生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_フォルスコリン粉末
出願番号:2007070005
年次:2007
IPC分類:A61K 9/50,A61K 47/34,A61P 43/00,A61K 31/352,A23L 1/30


特許情報キャッシュ

川上 敏興 JP 2007297374 公開特許公報(A) 20071115 2007070005 20070319 フォルスコリン粉末 ゼネックス株式会社 592239730 三邦株式会社 595054349 嶋 宣之 100076163 川上 敏興 JP 2006102837 20060404 A61K 9/50 20060101AFI20071019BHJP A61K 47/34 20060101ALI20071019BHJP A61P 43/00 20060101ALI20071019BHJP A61K 31/352 20060101ALI20071019BHJP A23L 1/30 20060101ALN20071019BHJP JPA61K9/50A61K47/34A61P43/00 111A61K31/352A23L1/30 BA23L1/30 Z 1 2 OL 8 4B018 4C076 4C086 4B018MD07 4B018ME01 4C076AA64 4C076BB01 4C076CC11 4C076CC21 4C076EE24H 4C076FF21 4C086AA01 4C086AA02 4C086BA08 4C086MA02 4C086MA05 4C086MA38 4C086MA52 4C086NA11 4C086ZA36 4C086ZB21 この発明は、生体細胞への吸収が良いフォルスコリン粉末に関する。 従来から、シソ科植物のコレウスフォルスコリの根から抽出したフォルスコリエキスに含まれるフォルスコリンが、動物の体内に取り込まれた場合、細胞内でアデニル酸シクラーゼ(c−AMP合成酵素)を活性化する作用が認められている。アデニル酸シクラーゼが活性化されると、その結果、c−AMP(環状アデノシン一リン酸)が増加し、それにより細胞内代謝を活性化させると考えられている。 そのため、フォルスコリンを含有したダイエット食品も提案されている(特許文献1参照)。 そして、液体よりも粉末の方が取り扱い易いので、継続摂取し易いと考えて、液体のフォルスコリエキスに、デンプンや糖などの賦形剤を加えて噴霧乾燥により、粒径が数μmの粉末に粉末化することが行なわれている。このようにして製造されたフォルスコリン粉末を他の食品に混ぜて摂取したり、カプセル化して摂取したりするようにしていた。特開平6−133731号公報 しかし、上記のように従来のフォルスコリン粉末を経口摂取した場合、その代謝効果が思うように現れないことがあった。例えば、大量に摂取しなければ効果が出なかったり、被検者によっては効果の現れ方に差がでてしまったりすることがあった。 このようなことは、上記フォルスコリン粉末の細胞への吸収性が良くないことに起因すると考えられる。その結果、上記のようなフォルスコリンに期待される代謝効果が十分に現れないという問題があった。 この発明の目的は、経口摂取によって細胞に吸収されやすく、その結果、十分な代謝効果が期待できるフォルスコリン粉末を提供することである。 この発明のフォルスコリン粉末は、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)粒子にフォルスコリンが封入され、粒径が1000(nm)未満であることを特徴とする。 この発明によれば、細胞への吸収性が高い物質である乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)粒子に、フォルスコリンを封入するとともに、粉末の粒径を、1000(nm)未満とすることにより、フォルスコリンの吸収性を高めることができた。 その結果、経口摂取したフォルスコリンを効率よく体内に取り込んで代謝効果を上げることができるようになる。 また、この発明のフォルスコリン粉末は、皮膚に塗布した場合、経皮吸収されやすく、皮膚細胞の代謝を向上させることができる。その結果、皮膚の新陳代謝を上げて肌の健康を保ったり、部分的に引き締めたりする効果を期待できる。 この実施形態のフォルスコリン粉末は、乳酸・グリコール酸共重合体(以下PLGAという)に、有効成分としてフォルスコリンを含み、その粒径を1000(nm)未満とした粉末である。なお、上記フォルスコリンとは、シソ科植物コレウスフォルスコリの根からの抽出物に含まれる成分である。 そして、上記のようにしたフォルスコリン粉末の経口摂取が、体内に吸収されたことを確認する試験1を行なった。(試験1) この発明の一実施形態として、フォルスコリン粉末を、以下の手順で生成し、これを用いて試験を行なった。 まず、フォルスコリン粉末の生成のため、シソ科植物であるコレウスフォルスコリの根から、超臨界炭酸ガス抽出法によって、液状のフォルスコリエキスを抽出した。この抽出物には、フォルスコリン及びその類縁化合物が存在することを、薄層クロマトグラフィー及び、高速液体クロマトグラフィーによって確認している。 そして、アセトンとエタノールの混合液を良溶媒として、この溶媒に、上記液状のフォルスコリエキスとPLGAとを混合した溶質を溶解させ、溶液を作製する。これに対し、ポリビニルアルコール水溶液を貧溶媒として作製した。 そして、上記貧溶媒中に上記良溶媒を用いた溶液を滴下して、PLGAとフォルスコリンの混合物を析出させ、この混合物の懸濁液を作製する。その後、この懸濁液から溶媒を減圧留去して、凍結乾燥によって粉末化した。 このようにして得られたフォルスコリン粉末は、50%径D50が約210(nm)、90%径D90は約288(nm)であった。また、この粉末は、PLGAにフォルスコリンを7.8(重量%)封入した粉末であった。 なお、上記50%径D50及び90%径D90は、動的光散乱法により測定した粒度分布に基づいた体積基準の粒子径であり、上記フォルスコリン封入率は高速液体クロマトグラフィーにより定量した。 また、この実施形態のフォルスコリン粉末は、ほとんどの粒子の粒径が300(nm)以下のナノ粒子なので、以下、従来品と区別するために、ナノフォルスコリン粉末ということにする。 上記のようにして生成したフォルスコリン粉末の効果を確認するために、図1に示す4種の飼料を調整するとともに、Balb/c雄性8週齢マウスを、各群、5匹ずつ4群に分けて、それぞれに、図1に示す飼料を4日間与え、水は自由に摂取させた。 すなわち、マウスに与えた飼料は、1群はコントロールであり、市販の実験動物用の粉末飼料のみである。そして、この市販の粉末飼料は、他の群の飼料にも用いている。 2群は、PLGA粉末を0.2(g)と上記市販の粉末飼料100(g)とを混合したものである。 3群は、従来のフォルスコリン粉末17.3(mg)と上記粉末飼料100(g)とを混合したものである。なお、従来のフォルスコリン粉末は、フォルスコリエキスを噴霧乾燥によって、平均粒径が数(μm)の粒子に粉末化したもので、フォルスコリン含有率は90(%)である。 4群は、この実施形態のナノフォルスコリン粉末0.2gと上記粉末飼料100(g)とを混合したものである。 つまり、2群は、PLGAの効果を確認するためのものであり、3群及び4群は、フォルスコリンの効果を確認するための実験である。 そして、上記3群と4群とは、飼料全量中に含まれるフォルスコリン量を同量にしている。 上記4種の飼料を4日間与えた1〜4群のマウスについて、その肝細胞からRNAを抽出し、RT−PCR(reverse transcriptase polymerase chainreaction)、すなわち逆転写ポリメラーゼ連鎖反応により、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(以下PEPCKという)の遺伝子発現の変化を、メッセンジャーRNA(以下mRNAという)量によって測定した。(試験結果) 上記各群のPEPCKのmRNA発現量は、図2に示すグラフのようになった。このグラフの縦軸は、β−アクチンのmRNA量を基準として、それに対するPEPCKのmRNA量の割合を(%)としたものである。つまり、電気泳動図におけるβ−アクチンのmRNA量の蛍光強度を100(%)としたときの、PEPCKのmRNA量の、蛍光強度の割合である。 図2に示す結果より、4群が、他の群より優位にPEPCKのmRNA量が高いことが分かった。 一方で、培養細胞や肝灌流実験で、フォルスコリンが細胞内のc−AMP(環状アデノシン一リン酸)レベルを上昇させることが知られているし、上記c−AMPが上昇するということは、PEPCKの遺伝子発現を上昇させることにつながることも知られている。従って、本試験で、PEPCKの遺伝子発現が上昇したということは、細胞内のc−AMPレベルが上昇したということを示している。そして、c−AMPレベルが上昇したということはフォルスコリンが細胞内へ取りこまれて作用したと考えることができる。つまり、上記試験結果から、この実施形態のナノフォルスコリン粉末を経口投与した4群が、フォルスコリンを細胞内へ多く吸収させたことが分かる。 また、2群におけるPEPCKのmRNA量が、1群と差がないことから、上記ナノフォルスコリン粉末の効果が、担体として用いたPLGA自体のものではないことが分かる。 さらに、3群に与えた従来のフォルスコリン粉末の経口投与では、PEPCKの遺伝子発現の上昇は、コントロールである1群と比べて優位性があるとは認められない。3群では、フォルスコリンがほとんど体内へ取り込まれていないと考えられる。そして、3群で与えた飼料中のフォルスコリン量は、4群と同量なのに、このような差が出たということは、従来のフォルスコリン粉末が、経口投与による吸収性が低いためと考えられる。 そして、上記実施形態のナノフォルスコリン粉末の細胞への吸収性が高いのは、細胞への吸収性が高い物質であるPLGAにフォルスコリンを封入するとともに、その粒径を1000(nm)未満のナノ粒子としたことによる。もともと、吸収性の高いPLGAを担体とし、それをナノ粒子化することによって、PLGAがフォルスコリンをともなって細胞内へ速やかに浸透する。その結果、フォルスコリンが、傾向摂取によって細胞へ速やかに吸収されるようになったと考えられる。 また、上記試験1で用いたナノフォルスコリン粉末の経皮吸収を確認するため、試験2を行った。(実験2) この実験2でも、上記実験1で用いたものと同じ方法で形成したナノフォルスコリン粉末を用いた。すなわち、このナノフォルスコリン粉末は、PLGAにフォルスコリンを7.8(重量%)封入した粉末であり、その50%径D50が約210(nm)、90%径D90は約288(nm)である。 そして、生理的食塩水に対して、上記ナノフォルスコリ粉末1重量%を分散したナノフォルスコリン粉末分散液を生成し、これを被検者の腕に塗布して、フォルスコリンが吸収されたことを確認するための実験を行なった。 具体的な実験方法は、以下のとおりである。 上記のように生成したナノフォルスコリン粉末分散液を、被検者の右腕の内側に1(ml)塗布し、塗布直後から40分後までの腕表面の温度変化を、赤外線サーモグラフィーによって測定した。このとき、左腕の内側には、生理的食塩水1(ml)を塗布し、対照データとしている。(実験結果) 上記測定による腕表面の温度分布を図3〜図5に示すが、図3は上記ナノフォルスコリン粉末分散液と生理的食塩水とをそれぞれ塗布した直後のデータ、図4は塗布の10分後、図5は塗布の20分後、図6は40分後のデータである。 これらの図3〜図6では、腕の表面を、32℃未満の領域a、32℃以上34℃未満の領域b、34℃以上34.5℃未満の領域c、34.5℃以上の領域dの4領域に分割して図示している。 上記図3〜図6より、ナノフォルスコリン粉末分散液を塗布した右腕は、塗布後10分から40分後までのデータで、左腕と比べて34℃以上の領域c及び領域dの面積が多く、表面温度が高くなっていることがわかる。このように、ナノフォルスコリン粉末分散液を塗布したことによって、表面温度が上昇したことが分かる。 なお、対照データとして、生理的食塩水のみを塗布した左腕も、塗布直後より10分後に、温度が上昇しているが、それは、生理的食塩水の塗布によって、皮膚の表面温度が一時的に下がってしまったためと考えられる。このように、液体を塗布することによって表面温度が一時的に下がる現象は、ナノフォルスコリン粉末分散液を塗布した右腕でも同様に起こると考えられるが、左右どちらも、塗布直度に一時的に下がった表面温度が、体温によって徐々に回復し、さらに、右腕表面だけが、温度上昇したものと考えられる。 また、塗布後40分以降の表面温度の測定も行ったが、ナノフォルスコリン粉末分散液を塗布した右腕の表面温度も徐々に下がって、約80分後には、左右の差がなくなっていることを確認している。 さらに、上記したように、フォルスコリンが、細胞に吸収されると、細胞の代謝が向上するため、それによって温度が上昇すると考えられるため、上記右腕の表面温度の上昇は、フォルスコリンの経皮吸収によるものと推測できる。つまり、この実施形態のナノフォルスコリン粉末は、皮膚からも細胞へ吸収されることが分かった。 このように、皮膚からフォルスコリンが吸収されると、細胞内では実験1で説明した場合と同様に、代謝が向上し、エネルギーが消費されるので、部分的な引き締め効果が期待できる。また、皮膚細胞の新陳代謝も向上して、肌の健康にも良い。 さらに、塗布することによって表面温度が上がるので、使用者はぽかぽかして使用感が良いので、気持ちよく塗布することができ、継続使用させやすくすることもできる。そのため、上記のようなナノフォルスコリン粉末を、例えば、スキンクリームなどに含有すれば、気持ちよく継続使用することができるので、フォルスコリンともに含有されている他の有効成分の効果も高めることができる。実験1に用いた飼料を示した表である。実験1の実験結果を示すグラフである。実験2の実験結果である両腕の温度分布を示す図で、試料の塗布直後の状態を示したものである。実験2の実験結果である両腕の温度分布を示す図で、試料の塗布後10分後の状態を示したものである。実験2の実験結果である両腕の温度分布を示す図で、試料の塗布後20分後の状態を示したものである。実験2の実験結果である両腕の温度分布を示す図で、試料の塗布後40分後の状態を示したものである。 乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)粒子にフォルスコリンが封入され、粒径が1000(nm)未満であるフォルスコリン粉末。 【課題】 この発明の目的は、経口摂取によって細胞に吸収されやすく、その結果、十分な代謝効果が期待できるフォルスコリン粉末を提供することである。【解決手段】 乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)粒子にフォルスコリンが封入され、粒径が1000(nm)未満のナノ粒子からなるフォルスコリン粉末を生成する。 このようなフォルスコリン粉末は、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)の吸収性と、ナノ粒子の浸透性とによって、細胞に取り込まれやすくなると考えられる。【選択図】 図2


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