生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_エラスターゼ阻害剤
出願番号:2008136810
年次:2009
IPC分類:A61K 8/97,A61Q 19/00,A61Q 19/08,A61K 36/18,A61P 17/16,A61P 17/00,A61P 39/06,A61P 43/00


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松田秀秋 増田めぐみ 藤田 忠 勇 史行 JP 2009280549 公開特許公報(A) 20091203 2008136810 20080526 エラスターゼ阻害剤 タヒチアン ノニ インターナショナル インコーポレーテッド 504279337 高橋 剛 100096758 高橋 雅和 100114845 高橋 友和 100148781 松田秀秋 増田めぐみ 藤田 忠 勇 史行 A61K 8/97 20060101AFI20091106BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20091106BHJP A61Q 19/08 20060101ALI20091106BHJP A61K 36/18 20060101ALI20091106BHJP A61P 17/16 20060101ALI20091106BHJP A61P 17/00 20060101ALI20091106BHJP A61P 39/06 20060101ALI20091106BHJP A61P 43/00 20060101ALI20091106BHJP JPA61K8/97A61Q19/00A61Q19/08A61K35/78 CA61P17/16A61P17/00A61P39/06A61P43/00 111 5 OL 9 特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年12月3日 学校法人近畿大学主催の「平成19年度卒業実験論文発表会」に文書をもって発表 特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年2月1日 インターネットアドレス「http://nenkai.pharm.or.jp/128/web/」に発表 特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年3月5日 日本薬学会第128年会組織委員会発行の「日本薬学会第128年会講演要旨集2」に発表 4C083 4C088 4C083AA111 4C083AA112 4C083AC102 4C083AC482 4C083CC01 4C083CC02 4C083CC04 4C083EE12 4C083FF01 4C088AB14 4C088AC04 4C088CA06 4C088CA09 4C088NA14 4C088ZA89 4C088ZC20 4C088ZC37 本発明は、モリンダ・シトリフォリアの種子を含むエラスターゼ阻害剤に関するものであり、さらに種子の大部分を占めるオイル成分を除いた成分を得る抽出条件により見出せたエラスターゼ阻害剤・抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害剤、及びモリンダ・シトリフォリアの種子を粉砕することなく加熱抽出して得られるエキスを含むエラスターゼ阻害剤・抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害剤に関するものであり、新規にして、かつ、安全な化粧品、医薬品、医薬部外品、飲食品素材に関するものである。 ノニ〔(学名:モリンダ・シトリフォリア(Morinda citrifolia)、和名:ヤエヤマアオキ)〕は、インドネシアのモルッカ諸島原産、アカネ科の熱帯性植物である。主に南太平洋のポリネシアの島々を中心に群生し、東南アジア、オーストラリア、インド、アフリカ、沖縄、小笠原諸島などの熱帯・亜熱帯地域に広く分布している。モリンダ・シトリフォリアは古くから熱帯・亜熱帯地域において食用、あるいは伝承医薬品として用いられ、根や茎、樹皮、葉、花、果実などの各部位が、高血圧、糖尿病、心臓病、疼痛、関節炎、喘息、マラリア熱、捻挫、火傷、虫歯、下痢、伝染病などの各種疾病の治療に利用されてきた。近年、それらの伝統的薬効を科学的に証明する研究が世界各国で進められている。長時間の紫外線暴露は、しわの形成などの光老化をもたらすことがよく知られている。エラスチンは皮膚の弾力を保つ主要な真皮マトリックス成分のひとつであり、特に繰り返しの伸縮に関与する繊維性のタンパク質であるが、紫外線の影響でエラスターゼ酵素の活性が亢進すると、エラスチンの過剰な分解がおこり、しわが形成される。従って、安全で、かつ有効なエラスターゼ阻害剤は、美容上の問題を解決する手段として非常に有用であるといえる。また、過度の紫外線は活性酸素を過剰に増加させ、しみやそばかすなどの色素沈着の原因となるメラニンの産生を促進する。また、過度の活性酸素は炎症反応を増悪させ、その治癒を遅らせるほか、肌荒れや過敏肌などさまざまな肌トラブルの原因となる。従って、安全で、かつ有効な抗酸化剤は美容上の問題を解決する手段として非常に有用であるといえる。 モリンダ・シトリフォリアに関しては、特開2000−95663号の請求項及び[0012]にモリンダ・シトリフォリアのみならずアルトカルパス ラクーチャ等の植物の抽出物が美白剤、活性酵素消却剤、抗菌剤として有効であることが記載され、又、有効成分として用いられる植物抽出物は葉/枝・幹/樹皮/花/果実/根またはそれらの乾燥物から、適当な抽出溶媒を用いて、抽出することにより、調製される、ことが記載され、種子のことは記載されていないし、エラスターゼ阻害効果についての記載もない。 又、特開2007−55963号の[0017]には、ヤエヤマアオキ(モリンダ・シトリフォリア)の果実は、果肉及び種子のうちいずれか一方又はその両方を含むものであるが、より抗酸化活性を高めることができるため、種子を除いた果肉部分のみを用いることが好ましい、ことが記載されている。果実には当然種子を含むので、種子を含んでも良いが、種子を除いた果肉の部分のみを用いることが好ましい、と解釈することが出来、種子についての効果を認めておらず、エラスターゼ阻害効果についての記載もない。 又、特開2005−145945号の請求項1には、ヤエヤマアオキ(モリンダ・シトリフォリア)熟成果実発酵液からなる皮膚機能賦活化粧料組成物のことが記載されているが種子のことについては全く記載されていない。 又、特表2003−508554号の[0006]には、ヤエヤマアオキ(モリンダ・シトリフォリア)種子から抽出されたエッセンシャルオイル、及びオイルを抽出する方法に関することが記載され、その抽出方法は[0008]に記載のように種子を砕き、破砕し、薄片にし、切断し、することが記載されているが、種子がエラスターゼ阻害効果を有することは記載されていない。 又、特開2004−352701号は[0002]、[0004]等に、モリンダ・シトリフォリアの果実の種子及び種皮が抗炎症作用、殺菌効果、保湿効果を有する入浴剤として利用出来ることが記載されているが、種子がエラスターゼ阻害効果を有することは記載されていない。 このように、従来においてはモリンダ・シトリフォリアの種子がエラスターゼ阻害効果を有すること、又、その種子からオイル成分を除去した後の残渣を加熱抽出して得られたエキスがエラスターゼ阻害効果、抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害効果を有すること、又、その種子を粉砕することなく加熱抽出して、得られたエキスがエラスターゼ阻害効果、抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害効果を有することは全く知られておらず、本発明者らの鋭意研究の結果初めて発見されたものである。本発明の目的は、モリンダ・シトリフォリア種子のエラスターゼ阻害活性を発現させる製法で、かつ、抗酸化作用を最大限に引き出すことのできる製法によって調製したエキスを有効成分として含有することで、しわの形成をはじめとする光老化の抑制、皮膚の美白、炎症の治療促進、肌荒れの予防・改善等に有用でかつ安全な、皮膚外用剤および内服剤を提供することである。本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、モリンダ・シトリフォリアの種子がエラスターゼ阻害活性のあることを見出した。また、モリンダ・シトリフォリアの種子からオイル成分を除去した後の残渣を加熱抽出して得られたエキスに、オイル成分には期待できないエラスターゼ阻害活性、及び抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害活性を見出した。 さらに、その方法で調製したエキスには、オイル成分には期待できないエラスターゼ阻害活性、及び抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害活性が発現することを見出した。 また、モリンダ・シトリフォリアの種子をあえて粉砕することなく含水アルコールで加熱抽出して得られたエキスに、粉砕後の種子を含水アルコールで静置抽出するという一般的に知られている抽出方法で調製したエキスには発現しないエラスターゼ阻害活性を見出した。なお、この際のアルコールとしては一価および多価アルコールが用いられ、前者としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが例示され、後者としてはエチレングリコール、プロピレングリコールが例示される。 さらに、その方法で調製したエキスは、一般的に知られている抽出方法で得られたエキスよりも極めて強い抗酸化活性が発現することを見出し、かつ抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害活性を見出した。 モリンダ・シトリフォリアの種子は前記のように粉砕しない場合にエラスターゼ阻害活性を見出すことが出来るのであるが、オイル成分を除去する場合はその種子を粉砕することが望ましい。粉砕することで効率よくオイル成分を除去できるからである。 また、本発明における製法によって得られた抽出液あるいはエキスから、カラムクロマトグラフィーなどを用いて精製した単一成分を用いることもできる。 以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 実験材料にはタヒチ産のモリンダ・シトリフォリア果実、および種子を使用した。 参考例検体1;乾燥種子を粉砕後、10倍量のヘキサンで1時間1回還流抽出し、ろ液を減圧下濃縮して溶媒を留去したものをヘキサン抽出エキスとした(収率;10.7%)。検体2;検体1の調製においてヘキサン抽出した後、即ちヘキサン抽出によりオイル成分を除去した後の残渣を再度エタノールで1時間1回還流抽出し、ろ液を減圧下濃縮して溶媒を留去したものをエタノール抽出エキスとした(収率;3.6%)。検体3;乾燥種子を粉砕後、10倍量の50%エタノールで一晩静置抽出し、ろ液を減圧下濃縮してエタノールを除き、凍結乾燥したものを50%エタノール静置抽出エキスとした(収率;3.5%)。検体4;粉砕していない乾燥種子を10倍量の50%エタノールで2時間2回還流抽出し、ろ液を減圧下濃縮してエタノールを除き、凍結乾燥したものを50%エタノール加熱抽出エキスとした(収率;5.0%)。検体5;種子を除き、粉砕した乾燥果実を10倍量の50%エタノールで2時間2回還流抽出し、ろ液を減圧下濃縮してエタノールを除き、凍結乾燥したものを50%エタノール加熱抽出エキスとした(収率;33.0%)。試験例1エラスターゼ阻害活性試験;Cainelliらの方法に準じて行った。すなわち、8mMの基質(N-メトキシスクシニル−L−アラニル−L−アラニル−L−プロリル−L−バリン−p−ニトロアニリド)(シグマ社製)/ジメチルスルフォキシド(DMSO)溶液を調製し、これを基質溶液とした。250mU/mLの酵素エラスターゼ溶液を0.1M ヘペス(Hepes)緩衝液(0.5 M NaCl、10% DMSO、pH 7.8)を用いて調製した。被検体液5μLと酵素エラスターゼ(シグマ社製)溶液90μLを混合し、4℃、15分間プレインキュベーションした後、基質溶液5μLを加え反応を開始した。37℃、20分間インキュベーションした後、吸光波長405nmで吸光度を測定した。被検体、および陽性対照薬のフェニルメタンスルフォニルフルオリド(PMSF)(シグマ社製)はDMSOに溶解した。表1 検体4及び5のエラスターゼ阻害作用 対照;被検体無添加群。(有意差検定 *;p<0.01(対照(a)との比較)、 #;p<0.01(対照(b)との比較))表1に示したように、果実および種子の50%エタノール抽出エキスのエラスターゼ阻害活性を検討した結果、種子エキス(検体4)にエラスターゼ阻害活性が認められたが、種子を除いた果実エキス(検体5)にはエラスターゼ阻害作用はまったく認められなかった。表2に示したように、オイル成分であるヘキサン抽出エキス(検体1)にはエラスターゼ阻害活性はまったく認められなかった。一方、オイル成分をヘキサン抽出によって除去した残渣のエタノール抽出エキス(検体2)にはエラスターゼ阻害活性が認められた。また、粉砕した種子を50%エタノールで静置抽出して得られた50%エタノール静置抽出エキス(検体3)はエラスターゼ阻害活性をまったく示さなかった。一方、種子をあえて粉砕せずに加熱抽出して得られた50%エタノール加熱抽出エキス(検体4)にはエラスターゼ阻害活性が認められた。陽性対照薬として用いたPMSFにもエラスターゼ阻害活性が認められた。試験例21、1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカル捕捉活性試験;DPPHラジカル捕捉能試験はMarsdenらの方法に従った。すなわち、0.5Mに調整した酢酸緩衝液(pH5.5)0.4mL、エタノール1.6mL、および被検体液2mLを加えて混合した。その混合した液に0.5mM DPPH(和光純薬社製)/エタノール溶液1mLを加え、暗所で30分間室温放置後、吸光波長520nmで吸光度を測定した。表3に示したように、オイル成分であるヘキサン抽出エキス(検体1)はラジカル捕捉活性をまったく示さなかった。一方、オイル成分をヘキサン抽出によって除去した残渣のエタノール抽出エキス(検体2)には濃度依存的にラジカルを捕捉する活性が認められた。また、種子をあえて粉砕せずに加熱抽出して得られた50%エタノール加熱抽出エキス(検体4)は5、10、20μg/mLの濃度で、粉砕した種子を50%エタノールで静置抽出して得られた50%エタノール静置抽出エキス(検体3)のそれよりも約4倍もの強いラジカル捕捉活性を示した。試験例3 試験例1において、エタノールをイソプロピルアルコールおよびプロピレングリコールに置きかえて実験を行ったところ、いずれにおいても同様の結果を得た。以下に皮膚外用剤(化粧水)及び内服剤(カプセル剤)の配合例及び製造例を示す。なお、%とあるのは重量%を示す。検体4を用い、下記成分を所定量混合して24時間静置し、ろ過して化粧水とした。検体4 10%幼若ハッサクエキス 10%メチルパラベン 1%エタノール 4%精製水 75%検体4を用い、下記各成分を所定量加水混合して造粒し、60℃で6時間乾燥したのち整粒し、常法に従いカプセル充填し、250 mgのハードカプセル剤とした。検体4 20%幼若ウンシュウミカン末 35%還元麦芽糖 25%アスコルビン酸 5%結晶セルロース末 15%モリンダ・シトリフォリアの種子を含むことを特徴とするエラスターゼ阻害剤。モリンダ・シトリフォリアの種子からオイル成分を除去した後の残渣を、加熱抽出して得られるエキスを含むことを特徴とするエラスターゼ阻害剤。モリンダ・シトリフォリアの種子からオイル成分を除去した後の残渣を、加熱抽出して得られるエキスを含むことを特徴とする抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害剤。モリンダ・シトリフォリアの種子を粉砕することなく加熱抽出して得られるエキスを含むことを特徴とするエラスターゼ阻害剤。モリンダ・シトリフォリアの種子を粉砕することなく加熱抽出して得られるエキスを含むことを特徴とする抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害剤。 【課題】モリンダ・シトリフォリア種子のエラスターゼ阻害活性を発現させる製法で、かつ、抗酸化作用を最大限に引き出すことのできる製法によって調製したエキスを有効成分として含有することで、しわの形成をはじめとする光老化の抑制、皮膚の美白、炎症の治療促進、肌荒れの予防・改善等に有用でかつ安全な、皮膚外用剤および内服剤を提供すること。【解決手段】モリンダ・シトリフォリアの種子を含むこと。また、モリンダ・シトリフォリアの種子からオイル成分を除去した後の残渣を、加熱抽出して得られるエキスを含むこと。また、モリンダ・シトリフォリアの種子を粉砕することなく加熱抽出して得られるエキスを含むこと。【選択図】なし


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特許公報(B2)_エラスターゼ阻害剤

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_エラスターゼ阻害剤
出願番号:2008136810
年次:2014
IPC分類:A61K 8/97,A61Q 19/00,A61Q 19/08,A61K 36/18,A61P 17/16,A61P 17/00,A61P 39/06,A61P 43/00


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松田秀秋 増田めぐみ 藤田 忠 勇 史行 JP 5425413 特許公報(B2) 20131206 2008136810 20080526 エラスターゼ阻害剤 モリンダ インコーポレーテッド 504279337 高橋 剛 100096758 高橋 雅和 100114845 高橋 友和 100148781 松田秀秋 増田めぐみ 藤田 忠 勇 史行 20140226 A61K 8/97 20060101AFI20140206BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20140206BHJP A61Q 19/08 20060101ALI20140206BHJP A61K 36/18 20060101ALN20140206BHJP A61P 17/16 20060101ALN20140206BHJP A61P 17/00 20060101ALN20140206BHJP A61P 39/06 20060101ALN20140206BHJP A61P 43/00 20060101ALN20140206BHJP JPA61K8/97A61Q19/00A61Q19/08A61K35/78 CA61P17/16A61P17/00A61P39/06A61P43/00 111 A61K 8/00〜8/99 A61Q 1/00〜99/00 CAplus/BIOSIS(STN) 特開2002−121112(JP,A) 特開2007−055963(JP,A) 特開2000−095663(JP,A) 国際公開第2006/069072(WO,A1) 国際公開第2007/064607(WO,A1) 国際公開第2004/100889(WO,A1) 国際公開第2007/117352(WO,A1) 国際公開第2007/092085(WO,A1) J Natural Medicines, vol.63 p.267-273 (2009) フレグランスジャーナル 2002-6 p.38-42 フレグランスジャーナル 2004-5 p.46-51 4 2009280549 20091203 8 20110331 特許法第30条第1項適用 平成19年12月3日 学校法人近畿大学主催の「平成19年度卒業実験論文発表会」に文書をもって発表 特許法第30条第1項適用 平成20年2月1日 インターネットアドレス「http://nenkai.pharm.or.jp/128/web/」に発表 特許法第30条第1項適用 平成20年3月5日 日本薬学会第128年会組織委員会発行の「日本薬学会第128年会講演要旨集2」に発表 光本 美奈子 本発明は、モリンダ・シトリフォリアの種子を含むエラスターゼ阻害剤に関するものであり、さらに種子の大部分を占めるオイル成分を除いた成分を得る抽出条件により見出せたエラスターゼ阻害剤・抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害剤、及びモリンダ・シトリフォリアの種子を粉砕することなく加熱抽出して得られるエキスを含むエラスターゼ阻害剤・抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害剤に関するものであり、新規にして、かつ、安全な化粧品、医薬品、医薬部外品、飲食品素材に関するものである。 ノニ〔(学名:モリンダ・シトリフォリア(Morinda citrifolia)、和名:ヤエヤマアオキ)〕は、インドネシアのモルッカ諸島原産、アカネ科の熱帯性植物である。主に南太平洋のポリネシアの島々を中心に群生し、東南アジア、オーストラリア、インド、アフリカ、沖縄、小笠原諸島などの熱帯・亜熱帯地域に広く分布している。モリンダ・シトリフォリアは古くから熱帯・亜熱帯地域において食用、あるいは伝承医薬品として用いられ、根や茎、樹皮、葉、花、果実などの各部位が、高血圧、糖尿病、心臓病、疼痛、関節炎、喘息、マラリア熱、捻挫、火傷、虫歯、下痢、伝染病などの各種疾病の治療に利用されてきた。近年、それらの伝統的薬効を科学的に証明する研究が世界各国で進められている。長時間の紫外線暴露は、しわの形成などの光老化をもたらすことがよく知られている。エラスチンは皮膚の弾力を保つ主要な真皮マトリックス成分のひとつであり、特に繰り返しの伸縮に関与する繊維性のタンパク質であるが、紫外線の影響でエラスターゼ酵素の活性が亢進すると、エラスチンの過剰な分解がおこり、しわが形成される。従って、安全で、かつ有効なエラスターゼ阻害剤は、美容上の問題を解決する手段として非常に有用であるといえる。また、過度の紫外線は活性酸素を過剰に増加させ、しみやそばかすなどの色素沈着の原因となるメラニンの産生を促進する。また、過度の活性酸素は炎症反応を増悪させ、その治癒を遅らせるほか、肌荒れや過敏肌などさまざまな肌トラブルの原因となる。従って、安全で、かつ有効な抗酸化剤は美容上の問題を解決する手段として非常に有用であるといえる。 モリンダ・シトリフォリアに関しては、特開2000−95663号の請求項及び[0012]にモリンダ・シトリフォリアのみならずアルトカルパス ラクーチャ等の植物の抽出物が美白剤、活性酵素消却剤、抗菌剤として有効であることが記載され、又、有効成分として用いられる植物抽出物は葉/枝・幹/樹皮/花/果実/根またはそれらの乾燥物から、適当な抽出溶媒を用いて、抽出することにより、調製される、ことが記載され、種子のことは記載されていないし、エラスターゼ阻害効果についての記載もない。 又、特開2007−55963号の[0017]には、ヤエヤマアオキ(モリンダ・シトリフォリア)の果実は、果肉及び種子のうちいずれか一方又はその両方を含むものであるが、より抗酸化活性を高めることができるため、種子を除いた果肉部分のみを用いることが好ましい、ことが記載されている。果実には当然種子を含むので、種子を含んでも良いが、種子を除いた果肉の部分のみを用いることが好ましい、と解釈することが出来、種子についての効果を認めておらず、エラスターゼ阻害効果についての記載もない。 又、特開2005−145945号の請求項1には、ヤエヤマアオキ(モリンダ・シトリフォリア)熟成果実発酵液からなる皮膚機能賦活化粧料組成物のことが記載されているが種子のことについては全く記載されていない。 又、特表2003−508554号の[0006]には、ヤエヤマアオキ(モリンダ・シトリフォリア)種子から抽出されたエッセンシャルオイル、及びオイルを抽出する方法に関することが記載され、その抽出方法は[0008]に記載のように種子を砕き、破砕し、薄片にし、切断し、することが記載されているが、種子がエラスターゼ阻害効果を有することは記載されていない。 又、特開2004−352701号は[0002]、[0004]等に、モリンダ・シトリフォリアの果実の種子及び種皮が抗炎症作用、殺菌効果、保湿効果を有する入浴剤として利用出来ることが記載されているが、種子がエラスターゼ阻害効果を有することは記載されていない。 このように、従来においてはモリンダ・シトリフォリアの種子がエラスターゼ阻害効果を有すること、又、その種子からオイル成分を除去した後の残渣を加熱抽出して得られたエキスがエラスターゼ阻害効果、抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害効果を有すること、又、その種子を粉砕することなく加熱抽出して、得られたエキスがエラスターゼ阻害効果、抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害効果を有することは全く知られておらず、本発明者らの鋭意研究の結果初めて発見されたものである。本発明の目的は、モリンダ・シトリフォリア種子のエラスターゼ阻害活性を発現させる製法で、かつ、抗酸化作用を最大限に引き出すことのできる製法によって調製したエキスを有効成分として含有することで、しわの形成をはじめとする光老化の抑制、皮膚の美白、炎症の治療促進、肌荒れの予防・改善等に有用でかつ安全な、皮膚外用剤および内服剤を提供することである。本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、モリンダ・シトリフォリアの種子がエラスターゼ阻害活性のあることを見出した。また、モリンダ・シトリフォリアの種子からオイル成分を除去した後の残渣を加熱抽出して得られたエキスに、オイル成分には期待できないエラスターゼ阻害活性、及び抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害活性を見出した。 さらに、その方法で調製したエキスには、オイル成分には期待できないエラスターゼ阻害活性、及び抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害活性が発現することを見出した。 また、モリンダ・シトリフォリアの種子をあえて粉砕することなく含水アルコールで加熱抽出して得られたエキスに、粉砕後の種子を含水アルコールで静置抽出するという一般的に知られている抽出方法で調製したエキスには発現しないエラスターゼ阻害活性を見出した。なお、この際のアルコールとしては一価および多価アルコールが用いられ、前者としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが例示され、後者としてはエチレングリコール、プロピレングリコールが例示される。 さらに、その方法で調製したエキスは、一般的に知られている抽出方法で得られたエキスよりも極めて強い抗酸化活性が発現することを見出し、かつ抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害活性を見出した。 モリンダ・シトリフォリアの種子は前記のように粉砕しない場合にエラスターゼ阻害活性を見出すことが出来るのであるが、オイル成分を除去する場合はその種子を粉砕することが望ましい。粉砕することで効率よくオイル成分を除去できるからである。 また、本発明における製法によって得られた抽出液あるいはエキスから、カラムクロマトグラフィーなどを用いて精製した単一成分を用いることもできる。 以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 実験材料にはタヒチ産のモリンダ・シトリフォリア果実、および種子を使用した。 参考例検体1;乾燥種子を粉砕後、10倍量のヘキサンで1時間1回還流抽出し、ろ液を減圧下濃縮して溶媒を留去したものをヘキサン抽出エキスとした(収率;10.7%)。検体2;検体1の調製においてヘキサン抽出した後、即ちヘキサン抽出によりオイル成分を除去した後の残渣を再度エタノールで1時間1回還流抽出し、ろ液を減圧下濃縮して溶媒を留去したものをエタノール抽出エキスとした(収率;3.6%)。検体3;乾燥種子を粉砕後、10倍量の50%エタノールで一晩静置抽出し、ろ液を減圧下濃縮してエタノールを除き、凍結乾燥したものを50%エタノール静置抽出エキスとした(収率;3.5%)。検体4;粉砕していない乾燥種子を10倍量の50%エタノールで2時間2回還流抽出し、ろ液を減圧下濃縮してエタノールを除き、凍結乾燥したものを50%エタノール加熱抽出エキスとした(収率;5.0%)。検体5;種子を除き、粉砕した乾燥果実を10倍量の50%エタノールで2時間2回還流抽出し、ろ液を減圧下濃縮してエタノールを除き、凍結乾燥したものを50%エタノール加熱抽出エキスとした(収率;33.0%)。試験例1エラスターゼ阻害活性試験;Cainelliらの方法に準じて行った。すなわち、8mMの基質(N-メトキシスクシニル−L−アラニル−L−アラニル−L−プロリル−L−バリン−p−ニトロアニリド)(シグマ社製)/ジメチルスルフォキシド(DMSO)溶液を調製し、これを基質溶液とした。250mU/mLの酵素エラスターゼ溶液を0.1M ヘペス(Hepes)緩衝液(0.5 M NaCl、10% DMSO、pH 7.8)を用いて調製した。被検体液5μLと酵素エラスターゼ(シグマ社製)溶液90μLを混合し、4℃、15分間プレインキュベーションした後、基質溶液5μLを加え反応を開始した。37℃、20分間インキュベーションした後、吸光波長405nmで吸光度を測定した。被検体、および陽性対照薬のフェニルメタンスルフォニルフルオリド(PMSF)(シグマ社製)はDMSOに溶解した。表1 検体4及び5のエラスターゼ阻害作用 対照;被検体無添加群。(有意差検定 *;p<0.01(対照(a)との比較)、 #;p<0.01(対照(b)との比較))表1に示したように、果実および種子の50%エタノール抽出エキスのエラスターゼ阻害活性を検討した結果、種子エキス(検体4)にエラスターゼ阻害活性が認められたが、種子を除いた果実エキス(検体5)にはエラスターゼ阻害作用はまったく認められなかった。表2に示したように、オイル成分であるヘキサン抽出エキス(検体1)にはエラスターゼ阻害活性はまったく認められなかった。一方、オイル成分をヘキサン抽出によって除去した残渣のエタノール抽出エキス(検体2)にはエラスターゼ阻害活性が認められた。また、粉砕した種子を50%エタノールで静置抽出して得られた50%エタノール静置抽出エキス(検体3)はエラスターゼ阻害活性をまったく示さなかった。一方、種子をあえて粉砕せずに加熱抽出して得られた50%エタノール加熱抽出エキス(検体4)にはエラスターゼ阻害活性が認められた。陽性対照薬として用いたPMSFにもエラスターゼ阻害活性が認められた。試験例21、1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカル捕捉活性試験;DPPHラジカル捕捉能試験はMarsdenらの方法に従った。すなわち、0.5Mに調整した酢酸緩衝液(pH5.5)0.4mL、エタノール1.6mL、および被検体液2mLを加えて混合した。その混合した液に0.5mM DPPH(和光純薬社製)/エタノール溶液1mLを加え、暗所で30分間室温放置後、吸光波長520nmで吸光度を測定した。表3に示したように、オイル成分であるヘキサン抽出エキス(検体1)はラジカル捕捉活性をまったく示さなかった。一方、オイル成分をヘキサン抽出によって除去した残渣のエタノール抽出エキス(検体2)には濃度依存的にラジカルを捕捉する活性が認められた。また、種子をあえて粉砕せずに加熱抽出して得られた50%エタノール加熱抽出エキス(検体4)は5、10、20μg/mLの濃度で、粉砕した種子を50%エタノールで静置抽出して得られた50%エタノール静置抽出エキス(検体3)のそれよりも約4倍もの強いラジカル捕捉活性を示した。試験例3 試験例1において、エタノールをイソプロピルアルコールおよびプロピレングリコールに置きかえて実験を行ったところ、いずれにおいても同様の結果を得た。以下に皮膚外用剤(化粧水)及び内服剤(カプセル剤)の配合例及び製造例を示す。なお、%とあるのは重量%を示す。検体4を用い、下記成分を所定量混合して24時間静置し、ろ過して化粧水とした。検体4 10%幼若ハッサクエキス 10%メチルパラベン 1%エタノール 4%精製水 75%検体4を用い、下記各成分を所定量加水混合して造粒し、60℃で6時間乾燥したのち整粒し、常法に従いカプセル充填し、250 mgのハードカプセル剤とした。検体4 20%幼若ウンシュウミカン末 35%還元麦芽糖 25%アスコルビン酸 5%結晶セルロース末 15% モリンダ・シトリフォリアの種子からオイル成分を除去した後の残渣を、エタノール、イソプロピルアルコールまたはプロピレングリコールで加熱抽出して得られるエキスを含むことを特徴とするエラスターゼ阻害剤。 モリンダ・シトリフォリアの種子からオイル成分を除去した後の残渣を、エタノール、イソプロピルアルコールまたはプロピレングリコールで加熱抽出して得られるエキスを含むことを特徴とする抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害剤。モリンダ・シトリフォリアの種子を粉砕することなくエタノール、イソプロピルアルコールまたはプロピレングリコールで加熱抽出して得られるエキスを含むことを特徴とするエラスターゼ阻害剤。モリンダ・シトリフォリアの種子を粉砕することなくエタノール、イソプロピルアルコールまたはプロピレングリコールで加熱抽出して得られるエキスを含むことを特徴とする抗酸化作用を併せ持つエラスターゼ阻害剤。


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