヒドロキシフェニルなどである。具体的化合物には3-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、2-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、2-スルホキシフェニルN-tert-ブチルニトロンおよび4-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロンが含まれる。同じく、5,5-ジメチル-1-ピロリン-N-オキシドおよびアルファ(4-ピリジル-1-オキシド)-N-tert-ブチルニトロンなどの修飾ブチルニトロン化合物も含まれる。4. 併用治療 一つの態様において、本発明のニトロンフリーラジカル捕捉剤を放射線、PCV、DFMO、CCNUまたはBCNUなどのもう一つの神経膠腫療法との組み合わせで用いてもよい。これらの組成物は細胞を死滅させる、または細胞の増殖を阻害するのに有効な組み合わせ量で提供する。この方法は細胞を薬剤に同時に接触させる段階を含みうる。これは、細胞を両方の薬剤を含む単一の組成物もしくは薬理学的製剤と接触させることにより、または細胞を、一方の組成物はNFRT剤を含み、他方は第二の薬剤を含む、二つの別々の組成物もしくは製剤と同時に接触させることにより行ってもよい。 または、NFRT剤療法を他の薬剤治療の前または後に、数分から数週間の間隔で行ってもよい。他の薬剤およびNFRT剤を細胞、組織または生物に別々に適用する態様において、一般にこれらの薬剤が細胞に対して有利に組み合わせた効果を発揮することができるよう、それぞれの送達時の間にあまり時間が経過しないよう確認することになる。そのような場合、細胞を両方の様式と互いに約12〜24時間以内、より好ましくは互いに約6〜12時間以内に接触させることができることが企図される。しかし、いくつかの状況において、それぞれの投与の間に数日(2、3、4、5、6または7日)から数週間(1、2、3、4、5、6、7または8週間)が経過している場合、治療期間を大幅に延長することが望ましいこともある。 各薬剤の複数回投与が企図される。例えば、NFRT剤が「A」であり、第二の薬剤が「B」である場合、下記が企図される。 患者を腫瘍とは無関係と考えられる神経学的変化について評価し、NCI Common Toxicity Criteria(神経毒性)を用いて等級づけることになる。基準の聴力試験の他に、神経学的検査によって聴力損失または聴力損失進行の徴候を有する患者に対し、聴器毒性に関する繰り返し聴力試験を医師の自由裁量で行う。加えて、血球数算定を隔週で行い、血清クレアチニン、アルカリ性ホスファターゼ、ビリルビンおよびアラニンアミノトランスフェラーゼ試験を各周期の前に行う。用量は、主に好中球および血小板数(ビンクリスチン、ロムスチンおよびマチュレーン)または聴器毒性(DFMO)に基づき、治療経過中に変更してもよい。時として、下痢のためにDFMOの用量低下が必要となる。A. PCV PCVは次の三つの異なる薬剤を用いる薬物併用療法である-ヒドラジン誘導体であるマチュレーン、ニトロソウレアであるロムスチン、およびチューブリン相互作用剤であるビンクリスチン。これはいくつかの臨床試験で、特に発明者によって、高グレード神経膠腫および髄芽腫腫瘍に対するその効果を評価する際に用いられている。PCVで観察される主な副作用は用量を制限する骨髄毒性であった。PCVの各成分を以下に記載する。 本発明は、両方ともニトロソウレアであるため、CCNU(ロムスチン)ではなくBCNUの使用を含みうることに留意すべきである。ビンクリスチンは通常、PCVの組み合わせにおける最も活性の低い薬物と考えられるため、ビンクリスチンなしでCCNUとプロカルバジンまたはBCNUとプロカルバジンを用いることができることも企図される。 ヒドラジンとニトロソウレアはいずれもアルキル化剤である。グループとして、アルキル化剤は細胞DNA、RNAおよびタンパク質分子ならびにより小さいアミノ酸、グルタチオンおよび類似の化学物質との共有結合による化学付加物を形成する。一般に、これらのアルキル化剤は、核酸、タンパク質、アミノ酸、またはグルタチオンにおけるアミノ、カルボキシル、ホスフェート、スルフヒドリル基などの、細胞成分中の求核原子と反応する。癌療法におけるこれらのアルキル化剤のメカニズムおよび役割はあまり理解されていない。ヒドラジンおよびニトロソウレアに加えて、アルキル化剤には下記が含まれる:ダカラブジンおよびテモゾロミドなどのトリアゼン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イソファミド、メクロレタミン、メルファラン、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;チオテパなどのアジリジン;ブスルファンなどのメタンスルホネートエステル;シスプラチン、カルボプラチンなどの白金錯体;マイトマイシンおよびアルトレテミンなどの生体内還元アルキレーター。これらの化合物のいずれかを本発明の化合物との組み合わせで、一緒にまたは個別に用いてもよい。i. ヒドラジンおよびトライゼン誘導体 ヒドラジンおよびトリアゼン誘導体は自然に分解するか、または代謝されてDNAをアルキル化するアルキルカルボニウムイオンを生じる点で、ニトロソウレアと類似である。このクラスの化合物にはマチュレーン、ダカルバジンおよびテモゾロミドが含まれる。 マチュレーン中の活性成分は塩酸プロカルバジン(N-イソプロプル-アルファ-(2-メチルヒドラジノ)-p-トルアミド一塩酸塩)である。これはRoche Laboratories, Inc.から入手可能である。これは1969年にホジキン病の治療用に認可された。典型的形状はプロカルバジンを塩酸塩で50mg含む経口カプセル剤である。用量は、プロカルバジンが他の抗癌薬との併用薬物として用いられるか、または単一の治療薬として用いられるかに応じて変動する。単剤のためにPDRによって示唆される指針は100mgを1日2回14日間である。 マチュレーンの厳密な作用機作は不明である。薬物がタンパク質、RNAおよびDNA合成の阻害により作用するとのいくつかの証拠がある。これは主に肝臓および腎臓で代謝され、自己酸化されて過酸化水素の放出を伴ってアゾ誘導体になると思われる。アゾ誘導体はヒドラゾンへと異性体化し、加水分解の後、ベンジルアルデヒド誘導体とメチルヒドラジンとに分裂する。メチルヒドラジンはCO2およびCH4と、おそらくはヒドラジンにさらに分解する一方で、アルデヒドは酸化されて酸になり、尿中に排出される。 マチュレーンはモナミンオキシダーゼ阻害活性(MAOI)を示し、したがって高チアミン含量を含む食物を制限する食事療法に従うべきである。治療中に避けるべき薬物には、抗ヒスタミン剤、交感神経興奮剤、バルビツレート、麻酔薬、降圧剤またはフェノチアジン、およびエチルアルコールが含まれる。自然熟成チーズ、チョコレート、ナッツ、およびバナナなどの一部の食品は理論的には一部の患者で高血圧性合併症を引き起こす可能性があるため、これらもプロカルバジン中は避けるべきである。また、マチュレーンを腎および/または肝機能不全を有する患者で用いると、許容されない毒性が起こることがある。感覚異常、神経障害または錯乱;好中球減少(絶対好中球数が1500/ul未満)、血小板減少(血小板が100,000/ul未満)、過敏性反応、口腔周囲の潰瘍形成または持続性疼痛点、下痢または軟便、出血または出血傾向などの中枢神経系の徴候または症状の事象においては、治療を短縮してもよい。 有害であるが、予想される反応には、白血球減少、好中球減少、貧血、および血小板減少が含まれる。よく報告される急性副作用は投与中または投与直後の悪心および嘔吐である。ii. ニトロソウレア ニトロソウレアは治療用アルキル化剤の一群である。このクラスの化合物には、ロムスチン、カルムスチン、セムスチン、ステプトゾシン、およびニムスチンが含まれる。(a)ロムスチン ロムスチンはCCNUとしても知られる合成アルキル化剤で、1-(2-クロロエチル)-3-シクロヘキシル-1-ニトロソウレアなる化学名を有する。これは1977年に脳腫瘍およびホジキン病の治療用に認可された。これはBristol Myers Squibbから経口カプセル剤として、10mg、40mgおよび100mgの剤形で入手可能である。用量は、ロムスチンが単剤として用いられるか、または他の化学療法剤に加えての併用で用いられるかに応じて変動してもよい。過去に未治療の患者における単剤として、PDRによって推奨される用量は、1回経口用量として130mgを6週間に1回である。ロムスチンは血液脳関門を通過する。 CCNUはDNAおよびRNAをアルキル化すると考えられる。これは他のニトロソウレアおよびすべてではないがいくつかのアルキル化剤と交差耐性である。これはタンパク質中のアミノ酸のカルバモイル化により、いくつかの主要な酵素プロセスも阻害することができる。 最も一般的で重度の毒性副作用は血小板減少および白血球減少を引き起こす骨髄抑制で、これは出血および感染に寄与しうる。骨髄毒性は蓄積性で、したがって以前の用量から底血算値に基づき用量調節を考慮しなければならない。(b)カルムスチン カルムスチンはBCNUとしても知られ、N,N'-ビス(2-クロロエチル)-N-ニトロソウレアなる化学名を有するニトロソウレアアルキル化剤で、FDAにより1977年に認可された。カルムスチンは原発性脳腫瘍の治療用に長年用いられており、神経膠腫の治療に用いられている。カルムスチンはBristol Meyers Squibbから、i.v.注射による送達用の10mgカルムスチンおよび3ml滅菌希釈剤のバイアルを含むパッケージで入手可能である。単剤として、カルムスチンは約150〜200mg/m2を6週間に1回投与する。併用法において、カルムスチンはロムスチンと類似の用量で投与してもよい。送達の代替様式は腫瘍部位に直接埋め込んだウェーファー(Gliadel Wafer(登録商標))によるものである。 可能性のある副作用には、骨髄抑制、貧血、下痢、低白血球および血小板数、肺毒性ならびに嚥下困難が含まれる。iii. チューブリン相互作用剤 チューブリン相互作用剤は、重合して細胞微小管を形成するタンパク質であるチューブリンの特定の部位に結合することにより細胞分裂を妨害する。微小管は重要な細胞構造単位である。相互作用剤がタンパク質上に結合すると、細胞は適切に微小管を形成することができない。チューブリン相互作用剤には、いずれもアルカロイドであるビンクリスチンおよびビンブラスチン、ならびにパクリタキセルおよびドセタキセルなどのタキサンが含まれる。 ビンクリスチンは、Oncovin(商標)としてEli Lilly & Companyから、また硫酸ビンクリスチンとしてFauldingから入手可能である。同様にビンカロイコブラスチンと呼ばれるのは、一般的な顕花草本、ツルニチニチソウから得たアルカロイドの塩である、22-オキソ-、硫酸塩(1:1)(塩)である。これは静脈内注射により送達する。これは1963年にユーイング肉腫、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、神経芽腫、ホジキン病および白血病用に認可された。 作用機作は調査中であるが、分裂細胞の中期での停止をきたす、紡錘体における微小管形成の阻害が関与することが示されている。肝臓は主要な排出臓器である。ビンクリスチンの静脈内用量のほとんどは速やかに組織結合した後、胆汁中に排出される。ビンクリスチンは血液脳関門を通過しないと考えられる。 ビンクリスチンは抗発作薬の血中レベルを低下させ、発作活性を高めると報告されている。最も一般的な有害反応は脱毛である。白血球減少、神経炎性疼痛および便秘が起こるが、通常は7日未満である。B. DFMO 多くの高増殖型の癌は、腫瘍組織ならびに癌を有する哺乳動物の血液および尿中のポリアミンであるプトレスシン、スペルミジン、およびスペルミンのレベル上昇に関連する。試験により、これは律速酵素であるオルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)によるポリアミン合成増大に関連しうることが示されている。ポリアミン合成の経路はL-オルニチンにより始まる。この天然アミノ酸は、通常はタンパク質に取り込まれないが、アルギニンをオルニチンと尿素に代謝する尿素回路の一部である。オルニチンはオルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)によりプトレスシンとCO2に変換され、ポリアミン生成における律速段階であると考えられる。S-アデノシルメチオニンから供与されたプロピルアミンの付加により、プトレスシンはスペルミジンに変換される。次いで、スペルミジンは、ここでもS-アデノシルメチオニンの脱炭酸に関連して、スペルミンシンセターゼによりスペルミンに変換される。プトレスシン、スペルミジンおよびスペルミンは哺乳動物組織における三つの主要なポリアミンである。ポリアミンは動物組織および微生物で見いだされ、細胞成長および増殖において重要な役割を果たすことが知られている。細胞成長および増殖におけるポリアミンの役割の厳密なメカニズムは不明であるが、ポリアミンはDNA、RNA、またはタンパク質合成などの高分子プロセスを促進することができると思われる。ポリアミンレベルは精巣、腹側前立腺、および胸腺、乾癬皮膚病巣、ならびに急速な成長過程にある他の細胞中で高いことが公知である。 腫瘍組織の急速な増殖はポリアミンレベルの異常な上昇により示されることも周知である。したがって、ポリアミンは腫瘍成長の維持においても重要な役割を果たすと考えられる。したがって、DFMOなどのODC阻害剤は、ポリアミンの生成を阻止し、それにより腫瘍組織の増殖および転移を減速する、妨害する、または停止することによりそれらの治療効果を発揮すると考えられる。 DFMO(アルファ-ジフルオロメチルオルニチン、エフロールニチン、Ornidyl(登録商標))はアミノ酸L-オルニチンの構造類縁体で、化学式C6H12N2O2F2を有する。DFMOは本発明の方法においてD-およびL-鏡像異性体のラセミ(50/50)混合物として、またはL-異性体に対してD-異性体が多い、例えば、L-異性体に対して70重量%、80重%、90重%もしくはそれ以上のD-異性体を含む、D-およびL-異性体の混合物として用いることができる。用いるDFMOは実質的にL-鏡像異性体を含まなくてもよい。 DFMOの用量を制限する毒性作用は、患者の約50%に起こる血小板減少(血中の血小板が異常に少ない)、白血球減少(白血球が異常に少ない)、または貧血である。この毒性作用は比較的無害かつ可逆性であり、薬物停止後に消失する。 急速に増殖している腫瘍組織の成長速度制御に対するODC阻害剤の効果が、標準の動物腫瘍モデルで評価されている。例えば、DFMOの抗腫瘍効果は以下の動物腫瘍モデルで示されている:マウスのL1210白血病、Balb/CマウスのEMT6腫瘍、ラットの7,12-ジメチルベンズアントラセン誘導性(DMBA誘導性)乳房腫瘍およびBuffaloラットのDFMO Morris 7288Cまたは5123肝癌。加えて、様々な細胞毒性物質と併用してのDFMOの抗腫瘍効果が以下のとおりに示されている:(a)マウスのL1210白血病、BuffaloラットのMorris 7288C肝癌、およびマウスのEMT6腫瘍におけるビンデシンまたはアドリアマイシンとの併用、(b)マウスのL1210白血病におけるシトシンアラビノシド投与の併用、(c)マウスのL1210白血病におけるメトトレキセート投与の併用、(d)マウスのEMT6腫瘍およびマウスのDMBA誘導性腫瘍におけるシクロホスファミドとの併用、(e)マウス神経膠腫26脳腫瘍におけるBCNUとの併用、および(f)マウスのL1210白血病、BuffaloラットのMorris 7288C肝癌、マウスのP388リンパ球性白血病、およびマウスのS-180肉腫におけるMGBGとの併用。 DFMOは腫瘍のプトレスシン生合成を効果的に阻止することができるが、その結果としての抗腫瘍効果は細胞毒性ではなく細胞分裂停止である。例えば、DFMOはMCA肉腫の成長速度を低下させるが、腫瘍退行は起こさない。この知見は、DFMOが細胞分裂抑制剤であることを示した他の研究者の報告と一致している。しかし、試験から、DFMOには、これを組み込む併用化学療法の今後の開発を可能にする、重要な役割が存在しうることが明らかである。 米国特許第4,925,835号に記載のとおり、DFMOは実際ODC活性を不可逆的に阻害するが、インビボでDFMO処理した細胞は外因性プトレスシンの取り込みを著しく高めるため、様々な新形成の治療において用いるための治療用ODC阻害剤としてのDFMOの当初の見込みは幾分薄くなっている。細胞の細胞間輸送メカニズムは、細胞外環境からプトレスシンを移入することにより、DFMOによるODC活性損傷を回避する。したがって、インビボでのDFMOの効果はインビトロよりもはるかに低い。したがって、DFMO処理は細胞内プトレスシン新生を効果的に阻害するが、同時に細胞外プトレスシンの取り込みを高め、それによりそのODC阻害作用を相殺することになる。 この問題は、プトレスシンがグレープフルーツ果汁(約400ppmのプトレスシンを含む)などの多くの一般的食品中に存在するという事実によって倍加される。これにより、プトレスシンを含まない栄養的に十分な食事を患者に提供することは実質的に不可能となる。したがって、DFMO処理細胞は細胞分裂を支持するために十分な量の細胞外プトレスシンを移入することができる。 DFMOをヒト患者に対してより許容されるようにする戦略が米国特許第4,859,452号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている。DFMO誘導性毒性の低下を助けるための、必須アミノ酸をアルギニンまたはオルニチンのいずれかとの組み合わせで含むDFMOの製剤が記載されている。C. 放射線 DNA損傷を引き起こし、癌療法に大々的に用いられており、□線として一般に知られているもの、X線、および/または放射性同位体の腫瘍細胞に向けた送達を含む因子。マイクロ波およびUV照射などのDNA損傷因子の他の形態も企図される。これらの因子はすべてDNA、DNAの前駆体、DNAの複製および修復、ならびに染色体の組立および維持に対し広範囲の損傷を与えると考えられる。X線の線量範囲は長期間(3から4週間)にわたる1日線量50から200レントゲンから1回線量2000から6000レントゲンまでの範囲である。放射性同位体の線量範囲は多様で、同位体の半減期、放出される放射線の強度およびタイプ、ならびに新生細胞による取り込みに依存する。細胞に適用する場合の「接触(した)」および「曝露(された)」なる用語は、本明細書において治療的作成物および化学療法もしくは放射線療法剤を標的細胞に送達する、または標的細胞の直接近位に置く方法を記載するために用いる。細胞死滅または停止を達成するために、両方の薬剤を細胞を死滅させる、または細胞分裂を防止するのに有効な組み合わせ量で細胞に送達する。D. 手術 癌を有する人の約60%は何らかのタイプの手術を受けることになり、これには予防的、診断的または病期決定、治癒的および待機的手術が含まれる。癌治療としての治癒的手術を、本発明の治療、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法および/または代替療法などの他の治療法と組み合わせて用いてもよい。治癒的手術には、癌性組織のすべてまたは一部を物理的に除去、摘出、および/または破壊する切除が含まれる。腫瘍切除とは、腫瘍の少なくとも一部の物理的除去を意味する。腫瘍切除に加えて、手術による治療にはレーザー手術、冷凍外科術、電気外科術、および鏡検制御手術(モース氏手術)が含まれる。本発明を表在性癌、前癌、または正常組織の付帯的量の除去と組み合わせて用いることができることがさらに企図される。5. 薬学的製剤 本発明は多くの組成物を開示しており、これらを本発明の特定の局面において動物に投与する。例えば、本発明はNFRT剤、ならびに様々な二次的化学療法剤を開示している。臨床適用が企図される場合、これらの化合物の薬学的組成物および所期の適用に適した剤形の組成物を調製することが必要となる。一般に、これは発熱物質、ならびにヒトまたは動物に有害である可能性のある他の不純物を基本的に含まない組成物の調製を必要とする。 薬剤を患者に導入するのに適したものとするため、一般には適当な塩および緩衝剤を用いることが望まれる。本発明の水性組成物は、薬学的に許容される担体または水性媒質に溶解または分散した薬剤の有効量を含む。「薬学的または薬理学的に許容される」なる語句は、動物またはヒトに投与した場合に、有害、アレルギー性、または他の都合の悪い反応を生じない分子実体または組成物を意味する。本明細書において用いられる「薬学的に許容される担体」には、任意およびすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的活性物質のためのそのような媒質および物質の使用は当技術分野において周知である。任意の従来の媒質または物質が本発明のベクターまたは細胞と不適合である場合を除き、治療的組成物におけるその使用が企図される。他の抗癌剤などの補足的活性成分も組成物に組み込むことができる。 遊離塩基または薬理学的に許容される塩としての活性成分の溶液を、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適当に混合した水中で調製することができる。分散液もグリセロール、液体ポリエチレングリコール、その混合物および油中で調製することができる。通常の保存および使用条件下で、これらの製剤は微生物の成長を防止するための保存剤を含む。静脈内媒体は液体および栄養補充物を含む。保存剤には抗菌剤、抗酸化剤、キレート化剤および不活性ガスが含まれる。薬剤中の様々な成分のpHおよび厳密な濃度を周知のパラメーターにより調節する。 薬剤の有効量は所期のゴールに基づいて決定される。「単位用量」なる用語は、対象において用いるのに適した物理的に分離している単位であって、それぞれその投与、すなわち適当な経路および治療法に関連して所望の反応を生じるよう計算された、あらかじめ決められた量の治療組成物を含む単位を意味する。治療数および単位用量の両方に従って投与する量は、治療する対象、対象の状態、および望まれる保護に依存する。治療組成物の正確な量は、医師の判断にも依存し、各個人に特有である。A. 腸内投与 本発明の活性化合物は腸内投与用に、例えば、経口投与用に都合よく製剤することができる。薬学的剤形はゴマ油、落花生油または水性プロピレングリコール;ならびに錠剤、丸剤およびカプセル剤を含む摂取組成物の即時調製用の滅菌粉末を含みうる。また、本発明の薬剤は食品添加物の形で提供し、毎日の食事プログラムに組み込むことができることも企図される。これらのすべての剤形は一般に製造および保存条件下で無菌かつ安定であるように選択される。 活性化合物は中性または塩の形の組成物に製剤してもよい。薬学的に許容される塩には、例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸と形成される、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基と形成)が含まれる。遊離カルボキシル基と形成される塩も、例えば、水酸化ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または第2鉄などの無機塩基、ならびにイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導することができる。 担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、その適当な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒でもあってもよい。適当な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散液の場合は要求される粒径の維持により、および界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどにより行うことができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことが好ましいと思われる。注射用組成物の長期間吸収は、吸収を遅延させる物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組成物中での使用により行うことができる。 滅菌注射溶液は、必要量の活性化合物を適当な溶媒中に、必要に応じて前述の様々な他の成分と共に組み込み、続いてろ過滅菌することにより調製する。一般に分散液は、様々な滅菌活性成分を、基本の分散媒と前述のものから必要とされる他の成分とを含む滅菌媒体中に組み込むことにより調製する。滅菌注射溶液調製用の滅菌粉末の場合、特定の調製法は、活性成分および任意の追加の必要成分の粉末を、あらかじめ滅菌ろ過したその溶液から生じる、真空乾燥および凍結乾燥技術である。B. 他の投与経路 腸内投与用に製剤した化合物に加えて、静脈内または筋肉内注射などの非経口製剤も構想される。投与は鼻、口腔、直腸、膣または局所であってもよい。または、投与は皮内、皮下、または腹腔内注射であってもよい。注射は全身、局部、局所または例えば腫瘍の直接注射であってもよい。同様に企図されるのは、切除腫瘍層の注射、およびカテーテルからの持続灌流である。そのような組成物は通常は前述の薬学的に許容される組成物として投与することになる。6. 実施例 以下の実施例は、本発明の好ましい態様を示すために含まれる。当業者であれば、以下の実施例に開示する技術は本発明の実施においてうまく機能するように発明者が見いだした技術であり、したがってその実施のために好ましい様式を構成すると考えられることを理解すべきである。しかし、当業者は、本開示に照らして、開示される具体的態様において多くの変更をなすことができ、それでもなお本発明の精神および範囲から逸脱することなく類似または同様の結果が得られることを理解すべきである。実施例1細胞注入 生後三ヶ月の雄Fischer 344ラット(250〜350g)にコリン欠乏飼料を与えた。各動物を麻酔(3%イソフルラン、2.5L/mn酸素)し、定位装置(Stoelting、USA)に置いた。頭部の皮膚を清浄し、切開した。頭骨の右側、ブレグマの2mm前方、2mm側方の頭骨に穿孔した。超低温ゲル化アガロース中のC6、9L/LacZまたはF98細胞(10μL細胞培養培地中106)を皮質の3mmの深さに、2μL/分の速度で注入する。注射後2分間待ち、骨ワックスを穿頭孔に入れて逆流を防止した。傷を縫合し、外科用接着剤で覆った。手術は滅菌条件下で行った。C6、9L/LacZまたはF98細胞を含むシリンジは使用時まで37℃に保持する。PBN処置 数匹のラットを0.065%の濃度のPBN(75mg/kg/日)を飲水中で投与して処置した。処置は持続的で、異なる時点で開始した。C6細胞を注入したラットを最初に手術日、5日前(n=3)または5日後に処置した。一部のラットは処置せず、対照とした(n=5)。9L/LacZ細胞注入に対しては、ラット2匹は処置せず、2匹は手術の5日前にPBNを投与した。MRI実験 MRI実験を7テスラ-30cm水平口径磁石(Bruker BioSpin MRI Gmbh、ドイツ)で、細胞注入の6〜10日後と、次いでラットが死ぬまで2〜3日毎に実施した。動物を麻酔(1.5%イソフルラン、1.5L/mn酸素)し、MRプローブ(Bruker BioSpin MRI Gmbh、ドイツ)に置いた。ヘッドコイル(Bruker BioSpin MRI Gmbh、ドイツ)をその頭につけ、脳を配置した。腫瘍成長モニタリング T1/T2強調画像を二重エコーマルチスライススピンエコー法により得た。厚さ1mm、スライス間距離1mmの24の軸方向スライスを、反復時間2369.64ms、エコー時間17.41msおよび63.85ms、収集時間20分間で取得した。腫瘍体積はImageJ 1.32jソフトウェア(NIH、USA)で測定した。血管造影 冠状スライスをFLASH(高速低アングルショット)法により、関心対象の体積2.7×1.7×1.2cm3、エコー時間2.3ms、反復時間25msおよびフリップ角25°、収集時間27分間で獲得した。次いで、MIP(最大値投影)技術をデータに適用して、3D血管造影を得た。血管造影法を用いて新血管形成、すなわち、血管新生を可視化した。MRS実験 水抑制をCHESS(化学シフト抑制)法により実施した。スペクトルを、PRESS(点解像分光法)を反復時間3000ms、エコー時間21.34ms、収集時間13分間で用いて、脳の腫瘍領域および対側対照測で4×4×4cm3ボクセルで獲得した。外側ボリューム抑制(outer volume suppression)ツールを用いて、ボクセル周りの厚さ5mmの周辺シグナルを除去した。代謝産物ピークを、過去の文献(Fanら、2004;Griffinら、2003)に基づき、以下のとおりに割り付けた:NAA:2.02ppm、Cr:3.03ppm、Cho:3.25ppmならびに移動性脂質:1.33ppm(メチレン基)および0.9ppm(メチル基)。ピーク面積をCrピークに関連して算出し、相対比をもとめた:NAA/Cho、NAA/Cr、Cho/Crおよび脂質/Cr。NAAレベルの低下および脂質の増加は神経膠腫存在の指標である(Ishimaruら、2001)。実施例2腫瘍成長モニタリング 図1A〜Iにおいて、対照ラットではC6細胞の「正常」な指数関数的成長が示される。手術日または5日後に開始したPBN処置は、当初は腫瘍成長を防止せず、対照ラットと同じ倍加時間(2.3〜2.4日)を示す。しかし、最大体積(150から250mm3の間)に達した後、腫瘍は退行し始め、ほとんど完全に消失する。手術の5日前に開始したPBN処置は、この設定で最も効率的であることが判明し、腫瘍成長は非常に遅くなり(倍加時間4.1日)、最大体積はわずか50mm3となった。9L/LacZ細胞を注入したラット4匹のうち2匹だけが腫瘍成長の遅延を示した(図2A〜D)。この細胞株は何らかの成長に関する問題があると思われ、C6細胞株との比較実験のためには、別の種類の進行性腫瘍細胞(例えば、F98)が必要であると考えられる血管造影 二つの細胞株は非常に異なる血管新生挙動を示す。C6神経膠腫は栄養供給源のために既存の血管を優先的に用い、すなわち、健常ラットの脳内血管よりも血管が太く見え(図4C、D)、時に腫瘍塊によって置き換えられる(図4B)。注入後6日目から、9L/LacZ細胞は腫瘍サイズがわずか5mm3であるにも関わらず、速やかに新しい血管を生成し始める(図4E)。注目すべきことに、PBN処置はC6神経膠腫における血管新生を誘導しないようであった。次の段階は腫瘍の画像と対応する血管造影図を重ね、血管体積を見積もって、血管新生プロセスをより正確にモニターすることである。MRS実験 C6神経膠腫の成長中に、Cho/Cr、NAA/Crおよび特に脂質/Crの比が増大した(図5A、5B、および6)が、NAA/Choの比は比較的一定に保たれた。腫瘍が退行すると、比は正常に戻った。これは、MRSが例えば脂質/Cr比を追跡することにより腫瘍成長のモニタリングにおいて助けとなりうる有用な方法であることを示している。しかし、比は代謝産物の濃度の代用マーカーにすぎず、すなわち、例えば脂質とCrのレベルは両方とも変化する。次の段階は各代謝産物の絶対濃度を定量することである。結論 神経膠腫細胞注入の5日前に開始したPBN処置は、腫瘍成長の阻害において最も有効であることが判明した(図7)。図8A〜Cは、対照ラット脳(図8A)、C6ラット神経膠腫(図8B)、PBN処置(細胞植え込みの5日前)したC6ラット神経膠腫(図8C)の組織像(H&E染色)スライドを示し、PBN処置神経膠腫が腫瘍細胞の証拠を持たないことを明らかに示している。大きい新生物塊における悪性細胞(図8B)は外観が中等度に非定型的(グレードIIからIII)で、有糸分裂およびアポトーシスの形態はほとんどなかった。腫瘤1c)の大きい中心領域も壊死性であった。 PBNは腫瘍の形態およびその成長速度を明らかに変える。血管新生プロセスおよび代謝産物変化に対するその効果はまださらに評価する必要がある。C6および9L/LacZ神経膠腫は、MR血管造影により判明したとおり、非常に異なる血管新生挙動を示し、MR血管造影はヒトの診断において神経膠腫を区別するための有用な方法となりうる。代謝産物の比の変化は腫瘍成長および退行に非常に密接に従い、ヒトにおける神経膠腫を特徴づけるための方法としてさらに用いることもできる。実施例3−神経膠腫のPBN処置を用いる抗神経膠腫療法 図9は、C6神経膠腫のT2強調MR画像で、(上段)PBN処置なしで大脳内細胞移植後第7、10および17日;(中段)持続的PBN処置を細胞移植の5日前に開始、第7、16、21および27日;ならびに(下段)持続的PBN処置を細胞移植の14日後(腫瘍が>50mm3の時点)に開始、第7、16、22および29日の画像を示す。T2強調形態学的MRI法を用いた。結果は腫瘍成長が抑制され、PBNを腫瘍細胞移植の前または後に投与した場合に、腫瘍が後退することを示している。PBNを細胞移植前に投与した場合、神経膠腫成長は抑制され、試験した動物すべてで腫瘍の後退から消失が観察された(n=5)。PBNを神経膠腫生成が開始した後(臨床的に妥当なモデル)に投与した場合、腫瘍成長の後退(図9)と、試験した動物の40%でさらなる腫瘍生成の根絶(下記の図10および11)を引き起こした。 図10は、PBNを用いたC6神経膠腫の療法に対する成長曲線を示す。PBN未処置(黒菱形)、細胞移植5日前にPBN処置(黒四角)、および細胞移植14日後にPBN処置(黒三角)を行ったC6神経膠腫の腫瘍成長(腫瘍体積mm3)曲線。用いた方法はPBN未処置または処置した全C6神経膠腫のT2強調MR画像切片からの腫瘍体積のNIH ImageJ計算であった。結果は、すべてのPBN未処置ラットは第10〜12日から神経膠腫を発生し、腫瘍は第17〜24日に最大サイズに達することを示している。大脳内細胞移植5日前にPBN処置したすべてのラットで、C6神経膠腫は発生しないか、または最初にいったん生成した後、後退することが判明した。細胞移植14日後、すなわち腫瘍が最初>50mm3のサイズになった後にPBN処置したラットの40%で、C6神経膠腫は後退することが判明した。図11は、PBN未処置、大脳内細胞移植5日前にPBN処置、および細胞移植14日後にPBN処置を行ったラットの生存%データを、図10から得た生存データに基づいて示している。結果は、PBN未処置ラットは大脳内C6神経膠腫移植後25日以上生存しないことを示している。C6細胞移植5日前にPBN処置したラットでは80%が40日(試験終点)よりも長く生存し、C6細胞移植14日後にPBN処置したラットでは40%が40日よりも長く生存した。 図12は、PBN未処置、および細胞移植5日前にPBN処置を行ったF98神経膠腫(低グレード)の腫瘍成長(腫瘍体積mm3)曲線を示す。用いた方法はPBN未処置または処置した全F98腫瘍のインビボT2強調MR画像切片からの腫瘍体積のNIH ImageJ計算であった。結果は、すべてのPBN未処置ラットは第10〜12日から神経膠腫を発生し、腫瘍は第19〜20日に最大サイズに達することを示している。大脳内細胞移植5日前にPBN処置したすべてのラットで、F98神経膠腫は発生しないことが判明した。 図13は、血管新生に対するC6神経膠腫のPBN処置の効果を示す。PBN未処置(左図)およびPBN処置(右図、C6細胞移植5日前)ラット脳の神経膠腫領域からの正規化(脳の反対の対照側と比較)血液量。用いた方法はインビボMR血管造影データからの動脈シグナル強度の定量分析(発明者らの研究室で開発したMathematicaを基本とするプログラムを用いて)であった。神経膠腫領域動脈血液量を対側の対照脳半球における血液量と比較した。結果は、腫瘍血液量はPBN未処置C6神経膠腫で増大し、血管新生を示しているが、大脳内C6細胞移植5日前のPBN処置は血液量の抑制および/または減少をきたすことを示している。 図14は、代謝産物分光分析について示す。(右図)正常脳領域(対照)と比較しての、PBN未処置(C6神経膠腫)ならびにPBN処置(C6神経膠腫PBN D-5(PBNを細胞移植5日前に投与)、およびC6神経膠腫PBN D+15(PBNを細胞移植14〜15日後に投与)ラットの神経膠腫腫瘍領域における画像誘導下MR分光分析。(左図)細胞移植5日前に処置したC6神経膠腫のN-アセチルアスパラギン酸(NAA)とコリン(Cho)、および脂質(1.3ppm)とクレアチン(Cr)の代謝産物レベル比。用いた方法は、インビボでラットの対照の選択領域または腫瘍領域の125mm3またはマイクロリットル量での、画像誘導下MR分光分析であった。MRスペクトルのピーク面積をBruker XWIN NMRピーク積分ソフトウェアパッケージを用いて測定した。結果は、ラットをPBN処置した場合、NAA(神経細胞生存度のマーカー)レベル(コリン(Cho)レベルと比較して)が正常値まで上昇し、脂質(腫瘍成長のマーカー)レベル(クレアチン(Cr)レベルと比較して)が正常値まで低下することを示している。 図15は、PBNの主要代謝産物である4-ヒドロキシ-PBNをC6細胞移植5日前に飲水中で持続投与(75mg/kg/日)した、C6神経膠腫細胞大脳内移植のT2強調MRIを示す図である。4-ヒドロキシ-PBNは試験した動物(n=5)の40%で腫瘍成長を抑制および後退させることが判明した。図16は、NIH Image Jソフトウェアにより測定した主要体積を示す。4-ヒドロキシ-PBNは試験した動物(n=5)の40%で腫瘍成長を抑制および後退させることが判明した。図17は、4-ヒドロキシ-PBNが試験した動物(n=5)の40%で腫瘍成長を抑制および後退させることを示す。図18および19はそれぞれ、4-ヒドロキシ-PBN処置したC6神経膠腫の形態学データおよび血管造影データを示す。腫瘍成長および血管新生の低減が試験した動物5匹のうち2匹で認められた。実施例4−PBNおよびHIF-1 前述のとおり、ニトロンは強力な抗癌剤であることが明らかにされている。特に、発明者らはPBNがラットモデルの神経膠腫および膠芽腫の発生を予防する際に非常に有効であることを見いだした。メカニズム試験は、PBNの活性は誘導性酸化窒素合成酵素(iNOS)の誘導を抑制する能力に強力に結びついており、したがって標的組織における高いレベルの酸化窒素(NO)生成を防止することを示している。いくつかのヒト腫瘍ならびに癌の動物モデルで行われた多くの試験に対する発明者らの解釈は、適度のレベルのiNOSにより生じたNOは、腫瘍の持続的成長および発生を増強する非常に重要な物質であることを明らかに示している。PBNは、NO生成を防止することにより、特にiNOSの発現を阻害することにより、腫瘍成長および発生を阻害するよう作用する。発明者らのバックグラウンド試験は、なぜiNOS/NOが腫瘍発生において重要であるかを説明し、なぜ特定のニトロンが多大な商業的可能性を有する有効な抗癌剤であると期待されるのかを説明する、強力な科学的メカニズムの基礎を提供する。 最近、発明者らは、PBNが侵襲性細胞成長に関連するチロシンキナーゼ阻害剤のc-METを阻害することを示した。加えて、ごく最近の結果は、PBNがいくつかの癌細胞でHIF-1αの誘導を阻害することを示している。HIF-1αはVEGFならびにiNOSおよび癌の発生において非常に重要な多くの他の遺伝子の誘導にとって中心となる主要なトランス活性化因子である。VEGFは腫瘍成長に必須の血管新生において非常に重要で、いくつかの抗癌剤の主要な標的である。したがって、HIF-1α誘導および/またはc-MET(HIF-1αに関連)のPBN阻害に関する知見は、これらの化合物が広範な癌において活性であり、発明者らのアプローチは新規であることを示している。PBNが進行性ヒト結腸癌細胞株、HCT116においてHIF-1αの誘導を阻害することを示す実験結果を図20に示す。図21は、PBNがマウス肝細胞癌細胞株においてHIF-1αの誘導を阻害することを示す。 本明細書に開示し、特許請求する組成物および方法はすべて、本開示に照らせば過度の実験を行うことなく調製および実行することができる。本発明の組成物および方法を好ましい態様に関して記載してきたが、当業者であれば、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、組成物および方法ならびに方法の段階または一連の段階において変更を適用することができることが明らかであると思われる。より具体的には、化学および生理学両方の面で関連する特定の物質を本明細書に記載の物質と置き換えてもよく、同じまたは類似の結果が得られることが明らかであると思われる。そのような当業者には明らかな類似の置換および改変はすべて、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神、範囲および概念の範囲内であると思われる。引用文献 以下の引用文献は、それらが本明細書に示すものの補助となる例示的方法または他の詳細を提供する程度に、特に参照により本明細書に組み入れられる。米国特許第4,859,452号米国特許第4,925,835号米国特許第5,569,902号 下記の図面は本明細書の一部をなし、本発明の特定の局面をさらに示すために含まれる。本発明はこれらの図面の一つまたは複数を、本明細書に示す具体的態様の詳細な説明と組み合わせて参照することにより、よりよく理解されると思われる。図1A〜1Iは、C6神経膠腫のT2強調画像を示す図である。対照ラット、術後第10日(図1A)、第18日(図1B)および第25日(図1C);PBN処置を手術日に開始したラット、術後第11日(図1D)、第23日(図1E)および第39日(図1F);PBN処置を手術の5日前に開始したラット、術後第10日(図1G)、第34日(図1H)および第39日(図1I)。図2A〜Dは、9L/LacZ神経膠腫のT2強調画像を示す図である。対照ラット、術後第6日(図2A)および第17日(図2B);PBN処置を手術の5日前に開始したラット、第6日(図2C)および第14日(図2D)。対照ラットおよびPBN処置ラットのC6神経膠腫の倍加時間および腫瘍成長曲線を示す図である。測定は手術日、5日前および5日後に行った。図4A〜Eは、血管造影図を示す図である。画像は腫瘍のないラット(図4A);C6神経膠腫を有するラットでPBN処置なし、第23日(図4B);C6神経膠腫を有するラットでPBN処置を手術日に開始、第30日(図4C);C6神経膠腫を有するラットでPBN処置を5日前に開始、第30日(図4D);および9L/LacZ神経膠腫を有するラットでPBN処置なし、第13日(図4E)から得た。図5A〜Bは、腫瘍領域(図5B)および反対の対照側(図5A)における分光検査に用いたボクセルの例を示す図である。これらのボクセルから得たスペクトルはコリン(1)、クレアチン(2)、NAA(3)および移動性脂質(メチレン(4)およびメチル脂質水素(5))のピークを示す。代謝産物の比を示す図である。データはC6神経膠腫を有し、PBN処置を手術日に開始したラットの分光検査により得た。MRIによる腫瘍体積を示す図である。ラットにC6神経膠腫を移植し、PBN(75mg/kg/日、飲水)で細胞移植の5日前(赤)、移植日(黄)もしくは移植の5日後(緑)のいずれかに処置したか、またはPBN処置を行わなかった(青)。左上の挿入図は、対照(con)および神経膠腫(tum)からのPBNおよび無PBN脳組織のiNOSウエスタンブロットである。右のMR画像は、PBN処置なしの移植25日後(上)およびPBN処置ラット(移植の5日前)(下)の神経膠腫を示す。図8A〜Cは、対照、未処置またはPBN処置したラット脳の組織像(H&E)を示す図である。ラット脳は正常(図8A)、C6神経膠腫注入(図8B)またはC6神経膠腫注入の5日後にPBN処置(図8C)のいずれかであった。PBN処置したC6神経膠腫ラット脳は対照ラット脳と同様に見える神経細胞を有することに留意されたい。未処置C6神経膠腫は外観が非定型的(グレードIIからIII)で、有糸分裂およびアポトーシスの形態はほとんど見られない。抗神経膠腫療法/C6神経膠腫のPBN処置について示す図である。C6神経膠腫のT2強調MR画像、(上段)PBN処置なしで大脳内細胞移植後第7、10および17日;(中段)持続的PBN処置を細胞移植の5日前に開始、第7、16、21および27日;ならびに(下段)持続的PBN処置を細胞移植の14日後(腫瘍が>50mm3の時点)に開始、第7、16、22および29日。用いた方法はT2強調形態学的MRIである。抗神経膠腫療法/C6神経膠腫成長-PBN処置について示す図である。PBN未処置(黒菱形)、細胞移植5日前にPBN処置(黒四角)、および細胞移植14日後にPBN処置(黒三角)を行ったC6神経膠腫の腫瘍成長(腫瘍体積mm3)曲線。用いた方法はPBN未処置または処置した全C6神経膠腫のT2強調MR画像切片からの腫瘍体積のNIH ImageJ計算である。抗神経膠腫療法/生存パーセントについて示す図である。PBN未処置、大脳内細胞移植5日前にPBN処置、および細胞移植14日後にPBN処置を行ったラットの生存パーセント(%)データ。図10から得た生存データに基づいている。抗神経膠腫療法/F98神経膠腫成長-PBN処置について示す図である。PBN未処置、および細胞移植5日前にPBN処置を行ったF98神経膠腫(低グレード)の腫瘍成長(腫瘍体積mm3)曲線。用いた方法はPBN未処置または処置した全F98腫瘍のインビボT2強調MR画像切片からの腫瘍体積のNIH ImageJ計算である。抗神経膠腫療法/C6神経膠腫血管新生-PBN処置について示す図である。PBN未処置(左図)およびPBN処置(右図、C6細胞移植5日前)ラット脳の神経膠腫領域からの正規化(脳の反対の対照側と比較)血液量。用いた方法はインビボMR血管造影データからの動脈シグナル強度の定量分析(発明者らの研究室で開発したMathematicaを基本とするプログラムを用いて)であった。神経膠腫領域動脈血液量を対側の対照脳半球における血液量と比較した。抗神経膠腫療法/代謝産物分光分析について示す図である。(右図)正常脳領域(対照)と比較しての、PBN未処置(C6神経膠腫)ならびにPBN処置(C6神経膠腫PBN D-5(PBNを細胞移植5日前に投与)、およびC6神経膠腫PBN D+15(PBNを細胞移植14〜15日後に投与)ラットの神経膠腫腫瘍領域における画像誘導下MR分光分析。(左図)細胞移植5日前に処置したC6神経膠腫のN-アセチルアスパラギン酸(NAA)とコリン(Cho)、および脂質(1.3ppm)とクレアチン(Cr)の代謝産物レベル比。用いた方法は、インビボでラットの対照の選択領域または腫瘍領域の125mm3またはマイクロリットル量での、画像誘導下MR分光分析であった。MRスペクトルのピーク面積をBruker XWIN NMRピーク積分ソフトウェアパッケージを用いて測定した。ラット脳におけるC6神経膠腫のT2強調MR画像を示す図である。(上段)4OH-PBN未処置ラット(C6細胞移植の5日前)、C6神経膠腫細胞同所性移植後第10、15および18日。(中段)4OH-PBNで処置したが処置効果が見られなかったラット(n=3)、第7、12および16日。(下段)4OH-PBNで処置して効果が見られたラット(n=2)、第7、16および29日。ラットのC6神経膠腫の腫瘍成長曲線を示す図である。4OH-PBN未処置ラット(青)および4OH-PBN処置ラット(図15に記載のとおり)。ラットのC6神経膠腫に対する生存データを示す図である。4OH-PBN未処置ラット(青)および4OH-PBN処置ラット(図15に記載のとおり)。MRIによる腫瘍形態学を示す図である。Fischer 344ラットにおける5つのC6神経膠腫系統の腫瘍体積に対する4-ヒドロキシPBNの効果。抗神経膠腫療法を示す図である。4-ヒドロキシPBNによる処置後、C6神経膠腫の血管新生(10本の線)をモニターする。4OH-PBN未処置および4OH-PBN処置C6神経膠腫の正規化動脈血量。PBNによるIGF-1誘導性HIF-1α発現阻害を示す図である。20%O2で培養したHCT-116細胞におけるIGF-1誘導性HIF-1α発現に対するPBNの阻害効果。HIF-1αのバンド密度を、陽性対照として用いたCoCl2のバンドにより正規化した。PBNによるIGF-1誘導性HIF-1α発現阻害を示す図である。Hepa 1-6細胞におけるIGF-1誘導性HIF-1α発現に対するPBNの阻害効果。HIF-1αのバンド密度を、陽性対照として用いたCoCl2のバンドにより正規化した。 神経膠腫の血管新生、成長または拡散を阻害するのに有効な用量のニトロンフリーラジカル捕捉剤を、神経膠腫を有するヒト対象に投与する段階を含む、神経膠腫の血管新生、成長または拡散を阻害する方法。 ニトロンフリーラジカル捕捉剤がN-アルキルニトロンフリーラジカル捕捉剤である、請求項1記載の方法。 薬剤がフェニルN-tert-ブチルニトロン、3-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、2-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、2-スルホキシフェニルN-tert-ブチルニトロンもしくは4-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、またはその誘導体である、請求項1記載の方法。 ヒト対象が再発性または転移性神経膠腫を有する、請求項1記載の方法。 ヒト対象が以前に一つまたは複数の抗神経膠腫療法に失敗している、請求項1記載の方法。 有効用量が1日に体重1kgあたり約5から約150mgである、請求項1記載の方法。 投与を食事投与、経口投与または静脈内注射を通じて行う、請求項1記載の方法。 経口投与を丸剤または液剤の形態で行う、請求項7記載の方法。 静脈内注射を注射用媒体を含む混合物の形態で行う、請求項7記載の方法。 食事投与を食物成分の補充を通じて行う、請求項7記載の方法。 有効量が投与する食事の約0.005w/w%から約0.1w/w%である、請求項10記載の方法。 神経膠腫が星状細胞腫、乏突起膠腫、または多形神経膠芽腫である、請求項1記載の方法。 (a)神経膠腫を発生する危険性のあるヒト対象を特定する段階、および(b)該神経膠腫の発生を阻害するのに有効な用量のニトロンフリーラジカル捕捉剤を該対象に投与する段階を含む、神経膠腫の発生を阻害する方法。 ニトロンフリーラジカル捕捉剤がN-アルキルニトロンフリーラジカル捕捉剤である、請求項13記載の方法。 薬剤がフェニルN-tert-ブチルニトロン、3-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、2-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、2-スルホキシフェニルN-tert-ブチルニトロンもしくは4-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、またはその誘導体である、請求項13記載の方法。 ヒト対象が癌の家族歴を有するか、または発癌環境に曝露されたことがある、請求項13記載の方法。 特異的な神経膠腫危険因子にN-ニトロソ化合物またはX線照射への曝露が含まれる、請求項16記載の方法。 有効用量が1日に体重1kgあたり約5から約150mgである、請求項13記載の方法。 投与を食事投与を通じて行う、請求項13記載の方法。 食事投与を食物成分の補充を通じて行う、請求項19記載の方法。 有効量が投与する食事の約0.005w/w%から約0.1w/w%である、請求項20記載の方法。 神経膠腫が星状細胞腫、乏突起膠腫、または多形神経膠芽腫である、請求項13記載の方法。 神経膠腫の発生を阻害するのに有効な用量のニトロンフリーラジカル捕捉剤を、以前に神経膠腫を有していた対象に投与する段階を含む、神経膠腫の再発を阻害する方法。 ニトロンフリーラジカル捕捉剤がN-アルキルニトロンフリーラジカル捕捉剤である、請求項23記載の方法。 薬剤がフェニルN-tert-ブチルニトロン、3-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、2-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、2-スルホキシフェニルN-tert-ブチルニトロンもしくは4-ヒドロキシフェニルN-tert-ブチルニトロン、またはその誘導体である、請求項23記載の方法。 神経膠腫が星状細胞腫、乏突起膠腫、または多形神経膠芽腫である、請求項23記載の方法。 有効用量が1日に体重1kgあたり約5から約150mgである、請求項23記載の方法。 神経膠腫の細胞内の誘導性酸化窒素合成酵素(iNOS)レベルを測定する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。 測定する段階が標識した抗iNOS抗体を用いるMRIを含む、請求項28記載の方法。 神経膠腫の組織内の酸化窒素(NO)レベルを測定する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。 測定する段階がNOスピン捕捉剤を用いるMRIを含む、請求項30記載の方法。 NOスピン捕捉剤がN-メチル-D-グルカミンジチオカルバメート(MGD)-Fe(II)-NO複合体である、請求項31記載の方法。 二次抗神経膠腫療法をさらに含む、請求項1記載の方法。 二次抗神経膠腫療法が化学療法である、請求項33記載の方法。 化学療法がロムスチン、ビンクリスチン、マチュレーン、PCV、BCNU、CCNUおよび/またはDFMOである、請求項34記載の方法。 二次抗神経膠腫療法が放射線である、請求項33記載の方法。 二次抗神経膠腫療法が手術である、請求項33記載の方法。 本発明は、神経膠腫の治療および予防におけるニトロンフリーラジカル捕捉剤の使用を含む。この薬剤は、神経膠腫の出現、再発、拡散、成長、転移、もしくは血管新生を治療または予防するために、単独で用いてもまたは他の伝統的な化学療法および放射線療法ならびに手術と組み合わせてもよい。


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