タイトル: | 特許公報(B2)_増殖性疾患の診断のためのシアニン染料の使用 |
出願番号: | 2007549858 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 49/00 |
カイ リヒャ マルティン ペッセル マルテ バーナー ミヒャエル シルナー JP 5578765 特許公報(B2) 20140718 2007549858 20060105 増殖性疾患の診断のためのシアニン染料の使用 バイエル・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト 507210421 Bayer Pharma Aktiengesellschaft 住吉 秀一 100143959 矢野 敏雄 100061815 久野 琢也 100099483 星 公弘 100128679 二宮 浩康 100135633 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 100114890 カイ リヒャ マルティン ペッセル マルテ バーナー ミヒャエル シルナー EP 05000276.5 20050107 20140827 A61K 49/00 20060101AFI20140807BHJP JPA61K49/00 A A61K 49/00 特表2002−526458(JP,A) 11 EP2006000058 20060105 WO2006072580 20060713 2008526802 20080724 20 20081226 天野 貴子 本発明は、0.1mg/kg(体重)未満の投与による、増殖性疾患、特に腫瘍疾患の診断のためのシアニン染料、特にSF64、5−29、5−36、及び/又は5−41の使用に関する。 癌は、アメリカ人の間で2番目に主な死因であり、アメリカにおいて4人に1人の死因である。2004年には、560000人を超えるアメリカ人又は1日に1500人より多くが、癌で死亡するだろう。1800万を超える癌の新しい事例が、1990年から診断されていて、約140万の新しい事例が、2004年だけで診断されると見込まれる。この推定値は、今年診断されると予想される上皮内癌又は100万件より多い非黒色腫皮膚癌を含まない。癌の財政費は圧倒的である。米国立保健研究所によると、アメリカの癌経費は、2003年では1890億ドルより多い。その総計は、640億ドルを超える直接の医療費かつ1250億ドルより多い失った生産力を含む。新しい癌の死亡者数は、実質的には癌の早期診断によって減少しうる。そのため、癌検診、特に乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌のスクリーニングテストは、ほとんどが治療できれば早期の癌の発見によって、死亡者数を著しく減少しうる。乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌のためのスクリーニングテストは、治療可能な前癌状態の発見によって、それら癌をさらに発育させるのを実際に妨げうる。 理想的には、スクリーニング法は感受性及び特異的であり、早く行うことができ、非侵襲性であり、安く、並びに無視できないもしくは無視できるにすぎない副作用と関連している。例えば乳癌のためのスクリーニングに関して、現在確立されているスクリーニング基準は、胸部組織のX線撮像のマンモグラフィとも呼ばれる手段を含む。他の手法は、核磁気共鳴撮像、超音波検査法及びサーモグラフィを含む。はるかに最も広く行われているスクリーニング法は、X線マンモグラフィであり、それは高い特異性(約80%)を有するが、しかし、感受性はX線技師による撮像データの解釈の大部分に依存している。マンモグラフィの空間分解能は低く、かつ発見された腫瘍は普通1cm以上の大きさを有する。しかしながら、マンモグラフィは、特に閉経前の女性への放射線被曝の有意な及び累積の危険率と関係があり、そのことはより密な胸部組織を持ち及び十分な感受性を得るために、年をとった女性より高い放射線量を必要とする。マンモグラフィは、癌細胞の内転移を容易にしうる処置中の胸腺の効果的な処置について非難されている。核磁気共鳴映像法(MRI)は、過去に特に腫瘍が異なった方法で同定されていた後に、ますます使用されている。その高い空間分解能のためにMRI撮像は、マンモグラフィのような撮像技術に対するX線と比較して、はるかに優れた感受性を有するが、しかし、それは特異性がほとんどなく(37%〜97%に及ぶ特異性、かつ乳癌を前もって診断できない女性の予測値が2%未満)ましてや高価であり時間を消費し及び、従ってより患者の集団検診を受け入れにくい。 最近、近赤外線(NIR)での拡散光トモグラフィ(DOT)というさらなる方法が、様々な医療の撮像応用における高い可能性の新しい一撮像方法として編み出された。この技術は、内因性及び外因性の吸着かつ散乱の定量的な撮像をもたらすための能力を有する(Arridge, S. R.(1995)によるAppl. Opr. 34:7395-7409 並びにGonatas, C. P. 及びその他の者(1995)によるPhys. Rev. E. 52:4361-4365)。Ntziachristos, V. 及びその他の者(2000)によるProc. Nat. Aca. ScL U.S.A. 97:2767-2772)は、生体内で人間の胸部の光学撮像中のコントラスト増強術のためのインドシアニングリーン(ICG)の使用を報告している。大きい組織、例えば胸部の光学撮像は、しばしば実行可能であり、というのも、700〜850nmのスペクトル領域における組織の低い吸収のためである。実際に、光線は、透視法による乳癌の診断道具として1920年代後半から研究されてきている。透視法は、しかしながら、低い空間分解能を有し、発見された病巣のスペクトルの定量化をほとんど与えなかった。それゆえに、透視法は、臨床的に使用されるための十分な感受性かつ特異性を獲得できなかった。技術的進歩を組み合わせた光伝達の数学的モデルの膨大な改良は、現在、拡散光を使用した撮像のためのトモグラフィの原理の適用を可能にしている。拡散光トモグラフィは、光線で組織構造を位置決定及び定量化するための能力を劇的に改良している。さらに、その方法は、非イオン化放射線を使用しかつ比較的低費用の機器を使用し、それらは光線に影響されやすい乳癌、又はその他の癌の集団検診に適した方法にする。蛍光色素、例えばインドシアニン(NIR中で吸収体又は蛍光体であるICG)は、造影剤として使用されている。造影剤としてFCGを使用したDOTに関しては、1cm以上の大きさを有する乳腺管癌は、0.25mg/kg(体重)の濃度で検出されうることが報告されている。他の蛍光性造影剤は、例えば、EP 1 113 822 A1 並びにKai EP 1 113 822 A1 並びにKai Licha 及び他の者((2000)光化学と光生物学 72:392-398)により説明される。 反復スクリーニングを行うあらゆる撮像方法に関しては、できるだけ少ない副作用を有することが所望される。撮像技術が、造影剤のような物質の投与を必要とするならば、そのような物質の少量だけが、繰り返しの投与によって起こりうる潜在障害の副作用及び薬物の蓄積を防ぐために投与されることが望ましい。したがって、先行技術において、少量で投与されうる、かつDOTの常用の判別検査の応用のための所望される特異性及び感受性を、さらに与えうる造影剤を同定する必要がある。 本発明を以下で詳細に説明する前に、本発明が、記述されている特定の方法論、プロトコル、細胞系、ベクター、及び試薬に制限されず、これらを変更できると解されるべきである。本願で使用される用語が、特定の実施態様だけの説明のためであり、及び付属の特許請求の範囲によってのみ制限されうる本発明の範囲の制限を意図するものではないとも解されるべきである。特に定義されない限り、本願で使われるすべての専門用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解することと同じ意味を有する。 有利には、本願で使われる用語は、"生物工学用語の多言語辞典:(IUPAC推奨)",Leuenberger, H.G.W, Nagel, B. and KM, H. eds.(1995), Helvetica Chimica Acta, CH-4010 Basel, Switzerland)についての説明によって定義される。 この明細書及び後続の特許請求の範囲全体を通しては、文脈が他のことを請求しない限り"含む"という言葉、並びに他に、例えば"含む"及び"含んでいる"は、示された整数もしくは目盛り、又は整数もしくは目盛りの群を含むことを意味すると理解されるが、あらゆる他の整数もしくは目盛り、又は整数もしくは目盛りの群を除外することを意味しないと理解されるべきである。 いくつかの文献は、この明細書の本文を通して引用される。本願で引用されたそれぞれの文献(すべての特許、特許出願、科学の出版物、製造業者の仕様書、使用説明書などを含む)は、上方であろうと下方であろうと、参照を持って開示された物とする。本願にないことを、その発明が先行発明の長所によってかかる開示に先立つ権利がないことを認めるとして解釈されるべきでない。 本願、並びに付属の特許請求の範囲で使用される場合に、単数形は、文脈が他のことを明示しない限り、複数形の関係を含むことに留意せねばならない。このように、例えば、複数の"試薬"の言及は1つ以上のそのような異なった試薬を含み、並びに、単数の"その方法"の言及の引用は、本願に記述されている方法に修飾又は置換されうることが当業者に知られている同等の段階及び方法の言及を含む。 先行技術における前記の要求をふまえて、驚くべきことに本発明により、式(I)[式中、L1〜L7は同一又は異なり、かつそれぞれが置換又は非置換のメタンであるか、又はL3とL5が五員環又は六員環を共に形成し、かつL4が1〜4個、例えば1、2、3、又は4個の炭素原子を有するアルキルによって置換されたメタンであり、R1とR2が1〜5個の、例えば1、2、3、4、又は5個の炭素原子を有する低級アルキルであり、かつスルホン酸基によって置換され、又は場合により置換されたアリール又はヘテロアリールであり、R3〜R10が同一又は異なり、かつそれぞれが水素原子、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルキル(スルホアルキル)アミノ基、ビス(スルホアルキル)アミノ基、スルホアルコキシ基、(スルホアルキル)スルホニル基、又は(スルホアルキル)アミノスルホニル基であり、かつXとYが同一又は異なり、かつそれぞれが、式(II)[式中、R11とR12が、1〜5個の、例えば1、2、3、4、又は5個の炭素原子を有する非置換の低級アルキルである]で示される基である]で示される化合物、及び、例えばNa、K、Ca、Mg2+などの製剤学的に認容性の塩が、先行技術において、十分に特異性及び感受性を得るために使用されていた体重1kgあたりの量よりも著しく低い体重1kgあたりの量で、増殖性疾患のための普通のスクリーニング法に十分な特異性及び感受性で信号を提供することが判明した。 本発明の文脈で使用される特に好ましい化合物は、式(III)〜(VI)で示される構造を有する1つ以上の化合物であり、該化合物は、SF64、5−29、5−36、及び5−41の名前で知られ、かつ先行技術において、十分に特異性及び感受性を得るために使用されていた体重1kgあたりの量よりも著しく低い体重1kgあたりの量で、増殖性疾患のための普通のスクリーニング法に十分な特異性及び感受性で信号を提供することが判明した。したがって、本発明によって使用可能な化合物、並びに特にSF64、5−29、5−36、及び5−41は、驚くべきことに極少量で投与でき、その結果中毒副作用の低い可能性を有し、さらにこの低い濃度で検出可能な腫瘍は、直径3mmの小ささであり、検出限界が1cmの腫瘍である、他のシアニン染料、例えばICGを使用して今まで発見されていた腫瘍より極めて小さく、すなわちX線マンモグラフィに匹敵する。3mmと同じくらい小さい腫瘍を検出するための能力は、10mmの大きさまでの腫瘍を検出するための能力を超える重大な進歩を示し、かつ診断された患者が長生きするための莫大な影響を有する。直径1cm以上の腫瘍は、新しい毛細血管を形成するための内皮細胞をすでに引きつけ、すなわち新生血管形成されており、かつ血液循環又はリンパ球循環中に腫瘍細胞にしばしばすでに放出している。しかし、直径3mm以下の腫瘍は、しばしば血管形成しておらず、栄養不足のためにさらなる成長が中止される。腫瘍の血管形成が、さらなる成長のための前提条件である以上、それら腫瘍は、それらが内皮細胞を引きつけるための能力を発達させた場合にのみ進行する。したがって、生命を脅かす病気に発展し続けることから癌を妨げる機会は、体を通して広がり、かつ/又は新しい毛細血管を形成するための内皮細胞を引きつけるよりはるかに小さいサイズで腫瘍を検出できれば、かなり高い。 従って、本発明の第一の態様は、式(I)[式中、L1〜L7は、同一又は異なり、かつそれぞれが置換又は非置換のメチンであり、L4が1〜4個の例えば1、2、3、又は4個の炭素原子を有するアルキルによって置換されたメタンであり、R1とR2が1〜5個の例えば1、2、3、4、又は5個の炭素原子を有する低級アルキルであり、かつスルホン酸基によって置換され、R3〜R10が同一又は異なり、及びそれぞれが水素原子、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルキル(スルホアルキル)アミノ基、ビス(スルホアルキル)アミノ基、スルホアルコキシ基、(スルホアルキル)スルホニル基、又は(スルホアルキル)アミノスルホニル基であり、並びにXとYが同一又は異なり、及びそれぞれが式(II)[式中、R11とR12が、1〜5個の、例えば1、2、3、4、又は5個の炭素原子を有する非置換の低級アルキルである]で示される基である]で示される化合物、又はその製剤学的に認容性の塩を、該組成物が診断の適用あたり0.5mg/kg(体重)未満で0.001mg/kg(体重)より多い量で該化合物を含む、増殖性疾患の検出用の診断組成物の製造のために用いる使用である。 本発明の文脈において使用される特に好ましい化合物は、式(III)〜(VI)による構造を有する1つ以上の化合物であり、又はその製剤学的に認容性の塩を、該組成物が診断の適用あたり0.5mg/kg(体重)未満で0.001mg/kg(体重)より多い量で該化合物を含む、増殖性疾患の検出用の診断組成物の製造のために用いられる。 本発明に従って使用できる親水性化合物、並びに、特にシアニン染料SF64、5−29、5−36、及び5−41の造影剤として作用する能力は、オキシ−ヘモグロビン及びジオキシ−ヘモグロビンの濃度、血中オキシダント飽和度、組織及び器官の濃度への造影剤の取り込みよってある程度決定されるが、しかし、本発明に従って使用できる化合物、並びに特にSF64、5−29、5−36、及び5−41の特異性かつ/又は感受性を、増殖性細胞及び組織上に、又は増殖性細胞及び組織の周辺に、優勢的に又はもっぱら存在する構造に特異的に結合する標的化合物との結合によって増大することができる。それら構造のいくつかは、直接的に増殖性細胞と会合し、又は増殖性組織の周囲にある細胞と会合する。前者は、増殖性細胞において変更された又は過剰発現された構造、例えば成長因子受容体、例えばソマトスタチン受容体又は上皮成長因子受容体(FGFR)である。そのような構造の多数の変種は、今日までに同定され、及び制限されることなく、成長因子受容体、G−タンパク質結合受容体、タンパク質孔、イオンチャネル、薬剤流出ポンプ、成長因子の付加結合部位、ヘパラン硫酸、膜結合プロテアーゼ、粘着分子、T細胞受容体及びセレクチン、特にEGF、TGF、CEA、ルイスY、CD20、CD33、又はCD38を含む。標的となりうる他の構造は、突然変異された又は再結合された細胞の遺伝子のユニークな遺伝子産物に属しているT細胞の認識する癌関連抗原、特に、サイクリン依存型キナーゼ4(CDK4)、p15Ink4b、p53、AFP、β−カテニン、カスパーゼ8、p53、p21Ras突然変異株、Bcr−abl融合生成物、MUM−I、MUM−2、MUM−3、ELF2M、HSP70−2M、HST−2、KIAA0205、RAGE、ミオシン/m、707−AP、CDC27/m、ETV6/AML、TEL/Aml1、Dekcain、LDLR/FUT、Pml−RARα、TEL/AMLI;精巣癌(CT)抗原、特にNY−ESO−I、MAGE系統の一部(MAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A6、MAGE−10、MAGE−12)、BAGE、DAM−6、DAM−10、GAGE系統の一部(GAGE−I、GAGE−2、GAGE−3、GAGE−4、GAGE−5、GAGE−6、GAGE−7B、GAGE−8)、NA−88A、CAG−3、RCC関連抗原G250;腫瘍ウイルス抗原、特にヒト乳頭腫ウイルス(HPV)誘導のE6又はE7腫瘍性蛋白、エプスタイン−バーウイルスEBNA2−6、LMP−I、LMP−2;過剰発現又は組織特異性の分化抗原、特にgp77、gp100、MART−1/Melan−A、p53、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質(TRP−I及びTPR−2)、PSA、PSM、MC1R;広く発現した抗原、特にART4、CAMEL、CEA、CypB、HER2/neu、hTERT、hTRT、ICE、Muc1、Muc2、PRAME RU1、RU2、SART−I、SART−2、SART−3、及びWT1である。 増殖性細胞、特に腫瘍細胞は、拡散性因子を産生することが知られており、そしてそれらは、内皮細胞を引きつける及び刺激して成長させる。そのため、腫瘍は、新たな血管新生が認められる体内のごく一部である。その結果、増殖性細胞の内皮及びそれと関連がある構造は、特に腫瘍部位の標的薬として使用されている。血管形成と関連のある分子構造は、例えばWO 96/01653, Aless P.とその他の者(2004)並びにNanda, H. 及びSaint-Croix (2004)の中で再調査されている。増殖性組織を形成する細胞は、血管由来と非血管由来の因子を発現し、血管形成阻害剤が、血管由来の因子の効果を妨げる限りは血管形成の抑制を導く。血管由来の因子の効果が色濃くなれば、それらは血管形成の開始に導く。従って、血管形成の調節を含む両方の構造、例えば血管形成活性剤及び阻害剤は、本発明の標的化合物によって結合されうる。血管形成活性化剤は、制限されることなく、分子構造、例えばED−Bフィブロネクチン(ED−BF)、エンドグリン(CD105)(Burrows, F. J. とその他の者(1997) Clin. Cancer Ras. 1:1623-1634)、VEGF系統の一部、血管内皮成長因子(VEGFR)、NRP−I、Ang1、Thie2、PDGF−bb及び受容体、TGF−/31、TGF−/3−受容体、FGF、HGF、MCP−I、要素(αVβ3、αVβ5、α5β{)、VE−カドヘリン、PICAM(CD31)、エフリン、プラスミノゲン活性化因子、MMPs PAI−I、NOS、COX−2、A733、ケモカイン又はId1/Id3を含む。血管形成阻害剤は、制限されることなく、分子構造、例えばVGFR−I、Ang2、TSP−I,−2、アンギオスタチン及びプラスミノゲンクリングルス関連、エンドスタチン(コラーゲン(XVII断片)、バソスタチン、血小板第4因子、TBVIPs、MMP阻害剤、PEX、METH−I、METH−2、IFN−α,−β,−γ、IP−10、IL−4、IL−12、IL−18,プロラクチン、VEGI、SPARCの断片、オステオポンチン断片又はマスピンを含む(Carmeliet, P.及びJain, R.K. (2000) Nature 407: 249-257; Yancopoulos, G. D. 及びその他の者(2000) Nature 407: 242-248; Bergers, G. 及びBenjamin, L.E. (2002) Nature Reviews Cancer 3: 401-410; Hendriks, MJ.C. 及びその他の者(2002) Nature Reviews Cancer 3 :411-421)。 好ましい一実施態様においては、標的化合物は、血管形成に特異的な因子ED−BF、VEGFR又はエンドグリンに結合する。それらのうち、ED−BFが特に好ましい標的構造である。ED−BFは、癌胎児性フィブロネクチンとも言われるフィブロネクチンのスプライス変異体であり、血管形成中に新たに成長する微小血管構造中で特異的に形成される。 それらの構造に結合する成分は、有利にはペプチド(2〜50個のアミノ酸残基を有するアミノ酸の鎖)、タンパク質(50より多くのアミノ酸残基を有するアミノ酸の鎖)、核酸、小分子、又は糖である。この明細書ではこれより、ペプチド及びタンパク質を、ポリペプチドとしても一般に呼称する。 好ましいポリペプチドは、構造物のリガンドであり、そして増殖性細胞中又は増殖性細胞の周辺上、例えば血管形成された構造又は血管形成している構造中で、優勢的に又はもっぱら発現される、特に血管内皮成長因子(VEGF)、ソマトスタチン、ソマトスタチン類似体、ボンベジン、ボンベジン類似体、血管作動性腸管ペプチド(VIP)及び類似体、ニューロテンシン及びニューロテンシン類似体、人間、人間化又は想像上の抗体を含む神経ペプチドY及び類似体及び抗体;例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fabc,Facbを有する抗体結合ドメイン構成断片;単鎖抗体、例えば単鎖Fvs(scFvs);並びに二重特異性抗体である。 多数の様々なそのような抗体は、文献中で説明され、及びED−BFについては以下の物を含んでいる:L19及びE8(Viti F. 及びその他の者(1999) Cancer Ras. 59:347-352を参照)、EP0 344 134 B1中に説明され、No. 88042101のイギリスのソールズベリーのポートンダウンにある欧州動物細胞培養コレクションに寄託されたハイブリドーマ又はキメラ化もしくはヒト化されたものから得られたBC−Iモノクローナル抗体は、、WO 97/45544 A1に発表されている特異的なVL及びVH配列を有するED−BFに対する抗体、WO 99/5857 A2に開示されている特異的なVL及びVH配列を有するED−BFに対する抗体、WO 01/62800 A1に発表されている特異的なVL及びVH配列を有するED−BFに対する抗体、並びにAP38及びAP39(Marty C, 及びその他の者(2001) Protein Expe. 21: 156-64)。ED−BFに特異的な抗体は、Ebbinghaus C, 及びその他の者(2004) Curr Pharm des. 10:1537-49で調査されている。それらすべての抗体又は抗体結合断片は、本発明の好ましい使用における血管形成に特異的な結合成分として使用できる。特に好ましい抗体は、L19、E8、AP38及びAP39又はそれらの断片を含む結合ドメインである。 VEGF−Rについての抗体は、ベバシズマブ(Genentech社及びRoche社によって開発されたアバスチンTM、rhumAb−VEGF)、抗−VEGFR−I抗体mAb6.12、完全なヒトの抗−VEGFR−2抗体IMC−2C6及びMC−1 121、完全なヒトの抗−VEGFR−3 mAb HF4−3C5(all hnclone system Inc.)、及びKM−2550(協和発酵工業株式会社)、抗−VEGFR−1抗体(Salgaller ML (2003) Current Opinion in Molecular Therapeutics 5(6):657-667)を含む。エンドグリンについての抗体は、SN6h、SN6、SN6a、SN6j、P3D1、P4A4、44G4、GRE、E−9、CLE−4、RMAC8、PN−E2、MAEND3、TEC4、TEC11、A11、8E11を含む。SN6hのクローンは、免疫組織化学による種々の腫瘍の実体におけるエンドグリンの発現の研究のために広く使われている(Wikstrδm P. 及びその他の者(2002) The Prostate 51: 268-275;Li C. 及びその他の者(2003) Br. J. Cancer 88:1424-1431;Saad R.S. 及びその他の者(2004) Modern Pathol. 17:197-203)。同じSN6系列の抗体のうちSN6、SN6a、及びSN6jは記載されている(She X.及びその他の者(2004) Int. J. Cancer 108: 251-257)。抗体のクローンのP3D1、P4A4、44G4、GRE、E−9、CLE−4、RMAC8、PN−E2、MAEND3、TEC4、TEC11の抗体について、エンドグリンの結合エピトープは、決定されている(Pichuantes S.及びその他の者(1997) Tissue antigen 50:265-276)。いくつかの抗体及び抗体のクローンA11について、エンドグリンの異形発現は、ヒトの起源の通常組織及び腫瘍組織で研究されている(Duff S. E.及びその他の者(2003)FASEB J. 17:984-992)。WO 02/02614は、さらにエンドグリンに特異的な抗体、例えばscFv C4を開示している。CD105に対する抗体の最後の発表の一つでは、クローン8E11は、免疫組織化学による乳癌患者の転移の危険の予測について研究された(Dales J.P.及びその他の者(2003) Br. J. Cancer 90:1216-1221)。すべての抗体又はその抗体結合断片は、本発明の好ましい使用において血管形成に特異的な結合成分として使用されうる。 加えて、様々な腫瘍細胞自身と特異的に結合するそれらの多くの抗体又は結合断片は、先行技術において説明され、並びに制限されることなく、Gタンパク質結合受容体、孔タンパク質、イオンチャネル、薬剤流出ポンプ、成長因子の付属結合部位、ヘパラン硫酸、膜結合プロテアーゼ、付着分子、T細胞受容体及びセレクチン、特にEGF、TGF、CEA、ルイスY、CD20、CD33又はCD38に対する抗体を含む。さらに、それらの突然変異又は結合した細胞性遺伝子の独特な遺伝子産物に属するT細胞の認識する癌関連抗原に対する抗体又は結合断片を使用でき、特にサイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、p15Ink4b、p53、AFP、β−カテニン、カスパーゼ8、p53、p21Ras突然変異体、Bcr−abl融合生成物、MUM−I、MUM−2、MUM−3、ELF2M、HSP70−2M、HST−2、KIAA0205、RAGE、myosin/m、707−AP、CDC27/m、ETV6/AML、TEL/Aml1、Dekcain、LDLR/FUT、Pml−RARα、TEL/AMLI;精巣癌(CT)抗原、特にNY−ESO−I、MAGE系統の一部(MAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A6、MAGE−10、MAGE−12)、BAGE、DAM−6、DAM−10、GAGE系統の一部(GAGE−I、GAGE−2、GAGE−3、GAGE−4、GAGE−5、GAGE−6、GAGE−7B、GAGE−8)、NA−88A、CAG−3、RCC関連抗原G250、;腫瘍ウイルス抗原、特にヒト乳頭腫ウイルス(HPV)誘導のE6又はE7腫瘍性蛋白、エプスタイン−バーウイルスEBNA2−6、LMP−I、LMP−2;過剰発現又は組織特異性の異形抗原、特にgp77、gp100、MART−1/Melan−A、p53、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質(TRP−I及びTPR−2)、PSA、PSM、MC1R;広く発現した抗原、特にART4、CAMEL、CEA5、CypB、HER2/neu、hTERT、hTRT、ICE、Muc1、Muc2、PRAME RU1、RU2、SART−I、SART−2、SART−3、並びにWT1に対する抗体又は結合断片を使用できる。 核酸が特異的に結合する特性を持ちうることは当該技術分野で知られており、従って標的の成分は、核酸でもあってよい。有利には、そのような核酸はDNA、RNA、アプタマー、並びにPNAを含み、アプタマーが特に好ましい。特異的に結合するアプタマーを同定する方法は、当該技術分野でよく知られ、並びに、例えばWO 93/24508 A1、WO 94/08050 A1、WO 96/27605 A1、及びWO 96/34875 A1中に記述される。それらの文献中で開示された方法は、本願によって特に言及され、及び増殖性組織又は増殖性組織の周囲組織、例えば新たに形成された内皮及び/又は増殖性の内皮と特異的に結合するアプタマーの同定で使用できる。特に本発明の使用のための好ましい標的化合物は、血管形成に特異的結合するアプタマーである。本発明の使用において使用される好ましいアプタマーは、ED−BF、エンドグリン又はVEGFRを特異的に認識する。 1000g/mol未満、有利には500g/mol未満の分子量の小分子、すなわち非ペプチジル、非核酸化合物の高いスループットのスクリーニングの出現と共に、特定の結合の特性を有する小分子を同定することが可能となっている。そのような小分子は、本発明の使用において標的成分として同様に使用できる。好ましい小分子は、2,2−ジフェニルエチルアミンであり、特異的にED−BFと結合することが同定されている(Scheuermann J.(2002) フィブロネクチンのEDB領域、血管形成のマーカーのための結合分子の分離。論文はスイス連邦工科大学チューリッヒ校に提出)。 前記の標的化合物は、本発明に従って使用できる化合物と、並びに特にSF64、5−29、5−36、及び/又は5−41と直接又は間接結合によって結合しうる。この文脈において"直接結合"の用語は、標的化合物の残基との共有結合の意味であるが、一方本願で使用される"間接結合"の用語は、共有結合又は非共有結合によって繋がった1つ以上の付加的な化学的残基が、SF64染料と標的化合物との間に位置することを意味する。それら1つ以上の付加的な化学的残基は、"スペーサー"とも呼ばれる。スペーサーは、例えば標的化合物とSF64染料との空間的な分離を与えることができる。本発明に従って使用できる化合物、並びに特にシアニン染料SF64、5−29、5−36、及び/又は5−41を前記で述べられた標的化合物にカップリングするいくつかの方法は、当該技術分野で知られ、かつ中に染料中の反応性の官能価を導入することを通常必要とし、反応性の官能価を有する誘導体として、及び/又は共有結合を形成しうる標的化合物中に染料を合成する。そのような群は、例えば、チオ基、ヒドロキシ基、アミノ基又はカルボキシル基を含む。本発明に従って使用できる化合物、並びに特にSF64、5−29、5−36、及び5−41についてはカップリングは、インドール基、及び/もしくはインドールの複素環の3位にあるメチル基、もしくはヘプタトリエンの中間に位置するメチル基で行われえ、又はヘプタトリエンのどんな炭素残基でも行うことができる。さらに、標的化合物と本発明に従って使用できる化合物と特にSF64、5−29、5−36、及び5−41との結合は、インドール窒素と結合したアルキル鎖で行われうる。有利には、標的化合物は、インドールの3位にメチル基の一つと又はヘプタトリエンの4−メチル基と結合する。 "受容体のリガンド"の用語は、特に細胞表面受容体と結合するポリペプチド、すなわち受容体の自然な結合相手を言う。受容体とそのリガンドとの間の相互作用は、種々の結果を有し、一方では受容体とリガンドが、例えば2細胞間のつなぎ縄として単純に働くことが可能であり、又は結合が受容体の構造変化もしくは機能変化を導きくことができ、その結果として、例えば細胞膜中で、細胞外部位上で、又は細胞膜の細胞質部位で、受容体の酵素機能の活性化又は、受容体と新たな及び/もしくは種々のさらなる成分との会合の結果になりうる。この文脈において、リガンドは、受容体機能に対する作動的効果又は拮抗的効果を有しうる。本発明の意味の範囲内にある受容体のリガンドは、付加的なN末端もしくはC末端のアミノ酸を有する改変されたリガンドでもあり、又はそこでアミノ酸が受容体と結合活性の有意な減少なしに置き換えられている。この文脈において、90%より多いだけの減少は有意と見なされうる。有利には、改変されたリガンドは、特異的な結合において増加を示す。かかる受容体のリガンドの例は、VEGF、ソマスタチン及びそれらの類似体、ボンベジンもしくは及びボンベジン類似体、血管作用性腸管ペプチド(VIP)及び類似体、ニューロテンシン及びニューロテンシン誘導体、神経ペプチドY及びそれらの誘導体である。 有利には、前記の式(I)及び/又は(III)〜(VI)による化合物は、ナトリウム塩として使用されるが、しかし、ナトリウムに加えて、もしくはナトリウムの代わりに他の製剤学的に認容性の塩を使用すること、すなわち、分子中の1つ以上のナトリウムイオンを、1つ以上の製剤学的に認容性の他の有機カチオン又は無機カチオン、例えば他のアルカリ金属イオン例えばカリウム、アルカリ土類金属例えばマグネシウム、カルシウムなど、有機カチオン例えばトリエチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ピリジニウムなど、アミノ酸の塩例えばリジン、アルギニンなどと取り替えることも可能である。本発明に従って使用できる特に好ましい化合物のナトリウム塩は、式(VII)に図示される。 本発明に従って使用できる前記で示された化合物量を使用して診断できる増殖性疾患は、有利には、腫瘍、前癌状態、異形成、化生、乾癬、乾癬性関節炎、慢性関節リウマチ、子宮内膜症、及び/又は眼の疾患からなる群から選択される。 診断される好ましい増殖性疾患は、腫瘍である。腫瘍は、原発腫瘍又はそれらの転移においてさらに分類できる。しばしば、転移される細胞はより急速に成長し、少ない足場依存性を示し、より高い染色体の倍数性を有し、並びにプロテアーゼ、例えばコラゲナーゼ、基質の金属プロテイナーゼなどの発現のため循環から溢出する能力を獲得している。従って、有利には、腫瘍は、転移されるより前に診断される。原発腫瘍が転移を形成する危険は、一般的に大きさを拡大しつつ増加する一方、例えば黒色腫は、ちょうど1又は数ミリメーターの大きさを有する場合にしばしば転移し、体中至る所の腫瘍細胞、例えば前立腺癌の早期内転移の傾向がはるかに少ない。本発明の使用の有意な利点は、小さいサイズの増殖性病変、特に原発腫瘍を検出する能力である。有利には、発見される増殖性病変は、10mmより小さく、有利には9mmより小さく、有利には8mmより小さく、有利には7mmより小さく、有利には6mmより小さく、有利には5mmより小さく、及び最も有利には4mmよりも小さい。 有利には、本発明の使用に従って診断される腫瘍は、胃腸管もしくは結腸直腸管、肝臓、膵臓、腎臓、膀胱、甲状腺、前立腺、子宮内膜、卵巣、睾丸、黒色腫、口腔粘膜異形成、侵襲性口腔癌、肺癌の小細胞又は非小細胞の悪性腫瘍;乳房腫瘍、例えばホルモン依存性乳癌、ホルモン非依存性乳癌;移行上皮癌及び扁平上皮癌;神経学的悪性病変、例えば神経芽細胞腫、神経膠腫、星状細胞腫、骨肉腫、髄膜腫;軟部組織肉腫;血管腫及び内分泌学的腫瘍、例えば下垂体腺腫、褐色細胞腫、傍神経節腫、血液学的な悪性疾患、例えばリンパ腫及び白血病また前記で挙げられた癌の一つに由来する転移である。有利には、好ましい腫瘍は、発達した腫瘍からの器官/組織が体の外側から又は内視鏡的な方法によって簡単に接近できる点で、胸腺、子宮頸部、前立腺、睾丸の腫瘍である。 本発明の使用に従って検出可能な前癌状態は、皮膚の前癌状態、特に日射性角化症、皮角、日射性口唇炎、タール角化症、ヒ素性角化症、X線角化症、ボウエン病、ボウエノイド丘疹症、悪性黒子、硬化性苔癬、及び扁平苔癬粘膜;消化管の前癌状態、特に紅板症、白板症、バレット食道、プランマー−ビンソン症候群、下腿潰瘍、巨大肥厚性胃炎、境界癌腫、腫瘍性腸管ポリープ、直腸ポリープ、陶器様胆嚢炎;婦人科学的な前癌状態、特に非浸潤性乳管癌(CDIS)、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)、白板症、子宮内膜増殖症(第3段階)、外陰ジストロフィー、外陰上皮内腫瘍(VIN)、胞状奇胎;泌尿器科学の前癌状態、特に膀胱乳頭腫症、ケイラー紅色肥厚症、精巣上皮内腫瘍(TIN)、白板症;上皮内癌(CIS);慢性炎症によって起こる前癌状態、特に膿皮症、骨髄炎、集簇性座瘡、尋常性狼瘡、及び瘻孔からなる群から選択される。 異形成は、しばしば癌の前兆であり、及び主に上皮に見られる;異形成は、皮腫瘍性の細胞成長の最も異常な形であり、個々の細胞の均一性及び細胞の構造的な定位の損失を含んでいる。異形成細胞は、しばしば異常な大きさ、濃く染色された核を有し、並びに多形性を示す。異形成は、特徴的に慢性刺激又は炎症の存在する場所で起こる。本発明に従って診断されうる異形成の異常は、制限されることなく、無汗性外胚葉性異形成、前後異形成、窒息性胸郭異形成、心房指異形成、気管支肺異形成、大脳異形成、子宮頚部異形成、軟骨外胚葉性異形成、鎖骨頭蓋骨異形性、先天性外胚葉性異形成、頭蓋骨幹異形成、頭蓋手根骨足根骨異形成、頭蓋骨幹端異形成、象牙質異形成症、骨幹異形成、外胚葉性異形成、エナメル質異形成、脳眼形成不全症、骨端異形成半肢症、多発性骨端異形成、点状骨端異形成、上皮性異形成、顔面指趾生殖器異形成、家族性線維性顎異形成、家族性白色襞性異形成、線維筋性異形成、線維性骨異形成、開花性骨性異形成、遺伝性腎−網膜異形成、発汗性外胚葉性異形成、発汗減少症性外胚葉性異形成、リンパ性減少性胸腺異形成、乳房異形成、下顎顔面異形成、骨幹端異形成、モンディニ異形成、単発性線維性異形成、粘膜上皮異形成、多発性骨端異形成、眼耳脊椎異形成、眼歯指異形成、眼脊椎異形成、歯原性異形成、眼底下顎骨異形成、根尖端セメント質異形成、多発性線維性骨異形成、偽軟骨発育不全脊椎骨端異形成、網膜異形成、中隔視神経異形成、脊椎骨端異形成、並びに心室橈骨異形成を含む。 化生は、成人細胞又は完全に分化した細胞の1種類が成人細胞の他種と置き換わった細胞成長の形である。本発明の使用に従って検出可能な化生疾患は、有利には、特発性骨髄化生、アポクリン化生、非定型化生、自己実質化生、結合組織化生、上皮化生、腸上皮化生、化生性貧血、変形骨化、化生性ポリープ、骨髄様化生、原発性骨髄様化生、二次性骨髄様化生、扁平上皮化生、羊膜の扁平上皮化生、症候性骨髄様化生、並びに再生化生からなる群から選択される。 本発明の使用に従って検出可能な眼の疾患は、有利には、トラコーマ、未熟児網膜症、糖尿病性網膜症、血管新生緑内障、及び加齢黄斑変性症からなる群から選択される。 子宮内膜症は、子宮体腔の外側の子宮内膜組織の増殖によって定義される婦人科学の疾患である。増殖性子宮内膜細胞は、体全体を通して分散しえ、かつ増殖性病変は肺及びその他の組織でそれまでに見つけられており、その点で増殖性病変の分散は微小転移巣の分散に似ている。本発明の使用の好ましい一実施態様において、検出される増殖性病変、例えば病変、例えば子宮内膜細胞集塊は、血液性細胞集塊、空洞性細胞集塊、腔内細胞集塊、リンパ細胞集塊、局所性細胞集塊、及び/又は局所細胞集塊である。 本発明の使用は、常用の診断のため、すなわちそれぞれ必要とされる疾患についてのスクリーニングのためであってよい。しかしながら、さらなる一実施態様において、共用は、一度疾患が、例えば標準X線法、例えばマンモグラフィ、全身のスキャン、もしくはMRIで診断された後に使用される。患者は、その時、転移及び/又は小さな(付加の)原発腫瘍について検査される。かかる検査は、発病度、例えば疾患の段階のよりよい評価のため、又は最もよい治療法の選択、並びに/又は治療処置前、治療処置中及び/もしくは治療処置後(例えば、薬、放射線又は手術)の決定のために行われうる。治療処置以前に行われた場合、その高い感受性のために本発明の使用は、例えば、転移がすでに原発腫瘍の周辺に形成されているかどうかの決定を可能にし、したがって、治療の養生、例えば乳腺腫瘤摘出か乳房切除かどうかのよりよい決定が、乳癌において必要とされる。 治療後、本発明の診断方法の使用は、治療処置の成功を評価すること、及び次の治療処置、例えば放射線又は化学療法を決定することを可能にする。外科処置の間に使用される場合、例えば、原発腫瘍の周囲にある組織中、例えばリンパ節の転移を検出することが可能である。この実施態様において、本発明の使用は、腫瘍もしくは外科処置中の転移のより完全な除去を可能にする。 本発明の使用のさらなる態様において、診断組成物は、さらに、製剤学的に認容性の物質、例えば浸透圧を調節する製剤学的に認容性の塩、緩衝液、保存剤、担体及び/又は賦形剤を含む。有利には、診断組成物は、投与以前の再形成のための水溶液又は親水性であってよい発熱物質不含の非経口的に認容性の製剤型で供給される。pH等張性、pH安定性などに相応の関係があるかかる製剤学的な組成物の製造は、技術水準の範囲内である。本発明に従って使用される診断組成物は、製剤学的に認容性の希釈剤、例えば、塩化ナトリウム注入薬及びリンガー液を含んでいてよい。ヒトへの投与のために、該組成物は、自己の血清又は血漿として投与されうる。 本発明の好ましい使用において、診断化合物は、非経口的に、及びより好んで静脈内に投与される。本発明に従って使用できる化合物、並びに特にSF64、5−29、5−36、及び/又は5−41の静脈内投与の後、生体内での撮像は、わずか数分で行われうる。しかしながら、所望された時間、又は本発明に従って使用できる化合物、及び特にSF64、5−29、5−36、及び/又は5−41を患者に投与して、さら長時間後に、撮像を実施できる。ほとんどの実施例において、十分な量の投与される服用量は、約0.1時間以内に撮像される範囲で蓄積しうる。本発明に従って使用できる化合物、並びに特にSF64、5−29、5−36、及び/又は5−41を使用する場合、驚くべきことに、造影剤は、注射後48時間まで腫瘍の撮像を可能にすることが判明した。このことは先行技術の染料に対する付加的な利点である。それというのも、本発明により使用可能な化合物の投与は、DOTの1日前又は2日前に、例えば患者の通常の医師によって可能となり、それにより特別なスクリーニング設備での患者の即座の撮像は、そのスクリーニング設備で前記染料を注入する必要なく、かつDOTの実施日に造影剤を分布させることなく可能となるからである。したがって、好ましい一実施態様によると、診断組成物は、少なくとも撮像の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、又は48時間前に投与される。 前記の概要として、驚くべきことに、本発明に従って使用できるシアニン染料、並びに特にICGに似た他のシアニン染料と報告されているSF64、5−29、5−36、及び/もしくは5−41の極少量は、増殖性疾患の検出に要求される感受性及び特異性を提供するのに十分であることが判明した。しかしながら、本発明に従う使用の好ましい一実施態様において、式(I)による化合物は、約0.4mg/kg(体重)、約0.3mg/kg(体重)、約0.2mg/kg(体重)、0.1mg/kg(体重)、0.1mg/kg(体重)未満、約0.09mg/kg(体重)、約0.08mg/kg(体重)、約0.07mg/kg(体重)、約0.06mg/kg(体重)、約0.05mg/kg(体重)、約0.04mg/kg(体重)、約0.03mg/kg(体重)、約0.02mg/kg(体重)、及び約0.01mg/kg(体重)の量の診断組成物を含む。したがって、投与される本発明に従って使用できる化合物、並びにSF64、5−29、5−36、及び/もしくは5−41の好ましい範囲は、0.4〜0.001mg/kg(体重)の間、0.2〜0.001mg/kg(体重)の間、0.1〜0.001mg/kg(体重)の間、0.1未満から0.001mg/kg(体重)の間、0.09〜0.001mg/kg(体重)の間、0.008〜0.001mg/kg(体重)の間、0.06〜0.001mg/kg(体重)の間、0.05〜0.001mg/kg(体重)の間である。本発明の化合物及び特にSF64、5−29、5−36、及び/もしくは5−41の高い親水性及び高い水溶性のために、患者への注入量は、1mlと低くすることができ、その量は、10mlを超える容易に使用される注射より少ない。そのため、本発明による使用の好ましい一実施態様において、式(I)による化合物は、診断組成物の5ml以下、有利には4ml以下、有利には3ml以下、有利には2ml以下、並びに更により有利には約1mlを含む。 本発明のさらなる一態様は、式(I)及び/又は(III)ないし(VI)の化合物を、診断適用あたりに0.5未満から0.001mg/kg(体重)の間の、有利には0.4〜0.001mg/kg(体重)の間の、0.2〜0.001mg/kg(体重)の間の、0.1〜0.001mg/kg(体重)の間の、0.1未満から0.001mg/kg(体重)の間の、0.09〜0.001mg/kg(体重)の間の、0.008〜0.001mg/kg(体重)の間の、0.06〜0.001mg/kg(体重)の間の、0.05〜0.001mg/kg(体重)の間の、化合物を投与するための診断組成物を製造するための量で含み、かつ場合により上記概説した製剤学的に認容性の塩、担体、賦形剤及び/又は緩衝液を含む診断キットである。有利には、該キットは、凍結乾燥型の化合物及び場合によって付加される要素を含む。 さらなる加工なしに、当業者は、前記の説明を用いて、その最も大限の範囲まで本発明を使用できる。次の好ましい特定の実施態様は、そのため、単に実例として対比、及びあらゆる方法において決して開示を制限するものではない。 図1 右胸に浸潤乳癌を有する女性患者にSF64の静脈内注射後の光学マンモグラフィ。明るいスポットは、静脈注射後にこの浸潤性乳癌中に蓄積したSF64の顕著な蛍光信号によって引き起こされる。 図2 薬物投与6時間後の子宮内膜の微小転移巣実験のエクスビボ撮像の実施例。左のパネルは蛍光染料の構造を示し、左のパネルは子宮内膜の組織標本の撮像を示す。その撮像は、サイズの大きさをcmで表示する定規を有する。 図3 薬物投与6時間後の皮膚の自発微小病変の生体内撮像の実施例。パネルAは元の撮像を示し、パネルBは倒立像を示す。その撮像は、サイズの大きさをcmで表示する定規を有する。 実施例 右胸に浸潤性乳癌を有する女性患者にSF64の静脈注射後の光学マンモグラフィ SF64の0.1mg/kg(体重)の投薬量を、0.9%の生理食塩水で凍結乾燥物の希釈後、留置前腕カニューレを通して静脈内に注入した。患者を、空気で取り囲まれている撮像室の中で、腹臥位で患者の胸部を自由に懸垂した状態で、光学CTレーザーマンモグラフィ装置を使用して撮像した。画像収集を開始した。 1時間10分後にSF64の静脈注射と、像の再構築を、蛍光様式を使用して実施し、従ってほとんどもっぱらSF64の蛍光信号を示した。造影染料は、この浸潤性乳癌に蓄積し、明るいスポットによって像が再現される。このことは、像のSF64の顕著な蛍光信号をもたらした。 いくつかのトリカルボシアニン染料の蛍光量子収量の測定 化合物6−4、5−36、5−29、5−41、NIR96009、NIR96005及びICG(表1参照)を、水中又は血漿中どちらかで、2μMの濃度でそれら蛍光量子収量について検査した。トリカルボシアニン染料の中央での置換は、両媒体中の蛍光量子収量を増大するということが、表2から明白である。 Capan−1腫瘍を有するヌードマウスにおける微小転移巣の撮像 培養中でほぼ集密的にまで成長したCapan−1腫瘍細胞を、トリプシン処理し、遠心分離し、そしてPBS中に再懸濁した。トリパンブルーで染色し、そして細胞濃度の計算後、細胞懸濁液を、3×107/mlの濃度にあわせた。該細胞懸濁液を、使用するまで氷冷した。3匹の雌のヌードマウス(体重24〜25gのNMRI−ヌード)を麻酔し、該細胞懸濁液の30μl(1×106細胞/動物)を、腹部の切開後、それぞれの動物の膵臓の被膜下に接種した。それぞれの動物に、図2で図示された構造を有するシアニン染料を含有するEB−DF抗体AP39(Marty C 及びその他の者(2001) Protein Expr. Purif. 21:156-64を参照)と複合した物質の0.05μmol/kg(体重)(体重1kgあたり0.04mgの染料)を与えた。該物質を、はっきりとした腫瘍の成長が触知可能である時点(腫瘍細胞の体内移植後、約12〜14週)で、静脈内に投与した。それら動物を、静脈内物質の投与後6時間に屠殺し、そして微小転移巣を含む腸間膜を、増感CCDカメラを使用して蛍光信号についてエクスビボで撮像した。該物質の蛍光を、レーザーダイオード(出力0.5W)で発生させた740nmの波長近赤外線を有する近赤外線での腸間膜照射によって励起させた。蛍光画像を、デジタル方式で記憶した。次に、微小転移巣の大きさを、低倍率顕微鏡(Carl Zeis社のStemi 2000-C)を使用して測定した。蛍光信号は、直径0.5〜2.0mmの範囲の微小転移巣から、及びより大きい腸間膜転移から受け取られ、かつ顕微鏡測定と一致した。染料複合の有効性を、図2の右のパネルに図示する。 ヌードマウスの皮膚の特発性微小病変の生体内撮像 皮膚の特発性多発微小病変を2匹のNMRI−ヌードマウス中で観察した。それぞれのマウスに、静脈内に図2に図示した染料−AP39複合の0.05μmol/kg(体重)(体重1kgあたり0.04mgの染料)を与えた。撮像を、物質の投与から6時間後に、マウスに麻酔をかけて行った。短時間の麻酔を、吸入麻酔薬のイソフルラン(ドイツ、カールスルーエにあるCuramed Parma GmbHのイソフルランCuramed)を使用して誘導した。該物質の蛍光をダイオード−レーザー(出力0.5Wのレーザーダイオードの742nmの励起波長)で発生させ、増感CCDカメラを使用して検出した。蛍光像を、デジタル方式で記憶した。次に、微小病変の大きさを低倍率顕微鏡(Carl Zeis社のStemi 2000-C)を使用して測定した。蛍光信号を1mm未満の小ささまでの微小病変から受け取った。染料複合の有効性を、代表的な実施例に対して、図3に図示する。図1は、右胸に浸潤乳癌を有する女性患者にSF64の静脈内注射後の光学マンモグラフィを示す。図2は、薬物投与6時間後の実験的な子宮内膜微小転移巣のエクスビボ撮像の実施例を示す。図3は、薬物投与6時間後の皮膚の自発微小病変の生体内撮像の実施例を示す。 式(I)で示される化合物、又はそれらの製剤学的に認容性の塩を、直径7mm未満を有する増殖性病変の検出用の診断組成物の製造のために用いる使用であって、該診断組成物が、診断の適用あたり0.5mg/kg(体重)未満で0.001mg/kg(体重)より多い量で該化合物を含むことを特徴とする使用。 請求項1に記載の使用であって、前記診断組成物が、診断の適用あたり0.1mg/kg(体重)未満で0.001mg/kg(体重)より多い量で請求項1に記載の化合物を含むことを特徴とする使用。 請求項1又は2に記載の使用であって、該化合物が標的化合物に結合する使用。 請求項3に記載の使用であって、標的化合物が、ポリペプチド、核酸、小分子もしくは糖からなる標的化合物の群から選択される使用。 請求項4に記載の使用であって、ポリペプチドが、受容体のリガンド、抗体、単鎖抗体、又は抗体もしくは単鎖抗体の結合断片からなる群から選択される使用。 請求項1から5までのいずれか1項に記載の使用であって、増殖性病変が、乳癌、膵臓癌及び皮膚癌からなる群から選択される使用。 請求項1から6までのいずれか1項に記載の使用であって、診断組成物が、さらに、製剤学的に認容性の塩、担体、賦形剤、及び/又は緩衝液を含む使用。 請求項1から7までのいずれか1項に記載の使用であって、請求項1に記載の式(I)の化合物が、0.1mg/kg(体重)以下の量で診断組成物中に含まれる使用。 請求項8に記載の使用であって、請求項1に記載の式(I)の化合物が、0.1mg/kg(体重)未満で0.001mg/kg(体重)より多い量で診断組成物中に含まれる使用。 請求項1に記載される式(I)の化合物又はそれらの製剤学的に認容性の塩を、投与のための診断組成物として、診断の適用あたり0.5mg/kg(体重)未満で0.001mg/kg(体重)より多い量で含み、かつ、場合により製剤学的に認容性の塩、担体、賦形剤、及び/又は緩衝液を含む、直径7mm未満を有する増殖性病変の検出における使用のための診断キット。 請求項10に記載の診断キットであって、請求項1に記載される式(I)の化合物又はそれらの製剤学的に認容性の塩を、投与のための診断組成物として、診断の適用あたり0.1mg/kg(体重)未満で0.001mg/kg(体重)より多い量で含む診断キット。