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タイトル:特許公報(B2)_リソソーム酵素欠損症のための組成物およびそれらの使用
出願番号:2007532543
年次:2013
IPC分類:A61K 36/06,A61P 43/00,A61P 3/00,A61K 48/00,A61K 38/43,A61K 47/36,A61K 47/32,A61K 47/42,A61K 47/18,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

ジンズ エドワード アイ. オストロフ ギャリー アール. JP 5302537 特許公報(B2) 20130628 2007532543 20050919 リソソーム酵素欠損症のための組成物およびそれらの使用 ユニバーシティ オブ マサチューセッツ 507088266 清水 初志 100102978 新見 浩一 100128048 ジンズ エドワード アイ. オストロフ ギャリー アール. US 60/610,872 20040917 20131002 A61K 36/06 20060101AFI20130912BHJP A61P 43/00 20060101ALI20130912BHJP A61P 3/00 20060101ALI20130912BHJP A61K 48/00 20060101ALI20130912BHJP A61K 38/43 20060101ALI20130912BHJP A61K 47/36 20060101ALI20130912BHJP A61K 47/32 20060101ALI20130912BHJP A61K 47/42 20060101ALI20130912BHJP A61K 47/18 20060101ALI20130912BHJP C12N 15/09 20060101ALN20130912BHJP JPA61K35/72A61P43/00 105A61P3/00A61K48/00A61K37/48A61P43/00 121A61K47/36A61K47/32A61K47/42A61K47/18C12N15/00 A A61K 38/00−38/58 A61K 36/00−36/9068 A61K 9/00− 9/72 A61K 47/00−47/48 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特開2008−503472(JP,A) 36 US2005033300 20050919 WO2006032039 20060323 2008513484 20080501 70 20080811 佐々木 大輔発明の背景 リソソーム蓄積症(LSD)は、特定のリソソーム酵素、受容体標的、活性化タンパク質、膜タンパク質、または輸送体の細胞における欠損に起因する約50種の遺伝性代謝疾患のグループであり、リソソームにおける物質の病原性の蓄積を招き、その基質の蓄積を引き起こし、結果として細胞および組織の機能の劣化を生じる。Wilcox, W.R., Lysosomal storage disorders: the need for better pediatric recognition and comprehensive care.J Pediatr. 2004 May; 144(5 Suppl):S3-14。リソソーム蓄積症は、生児出生5,000件に約1件発生し、相当な臨床的および生化学的異質性を提示する。リソソーム蓄積症の大多数は常染色体劣性疾患として遺伝するが、X連鎖の2つの例はMPS IIおよびファブリー病である。 リソソーム蓄積症の程度および重症度は、蓄積する基質のタイプおよび量に依存するが、ほぼすべての疾患が進行性である。大多数の疾患は、中枢神経系症状および全身症状の双方を有するが、一部は、中枢神経系または神経系の外側の組織のいずれかのみを冒す。多くのリソソーム蓄積症患者は乳児期または小児期に死亡し、かつ成人期まで生き残る患者は短い寿命および顕著な病的状態をしばしば有する(Wilcox, 2004)。下記の表1は、冒されているリソソーム機能に基づいてリストにしたリソソーム蓄積症の一部の要約である。 ゴーシェ病は、最も一般的なリソソーム蓄積症であり、すべての組織中のグルコセレブロシダーゼ(GC;EC3.2.1.45)の欠損に起因する。この酵素欠損は、肝臓、脾臓、肺、および骨髄を含む、網内系の脂質を積んだマクロファージ(ゴーシェ細胞と呼ばれる)におけるグルコシルセラミドの蓄積をもたらす。ゴーシェ病は、3種の主要な表現型に分類されている:1型、すなわち非神経型;2型、すなわち急性神経型;および3型、すなわち亜急性神経型。1型ゴーシェ病の疾患重症度の範囲は多様であり、小児および成人が無症候性であることもあり、または骨格変性、貧血、血小板減少、および肝脾腫を含む、極度の衰弱を引き起こす症状を有することもある。症状は任意の年齢で発現し得、1型ゴーシェ病はアシュケナジムユダヤ人集団でより一般的であるが、すべての民族集団において発生する。2型(急性神経型)ゴーシェ病は、急速に進行し、6月齢までに、大半の2型乳児は脳幹機能障害を有し、かつ18〜24月齢で呼吸停止または吸引性肺炎などの合併症で死亡する。3型患者は2型患者より遅い年齢で神経学的異常を示す;大半は、わずかな水平方向衝動性眼球運動の異常を示すだけである。1型および3型ゴーシェ病患者の全身的合併症は、酵素療法に反応する。 (表1)冒されているリソソーム機能に基づくリソソーム蓄積症(Wilcox, W.R., J Pediatr. 2004 May; 144(5 Suppl):S3-14) ゴーシェ病に対する酵素補充療法(ERT)は、1991年にFDAによって初めて認可された。長期のERTにより、大半のゴーシェ病患者において臓器腫大および血球数が改善する。しかしながら、静脈投与されるGC酵素の現在使用されている製剤は、2型患者における神経学的悪化を改変することも、骨格合併症を有意に回復させることもしない。ゴーシェ病に対するERTの現在の限界を克服するために、本発明者らは、ヒトグルコセレブロシダーゼをコードする配列から構成されたDNAを含む経口投与用の顕微鏡的酵母細胞壁粒子を使用して、正常GC酵素または改変GC酵素をマクロファージにより効率的に送達する、新規な技術を適用することを提案する。すべての組織へのGC酵素送達の改善に加えて、本発明者らは、この革新的なアプローチが、骨中のマクロファージによる、正常GCまたは改変GCをコードするDNAを送達する粒子のより効率的かつ特異的な取込みを提供すると考えられることを予想する。本アプローチは、現在使用されているERTによっては有意に回復させられない骨格合併症のより大きな改善をもたらすことができる。 抽出酵母細胞壁粒子は容易に入手可能な、生分解性の直径約2〜4μmの実質的に球形の粒子である。抽出酵母細胞壁粒子の調製は当技術分野において公知であり、例えば米国特許第4,992,540号;第5,082,936号;第5,028,703号;第5,032,401号;第5,322,841号;第5,401,727号;第5,504,079号;第5,968,811号;第6,444,448 B1号;第6,476,003 B1号;米国特許出願公開第2003/0216346 A1号、第2004/0014715 A1号、およびPCT出願公開WO 02/12348 A2において記載されている。「全グルカン粒子」と呼ばれる抽出酵母細胞壁粒子の一形態が送達ビヒクルとして提案されたが、これは、粒子からの活性成分の単純拡散による放出、または粒子マトリックスの生分解による、全グルカン粒子に化学的に架橋された作用物質の放出のいずれかに限定されている。米国特許第5,032,401号および第5,607,677号を参照されたい。 抽出酵母細胞壁粒子は、主として内容物β-グルカンの寄与により、マクロファージおよびリンパ組織の細胞などの食細胞を標的としている。粘膜関連リンパ組織(MALT)は、上皮中および身体の粘膜表面の下に広がる固有層中のすべてのリンパ球を含む。粘膜関連リンパ組織の主要部位は、腸管関連リンパ組織(GALT)および気管支関連リンパ組織(BALT)である。 GI免疫系の別の重要な構成要素は、M (microfold)細胞である。M細胞は、様々なタンパク質抗原およびペプチド抗原をエンドサイトーシスする、リンパ濾胞を覆う腸上皮中の特殊な細胞型である。これらのタンパク質を消化する代わりに、M細胞はそれらをその下の組織中に輸送し、そこでそれらは局所的な樹状細胞およびマクロファージによって取り込まれる。 M細胞は、エンドサイトーシスまたは食作用によって腸管内腔から分子および粒子を取り込む。次いで、この材料は小胞中の細胞の内部を通って基底細胞膜へと輸送され、そこで細胞外空間中に放出される。このプロセスはトランスサイトーシスとして公知である。M細胞の細胞膜は、その基底面において著しく折り畳まれて、その下にあるリンパ球および抗原提示細胞を取り囲んでおり、これらはM細胞から放出される輸送された材料を取込み、かつ抗原提示のためにそれをプロセッシングする。 パイエル板のM細胞による酵母粒子(直径3.4±0.8ミクロン)のトランスサイトーシスは1時間未満しかかからないことが研究によって示された(Beier, R., & Gebert, A., Kinetics of particle uptake in the domes of Peyer's patches, Am J Physiol. 1998 Jul;275(1 Pt 1):G130-7)。これらの酵母粒子は、上皮内マクロファージによる食作用をそれほど受けずに、2.5〜4時間以内に基底層へと下方移動し、かつ通過し、そこで急速に貪食され、かつパイエル板のドームの外側へ輸送される。ヒトの鼻咽頭リンパ組織(口蓋扁桃および咽頭扁桃)中に存在するM細胞は、呼吸器感染症を引き起こすウイルスのサンプリングに関与していることが示された。インビトロでのM細胞モデルの研究により、蛍光標識したマイクロスフェア(Fluosphere、0.2μm)およびキトサン微粒子(0.2μm)の取込みが示された(van der Lubben I.M., et al., Transport of chitosan microparticles for mucosal vaccine delivery in a human intestinal M-cell model, J Drug Target, 2002 Sep;10(6):449-56)。レクチン、すなわちハリエニシダ(Ulex europaeus)凝集素1(UEA1、α-L-フコース残基に特異的)を用いて、ポリスチレンマイクロスフェア(0.5μm)または重合リポソームのいずれかがM細胞(0.2μm)に標的化された(Clark, M.A., et al., Targeting polymerised liposome vaccine carriers to intestinal M cells, Vaccine.2001 Oct 12;20(1-2):208-17)。マウスにおけるインビボ研究により、ポリ-D,L-乳酸(PDLLA)マイクロスフェアまたはゼラチンマイクロスフェア(GM)がマクロファージおよびM細胞によって効率的に取り込まれ得ることが報告された。(Nakase, H., et al., Biodegradable microspheres targeting mucosal immune-regulating cells: new approach for treatment of inflammatory bowel disease, J Gastroenterol. 2003 Mar;38 Suppl 15:59-62)。 しかしながら、ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)微粒子およびリポソームを含む、合成の粒子送達ビヒクルの取込みが極めて変わり易く、かつ粒子およびM細胞の双方の物理的特性によって決定されることが報告された。Clark, M.A., et al., Exploiting M cells for drug and vaccine delivery, Adv Drug Deliv Rev. 2001 Aug 23;50(1-2):81-106。同研究により、M細胞表面に選択的に結合する適切なレクチン、微生物のアドヘジン、および免疫グロブリンを含む反応物でそれらの粒子またはリポソームをコーティングすることによって送達を向上させ得ることも報告された。Florence, A.T., The oral absorption of micro- and nanoparticulates: neither exceptional nor unusual, Pharm Res. 1997 Mar;14(3):259-66も参照されたい。 病原菌パターン認識受容体(PRR)は、微生物表面上に存在する共通の構造的モチーフおよび分子的モチーフを認識し、先天性免疫応答の誘導に寄与する。マンノース受容体およびβ-グルカン受容体は、菌類病原体の認識に部分的に関与する。マンノース受容体(MR)、すなわちマクロファージのサブセット上で発現される炭水化物結合受容体は、このようなPRRの一つとみなされている。マクロファージは、マンノースおよびマンノース-6-ホスファートの双方に対する受容体を有し、これらの糖を提示している分子に結合し、かつそれらを内部に取り込むことができる。これらの分子はエンドサイトーシスによって、リソソームの前段階の(pre-lysosomal)エンドソーム内部に取り込まれる。この内部取込みは、マンノース-6-ホスファートで修飾され、かつ修飾された3'末端へのジスルフィド架橋によってオリゴデオキシヌクレオチドに連結されたウシ血清アルブミンを用いて、マクロファージ中へのオリゴヌクレオチドの移行を増大させるために利用された;Bonfils, E., et al., Nucl.Acids Res. 1992 20, 4621-4629を参照されたい。E.Bonfils, C.Mendes, A.C.Roche, M.Monsigny and P.Midoux, Bioconj.Chem., 3, 277-284 (1992)を参照されたい。マクロファージはまた、CR3(Ross, G.D., J.A.Cain, B.L.Myones, S.L.Newman, and P.J.Lachmann. 1987. Specificity of membrane complement receptor type three (CR3) for β-glucans. Complement Inflamm. 4:61)、デクチン(dectin)-1(Brown, G.D. and S.Gordon. 2001. Immune recognition. A new receptor for β-glucans. Nature 413:36.)、およびラクトシルセラミド (Zimmerman JW, Lindermuth J, Fish PA, Palace GP, Stevenson TT, DeMong DE. A novel carbohydrate-glycosphinglipid interaction between a beta-(1-3)-glucan immunomodulator, PGG-glucan, and lactosylceramide of human leukocytes. J Biol Chem. 1998 Aug 21:273(34):22014-20.)を含む、β-グルカン受容体を発現する。β-グルカン受容体CR3は、単球、好中球、およびNK細胞で主に発現されるのに対し、デクチン-1は、マクロファージの細胞表面上で主に発現される。ラクトシルセラミドは、M細胞中に高レベルで存在する。ミクログリアもまた、β-グルカン受容体を発現することができる(Muller, C.D., et al. Functional beta-glucan receptor expression by a microglial cell line, Res Immunol. 1994 May;145(4):267-75)。 マンノース受容体およびβ-グルカン受容体の双方への結合が食作用に対して相加効果を有することの証拠がある。Giaimisらは、マウスマクロファージ様細胞株ならびにマウス腹腔常在マクロファージによる、加熱して死滅させた非オプソニン化酵母(S.セレビシエ(S.cerevisiae))の食作用が、マンノース受容体およびβ-グルカン受容体の双方によって媒介されていることを示唆する観察結果を報告した。加熱して死滅させた非オプソニン化酵母の最大限の食作用を実現するためには、マンノース受容体およびβ-グルカン受容体の双方の同時発現が必要とされる(Giaimis, J., et al., Both mannose and beta-glucan receptors are involved in phagocytosis of unopsonized, heat-killed Saccharomyces cerevisiae by murine macrophages, J Leukoc Biol. 1993 Dec;54(6):564-71)。発明の概要 リソソーム障害は、本発明の組成物および方法を用いた経口投与による、欠損遺伝子のマクロファージを標的とした発現を通じて治療することができる。好ましい態様において、リソソーム酵素を発現するプラスミドDNAが、カチオン性ポリマー-DNAナノ複合体の形態で、酵母グルカン粒子(YGP)および酵母グルカン-マンナン粒子(YGMP)中に組み込まれる。これらのYGP-DNA微粒子およびYGMP-DNA微粒子は、粒子表面のグルカンおよびマンナン多糖体に結合する炭水化物受容体を介した、組織、粘膜、および腸管関連リンパ組織(GALT)のマクロファージ中への受容体媒介取込みによって、全身的に、経粘膜的に、および経口的に生物利用可能である。食作用が起こると、これらの粒子はエンドソーム区画中に包み込まれ、そこでカチオン性ポリマーがDNAを放出し、かつエンドソームを膨張させて細胞質中へDNAを放出する。YGP-DNA製剤およびYGMP-DNA製剤中に賦形剤を混合すると、エンドソームのDNA放出および核による取込みが促進される。欠損タンパク質を発現するDNAの送達は、その欠損タンパク質の活性の補充、好ましくは回復をもたらし、かつ有毒な蓄積された貯蔵産物の分解を触媒する。 好ましい態様において、本発明は、内部空間の境界を定め、かつβ-グルカン、好ましくは約90重量パーセント未満のβ-グルカン、より好ましくは約6〜約90重量パーセントのβ-グルカンを含む抽出酵母細胞壁、ペイロード閉じ込め分子、およびペイロード分子を含む組成物であって、ペイロード分子およびペイロード閉じ込め分子が同じ溶媒系に可溶であり、かつ欠けている、欠陥を有する、または抑制された遺伝子または遺伝子産物の機能をペイロード分子が補う組成物を提供する。典型的には、ペイロード分子は、核酸、ペプチド、タンパク質、およびそれらの混合物からからなる群より選択され、かつ欠損したリソソーム酵素の機能を補うのに有効な量で組成物中に存在する。特定の好ましい態様において、抽出酵母細胞壁は、マンナン、好ましくは約30重量パーセントより多いマンナン、より好ましくは約30〜約90重量パーセントの間のマンナンをさらに含む。他の態様において、YCP粒子は、他の粒子タイプと比べて実質的により高いキチン+キトサン含有量を有し、一般的に50重量パーセントより多く、より好ましくは約50〜約75重量パーセントの間である。特定の態様において、核酸は、オリゴヌクレオチド、アンチセンス構築物、siRNA、酵素的RNA、組換えDNA構築物、およびそれらの混合物からなる群より選択される。好ましい態様において、組換えDNA構築物は、タンパク質をコードしているオープンリーディングフレームに機能的に連結されている制御エレメントを含む発現ベクターである。典型的には、オープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質は、構造タンパク質、酵素活性を有するタンパク質、膜タンパク質、DNA結合タンパク質、もしくはシグナル伝達タンパク質、またはそれらの機能的等価物である。好ましくは、核酸は、欠けている、欠陥を有する、または抑制された遺伝子の機能を補うヌクレオチド配列を含む。他の態様において、本発明は、リソソーム酵素欠損症の治療用の薬学的組成物を製造するための組成物の使用を提供する。 特定の好ましい態様において、オープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質は、遺伝的障害、特にリソソーム蓄積症に罹患している対象において治療的効果をもたらすタンパク質である。特に好ましい態様において、オープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質は、ヒトグルコセレブロシダーゼまたはその機能的等価物である。 他の態様において、本発明の組成物は、リソソーム蓄積症の治療用の薬剤の製造において使用される。適切には、リソソーム蓄積症は、グリコサミノグリカンの代謝欠陥、糖タンパク質のグリカン部分分解の欠陥、グリコーゲン分解の欠陥、スフィンゴ脂質成分分解の欠陥、ポリペプチド分解の欠陥、コレステロール、コレステロールエステル、もしくは他の複合脂質の分解もしくは輸送の欠陥、複数のリソソーム酵素の欠損、輸送の欠陥、または細胞内トラフィッキングの欠陥である。好ましい態様において、リソソーム蓄積症は、ハーラー病、シャイエ病、ハンター病、サンフィリッポ病、モルキオ病、マロトー・ラミー病、スライ病、ヒアルロニダーゼ欠損症、アスパルチルグルコサミン尿症、フコシドーシス、マンノシドーシス、シンドラー病、シアリドーシスI型、ポンペ病、ファブリー病、ファーバー病、ゴーシェ病1型、ゴーシェ病2型、ゴーシェ病3型、GM1-ガングリオシドーシス、テイ・サックス病もしくはサンドホフ病などのGM2-ガングリオシドーシス、GM2活性化因子疾患、クラッベ病、異染性白質ジストロフィー、ニーマン・ピック病A型、ニーマン・ピック病B型、濃化異骨症、セロイドリポフスチン症、コレステロールエステル蓄積症、ニーマン・ピック病C型、ウォルマン病、多発性スルファターゼ疾患、ガラクトシアリドーシス、ムコリピドーシスII型、ムコリピドーシスIII型、シスチン症、ムコリピドーシスIV、シアル酸蓄積症、マリネスコ・シェーグレン症候群を伴うカイロミクロン蓄積症、ヘルマンスキー・パドラック症候群、チェディアック・東症候群、およびダノン病、幸福顔貌骨異形成症(geleophysic dysplasia)、またはマリネスコ・シェーグレン症候群である。 特に好ましい態様において、組換えDNA構築物は、タンパク質、好ましくは酵素、より好ましくはリソソーム酵素またはその機能的等価物をコードしているオープンリーディングフレームに機能的に連結されている制御エレメントを含む発現ベクターである。他の好ましい態様において、組換えDNA構築物は、リソソーム酵素活性化因子またはその機能的等価物をコードしているオープンリーディングフレームに機能的に連結されている制御エレメントを含む発現ベクターである。特定の態様において、リソソーム酵素活性化因子は、サポシン(saprosin)A、サポシンB、サポシンC、サポシンD、およびそれらの混合物からなる群より選択される。他の態様において、リソソーム酵素活性化因子は、GM2活性化タンパク質(GM2AP)または他のリソソームタンパク質活性化因子である。 他の態様において、ペイロード分子は、タンパク質、好ましくはリソソーム酵素またはその機能的等価物である。他の態様において、ペイロード分子は、サポシンA、サポシンB、サポシンC、サポシンD、GM2活性化タンパク質、およびそれらの混合物からなる群より選択されるタンパク質である。 他の態様において、本発明は、組成物および薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。好ましい態様において、組成物は、経口投与に適している。他の好ましい態様において、組成物は、非経口投与用に、最も好ましくは皮下投与または筋肉内投与用に調剤される。他の好ましい態様において、組成物は、粘膜投与用に調剤される。 本発明はまた、β-グルカンを含む抽出酵母細胞壁、ペイロード閉じ込め分子、およびペイロード分子を含む第1の組成物の有効量を提供する段階であって、ペイロード分子が、酵素などの欠損タンパク質、またはその機能的等価物をコードしているオープンリーディングフレームに機能的に連結されている制御エレメントを含む発現ベクターである段階;ならびにそのようなタンパク質欠損または酵素欠損を有する細胞を第1の組成物に接触させる段階を含む、細胞における酵素欠損または他のタンパク質欠損を補う方法も提供する。細胞を接触させる段階は、インビトロまたはインビボで実施され得る。好ましい態様において、第1の組成物は、典型的には食作用により、細胞の内部に取り込まれる。本方法は、β-グルカンを含む抽出酵母細胞壁、ペイロード閉じ込め分子、およびペイロード分子を含む第2の組成物の有効量を提供する段階であって、ペイロード分子が、欠損酵素の活性化因子またはその機能的等価物をコードしているオープンリーディングフレームに機能的に連結されている制御エレメントを含む発現ベクターである段階、ならびにそのようなタンパク質欠損または酵素欠損を有する細胞を第2の組成物に接触させる段階をさらに含むことができる。 適切に処置され得る細胞は、マクロファージ、パイエル板のM細胞、単球、好中球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、肺胞食細胞、腹腔マクロファージ、乳中マクロファージ、小膠細胞、好酸球、顆粒球、糸球体間質食細胞、または滑膜A細胞であり得る。 別の局面において、本発明は、内部空間の境界を定め、約6〜約90重量パーセントのβ-グルカンを含む抽出酵母細胞壁、ペイロード閉じ込め分子、およびペイロード分子を含む、有効量の第1の送達系を提供する段階であって、ペイロード分子が、欠損酵素またはその機能的等価物をコードしているオープンリーディングフレームに機能的に連結されている制御エレメントを含む発現ベクターである段階;ならびにそのような酵素欠損またはタンパク質欠損を有する細胞を第1の組成物に接触させる段階を含む、細胞におけるタンパク質欠損または酵素欠損を補う方法を提供する。細胞を接触させる段階は、インビトロまたはインビボで実施され得る。好ましい態様において、第1の組成物は、典型的には食作用により、細胞の内部に取り込まれる。本方法は、β-グルカンを含む抽出酵母細胞壁、ペイロード閉じ込め分子、およびペイロード分子を含む第2の組成物の有効量を提供する段階であって、ペイロード分子が、欠損したリソソーム酵素の機能を補うのに有効な量で存在する、欠損タンパク質または欠損酵素の活性化因子の活性を有するタンパク質である段階、ならびにそのような酵素欠損またはタンパク質欠損を有する細胞を第2の組成物に接触させる段階をさらに含むことができる。 他の態様において、本発明は、β-グルカンを含む抽出酵母細胞壁、ペイロード閉じ込め分子、およびペイロード分子を含む第1の組成物の有効量を投与する段階であって、ペイロード分子が、欠損したリソソーム酵素をコードしているオープンリーディングフレームに機能的に連結されている制御エレメントを含む発現ベクターであり、ペイロード分子が、欠損したリソソーム酵素の機能を補うのに有効な量で存在する段階を含む、リソソーム蓄積症に罹患している対象を治療する方法を提供する。本方法はまた、β-グルカンを含む抽出酵母細胞壁、ペイロード閉じ込め分子、およびペイロード分子を含む第2の組成物の有効量を投与する段階であって、ペイロード分子が、欠損したリソソーム酵素の活性化因子をコードしているオープンリーディングフレームに機能的に連結されている制御エレメントを含む発現ベクターである段階も含むことができる。または、組成物は、非経口的 (皮下、皮内、もしくは筋肉内、または経粘膜(皮膚、吸入)) に対象に投与される。好ましい態様において、第1の組成物は、経口的に、皮下に、筋肉内に、または吸入によって対象に投与される。組成物は、最も好ましくは経口的に対象に投与される。一般に、本方法は、食細胞を第1の組成物に接触させる段階および食細胞を第2の組成物に接触させる段階を含む。他の態様において、本発明の組成物は、母親に組成物を投与することによって、または羊水中に有効量の組成物を入れることによって、子宮内の胎児に投与され得る。 粒子薬物送達系および方法の前述および他の特徴ならびに利点は、添付図で例示されるように、系および方法の好ましい態様に関する以下のより具体的な説明から明らかになると考えられ、これらの添付図において、同様の参照符号は、様々な図の全般を通じて同じ部分を指す。 本発明の前述および他の目的、特徴ならびに利点は、添付図で例示されるように、本発明の好ましい態様に関する以下のより具体的な説明から明らかになると考えられ、これらの添付図において、同様の参照符号は、様々な図の全般を通じて同じ部分を指す。これらの図面は必ずしも同じ尺度ではなく、むしろ本発明の原理を例示することに重点を置いている。発明の詳細な説明 本発明は、β-グルカンを含む抽出酵母細胞壁、ペイロード閉じ込め分子、およびペイロード分子を含む組成物であって、ペイロード分子およびペイロード閉じ込め分子が同じ溶媒系に可溶であり、欠損したリソソーム酵素の機能をペイロード分子が補う組成物を提供する。本発明はさらに、この組成物を作製する方法および使用する方法も提供する。 有利には、本発明の組成物および方法は、本質的に直接マクロファージを標的とし、かつマクロファージ中で酵素などのリソソームタンパク質の欠損を補う。本発明の組成物を経口経路または粘膜経路もしくは非経口経路によって投与することは、静脈内への酵素またはタンパク質の補充療法の有害作用を回避するのに役立つ。コードされているタンパク質それ自体の代わりに発現ベクターを供給することによって酵素またはタンパク質の欠損を補うことは、抗原反応を最小化または回避するのに役立つ。本発明の方法はまた、サポシンCのようなリソソーム酵素活性化因子を補充することによって内因性リソソーム酵素の活性を正常化するのにも使用され得る。 有利には、マクロファージおよび他の食細胞を標的とすることによって、本発明は、骨、腎臓、肺、胃腸管、および脳など多様な範囲の場所に治療系を送達する手段を提供する。特定の理論に固執するわけではないが、マクロファージおよび他の食細胞のある部位への遊走は、炎症、脂質、または他の生理学的なマクロファージ誘引物質など1種または複数種の刺激によってある程度決定されていると考えられている。このモデルのもとでは、任意の特定の組織中の本発明の組成物を有する食細胞集団は、他の組織中の同様の集団と動的平衡状態にあると考えられている。したがって、任意の特定の組織中の組成物を有する食細胞集団、およびそれによる欠損した内因性酵素の補充は、マクロファージおよび他の食細胞の分布および活性を調節する作用を果たす生理学的影響に少なくともある程度は反応し、時間が経つと変動し得る。 一般に、本発明の組成物および方法は、好ましくは経口投与による、治療物質の容易で効果的かつ効率的なインビボ送達を提供する。これらの組成物は、入手可能な組成物と比べて改善された安定性を有し、かつ患者の利便性(したがって、患者の服薬遵守)、低コスト、および副作用の減少または軽減においてさらなる利点を有する。定義 「対象」とは、哺乳動物および非哺乳動物を意味する。「哺乳動物」とは、限定されるわけではないが、ヒト、チンパンジーならびに他の類人猿およびサル種などの非ヒト霊長類;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、およびブタなどの農場動物;ウサギ、イヌ、およびネコなどの家畜;ラット、マウス、およびモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物;ならびに同種のものを含む哺乳綱の任意のメンバーを意味する。非哺乳動物の例には、トリなどが含まれるが、それに限定されるわけではない。「対象」という用語は、特定の年齢も性別も示さない。 「治療的効果」とは、症状の改善または疾患の進行の低減を意味する;リソソーム酵素欠損症においては、「治療的効果」とは、欠損遺伝子の機能または欠損遺伝子産物の機能の検出可能な補充を意味する。「治療的有効量」とは、疾患を治療するために対象に投与された場合に、疾患に対するそのような治療を実施するのに十分である化合物の量を意味する。「治療的有効量」は、化合物、治療される疾患の状態、治療される疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康状態、投与の経路および形態、担当している医学的または獣医学的実務者の判断、ならびに他の要因に応じて変動すると考えられる。タンパク質の「機能的等価物」とは、そのタンパク質と構造的に異なるが、等価な条件下でそのタンパク質と同じ機能を果たす、タンパク質分子または非タンパク質分子を意味する。リソソーム酵素の「機能的等価物」とは、そのタンパク質と構造的に異なり、かつ等価な条件下で天然のリソソーム酵素の基質の同じ反応を触媒する、タンパク質分子または非タンパク質分子を意味する。ペイロード閉じ込め分子 ペイロード閉じ込め分子は、好ましくは、薬学的に許容される賦形剤である。ペイロードおよび閉じ込め分子は、双方とも溶媒系に可溶である;この溶媒系は、酵母細胞粒子の炭水化物マトリックスを通って吸収され、ペイロードおよび閉じ込め分子の吸収を可能にさせなければならない。ペイロードおよび閉じ込め分子は、好ましくは水溶性である。好ましい態様において、閉じ込め分子は生分解性である。 所与のペイロードとの閉じ込め反応の作用メカニズムにより、ペイロード閉じ込め分子の選択が決定される。静電的相互作用の場合は、ペイロードの逆の電荷を有する荷電ペイロード閉じ込め分子が必要とされる。物理的閉じ込めの場合は、ペイロード閉じ込め分子は、ペイロードの拡散を減少させるマトリックスの形成に適切に関与する。他の態様において、ペイロード閉じ込め分子は、ペイロードの保持に寄与する疎水性の結合特性をもたらす。別の態様において、ペイロード閉じ込め分子はペイロードに選択的に結合して、ペイロードの保持に寄与する親和性相互作用を提供する。 一般に、高分子電解質は、適切なペイロード閉じ込め分子であり得る。いくつかの適切な高分子電解質が、米国特許第6,133,229号において開示されている。高分子電解質は、カチオン性またはアニオン性の高分子電解質でよい。両性の高分子電解質もまた、使用され得る。カチオン性高分子電解質は、好ましくは、分子鎖に沿って分布したカチオン基を有するポリマーである。これらのカチオン基には、特定の態様において、四級アンモニウムに由来する部分が含まれ得、これらは、鎖から吊り下がった側鎖中に配置されていてもよく、またはその中に組み込まれていてもよい。カチオン性高分子電解質の例には以下のものが含まれる:ビニルピロリドンと4級化メタクリル酸メチルのコポリマー、例えばISP社から得られるGAFQUAT(登録商標)シリーズ(755N、734、HS-100);置換ポリアクリルアミド;ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、および置換誘導体;ポリアミンホモポリマー(GOLCHEM(登録商標)CL118);ポリアミンコポリマー(例えば、エピクロロヒドリンとモノまたはジメチルアミンとの縮合物);ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(ポリDADMAC);置換デキストラン;(ヒドロキシプロピトリモニウムクロリド(hydroxypropytrimonium chloride)で置換されている)改変されたグアーゴム;置換タンパク質(例えば、4級基で置換された大豆タンパク質および加水分解されたコラーゲン);ポリアミノ酸(例えばポリリジン);低分子量のポリアミノ化合物(例えばスペルミンおよびスペルミジン)。天然または人工のポリマーが使用され得る。分子量150〜5,000,000、好ましくは5000〜500,000、より好ましくは5000〜100,000のカチオン性高分子電解質が使用され得る。0.01〜10%、より好ましくは0.1〜2% w/v、特に0.05〜5%の量が好ましい。 アニオン性高分子電解質は、好ましくは、分子鎖に沿って分布したアニオン基を有するポリマーである。アニオン基には、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、または他の負電荷を持ったイオン性の集まりが含まれ得、これらは、鎖から吊り下がった基上に配置されていてもよく、またはポリマー主鎖に直接結合されていてもよい。天然または人工のポリマーが使用され得る。 アニオン性高分子電解質の例には以下のものが含まれる:メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー、メチルビニルエーテルとマレイン酸のコポリマー(それぞれGantrez ANシリーズおよびSシリーズ、International Specialty Products, Wayne, NJ);アルギン酸および塩;カルボキシメチルセルロースおよび塩;(例えばカルボン酸基で置換された)置換ポリアクリルアミド;ポリアクリル酸および塩;ポリスチレンスルホン酸および塩;硫酸デキストラン;置換された糖類、例えば、八硫酸スクロース;ヘパリン。分子量150〜5,000,000、好ましくは5000〜500,000、より好ましくは5000〜100,000のアニオン性高分子電解質が使用され得る。0.01%〜10%、特に0.05〜5%、さらに特には0.1〜2% w/vの量が好ましい。 多糖のような生物学的ポリマーは、好ましい閉じ込めポリマーである。好ましくは、これらのポリマーは、100,000ダルトン未満の平均分子量まで加工される。これらのポリマーは、好ましくは、カチオン性またはアニオン性の特質を提供するように誘導体化される。適切な多糖には、キトサン(脱アセチル化キチン)、アルギナート、2-(ジエチルアミノ)エチルエーテルデキストラン(DEAE-デキストラン)および硫酸デキストランなどのデキストラン、キサンタン、イナゴマメゴム、ならびにグアーゴムが含まれる。 カチオン性分子の2つの一般的クラス:カチオン性ポリマーおよびカチオン性脂質が、核酸のような負電荷を持ったペイロードと共に閉じ込め分子として使用するのに適している。 多種多様のカチオン性ポリマーがインビトロでトランスフェクションを媒介することが示されており、これらは、タンパク質[ヒストン(Fritz, J.D., et al, (1996) Hum.Gene Ther. 7, 1395-1404)および高移動度 (HMG)タンパク質(Mistry.A.R., et al. (1997) BioTechniques 22, 718-729 )など]ならびにポリペプチド[ポリリジン(Wu, G.Y. & Wu, C.H. (1987) J.Biol.Chem. 262, 4429-4432, Wagner, E., et al., (1991) Bioconjugate Chem. 2, 226-231)、短い合成ペプチド (Gottschalk, S.,et al., (1996) Gene Ther. 3, 448-457; Wadhwa, M.S., et al., (1997) Bioconjugate Chem. 8, 81-88)、およびらせん状の両親媒性ペプチド(Legendre, J.Y., et al., (1997) Bioconjugate Chem. 8, 57-63; Wyman, T.B., et al., (1997) Biochemistry 36, 3008-3017)など]から、合成ポリマー[ポリエチレンイミン (Boussif, O., et al., (1996) Gene Ther. 3, 1074-1080)、カチオン性デンドリマー(Tang, M.X., et al., (1996) Bioconjugate Chem. 7, 703-714; Haensler, J. et al., (1993) Bioconjugate Chem. 4, 372-379)、およびグルカラミドポリマー(Goldman, C.K., et al., (1997) Nat.Biotech. 15, 462-466)など]まで多岐にわたる。他の適切なカチオン性ポリマーには、N-置換グリシンオリゴマー(ペプトイド)(Murphy, J.E., et al, A combinatorial approach to the discovery of efficient cationic peptoid reagents for gene delivery, Proc Natl Acad Sci. USA, 1998 95 (4)1517-1522)、pDAMAと略されるポリ(2-メチル-アクリル酸2-[(2-ジメチルアミノ)-エチル)-メチル-アミノ]-エチルエステル)、およびポリ(2-ジメチルアミノエチル)-メタクリラート(pDMAEMA)(Funhoff, A.M., et al., 2004 Biomacromolecules, 5, 32-39)が含まれる。 カチオン性脂質もまた、トランスフェクションに適していることが当技術分野において公知である。Felgner, P.Ll, et al., Lipofection: a highly efficient, lipid-mediated DNA-transfection procedure.Proc Natl Acad Sci U S A. 1987 84(21):7413-7。適切なカチオン性脂質には、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、[N,N,N',N'-テトラメチル-N,N'-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2,3-ジ(オレオイルオキシ)-1,4-ブタンジアンモニウムヨージド](Promega Madison, WI, USA)、ジオクタデシルアミドグリシルスペルミン(Promega Madison, WI, USA)、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)]-N,N,N-トリメチルアンモニウムプロパンメチルスルファート(DOTAP)、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド、1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、ジミリストレオイルホスホノメチルトリメチルアンモニウム(DMPTA)(Floch et al. 1997. Cationic phosphonolipids as non-viral vectors for DNA transfection in hematopoietic cell lines and CD34+ cells. Blood Cells, Molec.& Diseases 23: 69-87を参照されたい)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(7-ニトロ-2-1,3-ベンゾオキサジアゾール-4-イル)、アンモニウム塩(Avanti Polar Lipids, Inc.Alabaster, AL, US)、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパンクロリド(Avanti Polar Lipids, Inc. Alabaster, AL, US)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(Avanti Polar Lipids, Inc.Alabaster, AL, US)、および1,3-ジオレオイルオキシ-2-(6-カルボキシスペルミル)プロピルアミド(DOSPER)が含まれる。 カチオン性閉じ込め分子として適切なポリアミンは、米国特許第6,379,965号および第6,372,499号において記載されている。ペイロード分子 本発明の粒子送達系は、限定されるが、オリゴヌクレオチド、アンチセンス構築物、siRNA、酵素的RNA、および発現ベクターを含む組換えDNA構築物などの核酸を含む、ペイロード分子のインビボまたはインビトロの送達に有用である。 他の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、アミノ酸、ペプチド、およびタンパク質などのペイロード分子のインビボまたはインビトロの送達に有用である。「タンパク質」とは、鎖長が高レベルの3次構造および/または4次構造を生じるのに十分である一続きのアミノ酸を意味する。これにより、このような構造を有さない「ペプチド」または他の低分子量薬物と区別されることになる。典型的には、本明細書におけるタンパク質は、少なくとも約15〜20kD、好ましくは少なくとも約20kDの分子量を有する。 本明細書における定義の範囲内に包含されるタンパク質の例には、例えば、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、およびGHスーパーファミリーの他のメンバーを含む成長ホルモン(GH)などの哺乳動物タンパク質;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質;α-1-抗トリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;第VIIIC因子、第IX因子組織因子、およびフォン・ウィレブランド因子などの凝固因子;プロテインCのような抗凝固因子;心房性ナトリウム利尿因子;肺表面活性物質;ウロキナーゼもしくは組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)などのプラスミノーゲン活性化因子;ボンバジーン;トロンビン;α腫瘍壊死因子、β腫瘍壊死因子;エンケファリナーゼ;RANTES(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted);ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-1-α);ヒト血清アルブミンのような血清アルブミン;ミュラー管抑制物質;リラキシンA鎖;リラキシンB鎖;プロリラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;DNアーゼ;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子(VEGF);ホルモンもしくは増殖因子の受容体;インテグリン;プロテインAもしくはD;リウマチ因子;骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、-4、-5、もしくは-6(NT-3、NT-4、NT-5、もしくはNT-6)などの神経栄養因子、またはNGF-βのような神経成長因子;血小板由来増殖因子(PDGF);aFGFおよびbFGFなどの線維芽細胞増殖因子;上皮成長因子(EGF);TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、もしくはTGF-β5を含む、TGF-αおよびTGF-βなどの形質転換増殖因子(TGF);インスリン様成長因子-Iおよび-II(IGF-IおよびIGF-II);デス(1-3)-IGF-I(脳IGF-D);インスリン様成長因子結合タンパク質;CD3、CD4、CD8、CD19、およびCD20などのCDタンパク質;骨誘導因子;免疫毒素;骨形成タンパク質(BMP);T細胞受容体;表面膜タンパク質;崩壊促進因子(DAF);例えばAIDSエンベロープの一部分のようなウイルス抗原;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレシン;調節タンパク質;イムノアドヘシン;抗体;ならびに上記に挙げたポリペプチドのいずれかの生物学的に活性な断片または変異体が含まれる。 GHスーパーファミリーのメンバーには、成長ホルモン、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、エリスロポイエチン、トロンボポイエチン、インターロイキン-2、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキン-6、インターロイキン-7、インターロイキン-9、インターロイキン-10、インターロイキン-11、インターロイキン-12(p35サブユニット)、インターロイキン-13、インターロイキン-15、オンコスタチンM、繊毛様神経栄養因子、白血病抑制因子、αインターフェロン、βインターフェロン、γインターフェロン、ωインターフェロン、τインターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、カルジオトロフィン-1、ならびにこのファミリーのメンバーとして同定および分類されている他のタンパク質が含まれる。 タンパク質ペイロード分子は、好ましくは本質的に純粋であり、かつ望ましくは本質的に均質である(すなわち混入タンパク質などを含まない)。「本質的に純粋な」タンパク質とは、組成物の総重量を基準として、少なくとも約90重量%、好ましくは少なくとも約95重量%のタンパク質を含む組成物を意味する。「本質的に均質な」タンパク質とは、組成物の総重量を基準として、少なくとも約99重量%のタンパク質を含む組成物を意味する。タンパク質は、天然に存在する供給源に由来しても、または組換え技術によって作製されてもよい。タンパク質には、アミノ酸置換によって、またはタンパク質定向進化法(Kurtzman, A.L., et al., Advances in directed protein evolution by recursive genetic recombination: applications to therapeutic proteins, Curr Opin Biotechnol. 2001 12(4): 361-70)によって作製されたタンパク質変異体、ならびにPEG化タンパクのような誘導体が含まれる。 特定の態様において、タンパク質は抗体である。抗体は、例えば前述の分子のいずれかに結合し得る。本発明によって包含される抗体に対する例示的な分子標的には、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、およびCD34などのCDタンパク質;EGF受容体、HER2、HER3、またはHER4受容体などHER受容体ファミリーのメンバー;LFA-1、Mol、p150,95、VLA-4、ICAM-1、VCAM、およびそのαまたはβサブユニットのいずれかを含むαv/β3インテグリン(例えば抗CD11a、抗CD18、もしくは抗CD11b抗体)などの細胞接着分子;VEGFのような増殖因子;IgE;血液型抗原;flk2/flt3受容体;肥満(OB)受容体;プロテインCなどが含まれる。 ペプチド、ポリペプチドおよび核酸に加えて、本発明の粒子送達系は、より小型の分子の送達に、好ましくは薬学的に活性な作用物質、より好ましくは治療的低分子の送達に適している。本発明の送達系に適した低分子ペイロードには、ジエチルスチルベストロール、17-β-エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノールなどの避妊物質;ノルエチンドロン、ノルゲストリル(norgestryl)、エチノジオールジアセタート、リネストレノール、酢酸メドロキシプロゲステロン、ジメチステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、ノルゲスチマート、ノルエチステロン、エチステロン、メレンゲストロール、ノルエチノドレルなどのプロゲスチン;およびノニルフェノキシポリオキシエチレングリコール、塩化ベンゼトニウム、クロリンダノールなどの殺精子化合物が含まれる。好ましくは、このようなステロイド性ペイロードに対しては、ペイロードを可溶化するのに十分な量の界面活性剤および酵母細胞壁粒子内部にペイロードを保持するためのポリマーを含む、閉じ込め分子の混合物が使用される。 本発明の送達系に組み込まれ得る他の活性物質には、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウムなどの胃腸治療物質;非ステロイド性避妊物質;副交感神経作動物質;精神治療物質;クロロプロマジンHCl、クロザピン、メソリダジン、メチアピン、レセルピン、チオリダジンなどのメジャートランキライザー;クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、メプロバマート、テマゼパムなどのマイナートランキライザー;鼻科学的うっ血除去薬;コデイン、フェノバルビタール、ペントバルビタールナトリウム、セコバルビタールナトリウムなどの鎮静-睡眠薬;テストステロンおよびプロピオン酸テストステロンなど他のステロイド;スルホンアミド;交感神経作動物質;ワクチン;ビタミン、および必須アミノ酸、必須脂肪などの栄養素;4-アミノキノリン、8-アミノキノリン、ピリメタミンなどの抗マラリア薬;マジンドール、フェンテルミンなどの抗片頭痛物質;L-ドーパなどの抗パーキンソン物質;アトロピン、臭化メトスコポラミン物などの鎮痙薬;胆汁による療法、消化薬、酵素などの鎮痙薬および抗コリン薬;デキストロメトルファン、ノスカピンなどの鎮咳薬;気管支拡張薬;抗高血圧性化合物、ラウオルフィアアルカロイド、冠血管拡張薬、ニトログリセリン、有機硝酸塩、四硝酸ペンタエリスリットなどの心血管薬;塩化カリウムなどの電解質補充物質;カフェインを伴うおよび伴わないエルゴタミン、水素化麦角アルカロイド、ジヒドロエルゴクリスチンメタンスルファート、ジヒドロエルゴコルニンメタンスルホナート、ジヒドロエルゴクロイプチン(dihydroergokroyptine)メタンスルファートおよびそれらの組合せなどの麦角アルカロイド;硫酸アトロピン、ベラドンナ、臭化水素酸ヒヨスチンなどのアルカロイド;鎮痛薬;コデイン、ジヒドロコジエノン(dihydrocodienone)、メペリジン、モルフィンなどの麻酔薬;サリチラート、アスピリン、アセトアミノフェン、d-プロポキシフェンなどの非麻酔薬が含まれる。 好ましい態様において、本発明の系は、セファロスポリン、クロラムフェニコール、ゲンタマイシン、カナマイシンA、カナマイシンB、ペニシリン、アンピシリン、ストレプトマイシンA、アンチマイシンA、クロロパムテニオール(chloropamtheniol)、メトロニダゾール、オキシテトラサイクリンペニシリンG、テトラサイクリンなどの抗生物質を送達するのに使用される。好ましい態様において、身体のマクロファージが病原体を不活性化する能力は、マクロファージにテトラサイクリンなどの抗生物質を送達することによって増強される。 他の好ましい態様において、本発明は、抗癌剤;メフェニトイン、フェノバルビタール、トリメタジオンなどの抗痙攣薬;チエチルペラジンなどの制吐薬;クロロフィナジン(chlorophinazine)、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ペルフェナジン、トリペレナミンなどの抗ヒスタミン薬;ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、アスピリン、インドメタシン、フェニルブタゾンなどの抗炎症物質;プロスタグランジン;チオテパ、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、ナイトロジェンマスタード、メトトレキサートなどの細胞毒性薬を送達するための系を提供する。ワクチン 好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、ワクチンの経口送達を提供する際に有用である。好ましい態様において、本系は、淋菌(Neisseria gonorrhea)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ヘルペスウイルス(Herpes virus)(ヒト(humonis)1型および2型)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、膣トリコモナス(Trichomonas vaginalis)、ヘモフィルス・バジナリス(Haemophilus vaginalis)、B群連鎖球菌種(Group B Streptococcus sp.)、マイクロプラズマ・ホミニス(Microplasma hominis)、軟性下疳菌(Hemophilus ducreyi)、グラヌローマ・イングイネル(Granuloma inguinale)、リンホパチア・ベネレウム(Lymphopathia venereum)、梅毒トレポネ−マ(Treponema pallidum)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、ブルセラ・メリテンシス(Brucella melitensis)、ブルセラ・スイス(Brucella suis)、ブルセラ・カニス(Brucella canis)、カンピロバクター・フィタス(Campylobacter fetus)、カンピロバクター・フィタス・インテスチナリス(Campylobacter fetus intestinalis)、レプトスピラ・ポモナ(Leptospira pomona)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、ブルセラ・オビス(Brucella ovis)、ウマヘルペスウイルス1型、ウマ動脈炎ウイルス(equine arteritis virus)、IBR-IBPウイルス、BVD-MBウイルス、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、トリコモナス・フィータス(Trichomonas foetus)、トキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)、大腸菌(Escherichia coli)、アクチノバチルス・エクーリ(Actinobacillus equuli)、ヒツジ流産菌(Salmonella abortus ovis)、ウマ流産菌(Salmonella abortus equi)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、コリネバクテリウム・エクイ(Corynebacterium equi)、コリネバクテリウム・ピオゲネス(Corynebacterium pyogenes)、アクチノバチルス・セミニス、マイコプラズマ・ボビジェニタリウム(Mycoplasma bovigenitalium)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アブシジア・ラモサ(Absidia ramosa)、トリパノソーマ・エクイペルダム(Trypanosoma equiperdum)、バベシア・カバリ(Babesia caballi)、破傷風菌(Clostridium tetani)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)などのような微生物の抗原などの抗原を送達するのに使用される。他の態様において、本系は、上記の微生物に対抗する中和抗体を送達するのに使用され得る。 他の態様において、本系は、リボヌクレアーゼ、ノイラミジナーゼ、トリプシン、グリコーゲンホスホリラーゼ、精子乳酸デヒドロゲナーゼ、精子ヒアルロニダーゼ、アデノシントリホスファターゼ、アルカリ性ホスファターゼ、アルカリ性ホスファターゼエステラーゼ、アミノペプチダーゼ、トリプシン キモトリプシン、アミラーゼ、ムラミダーゼ、アクロソームのプロテイナーゼ、ジエステラーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ、β-グリコホスファターゼ、リパーゼ、ATPアーゼα-ペプタートγ-グルタミロトランスペプチダーゼ(glutamylotranspeptidase)、ステロール-3-β-オール-デヒドロゲナーゼ、DPN-ジ-アプロラーゼ(aprorase)などの酵素を送達するのに使用され得る。 好ましい態様において、本系は、大痘瘡(variola major)(天然痘)、バチルス・アンスラシス(Bacillus anthracis)(炭疽菌)、エルシニア・ペスティス(Yersinia pestis)(ペスト)、ボツリヌス菌毒素(ボツリヌス中毒)、フランシセラ・ツラレンシス(Francisella tularensis)(野兎病)、フィロウイルス(filovirus)(エボラ出血熱、マールブルグ出血熱)、アレナウイルス(arenavirus)(ラッサ(Lassa)(ラッサ熱)、フニン(Junin)(アルゼンチン出血熱)および関連ウイルス)などのカテゴリーA物質;コクシエラ・バーネッティイ(Coxiella burnetii)(Q熱)、ブルセラ(Brucella)種(ブルセラ症)、バークホルデリア・マレイ(Burkholderia mallei)(鼻疽)、アルファウイルス(ベネズエラ脳脊髄炎、東部および西部ウマ脳脊髄炎)、リシナス・コミュニス(Ricinus communis)(トウゴマ)由来のリシン毒、ウェルチ菌(Clostridium perfringens)のイプシロン毒素;ブドウ球菌(Staphylococcus)エンテロトキシンB、サルモネラ(Salmonella)種、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、大腸菌株O157:H7、コレラ菌(Vibrio cholerae)、クリプトスポリジウム・パルブム(Cryptosporidium parvum)などのカテゴリーB物質;ならびにニパ(nipah)ウイルス、ハンタウイルス(hantavirus)、ダニ媒介性出血熱ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、黄熱病、および多剤耐性結核などのカテゴリーC物質を含む、バイオテロに重大な意味を持つ生物学的物質の抗原を送達することができる。 好ましい態様において、本系は、トキソイド(不活化されているが抗原性である毒素)を含むアナトキシン抗原およびトキソイド結合体など不活化された抗原性毒素を送達するのに使用され得る。好ましい態様において、トキソイドは、不活化された微生物毒素である。他の態様において、トキソイドは、不活化された植物性毒素である。別の態様において、トキソイドは、不活化された動物性毒素である。特定の態様において、本系は、百日咳トキソイド、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)トキソイド、破傷風トキソイド、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)b型-破傷風トキソイド結合体、ボツリヌス菌Dトキソイド、ボツリヌス菌Eトキソイド、クロストリジウム・ジフィシル(Clostridium difficile)の毒素Aから作製されるトキソイド、コレラ菌トキソイド、ウェルチ菌C型およびD型トキソイド、気腫疽菌(Clostridium chauvoei)トキソイド、クロストリジウム・ノビイ(Clostridium novyi)(B型)トキソイド、クロストリジウム・セプチカム(Clostridium septicum)トキソイド、組換えHIV tat IIIBトキソイド、ブドウ球菌トキソイド、アクチノバチルス・プルロニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumoniae)ApxIトキソイド、アクチノバチルス・プルロニューモニエApxIIトキソイド、アクチノバチルス・プルロニューモニエApxIIIトキソイド、アクチノバチルス・プルロニューモニエ外膜タンパク質(OMP)トキソイド、緑膿菌エラスターゼトキソイド、ヘビ毒液トキソイド、リシントキソイド、マンヘミア・ヘモリティカ(Mannheimia haemolytica)トキソイド、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)トキソイド、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)トキソイド、パスツレラ・マルトシダトキソイド、ならびに気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)トキソイドなどのトキソイドを送達するのに使用され得る。 対応する毒素からトキソイドを作製する技術、例えばホルムアルデヒドもしくはアルミニウム塩による化学的処理またはガンマ線照射は、当技術分野において公知である。毒素をトキソイドに変換する組換法もまた公知である(Fromen-Romano, C., et al., Transformation of a non-enzymatic toxin into a toxoid by genetic engineering, Protein Engineering vol.10 no.10 pp.1213-1220, 1997)。好ましい態様において、本発明の系は、組換えトキソイドを送達するのに使用され得る。他の好ましい態様において、本発明の系は、組換えトキソイドをコードしている発現ベクターを送達するのに使用され得る。 病原体感染から保護するための遺伝子ワクチンを作製するためには、防御免疫応答が仕掛けられ得る免疫原性タンパク質をコードする遺伝物質が核酸組成物中に含まれなければならない。病原体が、本発明が特に有用である、細胞内で感染しようと、または細胞外で感染しようと、すべての病原体抗原が防御応答を誘発する見込みは少ない。DNAおよびRNAはいずれも比較的小型であり、かつ比較的容易に作製され得るため、本発明は、多数の病原体抗原を用いたワクチン接種を可能にするという付加的な利点を提供する。遺伝子ワクチン中で使用される核酸組成物は、多数の病原体抗原をコードする遺伝物質を含み得る。例えば、いくつかのウイルス遺伝子が単一の構築物中に含まれ得、それによって多数の標的を提供し得る。さらに、個体中の様々な細胞に送達され得る多数の接種物は、いくつかの場合において、ワクチン中に完全な、またはより好ましくは不完全な、例えばほぼ完全なセットの遺伝子をまとめて含むように調製され得る。例えば、完全なセットのウイルス遺伝子は、それぞれがゲノムの異なる半分を含み、異なる部位に投与される2種の構築物を用いて、投与され得る。したがって、免疫応答は、感染性ウイルスが構築される危険性を伴わずに、各抗原に対して引き起こされ得る。これにより、複数の抗原標的の導入が可能となり、かつ防御抗原を特定する必要を無くすことができる。 本発明によれば、過剰増殖性疾患の特徴である過剰増殖細胞に対する広域的な防御免疫応答を与える方法、ならびに過剰増殖性疾患に罹患している個体を治療する方法もまた提供される。本明細書において使用される場合、「過剰増殖性疾患」という用語は、細胞の過剰増殖を特徴とする疾患または障害を指すことが意図されている。過剰増殖性疾患の例には、すべての形態の癌および乾癬が含まれる。 免疫原性の「過剰増殖細胞」に関連したタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸組成物を個体の細胞中に導入すると、個体のワクチン処理された細胞においてそれらのタンパク質が産生されることが発見された。本明細書において使用される場合、「過剰増殖性に関連したタンパク質」という用語は、過剰増殖性疾患に関連しているタンパク質を指すことが意図されている。過剰増殖性疾患に対して免疫化するために、過剰増殖性疾患に関連しているタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸組成物が、個体に投与される。 過剰増殖性に関連したタンパク質が効果的な免疫原性標的となるためには、それが、正常細胞と比べて過剰増殖性細胞において独占的にまたはより高いレベルで産生されているタンパク質でなければならない。標的抗原には、そのようなタンパク質、それらの断片、およびそのようなタンパク質上に存在するエピトープを少なくとも含むペプチドが含まれる。いくつかの場合において、過剰増殖性に関連したタンパク質は、あるタンパク質をコードする遺伝子の変異の産物である。変異した遺伝子は、正常タンパク質上には存在しない異なるエピトープを生じるわずかに異なるアミノ酸配列を有する以外は正常タンパク質とほぼ同一であるタンパク質をコードしている。このような標的タンパク質には、myb、myc、fynなどの癌遺伝子、ならびに転座遺伝子bcr/abl、ras、src、P53、neu、trk、およびEGRFによってコードされているタンパク質であるものが含まれる。標的抗原としての癌遺伝子産物に加えて、抗癌治療および防御的治療計画のための標的タンパク質には、B細胞リンパ腫によって産生される抗体の可変領域およびT細胞リンパ腫のT細胞受容体の可変領域が含まれ、これらはいくつかの態様において、自己免疫疾患用の標的抗原としても使用される。モノクローナル抗体17-1Aによって認識されるタンパク質および葉酸結合タンパク質を含む、腫瘍細胞においてより高いレベルで存在するタンパク質のような他の腫瘍関連タンパク質が、標的タンパク質として使用され得る。 本発明は、いくつかの形態の癌の1種または複数種に対して個体を免疫化するために使用され得、本発明は、特定の癌を発症しやすい素因を有するか、または癌に罹患したことがあり、したがってぶり返しを起こす可能性が高い個体を予防的に免疫化するのに特に有用である。遺伝学および生物工学、ならびに疫学の発達により、個体における癌発症の確率の決定およびリスク評価が可能になっている。遺伝子スクリーニングおよび/または家族健康歴を用いることによって、ある特定の個体がいくつかのタイプの癌のうちの任意の一つを発症する確率を予測することが可能である。 同様に、以前に癌を発症し、かつ癌を除去する処置をされたか、またはそうでなければ寛解状態にあるような個体は、特にぶり返しおよび再発を起こす可能性が高い。治療計画の一環として、このような再発に対抗するために、罹患したと診断された癌に対してこのような個体を免疫化することができる。したがって、個体があるタイプの癌に罹患したことがあり、かつぶり返しのリスクがあることが一旦分かれば、癌が将来的に出現した場合にはそれらと闘う準備を免疫系にさせるために、それらの個体を免疫化することができる。 本発明はまた、過剰増殖性疾患に罹患している個体を治療する方法も提供する。このような方法において、ペプチド、タンパク質、炭水化物、または核酸の組成物、およびそれらの組合せの導入は、個体の免疫系が、標的タンパク質を産生する過剰増殖性細胞と闘うよう指示および促進する、免疫療法として役立つ。 本発明は、細胞受容体および「自己」を標的とした抗体を産生する細胞を含む、自己免疫に関連している標的に対する広域的な防御免疫応答を与えることによって、自己免疫疾患および自己免疫障害に罹患している個体を治療する方法を提供する。 T細胞介在性自己免疫疾患には、関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、シェーグレン症候群、サルコイドーシス、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、自己免疫性甲状腺炎、反応性関節炎、強直性脊椎炎、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、乾癬、血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、クローン病、および潰瘍性大腸炎が含まれる。これらの疾患はそれぞれ、内因性抗原に結合し、かつ自己免疫疾患に関連している炎症カスケードを開始するT細胞受容体を特徴とする。T細胞の可変領域に対するワクチン接種は、CTLを含む免疫応答を誘発して、これらのT細胞を排除すると考えられる。 RAにおいて、この疾患に関与しているT細胞受容体(TCR)のいくつかの特殊な可変領域が特徴付けられた。これらのTCRには、Vβ-3、Vβ-14、Vβ-17、およびVα-17が含まれる。したがって、これらのタンパク質のうち少なくとも1種を送達またはコードする、ペプチド、タンパク質、炭水化物、または核酸の組成物、およびそれらの組合せから構成される組成物をワクチン接種すると、RAに関与しているT細胞を標的とする免疫応答を誘発すると考えられる。それぞれ参照により本明細書に組み入れられる、Howell, M.D., et al., 1991 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10921-10925; Paliard, X., et al., 1991 Science 253:325-329; Williams, W.V., et al., 1992 J.Clin.Invest. 90:326-333を参照されたい。 MSにおいて、この疾患に関与しているTCRのいくつかの特殊な可変領域が特徴付けられた。これらのTCRには、Vβ-7およびVα-10が含まれる。したがって、これらのタンパク質のうち少なくとも1種を送達またはコードする、ペプチド、タンパク質、炭水化物、または核酸の組成物、およびそれらの組合せから構成される組成物をワクチン接種すると、MSに関与しているT細胞を標的とする免疫応答を誘発すると考えられる。それぞれ参照により本明細書に組み入れられる、Wucherpfennig, K.W., et al., 1990 Science 248:1016-1019; Oksenberg, J.R., et al., 1990 Nature 345:344-346 を参照されたい。 強皮症において、この疾患に関与しているTCRのいくつかの特殊な可変領域が特徴付けられた。これらのTCRには、Vβ-6、Vβ-8、Vβ-14、ならびにVα-16、Vα-3C、Vα-7、Vα-14、Vα-15、Vα-16、Vα-28、およびVα-12が含まれる。したがって、これらのタンパク質のうち少なくとも1種を送達またはコードする、ペプチド、タンパク質、炭水化物、または核酸の組成物、およびそれらの組合せから構成される組成物をワクチン接種すると、強皮症に関与しているT細胞を標的とする免疫応答を誘発すると考えられる。 T細胞介在性自己免疫疾患、特にそれに対するTCRの可変領域がまだ特徴付けられていない疾患に罹患している対象を治療するために、滑膜生検を実施することができる。存在するT細胞の試料を採取し、かつそれらのTCRの可変領域を標準的技術を用いて同定することができる。この情報を用いてワクチンを調製することができる。 B細胞介在性自己免疫疾患には、狼瘡(SLE)、グレーブス病、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少、喘息、クリオグロブリン血症、原発性胆管硬化症、および悪性貧血が含まれる。これらの疾患はそれぞれ、内因性抗原に結合し、かつ自己免疫疾患に関連している炎症カスケードを開始する抗体を特徴とする。このような抗体の可変領域に対抗するワクチン接種は、CTLを含む免疫応答を誘発して、抗体を産生するこれらのB細胞を排除すると考えられる。 B細胞介在性自己免疫疾患に罹患している対象を治療するためには、自己免疫活性に関与している抗体の可変領域が同定されなければならない。生検を実施することができ、かつ炎症部位に存在している抗体の試料を採取することができる。これらの抗体の可変領域は、標準的技術を用いて同定することができる。この情報を用いてワクチンを調製することができる。 SLEの場合、一つの抗原はDNAであると考えられている。したがって、SLEに対して免疫化される対象において、彼らの血清を抗DNA抗体についてスクリーニングし、かつ血清中に存在するそのような抗DNA抗体の可変領域をコードする核酸組成物を含むワクチンを調製することができる。 TCRおよび抗体の双方の可変領域の間で共通する構造的特徴は周知である。特定のTCRまたは抗体をコードするDNA配列は、一般に、参照により本明細書に組み入れられるKabat, et al. 1987 Sequence of Proteins of Immunological Interest U.S.Department of Health and Human Services, Bethesda Md.において記載されているもののような周知の方法に従って確認することができる。さらに、抗体に由来する機能的な可変領域をクローニングするための一般的方法も、参照により本明細書に組み入れられるChaudhary, V.K., et al., 1990 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1066において見出すことができる。遺伝子療法 好ましい態様において、本発明は、遺伝的障害または遺伝的要素を有する状態を治療するための組成物および方法を提供する。さらに好ましい態様において、本発明は、遺伝的障害または遺伝的要素を有する状態を治療するための薬学的製品の製造に有用な組成物を提供する。 ヒトゲノム計画により、疾患の遺伝的根拠に関する我々の知識は増大した。一般に、http://www.ornl.gov/sci/techresources/Human_Genome/medicine/assist.shtmlを参照されたい。 環境要因および遺伝的要因の双方が、任意の疾患の発症において役割を果たしている。遺伝的障害は、個体の遺伝物質(ゲノム)中の異常によって引き起こされる疾患である。遺伝的障害には4種の異なるタイプがある:(1)単一遺伝子性、(2)多因子性、(3)染色体性、および(4)ミトコンドリア性。(1)単一遺伝子性(メンデル性または単遺伝子性とも呼ばれる)- このタイプは、1つの遺伝子のDNA配列中で生じる変化または変異によって引き起こされる。遺伝子は、タンパク質、すなわち作業の大半を実施し、大半の生命機能を果たし、かつさらには細胞構造体の大部分を構成する分子をコードしている。ある遺伝子が変異して、そのタンパク質産物がその正常機能をもはや果たさない場合、障害が結果として起こり得る。6,000種を超える公知の単一遺伝子性障害があり、出生200件毎に約1件発生する。いくつかの例は、嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、マルファン症候群、ハンチントン病、および遺伝性ヘモクロマトーシスである。(2)多因子性(複合性または多遺伝子性とも呼ばれる)- このタイプは、環境要因および複数の遺伝子中の変異の組合せによって引き起こされる。例えば、乳癌の罹病性に影響する様々な遺伝子が、6、11、13、14、15、17、および22番染色体上で発見された。これは、性質がより複雑であるため、単一遺伝子性障害または染色体性障害よりも分析がより困難になっている。最も一般的な慢性障害のいくつかは、多因子性障害である。例には、心臓疾患、高血圧、アルツハイマー病、関節炎、糖尿病、癌、および肥満が含まれる。多因子性遺伝はまた、指紋、身長、眼色、および皮膚色などの遺伝的形質にも関連している。(3)染色体性- 染色体、すなわちDNAおよびタンパク質から構成される独特の構造体は、各細胞の核内に配置されている。染色体は遺伝物質の担体であるため、欠失したもしくは余分なコピー、または大きな切断および再結合(転座)のような染色体構造中の異常は、疾患をもたらし得る。いくつかのタイプの主要な染色体異常は、顕微鏡的検査によって検出することができる。ダウン症候群または21トリソミーは、人が21番染色体を3コピー有する場合に発生する一般的な障害である。(4)ミトコンドリア性- この比較的まれなタイプの遺伝的障害は、ミトコンドリアの非染色体性DNA中の変異によって引き起こされる。ミトコンドリアは、細胞呼吸に関与し、かつ植物細胞および動物細胞の細胞質中に存在する、小型の球形または棒状の細胞小器官である。各ミトコンドリアは、5〜10個の環状DNAを含み得る。 好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、補償遺伝子を含む少なくとも1種の核酸を投与するのに使用される。他の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、ある欠失した遺伝子の遺伝子産物をコードしている少なくとも1種の核酸を投与するのに使用され、ここで、その遺伝子産物の発現は、遺伝的障害またはある状態の遺伝的要素の治療において有用である。好ましい態様において、所望のペイロード分子を含む本発明の粒子送達系は、遺伝的障害またはある状態の遺伝的要素を治療するための薬学的製品の製造に有用である。このような薬学的製品は、経口的に、直腸経由で、非経口的に(例えば静脈内、筋肉内、もしくは皮下に)、大槽内に、腟内に、腹腔内に、膀胱内に、局所的に(例えば散剤、軟膏剤、もしくは滴剤)、または口腔内スプレー剤もしくは点鼻用スプレー剤として適切に投与される。これらの薬学的製品は、好ましくは経口的に、口腔内に、および非経口的に、より好ましくは経口投与される。様々なペイロード、例えば核酸、核酸発現ベクター、または低分子治療物質を充填された粒子は、併用療法のために、適切な比率で混合し、かつ一緒に、例えばカプセル剤中で投与することができる。 遺伝子療法に関係する本発明の局面において、核酸組成物は、補償遺伝子または治療用タンパク質をコードする遺伝子のいずれかを含む。補償遺伝子の例には、ジストロフィンまたは機能的断片をコードする遺伝子、嚢胞性線維症に罹患している対象中の欠陥遺伝子を補償する遺伝子、ADAに罹患している対象中の欠陥遺伝子を補償する遺伝子、第VIII因子をコードしている遺伝子が含まれる。治療用タンパク質をコードしている遺伝子の例には、エリスロポイエチン、インターフェロン、LDL受容体、GM-CSF、IL-2、IL-4、およびTNFをコードする遺伝子が含まれる。さらに、毒性物質に特異的に結合する単鎖抗体成分をコードする核酸組成物も、投与され得る。いくつかの好ましい態様において、ジストロフィン遺伝子は、ミニ遺伝子の一部分として提供され、かつ筋ジストロフィーに罹患している個体を治療するのに使用される。いくつかの好ましい態様において、部分的ジストロフィンタンパク質に対するコード配列を含むミニ遺伝子が提供される。ジストロフィン異常は、より軽度のベッカー型筋ジストロフィー(BMD)および重度のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の双方の原因である。BMDでは、ジストロフィンが産生されるが、大きさおよび/または量のいずれかが異常である。対象は、軽度から中程度に弱っている。DMDでは、タンパク質が産生されず、対象は13歳までに車椅子生活となり、通常20歳までに死亡する。一部の対象、特にBMDに罹患している対象では、本発明に従って送達されるミニ遺伝子の発現によって産生される部分的ジストロフィンタンパク質により、筋肉機能が改善され得る。 好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、アールスコグ・スコット症候群、アーセ症候群、軟骨形成不全症、先端骨形成不全症、嗜癖、副腎白質ジストロフィー、白子症、無眼瞼・大口症候群、アラジール症候群、アルカプトン尿症、α-1-アンチトリプシン欠損症、アルポート症候群、アルツハイマー病、喘息、自己免疫性多腺性症候群、アンドロゲン非感受性症候群、アンジェルマン症候群、運動失調、毛細血管拡張性運動失調、アテローム性動脈硬化症、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症、脱毛症、バッテン病、ベックウィズ・ウィーデマン症候群、ベスト病、双極性障害、短指症、乳癌、バーキットリンパ腫、慢性骨髄性白血病、シャルコー・マリー・トゥース病、クローン病、口唇裂、コケーン症候群、コフィン・ローリー症候群、結腸癌、先天性副腎皮質過形成(CAH)、コルネリア・デ・ランゲ症候群、コステロ症候群、カウデン症候群、頭蓋前頭鼻骨(Craniofirontonasal)異形成症、クリグラー・ナジャー症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、嚢胞性線維症、難聴、うつ病、糖尿病、捻曲性骨異形成症、ディジョージ症候群、ダウン症候群、失読症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、デュボウィッツ(Dubowitz)症候群、外胚葉性異形成症、エリス・ファンクレフェルト症候群、エーラース・ダンロス、表皮水疱症(EB)、てんかん、本態性振戦、家族性高コレステロール血症、家族性地中海熱、脆弱X症候群、フリードライヒ失調症、ゴーシェ病、緑内障、グルコース・ガラクトース吸収不良症、グルタル酸尿症、脳回転状萎縮、ゴールドバーグ・シュプリンツェン症候群(口蓋・心・顔面症候群)、ゴーリン症候群、ヘイリー・ヘイリー病、片側肥大症、ヘモクロマトーシス、血友病、遺伝性運動感覚ニューロパシー(HMSN)、遺伝性非腺腫性大腸癌(HNPCC)、ハンチントン病、過剰なIgMを伴う免疫不全、若年発症型糖尿病、クラインフェルター症候群、歌舞伎症候群、リー病(またはリー症候群)、QT延長症候群、肺癌、悪性黒色腫、躁うつ病、マルファン症候群、メンケス症候群、流産、ムコ多糖症、多発性内分泌腺腫症、多発性硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、筋緊張性ジストロフィー、神経線維腫症、ニーマン・ピック病、ヌーナン症候群、肥満、卵巣癌、p53腫瘍抑制因子、膵臓癌、パーキンソン病、発作性夜間ヘモグロビン尿症、ペンドレッド症候群、腓骨筋萎縮症、フェニルケトン尿症(PKU)、多発性嚢胞腎、プラダー・ウィリー症候群、原発性胆汁性肝硬変、前立腺癌、REAR症候群、レフサム病、網膜色素変性症、網膜芽細胞腫、レット症候群、サンフィリッポ症候群、精神分裂病、重度の複合免疫不全、鎌状赤血球貧血、脊椎披裂、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳萎縮、SRY:性決定、成人突然死症候群、タンジール病、テイ・サックス病、血小板減少橈骨欠損症候群、タウンズ・ブロックス(Townes-Brocks)症候群、結節性硬化症、ターナー症候群、アッシャー症候群、フォンヒッペル・リンダウ症候群、ワールデンブルグ症候群、ウィーバー症候群、ウェルナー症候群、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、色素性乾皮症、およびツェルウェガー症候群などの、遺伝的障害および遺伝的要素を有していると考えられている状態を治療するための組成物および方法を提供する。 他の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、鎌状赤血球貧血およびβ-サラセミア、α-サラセミア、マルファン症候群、エーラース・ダンロスI型、エーラース・ダンロスII型、エーラース・ダンロスIII型、エーラース・ダンロスIV型常染色体優性、エーラース・ダンロスIV型常染色体劣性、エーラース・ダンロスIV-D型、エーラース・ダンロスV型、エーラース・ダンロスVI型、エーラース・ダンロスVII型常染色体優性、エーラース・ダンロスVII型常染色体劣性、エーラース・ダンロス型VIII、血小板機能異常を伴うエーラース・ダンロス、皮膚弛緩症、皮膚弛緩症劣性I型、後角症候群皮膚弛緩症、X連鎖、骨形成不全症I型、骨形成不全症I-C型、無症状性の骨形成不全症II/III型、骨形成不全症IV型、骨形成不全症新生児期致死型、および徐々に変形する骨形成不全症を含む、タンパク質関連疾患のような代謝障害として発現される、遺伝的障害および遺伝的要素を有すると考えられている状態を治療するための組成物および方法を提供する。 さらに好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、無フィブリノーゲン血症、フィブリノーゲン、すなわち第I因子の完全な喪失;フィブリノーゲン異常症、フィブリノーゲン、すなわち第I因子の機能障害;第II因子障害;組織因子欠損症;第V因子欠損症、不安定因子欠損症、第VII因子欠損症、第VIII因子欠損症(血友病A)、第IX因子欠損症(血友病B)、第X因子欠損症、第XI因子欠損症、ローゼンタール症候群、血漿トロンボプラスチン前駆物質(PTA)欠損症、第XII因子欠損症、ハーゲマン因子欠損症、第XIII因子欠損症、第V因子および第VIII因子の複合欠損症、第VIII因子および第IX因子の複合欠損症、第IX因子および第XI因子の複合欠損症、プロテインC欠損症、プロテインS欠損症、血栓形成傾向、抗トロンビンIII欠損症、巨大血小板症候群、血小板糖タンパク質Ib欠損症、フォン・ウィレブランド病、フレッチャー因子欠損症、ならびにプレカリクレイン欠損症など凝固系の遺伝的障害を治療するための組成物および方法を提供する。 さらに好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、0型、I型(フォン・ギールケ病)、Ib型、Ic型、II型(ポンペ病)、IIb型(ダノン病)、III型(コリ病またはフォーブス病)、IV型(アンダースン病)、V型(マックアードル病)、VI型(エルス病)、VII型(垂井病)、VIII型、IX型、およびXI型(ファンコニ・ビッケル症候群)などの糖原病を治療するための組成物および方法を提供する。 さらに別の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、遺伝性フルクトース不耐症、アルドラーゼB欠損症;フルクトース尿症、肝臓フルクトキナーゼ欠損症;古典的ガラクトース血症、ガラクトースエピメラーゼ欠損症;ガラクトキナーゼ欠損症;高グリセロール血症、およびグリセロールキナーゼ欠損症など、フルクトース、ガラクトース、およびグリセロール代謝の欠陥を治療するための組成物および方法を提供する。 さらに別の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、アポリポタンパク質(a)-Lp(a)、高リポタンパク血症I型;高リポタンパク血症Ib型;アポリポタンパク質C-II欠損症;高リポタンパク血症Ic型、カイロミクロン血症;家族性高コレステロール血症、II型高リポタンパク血症;高リポタンパク血症II型、家族性高βリポタンパク血症;高リポタンパク血症III型、アポリポタンパク質E欠損症;高リポタンパク血症IV型;高リポタンパク血症V型;家族性LCAT欠損症;ウォルマン病;リポタンパクリパーゼ欠損症;家族性高トリグリセリド血症;高脂血症V型;高脂血症VI型;家族性のリガンドアポB欠陥;家族性高αリポタンパク血症;低βリポタンパク血症、アポリポタンパク質B-100欠損症;無βリポタンパク血症、コーンツバイク症候群;およびタンジール病、家族性高比重リポタンパク質欠損症など、コレステロールおよびリポタンパク質代謝における欠陥を治療するための組成物および方法を提供する。 さらに別の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、ムコ多糖症I H型(ハーラー症候群)、ムコ多糖症I S型(シャイエ症候群)、ムコ多糖症I H/S型(ハーラー/シャイエ症候群)、ムコ多糖症II型(ハンター症候群)、ムコ多糖症III型(サンフィリッポA型、サンフィリッポB型、サンフィリッポC型、サンフィリッポD型)、ムコ多糖症IV型(モルキオA型、モルキオB型)、ムコ多糖症VI型(マロトー・ラミー症候群)、およびムコ多糖症VII型(スライ症候群)などのムコ多糖および糖脂質障害を治療するための組成物および方法を提供する。 他の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、全身性GM1 II型、若年型;全身性GM1 III型、成人型を含むGM1ガングリオシドーシス;GM2ガングリオシドーシス、サンドホフ・ジャッケウィッツ(Sandhoff-Jatzkewitz)病;GM3ガングリオシドーシス、テイ・サックス病、テイ・サックスAB変異体、ゴーシェ病、ニーマン・ピック病、A、B、C1、C2、およびD型、シンドラー病、ファブリー病、ラクトシルセラミド蓄積症、ファーバー病、クラッベ病、多発性スルファターゼ欠損症、オースチン病、異染性白質ジストロフィー、ならびにスルファチドリピドーシスなどグリコスフィンゴリピド代謝の障害を治療するための組成物および方法を提供する。 他の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、フコシドーシス、ムコリピドーシスVI、シアロリピドーシス(sialolipidosis)、α-マンノシドーシス、β-マンノシドーシス、シアリドーシスI型およびII型、ガラクトシアリドーシス、ゴールドバーグ症候群、およびアスパルチルグルコサミン尿症などのオリゴ糖症を治療するための組成物および方法を提供する。 他の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、ムコリピドーシスI、すなわちシアリドーシス;ムコリポドーシスII、すなわちI-細胞病;およびムコリポドーシスIII、すなわち偽性ハーラー・ポリジストロフィーなどリソソーム酵素輸送の障害を治療するための組成物および方法を提供する。 他の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、フェニルケトン尿症;チロシン血症I型、チロシン症;チロシン血症II型、リヒナー・ハンハート症候群;チロシン血症III型;アルカプトン尿症;ホモシスチン尿症;ヒスチジン血症.;メープルシロップ尿症(MSUD);MSUD Ib型、MSUD II型;メチルマロン酸尿症;非ケトン性高グリシン血症I型(NKHI)、および高リジン血症などのアミノ酸および有機酸代謝における欠陥を治療するための組成物および方法を提供する。 他の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、高アンモニア血症;カルバモイルリン酸合成酵素I(CPS-I)欠損症;オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症;N-アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症;アルギニノコハク酸尿症、アルギニノコハク酸リアーゼ欠損症;高アルギニン血症、アルギナーゼ欠損症;シトルリン血症、アルギニノコハク酸合成酵素欠損症、およびオルニチンアミノトランスフェラーゼ欠損症などの尿素回路欠陥を治療するための組成物および方法を提供する。他の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、シスチン尿症I型;シスチン尿症III型;ハートナップ病、および高アンモニア血症-高オルニチン血症-ホモシトルリン尿症(HHH)症候群などアミノ酸輸送における欠陥を治療するための組成物および方法を提供する。他の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、先天性赤血球生成性ポルフィリン症(CEP);赤血球生成性プロトポルフィリン症(EPP);ALA脱水素酵素欠損ポルフィリン症(ADP);急性間欠性ポルフィリン症(AIP);遺伝性コプロポルフィリン症(HCP);異型ポルフィリン症(VP);晩発性皮膚ポルフィリン症(PCT);肝赤血球生成性ポルフィリン症(HEP);ギルバート症候群;クリグラー・ナジャー症候群、I型およびI型;デュビン・ジョンソン症候群、ならびにローター症候群などのポルフィリン症およびビリルビン血症を治療するための組成物および方法を提供する。 他の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、超長鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ欠損症(VLCAD);長鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(LCAD);中鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(MCAD);短鎖アシル-CoAデヒドロゲナーゼ欠損症(SCAD);カルニチントランスロカーゼ欠損症;カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼI(CPT I)欠損症、およびカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼII(CPT II)欠損症など脂肪酸代謝におけるエラーを治療するための組成物および方法を提供する。他の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、レッシュ・ナイハン症候群;アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損に起因する重症複合型免疫不全症(SCID);痛風;アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)欠損に起因する腎結石症;キサンチンオキシダーゼ欠損に起因するキサンチン尿症;オロト酸尿症I型およびI型、ならびにオルニチントランスカルバモイラーゼ欠損症などヌクレオチド代謝における欠陥を治療するための組成物および方法を提供する。 他の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、ウィルソン病、メンケス病、後角症候群、およびヘモクロマトーシスなど金属代謝および輸送における障害を治療するための組成物および方法を提供する。他の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、ツェルウェガー症候群、X連鎖副腎白質ジストロフィー、新生児副腎白質ジストロフィー(NALD)、肢根型点状軟骨異形成症(RCDP)、および乳幼児型レフサム病(IRD)などペルオキシソームにおける障害を治療するための組成物および方法を提供する。他の好ましい態様において、本発明の粒子送達系は、毛細血管拡張性運動失調(AT)、色素性乾皮症(XP)、コケーン症候群、ブルーム症候群、およびファンコニー貧血などDNA修復の欠陥に関連した障害を治療するための組成物および方法を提供する。投与経路 投与経路には、経口;口腔内、舌下、肺、経皮、経粘膜、ならびに皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、および筋肉内注射が含まれるがこれらに限定されるわけではない。好ましい投与経路は、経口;口腔内、舌下、肺、および経粘膜である。 本発明の粒子送達系は、治療的有効量で対象に投与される。粒子送達系は、単独で、または薬学的に許容される組成物の一部分として投与することができる。さらに、化合物または組成物は、例えばボーラス注射によるなどすべて同時に、一連の錠剤によるなど複数回で投与することができ、または例えば制御放出製剤を使用してなど、ある期間にわたって実質的に均等に送達することもできる。化合物の用量は、経時的に変更できることにも留意されたい。粒子送達系は、即時放出製剤、制御放出製剤、またはそれらの組合せを用いて投与することができる。「制御放出」という用語には、持続放出、遅延放出、およびそれらの組合せが含まれる。 本発明の薬学的組成物は、単一の単位用量として、または複数個の単一の単位用量として、大量に調製、包装、または販売され得る。本明細書において使用される場合、「単位用量」は、所定の量の活性成分を含む薬学的組成物の個別の量である。活性成分の量は、一般に、対象に投与される予定の活性成分の投薬量、または例えばそのような投薬量の半分もしくは3分の1などそのような投薬量の簡便な部分量に等しい。 本発明の薬学的組成物中の活性成分、薬学的に許容される担体、および任意の付加的成分の相対量は、治療されるヒトの独自性、大きさ、および状態に応じて、かつさらにその組成物が投与される経路に応じて変動すると考えられる。例えば、組成物は、0.1%〜100%(w/w)の間の活性成分を含み得る。本発明の薬学的組成物の単位用量は、一般に約100ミリグラム〜約2グラムの活性成分を含むと考えられ、かつ好ましくは約200ミリグラム〜約1.0グラムの活性成分を含む。 さらに、本発明の粒子送達系は、単独で、異なるペイロードを有する粒子送達系と組み合わせて、または他の薬学的に活性な化合物と共に、投与され得る。他の薬学的に活性な化合物は、粒子送達系と同じ状態または異なる状態を治療するように選択され得る。 対象が複数の薬学的に活性な化合物を与えられる予定であるかまたは与えられている場合、それらの化合物は同時にまたは任意の順序で逐次的に投与され得る。例えば、錠剤の場合、活性化合物は、1つの錠剤中に、または一度にもしくは任意の順序で逐次的に投与され得る別々の錠剤中に存在してよい。さらに、これらの組成物が異なる形態であり得ることも認識されるべきである。例えば、1種または複数種の化合物が錠剤によって送達され得るのに対し、別のものは、注射によってまたはシロップ剤として経口的に、投与される。 本発明の別の局面は、本発明の薬学的組成物および取扱い説明資料を含むキットに関する。取扱い説明資料には、刊行物、記録物、図、または本明細書において説明されるヒトにおける目的のうちの1つに対する本発明の薬学的組成物の有用性を伝えるために使用される他の任意の表現媒体が含まれる。取扱い説明資料にはまた、例えば本発明の薬学的組成物の適切な用量が記載され得る。本発明のキットの取扱い説明資料は、例えば、本発明の薬学的組成物を含む容器に添付され得、または薬学的組成物を含む容器と一緒に輸送され得る。または、取扱い説明資料は、取扱い説明資料および薬学的組成物が受領者によって協同的に使用されることを意図して、容器と別に輸送され得る。 本発明はまた、本発明の薬学的組成物、および組成物をヒトに送達するための送達器具を含むキットも含む。例えば、送達器具は、搾り出し可能なスプレー瓶、定量スプレー瓶、エアロゾルスプレー器具、噴霧器、乾燥粉末送達器具、自力で噴霧する(self-propelling)溶媒/粉末投薬器具、シリンジ、針、タンポン、または投薬量測定用容器であり得る。キットは、本明細書において記載する取扱い説明資料をさらに含み得る。 例えば、キットは、粒子送達系および薬学的に許容される担体を含む第1の組成物;ならびに第2の薬学的に活性な化合物および薬学的に許容される担体を含む組成物をそれぞれ含む、2種の別々の薬学的組成物を含み得る。キットはまた、中が分割された瓶または分割されたホイル製の小さな包みなど別々の組成物用の容器も含む。容器のさらなる例には、シリンジ、箱、袋などが含まれる。典型的には、キットは別々の成分を投与するための指示書を含む。キットの形態は、別々の成分が好ましくは異なる剤形で投与される(例えば経口および非経口)場合、異なる投薬間隔で投与される場合、または組合せの個々の成分の用量調節が処方する医師によって望まれる場合に、特に有利である。 キットの例は、ブリスター包装である。ブリスター包装は、包装業界において周知であり、かつ薬学的単位剤形(錠剤、カプセル剤など)の包装のために広く使用されている。ブリスター包装は、一般に、好ましくは透明なプラスチック材料の箔で覆われた、比較的堅い材料からなるシートからなる。包装工程の進行中に、プラスチック箔中に窪みが形成される。これらの窪みは、包装される錠剤またはカプセル剤の大きさおよび形状を有する。次に、錠剤またはカプセル剤が、それらの窪み中に置かれ、かつ、それらの窪みが形成された方向の反対である箔の前面に、比較的堅い材料からなるシートがプラスチック箔にきつく貼り付けられる。結果として、錠剤またはカプセル剤は、プラスチック箔とシートの間の窪み中に密封される。好ましくは、シートの強度は、窪みに手で圧力を加えて、窪みの場所のシート中に穴を形成させることによって、ブリスター包装から錠剤またはカプセル剤を取り出すことができるような程度である。次いで、該穴から、錠剤またはカプセル剤を取り出すことができる。 例えば、錠剤またはカプセル剤の隣の数字の形態で、キット上に記憶補助物を提供することが望ましいことがあり、その際、これらの数字は、それらの指定された錠剤またはカプセル剤が摂取されるべき治療計画の日数に一致する。このような記憶補助物の別の例は、カードに印刷されたカレンダー、例えば以下のようなものである:「第1週、月、火、・・・など・・・・第2週、月、火、」など。記憶補助物の他の変形例は、容易に明らかとなると考えられる。「1日量」は、所与の日に服用される単一の錠剤もしくはカプセル剤、またはいくつかの丸剤もしくはカプセル剤であり得る。また、粒子送達系組成物の1日量は、1つの錠剤またはカプセルからなり得、一方で第2の化合物の1日量は、いくつかの錠剤またはカプセル剤からなり得、かつ逆もまた同じである。記憶補助物は、これを反映し、かつ正確な投与を補助すべきである。 本発明の別の態様において、意図された使用順序で一つずつ1日量を投薬するように設計されたディスペンサーが提供される。投与計画に対する服薬遵守をさらに容易にするために、好ましくは、このディスペンサーには記憶補助物が付属している。このような記憶補助物の例は、投薬された1日量の数を示す機械的カウンターである。このような記憶補助物の別の例は、液晶表示器付きの電池式マイクロチップメモリー、または例えば、前回の1日量が服用された日付を読み上げ、かつ/もしくは次の用量をいつ服用すべきかを思い出させる音声式リマインダ信号である。 他の薬学的に活性な化合物を任意で含む粒子送達系組成物は、経口的に、直腸経由で、非経口的に(例えば静脈内、筋肉内、もしくは皮下に)、大槽内に、腟内に、腹腔内に、膀胱内に、局所的に(例えば散剤、軟膏剤、もしくは滴剤)、または口腔内スプレー剤もしくは点鼻用スプレー剤として対象に投与され得る。 薬学的組成物の非経口投与は、ヒト組織に物理的に割れ目を作ることを特徴とする任意の投与経路および組織中の割れ目を介した薬学的組成物の投与を含む。したがって、非経口投与には、組成物の注射によるもの、外科的切開部を介した組成物の適用によるもの、組織貫通性の非外科的創傷を介した組成物の適用によるものなどの薬学的組成物の投与が含まれる。特に、非経口投与には、皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、動脈内注射、筋肉内注射、または胸骨内注射、および静脈内輸注技術、動脈内輸注技術、または腎臓透析の注入技術が含まれる。 非経口注射に適した組成物は、生理学的に許容される無菌の水性もしくは非水性の溶液、分散液、懸濁液、もしくは乳濁液などの薬学的に許容される担体と混合された活性成分を含み、または無菌の注射用溶液もしくは分散液に復元するための無菌粉末を含み得る。適切な水性もしくは非水性の担体、希釈剤、溶剤、またはビヒクルの例には、水、等張性生理食塩水、エタノール、多価アルコール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、それらの適切な混合物、オリーブ油のような植物油を含むトリグリセリド、またはオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルが含まれる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングを使用することによって、分散液の場合は必要とされる粒径を維持することによって、かつ/またはサーファクタントを使用することによって、維持することができる。このような製剤は、ボーラス投与または持続投与に適した形態で調製、包装、または販売され得る。注射剤は、アンプル中で、保存剤を含む多回投与用容器中で、または自己注射もしくは医療担当者による注射用の単回使用向け器具中で調製、包装、または販売され得る。 非経口投与用の製剤には、懸濁剤、液剤、油性もしくは水性のビヒクル中の乳剤、パスタ剤、および埋め込み可能な持続放出性もしくは生分解性の製剤が含まれる。このような製剤は、懸濁化剤、安定化剤、もしくは分散剤を含む、1種または複数種の付加的成分をさらに含み得る。非経口投与用の製剤の一つの態様において、活性成分は、復元された組成物を非経口投与する前に適切なビヒクル(例えば無菌のパイロジェンフリー水)で復元するための乾燥(すなわち粉末状または顆粒状の)形態で提供される。これらの薬学的組成物は、無菌注射用の水性または油性の懸濁剤または液剤の形態で調製、包装、または販売され得る。この懸濁剤または液剤は、公知技術に従って調剤され得、かつ活性成分に加えて、本明細書において記載する分散剤、湿潤剤、または懸濁化剤などの付加的成分を含み得る。このような無菌注射剤は、例えば水または1,3-ブタンジオールなど非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶剤を用いて調製され得る。他の許容される希釈剤および溶剤には、リンガー溶液、等張性塩化ナトリウム溶液、および合成のモノグリセリドまたはジグリセリドなどの不揮発性油が含まれる。有用である他の非経口的に投与可能な製剤には、微結晶型で、リポソーム調製物中に、または生分解性ポリマー系の成分として活性成分を含むものが含まれる。持続放出または埋め込み用の組成物は、乳濁液、イオン交換樹脂、難溶性ポリマー、または難溶性塩など薬学的に許容されるポリマー材料または疎水性材料を含み得る。 これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および/または分散剤などの補助剤も含んでよい。組成物の微生物汚染の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの添加によって達成することができる。等張化剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを含むことが望ましいこともある。注射用の薬学的組成物の長期の吸収は、吸収を遅延させることができる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよび/またはゼラチンを使用することによって実現することができる。 剤形には、固形または注射可能な埋め込み剤またはデポー剤が含まれ得る。好ましい態様において、埋め込み剤は、一定量の粒子送達系および生分解性ポリマーを含む。好ましい態様において、適切な生分解性ポリマーは、ポリアスパラタート、ポリグルタマート、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(ε-カプロラクトン)、ポリ無水物、ポリ(β-ヒドロキシブチラート)、ポリ(オルトエステル)、およびポリホスファゼンからなる群より選択され得る。 経口投与用の固体剤形には、カプセル剤、錠剤、散剤、および顆粒剤が含まれる。このような固体剤形において、粒子送達系は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1種の通例の不活性な賦形剤(もしくは担体)、または(a)例えばデンプン、ラクトース、スクロース、マンニトール、もしくはケイ酸などの充填剤もしくは増量剤;(b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、もしくはアラビアゴムなどの結合剤;(c)例えばグリセロールのような保湿剤;(d)例えば寒天、炭酸カルシウム、バレイショデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、いくつかの複合ケイ酸塩、または炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(e)例えばパラフィンのような溶解遅延剤;(f)例えば四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(g)例えばセチルアルコールもしくはモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤;(h)例えばカオリンもしくはベントナイトなどの吸着剤;および/または(i)例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、もしくはそれらの混合物などの滑沢剤と任意で混合される。カプセル剤および錠剤の場合、これらの剤形はまた、緩衝剤も含んでよい。 粒子送達系を含む錠剤は、例えば、任意で1種または複数種の付加的成分と共に、活性成分を圧縮または成形することによって製造することができる。圧縮錠剤は、結合剤、滑沢剤、賦形剤、表面活性剤、および分散剤のうちの1種または複数種と任意で混合して、粉末調製物または顆粒状調製物など易流動型の活性成分を適切な装置中で圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、活性成分、薬学的に許容される担体、および混合物を湿潤させるのに少なくとも十分な液体の混合物を適切な装置中で成形することによって製造することができる。錠剤の製造において使用される薬学的に許容される賦形剤には、不活性な希釈剤、顆粒化剤および崩壊剤、結合剤、ならびに滑沢剤が含まれる。公知の分散剤には、バレイショデンプンおよびグリコール酸デンプンナトリウムが含まれる。公知の表面活性剤にはラウリル硫酸ナトリウムが含まれる。公知の希釈剤には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、微結晶性セルロース、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、およびリン酸ナトリウムが含まれる。公知の顆粒化剤および崩壊剤には、トウモロコシデンプンおよびアルギン酸が含まれる。公知の結合剤には、ゼラチン、アラビアゴム、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。公知の滑沢剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリカ、およびタルクが含まれる。 錠剤はコーティングしなくてもよく、またはヒトの胃腸管における崩壊遅延を実現し、それによって、例えば小腸中のパイエル板領域における、持続放出および粒子送達系の吸収を提供する公知の方法を用いてコーティングしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの材料を用いて錠剤をコーティングすることができる。さらなる例として、米国特許第4,256,108号;第4,160,452号;および第4,265,874号に記載されている方法を用いて錠剤をコーティングして、浸透圧制御放出錠剤を形成させることができる。錠剤は、薬学的に上質かつ味が良い調製物を提供するために、甘味剤、矯味剤、着色剤、保存剤、またはこれらの何らかの組合せをさらに含み得る。 錠剤、糖衣錠、カプセル剤、および顆粒剤などの固体剤形は、腸溶コーティングおよび当技術分野において周知の他のものなどのコーティングまたはシェルを用いて調製することができる。これらはまた、不透明化剤も含んでよく、かつ遅延された様式で粒子送達系を放出するような組成物でもあり得る。使用され得る埋め込み組成物の例は、ポリマー物質およびワックスである。活性化合物は、適切な場合には前述の賦形剤のうちの1種または複数種と共にマイクロカプセル化された形態でもよい。 類似したタイプの固体組成物もまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量のポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用した軟または硬充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として使用され得る。粒子送達系を含む硬カプセル剤は、ゼラチンのような生理学的に分解性の組成物を用いて製造することができる。このような硬カプセル剤は粒子送達系を含み、かつ例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリンなどの不活性な固体希釈剤を含む、付加的成分をさらに含み得る。粒子送達系を含む軟カプセル剤は、ゼラチンのような生理学的に分解性の組成物を用いて製造することができる。このような軟カプセル剤は、水、またはピーナッツ油、液体パラフィン、もしくはオリーブ油などの油性媒体と混合され得る粒子送達系を含む。 経口投与された作用物質をヒト対象の小腸または大腸中で特異的に放出する経口組成物は、公知の技術を用いて製造することができる。例えば、結腸を含む胃腸系に送達するための製剤には、例えば、ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)のようなメタクリル酸コポリマーをベースとする腸溶コーティング系が含まれ、これらはpH6およびそれ以上でのみ可溶性であり、したがってポリマーは小腸中に移行した際にしか溶解し始めない。このようなポリマー製剤が崩壊する部位は、腸通過速度および存在するポリマーの量に依存する。例えば、比較的粘稠なポリマーコーティングは、近位の結腸への送達用に使用される(Hardy et al., 1987 Aliment.Pharmacol.Therap. 1:273-280)。部位特異的な結腸送達を提供することができるポリマーもまた使用することができ、これらのポリマーは大腸の細菌フローラを利用して、ポリマーコートの酵素的分解を提供し、かつその結果、薬物の放出を提供する。例えば、アゾポリマー(米国特許第4,663,308号)、グリコシド(Friend et al., 1984, J.Med.Chem. 27:261-268) および様々な天然に入手可能な多糖および改変多糖(PCT出願PCT/GB89/00581を参照されたい)が、このような製剤中で使用され得る。 米国特許第4,777,049号において記載されているもののようなパルス放出技術もまた、胃腸管内部の特定の位置に粒子送達系を投与するのに使用することができる。このような系は所定の時間での送達を可能にし、かつ任意で局所的な微環境を改変して安定性および取込みを促進し得る他の添加剤と共に、インビボ放出を提供するための水の存在以外の外部条件には依拠せずに直接、粒子送達系を送達するのに使用され得る。 経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。活性化合物に加えて、液体剤形は、水または他の溶剤、等張性生理食塩水、可溶化剤、およびエマルシファイヤーなど当技術分野において一般に使用される不活性な希釈剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジンアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油、特に、アーモンド油、ラッカセイ(arachis)油、ヤシ油、綿実油、ラッカセイ(groundnut)油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ種子油、MIGLYOL(商標)、グリセロール、分別植物油、液体パラフィンのような鉱油、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物なども含み得る。このような不活性な希釈剤のほかに、組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、粘滑剤、保存剤、緩衝剤、塩類、甘味剤、矯味剤、着色剤、ならびに芳香剤などの補助剤も含み得る。懸濁剤は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールもしくはソルビタンエステル、微結晶性セルロース、食用の水素添加脂肪、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アカシアゴム、寒天、およびナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、またはこれらの物質の混合物などの懸濁化剤も含み得る。経口投与に適する本発明の薬学的組成物の液体製剤は、液状形態または使用前に水もしくは別の適切なビヒクルで復元するための乾燥製品の形態のいずれかで調製、包装、および販売され得る。 公知の分散剤または湿潤剤には、レシチンのような天然に存在するリン脂質、酸化アルキレンと、脂肪酸、長鎖脂肪族アルコール、脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステル、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、それぞれ、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、およびモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)が含まれる。公知の乳化剤にはレシチンおよびアラビアゴムが含まれる。公知の保存剤には、メチル、エチル、またはn-プロピル-パラ-ヒドロキシベンゾアート、アスコルビン酸、およびソルビン酸が含まれる。公知の甘味剤には、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、スクロース、およびサッカリンが含まれる。油性懸濁剤用の公知の増粘剤には、例えば蜜ろう、固形パラフィン、およびセチルアルコールが含まれる。 他の態様において、薬学的組成物は、食品の形態のもしくは食品に添加された機能性食品(例えば直接消費することが意図された加工品)、または食品材料(例えば摂取する前に食品に混和することが意図された可食成分)として調製され得る。適切な食品の例には、棒付きキャンディーのようなキャンディー、クラッカー、パン、クッキー、およびスナックケーキなどの焼き製品、丸ごと、ピューレ状、またはつぶした果物および野菜、飲料、ならびに食肉加工品が含まれる。適切な食品材料の例には、製粉した穀類および糖、香辛料および他の調味料、ならびにシロップが含まれる。本明細書において記載する粒子送達系は、化合物の分解を最小化するために、長期間にわたって高い調理温度に曝露されないことが好ましい。 直腸または膣投与用の組成物は、通常の室温では固体であるが、体温では液体であり、したがって、直腸または膣腔中で融解し、粒子送達系を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコール、または坐剤用ワックスなど適切な非刺激性賦形剤または担体と粒子送達系を混合することによって調製することができる。このような組成物は、例えば、坐剤、停留浣腸製剤、および直腸または結腸の洗浄用の液剤の形態であり得る。坐剤は、抗酸化剤および保存剤を含む様々な付加的成分をさらに含み得る。停留浣腸製剤または直腸もしくは結腸の洗浄用の液剤は、活性成分を薬学的に許容される液体担体と混合することによって製造することができる。当技術分野において公知であるように、浣腸製剤は、ヒト直腸の解剖学的構造に適合させた送達器具を用いて投与することができ、かつその送達器具内に包装することができる。浣腸製剤は、抗酸化剤および保存剤を含む様々な付加的成分をさらに含み得る。 本発明の薬学的組成物は、口腔経由の肺投与に適した製剤形態で調製、包装、または販売され得る。このような組成物は、好都合には、噴霧剤の流れを向けて粉末を分散させることができる乾燥粉末貯蔵器を含む器具を用いて、または密閉容器中の低沸点噴霧剤中に懸濁された粒子送達系を含む器具のような自力で噴霧する溶媒/粉末投薬容器を用いて投与するための乾燥粉末の形態である。乾燥粉末組成物は、糖のような固体の細粉末希釈剤を含み得、かつ好都合には単位用量形態で提供される。低沸点噴霧剤には、一般に、大気圧下で華氏65度未満の沸点を有する液体噴霧剤が含まれる。一般に、噴霧剤は組成物の50〜99.9%(w/w)を構成し得、かつ活性成分は、組成物の0.1〜20%(w/w)を構成し得る。噴霧剤は、液体の非イオン性サーファクタントもしくは固体のアニオン性サーファクタント、または(好ましくは、粒子送達系を含む粒子と同じ程度の粒径を有する)固体希釈剤などの付加的成分をさらに含み得る。 肺送達用に調剤された本発明の薬学的組成物はまた、懸濁剤の液滴の形態で活性成分を提供し得る。このような製剤は、粒子送達系を含む、任意で滅菌された水性懸濁剤または希アルコール懸濁剤として調製、包装、または販売され得、かつ任意の噴霧化器具もしくは微粒化器具を用いて簡便に投与され得る。このような製剤は、サッカリンナトリウムのような矯味剤、揮発性油、緩衝剤、表面活性剤、またはメチルヒドロキシベンゾアートのような保存剤を含む、1種または複数種の付加的成分をさらに含み得る。 肺送達に有用であるとして本明細書において記載する製剤はまた、本発明の薬学的組成物の鼻腔内送達にも有用である。鼻腔内投与に適した別の製剤は、粒子送達系を含む粗末である。このような製剤は、嗅剤が摂取される様式で、すなわち鼻孔の近くに保持された粉末容器から鼻腔を通しての急速な吸入によって投与される。 本発明の薬学的組成物は、口腔内投与に適した製剤形態で調製、包装、または販売され得る。このような製剤は、例えば、従来の方法を用いて製造される錠剤またはロゼンジの形態であり得、かつ、例えば、0.1〜20%(w/w)の粒子送達系、経口的に溶解可能または分解可能な組成物を含む平衡液(balance)、および任意で、本明細書において記載する付加的成分のうちの1種または複数種を含み得る。または、口腔内投与に適する製剤は、粒子送達系を含む粉末またはエアロゾル化もしくは微粒化された溶液もしくは懸濁液を含み得る。抗体 本明細書において使用される場合、「抗体」(Ab)または「モノクローナル抗体」(Mab)という用語は、タンパク質に特異的に結合することができる完全な分子ならびに抗体断片(例えばFab断片およびF(ab')2断片など)を含むことが意図されている。Fab断片およびF(ab')2断片は、完全な抗体のFc断片を欠き、血液循環からより急速に消失し、かつ完全な抗体よりも少ない非特異的組織結合を有し得る。したがって、これらの断片、ならびにFabまたは他の免疫グロブリン発現ライブラリーの生成物が好ましい。さらに、本発明の抗体には、キメラ抗体、単鎖抗体、およびヒト化抗体が含まれる。 抗体は、当技術分野においてかなり多数の公知の技術を用いて調製することができる。適切な技術を以下に手短に考察する。抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルでよい。ポリクローナル抗体は、作製の迅速さ、ならびに強力な免疫蛍光染色および抗原捕捉を確実にする複数のエピトープに対する特異性を含む、初期開発に対する顕著な利点を有し得る。モノクローナル抗体は、大量生産に適合できる;好ましい態様は、標的抗原のエピトープに特異的な少なくとも1種のモノクローナル抗体を含む。ポリクローナル調製物は大量生産向けに容易に再現することはできないため、別の態様では、少なくとも4種のモノクローナル抗体の反応混液を使用する。 単鎖Fv(「scFv」または「sFv」)ポリペプチドは、直接結合された、またはペプチドをコードするリンカーによって結合された、VH-およびVL-コード配列を含む核酸から発現され得る、共有結合されたVH:VLヘテロダイマーである。Huston, et al.Proc.Nat.Acad.Sci.USA, 85: 5879-5883 (1988)。抗体のV領域に由来する、天然に集合しているが化学的には別々の軽鎖および重鎖ポリペプチド鎖を、折り畳まって、抗原結合部位の構造に実質的に類似した3次元構造になるscFv分子に変換するためのいくつかの構造体。例えば、米国特許第6,512,097号、第5,091,513号および第5,132,405号、ならびに第4,956,778号を参照されたい。 一つのクラスの態様において、組換え体設計方法を使用して、抗体の可変領域に由来する、天然に集合しているが化学的に別々の2つの軽鎖および重鎖ポリペプチド鎖を、折り畳まって、天然の抗体構造に実質的に類似した3次元構造になるsFv分子に変換するための適切な構造体(リンカー)を開発することができる。設計基準は、一方の鎖のC末端ともう一方の鎖のN末端の間の距離にまたがるのに適切な長さの測定を含み、この際、リンカーは一般に、コイル化する傾向も二次構造を形成する傾向もない小型の親水性アミノ酸残基から形成される。このような方法は、当技術分野において説明された。例えば、Hustonらの米国特許第5,091,513号および第5,132,405号;ならびにLadnerらの米国特許第4,946,778号を参照されたい。 これに関して、リンカー設計の最初の一般的段階は、結合される可能性が高い部位の同定を含む。VHおよびVLポリペプチドドメインそれぞれの表面の適切な結合部位には、ポリペプチドドメインからの残基の損失を最小限しか起こさず、かつ分子安定性の必要性と矛盾しない最小限の数の残基を含むリンカーを必然的に伴うものが含まれる。一対の部位が、結合されるべき「ギャップ」を画定する。1つのドメインのC末端をその次のドメインのN末端に連結するリンカーは、一般に、生理的溶液中で明確な構造を持たない立体配置を呈し、かつ好ましくは、VH鎖およびVL鎖の適切な折り畳みを妨害し得る大型側鎖を有する残基が無い親水性アミノ酸を含む。したがって、本発明のもとで適切なリンカーは、一般に、グリシン残基およびセリン残基の交互のセットからなるポリペプチド鎖を含み、かつ溶解性を向上させるために挿入されたグルタミン酸残基およびリシン残基を含み得る。このようなリンカー部分をコードするヌクレオチド配列は、当技術分野において公知の様々なオリゴヌクレオチド合成技術を用いて容易に提供することができる。 または、ヒト化抗体断片は、マウスのモノクローナル抗体の抗原結合部位およびヒト抗体に由来する可変領域断片(抗原結合部位を欠いている)を含み得る。キメラ抗体およびさらに人工的に作り出されたモノクローナル抗体を作製するための手順には、Riechmannら(Nature 332 : 323,1988)、Liuら(PNAS 84 : 3439,1987)、Larrickら(Bio Technology 7: 934,1989)、ならびにWinterおよびHarris(TIPS 14 : 139, May, 1993)に記載されているものが含まれる。 ヒト抗体を作製するための一つの方法は、トランスジェニックマウスのような非ヒト動物を標的抗原で免疫化し、それによってその標的抗原を標的とする抗体を該動物中で生成させる段階を含む。非ヒト動物においてヒト抗体を生成させるための手順が開発されている。これらの抗体は部分的にヒト、または好ましくは完全にヒトであり得る。1種または複数種のヒト免疫グロブリン鎖をコードしている遺伝物質を導入された(トランスジェニックマウスのような)非ヒト動物が、使用され得る。このようなトランスジェニックマウスは、様々な方法で遺伝的に改変され得る。遺伝子操作により、免疫化後に動物によって産生される少なくとも一部の(好ましくはほぼすべての)抗体中の内因性免疫グロブリン鎖と入れ替わるヒト免疫グロブリンポリペプチド鎖を生じることができる。標的抗原でトランスジェニック動物を免疫化することによって産生される抗体が、本明細書において提供される。 1種または複数種の内因性免疫グロブリン遺伝子が様々な手段によって不活性化されたマウスが準備された。不活性化されたマウス遺伝子と入れ替えるために、ヒト免疫グロブリン遺伝子がマウスに導入された。動物中で産生される抗体は、その動物中に導入されたヒト遺伝物質によってコードされるヒト免疫グロブリンポリペプチド鎖を組み入れている。このようなトランスジェニック動物の作製および使用のための技術の例は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,814,318号、第5,569,825号、および第5,545,806号において記載されている。 モノクローナル抗体は、従来の手順によって、例えば、免疫化スケジュールの完了後にトランスジェニック動物から採取された脾臓細胞を不死化することによって作製され得る。これらの脾臓細胞は、従来の手順により、ハイブリドーマを作製するために骨髄腫細胞と融合され得る。 ハイブリドーマ細胞株を作製するための方法は、標的抗原の少なくとも7つの連続したアミノ酸残基を含む免疫原でこのようなトランスジェニック動物を免疫化する段階;免疫化した動物から脾臓細胞を採取する段階;採取した脾臓細胞を骨髄腫細胞株に融合させ、それによってハイブリドーマ細胞を生成させる段階;および標的抗原に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を同定する段階を含む。このようなハイブリドーマ細胞株およびそれらから産生されるモノクローナル抗体は、本発明によって包含される。ハイブリドーマ細胞株によって分泌されたモノクローナル抗体は、従来の技術によって精製される。 別の態様において、抗体断片は、競合する1セットの抗原の存在下での、1セットの抗原に対する非免疫性のファージディスプレイ抗体レパートリーからの選択によって作製される(Stausbol-Gron, B., et al., De novo identification of cell-type specific antibody-antigen pairs by phage display subtraction. Isolation of a human single chain antibody fragment against human keratin 14.Eur J Biochem 2001 May; 268(10):3099-107)。このアプローチを用いて、標的抗原を標的とするファージ抗体を作製することができる。このプロトコールは、一般に、Stausbol-Gron, B., et al., 2001によって記載されているものに基づく。手短に言えば、免疫化されていない半合成のファージディスプレイ抗体レパートリーが使用される。このレパートリーは、loxライブラリーから重鎖および軽鎖領域を再クローニングすることによって構築された、単鎖Fv(scFv)のファージミドレパートリーである(Griffiths, A.D., et al. (1994) Isolation of high affinity human antibodies directly from large synthetic repertoires EMBO J. 13, 3245-3260.)。大腸菌TG1(supE hsdD5 Δ(lac-proAB) thi F'{traD36 proAB+ lacIq lacZΔM15])は、アンバーサプレッサー株(supE)であり、ファージ粒子の増殖用に使用される。大腸菌HB2151(ara Δ(lac-proAB) thi F'{proAB+ lacIq lacZΔM15])は、ノンサプレッサー株であり、可溶性scFvの発現用に使用される。別の態様において、文献に記載されているようにして(Gao, at al., Making chemistry selectable by linking it to infectivity, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, Vol.94, pp. 11777-11782, October 1997)、ヒト単鎖のFv(scFv)ライブラリーを増幅およびレスキューすることができる。PBS(10mMリン酸、150mM NaCl、pH7.4)中に懸濁させた標的抗原に対してライブラリーをパンニングし、かつ酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって陽性のscFv-ファージを選択する。 他の好ましい態様において、抗体は、組換え抗体、好ましくは単鎖Fv抗体をコードしている発現ベクターを提供することによって供給される。実施例1 図1は、酵母細胞壁の横断面の概略図100である。外側から内側に向かって、外側の繊維層110、外側のマンノプロテイン層120、βグルカン層130、βグルカン層-キチン層140、内側のマンノプロテイン層150、形質膜160、および細胞質170を示す。WGP粒子の調製 全グルカン粒子(WGP、ロットW0282)を予めAlpha-Beta Technologyから入手した。一般に、全グルカン粒子は、酵母細胞壁からアルカリ不溶性のグルカン画分を抽出および精製することによって酵母細胞から調製される。酵母細胞壁を粉砕せずに、細胞のタンパク質および細胞内部分を消化する水酸化物水溶液で酵母細胞を処置して、著しいタンパク質混入が無く、かつβ(1-6)結合グルカンおよびβ(1-3)結合グルカンからなる不変の細胞壁構造を実質的に有するグルカン壁成分を残す。フェドバッチ発酵条件下、最小培地中で酵母細胞(S.セレビシエ株R4)を中期対数期まで増殖させた。2000rpm、10分間のバッチ式遠心分離によって、細胞(乾燥細胞重量約90g/L)を回収した。次いで、これらの細胞を蒸留水中で1回洗浄し、次いで1M NaOH 1リットル中に再懸濁し、かつ摂氏90度まで加熱した。この細胞懸濁液をこの温度で1時間、勢いよく攪拌した。2000rpmで10分間遠心分離することによって、細胞壁を含む不溶性材料を回収した。次いで、この材料を1M NaOH 1リットル中に再懸濁し、かつ摂氏90度まで再度加熱した。この懸濁液をこの温度で1時間、勢いよく攪拌した。次いで、懸濁液を室温まで放冷させ、かつさらに16時間、抽出を継続した。2000rpmで10分間の遠心分離によって、不溶性残留物を回収した。摂氏75度で1時間、HClでpH4.5に調整した水1リットル中でこの材料を最後に抽出した。遠心分離によって不溶性残留物を回収し、かつ水200ミリリットルで3回、イソプロパノール200ミリリットルで4回、およびアセトン200ミリリットルで2回、洗浄した。結果として生じるスラリーをガラス製トレイに入れ、かつ減圧下、摂氏55度で乾燥させて、白色の細粉末7.7gを得た。 全グルカン粒子およびそれらを調製するプロセスのより詳細な説明は、その教示が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,810,646号;第4,992,540号;第5,028,703号;第5,607,677号、および第5,741,495号において見出すことができる。例えば、米国特許第5,028,703号では、発酵培養中の酵母細胞から酵母WGP粒子が作製され得ることを開示している。Sorval RC2-B20遠心分離機中、8000rpm、20分間のバッチ式遠心分離によって、細胞を回収した。次いで、全グルカン抽出用に準備するために、これらの細胞を蒸留水中で2回洗浄した。第1の段階は、4% w/v NaOH 1リットル中に細胞塊を再懸濁し、かつ摂氏100度まで加熱することを含んだ。この細胞懸濁液をこの温度で1時間、勢いよく攪拌した。2000rpmで15分間遠心分離することによって、細胞壁を含む不溶性材料を回収した。次いで、この材料を3% w/v NaOH 2リットル中に再懸濁し、かつ摂氏75度まで加熱した。この懸濁液をこの温度で3時間、勢いよく攪拌した。次いで、懸濁液を室温まで放冷させ、かつさらに16時間、抽出を継続した。2000rpmで15分間の遠心分離によって、不溶性残留物を回収した。摂氏75度で1時間、HClでpH4.5に調整した3% w/v NaOH 2リットル中でこの材料を最後に抽出した。遠心分離によって不溶性残留物を回収し、かつ水200ミリリットルで3回、無水エタノール200ミリリットルで1回、および無水エチルエーテル200ミリリットルで2回、洗浄した。結果として生じるスラリーをペトリ皿上に載せ、乾燥させた。YGMP粒子の調製 S.セレビシエ(Fleishmans Bakers yeast 100g)を1M NaOH 1リットル中に懸濁し、かつ摂氏55度まで加熱した。この細胞懸濁液をこの温度で1時間、混合した。2000rpmで10分間遠心分離することによって、細胞壁を含む不溶性材料を回収した。次いで、水1リットル中にこの材料を懸濁し、HClでpH4〜5に調整し、かつ摂氏55度で1時間、インキュベートした。遠心分離によって不溶性残留物を回収し、かつ水1000ミリリットルで1回、無水イソプロパノール200ミリリットルで4回、およびアセトン200ミリリットルで2回、洗浄した。結果として生じるスラリーをガラス製トレイに入れ、室温で乾燥させて、わずかに色味がかった白色の細粉末12.4gを得た。YGMP粒子の調製 S.セレビシエ(SAF-Mannan 75g)を水1リットル中に懸濁し、1M NaOHでpH12〜12.5に調整し、かつ摂氏55度まで加熱した。この細胞懸濁液をこの温度で1時間、混合した。2000rpmで10分間遠心分離することによって、細胞壁を含む不溶性材料を回収した。次いで、水1リットル中にこの材料を懸濁させ、HClでpH4〜5に調整し、かつ摂氏55度で1時間、インキュベートした。遠心分離によって不溶性残留物を回収し、かつ水1000ミリリットルで1回、無水イソプロパノール200ミリリットルで4回、およびアセトン200ミリリットルで2回、洗浄した。結果として生じるスラリーをガラス製トレイに入れ、室温で乾燥させて、わずかに色味がかった白色の細粉末15.6gを得た。YCP粒子の調製 アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(ATCC、Manassas,VA)から入手した培養物に由来する酵母細胞(ロドトルラ(Rhodotorula)種)を摂氏30度、YPD中で定常期まで好気的に増殖させた。ATCCから入手可能なロドトルラ種培養物には、886番、917番、9336番、18101番、20254番、20837番、および28983番が含まれる。2000rpm、10分間のバッチ式遠心分離によって、細胞(1L)を回収した。次いでこれらの細胞を蒸留水中で1回洗浄し、次いで摂氏75度で1時間、HClでpH4.5に調整した水に再懸濁した。2000rpmで10分間遠心分離することによって、細胞壁を含む不溶性材料を回収した。次いで、この材料を1M NaOH 1リットル中に懸濁し、かつ1時間、摂氏90度まで加熱した。次いで、懸濁液を室温まで放冷させ、かつさらに16時間、抽出を継続した。2000rpmで15分間の遠心分離によって不溶性残留物を回収し、かつ水1000ミリリットルで2回、イソプロパノール200ミリリットルで4回、およびアセトン200ミリリットルで2回、洗浄した。結果として生じるスラリーをガラス製トレイに入れ、室温で乾燥させて、明るい茶色の細粉末2.7gを得た。 図2Aは、酵母細胞壁粒子の構造図であり;図2Bは、酵母細胞壁粒子のマンナン成分のコンカナバリン-A-FITC(con-A-フルオレセインイソチオシアナート、Sigma Chemical, St.Louis, MO)染色を示す蛍光顕微鏡写真であり;図2Cは、YGMPβグルカン-マンナン粒子の構造図であり、図2Dは、YGMPβグルカン-マンナン粒子の斑点状のcon-A-FITC染色を示す蛍光顕微鏡写真であり;図2Eは、YGPβグルカン粒子の構造図であり、かつ図2Fは、YGPβグルカン粒子のcon-A-FITC染色が無いことを示す蛍光顕微鏡写真である コンカナバリン-Aは、マンノースに選択的に結合するレクチンである。様々な酵母細胞壁調製物の表面上のマンナンの量および分布パターンを観察するために、蛍光顕微鏡検査法によってコンカナバリン-A-FITC結合を評価した。パン酵母(Fleishmans Bakers yeast)、YGMP、およびYGPのPBS+1mM MgCl2+1mM CaCl2中の懸濁液を1×108粒子/mlの濃度で調製した。Con-A-FITCストック溶液は、PBS+1mM MgCl2+1mM CaCl2中の1mg/mlコンカナバリン-A-FITCであった。PBS+1mM MgCl2+1mM CaCl2 100μl、酵母細胞壁粒子懸濁液2.5μl、con-A-FITCストック溶液2.5μlからなる標識混合物を微量遠心チューブ中で調製した。 標識混合物を含む微量遠心チューブを室温で1時間、暗所でインキュベートした。遠心分離(10,000rpmで10分間)を実施し、続いて沈殿物をPBS 100μlで3回洗浄することによって酵母細胞壁粒子を回収した。洗浄した酵母細胞壁粒子をPBS 100μl中に再懸濁し、かつ蛍光顕微鏡による検査のために96ウェルプレートに移した。例示的な視野の写真を図2B、2D、および2Fに示す。以下の表2において、前述したようにして調製したWGP粒子、YGP粒子、YGMP粒子、およびYCP粒子の試料の化学組成の分析結果を要約する。YGP粒子およびYGMP粒子が、先行技術のWGP粒子と比べてβ-グルカン含有量が少なく、一般に約6〜約90重量パーセントの間であり、かつタンパク質含有量が多いことに留意されたい。YGMP粒子は、他の粒子タイプと比べてマンナン含有量が実質的に多く、一般に約6〜約90重量パーセントの間である。YCP粒子は、他の粒子タイプと比べてキチン+キトサン含有量が実質的に多く、一般的に約50〜約75重量パーセントの間である。 (表2)酵母細胞壁材料の化学組成実施例2 酵母細胞壁粒子の流体力学的体積 酵母細胞壁粒子の流体力学的体積を、粒子のペイロード容量の指標として測定した。風袋測定済の15ml遠心チューブ中で酵母細胞壁粒子の1gアリコートを計量して、乾燥粒子の重量を測定した。チューブに水(12.5ml)を添加し、かつそのチューブをボルテックスして酵母細胞壁粒子の懸濁液を混合した。これらの粒子を30分間膨潤させ、かつ水を吸収させた。粒子懸濁液を2000rpmで10分間遠心分離した。水を除去し、チューブを計量し、吸収された水の重量を算出した。吸収された水の重量と乾燥粒子の重量の比として、流体力学的体積を算出した。表3は、先行技術のWGPの2種の調製物ならびに本発明のYGPおよびYGMPの結果を示す。 (表3)例示的な酵母細胞壁調製物の流体力学的体積 WGP調製物2の流体力学的体積が小さいのは、この調製物においてより多数の粒子が崩壊したことに起因し得る。他の粒子に関しては、「より純粋な」YGPが、YGMPより大きな流体力学的体積を有した。 一般に、酵母細胞壁粒子によるペイロードの定量的吸収を確実にするために、ペイロード体積を66%未満の流体力学的体積に制限した。このルールによって、YGP粒子1mg当たり5.5μl以下のペイロードが充填されると考えられ、かつYGMP粒子1mg当たり4.4μl以下のペイロードが充填されると考えられる。実施例3 YGPおよびYGMPの経口バイオアベイラビリティ 取込み調査のために、蛍光標識した酵母グルカン粒子(YGP-F)および蛍光標識した酵母グルカン-マンナン粒子(YGMP-F)を調製した。出発原料は、以下のものであった:YGP 5ml(0.1Mホウ酸塩緩衝液、pH8中、5mg/ml)、YGMP 5ml(0.1Mホウ酸塩緩衝液、pH8中、5mg/ml)、新たに調製された、DMSO中ジクロロトリアジニルアミノフルオレセイン(DTAF)20mg/ml、および0.1Mホウ酸塩緩衝液、pH8。 25mgスケールで標識反応を実施した。粒子の25mgアリコートを0.1Mホウ酸塩緩衝液、pH8、5ml中に懸濁し、かつ超音波処理して、粒子の塊を単一の粒子に粉砕した。これらの粒子を遠心分離し、かつ0.1Mホウ酸塩緩衝液、pH8、5ml中に再懸濁した。DTAF(0.5ml、20mg/ml)を再懸濁した粒子に添加し、かつ摂氏37度で2日間インキュベートした。インキュベーションの最後に、1Mトリス緩衝液、pH8.3、5mlを添加し、かつその混合物を30分間インキュベートしてDTAFをクエンチした。インキュベートした粒子を遠心分離し、かつ上清が蛍光を発さなくなるまで、PBS中で洗浄した。洗浄したこれらの粒子を5mg/mlでPBS中に再懸濁した。アリコートの1:100希釈液中の粒子数を計数した。結果:蛍光性の極めて強い酵母細胞壁粒子が、YGP-F 1ml当たり1.8×109粒子およびYGMP-F 1ml当たり2.1×109粒子の濃度で作製された。 食細胞によるペイロードの粒子取込みが、マンノース受容体を介して、ならびにCR3/デクチン-1 βグルカン受容体によって標的とされ得るかを判定するために、表面の炭水化物組成物が酵母グルカン粒子の経口バイオアベイラビリティに与える影響を調査した。どちらか一方または双方の受容体を標的とする能力があると、マクロファージおよび樹状細胞以外のものまで細胞の標的集団を拡大することができる。 処置群を以下の表4に要約する。出発原料には次のものが含まれた:FITC標識酵母グルカン粒子(YGP-F)、FITC標識酵母グルカン-マンナン粒子(YGMP-F)、C57Blackマウス7匹の群およびC57/Bl6マウス7匹の群。PBS 0.1ml中で同等数の粒子を送達するようにYGP-F(1mg/ml)およびYGMP-F(3.7mg/ml)の用量を調製し、かつ5日間毎日、各群から1匹のマウスに経口胃管栄養法によって投与した。同じ用量を、5日間毎日、各群から1匹のマウスに0.1mlの皮下注射によって投与した。4日目に、ケージを変更し、新しい敷きわらを与えた。5日目に各群から糞粒を15mlの円錐形チューブ中に回収し、かつ後で処理するために凍結した。水5mlを添加し、かつ摂氏4度で2時間維持することによって、これらの糞粒を処理した。水を含んだ糞粒をPolytronホモジナイザーを用いてホモジナイズした。ホモジナイズした糞便の希釈物を96ウェルマイクロタイタープレート中に入れ、かつ蛍光性粒子の存在に関して、蛍光光および透過白色光条件下で顕微鏡的に検査した。蛍光性粒子を有するアリコートをさらに希釈し、かつ1ml当たりの蛍光性粒子数を血球計数器を用いて計数した。 7日目にマウスを屠殺し、かつ各動物から脾臓を取り出し、氷上のPBSを含む別々のチューブ中に入れた。これらの脾臓をハサミで細かく切り、かつ70ミクロンの網から押し出して単一細胞の懸濁液を作製した。FACSを用いて、蛍光性粒子で標識された細胞の部分を定量するために、PBS中1%ホルマリン中で単一細胞の懸濁液のアリコートを維持および固定した。脾臓の赤脾髄マクロファージ、クッパー細胞、ミクログリア、およびランゲルハンス細胞を染色する、マクロファージマーカーに対するフィコエリトリン(PE)標識抗体、好ましくはマウスのEmr-1(F4/80)を用いて、細胞懸濁液を染色する。 10%ウシ胎児血清(JRH Scientific)、ペニシリン-ストレプトマイシン、およびグルタミン(Gibco)を含むDMEM中に60mmペトリ皿当たり細胞107個の濃度で細胞懸濁液を播種し、5%CO2下、摂氏37度で24時間インキュベートして付着させた。インキュベーション後、付着していないリンパ球があれば洗い流した。付着した脾臓マクロファージ細胞をトリプシン処理し、固定し、かつ蛍光顕微鏡を用いて、蛍光性粒子を有する付着細胞の部分を評価した。 蛍光性粒子の投与は耐用性良好であった。付着した脾臓マクロファージの分析により、蛍光性粒子で処置されたすべての動物において蛍光性の酵母細胞壁粒子が存在することが実証された。これらの結果により、YGP-FおよびYGMP-Fの双方が経口的に生物利用可能であり、かつマクロファージによって全身的に分散され得ることが実証される。糞便の分析により蛍光性粒子の存在が実証され、使用した投薬量レベルでは経口吸収が不完全であることが示唆された。C57/Bl6マウスは、経口投与されたYGP-FおよびYGMP-Fを吸収することができた。取込み効率の推定値として糞便中の蛍光性粒子の数を定量した。 (表4)実施例4:キトサンを充填されたYGP粒子の調製 カチオン性閉じ込めポリマーであるキトサンを用いてYGP粒子を調製した。高分子量(HMW)キトサン(分子量約70,000、Sigma Chemical St.Louis, Mo)または低分子量(HMW)キトサン(分子量約10,000、Sigma Chemical St.Louis, Mo)のいずれかを用いて、0.1M酢酸中1% w/vキトサン溶液を調製した。1% w/vのHMWキトサン溶液およびLMWキトサン溶液の双方を0.1M酢酸中で調製した。HMWキトサン溶液またはLMWキトサン溶液4mlを50ml円錐形遠心チューブ中のYGP2gに添加し、かつ滑らかなペーストが形成されるまで混合した。この混合物を室温で1時間インキュベートして、液体を吸収させた。NaOH(40ml、0.1M)を各チューブに添加し、これを直ちにボルテックスして、YGPの内側にキトサンを沈着させた。YGP:キトサン懸濁液を18ゲージの針に通して、YGP:キトサン粒子の微細な懸濁液を作製した。遠心分離(2,000rpmで10分間)を実施し、続いて上清のpHが7〜8になるまで脱イオン水で沈殿物を洗浄することによって、YGP:キトサン粒子を回収した。次いで、YGP:キトサン粒子を沈殿物の2倍体積量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで沈殿物の2倍体積量のアセトンで2回洗浄した。次いで、YGP:キトサン粒子を室温、フード中で乾燥させた。この手順により、YGP:LMWキトサン粒子1.2gおよびYGP:HMWキトサン粒子1.4gが生じた。実施例5:CytoPure(商標)を充填されたYGP粒子の調製 生分解性のカチオン性閉じ込めポリマーであるCytoPure(商標)、すなわち登録商標を持つ市販の水溶性カチオン性ポリマートランスフェクション試薬(Qbiogene, Inc., CA)を用いてYGP粒子を調製した。CytoPure(商標)20μlを脱イオン水0.5ml中で希釈し、かつ50ml円錐形遠心チューブ中のYGP0.5gに添加し、滑らかなペーストが形成されるまで混合した。この混合物を摂氏4度で15分間インキュベートして、液体を吸収させた。エタノール25mlを各チューブに添加し、これを直ちにボルテックスして、YGPの内側にCytoPure(商標)を沈着させた。このYGP:CytoPure(商標)懸濁液を超音波処理して、YGP:CytoPure(商標)粒子の微細な懸濁液を作製した。遠心分離(2,000rpmで10分間)を実施し、続いて沈殿物を沈殿物の2倍体積量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで沈殿物の2倍体積量のアセトンで2回洗浄することによって、YGP:CytoPure(商標)粒子を回収した。次いで、YGP:CytoPure(商標)粒子を室温、フード中で乾燥させた。この手順により、YGP:CytoPure(商標)粒子0.45gが生じた。実施例6:ポリエチレンイミンを充填されたYGP粒子の調製 カチオン性閉じ込めポリマーとしてポリエチレンイミン(PEI)を用いてYGP粒子を調製した。PEI(分子量約50,000、Sigma Chemical Co., St.Louis, MO)の2%w/v水溶液の0.5mlアリコートを50ml円錐形遠心チューブ中のYGP0.5gに添加し、かつ滑らかなペーストが形成されるまで混合した。この混合物を室温で1時間インキュベートして、液体を吸収させた。エタノール25mlを各チューブに添加し、これを直ちにボルテックスして、YGPの内側にPEIを沈着させた。YGP:PEI懸濁液を18ゲージの針に通して、YGP:PEI粒子の微細な懸濁液を作製した。遠心分離(2,000rpmで10分間)を実施し、続いて沈殿物を沈殿物の2倍体積量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで沈殿物の2倍体積量のアセトンで2回洗浄することによって、YGP:PEI粒子を回収した。次いで、YGP:PEI粒子を室温、フード中で乾燥させた。この手順により、YGP:PEI粒子0.48gが生じた。実施例7:アルギナートを充填されたYGP粒子の調製 アニオン性閉じ込めポリマーとしてアルギナート(F200またはF200L、Multi-Kem Corp., Ridgefield, NJ)を用いてYGP粒子を調製した。アルギナートの1% w/v水溶液の2mlアリコートを50ml円錐形遠心チューブ中のYGP1gに添加し、かつ滑らかなペーストを形成するまで混合した。この混合物を室温で1時間インキュベートして、液体を吸収させた。この混合物を1% w/v塩化カルシウム水溶液40mlで希釈した。YGP:アルギナート懸濁液を18ゲージの針に通して、YGP:アルギナート粒子の微細な懸濁液を作製した。遠心分離(2,000rpmで10分間)によって、YGP:アルギナート粒子を回収した。YGP:アルギナート粒子を沈殿物の2倍体積量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで沈殿物の2倍体積量のアセトンで2回洗浄した。次いで、YGP:アルギナート粒子を室温、フード中で乾燥させた。この手順により、YGP:F200アルギナート粒子0.95gおよびYGP:F200Lアルギナート粒子0.86gが生じた。実施例8:ポリ-L-リシンを充填されたYGP粒子およびYGMP粒子の調製 閉じ込めポリマーとしてポリ-L-リシン(PLL)を用いてYGP粒子およびYGMP粒子を調製した。PLL(Sigma Chemical Co., St.Louis, MO)の1% w/v水溶液の4mlアリコートを50ml円錐形遠心チューブ中の1gのYGPまたはYGMPに添加した。この混合物を摂氏55度で30分間インキュベートして、液体を吸収させた。エタノール10mlを各チューブに添加し、これをホモジナイズして(Polytronホモジナイザー)、YGP:PLL粒子またはYGMP:PLL粒子の微細な懸濁液を作製した。遠心分離(2,000rpmで10分間)によって、YGP:PLL粒子またはYGMP:PLL粒子を回収した。YGP:PLLまたはYGMP:PLLを沈殿物の2倍体積量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで沈殿物の2倍体積量のアセトンで2回洗浄した。次いで、YGP:PLLまたはYGMP:PLLを室温、フード中で乾燥させた。この手順により、YGP:PLL粒子1.3gおよびYGMP:PLL粒子1.1gが生じた。顕微鏡的評価では、遊離したPLL凝集体は無く、YGP:PLL粒子またはYGMP:PLL粒子のみが示された。実施例9:キサンタンを充填されたYGP粒子およびYGMP粒子の調製 アニオン性閉じ込めポリマーとしてキサンタンを用いてYGP粒子およびYGMP粒子を調製した。1% w/vキサンタン水溶液の4mlアリコートを摂氏55度まで加熱して粘度を低下させ、かつ50ml円錐形遠心チューブ中の1gのYGPまたはYGMPに添加した。この混合物を摂氏55度で30分間インキュベートした。エタノール10mlを各チューブに添加し、これをホモジナイズして(Polytronホモジナイザー)、YGP:キサンタン粒子またはYGMP:キサンタン粒子の微細な懸濁液を作製した。遠心分離(2,000rpmで10分間)によって、YGP:キサンタン粒子またはYGMP:キサンタン粒子を回収した。YGP:キサンタン粒子またはYGMP:キサンタン粒子を沈殿物の2倍体積量のイソプロパノールで4回洗浄し、次いで沈殿物の2倍体積量のアセトンで2回洗浄した。次いで、YGP:キサンタン粒子またはYGMP:キサンタン粒子を室温、フード中で乾燥させた。この手順により、YGP:キサンタン粒子1.2gおよびYGMP:キサンタン粒子1.1gが生じた。顕微鏡的評価では、遊離したキサンタン凝集体は無く、YGP:キサンタン粒子またはYGMP:キサンタン粒子のみが示された。実施例10:YGP:キトサンおよびYGP:アルギナートが荷電色素に結合する能力の評価 上記の実施例7および9において説明したようにして、YGP:キトサン粒子およびYGP:アルギナート粒子を調製した。トリパンブルー(Benzamine blue; CI23850)、アニオン性色素、およびキシレンシアノール(アシッドブルー、カチオン性色素)の0.1% w/v水溶液を調製した。色素の0.1% w/v水溶液の50μlアリコートを微量遠心チューブ中の10mgのYGP、YGP:キトサン、またはYGP:アルギナートに添加し、かつこの混合物を室温で1時間インキュベートした。上清溶液の色が無くなるまで、沈殿物を脱イオン水で洗浄した。沈殿物の色を評価した;これらの結果を以下の表5に提示する。 (表5) YGP内側の不溶性閉じ込めポリマー間の静電的相互作用により、反対の電荷を持つ低分子量モデル色素ペイロードに結合することができた。実施例11 物理的閉じ込めによって分子を閉じ込めるためのYGP:アガロースの使用 YGP中にペイロードを閉じ込めるための手段としての物理的閉じ込めを評価するためにYGP:アガロースを調製した。アガロース(Sigma Chemical Co., St.Louis, MO)の2% w/v溶液をTE中で調製し、かつ摂氏50度まで冷却した。TE中1mg/mlサケ精子DNAストック溶液を摂氏50度で希釈して、TE中または1%アガロース中0.5mg/ml DNA溶液とした。YGPの500mgアリコートをTE中DNA 500μlまたはアガロース中DNA 500μlと摂氏50度で混合し、かつこの混合物を摂氏50度で1時間インキュベートした。次いでこの混合物を冷蔵装置中で1時間冷却してアガロースを凝固させた。1時間後に、TE10mlを添加し、かつこの混合物を冷蔵装置中で一晩インキュベートした。次いでこの混合物を遠心分離し、かつ上清中のDNAを260nmでの吸収度によって測定した。添加されたDNAの1%未満しか対照のYGP:TEによって保持されなかったのに対し、添加されたDNAの約80%超がYGP:アガロースによって保持された。これらの結果により、アガロースが、物理的閉じ込めによってYGPの内側にDNAを効果的に閉じ込めることが示唆される。実施例12:物理的閉じ込めによって分子を閉じ込めるためのYGP:ポリアクリルアミドの使用 YGP中にペイロードを閉じ込めるための手段としての物理的閉じ込めを評価するためにYGP:ポリアクリルアミドを調製した。TE中1mg/mlサケ精子DNAストック溶液を希釈して、TE中または30%ポリアクリルアミド/ビス(Sigma Chemical Co., St.Louis, MO)中0.5mg/ml DNA溶液とした。TEMED(N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン)を各DNA混合物に添加し(DNA溶液5mlに対してTEMED 1μl)、かつ各溶液の2mlアリコートをYGP 1gに添加した。結果物を混合して均一な懸濁液を形成させ、かつ室温で3時間インキュベートした。3時間のインキュベーション後に、TE10mlを添加し、かつこの混合物を冷蔵装置中で一晩インキュベートした。次いでこの混合物を遠心分離し、かつ上清中のDNAを260nmでの吸収度によって測定した。添加されたDNAの1%未満しか対照のYGP:TEによって保持されなかったのに対し、添加されたDNAの約95%超がYGP:ポリアクリルアミドによって保持された。これらの結果により、ポリアクリルアミドが、物理的閉じ込めによってYGPの内側にDNAを閉じ込めるのに使用するのに有効な閉じ込めポリマーであることが示唆される。実施例13 低分子テトラサイクリンのYGPへの充填 比較的難溶性のテトラサイクリン-カルシウム塩を用いて、抗生物質テトラサイクリン(tet)をYGP中に充填した。使用した酵母細胞壁粒子は、前述したようにして調製したYGP、YGP:F200アルギナート、およびYGP:F200Lアルギナートであった。ストック溶液は、1M CaCl2および100mg/mlテトラサイクリンHCl(Sigma Chemical Co., St.Louis, MO)であった。以下の表6に要約するようにして充填混合物を準備した。これらの混合物を室温で30分間インキュベートし、次いで表に示すように脱イオン水または1M CaCl2を添加した。60分後、室温でこれらの混合物を超音波処理し、かつ少なくともさらに30分間、室温でインキュベートした。 (表6) 次いで、これらの混合物を遠心分離(2,000rpmで10分間)し、かつ沈殿物の黄色および最初の上清の黄色によってテトラサイクリンの存在を示した。テトラサイクリン吸収スペクトルのピークである355nmでの吸収度の低下から、酵母細胞壁粒子中へのテトラサイクリンの充填量を算出した。脱イオン水200μl中100mg/mlテトラサイクリンHClストック溶液4μlの希釈物は、ブランクの脱イオン水と比べて355nmで0.538の吸光度を有した。充填された酵母細胞壁粒子からPBSまたは0.1M HCl中へのテトラサイクリンの放出もまた、分光光度的に測定した。 これらの結果を上記の表6に要約する。一般に、YGP:F200アルギナートおよびYGP:F200Lアルギナート沈殿物が洗浄後に黄色であったのに対し、YGP沈殿物は黄色ではなく、これにより、閉じ込めポリマーが無い場合は、塩酸塩またはカルシウム塩のいずれかとしてのテトラサイクリン充填がたとえあるとしてもほとんどないことが示唆された。一方、テトラサイクリンは、YGP:F200アルギナート製剤およびYGP:F200Lアルギナート製剤中に効果的に充填され、かつ閉じ込められ、添加されたテトラサイクリン充填物の約25〜30%がアルギン酸カルシウム塩として吸着された。閉じ込められたテトラサイクリンは、YGP:F200アルギナートおよびYGP:F200Lアルギナートから0.1M HCl中に放出された。閉じ込められたテトラサイクリンは、摂氏37℃で1時間、PBS中のYGP:F200アルギナートおよびYGP:F200Lアルギナート中である程度、0.1M HClで抽出可能な量の約26.5〜51.6%、保持された。 要約すると、テトラサイクリンは、YGP-アルギナート-カルシウム組成物中のアルギン酸カルシウム塩複合体として容易に閉じ込められたが、YGP単独の内部には効果的に充填および保持されなかった。YGP:F200アルギナートおよびYGP:F200Lアルギナート中にアルギン酸カルシウム複合体として閉じ込められたテトラサイクリンは、摂氏37度のPBS中に緩徐に放出され、かつ酸性条件下で実質的に放出された。実施例14:J774マクロファージのインビトロでの殺菌死滅を増大させる際のTetおよびYGP:Tetの有効性 上記の実施例13において説明したようにして、YGP:アルギナート-tetを調製した。ストック溶液1ml当たりのYGPおよびYGP:アルギナート-tetの粒子数は、それぞれ9×107/mlおよび6×108/mlであった。 マウスマクロファージ、J774(5×105/ml)1mlを、上記の表7に要約した様々な濃度のYGP、YGP:アルギナート-tet、またはテトラサイクリンと混合した。J774細胞を培地(抗生物質もグルタミンも含まない、10%ウシ胎児血清含有DMEM)中で一晩培養した。これらの培養物を、培地のみ、培地中で希釈したテトラサイクリン、または培地中で希釈した粒子と共に、回転させながら摂氏37度で1時間インキュベートして、粒子の食作用を可能にした。微生物殺菌アッセイを96ウェルプレート中で開始した。これらの培養物を培地中で希釈し、かつ一晩インキュベートして、食作用を受けたYGP:アルギナート-tet粒子からのtetの代謝および放出を起こさせた。表6に示すように細菌感染を加え、かつこれらの培養物をCO2インキュベーター中、摂氏37度で2時間インキュベートして、J774マウスマクロファージによる黄色ブドウ球菌(S. aureus)の食作用および死滅化を起こさせた。このインキュベーションの後、LB培地(ルリア・ベルターニ(Luria-Bertani)培地:1.0%トリプトン、0.5%酵母抽出物、1.0%NaCl)200μlを各培養物に添加してマクロファージを分解した。摂氏37度、インキュベーター中で培養物をインキュベートして、生き残っている黄色ブドウ球菌を増殖させた。フェノールレッドにより示されるpHの変化によって、増殖をモニターした。YGP、YGP:アルギナート-tet、またはテトラサイクリンの効果を比較した。これらの結果を表7の一番右の2つの列において提供する。 (表7)YGP粒子を充填されたJ774マウスマクロファージによる黄色ブドウ球菌死滅 約7.5×106個のYGP:アルギナート-tet粒子は、約2.5μg/mlのテトラサイクリンHClとほぼ同等の効果をマクロファージに対してもたらした。マクロファージ単独は、いずれかの様式でテトラサイクリンで処置されたマクロファージより相対的に効果が低く、かつ空のYGPのみで処置したマクロファージとほぼ同じくらいの効果であった。溶液中で遊離のテトラサイクリンと組み合わせたマクロファージは、テトラサイクリン単独と比べて効果はそれほど変わらなかった。YGP:アルギナート-tet粒子で処置したマクロファージは、顕著な相乗作用を示した。一般に、これらの結果により、J774細胞中へのテトラサイクリンのファゴソーム送達が、J774マクロファージ細胞の黄色ブドウ球菌に対する殺菌能力を増強することが実証される。実施例15:YGP中へのタンパク質の充填 治療用のペプチドもしくはタンパク質、ワクチン抗原、または他のペプチドもしくはタンパク質の保持、輸送、および送達のための本発明の送達系の有用性を、ウシ胎児血清の混合性タンパク質を用いて評価した。使用した酵母細胞壁粒子は、前述のようにして調製したYGP、YGP-PEI、およびYGP-キトサンであった。ストック溶液は、45ng/μlウシ胎児血清(FCS)(ウシ胎児血清、JRH Biosciences, Lenexa, KS)、TE中0.2%PEI(Sigma Chemical Co., St.Louis, MO)、0.05Mリン酸緩衝液、pH7.2(P緩衝液)、および0.05Mリン酸緩衝液、pH7.2、1M NaCl(P+塩緩衝液)であった。 表8に示すように、微量遠心チューブ中の1mgのYGP、YGP-P、またはYGP-CNにFCS 4μlを添加し、かつ結果として生じる混合物を室温で60分間インキュベートして、粒子に液体を吸収させた。インキュベーション後、リン酸緩衝液200μlまたはPEI 200μlは表8に示したとおりであり、かつ結果として生じる混合物を室温で60分間インキュベートした。インキュベーション後、リン酸緩衝液0.5mlを添加し、かつさらに5分間のインキュベーション後、これらのチューブを超音波処理して単一粒子を作製した。10,000rpmで10分間遠心分離することによってこれらの粒子を沈殿させ、かつ上清を新しいチューブに取り出した。0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.2+1M NaCl 0.5mlをこれらの沈殿物に添加し、かつさらに5分間のインキュベーション後、10,000rpmで10分間これらのチューブを遠心分離し、高塩濃度溶出上清を新しいチューブに取り出した。これらの上清のタンパク質含有量を280nmでの吸収度によって測定した。 (表8) タンパク質充填の結果を表9に示す。閉じ込め分子を伴わないYGP粒子は、与えられたタンパク質の5%しか閉じ込めなかった。最初にFCSタンパク質を充填し、次いでPEIに曝露されたYGP粒子は、タンパク質充填物の47%を保持した。PEIまたはキトサンなどの閉じ込めポリマーを予め充填された後にこのようなタンパク質充填物に曝露されたYGP粒子は、それぞれタンパク質充填物の68%および60%を保持した。 (表9) これらの結果により、血清タンパク質が、閉じ込めポリマー無しではYGP中に効果的に充填および閉じ込めされないことが実証される。ペイロードタンパク質に曝露する前に閉じ込めポリマーを予め充填したYGPを用いると、タンパク質の閉じ込めが増加した。または、最初にタンパク質を充填し、次いでその粒子内部でタンパク質を隔離するために可溶性閉じ込めポリマーを添加することによって、タンパク質をYGPの内側に閉じ込めることもできる。実施例16:YGP中にDNAを充填する様々な方法の比較 YGP、低分子量(LMW)キトサンを含むYGP、または高分子量(HMW)キトサンを含むYGP中にサケ精子DNAを充填するいくつかの方法を評価した。a.毛管現象による充填とそれに続くエタノール沈殿 サケ精子DNA(Sigma, St.Louis, MO)を18ゲージの針に40回通してせん断し、かつ50mM TE(Tris-HCl、pH8、2mM EDTA)中で0.1mg/mlの濃度に希釈した。DNA溶液の充填量を測定し、かつ実施例2のような100mgアリコートのYGP、YGP:LMWキトサン、またはYGP:HMWキトサンと遠心チューブ中で二つ組で混合し、かつ1時間インキュベートした。インキュベートしたこれらの混合物を各チューブにエタノール1.5mlを添加することによってエタノール沈殿させた。2,000rpmで10分間の遠心分離によって、不溶性生成物を回収した。TE10mlを各チューブに添加し、摂氏37度で1時間インキュベートし、2,000rpmで10分間遠心分離して不溶性のYGPを沈降させ、かつ上清のDNA含有量を260nmでの吸収度によって測定した。YGP中に残存するDNAの量を算出した。b.吸収によるDNA充填 DNA溶液の充填量を実施例4aのような100mgアリコートのYGP、YGP:LMWキトサン、またはYGP:HMWキトサンと遠心チューブ中で二つ組で混合し、かつ1時間インキュベートした。TE10mlを各チューブに添加し、摂氏37度で1時間インキュベートし、2,000rpmで10分間遠心分離して不溶性のYGPを沈降させた。上清のDNA含有量を260nmでの吸収度によって測定した。YGP中に残存するDNAの量を算出した。c.CTABによる閉じ込めによるDNA充填 DNA溶液の充填量を実施例4のような100mgアリコートのYGP、YGP:LMWキトサン、またはYGP:HMWキトサンと遠心チューブ中で二つ組で混合し、かつ1時間インキュベートした。各チューブに2%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(臭化セチルトリメチルアンモニウムまたはCTABとしても公知)1.5ml溶液を添加することによって、インキュベートした混合物を沈殿させた。TE10mlを各チューブに添加し、これを摂氏37度で1時間インキュベートし、かつ2,000rpmで10分間遠心分離して不溶性のYGPを沈降させた。上清のDNA含有量を260nmでの吸収度によって測定した。YGP中に残存するDNAの量を算出した。これらの結果を以下の表10に提供する。 (表10) 単純なDNA充填または沈殿では、効果的にDNAをYGP中に充填し、かつ閉じ込めるのに失敗した。一方、カチオン性閉じ込めポリマーであるキトサンを使用すると、YGPの内側にDNAを閉じ込めることができるキトサン-DNA複合体が形成された。さらに、充填されたDNAをYGP中に閉じ込めるのに、カチオン性物質CTABを有効に使用することができる。実施例17:DNAの充填および閉じ込め 0.1M炭酸緩衝液、pH9.2中1mg/mlサケ精子DNA溶液1mlを10mM炭酸緩衝液、pH9.2中1mg/ml DTAF懸濁液100μlと混合することによって、蛍光性のサケ精子DNAを調製した。摂氏37度で一晩インキュベートした後、1M Tris-HCl、pH8.3、200μlを添加し、かつ室温で15分間インキュベートした。次いで、1M NaCl 100μlおよびエタノール3mlを添加して、DNAをエタノール沈殿させた。-20Cで一晩保存した後、10,000rpmで15分間の遠心分離によってエタノール沈殿物を回収した。このエタノール沈殿物を上清が透明になるまで70%エタノールで洗浄し、かつTE 1ml中に再懸濁した。 YGP懸濁液を室温で30分間インキュベートした。インキュベーション後、95%エタノール0.45mlを1セット(YGP、YGP-P、YGP-キトサン)のチューブ3本に添加し、2%PEI 0.2mlをチューブ3本2セットに添加し、かつ2%CTAB 0.2mlをもう1つのセットのチューブ3本に添加した。室温で30分間インキュベートした後、2%CTAB 0.2mlを1セットのPEIチューブに添加し、かつインキュベーションをさらに30分間継続した。エタノール(1ml、95%)を添加し、かつYGPを摂氏-20度で一晩保存した。これらのYGP懸濁液を70%エタノールで洗浄し、かつPBS0.5ml中に再懸濁した。結果物を蛍光顕微鏡検査法によって評価し、これらを表11に示す。 閉じ込めポリマー無しで単純なエタノール沈殿のみを使用した場合は、蛍光標識DANの顕著な閉じ込めは起こらず、これにより、先行技術がDNA送達系として効果的ではないことが実証された。蛍光標識DNAは、明らかに、カチオン性閉じ込めポリマーであるPEIもしくはキトサンによって、またはカチオン性界面活性剤CTAPを用いて、YGP粒子の内側に閉じ込められていた。YGP:PEI:DNA:CTAB、YGP:キトサン:DNA:CTAB、またはYGP:DNA:PEI:CTABなど閉じ込めポリマーおよびCTABの組合せが使用された場合に、最良のDNA閉じ込めが起こった。 (表11)実施例18:蛍光標識したプラスミドDNAの充填および閉じ込め pIRESプラスミドを含むYGPを、J774細胞、すなわちマウスマクロファージ由来細胞株におけるコードされたEGFPのトランスフェクションおよび発現のために調製した。使用したカチオン性閉じ込め物質には、ポリエチレンイミン(PEI)、CytoPure(商標)、すなわち登録商標を持つ市販の水溶性カチオン性ポリマートランスフェクション試薬(Qbiogene, Inc., CA)、キトサンおよびカチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチル-アンモニウムブロミド(CTAB)などのカチオン性ポリマーが含まれた。好ましいPEIはJetPEI、すなわち市販の直鎖ポリエチレンイミンカチオン性ポリマートランスフェクション試薬(Qbiogene、Inc.、CA)である。 pIRES-EGFP(Clonetech, CA)は、MCSとEGFP(enhanced green fluorescent protein)コード領域の間に脳心筋炎ウイルス(ECMV)の配列内リボソーム進入部位(IRES)を含む。これにより、(MCS中にクローニングされた)関心対象の遺伝子およびEGFP遺伝子の双方が、単一のバイシストロン性mRNAから翻訳されることが可能になる。pIRES-EGFPは、EGFPおよび関心対象の別のタンパク質を発現している一過的にトランスフェクトされた哺乳動物細胞の(フローサイトメトリーまたは他の方法による)効率的な選択のために設計されている。関心対象のタンパク質を高レベルで発現する細胞の選択を最適化するために、pIRES-EGFPは、部分的に無能化したIRES配列(1)を利用する。この減弱されたIRESにより、クローン化遺伝子の速度と比べて、EGFP開始コドンでの翻訳開始速度は低下する。これにより、mRNA、したがってその標的タンパク質が高レベルで生成されて、EGFPの最適以下の速度の翻訳を補うような細胞の選択が可能になる。このベクターはまた、EGFPのみを発現するのに、または時間のかかる薬物およびクローン選択を実施せずに、安定にトランスフェクトされた細胞株を得るのにも使用され得る。EGFPは、哺乳動物細胞におけるより明るい蛍光およびより強い発現のために最適化された、野生型GFPの赤方偏移変異体である。(最大励起波長=488nm;最大発光波長=509nm)。EGFPは、Phe-64からLeu、およびSer-65からThrへのアミノ酸置換を含むGFPmut1変異体をコードしている。これらの変異は、主として、タンパク質の折り畳み特性および発色団形成効率の改善によって、輝度および溶解性を高める。EGFPはまた、好ましいヒトコドンからほぼ完全に構成されたオープンリーディングフレームも含む。これは、野生型GFPと比べて、より効率的な翻訳、およびその結果、より高い発現レベルを真核細胞においてもたらす。 調製した溶液は以下のものであった:0.72μg/μlのpIRES EGFPプラスミドDNA水溶液、0.2%w/vのTE中PEI(Sigma)溶液、CytoPure(Qbiogene) 2μl+0.15M NaCl 48μl、JetPEI(Qbiogene)2μl+TE 48μl、0.2%のTE中スペルミジン溶液、2%CTAB(水溶液)、およびリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)。 0.1M炭酸緩衝液、pH9.2中1mg/ml pIRES DNA溶液1mlを10mM炭酸緩衝液、pH9.2中1mg/ml DTAF懸濁液100μlと混合することによって、蛍光性のpIRESプラスミドDNAを調製した。摂氏37度で一晩インキュベートした後、1M Tris-HCl、pH8.3、200μlを添加し、かつ室温で15分間インキュベートした。次いで、1M NaCl 100μlおよびエタノール3mlを添加して、DNAをエタノール沈殿させた。摂氏-20度で一晩保管した後、10,000rpmで15分間の遠心分離によってエタノール沈殿物を回収した。このエタノール沈殿物を上清が透明になるまで70%エタノールで洗浄し、かつTE 1ml中に再懸濁した。 YGP懸濁液を室温で30分間インキュベートした。インキュベーション後、95%エタノール0.45mlを1セット(YGP、YGP-P、YGP-キトサン)のチューブ3本に添加し、2%PEI 0.2mlをチューブ3本2セットに添加し、かつ2%CTAB 0.2mlをもう1つのセットのチューブ3本に添加した。室温で30分間インキュベートした後、2%CTAB 0.2mlを1セットのPETチューブに添加し、かつインキュベーションをさらに30分間継続した。エタノール(1ml、95%)を添加し、かつYGPを摂氏-20度で一晩保存した。これらのYGP懸濁液を70%エタノールで洗浄し、かつPBS0.5ml中に再懸濁した。 J774マウスマクロファージをウェル当たり2.5×105細胞の濃度で6ウェルプレート中に播種し、かつ実施例14において説明したように一晩インキュベートした。表12に要約するようにトランスフェクションを実施した。細胞1個当たり粒子10個の比率で培養培地に粒子を添加し、かつこれらのプレートを回転させて粒子を分布させた。これらの細胞を4時間インキュベートした。インキュベーション期間の最後に、培養培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、かつPBS中0.4%ホルマリン中で固定した。 (表12) 蛍光性DNAを含む粒子および蛍光性DNAを含む粒子と共にインキュベートしたJ774細胞を蛍光顕微鏡検査法によって評価した。これらの結果を表13に要約し、かつ図3Aおよび図3Bに示す。 (表13) 図3Aは、カチオン性閉じ込めポリマーとしてのPEIおよびカチオン性界面活性剤としてのCTABを用いて蛍光標識pIRESプラスミドを充填したYGP粒子に曝露された細胞の光学顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であって、細胞310を示している。図3Bは、同じ視野の細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であって、図3Bに指示された同じ細胞310の内部に取り込まれた、蛍光性プラスミドDNAを含む蛍光性のYGP粒子に相当する明るい染色を示している。実施例19:YGP:pIRESと共にインキュベートされたJ774マウスマクロファージによるEGFP発現 本実施例ではpIRESプラスミドDNAを蛍光標識せず、むしろ、pIRESによってコードされた緑色蛍光タンパク質(GFP)の機能的発現を、蛍光の生成によって立証されるような、添加された酵母細胞壁粒子の取込み、pIRES DNAの細胞内放出、およびGFPの発現の証明として使用した。 以下の表14に要約するようにしてYGP:pIRES製剤を調製した。1mg/mlストック溶液の脱イオン水中希釈物からDNAを調製した。指定された量のDNA溶液をYGPに添加し、かつ少なくとも30分間インキュベートして液体を吸収させた。指定された量の、TE中0.2%PEIまたは酢酸緩衝液中0.2%キトサンを添加し、かつこの混合物を5分間インキュベートさせた後に超音波処理して単一粒子を作製した。少なくとも30分間さらにインキュベートした後、指定された量の2%CTABを添加した。さらに5分間インキュベートした後、これらのチューブをボルテックスで混合し、かつ少なくとも30分間、再びインキュベートした。指定された量の95%エタノールを添加した。次いで、各チューブを混合し、かつ摂氏-20度で一晩保存した。次いで、製されたYGP:pIRES粒子を遠心分離し、70%エタノール中で2度洗浄し、10,000rpmで5分間の遠心分離によって回収し、滅菌PBS0.5ml中に再懸濁し、かつ超音波処理して単一粒子を作製した。1ml当たりの粒子数を計数し、かつ各製剤を摂氏-20度で保存した。 J774マウスマクロファージをウェル当たり2.5×105細胞の濃度で6ウェルプレート中に播種し、かつ実施例14において説明したように一晩インキュベートした。上記の表13に要約したようにトランスフェクションを実施した。細胞1個当たり粒子10個の比率で培養培地に粒子を添加し、かつこれらのプレートを回転させて粒子を分布させた。細胞に毎日栄養を与え、かつ2日間インキュベートした。インキュベーション期間の最後に、培養培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、かつPBS中0.4%ホルマリン中で固定した。 これらの結果を表14に要約し、かつ図4A〜Cに示す。蛍光顕微鏡検査法によって細胞を検査した。89%のJ774細胞がYGP-F粒子を取り込んだ(表13、ウェル1B、図4A)。ウェル1E(図4B)および1F(図4C)中の液胞中の斑点状の蛍光として、80%を超えるJ774細胞においてEGFP発現が明らかであった。 (表14) 図4Aは、蛍光標識されたYGP粒子に曝露された細胞、例えば指示された細胞410の蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であり、図4Bは、カチオン性閉じ込めポリマーのポリエチレンイミン(PEI)およびカチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(臭化セチルトリメチルアンモニウムまたはCTABとしても公知)を有するYGPによって送達されたpIRES DNAに由来するGFPを発現している細胞、例えば指示された細胞420の蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であり、かつ図4Cは、カチオン性閉じ込めポリマーのキトサンおよびカチオン性界面活性剤CTABを有するYGPによって送達されたpIRES DNAに由来するGFPを発現している細胞、例えば指示された細胞430の蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像である。実施例20:YGP-カチオン性閉じ込めポリマー技術を用いた、蛍光性のDNA、オリゴヌクレオチド、およびsiRNAオリゴヌクレオチドのJ774細胞中への送達 以下の材料を使用した:YGP:蛍光性サケ精子DNA:PEI:CTAB粒子、YGP:蛍光性オリゴヌクレオチド:PEI:CTAB粒子、およびYGP:蛍光性siRNA:PEI:CTAB。蛍光性オリゴヌクレオチは、5'末端にフルオレセイン残基が結合された、Sigma Genosysによって合成された18 merであった:5'フルオレセイン-TTGGTCATCCATGGCTCT 3' 配列番号:1。蛍光性siRNAは、5'末端にフルオレセイン残基が結合された、21 merのサイレンシング活性を持たない対照の合成siRNAであった(Qiagen, Valencia, CA, Catalog No.1022079):5'フルオレセイン-UUCUCCGAACGUGUCACGUdTdT 3' 配列番号:2。 J774マウスマクロファージをウェル当たり2.5×105細胞の濃度で6ウェルプレート中に播種し、かつ実施例14において説明したように一晩インキュベートした。表15に要約するようにトランスフェクションを実施した。対照および核酸を充填した粒子を培養培地に添加し、かつこれらのプレートを回転させて粒子を分布させた。細胞に毎日栄養を与え、かつ24時間インキュベートした。インキュベーション期間の最後に、培養培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、かつPBS中0.4%ホルマリン中で固定した。 (表15) これらの結果を図5A〜Iに例示する。蛍光顕微鏡検査法およびFACSを用いて細胞を検査した。92%のJ774細胞がYGP-F粒子を取り込んだ(表14、ウェル1B、図5A)。斑点状のエンドソームの蛍光および拡散した細胞質内の蛍光として、80%を超えるJ774細胞において蛍光性オリゴヌクレオチド(配列番号:1)の送達が明らかであった。斑点状のエンドソームの蛍光および拡散した細胞質内の蛍光として、80%を超えるJ774細胞において蛍光性のサイレンシング活性を持たないsiRNA(配列番号:2)の送達が明らかであった。 図5Aは、蛍光標識されたYGP粒子に曝露された細胞、例えば指示された細胞510の光学顕微鏡写真および蛍光顕微鏡写真を合わせたカラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であり;図5Bは、蛍光活性化細胞選別(FACS)調査の結果のグラフ表示であって、蛍光標識YGP粒子を内部に取り込んだ細胞からのシグナルの分布に相当する主要ピーク520、および蛍光標識YGP粒子を有さない細胞からのシグナルの分布に相当する小さいピーク530を示しており;図5Cは、蛍光標識されたDNA、カチオン性閉じ込めポリマーPEI、およびカチオン性界面活性剤CTABを含むYGP粒子に曝露された細胞、例えば指示された細胞540の光学顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であり;図5Dは、同じ視野の細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であって、指示された同じ細胞540を示しており、図5Eは、FACS調査の結果のグラフ表示であって、蛍光性のDNAペイロードを有するYGP粒子を内部に取り込んだ細胞からのシグナルの分布に相当する主要ピーク610、およびYGP粒子を有さない細胞からのシグナルの分布に相当する肩部分620を示しており;図5Fは、蛍光標識されたアンチセンスRNA、PEI、およびCTABを含むYGP粒子と共にインキュベートされた細胞、例えば指示された細胞710の光学顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であり;図5Gは、同じ視野の細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であって、蛍光性のアンチセンスRNAペイロードを有する内部に取り込まれたYGP粒子を含む、指示された同じ細胞710を示しており;図5Hは、蛍光標識されたsiRNA、PEI、およびCTABを含むYGP粒子と共にインキュベートされた細胞、例えば指示された細胞810の光学顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であり、かつ図5Iは、同じ視野の細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であって、蛍光性のRNAiペイロードを有する内部に取り込まれたYGP粒子を含む、指示された同じ細胞810を示している。 要約すると、カチオン性閉じ込めポリマーを用いてYGP中に充填された蛍光性のDNA、オリゴヌクレオチド、またはsiRNAペイロードは、J774細胞中にペイロードを効率的に送達する。ペイロードは、24時間以内にエンドソーム区画から細胞質区画および核区画中に放出される。実施例21:YGP-DNA製剤は、hGCを発現するプラスミドDNA(pMFG-GC)を効率的にマウスマクロファージ細胞株J774中に送達する。 実施例18において前述したような方法を使用して、hGCを発現するプラスミドDNA(pMFG-GC)をマウスマクロファージ細胞株J774中に送達し、遺伝子産物、すなわちヒトグルコセレブロシダーゼの発現を実証した。使用する組成物は、前述したように調製した。これらを以下の表16に記載する。さらに、pIRESを含む酵母細胞壁粒子を含む製剤を前述したようにして調製した。 (表16) 使用したpMFG-GC型ベクターは以前に説明されている(Fabrega, S., et al., Human glucocerebrosidase: heterologous expression of active site mutants in murine null cells. Glycobiology. 2000 Nov;10(11): 1217-24)。このベクターは、MFG骨格のNco I部位とBam HI部位の間に挿入されたヒトGC cDNAを含む。MFGベクターは、ウイルスのスプライス供与(SD)部位およびスプライス受容(SA)部位を保持しており、モロニーマウス白血病ウイルス5'末端反復配列(5'LTR)を使用して、挿入された配列の発現を担うスプライスされたmRNAを生成する。開始コドンが、欠失したenv遺伝子の開始コドンの位置に正確に存在するように、MFGベクター中にヒトGC cDNAをクローニングした。マウス骨髄細胞に形質導入するのに使用された場合、培養されたマクロファージは、平均で対照マクロファージの4倍の酵素活性を示した。 培養時に付着した細胞をプラスチック製のマルチウェルプレート中のDMEM(Gibco)+10%ウシ胎児血清およびペニシリン-ストレプトマイシン-グルタミン(Gibco)組織培養培地中で増殖させた。適切な細胞密度で、培養培地を除去し、これらの細胞をPBSで簡単に洗浄し、次いで(0.5〜1%ホルマリン溶液もしくはパラホルムアルデヒド溶液で)固定した。固定液を除去した後、これらの細胞をPBSで簡単に洗浄し、次いで0.1%ウシ血清アルブミン/0.05%Tween20中で、室温で1時間インキュベートした。0.1%ウシ血清アルブミン/0.05%Tween20溶液を除去した後、次いでこれらの細胞を、PBS/0.05%Tween20中のヒトグルコセレブロシダーゼに対するウサギ抗血清(作業希釈率1/1000〜1/5000;Ginns et. al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA.Vol. 79:5607-5610, September 1982)と共に摂氏4度で一晩インキュベートした。 一晩インキュベートした後、抗体溶液を細胞から除去し、かつ穏やかに揺り動かしながら、PBS/0.05%Tween20で3分間、5回、これらの細胞を洗浄した。次いで、これらの細胞をヤギのFITC結合抗ウサギ抗血清(Molecular Probes F2765、フルオレセイン標識したヤギ抗ウサギIgG(H+L)、2mg/mL;作業希釈率1/100〜1/500)と共に室温で1〜2時間インキュベートした。 これらの細胞を再度、穏やかに揺り動かしながら、PBS/0.05%Tween20で3分間、5回、洗浄した。最終の洗浄溶液を除去した後、各ウェルにPBSを添加し、かつ蛍光顕微鏡的分析をするまで、暗所、摂氏4度で細胞プレートを保存した。このプロトコールを表17に要約する。 (表17) 図6A〜6Gは、J774マウスマクロファージ細胞のカラー顕微鏡写真のグレースケール像であり、pMFG-GC発現ベクターを含む酵母細胞壁粒子の取込みおよびヒトグルコセレブロシダーゼ(hGC)の発現を示している。細胞をYGP製剤に曝露させるか、または処置をせず(対照)、培養し、かつ付着細胞をホルマリン固定した。抗ヒトGC一次抗体(ウサギ抗血清)、適切な検出可能の二次抗体(FITCを結合させたヤギ抗ウサギ抗血清)を用いて、固定した細胞を免疫細胞化学のために処理し、蛍光顕微鏡検査法によって検査し、かつ撮影した。 図6Aは、未処置の対照培養物に由来するJ774細胞、例えば指示された細胞510の透過光顕微鏡カラー写真のグレースケール像である。 図6Bは、同じ視野のJ774細胞の蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、蛍光標識された細胞が無いことを示している。 図6Cは、蛍光標識された酵母細胞壁粒子の製剤(YGP-F)に曝露されたJ774細胞の光学顕微鏡写真および蛍光顕微鏡写真を合わせたカラー写真のグレースケール像であり、蛍光標識された粒子を含む細胞、例えば細胞912を示している。 図6Dおよび図6Eは、それぞれ、pMFG-GC発現ベクターを含む酵母細胞壁粒子の製剤(YGP:pMFG-GC:PEI:CTAB)に曝露された同じ視野のJ774細胞の透過光顕微鏡カラー写真および蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、蛍光標識された細胞、例えば、細胞914における免疫反応性によってヒトグルコセレブロシダーゼ(hGC)の発現を示している。 図6Fおよび図6Gは、それぞれ、pMFG-GC発現ベクターを含む酵母細胞壁粒子の製剤(YGP-CN:pMFG-GC:CTAB)に曝露された同じ視野のJ774細胞の透過光顕微鏡カラー写真および蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、蛍光標識された細胞、例えば、細胞916における免疫反応性によってヒトグルコセレブロシダーゼ(hGC)の発現を示している。 これらの調査の一般的結果を以下のように要約することができる。マウスマクロファージ細胞株J774の細胞は、YGP-F粒子を効率的に貪食した(90%超)。使用したヒト抗グルコセレブロシダーゼ抗体は、組換えヒトタンパク質を選択的に染色し、かつ内因性のマウスタンパク質と交差反応しなかった。ヒトグルコセレブロシダーゼ発現が、インビトロでYGP pMFG-GC CTP製剤で処置したJ774細胞の50%超において免疫反応性として検出可能であった。YGP:MFG-GC:PEI:CTAB製剤およびYGP-CN:pMFG-GC:CTAB製剤の双方とも、プラスミドDNAを送達し、かつJ774細胞においてヒトグルコセレブロシダーゼの検出可能な発現を誘導するのに効果的であった。ヒトグルコセレブロシダーゼは、正常に処理されるようであり、エンドソーム区画およびリソソーム区画において検出された。YGP:CTP製剤は、pMFG-GC上のヒトグルコセレブロシダーゼ遺伝子を送達する際、およびマウスのJ774マクロファージ細胞におけるヒトグルコセレブロシダーゼの発現を促進する際に効果的である。実施例22:野生型マウスおよびゴーシェ病マウスにおけるYGP蛍光性粒子およびYGMP蛍光性粒子の経口バイオアベイラビリティ 図8は、インビボの経口投与180後にマクロファージ遊走370によって様々な器官450、452、454、456、458に酵母βグルカン粒子(YGP)230を送達する方法の好ましい態様の概略図である。酵母βグルカン粒子(YGP)230を含む組成物182を対象185に経口投与180する。酵母βグルカン粒子(YGP)230は、小腸の内壁中のM細胞355によって取り込まれ、かつ上皮350を通過して移行され、かつ腸管マクロファージ360によって貪食される。YGPを含むマクロファージは、骨450、肺452、肝臓454、脳456、および脾臓458を含む器官および組織に遊走する370。経口投与後約72時間目に、YGPを貪食した脾臓マクロファージ364が脾臓458中で観察された(図解および蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラストのグレースケール像の双方で示した)。経口投与後約90時間目に、YGPを貪食した骨髄マクロファージ362が骨450中で観察された(図解および蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラストのグレースケール像の双方で示した)。 細胞表面の炭水化物組成が酵母グルカン粒子の経口バイオアベイラビリティに与える効果を、前述したようにして調製した蛍光標識した酵母細胞壁粒子、YGP-F(FITC標識酵母グルカン粒子)およびYGMP-F(FITC標識酵母グルコマンナン粒子)を用いて調査した。アリコート(0.1ml)のYGP-FおよびYGMP-Fをマウス(C57Bl/6野生型およびゴーシェ病モデルマウス)に経口胃管栄養法および皮下注射によって5日間投与した。各動物からの脳、肝臓、骨髄、小腸、および脾臓切片を固定し、かつ蛍光顕微鏡検査法によって検査して、蛍光性酵母細胞壁粒子の取込みの程度を判定した。脾臓のアリコートを氷上に置き、かつ処理して、単一細胞の懸濁液を作製した。脾臓細胞を12ウェルプレート当たり約106個の細胞濃度で播種し、かつ24時間インキュベートして付着させた。未結合細胞を洗い流した後、蛍光顕微鏡検査法によって、これらのウェルの、蛍光性粒子を内部に取り込んでいる付着細胞(マクロファージ)を評価する。 酵母細胞壁粒子はまた、pMFG-GC構築物中のヒトグルコセレブロシダーゼ遺伝子のインビボ送達(経口的経路および非経口的経路)のために有用かつ効果的であり、脾臓マクロファージ細胞においてヒトグルコセレブロシダーゼの発現をもたらすことが示された。ヒトGCを発現するMFG-GCプラスミドDNAをカチオン性ポリマー-DNAナノ複合体の形態で酵母グルカン粒子(YGP)および酵母グルカン-マンナン粒子(YGMP)中に組み込んでいる製剤を前述したようにして調製した。データにより、YGP-DNA微粒子およびYGMP-DNA微粒子は、経口的にまたは非経口的に投与された場合に、組織、粘膜、および腸管関連リンパ組織(GALT)マクロファージ中への受容体の媒介による取込みによって、生物利用可能となることが示されている。DNAを充填された微粒子が全身投与された場合、粒子表面の多糖類グルカンおよびマンナンに結合する炭水化物受容体を介した、組織マクロファージ中への受容体の媒介による直接的取込みが生じる。細胞による食作用が起こると、これらの粒子はエンドソーム中に包み込まれ、そこでカチオン性ポリマーがDNAを放出し、エンドソームを膨張させ、かつ核に移動する場となる細胞質中へDNAを放出させる。放出されたDNAが細胞機構によって処理されて、正常なヒトGC酵素を産生する。 ゴーシェ病の2種のマウスモデルを使用した。C57/Blマウスに毎日3週間、コンズリトールβ-エポキシド(CBE、7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2,3,4,5-テトラオール)100mg/kgを腹腔内注射することによって、第1のゴーシェ病マウスを作製した。3月齢のC57/BlマウスをCBEで3週間処置すると、全身組織および脳において、グルコシルセラミド量がそれぞれ約50%および約500%増加した。CBE処置マウスにおいてβ-グルコシダーゼ活性が大幅に減少していたが、他の加水分解酵素(α-マンノシダーゼ、β-ヘキソサミニダーゼ、α-ガラクトシダーゼ、α-グルコシダーゼ、およびβ-グルクロニダーゼ)のレベルは、対照マウスのレベルと有意な差はなかった。3月齢の処置マウスにおいて、体重の差異も行動の差異も発生しなかった。一方、毎日3週間、100mg/kg CBEの腹腔内投与で処置された1日齢の乳児C57/Blマウスは、対照と比べて成長に有意な差があった。全体重に対するパーセンテージとして表した場合、脳、肝臓、および腎臓には差異がなかったが、脾臓重量は対照の60%であった。CBEで処置された乳児マウスは、アーチ型の尾部、増強された高振幅の動作時振戦、および最小限の驚愕反応を示したが、正常な水泳および立ち直り反応を示し、これらはすべてCNS灰白質の関与を示唆していた。肝臓組織および脳において、グルコセレブロシドがそれぞれ50%および300%増加していた。 処置された3月齢マウスと同様に、処置された乳児マウスのβ-グルコシダーゼ活性は大幅に低下していた。しかしながら、α-グルコシダーゼおよびβ-ガラクトシダーゼが正常に近かったのに対し、ヘキソサミニダーゼおよびマンノシダーゼの活性は上昇していた。これらのマウスにより、ゴーシェ病の病因を研究する機会が与えられたが、CBE注射の効果は短期間しか続かないため、これらのマウスは、酵素および遺伝子補充療法のより長期間の効果を研究するには有用性が低くなっている。 マウスのグルコセレブロシダーゼ中にアミノ酸置換を起こして、正常な同腹子における酵素活性レベルの半分未満のレベルまで内因性GC発現を有意に減少させた、ゴーシェ病のトランスジェニックマウスモデルを使用した。マウス試料におけるグルコセレブロシダーゼ活性のアッセイを、4-メチルウンベリフェリル-グルコピラノシド(4MUGP)、すなわち蛍光標識した基質を用いて実施した。より症状の軽いゴーシェ病患者で見出されるものに類似した点突然変異を、PCR変異誘発によってマウスのグルコセレブロシダーゼのゲノムクローン中に導入した。改変されたクローンを適切なベクター中に挿入し、かつエレクトロポレーションによってRW4マウスの胚性幹(ES)細胞中にトランスフェクトした。グルコセレブロシダーゼ遺伝子の一方のアレル中に正確に標的された変異を含むESクローンを、C57BL/6マウスに由来する胚盤胞中に標準的技術を用いて注入し、次いでこれを里親マウスに移入した。これらの注入から得られたオス子孫をメスのC57BL/6と試験交配させ、かつその子孫を変異グルコセレブロシダーゼアレルの伝達に関してPCRおよびサザン分析によりスクリーニングした。 ヒトゴーシェ病表現型の寿命が長いマウスモデルは、新しい治療的戦略を開発するために有益である。以前に、グルコセレブロシダーゼ遺伝子を標的として破壊することによってノックアウトマウスが作製された。これは、2型ゴーシェ病のマウスモデルである。これらのホモ接合性の罹患マウスはグルコセレブロシダーゼ活性を持たず、マクロファージ中に脂質を蓄積し、魚鱗状の皮膚を有し、かつ出産から24時間以内に死亡する。リソソーム中の蓄積物質の超微細構造は、ヒト患者のものとよく似ている。さらなる研究において、2種の公知のヒト表現型に関連付けられている変異を導入するために、単一挿入変異の手順を使用した。これらの挿入によるRecNciI変異マウスは、酵素活性が低く、かつグルコシルセラミドを蓄積したのに対し、L444Pマウスの酵素レベルはより高かった。しかしながら、これらの挿入変異RecNciIマウスおよびL444Pマウスは双方とも48時間以内に死亡した。 L444P、R463C、およびN370S変異は、ゴーシェ病患者において最も頻繁に発見される変異のうちの3つを含む。L444P変異は、神経異常を有する患者においてより高い頻度で発見される。L444P、R463C、およびN370S点突然変異を有するゴーシェ病のより長寿命のマウスモデルを作製するための、loxPを含む置換ベクターの使用を図9Aおよび図9Bに模式的に例示する。マウスのメタキシン(MX)およびグルコセレブロシダーゼ(GC)の間の遺伝子間領域中に挿入されたloxP配列が両側に配置されたネオマイシン耐性(NeoR)カセットを含む、ポジティブ/ネガティブ選択を使用する補充ターゲティングベクターを構築した。L444P変異を、PCR変異誘発によってマウスのグルコセレブロシダーゼのゲノムクローン中に導入した。このようにして、正常マウスのエキソン10の最初のGC配列をTGACTTGGA(配列番号:3)からTGACCCGGA(配列番号:4)に変更し、結果としてロイシンからプロリンへのアミノ酸置換をもたらし、かつNciI制限部位を導入した。この配列変化は、制限消化および直接配列解析の双方によって構築物中で確認した。最終構築物は、4.0kbの5'側GC相同アームおよび1.4kbの3'側MX相同アームを含んだ。図9Aに示した用に、ジフテリア毒素A(DTA)カセットをネガティブ選択マーカーとして下流に配置した。 直線化した後、この構築物をエレクトロポレーションによってRW4マウスの胚性幹(ES)細胞中に導入し、かつ以前に説明されているような、G418との培養における薬物選択にこれらのES細胞を供した。G418耐性の個々のクローンにおける正確な遺伝子ターゲティング事象は、サザンブロット法およびPCR解析によって確認した。グルコセレブロシダーゼ遺伝子の一方のアレル中に正確に標的されたL444P変異を含むESクローンに由来する細胞を、C57BL/6マウスに由来する胚盤胞中に注入し、次いでこれを里親マウスに移入した。30%を超える毛色キメラ現象を有する、これらの注入から得られたオス子孫をメスのC57BL/6と試験交配させ、かつその子孫を変異L444Pグルコセレブロシダーゼアレルの伝達に関してPCRおよびサザン分析によりスクリーニングした。L444P変異が伝達されている場合、サザン分析の際にエキソン9プローブによって可視化されるDNA断片、および725bpのエキソン9のPCR増幅産物(フォワードプライマー:5'CTACCATCTTGGCCACTTCAG(配列番号:5);リバースプライマー:5'GCACAGGAGCGAACTCTTTCC、配列番号:6)の双方ともNciIによって切断された。L444P変異アレルを含むマウスの2種の系統を同定し、かつエキソン9中に導入された変異を含むPCR増幅されたDNAの直接配列決定によってDNA配列を確認した。L444P変異グルコセレブロシダーゼ遺伝子に関してヘテロ接合性のマウスを交尾させ、かつサザンブロット法およびPCR解析によってホモ接合性変異子孫を同定した。さらに、ヘテロ接合性L444Pマウスを、CRE DNAリコンビナーゼの導入遺伝子を有するマウスと交尾させ、結果としてNeoRマーカーを切除して、34bpのloxP配列のみを残した。予想されるように、標的とされたL444P変異は、メンデルの様式で伝達されていた。4-メチルウンベリフェリル-グルコピラノシド(4MUGP)、すなわち蛍光標識した基質を用いた、マウス尾部試料中のグルコセレブロシダーゼ活性のアッセイにより、ホモ接合性変異マウスにおけるグルコセレブロシダーゼ活性は、正常な同腹子における酵素活性の約35%であることが実証された。 図10A〜10Dは、蛍光標識されたYGP粒子を給餌されたマウスから単離された脾臓マクロファージ細胞の透過光顕微鏡カラー写真(図10Aおよび図10C)ならびに蛍光顕微鏡カラー写真(図10Bおよび図10D)のグレースケール像である。アリコート(0.1ml)のYGP-FおよびYGMP-Fをマウス(C57Bl/6野生型およびゴーシェ病変異マウス)に経口胃管栄養法または皮下注射によって投与した。非蛍光性のマクロファージ920および蛍光性のマクロファージ922、924を示している。 各動物からの脳、肝臓、骨髄、小腸、および脾臓切片を固定し、かつ蛍光顕微鏡検査法によって検査して、蛍光性酵母細胞壁粒子の取込みの程度を判定した。脾臓のアリコートを氷上に置き、かつ処理して、単一細胞の懸濁液を作製した。脾臓細胞を12ウェルプレート当たり約106個の細胞濃度で播種し、かつ24時間インキュベートして付着させた。未結合細胞を洗い流した後、蛍光顕微鏡検査法によって、これらのウェルの、蛍光性粒子を内部に取り込んでいる付着細胞(マクロファージ)を評価した。 これらの処置は、一般に耐用性良好であった。付着した脾臓マクロファージの蛍光顕微鏡的分析により、処置されたすべての動物において蛍光性の酵母細胞壁粒子が存在することが実証された。これらの結果により、YGP-FおよびYGMP-Fの双方が経口的に生物利用可能であり、かつマクロファージによって全身的に分散されることが実証される。糞便の分析により蛍光性粒子の存在が実証され、経口吸収が不完全であることが示唆された。野生型マウスおよびゴーシェ病モデルマウスのどちらも、経口投与された酵母細胞壁粒子を取り込む能力を有した。 pIRES発現ベクターを含む酵母細胞壁粒子を含む製剤のインビボでの経口および皮下投与は、マウスの脾臓マクロファージにおける緑色蛍光タンパク質の発現をもたらすのに効果的であった。図11A〜11Dは、インビボで処置されたマウスから単離された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、pIRES発現ベクターを含む酵母細胞壁粒子の取込みおよび緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を示している。単離した細胞を適切な細胞密度になるまで培養し、かつ付着細胞をホルマリン固定し、蛍光顕微鏡を用いて検査し、撮影した。 図11Aは、インビボで経口胃管栄養法によりPBSを与えられた(対照処置)野生型マウスから単離された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、蛍光性マクロファージが無いことを示している。 図11Bは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pIRES製剤0.1mlをインビボで皮下注射された野生型マウスから単離された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、蛍光性のGFPを発現しているマクロファージ930を示している。 図11Cは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pIRES製剤0.1mlをインビボで経口投与された野生型マウスから単離された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、蛍光性のGFPを発現しているマクロファージ931を示している。 図11Dは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGMP-pIRES製剤0.1mlをインビボで経口投与された野生型マウスから単離された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、蛍光性のGFPを発現しているマクロファージ932を示している。 前述のようにして調製された、pMFG-GC発現ベクターを含む酵母細胞壁粒子を含む製剤のインビボでの経口および皮下投与は、マウスの脾臓マクロファージにおけるヒトグルコセレブロシダーゼの発現をもたらすのに効果的であった。図12A〜12Mは、インビボで処置されたマウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の顕微鏡写真の画像であり、pMFG-GC発現ベクターを含む酵母細胞壁粒子の取込みおよびヒトグルコセレブロシダーゼ(hGC)の発現を示している。単離した細胞を適切な細胞密度になるまで培養し、かつ付着細胞をホルマリン固定した。抗ヒトGC一次抗体(ウサギ抗血清)、適切な検出可能の二次抗体(FITCを結合させたヤギ抗ウサギ抗血清)を用いて、固定した細胞を免疫細胞化学のために処理し、蛍光顕微鏡を用いて検査し、かつ撮影した。 図12Aは、インビボで経口胃管栄養法によりPBSを与えられた(対照処置)野生型マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージが無いことを示している。 図12Bおよび図12Cは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで皮下注射された野生型マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の透過光顕微鏡カラー写真(12B)および蛍光顕微鏡カラー写真(12C)の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ935を示している。 図12Dは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで皮下注射されたL444P-/-変異マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ936を示している。 図12Eは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで皮下注射されたR463C-/-変異マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ937を示している。 図12Fおよび図12Gは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで経口投与された野生型マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の透過光顕微鏡カラー写真(12F)および蛍光顕微鏡カラー写真(12G)の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ、例えばマクロファージ938を示している。 図12Hおよび図12Iは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで経口投与される処置を30日間受けたL444P-/-変異マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の透過光顕微鏡カラー写真(12H)および蛍光顕微鏡カラー写真(12I)の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ、例えばマクロファージ940を示している。 図12Jは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで経口投与されたR463C-/-変異マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ、例えばマクロファージ941を示している。 図12Kは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGMP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで経口投与された野生型マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ、例えばマクロファージ942を示している。 図12Lは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGMP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで経口投与されたL444P -/-変異マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ、例えばマクロファージ943を示している。 図12Mは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGMP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで経口投与されたR463C-/-変異マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ、例えばマクロファージ944を示している。実施例23:野生型マウスおよびゴーシェ病マウスにおけるYGP粒子およびYGMP粒子の経口投与の全身的効果 同じ変異を有するゴーシェ病患者に類似した生化学的異常および表現型異常を有する、これらの寿命が長い点突然変異ゴーシェ病マウスを利用できることにより、ゴーシェ病において観察される全身神経系および中枢神経系の病理の修正における、経口投与された遺伝子療法の有効性を試験するための手段が提供された。 ゴーシェ病マウスの疾患の臨床症状は、グルコシダーゼ阻害剤コンズリトールβ-エポキシド(CBE、7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2,3,4,5-テトラオール)を用いた短クールの腹腔内(IP)処置によって悪化され得、かつ加速され得る。キメラマウスモデルにおいて以前に説明されたように、CBEおよびフェニルヒドラジンに似た溶血剤などのグルコセレブロシダーゼ阻害剤をゴーシェ病マウスに投与して、残存する変異酵素が脂質を分解する能力をさらに弱めて、それにより脂質の蓄積を増加させ、かつより重症でより早い臨床症状をもたらすことができる。 経口投与または皮下投与によるインビボ処置は、野生型マウスおよびゴーシェ病モデル変異マウスの双方の脾臓マクロファージにおいてYGPおよびYGMPベースの製剤双方の取込みをもたらした。このような処置は、hGCの免疫学的に交差反応性の物質の検出可能な増加によって測定されるように、単離された脾臓マクロファージにおける組換えhGCの発現をもたらした。この処置はさらに、処置されたゴーシェ病モデルマウスにおいてゴーシェ病に似た症状の観察可能な改善をもたらし、これにより、本発明の製剤を用いた全身的処置が望ましい治療的結果を有することが示唆された。 血球数、器官サイズ、およびグルコセレブロシダーゼ活性を用いて、L444P変異マウスを野生型マウスおよびヘテロ接合体と比較した。C57/BL6(野生型)、トランスジェニックヘテロ接合性動物、およびホモ接合性変異動物の全血球数を測定したところ、以下の表18に示すように平均値は同様であった。野生型(wt)、ヘテロ接合性動物(het)、およびホモ接合性変異動物(各4匹)の脳、肝臓、および脾臓のサイズを測定した。表19に器官重量の平均値を提供する。 (表18)血球数 (表19)器官サイズ 4-メチルウンベリフェリル-B-D-グルコピラノシド(4MU-GLu)を用いて分析されたように、L444P変異マウスの試験されたすべての組織が、グルコセレブロシダーゼ活性を欠損していることが発見された。未処置のL444Pゴーシェ病マウスの組織におけるグルコセレブロシダーゼ活性は、対照のものより有意に低かった:脾臓(10%)、肝臓(28%)、肺(8%)、骨髄(11%)、および脳(65%)。YGP製剤(マウス2匹)およびYGMP製剤(マウス3匹)で処置すると、肝臓のグルコセレブロシダーゼ酵素活性が補われ、未処置のL444Pゴーシェ病マウス(n=7)、経口的にグルコセレブロシダーゼ遺伝子療法を施されたL444Pゴーシェ病マウス(n=5)、および野生型マウス(n=6)のグルコセレブロシダーゼの平均酵素活性は、野生型マウスのグルコセレブロシダーゼ比活性のそれぞれ12パーセント、29パーセント、および100パーセントであった。 YGP組成物およびYGMP組成物の効果を比較する予備研究において、L444Pゴーシェ病マウスにYGP-pMFG-GC製剤を経口投与(用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlの1日経口用量を14日間、および1週当たり5用量を56日間)すると、以下の表20に示すように、未処置のL444Pゴーシェ病マウスの組織における活性と比べて、肺および脳においてグルコセレブロシダーゼ活性の増大をもたらし(野生型マウスの対応する組織における活性に対して標準化した)、かつ脾臓において少しの増大をもたらした。 (表20) YGMP-pMFG-GC製剤をL444Pゴーシェ病マウスに経口投与すると、表20において示すように、YGP-pMFG-GC製剤での処置の後にみとめられた増加と比べていくらか大きなグルコセレブロシダーゼ活性の増大をもたらした。この増大はまた、グルコセレブロシダーゼ活性の様々な組織依存性の増大パターンも示した。以下の表21では、未処置のL444Pマウス、および野生型マウス(C57Bl/6)の脾臓、肝臓、肺および脳組織において測定したグルコセレブロシダーゼ平均活性の結果を、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlの1日経口用量を14日間、および1週当たり5用量を56日間与えられたL444Pゴーシェ病マウスの活性と比べ、野生型マウスの対応する組織における活性に対して標準化して示す。 (表21) YGMP-pMFG-GC製剤のR463C変異マウスへの経口投与もまた、以下の表22に示すように、グルコセレブロシダーゼ活性の組織依存性の増大パターンをもたらした。処置は、脾臓におけるグルコセレブロシダーゼ活性にはほとんど変化をもたらさず、肺におけるグルコセレブロシダーゼ活性にはかなりの増大をもたらし、かつ肝臓においては中程度の増大をもたらした。表21では、未処置のR463Cマウス、および野生型マウス(C57Bl/6)の脾臓、肝臓、および肺組織において測定したグルコセレブロシダーゼ平均活性の結果を、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlの1日経口用量を14日間、および1週当たり5用量を56日間与えられたR463Cゴーシェ病マウスの活性と比べ、野生型マウスの対応する組織における活性に対して標準化して示す。 (表22) コンズリトールβ-エポキシド(100mg/kg/日、14日間腹腔内投与)のクールの後に、一部のマウスは重篤な症状のR463Cゴーシェ病マウスとなった。コンズリトールβ-エポキシド(100mg/kg/日、14日間腹腔内投与)処置後、野生型(wt)マウスとR463Cゴーシェ病マウスの表現型および臨床経過には大きな差異があった。ゴーシェ病マウスでは、重篤な臨床症状および病状は、コンズリトールβ-エポキシドを用いた14日間の処置に続く7日間の回復期間後に残っていた。コンズリトールβ-エポキシド(100mg/kg/日、約2週間腹腔内投与)のクールの後、L444Pゴーシェ病マウスは重篤な症状を示す。コンズリトールβ-エポキシド(100mg/kg/日、14日間腹腔内投与)を与えられ、続いて用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlを少なくとも70日間経口投与されたL444Pゴーシェ病マウスは、YGP-pMFG-GC製剤処置を受けなかったマウスよりも重病ではない。 R463Cゴーシェ病マウスは、コンズリトールβ-エポキシド(100mg/kg/日、16日間腹腔内投与)のクールの後に、症状がより強くなる。コンズリトールβ-エポキシド(100mg/kg/日、16日間腹腔内投与)を与えられ、続いて用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlを少なくとも70日間経口投与されたR463Cゴーシェ病マウスは、YGP-pMFG-GC製剤を与えられなかったマウスよりも臨床的により健康である。 処置により、R463Cゴーシェ病マウスの生存が増加した。図13は、本発明の好ましい態様における、グルコセレブロシダーゼ遺伝子療法の後に、CBE処置したR463Cゴーシェマウスにおいて認められる生存の増加を示す研究から得られたデータのグラフ表示である。 特許請求の範囲は、その趣旨で記載されない限り、説明した順序または要素に限定されるものとして読まれるべきではない。したがって、以下の特許請求の範囲およびその等価物の範囲および精神内に含まれるすべての態様が、本発明として請求される。酵母細胞壁の横断面の概略図100である。外側から内側に向かって、外側の繊維層110、外側のマンノプロテイン層120、βグルカン層130、βグルカン-キチン層140、内側のマンノプロテイン層150、形質膜160、および細胞質170を示す。図2Aは、酵母細胞壁粒子の構造図であり;図2Bは、コンカナバリン-A-FITC(con-A-フルオレセインイソチオシアナート、Sigma Chemical, St.Louis, MO)による酵母細胞壁粒子のマンナン成分の染色を示す、蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であって、実質的に完全に染色された酵母細胞壁粒子210を示しており;図2Cは、YGMPβグルカン-マンナン粒子の構造図であり、図2Dは、YGMPβグルカン-マンナン粒子220のまだらなcon-A-FITC染色を示す、蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であり;図2Eは、YGPβグルカン粒子の構造図であり、かつ図2Fは、con-A-FITC染色が無いことを示す、蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像である。図3Aは、カチオン性閉じ込めポリマーとしてのPEIおよびカチオン性界面活性剤としてのCTABを用いて蛍光標識pIRESプラスミドを充填したYGP粒子に曝露された細胞の光学顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であって、細胞310を示しており、かつ図3Bは、同じ視野の細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であって、図3Bに指示された同じ細胞310の内部に取り込まれた蛍光性のYGP粒子に相当する明るい染色を示している。図4Aは、蛍光標識されたYGP粒子に曝露された細胞、例えば指示された細胞410の蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であり、図4Bは、pIRES DNA、カチオン性閉じ込めポリマーのポリエチレンイミン(PEI)、およびカチオン性界面活性剤ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(臭化セチルトリメチルアンモニウムまたはCTABとしても公知)を含むYGP粒子に曝露されてGFPを発現している細胞、例えば指示された細胞420の蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であり、かつ図4Cは、pIRES DNA、カチオン性閉じ込めポリマーのキトサン、およびカチオン性界面活性剤CTABを含むYGP粒子に曝露されてGFPを発現している細胞、例えば指示された細胞430の蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像である。図5Aは、蛍光標識されたYGP粒子に曝露された細胞、例えば指示された細胞510の光学顕微鏡写真および蛍光顕微鏡写真を合わせたカラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であり;図5Bは、蛍光活性化細胞選別(FACS)調査の結果のグラフ表示であって、蛍光標識YGP粒子を内部に取り込んだ細胞からのシグナルの分布に相当する主要ピーク520、および蛍光標識YGP粒子を有さない細胞からのシグナルの分布に相当する小さいピーク530を示しており;図5Cは、蛍光標識されたDNA、カチオン性閉じ込めポリマーPEI、およびカチオン性界面活性剤CTABを含むYGP粒子に曝露された細胞、例えば指示された細胞540の光学顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であり;図5Dは、同じ視野の細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であって、指示された同じ細胞540を示しており、図5Eは、FACS調査の結果のグラフ表示であって、蛍光性のDNAペイロードを有するYGP粒子を内部に取り込んだ細胞からのシグナルの分布に相当する主要ピーク610、およびYGP粒子を有さない細胞からのシグナルの分布に相当する肩部分620を示しており;図5Fは、蛍光性のアンチセンスRNAペイロードを含むYGP粒子と共にインキュベートされた細胞、例えば指示された細胞710の光学顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であり;図5Gは、同じ視野の細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であって、指示された同じ細胞710を示しており;図5Hは、蛍光標識されたsiRNA、PEI、およびCTABを含むYGP粒子と共にインキュベートされた細胞、例えば指示された細胞810の光学顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であり、かつ図5Iは、同じ視野の細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラスト(ネガの)グレースケール像であって、蛍光性のRNAiペイロードを有する内部に取り込まれたYGP粒子を含む、指示された同じ細胞810を示している。図6A〜6Gは、J774マウスマクロファージ細胞のカラー顕微鏡写真のグレースケール像であり、pMFG-GC発現ベクターを含む酵母細胞壁粒子の取込みおよびヒトグルコセレブロシダーゼ(hGC)の発現を示している。細胞をYGP製剤に曝露させるか、または処置をせず(対照)、培養し、かつ付着細胞をホルマリン固定した。抗ヒトGC一次抗体(ウサギ抗血清)、適切な検出可能の二次抗体(FITCを結合させたヤギ抗ウサギ抗血清)を用いて、固定した細胞を免疫細胞化学のために処理し、蛍光顕微鏡検査法によって検査し、かつ撮影した。図6Aは、未処置の対照培養物に由来するJ774細胞、例えば指示された細胞510の透過光顕微鏡カラー写真のグレースケール像である。図6Bは、同じ視野のJ774細胞の蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、蛍光標識された細胞が無いことを示している。図6Cは、蛍光標識された酵母細胞壁粒子の製剤(YGP-F)に曝露されたJ774細胞の光学顕微鏡写真および蛍光顕微鏡写真を合わせたカラー写真のグレースケール像であり、蛍光標識された粒子を含む細胞、例えば細胞912を示している。図6Dおよび図6Eは、それぞれ、pMFG-GC発現ベクターを含む酵母細胞壁粒子の製剤(YGP:pMFG-GC:PEI:CTAB)に曝露された同じ視野のJ774細胞の透過光顕微鏡カラー写真および蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、蛍光標識された細胞、例えば、細胞914における免疫反応性によってヒトグルコセレブロシダーゼ(hGC)の発現を示している。図6Fおよび図6Gは、それぞれ、pMFG-GC発現ベクターを含む酵母細胞壁粒子の製剤(YGP-CN:pMFG-GC:CTAB)に曝露された同じ視野のJ774細胞の透過光顕微鏡カラー写真および蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、蛍光標識された細胞、例えば、細胞916における免疫反応性によってヒトグルコセレブロシダーゼ(hGC)の発現を示している。図7Aは、蛍光標識された酵母細胞壁粒子の製剤(YGMP-F)に曝露されたJ774細胞の光学顕微鏡写真および蛍光顕微鏡写真を合わせたカラー写真のグレースケール像であり、蛍光標識された粒子を含む細胞、例えば細胞925、および蛍光標識された粒子を欠いている他の細胞、例えば細胞926を示している。図7Bは、pIRES発現ベクターを含む酵母細胞壁粒子の製剤(YGMP-pIRES)に曝露されたJ774細胞の蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、蛍光標識された細胞、例えば、細胞927による緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を示している。図7Cは、pMFG-GC発現ベクターを含む酵母細胞壁粒子の製剤(YGMP-MFG-GC)に曝露されたJ774細胞の蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、蛍光標識された細胞、例えば、細胞928における免疫反応性によってヒトグルコセレブロシダーゼ(hGC)の発現を示している。インビボの経口投与180後にマクロファージ遊走370によって様々な器官450、452、454、456、458に酵母βグルカン粒子(YGP)230を送達する方法の好ましい態様の概略図である。酵母βグルカン粒子(YGP)230を含む組成物182を対象185に経口投与180する。酵母βグルカン粒子(YGP)230は、小腸の内壁中のM細胞355によって取り込まれ、かつ上皮350を通過して移行され、かつ腸管マクロファージ360によって貪食される。YGPを含むマクロファージは、骨450、肺452、肝臓454、脳456、および脾臓458を含む器官および組織に遊走する370。経口投与後約72時間目に、YGPを貪食した脾臓マクロファージ364が脾臓458中で観察された(図解および蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラストのグレースケール像の双方で示した)。経口投与後約90時間目に、YGPを貪食した骨髄マクロファージ362が骨450中で観察された(図解および蛍光顕微鏡カラー写真の逆コントラストのグレースケール像の双方で示した)。図9Aおよび図9Bは、L444P、R463C、およびN370S点突然変異を有するゴーシェ病のより長寿命のマウスモデルを作製するための、loxPを含む置換ベクターの使用の模式的な概略図である。図10A〜10Dは、蛍光標識されたYGP粒子を給餌されたマウスから単離された脾臓マクロファージ細胞の透過光顕微鏡カラー写真(図10Aおよび図10C)ならびに蛍光顕微鏡カラー写真(図10Bおよび図10D)のグレースケール像である。アリコート(0.1ml)のYGP-FおよびYGMP-Fをマウス(C57Bl/6野生型およびゴーシェ病変異マウス)に経口胃管栄養法または皮下注射によって投与した。非蛍光性マクロファージ920および蛍光性マクロファージ922、924を示している。図11A〜11Dは、インビボで処置されたマウスから単離された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、pIRES発現ベクターを含む酵母細胞壁粒子の取込みおよび緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現を示している。単離した細胞を適切な細胞密度になるまで培養し、かつ付着細胞をホルマリン固定し、蛍光顕微鏡を用いて検査し、かつ撮影した。図11Aは、インビボで経口胃管栄養法によりPBSを与えられた(対照処置)野生型マウスから単離された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、蛍光性マクロファージが無いことを示している。図11Bは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pIRES製剤0.1mlをインビボで皮下注射された野生型マウスから単離された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、蛍光性マクロファージ930を示している。図11Cは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pIRES製剤0.1mlをインビボで経口投与された野生型マウスから単離された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、蛍光性マクロファージ931を示している。図11Dは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGMP-pIRES製剤0.1mlをインビボで経口投与された野生型マウスから単離された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真のグレースケール像であり、蛍光性マクロファージ932を示している。図12A〜12Mは、インビボで処置されたマウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の顕微鏡写真の画像であり、pMFG-GC発現ベクターを含む酵母細胞壁粒子の取込みおよびヒトグルコセレブロシダーゼ(hGC)の発現を示している。単離した細胞を適切な細胞密度になるまで培養し、かつ付着細胞をホルマリン固定した。抗ヒトGC一次抗体(ウサギ抗血清)、適切な検出可能の二次抗体(FITCを結合させたヤギ抗ウサギ抗血清)を用いて、固定した細胞を免疫細胞化学のために処理し、蛍光顕微鏡を用いて検査し、かつ撮影した。図12Aは、インビボで経口胃管栄養法によりPBSを与えられた(対照処置)野生型マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージが無いことを示している。図12Bおよび図12Cは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで皮下注射された野生型マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の透過光顕微鏡カラー写真(12B)および蛍光顕微鏡カラー写真(12C)の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ935を示している。図12Dは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで皮下注射されたL444P-/-変異マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ936を示している。図12Eは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで皮下注射されたR463C-/-変異マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ937を示している。図12Fおよび図12Gは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで経口投与された野生型マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の透過光顕微鏡カラー写真(12F)および蛍光顕微鏡カラー写真(12G)の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ、例えばマクロファージ938を示している。図12Hおよび図12Iは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで経口投与される処置を30日間受けたL444P-/-変異マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の透過光顕微鏡カラー写真(12H)および蛍光顕微鏡カラー写真(12I)の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ、例えばマクロファージ940を示している。図12Jは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで経口投与されたR463C-/-変異マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ、例えばマクロファージ941を示している。図12Kは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGMP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで経口投与された野生型マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ、例えばマクロファージ942を示している。図12Lは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGMP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで経口投与されたL444P-/-変異マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ、例えばマクロファージ943を示している。図12Mは、用量当たりプラスミドDNA 100ngを与えるYGMP-pMFG-GC製剤0.1mlをインビボで経口投与されたR463C-/-変異マウスから単離され免疫染色された脾臓マクロファージ細胞の蛍光顕微鏡カラー写真の画像であり、hGCを発現している蛍光性の免疫染色されたマクロファージ、例えばマクロファージ944を示している。本発明の好ましい態様における、グルコセレブロシダーゼ発現遺伝子療法の後に、CBE処置したR463Cゴーシェマウスにおいて認められる生存の増加を示す研究から得られたデータのグラフ表示である。 内部空間の境界を定め、かつ6〜90重量パーセントのβ-グルカンを含む抽出酵母細胞壁; 高分子電解質または多糖であるペイロード閉じ込め分子;ならびに (i) リソソーム酵素、リソソーム酵素の機能的等価物、リソソーム酵素活性化因子、またはリソソーム酵素活性化因子の機能的等価物をコードしている核酸であって、リソソーム酵素活性化因子が、サポシンA、サポシンB、サポシンC、サポシンD、およびGM2活性化タンパク質からなる群より選択される、核酸、 (ii) リソソーム酵素、リソソーム酵素の機能的等価物、リソソーム酵素活性化因子、またはリソソーム酵素活性化因子の機能的等価物からなる群から選択されるタンパク質であって、リソソーム酵素活性化因子が、サポシンA、サポシンB、サポシンC、サポシンD、およびGM2活性化タンパク質からなる群より選択される、タンパク質、 (iii) およびそれらの混合物、からなる群より選択されるペイロード分子を含む組成物であって、ペイロード分子が、欠損したリソソーム酵素の機能を補うのに有効な量存在し、ペイロード分子およびペイロード閉じ込め分子は同じ溶媒系に可溶であり、ペイロード閉じ込め分子が、核酸のペイロード分子との使用においてはアガロース、ポリアクリルアミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、キトサン、ポリエチレンイミン、およびそれらの混合物からなる群より選択され、タンパク質のペイロード分子との使用においてはポリエチレンイミンおよびキトサンから選択され、かつペイロード閉じ込め分子は、ペイロード分子および抽出酵母細胞壁の結合を安定させる、組成物。 抽出酵母細胞壁が、30重量パーセントを超えるマンナンをさらに含む、請求項1記載の組成物。 抽出酵母細胞壁が、50重量パーセントを超えるキチンを含む、請求項1記載の組成物。 ペイロード分子が、組換えDNA構築物である核酸である、請求項1記載の組成物。 組換えDNA構築物が、タンパク質をコードしているオープンリーディングフレームに機能的に連結されている制御エレメントを含む発現ベクターである、請求項4記載の組成物。 オープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質が、構造タンパク質、酵素活性を有するタンパク質、膜タンパク質、DNA結合タンパク質、シグナル伝達タンパク質、またはそれらの機能的等価物である、請求項5記載の組成物。 オープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質が、ヒトグルコセレブロシダーゼまたはその機能的等価物である、請求項5記載の組成物。 オープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質が、リソソーム酵素、リソソーム酵素の機能的等価物、リソソーム酵素活性化タンパク質、またはリソソーム酵素活性化タンパク質の機能的等価物である、請求項5記載の組成物。 リソソーム酵素活性化タンパク質が、サポシンA、サポシンB、サポシンC、サポシンD、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項8記載の組成物。 リソソーム酵素活性化タンパク質がGM2活性化タンパク質である、請求項8記載の組成物。 ペイロード分子が、リソソーム酵素またはその機能的等価物であるタンパク質である、請求項1記載の組成物。 タンパク質が、ヒトグルコセレブロシダーゼまたはその機能的等価物である、請求項11記載の組成物。 請求項1〜12のいずれか一項記載の組成物および薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物。 リソソーム蓄積症の治療用の薬剤を製造するための請求項1〜12のいずれか一項記載の組成物の使用。 リソソーム蓄積症が、グリコサミノグリカンの代謝欠陥、糖タンパク質のグリカン部分の分解の欠陥、グリコーゲンの分解の欠陥、スフィンゴ脂質成分の分解の欠陥、ポリペプチドの分解の欠陥、コレステロール、コレステロールエステル、もしくは他の複合脂質の分解もしくは輸送の欠陥、複数のリソソーム酵素の欠損、輸送の欠陥、または細胞内トラフィッキングの欠陥である、請求項14記載の使用。 リソソーム蓄積症が、ハーラー病、シャイエ病、ハンター病、サンフィリッポ病、モルキオ病、マロトー・ラミー病、スライ病、ヒアルロニダーゼ欠損症、アスパルチルグルコサミン尿症、フコシドーシス、マンノシドーシス、シンドラー病、シアリドーシスI型、ポンペ病、ファブリー病、ファーバー病、ゴーシェ病1型、ゴーシェ病2型、ゴーシェ病3型、GM1-ガングリオシドーシス、テイ・サックス病もしくはサンドホフ病などのGM2-ガングリオシドーシス、GM2活性化因子疾患、クラッベ病、異染性白質ジストロフィー、ニーマン・ピック病A型、ニーマン・ピック病B型、濃化異骨症、セロイドリポフスチン症、コレステロールエステル蓄積症、ニーマン・ピック病C型、ウォルマン病、多発性スルファターゼ疾患、ガラクトシアリドーシス、ムコリピドーシスII型、ムコリピドーシスIII型、シスチン症、ムコリピドーシスIV、シアル酸蓄積症、マリネスコ・シェーグレン症候群を伴うカイロミクロン蓄積症、ヘルマンスキー・パドラック症候群、チェディアック・東症候群、およびダノン病、幸福顔貌骨異形成症(geleophysic dysplasia)、またはマリネスコ・シェーグレン症候群である、請求項14記載の使用。 内部空間の境界を定め、かつ6〜90重量パーセントのβ-グルカンを含む抽出酵母細胞壁を提供する段階; 欠損したリソソーム酵素の機能を補うのに有効な量のペイロード分子に抽出酵母細胞壁を接触させる段階;および ペイロード閉じ込め分子に抽出酵母細胞壁を接触させる段階を含む、組成物を作製する方法であって、ペイロード分子およびペイロード閉じ込め分子は同じ溶媒系に可溶であり、かつペイロード閉じ込め分子は、ペイロード分子および抽出酵母細胞壁の結合を安定させる、請求項1記載の組成物を作製する方法。 抽出酵母細胞壁が、30重量パーセントを超えるマンナンをさらに含む、請求項17記載の方法。 抽出酵母細胞壁が、50重量パーセントを超えるキチンを含む、請求項17記載の方法。 核酸が、組換えDNA構築物である、請求項17記載の方法。 組換えDNA構築物が、タンパク質をコードしているオープンリーディングフレームに機能的に連結されている制御エレメントを含む発現ベクターである、請求項20記載の方法。 オープンリーディングフレームによってコードされるタンパク質が、構造タンパク質、酵素活性を有するタンパク質、膜タンパク質、DNA結合タンパク質、シグナル伝達タンパク質、またはそれらの機能的等価物である、請求項21記載の方法。 以下の段階を含む、インビトロで細胞における酵素欠損を補う方法:請求項5記載の第1の組成物の有効量を提供する段階であって、第1の組成物のペイロード分子が、欠損酵素またはその機能的等価物をコードしているオープンリーディングフレームに機能的に連結されている制御エレメントを含む発現ベクターである段階;ならびにそのような酵素欠損を有する細胞をインビトロで第1の組成物に接触させる段階。 酵素欠損がリソソーム酵素欠損である、請求項23記載の方法。 オープンリーディングフレームによってコードされる酵素が、ヒトグルコセレブロシダーゼまたはその機能的等価物である、請求項23記載の方法。 細胞による第1の組成物の食作用の段階をさらに含む、請求項23記載の方法。 以下の段階をさらに含む、請求項23記載の方法:請求項5記載の第2の組成物の有効量を提供する段階であって、第2の組成物のペイロード分子が、欠損酵素の活性化因子またはその機能的等価物をコードしているオープンリーディングフレームに機能的に連結されている制御エレメントを含む発現ベクターである段階;ならびにそのような酵素欠損を有する細胞をインビトロで第2の組成物に接触させる段階。 細胞による第2の組成物の食作用の段階をさらに含む、請求項27記載の方法。 細胞が、マクロファージ、パイエル板のM細胞、単球、好中球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、クッパー細胞、肺胞食細胞、腹腔マクロファージ、乳中マクロファージ、小膠細胞、好酸球、顆粒球、糸球体間質食細胞、または滑膜A細胞である、請求項23記載の方法。 タンパク質の欠損に起因するリソソーム蓄積症に罹患している対象を治療するための第1の薬学的組成物の調製のための請求項5記載の組成物の使用であって、ペイロード分子が、欠損タンパク質またはその機能的等価物をコードしているオープンリーディングフレームに機能的に連結されている制御エレメントを含む発現ベクターであり;ならびに第1の組成物が、食細胞に接触する、使用。 第1の組成物が、経口的に、皮下に、筋肉内に、または吸入によって対象に投与されるものである、請求項30記載の使用。 対象が胎児であり、かつ組成物が、母親に組成物を投与することによって、または羊水中に有効量の組成物を入れることによって、子宮内の胎児に投与されるものである、請求項30記載の使用。 第2の薬学的組成物の調製のための請求項5記載の組成物の使用をさらに含む、請求項30記載の使用であって、ペイロード分子が、欠損酵素の活性化因子またはその機能的等価物をコードしているオープンリーディングフレームに機能的に連結されている制御エレメントを含む発現ベクターであり、ならびに食細胞に接触し、ここで、第1の組成物の有効量および第2の組成物の有効量がリソソーム障害を有する対象に投与されるものである、使用。 リソソームタンパク質欠損を有する対象を治療するための第1の薬学的組成物を調製するための請求項1記載の組成物の使用であって、ペイロード分子が、欠損タンパク質またはその機能的等価物をコードしているオープンリーディングフレームに機能的に連結されている制御エレメントを含む発現ベクターであり、ならびに第2の薬学的組成物の調製のための請求項1記載の組成物の使用であって、ペイロード分子が、欠損酵素の活性化因子、その機能的等価物、または欠損酵素の活性化因子もしくはその機能的等価物をコードしているオープンリーディングフレームに機能的に連結されている制御エレメントを含む発現ベクターであり、ここで、第1の組成物の有効量および第2の組成物の有効量がリソソーム蓄積症を有する対象に投与されるものである、使用。 第1の組成物が、経口的に、皮下に、筋肉内に、または吸入によって対象に投与されるものである、請求項33または34記載の使用。 第1の薬学的組成物が食細胞に接触するものであり、第2の薬学的組成物が食細胞に接触するものである、請求項34記載の使用。配列表


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