生命科学関連特許情報

タイトル:公表特許公報(A)_炎症
出願番号:2008520984
年次:2009
IPC分類:A61K 35/30,A61K 35/28,A61K 35/36,A61P 25/28,A61P 25/00,A61P 25/14,A61P 25/16,A61P 35/00,A61P 19/08,A61P 9/10,A61P 29/00,A61P 19/02,A61P 3/10,A61P 21/04


特許情報キャッシュ

プルチーノ,ステファノ マルティーノ,ギアンヴィート JP 2009501208 公表特許公報(A) 20090115 2008520984 20060712 炎症 フォンダツィオーネ セントロ サン ラファエレ デル モンテ タボール 507208417 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 プルチーノ,ステファノ マルティーノ,ギアンヴィート GB 0514300.3 20050712 A61K 35/30 20060101AFI20081212BHJP A61K 35/28 20060101ALI20081212BHJP A61K 35/36 20060101ALI20081212BHJP A61P 25/28 20060101ALI20081212BHJP A61P 25/00 20060101ALI20081212BHJP A61P 25/14 20060101ALI20081212BHJP A61P 25/16 20060101ALI20081212BHJP A61P 35/00 20060101ALI20081212BHJP A61P 19/08 20060101ALI20081212BHJP A61P 9/10 20060101ALI20081212BHJP A61P 29/00 20060101ALI20081212BHJP A61P 19/02 20060101ALI20081212BHJP A61P 3/10 20060101ALI20081212BHJP A61P 21/04 20060101ALI20081212BHJP JPA61K35/30A61K35/28A61K35/36A61P25/28A61P25/00A61P25/14A61P25/16A61P35/00A61P19/08A61P9/10A61P29/00A61P19/02A61P29/00 101A61P3/10A61P21/04 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW IB2006002896 20060712 WO2007015173 20070208 43 20080303 4C087 4C087AA01 4C087AA02 4C087AA03 4C087BB44 4C087BB45 4C087BB48 4C087CA04 4C087MA01 4C087NA14 4C087ZA01 4C087ZA02 4C087ZA15 4C087ZA16 4C087ZA18 4C087ZA94 4C087ZA96 4C087ZB11 4C087ZB15 4C087ZB21 4C087ZB26 4C087ZC35 本発明は炎症を低減するための多能性体性幹細胞の使用に関し、具体的には、中枢神経系障害に関連した炎症を治療するためのならびに神経変性障害での中枢性寛容および/または末梢性寛容を誘導するための成体神経幹細胞(aNSC)の使用に関する。 幹細胞は、それ自身を無制限に再生する能力を有する未分化の細胞であり、適切な条件の下で、ヒト体内において多種多様な成熟細胞型を生み出すことができる。正常細胞の喪失、または正常細胞に対する損傷を伴う任意の障害が幹細胞補充療法の候補になりうるので、幹細胞の可能性は奥深い。幹細胞からの臓器および組織発生、ならびにそれらのその後の移植によって、糖尿病、中枢神経系(CNS)障害、肝疾患、心疾患および自己免疫障害を含む、いくつかの病変に対する有望な治療が提供される。 幹細胞は大部分の臓器または組織において同定されている。おそらく、最も特徴付けられているのは造血幹細胞(HSC)である。骨髄、血液、臍帯血、胎児肝臓および卵黄嚢から単離されるHSCは前駆細胞であり、これは血液細胞を生み出しまたは、移植後、複数の造血系を再惹起し、レシピエントの生涯にわたって造血を再惹起することができる(米国特許第5,635,387号および米国特許第5,460,964号)。 研究されてきた別の成体幹細胞がaNSCである。aNSCは胎児脳の嗅球および脳室下帯において最初に同定された。最近まで、成体脳にはもはや幹細胞能を有する細胞は含まれていないと考えられていた。しかしながら、齧歯類、ならびに最近になって同様にヒト以外の霊長類およびヒトでのいくつかの研究によって、幹細胞が成体脳に存在し続けることが示されている。これらの幹細胞はin vivoにおいて増殖し、少なくとも一部の神経細胞をin vivoにおいて継続的に再生しうる。 CNS障害に対する幹細胞療法は、その衰弱性および広範な出現のため、格別の関心を抱かせている。CNS障害は、続発性神経変性(例えば、多発性硬化症(MS)、脊髄損傷(SCI)、脳損傷および脳卒中)をもたらす原発性炎症により、または続発性反応性炎症を伴う原発性神経変性(例えば、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病(HD)およびてんかん)により特徴付けられる多数の急性および慢性病を包含する。そのような障害の最終的な正味の影響は、CNSの特定の部分における神経細胞の喪失および/または変性であり、結果としてこれらの細胞またはその脳領域がその意図した機能を遂行できなくなり、このことが挙動の異常を引き起こす。 今日まで、CNS障害の治療は主に、医薬化合物の投与によっていた。不幸にも、この型の治療は、血液脳関門を横切って薬物を輸送する制限された能力、および薬物を長期間投与された患者が獲得する薬物耐性を含め、多くの問題を伴ってきた。したがって、幹細胞の使用は、これらの障害の治療において期待できる可能性がある。しかしながら、慢性炎症により特徴付けられるCNS障害を患う患者でのaNSCの移植は、再発またはCNS常在細胞、および移植された治療用細胞の両方を標的とし、破壊しうる持続的炎症によって治療効果がほとんどないかもしれない。 炎症は、傷害性の刺激の除去または中和、および組織の完全性の回復を目的とする自己防衛反応である。末梢性炎症と同様に、神経炎症は有害な過程になることがあり、それは多くの中枢神経系障害の発病の一因になりうると今では広く受け入れられている。CNS炎症はミエリン鞘の喪失または軸索の喪失を含め、ある程度の組織損傷と一般に関連しており、MSを有するヒト患者での主題である。 MSおよびその動物モデル、つまり実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)は炎症性の遅延型過敏反応に関連しており、サイトカインが細胞間シグナル伝達およびエフェクター機能のメディエーターとして主要な役割を果たしている。細胞接着分子、共刺激リガンドおよびマトリックスメタロプロテイナーゼは、自己免疫反応の間に同じくアップレギュレートされており、CNSへの白血球浸潤に関与している(Owens et al., Neurol. Clin. 13, 51-73 (1995))。組織損傷の結果として起こる炎症反応は、さらなる損傷の一因となりうる。 いくつかのサイトカイン、ケモカインおよび関連するメディエーターがEAEに関連付けられてきた。特に、Th1関連サイトカインIFN−γ、TNF−α、IL−6およびTh1誘導性のサイトカインIL−12は、活動性疾患または再発に関連しているのに対し、Th−2サイトカインIL−4、IL−10およびIL−13は、疾患の寛解または抑制のいずれかに関連している(Owens et al., Nature Medicine 7 161-166 (2001))。 組織炎症を低減するうえで有効な治療法を開発する必要性が残っている。本出願はこの問題に取り組む。 本発明は意外にも、幹細胞が炎症の低減により組織防御を誘導するその能力によって慢性炎症性CNS(および非CNS)障害においてかなりの治療用途を有することを明らかにする。 本発明者らは、全身注射によって、未分化成体幹細胞がこれまでに同定されていない免疫様機能を発揮することで脳修復を促進することを明らかにした。具体的には、本発明者らは、SJLマウスでの再発性EAE(R−EAE)のような、実験的免疫性CNS障害において、aNSCの移植が抗炎症性Th2、血液由来(blood-borne)CNS浸潤性細胞ではなく、前炎症性Th1細胞の生体内(in situ)での(すなわち、炎症を起こしたCNS血管周囲領域での)プログラム細胞死を誘導することで顕著な神経保護を発揮することを実証した。さらに、移植されたaNSCは、未分化表現型も顕著な増殖能および免疫調節能の両者を維持することで再発性の炎症症状の発現を切り抜けて生存し、このようにして慢性的な神経組織の喪失および疾患関連の障害を長期にわたって防ぐことができる[Pluchino et al., Nature 436: 266-271 (2005)]。すなわち、CNS炎症性の微小環境は、生物学的経路(例えば、脳脊髄液、血流)を通じて注入されたaNSCの、運命(および治療効果の機構)を決定付けている。ある特定の状況では、B6マウスでの慢性EAE(C−EAE)の場合のようにとりわけCNS変性がまん延している場合には、移植されたaNSCは内因性のミエリン産生細胞に有利に働いて、成熟した表現型を獲得することや損傷した神経細胞に置き換わることもできる[Pluchino et al., Nature 422: 688-694 (2003)]。 CNS障害の治療に免疫調節性の成体幹細胞を用いることの利点のいくつかを以下に概略する:・治療用成体幹細胞は未分化細胞として増殖因子の存在下で増殖し、実質的に無限な数の移植可能な細胞の発生を可能にすることができる。 ・静脈内に注射された神経幹細胞は、恒常的に機能するホーミング分子(例えば、α4インテグリン、CD44およびGタンパク質共役受容体(GPCR))を用いて、CNSの炎症を起こした血管周囲領域のなかに選択的に蓄積し、これが病原性のCNS浸潤性血液由来リンパ球/単球によって通常使用される。 ・CNSのなかで、移植された神経幹細胞は血管周囲領域に蓄積し、ここで反応性アストロサイト、炎症性内皮細胞および脳炎誘発性T細胞が主要な幹細胞調節因子の局所放出を通じてCNSの「非定型的な血管周囲のニッチ」形成に寄与する。これらの新たに形成されたニッチ様の血管周囲領域のなかで、移植されたaNSCは、移植後に未分化表現型を選択的に維持し、CNS炎症の反復発現を脱し、その反復発現を切り抜けて生存することが潜在的に可能である。 ・相当数(例えば7〜8%)の移植神経幹細胞は同様に、in vivoにおいて増殖能を維持し、このようにして、特異的な環境シグナルに応じてそのin vivoでの運命(増殖;静止;遊走および分化)を調節することが潜在的に可能である。 本発明は幹細胞を介した免疫調節機構に関する。本発明者らは、成体神経幹細胞が炎症性CNS疾患および神経変性疾患において中枢性寛容と末梢性寛容の両方を誘導する能力を示すことを観察した。実際に、本発明者らは、神経系(neural-committed)幹細胞が血液由来CNS浸潤性前炎症性Th1細胞のプログラム細胞死(アポトーシス)の誘導(中枢性寛容)(Pluchino et al (1995) Nature 436:266-271)を通じてまたは/および、例えば、MSでの末梢性(例えば、二次リンパ器官の)寛容において免疫寛容をもたらす二次免疫調節機構を通じて慢性炎症性CNS疾患における炎症を阻止または軽減できることを明らかにした。 したがって、本発明者らは、成体神経幹細胞を用いてCNSおよび非CNSの炎症状態を治療する新たな方法を構想する。実際に、成体神経幹細胞は大規模な細胞補充を介して治療上有効であるというよりは、CNS(またはその他の)炎症性疾患において慢性炎症を阻止するおよび/または阻害するための強力な免疫調節薬として使用することができる。 本発明の1つの態様によれば、中枢神経系障害の治療用医薬の調製のための、aNSCの使用が提供される。 本発明の別の態様によれば、前記の疾患に罹患した患者において中枢神経系障害を治療する方法であって、治療上有効量のaNSCを患者に投与するステップを含む方法が提供される。 本発明の別の態様によれば、中枢性寛容および/または末梢性寛容を誘導するための医薬の調製のための、幹細胞の使用が提供される。 本発明の別の態様によれば、患者において中枢性寛容および/または末梢性寛容を誘導する方法であって、治療量の幹細胞を患者に投与するステップを含む方法が提供される。 本発明の別の態様によれば、炎症を低減させることによる組織防御を誘導するための医薬の調製のための、幹細胞の使用が提供される。 本発明の別の態様によれば、炎症に罹患した患者において炎症を低減する方法であって、治療上有効量の幹細胞を患者に投与するステップを含む方法が提供される。 好ましくは炎症は中枢神経系障害に関連したものであり、より好ましくは慢性の中枢神経系障害に関連したものである。 1つの実施形態では、疾患は関節リウマチまたは1型糖尿病などの、慢性炎症を特徴とする全身性障害または臓器特異的障害である。 本発明の別の態様によれば、中枢神経系浸潤性前炎症性T細胞のアポトーシスを誘導するための医薬の調製のための、幹細胞の使用が提供される。 本発明の別の態様によれば、前記の疾患に罹患した患者において中枢神経系障害を治療する方法であって、治療上有効量の幹細胞を患者に投与することにより中枢神経系浸潤性前炎症性T細胞のアポトーシスを誘導するステップを含む方法が提供される。 好ましくは、前炎症性T細胞は血液由来CD45+炎症性細胞である。 好ましくは幹細胞は胚性幹細胞ではなく、より好ましくはヒト胚性幹細胞ではない。 好ましくは幹細胞は分化万能性(pluripotent)細胞ではなく、より好ましくはヒト分化万能性細胞ではない。 好ましくは幹細胞は全能性細胞ではなく、より好ましくはヒト全能性細胞ではない。 好ましくは、幹細胞は多能性幹細胞である。 1つの実施形態では、幹細胞は多能性体性幹細胞である。 好ましくは、多能性体性幹細胞は神経細胞である。 好ましくは、aNSCは成体脳または脊髄由来である。これは胎児脳または脊髄由来のaNSCを含む。 好ましくは、aNSCは脳室下帯由来である。 1つの実施形態では、先に定義の幹細胞はCNSの炎症を起こした損傷などの、炎症部位への標的化部分を発現している。幹細胞は標的化部分を発現するように遺伝的に改変されてもよい。 好ましくは、幹細胞は炎症を起こした領域の選択的な標的化を可能にする、インテグリン、細胞接着分子(CAM)または機能的ケモカイン受容体を発現している。 好ましくは、インテグリンはα4インテグリン超後期抗原(VLA)−4である。 好ましくは、CAMは、ヒアルロン酸を結合する広範に発現した分子CD44である。 好ましくは、ケモカイン受容体はCCR2、CCR5、CXCR3およびCXCR4からなる群より選択される。 別の実施形態では、本発明において使用される幹細胞は、プロアポトーシス分子を発現している。前記幹細胞はプロアポトーシス分子を発現するように遺伝的に改変されてもよい。 好ましくは、プロアポトーシス分子は、FasL、Apo3LおよびTRAILなどの、主要細胞死受容体(major death receptor)リガンドである。 1つの実施形態では、幹細胞は哺乳動物、例えば、ネズミ、ヒト、霊長類、ブタ、ネコまたはイヌのものである。 別の実施形態では、医薬および/または治療は中枢神経系障害の発症後に施される。 好ましくは、中枢神経系障害は慢性中枢神経系障害である。 好ましくは、中枢神経系障害は神経変性障害である。 中枢神経系障害の例としては認知症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、脳腫瘍、急性脊髄損傷および虚血性脳卒中が挙げられるが、これらに限定されることはない。 好ましくは、本発明において使用される幹細胞は静脈内または髄腔内に投与されるものである。 本発明の別の態様によれば、中枢神経系障害に関連した炎症(神経炎症)を低減させることにより組織防御を誘導する方法であって、以下のステップ: (i)中枢神経系障害に罹患した患者での幹細胞投与のために、炎症に関連するタイムウィンドウを特定するステップ;および (ii)該患者に幹細胞を投与するステップを含む方法が提供される。 好ましくは、磁気共鳴画像法を用いて炎症を特定する。 前記方法において使用される幹細胞は、上記に定義の任意の幹細胞とすることができる。 好ましくは前記方法において使用される幹細胞は胚性幹細胞ではなく、より好ましくはヒト胚性幹細胞ではない。 好ましくは前記方法において使用される幹細胞は分化万能性細胞ではなく、より好ましくはヒト分化万能性幹細胞ではない。 好ましくは前記方法において使用される幹細胞は全能性細胞ではなく、より好ましくはヒト全能性幹細胞ではない。 好ましくは、幹細胞は中枢神経系障害、好ましくは慢性の中枢神経系障害の発症後に投与されるものである。 1つの実施形態では、前記方法により治療される中枢神経系障害は、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、脳腫瘍、急性脊髄損傷および虚血性脳卒中からなる群より選択される。 より好ましくは、中枢神経系障害は多発性硬化症、脳腫瘍、脊髄損傷および虚血性脳卒中からなる群より選択される。 好ましくは、前記方法において投与される幹細胞は静脈内または髄腔内に投与されるものである。詳細な説明 本発明の実践にあたって、特に指定のない限り、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学の従来技術を利用するが、これらは当業者の能力の範囲内である。そのような技術は文献に説明されている。例えば、J. Sambrook, E. F. Fritsch, and T. Maniatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Books 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Ausubel, F. M. et al. (1995および定期的な補遺; Current Protocols in Molecular Biology, 9章, 13章, および16章, John Wiley & Sons, New York, N.Y.); B. Roe, J. Crabtree, and A. Kahn, 1996, DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques, John Wiley & Sons; J. M. Polak and James O'D. McGee, 1990, In Situ Hybridization: Principles and Practice; Oxford University Press; M. J. Gait (Editor), 1984, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, Irl Press; D. M. J. Lilley and J. E. Dahlberg, 1992, Methods of Enzymology: DNA Structure Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology, Academic Press; ならびにE. M. Shevach and W. Strober, 1992および定期的な補遺, Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, New York, NYを参照されたい。これらの一般教科書の各々は参照により本明細書に組み入れられる。幹細胞 幹細胞は、無期限に増殖する能力も特定の種類の細胞に分化する能力もともに有する、未分化な原始細胞である。哺乳動物幹細胞は、ES、EGもしくはEC細胞などの、哺乳動物胚に由来する分化万能性細胞株とすることができ、または多能性かつ成体由来のものとすることができる。哺乳動物幹細胞はネズミ、ヒトまたはその他の霊長類(例えば、チンパンジー、カニクイザル、ヒヒ、およびその他の旧世界ザル)、ブタ、イヌ、ウマならびにネコなどの、任意の哺乳類動物種由来のものとすることができる。 分化万能性幹細胞は、体内の任意の分化細胞を作出する潜在能を持った幹細胞である。 多能性幹細胞は、より多くの幹細胞を生み出す(自己再生を示す)およびそれらが得られる組織の細胞型に最終分化しうる子孫を生み出す広範な増殖能を持った未分化細胞と特徴付けられる。 全能性細胞は、生物全体に発達する潜在能を持った細胞と定義される。胚性幹細胞 胚性幹(ES)細胞は、着床前の胚盤胞期胚の分化万能性内細胞塊(ICM)細胞に由来する幹細胞である。胚盤胞の増殖(outgrowth)培養によって異なるタイプの細胞コロニーを生じ、この一部が未分化表現型を有する。これらの未分化細胞を支持細胞層に継代培養すると、それらは増えて、不死のように見える樹立ES細胞株を形成することができる。これらの分化万能性幹細胞は、in vitroにおいて胚の3種類の一次胚葉に対応する多種多様な細胞型に分化することができる。ES細胞を得る方法は、例えば、Evans et al. 1981; Nature; 29; 154-156から分かる。 ヒト分化万能性幹細胞を単離する方法は、例えば、Trounson, A. O. Reprod. Fertil. Dev 2001; 13 (7-8): 523-32によって記述されている。単離には支持細胞(および20%ウシ胎仔血清)または支持細胞由来の馴化培地が必要になる。分化万能性細胞を産生するための別の方法は、国際公開第01/30978号から知られており、この中には全ての雄性または雌性由来DNAを含有する卵母細胞からの分化万能性細胞の誘導が記述されている。さらに、幹細胞様の株は、例えば、国際公開第01/19777号に記述されているように異種間の核移植によって、例えば、国際公開第01/00650号に記述されているようにレシピエント細胞を脱分化するための細胞質移入によって、または分化能増強のために分化万能性幹細胞を用いて細胞を「再プログラミング」することによって(国際公開第02/14469号参照)産生することができる。成体幹細胞 好ましくは、本発明において使用される幹細胞は成体幹細胞である。成体幹細胞は組織または臓器内の分化細胞のなかに見出される未分化細胞であり、これはそれ自身を再生することができ、組織または臓器の主要な特殊細胞型を生じるよう分化することができる。 成体幹細胞は間葉細胞、造血細胞、神経細胞および上皮細胞を含む。任意の哺乳動物幹細胞を使用してもよいが、この幹細胞は適切にはネズミ、ヒト、ブタ、霊長類、ネコまたはイヌのものである。好ましくは、成体幹細胞は神経幹細胞である。 好ましくは、成体幹細胞は多能性である。神経幹細胞 神経幹細胞は、成体神経組織に見出される幹細胞であり、ニューロン、アストロサイトおよびオリゴデンドロサイトを生み出すことができる。神経幹細胞の概説はGalli et al., Circulation Research 92 (6):598; Gage FH. Science. 2000; 287: 143-1438に示されている。 限られた脳領域内に真正の神経幹細胞(NSC)の機能特性を保有する前駆細胞が残留することで、ニューロンを含む細胞の代謝回転が、成熟したCNSで起こることが最近になって明らかにされている。幹細胞は脳室下帯(SVZ)、つまり側脳室の側壁長に沿って位置する分裂細胞の薄層と、海馬、つまり側頭葉内部の皮質との両方から単離することができる。実際に、成体哺乳動物脳では、新たなニューロンの発生が海馬歯状回の顆粒下層および側脳室の脳室下帯(SVZ)において相次いで実証されている(Galli et al., Circulation Research 92 (6):598; Gage FH. Science. 2000; 287: 1433-1438; Luskin MB. Neuron. 1993; 11; 173-189; Lois C, Alvarez-Buylla A. Science. 1994; 264: 1145-1148)。 SVZには4種類の主要な細胞型:新生ニューロン、アストロサイト、急速に分裂する前駆細胞、および上衣細胞が含まれる。急速に分裂する未成熟な前駆細胞は、SVZのアストロサイトの突起によって形成されたグリア管を移動する新生ニューロンの鎖と密接に結び付いている。それらは鎖のネットワークに沿った局所クラスタ内に散乱している。多線毛(multiciliated)上衣細胞は脳室腔を裏打ちしている。一連の所見から、特定の型のSVZアストログリア細胞が実際の神経幹細胞であることが示唆される(Alvarez-Buylla A., J Neurosci. 2002; 22: 629-34)。 NSCは、成熟実質組織が第4脳室または脊髄などの、上衣単層と直接的に接触している非標準的な(non-canonical)神経に起因する脳室周囲領域(neurogenic periventricular regions)から単離され、in vitroにおいて増殖されうることが明らかにされている(Johansson et al., Cell. 1999; 96: 25-34)。 特異的マーカーの欠如からNSCの一義的な同定および特徴付けが阻まれてきたが、最近になって、推定上の幹細胞マーカーであるAC133、PNAlow/HSAlow、およびLeX/ssea−1が同定された(Uchida et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2000; 97: 14720-14725; Rietze et al., Nature. 2001; 412: 736-739; Capela et al., Neuron. 2002; 35: 865-875)。 特異的な系の使用によりex vivoでのNSCの単離および増殖が可能になっており、ヒトを含めて、さまざまな生物種からのNSC株の樹立ができるようになっている(Gage, Science. 2000; 287: 1433-1438; McKay, Science. 1997; 276; 66-71; Gritti et al., Cultures of stem cells of the central nervous system. Chapter 14. In: Fedoroff S, Richardson A, eds. Protocols for Neural Cell Culture. 3rd ed. Totowa, NJ: Humana Press; 2001)。 適切な条件下でならびに分裂促進因子(上皮増殖因子(EGF)および/または線維芽細胞増殖因子[FGF])の存在下で、成体哺乳動物脳の特定の神経原性領域、例えば、薄層(stratum)、SVZ、海馬および嗅球から、急速に分裂する前駆細胞の増殖を誘導することが可能である(Gritti et al., J Neurosci 19, 3287-97 (1999); Gritti et al., J Neurosci 16, 1091-100 (1996))。少なくともin vitroにおいて、これらの前駆細胞は真正幹細胞の判定基準の大部分を満たす(Gritti et al., J Physiol Paris. 2002; 96: 81-90; Vescovi et al., Brain Pathol. 1999; 9: 569-598; Weiss et al., Trends Neurosci. 1996; 19: 387-393)。分裂促進因子の除去により、NSCの子孫はCNSの3種の主要な細胞型(アストロサイト、オリゴデンドロサイトおよびニューロン)に速やかに分化する(McKay R. Science (1997) 276: 66-71)。 この方法に関する最も重要な概念は、それが、不均質な初代培養において、より方向付けされた(committed)前駆細胞および/または分化した成熟細胞が急速に死滅し、このようにして除去されるのに対し、未分化NSCは正に選択されて、活性な増殖状態に到達するよう強いられる選択的な系に相当するということである。NSCは、初めは接着細胞として増殖し始め、それから互いに付着し、最終的には浮遊状態で浮かびかついわゆる「神経スフェア」(neurosphere)を形成する球状のクラスタをもたらす。神経スフェアをもたらす際に、NSCは多数の対称性細胞分裂を起こし、これによって2つの新たなNSCが各サイクルで生み出される。神経スフェアに見出されるNSCの子孫のすべてが幹細胞であるとは限らない。実際に、これらの子孫の10%〜50%だけが幹細胞の特徴を保持し、残りのものは、自発的分化を起こす細胞である。その結果として、神経スフェアのサイズおよび培養の時間に応じ、神経スフェアは神経幹細胞、一過性増殖(transit-amplifying)神経前駆細胞、分化中の前駆細胞、さらには分化したニューロンおよびグリアの混合物である。これが、収集の後、機械的分離を行うことによっておよび同じ成長条件下にて再プレーティングすることによって神経スフェアを継代培養する理由である。初代培養と同様に、分化中の/分化した細胞は急速に死滅するが、NSCは増殖し続け、結果的に多くの二次的な神経スフェアおよびin vitroでの指数関数的成長をもたらす。このようにして、安定だが不均質なNSC細胞株を得ることができる(Galli et al., Circ. Res 92, 598-608 (2003))。これらの特性により、遺伝子導入/遺伝的に改変されている持続的マウス(Galli et al., Development. 2002; 129: 1633-1644)またはヒトNSC株(Carpenter et al., Exp Neurol. 1999; 158: 265-278; Vescovi et al., Exp Neurol. 1999; 156: 71-83)を樹立することが可能とされている。 したがって、本発明の範囲内で「aNSC」という用語は、成体神経前駆細胞(aNPC)を含むことを理解されたい。それには同様に、例えば神経スフェアから誘導できる、ならびにaNSCおよびaNPCの少なくとも1つまたはその組み合わせを含む、細胞の混合群が含まれることができる。炎症および慢性の中枢神経系障害 本明細書において定義されるように、CNS障害は、CNSに関連する任意の疾患または障害を含む。CNS障害は、続発性神経変性(例えば、多発性硬化症(MS)、脊髄損傷(SCI)、脳損傷および脳卒中)をもたらす原発性炎症により、または続発性反応性炎症を伴う原発性神経変性(例えば、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病(HD)およびてんかん)により特徴付けられる多数の急性および慢性病を包含する。そのような障害の最終的な正味の影響は、CNSの特定の部分における神経細胞の喪失および/または変性であり、結果としてこれらの細胞またはその脳領域がその意図した機能を遂行できなくなり、このことが挙動の異常を引き起こす。 炎症は、傷害性の刺激の除去または中和、および組織の完全性の回復を目的とする自己防衛反応である。末梢性炎症と同様に、神経炎症は有害な過程になることがあり、それはCNS障害の発病の一因になりうると今では広く受け入れられている。CNS炎症はミエリン鞘の喪失または軸索の喪失を含め、ある程度の組織損傷と一般に関連している。例えば、そのような喪失は、MSを有するヒト患者での主題である。MSでは、免疫系が脳の白質および脊髄を攻撃し、結果的に身体障害および/または麻痺を引き起こす。ミエリン、オリゴデンドロサイトおよびニューロンは、免疫細胞による細胞傷害性サイトカイン、自己抗体および毒性量の興奮性神経伝達物質グルタミン酸の放出に起因して失われる。 CNS炎症(神経炎症)は、CNS障害に罹患した被験者において全身注射後のaNSCが示す蓄積、残留と治療効果の両方を調整する要因として浮かび上がった。 神経炎症に関する本発明者らの現在の知識の大部分は、MSを有するヒト患者において見られるCNS炎症および脱髄の様相を研究するのに良好な動物モデルになっている、EAEから得られたものである。MSおよびEAEは炎症性の遅延型過敏(Th1)反応に関連しており、サイトカインが細胞間シグナル伝達およびエフェクター機能のメディエーターとして主要な役割を果たしている。細胞接着分子、共刺激リガンドおよびマトリックスメタロプロテイナーゼは、自己免疫反応の間に同じくアップレギュレートされており、CNSへの白血球浸潤に関与している。組織損傷の結果として起こる炎症反応は、さらなる損傷の一因となりうる(Owens et al., Nature Medicine 7 161-166 (2001))。 研究から、EAEおよびMSがCNSにおけるTh1およびTh1関連サイトカイン、ケモカインおよび反応性メディエーターの発現上昇により特徴付けられることが明らかにされている。これらのメディエーターの細胞供給源には、浸潤性T細胞およびマクロファージ、ならびに反応性グリアが含まれる。病態に関連する分子の発現は、寛解もしくは回復を弱める傾向があり、または再発をもたらす傾向がある。 いくつかのサイトカイン、ケモカインおよび関連するメディエーターがEAEに関連付けられてきた。特に、Th1関連サイトカインIFN−γ、TNF−α、IL−6およびTh1誘導性のサイトカインIL−12は、活動性疾患または再発に関連しているのに対し、Th−2サイトカインIL−4、IL−10およびIL−13は、疾患の寛解または抑制のいずれかに関連している(Owens et al., Nature Medicine 7 161-166 (2001))。 以下に限定されないが、磁気共鳴画像法(MRI)に基づく技法などの検出方法は、CNS(脳および脊髄)炎症のタイミングおよび特徴の評価を大いに手助けし、したがって神経幹細胞投与のため、炎症に関連するタイトな狭いタイムウィンドウの特定を可能にすることができる。この技法はMSでの炎症、脳卒中、頭部および脊髄の外傷、ならびに脳腫瘍の明確化のための感度が極めて高い。MRIは多発性の白質および灰白質病変、びまん性(不顕性)疾患、ならびに巨視的な組織萎縮をin vivoで検出する能力を有する(Bakshi et al., Neurology 63, S3-11 (2004))。さらに、造影MRIはMSに罹患した患者での活動性脱髄性病変の早期描写を可能にし、炎症を起こした新規性または活動性病変との古いグリオティック(gliotic)病変の区別を可能とする。3倍用量のガドリニウムによって、さらに「軽度の」MSの炎症の存在および程度のいっそう良好な評価を可能にすることができる(Gasperini, C. et al. Magn Reson Imaging 18, 761-3 (2000))。拡散強調画像法および灌流法などの新規のMRI技法の利用によって、脳卒中の超急性期の間の低酸素性および無酸素性の両脳領域の特定が可能になり、したがって脳虚血後の主要な初期(炎症)および後期(変性)段階の特徴付けが可能になる(Provenzale, et al., Radiology 229, 347-59 (2003))。さらに、MRIによって脳腫瘍の描写、拡大の評価、ならびに特徴付けおよび類別が可能になる(Henson et al., Lancet Oncol 6, 167-75 (2005))。 より一般的には、本発明は、神経変性に至る原発性炎症性障害、または続発性反応性炎症が共通の付随的特徴である原発性神経変性障害を治療するために使用することができる。それらの疾患は、脳機能に影響を与える状態である。神経変性はニューロンおよび/またはグリアの変質から生じる。それらは次の2群に分けられる:・動作障害を引き起こす状態・記憶力に影響を与える状態および認知症に関連する状態。 したがって、本発明により治療できる疾患としては以下が挙げられる:アレキサンダー病アルパース病アルツハイマー病筋萎縮性側索硬化症毛細血管拡張性運動失調症バッテン病(別名スピールマイヤー・フォークト・シェーグレン・バッテン病)カナバン病コケイン症候群ハンチントン病ケネディ病クラッベ病レヴィ小体認知症異染性白質萎縮症(Metakromatic leukodistrophy)多発性硬化症多系統萎縮症パーキンソン病ペリツェウス・メルツバッハー病ピック病原発性側索硬化症レフサム病サンドホフ病テイ・サックス病。 炎症性障害はその全身的作用により特徴付けられる。これらの病気における免疫反応は、通常影響を受ける臓器以外の組織での機能不全を引き起こしうる。CNSが関与する場合、てんかん性発作ならびに頭痛、錯乱、および昏睡を含めて、広範な神経学的症状が現れる。発作またはその他の神経的異常は時に、全身性炎症性障害の初期のまたは場合により唯一の徴候であることもある。 本発明は同様に、関節リウマチおよび1型糖尿病などの、慢性炎症を特徴とする全身性障害または臓器特異的障害の治療に有用とすることができる。細胞表面接着分子 炎症反応および免疫反応の進行は、損傷部位または抗原沈着部位への循環白血球の動員および遊走に依存している。白血球の蓄積は、炎症部位から生じる走化性シグナルに依存しているだけでなく、細胞間および細胞とマトリックスとの間の相互作用にも依存している。これらの細胞とマトリックスとの相互作用の多くは、免疫学的攻撃部位への循環細胞の標的化および貯留を促進する細胞表面接着分子(CAM)[インテグリン、細胞表面プロテオグリカン、セレクチンなど]の発現に依存している(Springer, Nature, 346: 425-434 (1990); Albeda et al., FASEB J., 4: 2668-2680 (1990); Ruoslahti, J. Clin. Invest., 87: 1-5 (1991))。 インテグリンは、他の細胞との細胞接着およびフィブロネクチンをはじめとする細胞外マトリックス成分との細胞接着を媒介する細胞表面ヘテロ二量体タンパク質のファミリーである。 管外遊出前の炎症細胞の接着および抑止を媒介するうえでのインテグリンおよびその他のCAMの役割は複雑であるが、インテグリンがこれらの事象において中心的でありうることを示唆する証拠がある。 細胞レベルおよび分子レベルで、SVZ由来のaNSCはα4インテグリン超後期抗原(VLA)−4、およびCD44を発現しており、免疫細胞において報告されているのと同様の所見である。aNSCは、精製された血管細胞接着分子(VCAM)−1、つまりVLA−4の対向リガンド(counter-ligand)に自発的に接着する。実際に、aNSCは、VLA−4などの恒常的に活性化されているインテグリンならびに/またはCCR2、CCR5、CXCR3およびCXCR4などの機能的ケモカイン受容体を通じて炎症を起こしたCNSに選択的に進入する。 したがって、本発明において使用されるaNSCでは、CNSの炎症を起こした損傷へのその遊走効果をさらに向上させるため、CAMとともにGPCRを使用することができる。 本発明において使用される幹細胞は、遺伝的に改変されてもよい。例えば、それらは上記の細胞表面接着分子を発現するように改変されてもよい。 遺伝子改変は幹細胞の中に、対象となる遺伝子をコードするポリヌクレオチドおよびベクターを導入することによって達成することができる。好ましくは、ベクターおよび/またはポリヌクレオチドは目的の遺伝子を発現する。主要細胞死受容体リガンド Fasリガンド(FasL)およびTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)などの、細胞死受容体リガンドは、その細胞膜受容体に結合することによってアポトーシスを誘導することができる。これらのリガンドの組み換え型は、動物モデルにおいてin vitroおよびin vivoで化学療法薬の効果を増強することができる(Jong et al., Cancer Metastasis Rev. 2001;20(1-2):51-6を参照のこと)。ベクター 当技術分野において周知であるように、ベクターは、ある環境から別の環境への物質の移入を可能にするかまたは促進するツールである。本発明によれば、および例証として、組み換えDNA技術において使用されるベクターには、本発明において使用されるヌクレオチド配列を含んだベクターを複製させるかおよび/または本発明において使用されるタンパク質を発現させるという目的で、宿主および/または標的細胞に、DNAのセグメントなどの物質が移入されることを可能にするものもある。組み換えDNA技術において使用されるベクターの例としては、プラスミド、染色体、人工染色体またはウイルスが挙げられるが、これらに限定されることはない。 本発明において使用されるポリヌクレオチドは、ベクターに組み込まれていることが好ましい。本発明において用いられるベクター中のポリヌクレオチドは、宿主細胞による、コード配列の発現を供与できる制御配列に機能的に連結されている、すなわち、ベクターが発現ベクターであることが好ましい。「機能的に連結されている」という用語は、記述の成分がその意図した方法でそれらを機能させる関係にあることを意味する。コード配列に「機能的に連結されている」調節配列は、その制御配列に適合した条件の下でコード配列の発現が達成されるように連結されている。 制御配列は、例えば、該制御配列によって指令される転写のレベルを、転写調節物質によく反応させるようさらなる転写調節エレメントの付加により改変することができる。 本発明において使用されるベクターは、例えば、複製起点、任意によりポリヌクレオチドの発現用プロモーターおよび任意によりプロモーターの調節因子を付与されたプラスミドまたはウイルスベクターとすることができる。該ベクターは1以上の選択可能なマーカー遺伝子、および/またはGFPなどの追跡可能なマーカーを含むことができる。ベクターは、例えば、宿主細胞をトランスフェクトまたは形質転換するために使用することができる。 本発明において用いられるタンパク質をコードする配列に機能的に連結されている制御配列は、プロモーター/エンハンサーおよびその他の発現調節シグナルを含む。これらの制御配列は、発現ベクターをデザインして使用する、宿主細胞に適合するよう選択することができる。「プロモーター」という用語は、当技術分野において周知であり、サイズおよび複雑度が最小のプロモーターから、上流エレメントおよびエンハンサーを含んだプロモーターまで多岐にわたる核酸領域を包含する。 プロモーターは、典型的には、哺乳動物細胞において機能的であるプロモーターから選択されるが、原核生物プロモーターおよび他の真核生物細胞において機能的なプロモーターが使用されてもよい。プロモーターは、典型的には、ウイルス遺伝子または真核生物遺伝子のプロモーター配列に由来するものである。例えば、それは、発現が行われる細胞のゲノムに由来するプロモーターであってもよい。真核生物プロモーターに関しては、それらは普遍的な様式で機能する(α−アクチン、β−アクチン、チューブリンのプロモーターなどの)プロモーター、または組織特異的な様式で機能する(ピルビン酸キナーゼ遺伝子のプロモーターなどの)プロモーターとすることができる。ウイルスプロモーター、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス末端反復(MMLV LTR)プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーターまたはヒトサイトメガロウイルス(CMV)IEプロモーターを用いることもできる。タンパク質 本明細書において用いられる場合、「タンパク質」という用語は、一本鎖ポリペプチド分子のほか、個々の構成ポリペプチドが共有結合的または非共有結合的手段により連結されている複数ポリペプチドの複合体も含む。本明細書において用いられる場合、「ポリペプチド」および「ペプチド」という用語は、単量体がアミノ酸でありかつペプチド結合またはジスルフィド結合を通じて結合されている多量体をいう。サブユニットおよびドメインという用語は同様に、生物学的機能を有するポリペプチドおよびペプチドをいうことができる。ポリヌクレオチド 本発明において使用されるポリヌクレオチドは、DNAまたはRNAを含むことができる。それらは一本鎖または二本鎖とすることができる。多数の異なるポリヌクレオチドが遺伝暗号の縮重の結果として同一のポリペプチドをコードできることを当業者は理解するであろう。さらに、当業者は日常的な技術を用い、ポリペプチドが発現される任意の特定の宿主生物のコドン使用頻度を反映するようにして、本発明において使用されるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド配列に影響を与えないヌクレオチド置換を行いうることが理解されるべきである。ポリヌクレオチドは、当技術分野において利用可能な任意の方法によって改変することができる。そのような改変は、本発明のポリヌクレオチドのin vivo活性または寿命を増強するために行うことができる。変異体、誘導体、類似体、ホモログおよび断片 本明細書において言及されているタンパク質およびヌクレオチドに加えて、本発明は同様に、その変異体、誘導体、類似体、ホモログおよび断片の使用を包含する。 本発明との関連で、所与の配列の変異体は、当該ポリペプチドまたはポリヌクレオチドがその内在的機能の少なくとも1つを保持するように、(アミノ酸残基であれ核酸残基であれ)残基の特定配列が改変されている配列である。変異体配列は、天然のタンパク質中に存在する少なくとも1つの残基の付加、欠失、置換、改変、交換および/または変異によって得ることができる。 本発明のタンパク質またはポリペプチドに関して、本明細書において用いられる「誘導体」という用語は、結果として生じるタンパク質またはポリペプチドがその内在的機能の少なくとも1つを保持することを条件として、その配列からのもしくはその配列への1つ(もしくは複数)のアミノ酸残基の任意の置換、変異、改変、交換、欠失および/または付加を含む。 ポリペプチドまたはポリヌクレオチドに関して、本明細書において用いられる「類似体」という用語は、任意の模倣体、すなわち、それが模倣するポリペプチドまたはポリヌクレオチドの内在的機能の少なくとも1つを保有する化合物を含む。治療 治療に対する本明細書における全ての言及は、治癒的治療、待機的治療および予防的治療を含むと理解されるべきである。哺乳動物の治療が特に好ましい。ヒトの治療も動物の治療もともに本発明の範囲内である。 好ましい実施形態では、治療はCNS障害の発症後に行われる。医薬組成物 本発明において使用される幹細胞は、医薬組成物の形態であってもよい。医薬組成物は、治療上有効量の製薬上活性な薬剤を含むか、またはそれからなる組成物である。医薬組成物は、製薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤(それらの組み合わせを含む)を含むことが好ましい。治療的使用に許容される担体または希釈剤は製薬技術分野において周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co. (A. R. Gennaro edit. 1985)に記述されている。製薬用担体、賦形剤または希釈剤の選択は、意図した投与経路および標準的な薬務に関して行うことができる。医薬組成物は、担体、賦形剤もしくは希釈剤として、または担体、賦形剤もしくは希釈剤に加えて、任意の適当な結合剤、滑沢剤、懸濁化剤、コーティング剤、可溶化剤を含むことができる。 製薬上許容される担体の例としては、例えば、水、塩溶液、アルコール、シリコン、ワックス、ワセリン、植物油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、リポソーム、糖、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、界面活性剤、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、石油(petroethral)脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。投与 本発明において使用される幹細胞は任意の適当な方法によって投与することができる。そのような方法は当業者に周知である。1つの実施形態では、幹細胞は非経口的に、例えば海綿静脈洞内に(intracavernosally)、静脈内に、脳脊髄液の中に(髄腔内におよび/もしくは大槽内に)、筋肉内にまたは皮下に投与される。非経口投与の場合、本組成物は、その他の物質、例えば溶液を血液と等張にさせるのに十分な塩または単糖を含んでもよい滅菌水溶液の形態で最良に使用することができる。幹細胞は、該幹細胞が体内に存在する位置に直接的に投与することができる。好ましくは、本発明において使用されるaNSCは、静脈内にまたは髄腔内に投与される。 本発明のさらに好ましい特徴および実施形態は、以下に、非限定的な例によっておよび添付の図面に関連して記述されよう。実施例1−材料と方法成体NPCの誘導および培養 aNPC培養物は既報(Pluchino S. et al. Injection of adult neurospheres induces recovery in a chronic model of multiple sclerosis. Nature 422, 688-94 (2003))のように、6〜8週齢のSJLおよびC57BL/6系マウスの脳のSVZから樹立した。手短に言えば、マウスをペントバルビタール(120mg/kg)の腹腔内注射により麻酔し、頸椎脱臼により殺処理した。脳を取り出し、室温で95%O2/5%CO2を通気した人工CSF(aCSF)(124mM NaCl、5mM KCl、1.3mM MgCl2、0.1mM CaCl2、26mM NaHCO3、および10mM D−グルコース、pH 7.3)の中に入れた。上衣下組織(subependyma)を除く、SVZの神経組織を冠状断(coronal sectioning)の後に単離し、1mm3の小片に寸断した。小片を1.3mg/mlトリプシン、0.67mg/mlヒアルロニダーゼ、および0.2mg/mlキヌレン酸(全てSigmaより)の入ったaCSF 30mlの中に移し、32〜34℃で90分間、連続的に酸素供給および撹拌しながらインキュベートした。その後、組織切片をaCSFの中で10分間すすぎ、0.7mg/mlオボムコイド(Sigma)の入ったDMEM/F12(Life Technologies)培地に移し、火炎研磨されたパスツール・ピペットで注意深く磨り潰した。細胞を遠心分離により回収し、2mM L−グルタミン、0.6%グルコース、9.6mg/mlプトレシン、6.3ng/mlプロゲステロン、5.2ng/ml亜セレン酸ナトリウム、0.025mg/mlインスリン、0.1mg/mlトランスフェリン、および2μg/mlヘパリン(Sigma)の入った既知組成GF不含DMEM/F12培地に再懸濁した。その後、細胞を20ng/mlの上皮増殖因子(EGF)および10ng/ml線維芽細胞増殖因子(FGF)−II(増殖培地)(ともにPeprotechより)の入ったNS−A培地(Euroclone)の中で培養した。一次スフェア(primary spheres)の数をin vitroでの日数(DIV)7〜12日間の後に計測した。細胞増殖のため、細胞8000個/cm2を未処理の組織培養フラスコ中にて継代培養の各継代の時点でプレーティングした。3〜4日(細胞数の倍加を得るために推定された時間)後、神経スフェアを回収し、機械的に分離し、計測し、同じ培養条件の下で再プレーティングした。継代数15以下のaNPCを全てのin vivoおよびin vitro実験に使用した。R−EAEの誘導 報告(McRae, B. L. et al. Induction of active and adoptive relapsing experimental autoimmune encephalomyelitis (EAE) using an encephalitogenic epitope of proteolipid protein. J Neuroimmunol 38, 229-40 (1992))の通り、SJL系マウス(Charles-River)を完全フロイントアジュバント(CFA)中のPLP139−151(Espikem) 200μgで免疫した。体重および臨床スコア(0=健常;1=尾の引きずり;2=運動失調および/または後肢麻痺;3=後肢麻痺および/または前肢麻痺;4=四肢麻痺;5=瀕死または死亡)を毎日記録した。臨床的再発は、臨床スコアの増加0.5の発生が最低3日間連続して持続する場合と定義した。aNPC移植 核移行シグナル(nls)を含む大腸菌(E.coli)由来β−ガラクトシダーゼ(LacZ)遺伝子で遺伝子操作されている第三世代のレンチウイルスベクターpRRLsin.PPT−hCMVを用いて、aNPCをin vitroにおいて標識した(Pluchino, S. et al. Injection of adult neurospheres induces recovery in a chronic model of multiple sclerosis. Nature 422, 688-94 (2003))。単一細胞に分離したaNPC(PBS 150μl中の細胞1〜2×106個)を尾静脈を通じて静脈内(i.v.)注射した。PBSのみをi.v.注射した偽処置の年齢適合、雌雄適合および系統適合マウスを対照として使用した。i.v.注射したaNPCの生体内(in situ)での増殖を評価するため、106dpiのR−EAEマウスを既報(McRae, B. L. et al. Induction of active and adoptive relapsing experimental autoimmune encephalomyelitis (EAE) using an encephalitogenic epitope of proteolipid protein. J Neuroimmunol 38, 229-40 (1992))のように、3日間連続してブロモデオキシウリジン(BrdU,Roche,50mg/kg)でi.p.処置し、その後すぐに殺処理した。動物に関する全ての手順は、本発明者らの機関の動物倫理委員会(IACUC)のガイドラインにしたがって行った。神経病理学 パラフィン包埋組織切片(5μm)をヘマトキシリンおよびエオジン、ルクソール(Luxol)ファストブルーならびにビルショウスキー(Bielshowsky)で染色して、それぞれ、炎症性浸潤、脱髄および軸索消失を検出した(Lindvall, O., Kokaia, Z. & Martinez-Serrano, A. Stem cell therapy for human neurodegenerative disorders-how to make it work. Nat Med 10 Suppl, S42-50 (2004))。in vivoの、i.v.注射されたaNPCを検出するため、2つの異なるプロトコルを使用した。(i)新鮮なアガロース包埋CNS組織切片(50〜80μm)を切り出し、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド(X−gal)溶液中にて37℃で終夜インキュベートして、核のβ−gal活性を検出した。その後、β−gal+のアガロース包埋切片を再び切り出し(5〜7μm)、免疫組織化学的検査のために処理した。(ii)β−gal+細胞を同様に、5μmの凍結切片にてマウス抗β−ガラクトシダーゼ抗体(Promega)を用いて免疫蛍光検査により検出した。核を4’−6’−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)(Roche)で染色した。計1204個のβ−gal+細胞を計測した。両方のプロトコルを用いて、マウス1匹あたり40枚の脳切片および70枚の脊髄切片(100μmの間隔で採取)を分析した;1群あたりマウス5匹を評価した。CNS損傷の定量化は、計315枚の脊髄切片(マウス1匹あたり21枚の切片、1群あたりマウス5匹)にてIM−50画像解析ソフトウェア(Leica)を用い行った。共焦点顕微鏡(Bio Rad,MRC 1024)検査および光学顕微鏡(Olympus,BX51)検査を行って組織染色を解析した。共焦点像用に処理した組織切片を0.5μmの間隔で解析した。抗体のリスト 免疫蛍光検査には、以下の抗体を使用した:ウサギ抗Ash 1(Mash 1)(1:250,Chemicon International)、ラット抗CD11b(MAC−1)(1:400,Abcam)、ウサギ抗Dlx−2(CeMines,Evergreen,CO,USA)、ヤギ抗Jagged(1:100,Santa Cruz Biotechnology)、ラット抗マウスCD45(1:100,BD Biosciences)、ラット抗マウス胚NCAM(CD56)(1:100,BD Biosciences)、ウサギ抗ラミニン(1:500,Sigma)、ラット抗マウスCD31(1:100,BD Biosciences)、ラット抗BrdU(1:40,Abcam)、ウサギ抗クラスIIIニューロンβ−チューブリン(1:1000,Covance)、マウス抗ネスチン(1:500,Chemicon International)、マウス抗ニューロン核(NeuN)(1:1000,Chemicon International)、ウサギ抗NG2(1:100,Chemicon International)、ウサギ抗GFAP(1:500,Dako)、ウサギ抗PDGFr−α(1:1000,Santa Cruz Biotechnology)、ヤギ抗BMP−4(1:100,Santa Cruz Biotechnology)、ヤギ抗Noggin(1:100,Santa Cruz Biotechnology)、ウサギ抗Ki67(1:1000,Novo Castra)、ラット抗VCAM−1(6μg/ml,ATCC)、ウサギ抗マウス活性型カスパーゼ−3(1:250,BD Biosciences)、およびラット抗ヒトCD3(1:200,Serotec)。適切な抗ラット、抗マウス、抗ヤギ、抗ヒトおよび抗ウサギ・フルオロフォア(Alexa−fluor 488,546;Molecular Probes)結合またはビオチン(Amersham)結合二次抗体を使用した。免疫細胞化学検査の場合、以下の抗体を使用した:マウス抗マウスネスチン(1:200,Chemicon)、ヤギ抗マウスCCR2(1:50)、ヤギ抗マウスCCR5(1:50)、ウサギ抗マウスCXCR3(1:100)、ウサギ抗マウスCXCR4(1:100,全てSanta Cruz Biotechnologyより)、ラット抗マウスVLA−4(20μg/ml,PS/2,ATCC)、ウサギ抗マウスFasL/CD95−リガンド(1:10)およびウサギ抗マウスTweak(1:10,ともにSanta Cruzより)。適切な抗マウス、抗ヤギまたは抗ウサギ・フルオロフォア結合(Alexa−fluor 488,546,350,Molecular Probes)二次抗体を使用した。生体顕微鏡検査 モノクローナル抗体(Mab)である抗VCAM−1(MK 2.7およびPS/2)、抗ICAM−1(Y.N.1.7)、および抗MAdCAM−1(MECA 367)ならびにアイソタイプ適合の対照抗体をAlexa Fluor 488標識キット(Molecular Probes)によって標識した。脳および胸部の筋微細血管でのVCAM−1のin vivo発現を、15、24および35dpiのMOG35−55免疫C57BL/6系メスマウスにおいて、ならびに注射から6時間後のLPS(Sigma)処置マウス(12mg/kg i.p.)において調べた。免疫細胞化学検査 単細胞に分離したかまたはスフェアに凝集したaNPCを、増殖培地中、マトリゲルをコーティングしたガラスチャンバースライドに細胞3×104個/cm2でプレーティングし、37℃で1時間インキュベートした。蛍光サンプルをBioRad,MRC 1024共焦点像顕微鏡で解析した。Image Pro plusソフトウェアをVLA−4分布の解析に使用した。aNPCのin vivo分布研究 aNPC(細胞2×106個/マウス)を、増殖培地中、100μCi/ml 2,3−[3H]グリセロール(MP Biomedicals)とともに37℃で4時間インキュベートし、その後、CFA(加えて百日咳毒素500ng)2中のミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)35−55(Espikem)200μgで免疫したC57Bl/6系マウスと、PLP139−151を免疫したSJL系マウスの両方にi.v.注射した(McRae, B. L. et al. Induction of active and adoptive relapsing experimental autoimmune encephalomyelitis (EAE) using an encephalitogenic epitope of proteolipid protein. J Neuroimmunol 38, 229-40 (1992))。発病開始後すぐにマウスに注射し、移植から24時間後にマウスを殺処理した。既報(Constantin, G., Laudanna, C. & Butcher, E. C. Novel method for following lymphocyte traffic in mice using [3H]glycerol labeling. J Immunol Methods 203, 35-44 (1997))のように、灌流の後、脳、脊髄、腎臓、脾臓および肝臓を回収し、計量し、超音波処理し、組織の放射活性含有量をβカウンター(LS1801;Beckman Coulter)の中で測定した。データは一連の4回の独立した実験からの少なくとも1群あたりマウス6匹の蓄積細胞の平均パーセンテージ(±SE)/gr.組織として表される。静的接着アッセイ 既報(Constantin, G. et al. Chemokines trigger immediate beta2 integrin affinity and mobility changes: differential regulation and roles in lymphocyte arrest under flow. Immunity 13, 759-69 (2000))のように、(1μg/ml)精製マウスVCAM−1(RAND D)で4℃にて終夜コーティングした18ウェルガラススライドにaNPCを70×103個/25μl/ウェルで加えた。分裂促進因子(ホルボール12−ミリステート13−アセテート[PMA])(100ng/ml))で10分間刺激した脾臓由来CD4+T細胞を陽性対照として使用した。活性化前炎症性ケモカイン(1μM)(すなわち、CCL2/MCP−1、CXCL9/MIG、CXCL10/IP−10、CXCL11/I−TAC、CXCL12/SDF1α)を25×103個/25μl/ウェルですぐに加え、37℃にて3分間置いた。固定化されたVCAM−1の平方マイクロメートルあたりの部位密度を計算し、データを接着細胞の平均数(±SE)として表した。データは一連の4回の独立した実験からの接着細胞の平均数(±SE)として表される。走化性アッセイ 既報(Lazarini, F. et al. Differential signalling of the chemokine receptor CXCR4 by stromal cell-derived factor 1 and the HIV glycoprotein in rat neurons and astrocytes. Eur J Neurosci 12, 117-25 (2000))のように、改良48ウェルmicrochemotaxis Boydenチャンバーシステム(Neuro Probe)を用いて、種々のケモカインに対するaNPCの走化反応を評価した。アポトーシス実験 未免疫(naive)SJL系マウスの脾臓由来CD3+細胞または脳炎誘発性CD4+ PLP139−151特異的なT細胞株を、37℃、7% CO2で18時間、用量設定濃度(titrated concentrations)のaNPCとともにin vitroで共培養した。その後、T細胞を回収し、適切な抗体を用いFACS分析を行って、アポトーシスおよびネクローシスCD3+細胞を計数した。hrTRAIL−R2:Fc(10μg/ml)、mrFn14:Fc(10μg/ml)、またはFas:Fc(20μg/ml)(全てAlexisより)を用い、細胞死受容体リガンドをブロックする抗体によるaNPCのin vitroでの前処理(室温で30分)を行った。それぞれ、ウサギ抗マウスIFNγブロック抗体(10μg/ml,室温で30分,Pharmingen)を用いるかまたは5−メチルイソチオ尿素硫酸塩(SMT)iNOS阻害剤(500μM,Santa Cruz)を共培養ウェルに加えるかのいずれかによって、IFNγおよびiNOSを同様にブロックした後に、アポトーシス実験を行った。データは各プロトコルについて最低3回の独立した実験からの、少なくとも1群あたりマウス3匹の、ベースラインと比べた陽性細胞の平均割合(±SE)として表される。PLP139−151特異的なマウスTh1およびTh2細胞株の作出 PLP139−151特異的なT細胞株を報告(Parras, C. M. et al. Mash1 specifies neurons and oligodendrocytes in the postnatal brain. Embo J 23, 4495-505 (2004))の通り、10dpiのPLP139−151免疫SJL系マウスの排出リンパ節から得た。手短に言えば、細胞5×106個/mlを30μg/ml PLP139−151(Espikem)の存在下、50μM 2−β−メルカプトエタノール(Gibco)、2mM L−グルタミン(BioWhittaker)、1mMピルビン酸ナトリウム(BioWhittaker)、1mMペニシリン(Gibco)、100μg/mlストレプトマイシン(Gibco)および10% FCS(Sigma)を添加したRPMI(Gibco)中にて37℃および7% CO2で培養した。14日間のin vitroでの増殖の後、T細胞を抗原提示細胞(APC)の存在下において1:5のT細胞/APC比で、30μg/ml PLP139−151により3日間、再刺激し、次に、細胞内染色後のFACS分析によってTh1(IFNγ+/TNFα+/IL−4−)またはTh2(IFNγ−/TNFα−/IL−4+)サイトカイン産生のいずれかを特徴付けた。リンパ球/単球(LNC)/NPC共培養 マウスin vitro共培養系のために、増殖アッセイ用のリンパ球/単球(LNC)を、免疫付与から10日後の、PLP139−151免疫SJL系マウスの排出リンパ節から得た。70μmの細胞ろ過器(Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ,USA)を用いてLNC懸濁液を調製した。細胞を2mMグルタミン(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,USA)、100IU/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン(Biowhittaker,Cambrex,Belgium)、10%ウシ胎仔血清(FBS,Biowhittaker,Cambrex,Belgium)および50μM β−メルカプトエタノール(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,USA)の入った完全RPMI培地に懸濁した。培養は全て3検体ずつで行った。LNCの増殖を3H−チミジンの取り込みによりin vitroでアッセイした。10%ウシ胎仔血清、1μM L−グルタミンおよび抗生物質を添加したRPMI培地200μlの中に1ウェルあたり細胞7×105個を播種することによって、アッセイを行った。ベースラインの3H−チミジンの取り込み、および1〜30μg/mlのPLP139−155ペプチド(Espikem,Florence,Italy)に反応しての3H−チミジンの取り込みを調べた。抗原提示時のaNPCの効果を調べるため、単一細胞に分離したマウスNPCを96ウェルプレートに移し(1:2のNPC/LNC比)、その後、LNCと共培養した。上清を3日間の培養物から回収し、少なくとも72時間のインキュベーションの後、標準的な3H−チミジン取り込みアッセイによりT細胞増殖をRPMI培地中で調べた。細胞をmultiharvester(Dynatech Laboratories,Alexandria,VA,USA)によってガラス繊維フィルターに回収し、放射活性を標準的なシンチレーション法によって測定した。EAEの養子移植(Adoptive transfer) 養子移植のため、in vitroでの共培養期間の後、WTのSJL系6〜8週齢メスマウスに静脈内注射により、1×106個の(事前に同系のaNPCと共培養されたかまたはされていない)LNCを投与した。報告の通り、臨床的EAEを0〜5に類別した。RT−PCR リアルタイム定量的PCRはABI Prism(商標)7700 Sequence Detection System(Applied Biosystems)にて、開発済みの(pre-developed)Taqman(商標)Assay Reagentsを用い製造元のプロトコルにしたがって行った。相対的な定量化のため細胞サンプルを集めた。細胞200万個のサンプルを溶解用緩衝液(Qiagen)の中で溶解し、製造元の使用説明書にしたがいRNAを抽出するまで−80℃で保存した。残存するゲノムDNAをRNase不含のDnase I(Qiagen)とインキュベートすることで除去し、RNase不含水によりRNeasyミニカラムから溶出した。総RNAの量をNanoDrop ND−100(Nano Drop Technologies)により定量化し、cDNAをReady−to−Goキット(Amersham)により総RNA 5μgから合成し、ランダムヘキサマー(pd(N)6)の混合物をプライマーとして使用した。QIAquick PCR Purificationキット(Qiagen)による精製の後、cDNAサンプルをQPCRでの使用の前に1:6に希釈した。cDNA 25ngを開発済みのTaqman Assay Reagents(Applied Biosystems)によるリアルタイムPCRに使用した。リアルタイム定量的PCRはABI Prism(商標)7700 Sequence Detection System(Applied Biosystems)で、製造元のプロトコルにしたがい行った。本発明者らはハウスキーピング遺伝子GAPDHを標準化物質(normalizer)として、ならびにConA(5μg/mlで72時間)活性化脾細胞(系統適合、雌雄適合および年齢適合マウス由来)を較正物質(calibrator)として使用した。データはin vitroでの増幅の継代数10回以下の、3種の異なる非不死化aNPC株から採取されたaNPCサンプルを用いて得た。結果(3回の独立した実験の平均)は任意単位(AU)として表されており、陽性の内部較正物質として使用したConA活性化脾細胞との比較での、aNPCにおいて検出されたmRNAレベルの誘導倍率(平均±SD)を示す。サイトカインおよびケモカインアッセイ 本発明者らはTh1/Th2サイトカイン(IL−2、IL−4、IL−10、IFNγ、TNFα)を測定した。これらの分子は多重免疫化学発光ELISA(SearchLightTM,Pierce Biotechnology Inc.,Rockford,IL,USA)により製造元の使用説明書にしたがって測定した。9種のTh1/Th2サイトカイン特異的な(マウスTh1/Th2アレイ)、捕捉用抗体をELISAマイクロプレートの各ウェルに予めスポットした。共培養上清をマウスTh1/Th2アレイ用のサンプル希釈液(Sample Diluent)で10倍に希釈した。標準物質および上清50μLをウェルに加えた。1時間のインキュベーションおよび3回の十分な洗浄(洗浄用緩衝液(Wash Buffer)による)の後、ビオチン化抗体試薬(Biotynilated Antibody Reagent)50μLを加えた。30分間のインキュベーションおよび引き続く洗浄の後、ストレプトアビジン−HRP試薬50μLを各ウェルに加えた。30分後、SuperSignal(登録商標)Substrate(Stable PeroxideおよびSuperSignal(登録商標)Luminol Enhancerの1:1混合物)50μlを加えた。発光を冷却CCDカメラ(FluorChemTM 8000,Alpha Innotech)で測定した。Array VisionTMソフトウェアをSearchLightTMイメージの解析に使用した。検出限界は次の通りであった:IL−2、0.2pg/mL;IL−4、0.4pg/mL;IL−10、0.2pg/mL;IFNγ、0.2pg/mL;TNFα、1.6pg/mL。サンプルは全て2検体ずつ分析した。アッセイ内およびアッセイ間の不正確性は15%未満であった(製造元の使用説明書)。FACS分析 CD3、CD4、B7.1、B7.2、CTLA−4、FasLおよびTweak(Santa Cruz)、IL−4、IFNγおよびTNFα(Caltag Laboratories)を認識する標識抗体の異なる組み合わせでの細胞染色を、アネキシン−V、TOPRO−3、PI(全てPharmingenより)染色と併せて用いた。フローサイトメトリーおよび細胞調製 マウスCD4、CD27、CD44、CD62L、PSGL−1、ヒトCD4、CD27、CD44、CD62L、PSGL−1、ヒトCD56/NCAM、白血球機能関連抗原(LFA)−1、CD44、細胞間細胞接着分子(ICAM)−1および2、α1、α2、α6、αv、β1、β2、β7インテグリンならびにヒトCCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR9、CXCR1、CXCR3、CXCR4に対する、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合、フィコエリスリン(PE)結合、またはアロフィコシアニン(APC)−フィコエリスリンシアニン5.5(Cy)結合抗体を使用した。一次抗体および適切なアイソタイプ対照抗体はともにBD PharMingen(San Diego,CA,USA)から購入した。蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)分析をFACSCaliburおよびFACSCanto機器(ともにBD Bioscience,San Jose,CAより)にて行った。細胞内のサイトカイン染色の場合、共培養実験の細胞を、ブレフェルジンA(1μg/ml,Sigma,St.Louis,MO,USA)、イオノマイシン(Ionomicin)(1μg/ml,Sigma,St.Louis,MO,USA)、PMA(1μg/ml,Sigma,St.Louis,MO,USA)とともに37℃、5%CO2で5時間インキュベートした。その後、細胞を洗浄し、抗CD4抗体で染色し、3.7%ホルムアルデヒド中で固定し、0.5%サポニンのPBS液で透過処理し、抗IFNγ抗体、抗IL−4抗体、抗IL−2抗体、または抗IL10抗体とともにインキュベートした。データはFACSCantoフローサイトメーター(BD Biosciences)を用いて収集し、FlowJo,バージョン6.1.1(Tree Star)を用いて解析した。実施例2−脳室下帯(SVZ)由来の同系(syngenic)NPCの治療能力 本発明者らは、度重なる炎症症状の発現の長期的結果として、脱髄および軸索消失などの神経変性特徴を含む慢性再発性の自己免疫性CNS炎症、つまり再発−寛解型実験的自己免疫性脳脊髄炎(R−EAE)のマウスモデルにおいて脳室下帯(SVZ)由来の同系(syngenic)aNPCの治療能力を評価した(McRae, B. L. et al. J Neuroimmunol 38, 229-40 (1992))。R−EAEを有するSJL系マウスに、最初の疾患症状の発現時(免疫後13.1±0.3日[dpi])に、または最初の臨床的再発の発生時(30.9±1.1dpi)に、β−ガラクトシダーゼ(β−gal)標識aNPC(細胞1×106個/マウス)を静脈内(i.v.)注射した。移植後(p.t.)3ヶ月までマウスを追跡した。両処置プロトコルによって臨床的改善が認められた(表1および図1)。疾患発症時に移植が行われたマウスは30〜60dpiに回復し始め、この期間に、偽処置マウスと比べて、2倍低い臨床的再発を有意に示した(p<0.05)。偽処置マウスと比べて、同様に低い再発率が経過観察の終わり(106dpi)まで維持された(p<0.05)。最初の再発の発症時に移植が行われたマウスは、もっと遅くに回復し始めたが、60〜90dpiの再発率が劇的に3倍低下していた(p<0.005、偽処置マウスと比較した場合)。経過観察期間の終了時に、両群のマウスは偽処置マウスと比べて、有意に低いR−EAEの累積スコアならびに脱髄および軸索消失の程度の顕著な低下(58%〜80%)を示した。 aNPCがR−EAE発症時にまたは最初の臨床的再発の発生時に注射されたかどうかにかかわらず、多数のβ−gal+細胞がCNSにとどまっていた(図2および図3)。(炎症を起こした血管壁を含む)偽処置マウスのCNSにはβ−gal活性が認められなかった(図3)。106dpiで、本発明者らは、疾患発症時に移植が行われたマウスで2.1(±0.2)のβ−gal+細胞/mm2、および最初の再発時に移植が行われたマウスで4.1(±0.5)のβ−gal+細胞/mm2を見出した。β−gal+細胞の大多数は、血液由来CNS浸潤性CD45+炎症性免疫細胞と密着した状態で、炎症を起こしたCNSの深部血管壁の周りに位置しており(図2aおよびb)、未成熟な神経前駆細胞に特有な丸型の形態を維持していた(図2および図3)。β−gal+細胞の中にはネスチン+(0.28±0.1細胞/mm2)(図2cおよびd)、NeuN+(0.21±0.1細胞/mm2)(図2eおよびf)またはdistal−less−related(Dlx)−2+(0.12±0.1細胞/mm2)(図2hおよびi)を示すものもあったが、それらのうち、前神経(pro-neural)転写因子である哺乳動物achaete−scuteホモログ(Mash)−1(Parras, C. M. et al. Embo J 23, 4495-505 (2004))(図2g)に対し、またはポリシアル酸化神経細胞接着分子(PSA−NCAM)(Fukuda, S. et al. J Neurosci 23, 9357-66 (2003))(図2j〜m)に対し免疫反応性を示すものは少なかった。β−gal+細胞にはNG2、グリア細胞線維性酸性タンパク質(GFAP)(図4)、β−チューブリンIII、または血小板由来増殖因子(PDGF)受容体−αに免疫反応性を示すものは全くなかった。時には、成体脳の幹細胞ニッチ内の移動性神経芽細胞について記述されているものによく似た、鎖状の移動(chain migration)によるストリーム様(stream-like)の管状パターンを示す移植aNPCが、血管壁と密着しているのが見出された(図3)。CNSの中にとどまっているaNPCの動態をより良く定義するため、R−EAEマウスを106dpiの時点でBrdUにより処理した。同等の割合の移植β−gal+細胞:疾患発症時に移植が行われたマウスでは7.3%[±1.5]、および最初の再発時に移植が行われたマウスでは8.4%[±1.4]がBrdU+であった(図2n)。時には、β−gal+/BrdU+細胞が早期分化マーカー(例えば、PSA−NCAM)を発現していた(図4)。長期のBrdU標識試験は、成体脳内に幹細胞ニッチを有するR−EAEマウス由来の血管周囲のCNS領域の類似性を証明しており、定義的な神経幹細胞/前駆細胞マーカーは依然として欠落しているが、血管周囲の(早期)分化表現型を依然として維持している、同等の部分集団の増殖性i.v.注射細胞の説明から、炎症を起こしたCNS血管周囲領域がR−EAEの間に、理想的な、とはいえ「非定型的な」ニッチ様領域として機能することが可能であり、その領域で移植細胞は「真正の」aNPCとして長期間(p.t.から3ヶ月まで)生存できることが強く示唆される。実施例3−炎症を起こした血管周囲のCNS領域内でのaNPC生存に有利に働くメカニズム 次いで、本発明者らは、炎症を起こした血管周囲のCNS領域内でのaNPC生存に有利に働く推定上のメカニズムを分析した。aNPC移植にかかわらず、ともに血管新生にも神経新生にも関与している主要な幹細胞調節因子および増殖因子(すなわち、骨形成タンパク質[BMP]、Noggin、Notch−I/Jagged−1、血管内皮増殖因子[VEGF]−α)が106dpiまでこれらの領域内に、タンパク質レベルで見出された(図5)。BMP−4およびNoggin(図6および図7)はβ−gal−/GFAP+アストロサイト(図6aおよびb)ならびにβ−gal−/ラミニン+内皮細胞(図6cおよびd)によって分泌されただけでなく、血液由来CNS浸潤性CD45+炎症性細胞(図6e)によっても分泌された。この後者の結果は、脾臓由来のリンパ球にて、mRNAレベルで確認された(図6f)。実施例4−i.v.注射されたaNPCがR−EAEマウスの炎症を起こした血管周囲のCNS領域に選択的に到達したことの細胞的および分子的基盤 次いで、本発明者らは、i.v.注射されたaNPCがR−EAEマウスの炎症を起こした血管周囲のCNS領域に選択的に到達したことの細胞的および分子的基盤を探索した。マウスの系統(C57Bl/6系およびSJL系)にかかわらず、本発明者らは、aNPCの半分(53±10%)がα4インテグリン超後期抗原(VLA)−4を、クラスター状に組織された恒常的活性化分子として発現すること(12±5%の細胞は陰性であったが、31±9%の細胞は「分散性の」分布であった)(図8aおよびb)、つまり免疫細胞において報告されたものに類似の所見(Constantin, G. et al. Immunity 13, 759-69 (2000))を見出した。精製された血管細胞接着分子(VCAM)−1、つまりVLA−4の対向リガンドへのaNPCの自発的な接着はベースラインで高率で、分裂促進因子によって活性化されたCD4+細胞で得られたものに匹敵していた(図8c)。しかしながら、CCL2/MCP−1、CXCL9/MIG、CXCL10/IP−10、CXCL11/ITACおよびCXCL12/SDF−1αなどのケモカインでの刺激後、接着は顕著に増加しなかった(図8c)。VCAM−1発現細胞に接着するaNPCの自発的能力は、リポ多糖(LPS)のi.p.注射によって微細血管でのVCAM−1発現のアップレギュレーションがもたらされた脳炎症の亜急性C57Bl/6系マウスモデル(Constantin, G. et al. J Immunol 162, 1144-9 (1999))において、生体顕微鏡検査により確認された(図8d)。この所見は、VCAM−1を異所的に過剰発現する胸筋由来の細静脈に対するaNPCの特異的結合によってさらに裏付けられた(図8e〜g)。VCAM−1に対するモノクローナル抗体は(脳および筋肉の両者で)60%を超えるaNPCの安定接着をブロックしたが、アイソタイプ適合した、抗ICAM−1抗体および抗MAdCAM−1抗体では顕著な効果がない。 R−EAEでのこの現象の正当性を検証するため、3H−グリセロール標識aNPC(2×106細胞/マウス)を最初の疾患症状の発現時に、プロテオリピドタンパク質(PLP)139−151免疫SJL系マウスにi.v.注射した。細胞の注射から早ければ24時間後に、aNPCはさまざまな身体臓器の中に見出されたが、3.1%(±0.2)の細胞がCNS内に蓄積していた(図8h)。CNS内の細胞動員の有意な減少(39〜54%;p<0.005)は、抗VLA−4ブロック抗体によるaNPCのin vitroでの前処理後に得られた(図8h)。VLA−4のブロックによって、標識aNPCをi.v.注射した未免疫マウスのCNS(およびその他の末梢臓器)への細胞動員の低下が誘導されなかったことから、この効果はEAE特異的であった(図8h)。結果は、C57Bl/6系マウスで得られたEAEの慢性進行性モデルにおいてさらに確認された(図9)。 in vitroでの研究により、前炎症性ケモカインが、aNPC上に発現されたVLA−4の対向リガンドに対するベースラインの結合活性をさらには活性化しないことが示された。しかしながら、本発明者らは、分裂促進因子との培養プロトコルが何らかの形で、in vitroにおいてaNPCのベースラインのVLA−4結合活性に影響を及ぼす可能性を排除しえない。例えば、aNPCの経内皮移動をさらに高めるには、または環境上の位置決めを媒介するには、次にGタンパク質共役受容体(GPCR)が、in vivoで起こりうる条件などの、最適に近い条件に必要になるのかもしれない(Alt et al. Eur J Immunol 32, 2133-44 (2002); Karpus et al. J Leukoc Biol 62, 681-7 (1997))。本発明者らは、aNPCがmRNAレベルおよびタンパク質レベルの両方で、広範な前炎症性ケモカイン受容体を発現することを見出した。神経スフェア内の大部分の細胞がCCR1、CCR2、CCR5、CXCR3およびCXCR4を発現するが、しかしCCR3およびCCR7を発現しない(図8i〜m)。aNPCがCCL5/RantesおよびCXCL12/SDF−1αに対し明らかに用量依存的な走化性を有して反応したことから、これらの受容体は機能的に活性であった(図10)。この反応は明らかにGPCR依存的であった。その反応がGi−タンパク質阻害剤である百日咳毒素によるaNPCの前処理で完全に阻害されたからである(図10)。このように、aNPCはCAMとともにGPCRを用いて、炎症を起こしたCNS損傷へのその遊走能をさらに向上させることができ、抗α4インテグリンブロック抗体によりR−EAEマウスでもたらされたaNPCの管外遊出に対する部分的阻害を説明することができる。実施例5−T細胞のアポトーシス 炎症は、R−EAEマウスのCNSにおけるi.v.注射aNPCの選択的動員および長期生存の両方を決定する「危険シグナル」として作用していることが上記の例から明らかである。アポトーシスはCNS浸潤性脳炎誘発性T細胞のプログラム細胞死を誘発することによって、EAEからの回復を促進する主要なメカニズムの1つと考えられる(Furlan, R. et al. J Immunol 167, 1821-9 (2001); Weishaupt, A. et al. J Immunol 165, 7157-63 (2000))。早ければp.t.2週間(30dpi)で、発症時に移植が行われたR−EAEマウスは、CNS炎症性浸潤細胞数の有意な低下(p<0.01)およびCNS浸潤性CD3+/TUNEL+細胞数の3倍の増加(p<0.005、偽処置マウスと比較した場合)を示した(図11aおよび図12)。aNPC処置マウスおよび偽処置マウスの両者で、アポトーシス細胞の大部分(83.8±6.9%および90.5±2.3%)は、CNSの血管周囲の炎症性浸潤内に限られていた。活性型カスパーゼ−3をアポトーシスのマーカーとして用い確認された結果から、移植されたβ−gal+細胞は、血管周囲のCNSの炎症を起こした領域内で、アポトーシスを起こしていないことも実証された(図11b)。50dpiの時点で、CNS浸潤性CD3+細胞にて行われたex vivoでのFACS分析から、偽処置マウス(5.2±0.6%)と比べて、発症時に移植が行われたR−EAEマウスでのアネキシンV+/TOPRO−3+「後期アポトーシス」細胞の有意に(p=0.01)高い割合(27.3±10.4%)が示された(図11c)。同じマウスにおいて、IFNγ+(17.6±2.26%,偽処置および12.2±3.53%,aNPC処置)、IL−2+(17.8±1.64%,偽処置および33.6±10.7%,aNPC処置)、およびIFNγ+/IL−2+(59.3±1.96%,偽処置および41.0±15.7%,aNPC処置)産生細胞の割合の有意でない差異から示されるように、CNS浸潤性CD3+細胞は免疫アネルギーの兆候を少しも示さなかった。T細胞に対するaNPCのプロアポトーシス効果を、次いで、in vitro分析により確認した。プラスチック固定化抗CD3/CD28抗体により活性化された未免疫同系(syngenic)SJLマウスの脾臓由来CD3+細胞は、漸増数の、単一細胞に分離したaNPCとの共培養時にアポトーシスを起こした;細胞間の接触を回避するtrans−wellシステムにおいて、CD3+細胞に対するaNPCのプロアポトーシス効果は依然として測定可能であったが、それほど強くはなかった(図12)。さらに、前炎症性Th1(例えば、TNFα、IFNγ)サイトカインプロファイルを示すPLP139−151特異的なCD4+ T細胞株は、漸増数の、単一細胞に分離したaNPCとのin vitroでの共培養時にアポトーシスを起こしたが、抗炎症性Th2(例えば、IL−4)プロファイルを示すPLP139−151特異的なCD4+ T細胞株はそうでなかった(図11d)。線維芽細胞、全骨髄細胞(WBMC)、またはaNPC馴化培地では、PLP139−151特異的なTh1細胞との共培養時に、測定可能なプロアポトーシス効果を誘導しなかった。 in vitroおよびin vivoでのデータから、aNPC介在性のアポトーシスは細胞死受容体介在経路(外因性)とミトコンドリア介在経路(内因性)の双方を介して誘導されうることが示唆される(総説としては、Marsden, V. S. & Strasser, A. Annu Rev Immunol 21, 71-105 (2003)を参照のこと)。細胞死受容体リガンド(例えば、FasL、Apo3L、TRAIL)のブロックによって、PLP139−151特異的なTh1細胞のアポトーシスが顕著に(22.3〜50.1%)減少したが、IFNγおよび誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)のブロックによっては減少しなかったことから(図11d)、細胞死受容体経路の主たる関与が示唆された。しかしながら、依然として、ミトコンドリアのアポトーシス経路の関与を排除しえない。実際に、前炎症性サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子[TNFα]、IFNγおよびインターロイキン[IL]−1β)によりin vitroにおいて処理されたaNPCは、細胞死受容体リガンド(例えば、FasL、Trail、Apo3L)の膜発現(図11e〜g)だけでなく、ミトコンドリア介在性のアポトーシスに関わる可能性のある可溶性因子(例えば、iNOS、IFNγ、グリア由来神経栄養因子[GDNF]および白血病抑制因子[LIF])の産生も大いに(タンパク質レベルおよびmRNAレベルの両者で)増加させた(Weishaupt, A. et al. J Immunol 165, 7157-63 (2000); Marsden, V. S. & Strasser, A. Annu Rev Immunol 21, 71-105 (2003); Schere-Levy, C. et al. Exp Cell Res 282, 35-47 (2003); Tarrant, T. K. et al. J Exp Med 189, 219-30 (1999))(図12および図13)。このように、本発明者らの結果から、aNPC介在性のT細胞アポトーシスは、細胞死受容体介在性のものが主であるとはいえ、複数の異なる経路を介して起きていることが示唆される。最後に、本発明者らは106dpiで、aNPC処置R−EAEマウス由来の血管周囲のCNS領域内に、突起を持ったCD11b+活性化ミクログリア細胞(図5)の数が増えていることを見出した(発症時に処置されたマウスでは79.7[±10.8]細胞/mm2、最初の再発時に処置されたマウスでは58.6[±5.6]細胞/mm2、偽処置マウスでは3.3[±0.8]細胞/mm2、p<0,001)。実に、ミクログリア細胞は前炎症性サイトカインを使ったin vitroでの活性化によって、プロアポトーシス物質を産生できることが認められた(図12)。このように、以前に示唆されているように(Pender, M. P. & Rist, M. J. Glia 36, 137-44 (2001))、CNS常在性のグリア細胞がT細胞アポトーシスを促進する一因となりうることも考慮しなければならない。 ここでは、本発明者らは、全身注射により、未分化aNSC(aNPCを含む)がこれまでに未同定の免疫様機能を発揮することで脳修復を促進することを実証している。本発明者らのデータによって、全身に移植されたaNSCの運命および、結果としてその治療効果を、CNSの微小環境が決定付けていることが明らかに示唆される。神経変性が広がると、移植細胞は成熟した機能的表現型を獲得し、それによって、損傷した神経細胞を置き換える(Pluchino et al. (2003) Nature 422:688-694)。神経炎症が優位を占めると、本発明者らがここに示すように、移植されたaNSCは、未分化表現型および増殖能の両者を維持することで、再発性の炎症性変化(inflammatory episodes)を切り抜けて生存する。この後者の状況において、炎症はCNS損傷の領域内でのaNSCの動員および長期残留を調整する重要な「危険シグナル」である。動員は、血液由来のリンパ球がCNSをパトロールするのに使われる選択された分子経路(例えば、VLA−4、GPCR)を利用する「循環」aNSCの生得的な能力によって可能であり、その一方で、長期にわたってCNSにとどまることは、血管周囲のニッチ様領域内での、移植されたaNSCと炎症性CNS浸潤性T細胞、ならびに炎症性浸潤を形成し、グリア原性(gliogenic)および神経原性(neurogenic)調節因子(Notch−IおよびIII、Noggin、VEGF−α)を産生するCNS常在細胞との間で行われる持続的なクロストークによるものである。これらの領域において、aNSCは未分化状態で生存し、血液由来CNS浸潤性の、抗炎症性Th2細胞ではなく、前炎症性Th1細胞の生体内(in situ)でのプログラム細胞死を誘導することでその神経保護効果を発揮する(Vandenbark, A. A. et al. Int Immunol 12, 57-66 (2000); Zhang, X. et al. J Exp Med 185, 1837-49 (1997))。実施例6−NPC依存的な免疫調節の分子的基盤の研究 本発明者らは、未分化aNPCの移植が、損傷したCNSの軸索の再ミエリン化により、および免疫調節機能により、実験的多発性硬化症において長期にわたる神経保護を促進することを見出した。本発明者らは同様に、aNPCが、全身移植後、脳および脊髄に進入し、炎症を起こしたCNSの領域、つまり主要な幹細胞調節因子が局部的に(再)発現される「非定型的な血管周囲のニッチ」に選択的に到達し、移植から120日後までin vivoにおいて生存することを見出した。蓄積して残留するこれらのCNSの部位のなかで、i.v.注射されたaNPCは血液由来CNS浸潤性の、抗炎症性Th2細胞ではなく、前炎症性Th1細胞の生体内(in situ)でのプログラム細胞死を誘導することで神経保護を顕著に発揮する。 実験的MSにおいてaNPC主導による免疫調節の分子的基盤をさらに詳細に研究するため、本発明者らは、再発−寛解型の実験的自己免疫性脳脊髄炎(R−EAE)を有するマウスに同系の(syngenic)aNPCを移植した。SJL系メスマウスをプロテオリピドタンパク質(PLP)139−151で皮下免疫し、疾患の発症時にaNPCを静脈注射した。 注射されたaNPCがCNS(すなわち脳および脊髄)のなかに蓄積していることに並行して、かなりの量の移植aNPCが主要な二次リンパ器官のなかに蓄積し、移植後100日間にわたってとどまっていた(図14)。興味深いことに、リンパ節のなかで、「非定型的なCNSの血管周囲のニッチ」の部位において先に記述したのと全く同じ幹細胞調節因子(例えば、FGF−II、Notch I、BMPなど)が劇的に、すなわち、臨床的に明らかな炎症性変化に反応して、タンパク質レベルおよびmRNAレベルの両者で発現しているように見えた(図15)。 このように、主要な幹細胞生存因子が炎症に反応して異所的に(再)発現される、標準的な中枢の身体部位(例えば、CNS)および非標準的な末梢の身体部位(例えば、リンパ節)でもともに蓄積して残留するという能力のため、全身注射されたaNPCは、長期にわたってさえもin vivoで生存することができる。 抗原提示時のaNPCの免疫調節性をさらに調べるため、つまりそれがR−EAEマウスのリンパ節内に蓄積したi.v.注射aNPCに起こる場合であるため、本発明者らは、PLP139−151免疫SJL系マウスのリンパ節由来CD4+細胞を同系の抗原提示細胞(APC)およびaNPCと共培養するin vitroの系を開発した。 この共培養系のなかで、i.記載した抗原での最初の曝露時に、aNPCは抗原特異的な増殖を用量依存的に阻害することにより、共培養したCD4+細胞の極性化および抗原特異的な活性化を調節する(図16);ii.上記の影響の合計として、多重免疫化学発光ELISAから、aNPCと共培養されたPLP反応性のT細胞が明らかなTh2様の表現型を獲得(かつin vitroでの培養の間に維持)していたことが確認された。実際に、aNPCと共培養されたPLP反応性のT細胞は、共培養されなかった対照物よりも顕著に高いレベルで、IL−4およびIL−10などの、推定上の抗炎症性サイトカインを放出し、その一方で、推定上のTh1様の前炎症性サイトカイン(例えば、IFN−γ)の産生をダウンレギュレートする(図16);ii.決定的な証拠として、同系のaNPCと共培養されたPLP139−151反応性のT細胞株は、in vivoでのEAEの養子移植という設定で研究した場合、共培養されなかった対照物よりも顕著に低い脳炎誘発性をもたらした(図17)。 全体的に見て、これらのin vivoおよびin vitroでのデータから、aNPCが共通する機能的な免疫様の特徴(signature)を持っており、これによってそれらがMSおよびその他のCNS炎症性疾患での中枢性寛容および末梢性寛容の両方の誘導に関与する重要な免疫調節機能を発揮できることが明らかである。 上記の明細書中に言及されている全ての刊行物は、参照により本明細書に組み入れられる。本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、本発明の記述の方法およびシステムのさまざまな変更および変形が当業者には明らかであろう。本発明を特定の好ましい実施形態に関連して記述してきたが、主張の本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないと理解されるべきである。実際に、分子生物学分野または関連分野の当業者には明らかな、本発明を実行するための記述の様式のさまざまな変更は、以下の特許請求の範囲内であると意図される。同系(syngenic)aNPCのi.v.注射がR−EAEマウスでの臨床的再発を低減することを示す図である。偽処置(a)ならびにaNPC処置(bおよびc)R−EAEマウスの両方での臨床的再発の発生の図示(各点は1回の再発を表す)。黒色の点は処置を受けていない期間の間に起きた1回の再発を表し、白色の点はaNPC処置の間に起こった再発を表す。各マウスはy軸上に番号で表されている。同系の(syngenic)aNPCを疾患発症時(b)にまたは最初の臨床的再発時(c)にi.v.移植した。マウスは全て臨床的寛解期の間に106dpi(黒色の矢印)で殺処理された。早ければ30〜60dpiで、疾患発症時に移植が行われたR−EAEマウスにおいて2倍低い臨床的再発が記録された;それらは経過観察の終わりまで同様に低い再発率を維持していた。最初の再発時に移植が行われたR−EAEマウスでは、もっと遅くに回復したが、60〜90dpiの再発率が劇的に3倍低下していた。i.v.移植されたaNPCが移植から3ヶ月後までR−EAEマウスの血管周囲の炎症を起こしたCNS領域内にとどまることを示す図である。(a),(b):i.v注射されたβ−gal標識aNPC(明部)は、CNS炎症性浸潤を形成する血液由来CD45+免疫細胞(b)がとどまる血管周囲のCNS領域内に残っている。血管周囲領域内のCD45+細胞はKi67−(b)であり、したがってそれらが最終エフェクターの脳炎誘発性細胞であることを示唆している。(a)中の核は暗い方の陰影の中にある(Dapi)。スケールバー;a,30μm;b,15μm。(c)〜(m):血管周囲領域内で、β−gal標識細胞の一部(c,e,g,h,j,l中の明るい方の陰影)はネスチン(d,矢頭)、NeuN(f,矢頭)、Mash−I(g)、DIx−2(i,矢頭)、およびPSA−NCAM(j,m)に対し陽性である。(j)および(k)において、CNSの血管がラミニンで染色されている。(j)中の囲みは(k)〜(m)に示されている。(c),(e),(h)および(j)中の核はDapiで染色されている。スケールバー:d,30μm;f,25μm;g,15μm;i,40μm;j,20μm;m,10μm。n;BrdU染色されたi.v.注射β−gal標識aNPC(矢頭)。スケールバー,10μm。i.v.注射された同系の(syngenic)aNPCがR−EAEマウスのCNSの血管周囲領域内にとどまることを示す図である。(a)〜(c):同系の(syngenic)aNPCをi.v.注射したR−EAEマウス由来のビブラトーム切断(70μm)による脳および脊髄組織切片のX−gal染色であり、移植されたX−gal+細胞(黒色の細胞)が臨床的な経過観察の終わり(106dpi)まで血管周囲のCNS領域内にとどまっていることを示す。スケールバー:a,80μm;bおよびc,40μm。(d):血管周囲のCNS領域内にとどまるX−gal+のi.v.注射aNPC(黒色)は、ネスチン+(矢頭)の表現型を保持している。スケールバー,20μm。(e):遊走性のaNPCは、それらが血管周囲領域外へ移動する限り、NeuN+(矢頭)を発現するものはほとんどない。スケールバー,35μm。(f):偽処置R−EAEマウス由来の典型的な脊髄切片におけるX−gal染色(倍率20×)。106dpiのaNPC移植R−EAEマウスにおいて行われた共局在実験を示す共焦点像である。(a):脊髄の血管周囲領域内でのPSA−NCAMを発現する増殖中の(BrdU)i.v.移植β−gal+細胞(倍率100×)。(b):i.v.移植β−gal+細胞の膜上でのJagged−1発現(倍率100×)。(c):BrdU(赤色)の取り込みから示されるように、CNSの血管周囲領域内に依然としてとどまっている、2個のβ−gal+(緑色)のi.v.移植された増殖中のaNPC(倍率63×)。β−gal+細胞のどれもGFAP(d,赤色)またはNG2(e)が陽性ではなかった。パネル(b),(d)および(e)において、細胞核はDapiで染色されている。スケールバー:d,40μm;e,20μm。R−EAEマウス由来の血管周囲のCNS領域が幹細胞調節因子を発現し、活性化ミクログリアを含むことを示す図である。(a)〜(d):偽処置R−EAEマウス由来の血管周囲のCNS領域内でのBMP−4(aおよびb)ならびにNoggin(cおよびd)発現。炎症性の血液由来単核細胞がこれらの領域内で視認できる。血管は抗CD31/PECAM抗体で染色されている(倍率40×)。(e):典型的なaNPC移植R−EAEマウス由来の脊髄組織切片中の分枝した活性化CD11b+ミクログリア細胞(倍率40×)。活性化ミクログリア細胞は、CNS浸潤性血液由来免疫細胞と混ざり合っていることが認められた。全てのパネルにおいて、細胞核はDapiで染色されている。幹細胞調節因子が、R−EAEマウス由来の血管周囲のCNS領域内にとどまっているi.v.注射aNPCと共局在していることを示す図である。(a)〜(e):血管周囲のCNS領域において、BMP−4(aおよびc)ならびにNoggin(bおよびd)を分泌する、GFAP+のアストロサイト(aおよびb)ならびにラミニン+の内皮細胞(cおよびd)は、移植されたβ−gal+ aNPCと共局在している(a〜e)。(e):Nogginを分泌する浸潤性の最終エフェクターCD45+リンパ球を含んだ血管周囲のCNS領域。核はDapiで染色されている。スケールバー:aおよびb,40μm;cおよびd,25μm;e,50μm。単一染色は図7で見ることができる。(f):SJL系の未免疫マウスの脾臓由来リンパ球での幹細胞調節因子のmRNAレベルを示すリアルタイムPCR。Con A活性化リンパ球(黒色バー)および休止リンパ球(白色バー)の両方がVEGF−α、Noggin、Notch IおよびIIIを産生している。幹細胞調節因子が、R−EAEマウス由来の血管周囲のCNS領域内にとどまっているi.v.注射aNPCと共局在していることを示す図である。(a)〜(l):BMP−4(cおよびi)ならびにNoggin(fおよびl)を分泌する、GFAP+のアストロサイト(bおよびe)ならびにラミニン+の内皮細胞(hおよびk)は、移植されたβ−Gal+ aNPCと共局在している(a,d,g,j)。スケールバー:aおよびc,80μm;gおよびj,40μm。(m)〜(p):Noggin(o)を分泌する浸潤性の最終エフェクターCD45+リンパ球(n)を含んだ典型的な血管周囲のCNS領域の重ね合わせ共焦点像(m)。細胞核はDapi(p)で染色されている。スケールバー:m,30μm;n〜p 20μm。VLA−4およびケモカイン受容体を恒常的に発現するaNPCが、R−EAEマウス由来の、炎症を起こしたCNSの微細血管の周りに蓄積していることを示す図である。(a),(b):aNPCでのVLA−4のクラスター化(a)および蛍光強度の3Dプロット(b)。核はDapiで染色されている。スケールバー,20μm。(c):非刺激(Unst.)aNPCおよびPMA刺激CD4+ T細胞は、in vitroにおいてVCAM−1に接着する。結合は、1μMの種々のケモカインでのaNPC刺激(37℃で3分間)によって増大しない。接着は非コーティング(Unc.)ウェルでは完全に見られない。(d)〜(g):LPS処置マウス由来の炎症を起こした脳(d)および横紋筋細静脈(e)に強く接着するaNPC(明るい血管内の点)を示す生体顕微鏡検査(倍率20×)。炎症を起こした横紋筋細静脈中のVCAM−1発現が(f)に示されている。アイソタイプ適合の対照抗体(抗ヒトRas抗体)(g)。(h):i.v.注射から24時間後の、R−EAE(黒色バー)マウスおよび未免疫対照(淡色の(light)バー)マウスの種々の臓器への2,3−[3H]−グリセロール標識aNPCの蓄積。抗VLA−4抗体(PS/2)でのブロックによってR−EAEマウス(白色バー)由来の脳(39%)および脊髄(54%)でのaNPCの動員は減るが、未免疫のaNPC注射対照マウス(濃灰色のバー)由来のものでは減らない(*p=0.005および**p<0.0001)。(i):マウスaNPCは検出可能なmRNAレベルのCCR1、CCR2、CCR5、CXCR3およびCXCR4を発現するが、検出可能なmRNAレベルのCCR3およびCCR7を発現しない。(j)〜(m):ネスチン陽性aNPCはCCR2(j)、CCR5(k)、CXCR3(l)およびCXCR4(m)を発現する。核はDapiで染色されている。スケールバー:j〜l,80μm;m,120μm。aNPCはVLA−4を恒常的に発現し、慢性進行性EAEのC57Bl/6系マウス由来の、VCAM−1を発現するCNSの炎症を起こした微細血管に接着することを示す図である。(a)〜(h):MOG35−55で免疫したC57Bl/6系EAEマウスにおけるCNSの内皮細胞でのVCAM−1発現。24dpiの脳血管中に蓄積しているAlexa 488標識抗VCAM−1 mAb(eおよびf)を示す、生体顕微鏡像(a,c,e,g中の明るい点)および免疫蛍光像(b,d,f,h中の蛍光)。低下したレベルのVCAM−1が前の時点(15dpi,cおよびd)ならびに後の時点(35dpi,gおよびh)で検出可能であった(倍率40×)。血管は抗ラミニン抗体で染色されている。核はDapiで対比染色されている。倍率:a,c,eおよびg,20×;b,d,fおよびh,40×。(i):i.v.細胞注射から24時間後のMOG35−55免疫C57Bl/6系マウス(黒色バー)由来の種々の臓器への2,3−[3H]−グリセロール標識aNPCの蓄積。2×106個のi.v.注射aNPCの動員は、ブロック用のラット抗マウスVLA−4抗体によるin vitroでの前処理後の脳(42%)および脊髄(54%)において減少する(白色バー)(*p<0.001および**p<0.0001)。ブロック用のラット抗マウスVLA−4抗体で前処理された(濃灰色バー)または前処理されていない(薄灰色バー)同系の(syngenic)aNPCをi.v.移植した未免疫対照マウス、および偽処置の未免疫マウス(中灰色バー)が対照として使用された。データは4回の独立した実験からの少なくとも1群あたりマウス6匹の蓄積細胞の平均パーセンテージ(±SE)/gr.組織として表される。(j)〜(m):aNPCにて抗VLA−4ブロック抗体の結合により誘導されるネクローシス(jおよびlにおけるPI染色)作用またはアポトーシス(kおよびmにおけるアネキシン−V染色)作用がないことを示すFACS分析。aNPCが広範な機能的前炎症性ケモカイン受容体を発現することを示す図である。(a)〜(d):CCL2/MCP−1(a)、CCL3/MIP−1α(b)、CCL5/Rantes(c)およびCXCL12/SDF−1α(d)に反応したマウスaNPCの4時間の走化性(chemotaxis)アッセイ。遊走性のaNPCの数はSDF−1αおよびRantesで顕著に増加した。パネル中の白色の点は走化性実験を示し、黒色の点は化学運動性(chemokinesis)実験を示す。(e):PTX(0.01mg/ml,室温で15分)で前処理したaNPCは、CXCL12/SDF−1αにもCCL5/Rantesにも反応しなかった(°p<0.0005;*p<0.005;**p<0.05)。aNPCがin vitroおよびin vivoにおいて脳炎誘発性T細胞のアポトーシスを誘導することを示す図である。(a):aNPC注射から15日後(30dpi)のR−EAEマウスでの脊髄炎症の減少(黒色バー)およびCNS浸潤性アポトーシスリンパ球の増加(白色バー)(平均±SE;*p<0.01;**p<0.005、偽処置マウスと比較した場合)。(b):カスパーゼ−3(破線矢印)およびβ−gal+(実線矢印)について二重染色された脊髄の血管周囲領域。破線は血管を示す(倍率100×)。(c):aNPC注射から35日後(50dpi)のR−EAEマウスにおいて顕著に増加した、後期アポトーシス性の(TOPRO3+/アネキシンV+,黒色バー)、しかしネクローシス性ではない(TOPRO3+/アネキシンV−,白色バー)CNS浸潤性CD3+ T細胞を示すFACS分析。(d):aNPCはPLP139−151 Th1(しかしTh2ではない)細胞株のアポトーシス(アネキシンV+/PI−細胞)を誘導する。FasL、Apo3L、またはTRAILの阻害によって、aNPC介在性のプロアポトーシス効果が有意に低下する(*p<0.01;**p<0.05ベースラインレベルとの比較)。(e)〜(g):前炎症性サイトカインで処理されたaNPCでの細胞死受容体(FasL/CD95−リガンド[e]、Apo3L[f]、TRAIL[g])の発現を示す蛍光像。核はDapiで染色されている。スケールバー,15μm。アポトーシスを起こしたCD3+細胞のin vitroおよびin vivoでの分析ことを示す図である。(a)および(b):偽処置R−EAEマウス(a)またはaNPC処置R−EAEマウス(b)のいずれか由来の、TUNEL染色された典型的な脊髄の血管周囲領域(倍率20×)。(a)ではわずかなアポトーシス細胞(矢印)しか見えないのに対し、(b)では血管周囲の細胞の大多数がTUNEL+(黒色の点)である。(c):TUNELおよびCD3について二重染色された脊髄の血管周囲領域(破線矢印,TUNEL+CD3−細胞;実線矢印,TUNEL+CD3+細胞;スケールバー,30μm)。(d)〜(g):偽処置(dおよびe)またはaNPC注射(fおよびg)R−EAEマウス由来の血管周囲領域を示す、CD3(dおよびf中の点)またはTUNEL(dおよびf中の黒色の点)染色された、典型的な脊髄の(5μm厚)連続切片(倍率40×)。(d)および(f)中の核はヘマトキシリンで対比染色されている。aNPC処置マウスにおいて有意に増加している(偽処置との対比でp<0.005)、CD3を発現するアポトーシス細胞の大多数が、早ければp.t.2週間(30dpi)で、血管周囲の炎症を起こしたCNS領域内に限られていることに留意されたい。(h):CD3/CD28で活性化された脾臓由来リンパ球は、aNPCと共培養されると、アポトーシス(アネキシンV+/PI−細胞)を起こす(単一ウェル,黒色バー;ウェル間,白色バー)。(i):前炎症性サイトカインで処理されたaNPCは、プロアポトーシス分子のmRNAを発現する。任意単位(AU)は処理細胞と未処理細胞との間のmRNAレベルの誘導倍率を表す。aNPCによる幹細胞増殖および分化の調節因子、免疫分子ならびに栄養因子の発現を示す図である。誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)、インターロイキン−1受容体アンタゴニスト(IRA)、CXCL12/SDF−1α、インターロイキン(IL)−10、IL−1β、IL−4、腫瘍壊死因子(TNF)α、インターフェロン(IFN)γ、血小板由来増殖因子(PDGF)α、線維芽細胞増殖因子(FGF)−II、白血病抑制因子(LIF)、形質転換増殖因子(TGF)β、グリア由来神経栄養因子(GDNF)、VEGFα、Notch I、Notch III、Noggin、B7.1、B7.2、および細胞傷害性Tリンパ球抗原(CTLA)−4のmRNAレベルを示すRT−PCR分析。mRNAレベルを、未分化aNPC、in vitro分化aNPC、未分化であるがin vitroにおいてTNFα、IFNγおよびIL1βで予め処理されたaNPC、ならびにin vitroにおいてTNFα、IFNγおよびIL1βで予め処理されたin vitro分化aNPCにおいて測定した。in vitroにおいてLPSおよびTNFαで活性化されたまたは活性化されていない、マウスN9ミクログリア細胞を対照として使用した。データは任意単位(AU)として表されており、ConA刺激された脾臓由来リンパ球に対しての種々の細胞集団でのmRNAレベルの誘導倍率を表す。aNPC細胞サンプルは継代10回以下のin vitroでの増幅で得た。静脈内注射されたaNPCは、R−EAEマウスの主要な二次リンパ器官に蓄積し、移植から100日後にわたってとどまっていた。(a)〜(c):静脈内注射から15日後に、強化緑色蛍光タンパク質(eGFP)免疫反応性移植aNPCは、導管周囲(periduttal)領域中のリンパ節間質(破線)にとどまっており、CD45(aおよびb)またはf4−80(c)免疫マーカーのいずれとも共局在していない。全てのパネルにおいて、細胞核はDapiで染色されている。(d)および(e):同系のaNPCを静脈内注射し、移植から15日後(d)または100日後(e)のいずれかで殺処理したR−EAEマウスの主要な排出リンパ節領域由来のeGFPについての一段階リアルタイムRT−PCR。大部分のサンプルにおけるeGFPの307bpの様々な強度のバンドの存在(dおよびe中の破線の囲い)に留意されたい。説明:A,腋窩、C,頸部、I,鼠径、M,腸間膜(mesenteryc)、P,大動脈周囲(paraortic)。R−EAEマウス由来の排出リンパ節は、タンパク質レベルおよびmRNAレベルの両方で体性幹細胞の主要な調節因子を劇的に発現していることを示す図である。(a):PLPによる能動免疫化後の異なる時点(15日、30日および100日)でのR−EAEマウス由来の頸部排出リンパ節、鼠径排出リンパ節および腋窩排出リンパ節内での体性幹細胞の主要な調節因子のmRNAレベルを示すRT−PCR分析。データは任意単位(AU)として表されており、未免疫(雌雄適合、年齢適合および体重適合)対照マウス由来のリンパ節に対しての、R−EAEマウス由来のリンパ節におけるmRNAレベルの誘導倍率を示す。(b)〜(d):EAEマウス由来の頸部排出リンパ節内のテネイシンC(b)、ソニック・ヘッジホッグ(c)およびJagged−1(d)タンパク質の発現。aNSCが脳炎誘発性CD4+細胞の抗原特異的な増殖を阻害することを示す図である。(a):R−EAE誘発SJL系マウスから得られた、リンパ節細胞(LNC)に対するin vitroでのH−チミジン取り込みに及ぼすaNSCの効果。LNCをaNSCと共培養することの効果を0〜30μg/mlのPLP139−151への反応で調べた。aNSCは対照と比べて、用量依存的にLNCでの3H−チミジンの取り込みを顕著に抑制した。(b):LNC/aNSC共培養から回収された上清の多重免疫化学発光ELISAに基づくTh1/Th2サイトカイン分析。Th2様の推定上の抗炎症性サイトカイン(例えば、IL−10,IL−4)は、共培養されていないPLP反応性のCD4+対照細胞株と比較した場合、aNSCと共培養されたCD4+ Tリンパ球由来のサンプルで顕著に高いことが分かる。同系のaNSCと共培養されたPLP139−151反応性のT細胞株は、in vivoでのEAEの養子移植という設定で研究した場合、共培養されなかった対照物よりも顕著に低い脳炎誘発性をもたらした。 中枢神経系障害の治療用医薬の調製のための、成体神経幹細胞(aNSC)の使用。 炎症を低減させることにより組織防御を誘導するための医薬の調製のための、幹細胞の使用。 前記炎症が中枢神経系障害に関連したものである、請求項2に記載の使用。 中枢性寛容および/または末梢性寛容を誘導するための医薬の調製のための、幹細胞の使用。 中枢神経系での中枢性寛容および/または末梢性寛容を誘導するための、請求項4に記載の使用。 中枢神経系炎症および/もしくは神経変性障害での中枢性寛容および/または末梢性寛容を誘導するための、請求項4に記載の使用。 中枢神経系浸潤性前炎症性T細胞のアポトーシスを誘導するための医薬の調製のための、幹細胞の使用。 前記前炎症性T細胞がCD45+炎症性細胞である、請求項7に記載の使用。 前記幹細胞が胚性幹細胞でない、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。 前記幹細胞がヒト胚性幹細胞でない、請求項9に記載の使用。 前記幹細胞が成体多能性体性幹細胞である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。 前記幹細胞がaNSCである、請求項11に記載の使用。 前記幹細胞が成体神経前駆細胞である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。 前記aNSCが成体脳または脊髄由来である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。 前記幹細胞が炎症部位への標的化部分を含んでなる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。 前記炎症部位が中枢神経系の炎症を起こした損傷である、請求項15に記載の使用。 前記幹細胞が標的化部分を発現するように遺伝的に改変されている、請求項15または16に記載の使用。 前記標的化部分が、炎症を起こした領域の選択的な標的化を可能にする、インテグリン、細胞接着分子(CAM)または機能的ケモカイン受容体である、請求項15〜17のいずれか1項に記載の使用。 前記インテグリンがα4インテグリン超後期抗原(VLA)−4である、請求項18に記載の使用。 前記CAMがCD44である、請求項19に記載の使用。 前記ケモカイン受容体が、CCR2、CCR5、CXCR3およびCXCR4からなる群より選択される、請求項18に記載の使用。 前記幹細胞がプロアポトーシス分子を発現している、請求項1〜21のいずれか1項に記載の使用。 前記幹細胞がプロアポトーシス分子を発現するように遺伝的に改変されている、請求項22に記載の使用。 前記プロアポトーシス分子が主要細胞死受容体(major death receptor)リガンドである、請求項22または23に記載の使用。 前記主要細胞死受容体リガンドが、FasL、Apo3LおよびTRAILより選択される、請求項24に記載の使用。 前記幹細胞が、ネズミ、ヒト、ブタ、ネコまたはイヌのものである、請求項1〜25のいずれか1項に記載の使用。 前記治療を中枢神経系障害の発症後に行う、請求項1〜26のいずれか1項に記載の使用。 前記医薬が神経変性障害の治療用である、請求項1〜27のいずれか1項に記載の使用。 前記医薬が中枢神経系障害の治療用であり、かつ該中枢神経系障害が、認知症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、脳腫瘍、脊髄損傷および虚血性脳卒中からなる群より選択される、請求項1〜28のいずれか1項に記載の使用。 前記中枢神経系障害が、多発性硬化症、脳腫瘍、脊髄損傷および虚血性脳卒中からなる群より選択される、請求項29に記載の使用。 前記医薬が、慢性炎症を特徴とする全身性障害または臓器特異的障害の治療用である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の使用。 前記医薬が、関節リウマチまたはI型糖尿病の治療用である、請求項31に記載の使用。 前記幹細胞が、静脈内または髄腔内に投与されるものである、請求項1〜32のいずれか1項に記載の使用。 中枢神経系障害に関連した炎症(神経炎症)を低減させることにより組織防御を誘導する方法であって、以下のステップ: (i)任意により、中枢神経系障害に罹患した患者での幹細胞投与のために、炎症に関連するタイムウィンドウを特定するステップ;および (ii)該患者に幹細胞を投与するステップを含む、上記方法。 中枢神経系障害において中枢性寛容および/または末梢性寛容を誘導する方法であって、以下のステップ: (i)任意により、中枢神経系障害に罹患した患者での幹細胞投与のために、炎症に関連するタイムウィンドウを特定するステップ;および (ii)該患者に幹細胞を投与するステップを含む、上記方法。 磁気共鳴画像法を用いて炎症を特定する、請求項34または35に記載の方法。 前記幹細胞が胚性幹細胞でない、請求項34〜36のいずれか1項に記載の方法。 前記幹細胞がヒト胚性幹細胞でない、請求項37に記載の方法。 前記幹細胞が多能性体性幹細胞である、請求項34〜38のいずれか1項に記載の方法。 前記幹細胞がaNSCである、請求項39に記載の方法。 前記幹細胞が成体神経前駆細胞である、請求項34〜40のいずれか1項に記載の方法。 前記幹細胞が、請求項11〜23のいずれか1項に記載されるものである、請求項34〜41のいずれか1項に記載の方法。 中枢神経系障害の発症後に前記幹細胞を投与する、請求項34〜42のいずれか1項に記載の方法。 前記中枢神経系障害が炎症性障害および/または神経変性障害である、請求項34〜43のいずれか1項に記載の方法。 前記中枢神経系障害が、認知症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、脳腫瘍、脊髄損傷および虚血性脳卒中からなる群より選択される、請求項34〜44のいずれか1項に記載の方法。 前記中枢神経系障害が、多発性硬化症、脳腫瘍、脊髄損傷および虚血性脳卒中からなる群より選択される、請求項45に記載の方法。 前記幹細胞を、静脈内または髄腔内に投与する、請求項34〜46のいずれか1項に記載の方法。 本発明は、中枢神経系障害の治療用医薬の調製のための、aNSCの使用に関する。【選択図】なし


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