生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アルコール依存症治療用の薬剤
出願番号:2008116697
年次:2008
IPC分類:A61K 31/5517,A61P 25/32,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

レガルダ イバニェス,フアン ホセ JP 2008201796 公開特許公報(A) 20080904 2008116697 20080428 アルコール依存症治療用の薬剤 ハイチアム,インコーポレイテッド 503295666 池田 憲保 100077838 福田 修一 100082924 レガルダ イバニェス,フアン ホセ ES P 200100106 20010117 A61K 31/5517 20060101AFI20080808BHJP A61P 25/32 20060101ALI20080808BHJP A61P 43/00 20060101ALI20080808BHJP JPA61K31/5517A61P25/32A61P43/00 121 9 2002557469 20020110 OL 12 4C086 4C086AA01 4C086AA02 4C086CB12 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA66 4C086NA06 4C086NA14 4C086ZC39 4C086ZC75 本発明は、アルコール依存症の治療時にフルマゼニルを含有する製薬組成物を使用することに関するものであり、特に、前記依存症の治療時におけるフルマゼニルの使用法を改善したものに関する。 アルコール依存性は、アルコール中毒患者が急に禁酒をするときに起こる症候群である。軽度の症状としては、震え、脱力感、発汗、吐き気があげられる。最も重篤な症例には痙攣と幻覚がある。治療せずにおくと、アルコール離脱が原因で振戦譫妄を生じる場合がある。 アルコール依存性に対する通常の治療では、ビタミンBとCとの複合体やベンゾジアゼピン(激越を鎮めて依存性の予防を促進)が投与され、場合によってはジスルフィラム(飲酒を予防)が投与される。アルコール依存性を治療するための薬学的なさまざまな治療法については、米国精神医学会の物質摂取障害に関するワークグループ(Work Group on Substance Use Disorders of the American Psychiatric Association)が作成し、Am.J.Psychiatry 152:11、1995年11月、増補にて刊行された、物質摂取障害のある患者の治療用の実務ガイドライン:アルコール、コカインおよびオピオイド(A Practice Guideline for the Treatment of Patients With Substance Use Disorders: Alcohol, Cocaine and Opioids)に概説されている。その後、メイヨー・スミス(Mayo-Smith)らによってアルコール依存症の治療に関する概説の最新版(JAMA 1997年7月9日、第278巻、No.2)が作成された。彼らは、ベンゾジアゼピン類(アルプラゾラム、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパムまたはオキサゼパム)がアルコール依存性の治療に適した薬剤であるのに対し、β−遮断薬(プロプラノロール)、神経遮断薬(クロルプロマジンおよびプロマジン)、クロニジンおよびカルバマゼピンはコアジュバント療法に使用できるが、これらの薬剤を単剤治療に使うことは奨められないことを示して結んでいる。ただ、どの概説をみてもアルコール離脱症候群を治療するにあたってフルマゼニルの使用を検討することは言及されていない。 ベンゾジアゼピン受容体による中枢神経系への作用を選択的に遮断するベンゾジアゼピン拮抗薬のひとつに、フルマゼニル[エチル8−フルオロ−5,6−ジヒドロ−5−メチル−6−オキソ−4H−イミダゾール[1,5−a][1,4]ベンゾジアゼピン−3−カルボキシレート]がある。この有効成分はベンゾジアゼピンのもつ中枢鎮静作用を中和することが明らかになっている。したがって、入院患者にベンゾジアゼピンで導入して維持した全身麻酔を覚ましたり、入院または外来診療で短時間の診断治療を受ける患者にベンゾジアゼピンで引き起こした鎮静作用を止めたりする目的で、麻酔時にごく普通に用いられている。物質摂取障害のある患者の治療用の実務ガイドライン:アルコール、コカインおよびオピオイド(A Practice Guideline for the Treatment of Patients With Substance Use Disorders: Alcohol, Cocaine and Opioids)、Am.J.Psychiatry 152:11、1995年11月、増補。JAMA 1997年7月9日、第278巻、No.2。ゲーラ(Gerra)ら、1991年、Current Therapeutic Research、第50巻、1、第62〜66頁。セービック(Savic)ら、Lancet、1991、337、133〜137。ナット(Nutt)ら、アルコールとアルコール依存症(Alcohol & Alcoholism)、1993、増補2、第337〜341頁。ペルガモン・プレス・リミテッド(Pergamon Press Ltd.)。ナット(Nutt)ら、Neuropschychopharmacology、1994、第10巻、35、第1部、増補、第85f頁。アディノフ(Adinoff)ら、Medical Toxicology 3:172〜196(1988)。 臨床研究のなかには、アルコール離脱症候群からの回復時にフルマゼニルが果たす役割について検討しているものがある。 ゲーラ(Gerra)ら、1991年、Current Therapeutic Research、第50巻、1、第62〜66頁には、(肝硬変、代謝性疾患、痙攣、他の物質に対する嗜癖または精神障害のない)アルコール中毒患者を11名選び、48時間のあいだ6時間ごとに投与量2mg/日のフルマゼニルを生理食塩水に混合して4回に分けて(0.5mg)静脈注射で(IV)投与した後、フルマゼニルでの治療をさらに2日継続したことが説明されている。ここでフルマゼニルを0.5mgずつ使用するのは、関連の受容体の占有率についての臨床実験を踏まえてのことではなく、ANEXATE7 ROCHEなどの前記有効成分を含有する医薬品が発表されたことに立脚している。人体でのフルマゼニルの半減期が約45分間であるという事実を考慮すると、脳のベンゾジアゼピン受容体を効果的にカバーするにはフルマゼニル0.5mgの6時間ごとの投与(すなわちフルマゼニル0.08mg/時)で十分だとは思えない(セービック(Savic)ら、Lancet、1991、337、133〜137)が、これは上記引用文献におけるゲーラ(Gerra)らの説明を裏付けるものである。彼らは、第64頁の最後から2つ目の段落で、フルマゼニルの投与後に患者の血圧と心拍数のどちらにも有意な変化は観察されなかったと記している。投与したフルマゼニル(fumazenil)と脳のベンゾジアゼピン受容体との間で実際に何らかの相互作用が起こっているのであれば、上記の結果は意外としかいいようがない。ゲーラ(Gerra)らが実施した試験には実態からかけ離れた点がいくつかある。たとえば、アルコール中毒患者には肝硬変や代謝性疾患、痙攣、他の物質(コカイン、ヘロインなど)に対する嗜癖および/または精神障害が比較的普通に見られるのに、考慮すべき病状のない患者を選択して彼らから得た小さな試料(個体11名)で試験を実施している。さらに、ゲーラ(Gerra)らは、薬剤投与の前にも後にも依存症の評価に関するデータを示していない。ゲーラ(Gerra)らが開発したプロトコールではフルマゼニルでの治療を4日間継続することになるが、これは極めて長時間であることを意味し、患者にとって迷惑となるばかりか、治療費がかさんで治療期間も長くなる。 ナット(Nutt)ら、[アルコールとアルコール依存症(Alcohol & Alcoholism)、1993、増補2、第337〜341頁、ペルガモン・プレス・リミテッド(Pergamon Press Ltd.);Neuropschychopharmacology、1994、第10巻、35、第1部、増補、第85f頁]には、急性の離脱症状が認められるアルコール中毒患者8名にフルマゼニル2mgを1分間IV投与したことが説明されている。この投与量は、前記用量で脳のベンゾジアゼピン受容体の約75%が占有されることを明らかにした研究(セービック(Savic)ら、Lancet、1991、337、133〜137)に基づいて選択したものである。フルマゼニルの投与後に得られた結果は十分に満足できるものではなかった。なかには離脱症状(特に発汗と不安感)がすぐに悪化した症例があったためである。また、他の症例では、離脱症状は消失したが数時間後に元に戻ってしまっていた。フルマゼニルは極めて短時間で代謝排泄されるため、1回用量2mgで比較的多量のフルマゼニルを1分間IV投与することには不都合な点がいくつかある。ひとつには副作用の引き金となり、他方では投与したフルマゼニルの一部について薬理学的応答が見られないか弱い応答しか見られない(すなわち承服しかねる出費が生じることを意味する)ためである。 アルコール依存症を治療するためにフルマゼニルを用いてゲーラ(Gerra)らおよびナット(Nutt)らが実施した、上記引用文献に記載の試験では、極めて小さな試料を使っている(ゲーラ(Gerra)らおよびナット(Nutt)らによる研究が行われた期間である1991年〜1994年の間に米国で治療を受けた年間約600,000名の患者のうち試験対象としたのがわずか19名である)ため、典型となるような結果は得られない。これは前記患者を代表するものではない(ゲーラ(Gerra)らの臨床治験で治療した11名の患者は、肝硬変、代謝性疾患、痙攣、他の物質に対する嗜癖または精神障害のない、選択されたアルコール中毒患者であった)。さらに、症例によってはフルマゼニルの投与後に患者の血圧と心拍数のどちらにも有意な変化は観察されなかった(ゲーラ(Gerra)ら、上記引用文献)のに対し、他の症例では投与直後に離脱症状(特に発汗と不安感)の悪化が観察された(ナット(Nutt)ら、上記引用文献)ことからみて、得られた結果は決定的なものではない。このような非常に思わしくない結果から判断すると、アルコール依存症治療用の治療薬としてのフルマゼニルの使用を断念する方がよいように思われる。すなわち、フルマゼニルを用いたアルコール依存症治療に関する新たな臨床治験が過去6年のあいだひとつも発表されていないのはなぜか、またアルコール依存症の治療に関する上述の概説[物質摂取障害のある患者の治療用の実務ガイドライン:アルコール、コカインおよびオピオイドおよびメイヨー・スミス(Mayo-Smith)ら]に前記治療を含めることができなかったのはなぜかが分かるような状況なのである。 したがって、フルマゼニルがアルコール依存症を治療する上での適した薬剤であるか否かを、曖昧な点を残さずに判断できるようにすることが望ましく、仮に適しているとして、アルコール離脱症状を効果的に取り除くことが可能なアルコール依存症治療向けのフルマゼニル投与プロトコールを開発できると望ましいであろう。また、一方では望ましくない副作用が発生する危険を小さくしつつ、他方ではフルマゼニルの不必要かつ無意味な消費を減らすまたは回避する目的で、短時間のあいだに投与するフルマゼニルの1回投与量を減らすことも望ましいであろう。 したがって、本発明の一目的は、少量のフルマゼニルを逐次投与して投与対象となる1用量単位あたりの薬剤使用量を減らし、短時間でアルコール離脱症状をなくすと同時に短時間で多量の薬剤を単回投与することで生じる副作用を減らす、フルマゼニルを効果的に投与するためのアルコール依存症治療用の薬剤の提供にある。 本発明の別の目的は、短時間で、効果的かつ再現可能な方法で、アルコール離脱症状をなくす作用を弱めることなく小用量のフルマゼニルの逐次投与によりフルマゼニルを投与するためのアルコール依存症治療用の薬剤の提供にある。 本発明のさらに別の目的は、アルコール依存症を治療できる治療有効量が投与されるまで、短い時間間隔で少量のフルマゼニルを逐次投与するための薬剤の製造にフルマゼニルを使用することにある。 本発明のさらに他の目的は、アルコール依存症の治療方法であって、少量のフルマゼニルに分割して逐次投与向けとした治療有効量のフルマゼニルを、アルコール依存症を治療できる前記治療有効量に達するまで、短い時間間隔で前記治療を必要とする患者に投与することを含むように製剤されているアルコール依存症治療用の薬剤の提供にある。 本発明は、短時間でアルコール依存症の症状を効果的になくす、フルマゼニルの安全かつ効果的な投与に基づくアルコール依存症治療用の新たな方法の開発問題に対処するものである。 本発明によって得られる解決策は、治療有効量のフルマゼニルを含有する製薬組成物を使用してアルコール依存症を治療し、かつ短時間で前記症候群の症状をなくすことに基づくものである。ここで、前記製薬組成物は少量のフルマゼニルを含有し、逐次投与向けのものである。 本発明は、アルコール依存症を治療できる治療有効量が投与されるまで、短い時間間隔で少量のフルマゼニルを逐次投与するための薬剤の製造目的でフルマゼニルを使用することに関するものである。 具体的には、本発明は、アルコール依存症を治療するのに治療有効量(通常は1.5から2.5mg/日)のフルマゼニルが投与されるまで、1から15分間の時間間隔で0.1から0.3mg量のフルマゼニルを逐次投与するための薬剤の製造目的でフルマゼニルを使用することに関するものである。 一実施形態において、本発明は、アルコール依存症を治療するのに2mg/日の治療有効量のフルマゼニルが投与されるまで、3分間の間隔で0.2mgのフルマゼニルを逐次投与するための薬剤の製造目的でフルマゼニルを使用することに関するものである。 本願明細書で使用する薬剤という用語の意味には、フルマゼニルを含有する製薬組成物のグループだけでなく、前記製薬組成物の投与形態にふさわしい薬学的に許容される賦形剤も含む。 フルマゼニルを用いたアルコール依存症の治療に関する従来技術に説明のある臨床治験には、48時間のあいだ6時間ごとに投与量2mg/日のフルマゼニルを4回に分けて(0.5mg/用量)IV灌流して患者に投与するか、あるいは2mgを1分間のIVによって投与することが含まれるが、驚くべきことに、アルコール依存症を治療できる治療有効量のフルマゼニルに達するまで、比較的短い間隔で連続して適用する形で少量のフルマゼニルを安全に前記患者に投与可能なことが明らかになった。 この驚くべき発見は、所望の治療応答を得るのに必要であると考えられていた用量よりも少ない用量でフルマゼニルを投与できることを意味する。これによって、一方では(適用する用量あたりの薬剤投与量が少なくなった結果として)患者に副次的作用が発生する危険性が小さくなり、他方では、アルコール離脱症状を治療し、前記薬剤の不必要かつ無意味な消費を減らす(これは患者側の便宜を増して生活水準を高め、コストを抑える)上でフルマゼニルをさらに有効に利用して極めて短時間のうちにアルコール依存症を治療できるようになる。 実施例1は、2mg/日のフルマゼニルを0.2mgずつに分けて3分ごとに患者に投与すると、治療対象となった患者のうち高い比率でアルコール離脱症状がなくなることを示すものである。 したがって、一実施形態において、本発明は、アルコール依存症を治療するために、最大2mg/日の量まで、フルマゼニル0.2mgを3分ごとに逐次的に投与するための薬剤の製造目的でフルマゼニルを使用することに関するものである。 フルマゼニルについては、たとえば経口投与または非経口投与などの適当な投与経路で投与することができる。この場合、使用する投与形態に合った適切な賦形剤を用いて処方されることになる。一実施形態では、フルマゼニルをIV投与する。 また、本発明は、アルコール依存症の治療薬剤であって、0.2から0.3mg量のフルマゼニルに分割して逐次投与向けとした治療有効量(通常は1.5から2.5mg/日)のフルマゼニルを、該フルマゼニルがアルコール依存症を治療できる前記治療有効量に達するまで、1から15分間の時間間隔で前記治療を必要とする患者に投与することを含むように製剤されているアルコール依存症治療用の薬剤にも関するものである。 フルマゼニルについては、たとえば経口投与または非経口投与などの適当な投与経路で投与することができる。この場合、使用する投与形態に合った適切な賦形剤を用いて処方されることになる。一実施形態では、フルマゼニルをIV投与する。 本発明で得られるアルコール依存症治療用の薬剤は、治療開始時に、急性または非代償性の疾患がない患者あるいはフルマゼニルの使用が禁忌となる薬物での治療を受けていない患者であれば誰にでも適用可能である。総じて、本発明で得られるアルコール依存症の治療用薬剤は徹底した健康診断と精神鑑定から始まるものである。フルマゼニル投与の前後に、アルコール離脱症状、心拍数、血圧を評価する。患者に不安感の発症が認められる場合、フルマゼニルの投与前に適切な治療薬(クロメチアゾールなど)を投与することが可能である。同様に、患者が重篤なベンゾジアゼピン依存症であると診断された場合は、フルマゼニルの1回目の投与を、集中治療条件下でプロポフォールなどを併用して鎮静状態で行なう。患者の反応を観察した上で適切な量を大量瞬時投与するなどの方法で、経口的にまたは静脈注射によってフルマゼニルを投与してもよい。入院治療終了後も、治療プログラムの一環として患者は薬物による治療を続け、担当セラピストによる診療を続けて経過観察をする必要がある。さらに、患者の認知行動を半構造的に追跡して治療を補うようにする。 以下の具体例は本発明を実証するものであり、その範囲を限定するとみなされるべきものではない。(例1)フルマゼニルを低用量で逐次投与しての患者の治療1.1 実験プロトコール アルコール中毒患者64名(男性51名および女性13名)が禁酒のための治療プログラムに自発的に参加した。前記患者には適切な情報が与えられ、これに伴ってインフォームドコンセントの形で患者の了解をとった。離脱症状を一層よく評価できるように、患者はアルコールを飲まないようにとの忠告を受け、その日の午前中に治療を実施する予定になっていた。 飲酒に関して治療対象となった患者の特徴を表1にまとめておく。 治療を開始する前に患者は徹底した健康診断と精神鑑定を受けた。午前中を通して行った患者のモニタリングでは、血球数、生化学プロファイル[クレアチニン、ブドウ糖、尿素、コレステロール(HDLおよびLDL)、トリグリセリド、アルカリホスファターゼ、LDH(乳酸デヒドロナーゼ)、総蛋白]、肝機能検査[GOT、GPT、GGT、ビリルビン]、心電図をとり、必要に応じて妊娠検査とレントゲン検査を行った。急性または非代償性の疾患がある場合とフルマゼニルの使用が禁忌となる薬剤を服用している場合を試験除外基準として適用した。入院前問診を行った患者全員を除外せずに試験を実施した。1名の患者については心臓病の状態が確認できるまで入院を延期した。 フルマゼニルの投与前後にCIWA−A評価(アディノフ(Adinoff)ら、Medical Toxicology 3:172〜196(1988))を用いて離脱の徴候を測定するとともに、心拍数と血圧も測定した。 入院中に従った治療プロトコールを表2に示す。 フルマゼニルを投与して1〜2分後にその効果を検出することができるため、0.2mgの用量で3分ごとに(合計2mg/日まで)フルマゼニルを投与した。離脱や他の製薬との相互作用あるいは精神機能障害に関連する悪い副作用を最小限にするために、1回用量につき上記の量で固定とした。1日あたり2mgのフルマゼニルを投与したところ、占有率がGABA受容体の55%を上回った。 著しい不安感を示した患者には、フルマゼニル投与の30分前にクロメチアゾール192mgを別に投与した。重篤なベンゾジアゼピン依存症であると診断された患者では、フルマゼニルの1回目の投与を、集中治療条件下でプロポフォールを併用して鎮静状態で行なった。 病院からの退院の前に、以下の薬を処方した。 ビタミンB複合体:1−1−0(朝食−昼食−夕食)で1ヶ月。 ピラセタム3g:1−0−0で1週間。ピラセタム800mg:1−1−0で1ヶ月。 フルオキセチン20mg:1−0−0で2ヶ月。 クロメチアゾール192mg:1−0−1で1週間、2週目は0−0−0に減量。 ジスルフィラム250mgを1−0−0。 治療プログラムの一環として、患者には、次第に回数を減らしながら9ヶ月間[最初の3ヶ月は1週間に1回、次の3ヶ月は2週間に1回、最後の3ヶ月は月に1回]外来治療センターに通うように指示した。 同様に、認知行動を半構造的に追跡した。個人と家族に対する心理療法を、患者の社会生活、家庭生活、仕事、私生活、余暇の回復させることを目的とした、主に4通りの処置(認知再構成、作業療法、再発予防およびストレス緩和)に絞った。1.2 結果 治療対象とした64名の患者のうち、3つの症例でフルマゼニルの1回目の投与を取りやめ、翌日まで延期した。彼らのうちの1名は明らかにアルコールで酔っており、痛ましいほどの精神錯乱状態であった。もう1名は四肢末端の振戦が有意に悪化し、残りの1名はベンゾジアゼピン中毒でもあり、不安感が著しく強くなっていた。別の3名の患者からなるグループには、集中治療室でプロポフォールを併用して鎮静状態でフルマゼニルの初回投与を行った。 投与時または投与直後に患者の約10%が頭痛をおぼえたが、この頭痛は数分後またはメタミゾールマグネシウムの投与後に解消された。1回目のフルマゼニル投与後の結果 患者55名のCIWA−Aの得点は以下のとおりであった。 47.3%では有意に減少した(t:−7.713、p<0.000)。 40.0%では変化なし。 12.7%では有意に増加した(t:2.511、p<0.046)[最大の増加を見せた3つの症例では治療を中止した]。 患者55名の心拍数値は以下のとおりであった。 50.9%では有意に減少した(t:−8.820、p<0.000)。 40.0%では変化なし。 9.1%では有意に増加した(t:4.750、p<0.009)。 患者53名の収縮期血圧値は以下のとおりであった。 47.2%では有意に減少した(t:−9.908、p<0.000)。 37.7%では変化なし。 15.1%では有意に増加した(t:4.314、p<0.004)。 患者53名の拡張期血圧値は以下のとおりであった。 34%では有意に減少した(t:−9.220、p<0.000)。 47.2%では変化なし。 18.9%では有意に増加した(t:5.511、p<0.000)。2回目のフルマゼニル投与後の結果 患者58名のCIWA−Aの得点は以下のとおりであった。 36.2%では有意に減少した(t:−5.363、p<0.000)。 55.2%では変化なし。 8.6%では有意に増加した(t:4.000、p<0.016)。 患者55名の心拍数値は以下のとおりであった。 41.8%では有意に減少した(t:−8.523、p<0.000)。 58.2%では変化なし。 患者56名の収縮期血圧値は以下のとおりであった。 28.6では有意に減少した(t:−7.596、p<0.000)。 55.4%では変化なし。 16.1%では有意に増加した(t:4.612、p<0.002)。 患者56名の拡張期血圧値は以下のとおりであった。 28.6%では有意に減少した(t:−6.325、p<0.000)。 51.8%では変化なし(n=29)。 19.6%では有意に増加した(t:6.640、p<0.000)。 治療前と治療後(18時間目の終わり)に得られた結果を表3−1及び表3−2に統計的にまとめておく。 追跡データを表4にまとめておく。 入院中に食欲や睡眠などの精神生理学的機能が極めて短期間で回復した。 入院2日目、午後にクリニックの外で数時間を過ごすことを患者に許可した。何名かの患者はクリニックの外で夕食をとった。 おそらく、最も顕著な結果は、不安感およびアルコールを飲みたいという欲求の欠如に関する大部分の患者からの自発的な口頭報告である。 アルコール依存症を治療するために調合される薬剤であって、前記薬剤は、一回の投与量が0.1から0.3mgのフルマゼニルを1から15分間の時間間隔で夫々逐次投与できるように調剤されていることを特徴とするアルコール依存症治療用の薬剤。 請求項1に記載のアルコール依存症治療用の薬剤において、前記薬剤は、一日のフルマゼニルの全投与量が、1.5から2.5mgになるように調剤されていることを特徴とするアルコール依存症治療用の薬剤。 請求項1に記載のアルコール依存症治療用の薬剤において、前記薬剤は、一回の投与量が0.2mgのフルマゼニルを含むように調剤されていることを特徴とするアルコール依存症治療用の薬剤。 請求項1に記載のアルコール依存症治療用の薬剤において、前記薬剤は、3分間の間隔で逐次投与できるように調剤されていることを特徴とするアルコール依存症治療用の薬剤。 請求項1に記載のアルコール依存症治療用の薬剤において、前記薬剤は、一日のフルマゼニルの全投与量が2mgであるように調剤されていることを特徴とするアルコール依存症治療用の薬剤。 請求項1に記載のアルコール依存症治療用の薬剤において、前記薬剤は、経口的にまたは非経口的に投与可能なように調剤されていることを特徴とするアルコール依存症治療用の薬剤。 請求項6に記載のアルコール依存症治療用の薬剤において、前記薬剤は、静脈注射によって投与可能なように調剤されていることを特徴とするアルコール依存症治療用の薬剤。 アルコール依存症を治療するために調合される薬剤であって、前記薬剤は、一日のフルマゼニルの全投与量が約2mgまでとなるように、フルマゼニル0.2mgを一回の投与量として、3分間の時間間隔で逐次投与するように調剤されていることを特徴とするアルコール依存症治療用の薬剤。 アルコール依存症の治療するための薬剤組成物であって、1回の投与量が約0.2mgのフルマゼニルと、薬剤上認められる担体とを含むことを特徴とするアルコール依存症の治療するための薬剤組成物。 【課題】 少量のフルマゼニルを逐次投与して投与対象となる1用量単位あたりの薬剤使用量を減らし、短時間でアルコール離脱症状をなくすと同時に短時間で多量の薬剤を単回投与することで生じる副作用を減らす、フルマゼニルを効果的に投与するためのアルコール依存症治療用の薬剤を提供する。【解決手段】 アルコール依存症治療用の薬剤は、アルコール依存症を治療するために調合される薬剤であって、前記薬剤は、一回の投与量が0.1から0.3mgのフルマゼニルを1から15分間の時間間隔で夫々逐次投与できるように調剤されている。【選択図】 なし


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