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タイトル:公開特許公報(A)_アデノ随伴ウイルスのITRをもつDNAのヒト第19番染色体への組込み部位の制御方法
出願番号:2006263018
年次:2008
IPC分類:C12N 15/09,C12P 21/02,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C12N 5/10


特許情報キャッシュ

半田 宏 山本 法明 JP 2008079539 公開特許公報(A) 20080410 2006263018 20060927 アデノ随伴ウイルスのITRをもつDNAのヒト第19番染色体への組込み部位の制御方法 国立大学法人東京工業大学 304021417 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 福本 積 100087871 古賀 哲次 100087413 中村 和広 100108903 半田 宏 山本 法明 C12N 15/09 20060101AFI20080314BHJP C12P 21/02 20060101ALI20080314BHJP C12N 1/15 20060101ALI20080314BHJP C12N 1/19 20060101ALI20080314BHJP C12N 1/21 20060101ALI20080314BHJP C12N 5/10 20060101ALI20080314BHJP JPC12N15/00 AC12P21/02 CC12N1/15C12N1/19C12N1/21C12N5/00 A 16 OL 24 4B024 4B064 4B065 4B024AA01 4B024CA01 4B024CA06 4B024DA02 4B024EA02 4B024GA11 4B024HA08 4B024HA17 4B064AG01 4B064CA10 4B064CA19 4B064CC24 4B064DA01 4B065AA01X 4B065AA57X 4B065AA87X 4B065AA90Y 4B065AA95X 4B065AA95Y 4B065AB01 4B065BA01 4B065CA24 4B065CA44 本発明は、アデノ随伴ウイルス(AAV)のゲノムDNA全長あるいはDNAゲノムの両端に存在するITRをもつDNAを、ヒト細胞のヒト第19番染色体上に存在するAAVS1領域に組込む際に、当該DNAの組込み部位を制御する方法に関する。アデノ随伴ウイルスはヒトに対する病原性を有さず、遺伝子治療などのために目的遺伝子をヒトの細胞に導入する際のキャリヤーとして有望である。 アデノ随伴ウイルス (AAV) は、そのゲノムがヒト第19番染色体上のAAVS1遺伝子座中に部位特異的に組込まれる。組込みのために、AAVS1上のRep結合部位 (Rep binding site)(RBS) へのAAV非構造タンパク質Rep78/68のリクルートメントは本質的段階であると考えられるが、部位特異的組込みの機構、特に、組込み部位が決定される態様について、ほとんど知られていない。TAR-RNAループ結合性タンパク質(TAR-RNA loop binding protein) (TRP−185)は、以前にヒト免疫不全ウイルス (HIV) -1 TAR RNAに結合し、その遺伝子制御に関連することが報告され、本研究で、はじめて、AAVS1 DNAに結合することが明らかとなった。 AAVは非病原性ヒトパルボウイルスであり、ウイルスの複製起点として働くパリンドロームInverted Terminal repeat (ITRs) を両端に担持する、ほぼ4.7 kbの線状一本鎖DNAゲノムを含有する。AAVゲノムは、2つの主要なオープンリーディングフレーム、repおよびcapから成る。cap遺伝子は3つの構造タンパク質、VP1、VP2およびVP3をコードする。rep遺伝子は4つの非構造タンパク質、Rep78、Rep68、Rep52およびRep40をコードする。非構造タンパク質は多数の活性、例えば、DNA結合、ATPエース、ヘリケースおよびエンドヌクレエース活性を有し、そしてウイルス生活環の種々の段階、例えば、組込み、複製およびウイルス遺伝子の発現の調節において重要な役割を演ずる。 効率よいAAV複製および遺伝子発現のために、ヘルパーウイルス、例えば、アデノウイルスまたはヘルペスウイルスなどの共感染が要求される。その非存在下において、AAV感染は第19番染色体上の特異的遺伝子座(AAVS1と呼ばれる)中へのウイルスDNAゲノムの安定な組込みを生ずる、(Kotin 他、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 87、2211-2215, 1990; Samulski 他、Embo J. 10、3941-3950,1991) 。AAVのこの性質は真核DNAウイルスの間でユニークである。 AAV部位特異的組込みの現在のモデルにおいて、感染後、一本鎖AAVゲノムは二本鎖DNAに転化される。次に、ウイルスのp5プロモーターは活性化され、Rep78およびRep68の合成を指令する。これらのタンパク質は、AAV ITRsおよびp5プロモーター中に存在する16 bpのRBSに結合する。また、Rep78/68は第19番染色体上のAAVS1領域中のRBSに結合し、そしてAAVゲノムをAAVS1にリクルートする (Hamilton 他、J. Virol. 78、7874-7882、2004; Weitzman 他、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 91、5803-5812, 1994)。次いで、Rep78/68はAAVS1上のRBS近傍に存在する6 bpのterminal resolution site (trs) においてニックをいれ、そしてそのヘリケース活性は二本鎖DNAをtrsから3’ → 5’ の方向にほどいてゆき、DNA複製を促進する (Hamilton 他、J. Virol. 78、7874-7882, 2004; Urcelay 他、J. Virol. 69、2038-2046、1995) 。 引き続いて、AAVゲノムはRBSの約1 kb下流の範囲内のAAVS1部位の中に組込まれる (Hamilton 他、J. Virol. 78、7874-7882, 2004; Linden 他、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 93、11288-11294、1996) 。現在、AAV-AAVS1ジャンクション形成の2つのモデルが存在する。一方のモデルはDNA複製間に起こるRep78/68仲介ストランドスイッチングによるものである。(Linden 他、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 93、11288-11294、1996); 他方のモデルはRepのライゲース活性によるものである (SmithおよびKotin、DNA. J. Virol. 74、3112-3129、2000) 。 AAV部位特異的組込みには以下の3つの因子が必須である: (1) AAVゲノムのITRsおよびp5プロモーター上のRBS、(2) 第19番染色体AAVS1中のtrsおよびRBSを含有する33 bpの配列、および(3) Rep78またはRep68 (Huser 他、J. Virol. 76、7554-7559、2003; Philpott 他、2002) 。Rep78およびRep68はAAV部位特異的組込みにおいて同一方法で機能するので、いずれかのタンパク質一方で組込みのために十分である。 しかしながら、Repタンパク質の発現レベルは潜伏的に感染した細胞において極めて低い (Young 他、J. Virol. 74、3953-3966、2000) ので、Rep機能を促進する追加の細胞因子が存在し、AAV部位特異的組込みに寄与している可能性がある。事実、high mobility group protein (HMG-1) はRep68に結合し、このDNA結合およびエンドヌクレエース活性を促進し、これによりin vitroにおいてRBSにおける組込みを促進することが報告されている (Costello 他、Embo J. 16、5943-5954、1997; Dyall 他、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 96、12849-12845、1999) 。 それにもかかわらず、AAV部位特異的組込みの複雑な機構、特に、AAVS1中のRBSの約1 kb下流の範囲内におけるAAVゲノムの組込みの機構はまだ完全には解明されてきていない (Hamilton 他、J. Virol. 78、7874-7882、2004; Linden 他、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 93、11288-11294、1996) 。Repヘリケース活性がRBSの下流領域中へのAAV組込みに関与していると考えられる (Linden 他、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 93、11288-11294、1996) が、AAVの潜伏感染時にヘリケース活性が調節される方法は明らかでない。 本発明者は、AAV部位特異的組込みの細胞レギュレーターを同定することに関心をもった。細胞レギュレーターは、組込み機構の主要成分、例えば、Rep68およびAAVS1 DNAと相互作用することを仮定した。以前の論文 (Han 他、Virology 320、144-155、2004) において、本発明者らは、Rep68結合性タンパク質を探求し、14-3-3タンパク質の2つのメンバーを同定した。引き続く分析において、14-3-3はAAV DNA複製に関係づけられるが、その部位特異的組込みには関係づけられないことが示唆された (Han 他、Virology 320、144-155、2004、データは示されていない) 。 本発明においては、AAVS1のコア要素に結合するタンパク質を探求した。この目的のため、本発明者らはアフィニティークロマトグラフィーを実施した。ここで種々の生物学的に活性な成分、例えば、化合物 (Shimizu 他、Nat. Biotechnol. 18、877-881、2000) 、核酸 (Wada 他、Nucleic Acids Res. 24、876-884、1996) およびタンパク質 (Han 他、Virology 320、144-155、2004) を固定化できるラテックスビーズを使用した。上の1工程のクロマトグラフィーを用いることで、本発明者らはTRP-185を精製した。TRP-185は、HeLa細胞核抽出液 (NE) からのHIV-1遺伝子発現の制御に以前に関係づけられた185 kDaのタンパク質である (Wu-Baer 他、Embo J. 14、5995-6009、1995) 。TRP-185はAAVS1 RBSおよびRep68との相互作用を通してAAV組込み部位の選択を制御することを示唆するいくつかの証拠を本発明において得た。 本発明は、上記のごとき新規な知見に基づくものであり、アデノ随伴ウイルス(AAV)のITRをもつDNAを、ヒト細胞の第19番染色体上のAAVS1領域に組込む際に、AAVS1結合因子TRP-185を制御することを特徴とする、あるいは、AAVの非構造タンパク質Rep68あるいはRep78の活性を制御することを特徴とする、アデノ随伴ウイルスの組込み部位の制御方法を提供する。前記AAVS1結合因子TRP-185の制御は、例えばRNAi法を用いた、TRP-185の発現を抑制する方法などにより行われる。前記AAV非構造タンパク質Rep68あるいはRep78の活性制御は、例えばTRP-185によるDNA結合能制御などにより行われる。この方法を用いることで、例えば1つのAAVS1上の上流域と下流域に独立した遺伝子の導入が可能になる。AAVS1領域への特異的組込みという性質の利用は、レンチウイルスベクターなどにみられるランダムな遺伝導入という安全面でのマイナス要素を克服しうる、ということは特筆に価する。 TRP-185の活性制御は、以下にあげる方法で行われる。 (1)TRP-185をノックダウンする配列をもったプラスミドDNA、あるいはレンチウイルスによるRNAi法を用いた、TRP-185の発現抑制により行う。この場合、TRP-185の発現量は正常細胞の20%以下に抑えられている必要がある。TRP-185の発現抑制によって、AAVの組込みは、AAVS1上のRBSで亢進されRBS下流域で抑制される。なお、この方法において必要な、TRP-185のアミノ酸配列及びそれをコードする塩基配列を、それぞれ配列番号:23及び配列番号:24に示す。 (2)TRP-185の発現ベクターを用いてTRP-185の過剰発現により行う。TRP-185の過剰発現によって、AAVの組込みは、AAVS1上のRBSで抑制され、それと同時にRBSの下流域で亢進されると期待される。 (3)TRP-185の活性あるいは発現量を制御するTRP-185の欠損あるいは点変異体あるいは薬剤により行う。TRP-185の活性を抑制する場合、TRP-185の欠損あるいは点変異体は、TRP-185のドミナントネガティブ変異体として働くことが望ましい。また、この場合、TRP-185の発現抑制を行った場合と同様の効果が期待できる。 (4)TRP-185の活性を制御する細胞因子によって行う。例えば、TRP-185と結合する細胞因子、TRP-185のDNAやRNAとの結合、あるいはRep68Rep78タンパク質との結合活性を制御する細胞因子がこれにあたる。 Rep68あるいはRep78の活性制御は、以下にあげる方法で行われる。 (1)Rep68あるいはRep78のDNA上でのオリゴマー化制御を、TRP-185とその活性を維持した欠損あるいは点変異体によって行う。オリゴマー化が促進されると、AAVの組込みは、AAVS1上のRBSで抑制されその下流域で亢進される。TRP-185の発現抑制はRep68あるいはRep78のオリゴマー化を抑制し、逆に、TRP-185の過剰発現は、Rep68あるいはRep78のオリゴマー化を亢進させると期待される。 (2)Rep68あるいはRep78のヘリケース活性の制御を、TRP-185とその活性を維持した欠損あるいは点変異体によって行う。ヘリケース活性が促進されると、AAVの組込みは、AAVS1上のRBSで抑制されその下流域で亢進される。TRP-185の発現抑制はRep68あるいはRep78のヘリケース活性を抑制し、逆に、TRP-185の過剰発現は、Rep68のヘリケース活性を亢進させると期待される。 次に、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。 共通の実験方法および実験材料の調製 (1)細胞および細胞培養 10 %のウシ胎児血清を補充したDMEM培地(Invitrogen)中で、HeLa細胞を増殖させた。 (2)プラスミド AAVS1のほぼ1.6 kbのフラグメントをpUC18 (HindIII) AAVS1から切除し、pBluescript SK+ 中にクローニングしてpBSAAVS1をつくった。さらに、pBSAAVS1をAatIIおよびPvuIIで切断し、生ずるフラグメントをpBluescript SK+ にクローニングしてpBSAAVS1APを作成した。鋳型としてpBSAAVS1を使用するPCR法を用いて、AAVS1 RBS変異体 (CCTCCCTCCCTCCCTG)(配列番号:1)を作成した。上記配列中の変異したヌクレオチドに下線を引いた。pFASTRep68を構築するために、Rep68を含有するDNAフラグメントをpBS-Rep68 (Han 他、2004) から切除し、pFastBac1 (Invitrogen) 中にクローニングした。 HeLa細胞mRNAからのRT-PCRにより、C-末端にHisタグ、またはFlagタグを発現するように修飾されたTRP-185 cDNAを得た。PCR生成物をpcDNA3.1(+) (Invitrogen) 中にクローニングして、pcTRP-185-HisおよびpcTRP-185-Flagを作成した。pFASTTRP-185-Hisを構築するために、TRP-185-Hisを含有するDNAフラグメントをpcTRP-185-Hisから切除し、pFastBac1中にクローニングした。 TRP-185 mRNAのヌクレオチド1414-1434をターゲッティングするshRNAを発現させるために、オリゴヌクレオチド: 5’-ACTCAGTATATAGCGGAAAGTTCAAGAGACTTTCCGCTATACTGAGTCTTTTT-3’ (配列番号:2) および 5’-GATCAAAAAGACTCAGTATAGCGGAAAGTCTCTTGAACTTTCCGCTATACTGAGTCA-3’ (配列番号:3) をアニールし、マウスU6プロモーターを含有するpBS-U6 (Yamada 他、Mol. Cell 21、227-237、2006) 中に挿入した。次に、U6プロモーターおよびオリゴヌクレオチドを含有するDNAフラグメントをpLenti6/V5-GW/lacZ (Invitrogen) のBanIIIおよびSacII部位中に挿入した。 (3)組換えタンパク質の製造 組換え (r) ヘマグルチニン (HA)-およびFlagタグ付加Rep68 (rRep68) およびHisタグ付加TRP-185 (rTRP-185) タンパク質を、記載されているように (Han 他、2004) 、昆虫細胞 (sf9) 中で発現させた。抗Flag M2アガロース (Sigma) を使用するアフィニティークロマトグラフィーによりrRep68を精製した。Ni-NTAアフィニティークロマトグラフィーにより製造業者の使用説明書 (Qiagen) に従い、rTRP-185を精製した。 (4)DNA固定化ラテックス粒子によるアフィニティー精製 以前に報告されているように (Inomata 他、J. Biomater. Sci. Poly. Ed. 5、293-302、1994) 、Dignamの方法 (Dignam 他、Nucleic Acids Res. 11、1475-1489、1983) により調製したHeLa NEから、DNA固定化ラテックス粒子を使用して、AAVS1 DNA結合性タンパク質をアフィニティー精製した。オリゴヌクレオチド: mnAAVS1 wild S: (5’-AATTCGGCGGTTGGGGCTCGGC(GCTC)3GCTGGGCGGGCGG-3’)(配列番号:4) およびmnAAVS1 wild AS: (5’-GATCCCGCCCGCCCAGC(GAGC)3GCCGAGCCCCAACCGCCG-3’) (配列番号:5) をアニリーングすることでmnAAVS1野生型を作成し、 一方で、mnAAVS1 mutant S: (5’-AATTCGGCGGTTGGGGCTCGGC(CCTC)3CCTGGGCGGGCGG-3’)(配列番号:6) およびmnAAVS1 mutant AS (5’-GATCCCGCCCGCCCAGG(GAGG)3GCCGAGCCCCAACCGCCG-3’)(配列番号:7) をアニーリングすることでmnAAVS1変異型を作成した。変異の入った塩基配列には下線を引いた。 1 μgのDNAを担持するラテックス粒子 (0.43 mg) を0.1 M KCl (0.1 HGEDN; HGEDNに先行する数字はKClのモル濃度を意味する) を含有するHGEDN (10 mM Hepes [pH 7.9]、10%グリセロール、1 mM EDTA、1 mM DTT、0.1% NP40) と平衡化させ、50 μgのサケ精子DNAおよび2 μgのポリ(dI-dC) を含有する100 μlのHeLa NE (800 μg) と4℃において1時間インキュベートした。ラテックス粒子を100 μlの0.2 HGEDNで3回洗浄し、そして結合したタンパク質を20 μlの0.3 HGEDNで溶出した。溶出した試料の10 μlをSDS試料緩衝液と混合し、5〜20%勾配のSDS-ポリアクリルアミドゲル上で分離し、銀染色によりタンパク質を検出した。 (5)ホルムアルデヒド架橋およびクロマチン免疫沈降法 (ChIP) トランスフェクション試薬リポフェクタミン (Lipofectamine) 2000 (Invitrogen) を使用して、HeLa細胞 (15 cmの皿上の7×106細胞) に6 μgのpcTRP-185-Flagを遺伝子導入した。導入2日後に、細胞をChIP分析のために収集した (Endoh 他、Mol Cell Biol、24、3324-3336、2004) 。免疫沈降前のゲノムDNAフラグメントおよび免疫沈降させたDNAを精製し、iQ SYBR Green Supermix (Bio-Rad) を使用するリアルタイムPCRにより定量した。 下記のプライマー: AAVS1-ChIP248S (5’-ATCCGTGACGTCAGCAAGC-3’)(配列番号:8) およびAAVS1-ChIP428AS (5’-CATCCTCTCCGGACATCG-3’)(配列番号:9)を使用してAAVS1 RBS領域を増幅し、そして下記のプライマー: ChIPctrfw (5’-GCCTTAAGGTTTATACCAAAATCA-3’)(配列番号:10)およびChIPctrlrev (5’-GGAAGGCACTGTTAAAGTTGAG-3’)(配列番号:11)を使用して染色体2q34領域を増幅した。増幅条件は次の通りであった: 95℃、3分間、次いで41サイクルの95℃、15秒間、56℃、15秒間、および72℃、15秒間。PCR生成物を2%アガロースゲル電気泳動により分析し、臭化エチジウムで染色した。 (6)in vitroジャンクション形成反応 in vitro AAV-AAVS1 DNAジャンクション形成反応を以前に記載されているように (Dyall 他、Proc Natl Acad Sci USA、96、12849-12854、1999) 実施した。ただし厳密に言えば、40 mM Hepes (pH 7.9) 、7 mM MgCl2、4 mM ATP、2 mM DTT、15 fmolのAAVゲノム (Laughlin 他、Gene、23、65-73、1983) 、30 fmolのpBSAAVS1またはpBSAAVS1変異体および1.5 pmolのrRep68を含有する15 μlの溶液中で反応を実施した。 示す場合、HeLa NE (8 μg) を反応に含めた。iQ SYBR Green Super mix およびプライマーH4dI (5’-GGCAAGCTTCCATCCTCTCCGGACATCGCAC-3’ (配列番号:12); AAVS1 426-447) およびPITR (5’-TTAACTACAAGGAACCCCTA-3’ (配列番号:13); AAV 4526-4545) (Dyall 他、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 96、12849-12845、1999; Huser 他、J. Virol. 76、7554-7559、2002) を使用するリアルタイムPCRにより、AAVS1中へのAAVゲノムの部位特異的組込みを検出した。増幅条件は次の通りであった: 95℃、3分間、次いで30サイクルの95℃、15秒間、56℃、15秒間、および72℃、15秒間。PCR生成物を2%アガロースゲル電気泳動により分析するか、あるいは配列決定のためにpGEM-T Easyベクター (Promega) 中にクローニングした。1.5 pmolのrRep68を用いたときの形成効率を100%に設定した。 (7)TRP-185の免疫除去 HeLa NEからのTRP-185の免疫除去を以前に記載されているように実施した (Endoh 他、Mol Cell Biol、24、3324-3336、2004) 。TRP-185アミノ酸1411-1621に対して作成した、16 μgの抗TRP-185抗血清または免疫前の血清を吸着させたプロテイン-Aセファローズと、NE (100 μl) を4℃において2時間インキュベートする過程を3回繰り返すことで、免疫除去を行った。 (8)TRP-185のノックダウン ノックダウン実験のために、ViraPower Lentiviral Expression System (Invitrogen) およびpLentisiTRP-185を使用して、TRP-185に対するshRNAを発現する組換えレンチウイルスを調製した。感染7日後に、全細胞溶解液を調製し、そして抗TRP-185抗体または抗β-チューブリン抗体を使用してイムノブロッティングを実施した。また、全RNAを調製し、そしてQuantiTect SYBR Green RT-PCRマスターミックス (Qiagen) を使用してリアルタイムRT-PCRを実施した。使用したTRP-185プライマーは次の通りであった: 5’-CAGGTGACTGGTCTCAGCAA-3'(配列番号:14)および5’-CTGAAGCCCCAAATACCTCA-3'(配列番号:15)。 (9)in vivo AAV組込みアッセイ AAVの調製および感染を以前に記載されているように実施した (Huser 他、J. Virol. 76、7554-7559、2002) 。細胞を感染16時間後に収集し、そしてDNeasy Tissue Kit (Qiagen) を使用してトータルDNAを抽出した。AAVS1中へのAAV DNAの特異的組込みを検出するために、iQ Super mix (Bio-Rad) 、200 ngの精製したゲノムDNAおよび下記のプライマーを使用してPCR実施した: RBSについてPAAV3569 (5’-ACGCAGTCAAGGCTTCAGTT-3’(配列番号:16); AAV 3569-3588) およびH4dI; RBS下流領域についてPAAV3569およびPAAVS1-1615 (5’-ATCCGCTCAGAGGACATCAC-3’(配列番号:17); AAVS1 1596-1615); または非特異的組込みを検出するためにPITRおよびAlu配列プライマー (5’-GCCTCCCAAAGTGCTGGGATTACAG-3’)(配列番号:18)。 AAVは等しい反応速度論および頻度でAAVS1遺伝子座中に両方向に組込むことが報告されている (HuserおよびHeilbronn、J. Gen. Virol. 84、133-137、2003) ので、1方向のみにおいて組込んだAAVを我々は検出した。増幅条件は次の通りであった: 95℃、3分間、次いで35サイクルの95℃、1分間、56℃、1分間、および72℃、3分間。増幅された生成物をアガロースゲル電気泳動および32P標識化AAV特異的プローブ (AAVヌクレオチド4526-4679) を使用するサザンハイブリダイゼーションにより分析した。 (10)ヘリケースアッセイ ヘリケース基質を次のように調製した。相補的オリゴヌクレオチド5’-TGGGGCTCGGCGCTCGCTCGCTCGCTGGG-3’(配列番号:19)(センス) および5’-GCCCGCCCAGCGAGCGAGCGAGCGCCGAGCCCCAACCGCCGCCACCACCCGCCCGCCCGC-3’(配列番号:20)(アンチセンス) および5’-TGGGGCCGGCcCTCcCTCcCTCcCTGGG-3’(配列番号:21)(センス) および5’-GCCCGCCCAGgCAGgCAGgGAGgGCCGAGCCCCAACCGCCGCCACCACCCGCCCGCCCGC-3'(配列番号:22)(アンチセンス) を、それぞれ野生型および変異型のAAVS1基質の調製のためにアニールした。 センスストランドの3’-末端を [α-32P]dCTPおよびdGTPの存在下にクレノウフラグメントで標識化した。各オリゴヌクレオチド中のRBS配列には下線が引かれており、そして変異を導入した塩基は小文字で示されている。25 mM Hepes (pH 7.9) 、0.5 mM ATP、5 mM MgCl2、1 mM DTTおよび200 ngのBSAを含有する20 μlの反応液中で、ヘリケース基質 (12.5 fmol) を示した量のrRep68およびrTRP-185と37℃において30分間インキュベートし、そして10 μlの停止緩衝液 (0.5% SDS、50 mM EDTA) の添加により反応を停止させた。プロテアーゼK消化、フェノール-クロロホルム抽出およびエタノール沈降後、精製したDNAを1×TBE中で非変性10%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、オートラジオグラフィーにより可視化した。 (11)ゲルシフトアッセイ 二本鎖野生型および変異型のmnAAVS1オリゴヌクレオチドをクレノウフラグメントで末端標識化することによって、ゲルシフトプローブを作った。0.1 HGEDN中に5 μgのBSA、50 ngのサケ精子DNA、10 ngのポリ(dI-dC) 、0.01 pmolの野生型の突然変異プローブ、rRep68およびrTRP-185を含有する反応混合物 (10 μl) を氷上で30分間インキュベートし、そして反応生成物を0.5×TBE中の4%ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離した。 (12)DNaseIフットプリントアッセイ DNaseIフットプリントアッセイのために、pBSAAVS1APをHindIII部位により切断し、クレノウフラグメントで末端標識化し、そしてBamHI部位で切断して256 bpのプローブを作成した。0.1 HGEDN中に25 μgのBSAおよび10 ngのポリ(dI-dC) を含有する50 μlの反応体積中で、プローブ (7.5 fmol) を示した量のrRep68およびrTRP-185と30分間インキュベートした。次いでDNaseIを添加し、さらに3分間インキュベートした後、反応を停止緩衝液 (0.17 M EDTA、0.17 M EGTA) で停止させた。DNAをフェノール-クロロホルムで抽出し、エタノールで沈澱させ、ホルムアミド色素中に再懸濁させ、そして8%変性ゲル上で分離した。DNAプローブのアリコートをジメチルサルフェート、ギ酸、次いでピペリジンで処理することによって、マーカー配列を作成した。 (13)His-タグプルダウンアッセイ 20 mM イミダゾールを含有する0.1 HGEDN (0.1 HGEDN) とNi-NTA樹脂を平衡化させ、次いで100 μlの反応体積において2.5 pmolのAAVS1 DNAの存在下または非存在下に示した量のrTRP-185、3.5 pmolのrRep68および50 μgのBSAと4℃において30分間インキュベートした。樹脂を100 μlの0.1 HGEDNで3回洗浄した。結合したタンパク質を20 μlのタンパク質色素溶液 (Wada 他、Nucleic Acids Res. 24、876-884、1996) の添加により溶出し、98℃において5分間インキュベートし、7.5 %SDS-PAGEにより分離し、そしてイムノブロットにより分析した。 実施例1. AAVS1結合性因子としてのTRP-185の同定 AAVS1と相互作用する細胞因子を精製するために、ラテックスビーズ上に固定化されたtrsおよびRBSを含有するほぼ50 bpのminimal AAVS1配列 (mnAAVS1野生型) あるいは、変異型mnAAVS1を使用して、アフィニティークロマトグラフィーを実施した (図1)。具体的には、前記「共通の実験方法および実験材料の調製」の項における(4)の方法を用いた。ラテックスビーズをHeLa NEとインキュベートし、そして高塩緩衝液を使用してDNA固定化ビーズに結合したタンパク質を溶出し、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動 (PAGE) により分析した。図1のBに示すように、ほぼ185 kDaの大きさのタンパク質がmnAAVS1野生型固定化ビーズから特異的に溶出されたが、mnAAVS1変異型固定化ビーズあるいは対照ビーズからは溶出されなかった。 185 kDaのタンパク質をlysyl-Cエンドヌクレアーゼでゲル中において消化し、生ずるタンパク質をタンデムマススペクトル法により配列決定した。4つの配列が得られた: GRAPAGGPDPSLQP、LLPVLVQCGGAALR、LLDKDELVSKおよびQQLLSHGDTKP、それらはTRP-185のタンパク質配列と同一であった。イムノブロット分析を使用して、精製されたタンパク質がTRP-185であることを確認した。図1のB、下のパネル、に示すように、185 kDaのタンパク質はイムノブロット分析において抗TRP-185モノクローナル抗体により認識された。 TRP-185とAAVS1 DNAとの間の相互作用が直接であるかどうかを試験するために、昆虫細胞中で発現し、精製した組換えヒスチジンタグ付加TRP-185 (rTRP-185)(前記「共通の実験方法および実験材料の調製」の項における(3)において調製したもの)を使用してラテックスビーズを用いたアフィニティー精製を行った。具体的には、前記「共通の実験方法および実験材料の調製」の項における(4)の方法を用いた。精製されたrTRP-185 (図1のC、レーン1) は銀染色により単一バンドとして検出され、そしてmnAAVS1固定化ビーズから特異的に溶出された (図1のC、レーン3) 。この結果が示すように、TRP-185はAAVS1 DNAに直接結合する。 細胞中でTRP-185がAAVS1と相互作用するかどうかを評価するために、TRP-185のFlagエピトープタグ付加融合タンパク質をコードする発現プラスミド (pcTRP-185) または対照としてpcDNA3.1 (+) をトランスフェクトしたHeLa細胞をChIP分析した。具体的には、前記「共通の実験方法および実験材料の調製」の項における(5)の方法を用いた。細胞のホルムアルデヒド架橋後、TRP-185-Flagを全細胞溶解液から抗Flag抗体で免疫沈降させた。AAVS1 RBS領域または染色体2q34上の対照領域を特異的に増幅するプライマーをそれぞれ使用して、共免疫沈降したDNAおよび免疫沈降前のDNAをリアルタイムPCR分析した。図1のDに示すように、TRP-185-FlagはAAVS1 RBS領域に結合したが、染色体2q34上の対照領域とのその結合はバックグラウンドレベルと同程度だった。これらの結果が示すように、TRP-185はin vivoでAAVS1 RBS領域に結合する。 実施例2. TRP-185はin vitroにおいてRBSにおけるRep68仲介AAV-AAVS1ジャンクション形成を阻害する In vitroにおけるAAVS1 RBS中へのAAV組込みを分析するために、本質的には、以前に報告されているように (Dyall 他、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 96、12849-12845、1999) in vitroジャンクション形成アッセイを実施した。具体的には、前記「共通の実験方法および実験材料の調製」の項における(6)の方法を用いた。この系において、AAV-AAVS1ジャンクション形成がRBSにおいて起こるとき、ほぼ0.2 kbのDNAフラグメントが増幅される (図2のA) 。AAVゲノム基質、AAVS1基質または組換えRep68 (rRep68) を含まないジャンクション形成アッセイにおいては、HeLa NEが存在する場合においても、DNA増幅は起こらなかった (図2のB、データは示されていない) 。 1.5 pmolまでRep68を添加すると、RBSにおけるジャンクション形成はRepの量依存的に促進された。一方で、AAVS1 RBSに変異を入れることでジャンクション形成は起こらなかった (図2のB) 。in vitroで形成したAAV-AAVS1ジャンクション部位を決定するために、ジャンクション形成アッセイの生成物をクローニングした。8つのクローンの配列分析により、ジャンクションはAAV RBS (AAV 4573-4588) とAAVS1 RBS (AAVS1 398-413) との間で正確に形成されていることが明らかにされた (データは示されていない) 。これらの結果が示唆するように、Rep68単独でin vitroにおけるAAV-AAVS1ジャンクション形成のために十分である。 TRP-185がAAV-AAVS1ジャンクション形成に関与しているかどうかを決定するために、TRP-185ポリクローナル抗体を使用してTRP-185をHeLa NEから免疫除去させた。具体的には、前記「共通の実験方法および実験材料の調製」の項における(7)の方法を用いた。HeLa NEを抗TRP-185抗体固定化カラムまたは対照カラムに3回通過させ、TRP-185の存在をイムノブロットによりモニターした (図2のC) 。3ラウンドの免疫除去後、85%以上のTRP-185がNEから除去されたが、対照タンパク質として用いたHMG-1のレベルの変化は観察されなかった。 ジャンクション形成アッセイに対照NE (非TRP-185除去) を添加すると、ジャンクション形成は強く阻害された (図2のD、レーン2および3) 。対照的に、TRP-185免疫除去NEの添加はわずかに弱い阻害作用を有しただけであり (レーン4) 、そしてrTRP-185の添加はジャンクション形成の強い阻害を回復した (レーン5および6) 。rTRP-185の阻害作用はHeLa NEの非存在においても見られた (データは示されていない) 。これらの結果が証明するように、TRP-185はin vitroにおいてTRP-185依存性AAV-AAVS1ジャンクション形成を阻害する。 実施例3. TRP-185はin vivoにおいてAAV組込み部位をRBSから下流領域に誘導する 以前の報告によると、AAVS1上のAAV組込み部位がRBSの約1 kb下流の範囲内に散乱している (Linden 他、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 93、11288-11294、1996) 。これにより、TRP-185がAAV組込み部位の決定に影響を与えるかどうかを決定することを我々は思いついた。In vivoにおけるAAV組込みにおけるTRP-185の役割を解明するために、TRP-185をターゲッティングする短いヘアピンRNA (shRNA) をコードするレンチウイルス発現ベクターを使用して(前記「共通の実験方法および実験材料の調製」の項における(2)で調製したもの)、TRP-185ノックダウンHeLa細胞を作成した。具体的には、前記「共通の実験方法および実験材料の調製」の項における(8)の方法を用いた。 レンチウイルス感染7日後に、ノックダウン細胞中のTRP-185のタンパク質レベルは対照レベルのほぼ20%に減少した (図3のA) 。また、TRP-185 mRNAのレベルは、リアルタイムRT-PCR分析により、対照レベルのほぼ7%に減少したことが分かった (図3のB) 。TRP-185のダウンレギュレーションは感染後少なくとも4数週維持され、そして細胞の形態および生活能力に認められる程度に影響を与えず、低い発現量のTRP-185が正常細胞の増殖に十分であることが示された (データは示されていない) 。 対照細胞およびノックダウン細胞に500の感染多重度においてAAVを感染させた。具体的には、前記「共通の実験方法および実験材料の調製」の項における(9)の方法を用いた。AAV部位特異的組込みは感染後8〜16時間で検出可能となることが報告されている (Huser 他、J. Virol. 76、7554-7559、2002) ので、全DNAを感染16時間後に調製し、PCRおよびサザンブロット分析に付した。PCRのために、3つの異なるプライマー組を使用して、AAVS1 RBS、RBSから下流の領域およびヒトゲノム全体を通じて分布するAlu反復領域付近における組込みを分析した (Bouyac-Bertoia 他、Mol. Cell 7 1025-1035、2001) 。これらのプライマー組を使用した場合、ジャンクション部位が様々であることから、ことにAluプライマー組の場合において、種々の長さのPCR生成物が生成し得る。 対照細胞において、ジャンクション形成はRBSからほぼ1 kb下流の領域で効率よく起こり (図1のC) 、以前の研究と一致する (Huser 他、J. Virol. 76、7554-7559、2002; Linden 他、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 93、11288-11294、1996) 。驚くべきことには、TRP-185ノックダウン細胞において、RBS下流領域においてのジャンクション形成は減少すると同時に、RBSにおいてのジャンクション形成が増加した。TRP-185ノックダウン細胞において、Alu反復領域付近における非特異的組込みは影響を受けなかった。これらの結果が示唆するように、TRP-185はRBSにおけるAAV組込みを阻害し、そしてRBS下流領域において組込みを促進する。 実施例4. TRP-185による、Rep68のヘリケース活性の亢進 Linden 他 Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 93、11288-11294(1996) により提示されるモデルによれば、Repの3’→5’ヘリケース活性はRBS下流領域におけるジャンクション形成に関係づけられる (Zhou 他、J. Virol. 73、1580-1590、1999) 。これらのモデルに基づいて、TRP-185がRep68ヘリケース活性に影響を与えるかどうかに我々は関心を持った。 ATP存在下で、AAVS1 RBSを含有する部分的に二本鎖のDNA基質とrRep68をインキュベートし、そして非変性ポリアクリルアミドゲル上でDNAをほどく活性をモニターすることによって、ヘリケース活性を検査した。具体的には、前記「共通の実験方法および実験材料の調製」の項における(10)の方法を用いた。図4に示すように、45 fmolのrRep68は弱いヘリケース活性を有しているが、rTRP-185の添加により、投与量依存的態様でヘリケース活性が増加した。rRep68の非存在下あるいはRBSに変異をいれた基質を用いた場合、このような作用は観察されなかった。これらの結果が示すように、TRP-185はRep68ヘリケース活性を配列特異的態様で増強する。 実施例5. TRP-185によるRep68のオリゴマー化およびAAVS1 RBSへの結合の増強 Repのオリゴマー化はそのヘリケース活性のために必要であることは、いくつかの証拠により示唆される (Davis 他、J. Virol. 73、2084-2093、1999; Li 他、Virology 313、364-376、2003) 。したがって、mnAAVS1特異的プローブを使用するゲルシフトアッセイにより、TRP-185がRep68のオリゴマー化に影響を与えるかどうかを解析した。具体的には、前記「共通の実験方法および実験材料の調製」の項における(11)の方法を用いた。以前に報告されたデータ (Li 他、Virology 313、364-376、2003) と一致して、rRep68は、異なる数のrRep68分子を含有することが期待される、種々の分子量のタンパク質-DNA複合体を濃度依存的方法で形成した (図5のA) 。 rTRP-185の単独の存在は、このアッセイの条件下にゲルのシフトを引き起こさなかったが、rTRP-185およびrRep68を同時に添加すると、rRep68単独の時に比べ、大きなタンパク質-DNA複合体が形成された。rTRP-185の作用は、rRep68が低濃度において特に明らかであった。これらの結果は、TRP-185はRep68のオリゴマー化およびDNA結合を促進するか、あるいは、逆に、Rep68はDNAに対するTRP-185の結合を促進するということを示唆している。 次に、それぞれrTRP-185およびrRep68に対して特異的である、抗His抗体および抗Flag抗体を使用して、rTRP-185、rRep68両者の存在下で形成されるタンパク質-DNA複合体の成分を検査した。図5のBに示すように、抗Flag抗体はDNAスーパーシフトを引き起こすが、抗His抗体は引き起こさない。これらの結果が示すように、この複合体は少なくとも、Rep68は含んでおり、TRP-185を欠如している可能性を示唆している。そしてTRP-185はオリゴマー化Rep68-DNA複合体の形成を一時的増強している可能性が示唆された。変異したRBS含有プローブを使用してこのアッセイを反復することによって、Rep68のDNA結合特異性を確認した (図5のC) 。 Rep68のDNA結合性に対するRep68の作用をさらに正確に解析するために、プローブとしてtrsおよびRBSを含有する256 bpの32P標識化AAVS1 DNAフラグメントを使用して、DNaseIフットプリント法を実施した。具体的には、前記「共通の実験方法および実験材料の調製」の項における(12)の方法を用いた。反応は材料および方法に記載されているように実施し、そして生成物を変性ゲル上で分析した。rRep68は16 bpのRBSおよび2つの隣接するそれぞれ8 bpおよび4 bpのRBSの上流および下流の領域を保護し、以前の結果と一致した (Lamartina 他、J. Virol. 74、8831-8842、2000) 。rTRP-185単独の存在下においてDNaseIからの顕著な保護は起こらなかったが、rRep68による保護領域はrTRP-185の存在下でtrs方向に拡張された (図5のD) 。これらの結果が示すように、TRP-185は、おそらくRep68のオリゴマー化を促進することによって、AAVS1上のRep68結合領域を拡大していると考えられる。 実施例6. TRP-185はRep68およびAAVS1 DNAに結合するが、Rep68-AAVS1複合体に結合しない こうして得られた結果は、TRP-185およびRep68は互いに物理学的に相互作用する可能性を強く示唆している。この考えを試験するために、Hisタグ付加rTRP-185を使用してin vitro結合アッセイ (His-タグプルダウンアッセイ) を実施した。具体的には、前記「共通の実験方法および実験材料の調製」の項における(13)の方法を用いた。異なる量のrTRP-185を吸着したNi-NTAビーズを精製したrRep68とインキュベートし、十分に洗浄し、結合したタンパク質をイムノブロット分析した。第図6のAに示すように、rRep68はNi-NTAビーズにrTRP-185依存的に結合がみられた。すなわち、TRP-185が直接Rep68と結合することが示唆された。 次いで、AAVS1 DNAがTRP-185とRep68との間の相互作用に影響を与えるかどうかを検査した。具体的には、前記「共通の実験方法および実験材料の調製」の項における(13)の方法を用いた。興味深いことに、TRP-185-Rep68の相互作用はmnAAVS1 DNAの存在下に有意に減少した (図6のB) 。これらの結果を、ゲルシフトアッセイの結果と合わせると、AAVS1 DNAの存在下で、Rep68は、DNAに、特異的に結合するが、TRP-185は、DNAに結合したRep68に結合しないということが示唆される。この考えを試験するために、AAVS1固定化ラテックスビーズ、およびrTRP-185およびrRep68を使用して、アフィニティー精製を実施した。具体的には、前記「共通の実験方法および実験材料の調製」の項における(4)の方法を用いた。 前述したように (図6のC) 、rTRP-185はrRep68の非存在下にAAVS1 DNAに結合した (図6のB、レーン5) 。増加する量のrRep68をrTRP-185と一緒に添加したとき (図6のB、レーン6〜8) 、rRep68はAAVS1固定化ビーズに結合し、付随的に、rTRP-185はビーズからrRep68投与量依存的に解放された。これらの結果は、TRP-185はAAVS1 DNAに結合するが、Rep68-AAVS1複合体に結合しないという、我々の上記モデルを支持する。 考察 AAV部位特異的組込みの機構、特に、組込み部位を選択する機構およびこの複雑なプロセスを調節するタンパク質はまだ完全には解明されていない。本研究において、TRP-185をHeLa NEより、AAVS1結合タンパク質として同定した。In vitroにおける免疫除去実験およびin vivoにおけるRNAi仲介ノックダウン実験によって、TRP-185はAAV組込み部位の選択をRBSから下流領域に変更することが示唆された。また、TRP-185がRep68に直接結合し、オリゴマー化Rep68-DNA複合体の形成を促進し、そしてRep68ヘリケース活性を促進するという証拠を我々は提供した。これらの結果が示唆するように、TRP-185はRep68に対するそのシャペロン様活性によりAAV部位特異的組込みを調節する。 AAVS1結合性タンパク質としてのTRP-185の同定 以前の研究 (Wu-Baer 他、Embo J. 14、5995-6009、1995; Wu 他、Genes Dev、5、2128-2140、1991、1991) において、TRP-185はTAR RNAに結合することによって長い末端反復配列からのHIV-1遺伝子の発現を促進することが示された。TRP-185は種々のヒト組織においてユビキタスに発現しているが、他のプロセスにおけるその機能はほとんど未知のままである。この研究において、TRP-185はin vitroおよびin vivoにおいてAAVS1に直接結合することを我々は示した (図1) 。 TAR RNAに対するTRP-185の結合は細胞コファクターに依存する (Wu-Baer 他、Embo J. 14、5995-6009、1995; Wu 他、Genes Dev、5、2128-2140、1991) が、高度に精製された組換えTRP-185はAAVS1 DNAに直接結合することを我々は示した (図1のC) 。TRP-185は古典的核酸結合性領域を含有しない。しかしながら、TRP-185は多数の塩基性アミノ酸残基およびそのN-末端にロイシンジッパーモチーフを含有しており、このモチーフがAAVS1 DNAに対する結合に関与している可能性がある。 TRP-185はRep68に対するそのシャペロン様活性によりAAV組込み部位の決定を調節する ここで、TRP-185がAAV組込み部位の決定に影響を与える方法に関するモデルを提示する (図7) 。AAV感染後、Rep78/68が合成され、これは既にTRP-185で占有されているAAVS1 RBSにリクルートされる。TRP-185は、タンパク質-タンパク質およびタンパク質-DNAの相互作用により、DNAの結合およびRep78/68のオリゴマー化を促進し、Repヘリケース活性を活性化し、次いでDNAから解離する。引き続いて、オリゴマー化Repはtrsにニックを導入し、そのヘリケース活性によりDNAをほどきながら下流に進んでいき、そして下流領域においてAAV組込みを誘導する。 TRP-185の非存在下に、Repヘリケース活性は活性化されず、trsにニックが導入された後、RepはAAVS1 RBSに結合してとどまり、RBSにおける組込みを促進する。我々の結果が示すように、TRP-185およびRep68はAAVS1 DNA上に共存しないが、TRP-185はRep68およびAAVS1 DNAと相互作用する。ゲルシフトアッセイ、ヘリケースアッセイおよびHis-タグプルダウンアッセイの結果に基づいて、TRP-185は分子シャペロンとして作用し、この分子シャペロンはRep68およびAAVS1 DNAとの一時的相互作用によりオリゴマー化Rep68-AAVS1複合体の形成を促進すると我々は推測する。 また、RBSにおけるAAV-AAVS1ジャンクション形成は、Rep68の活性で十分であり、そしてRep68のタンパク質量はこのプロセスに重要であることを我々は示した (図2のB) 。以前の研究において、若干のAAV複製がジャンクションの形成に必要だと言われている (Dyall 他、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 96、12849-12845、1999; Song 他、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 101、2122-2116、2004) が、我々のin vitro組込みアッセイにおいて、Rep68単独でRBSにおけるジャンクション形成を引き起こすのに十分であり、そしてNE中に含まれる細胞複製機構は、必要ないようである (図2) 。 細胞複製機構の非存在下においてRBSにおけるジャンクション形成は十分に可能である。なぜなら、Rep68は多数の機能、例えば、下記の機能を有するからである: (1) 配列特異的DNAの結合、(2) AAVとAAVS1と同時に結合すること、(3) 部位特異的エンドヌクレエース、(4) ATPエース、(5) 3’ → 5’ ヘリケースおよび (6) DNAライゲース活性 (ImおよびMuzyczka、Cell 61、447-457、1990; Owens 他、J. Virol. 67、997-1005、1993; SmithおよびKotin、J. Virol. 74、3112-3129、2000; Weitzman 他、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 91、5803-5812、1994) 。また、過剰のRep68はRBSにおけるジャンクション形成を阻害することを我々は示した (図2のB) 。この阻害はおそらくRBSから下流領域への組込み部位のシフトを反映し、ここでこのシフトはRep68の濃度依存的オリゴマー化およびそのヘリケース活性の活性化により引き起こされていると考えられる (図5、データは示されていない) 。 TRP-185は、Repオリゴマー化およびヘリケース活性の調節により、AAV組込み部位の決定を調節することを示す証拠を我々は提供した。TRP-185の非存在下にヘリケース活性の活性化するのには、高濃度のRepが必要だが、TRP-185の存在下にヘリケース活性を促進するのには、低濃度のRepで十分であることを我々のデータは示す。Rep78/68の発現はAAVの潜伏感染時に低レベルに厳格に調節される (Young 他、J. Virol. 74、3953-3966、2000) ので、ヘリケース活性のTRP-185依存的調節機構はウイルスの生活環において、重要な役割を担っていると考えられる。 発明の効果 AAVは特異的遺伝子座中にそのゲノムを組込む性質を有するので、遺伝子治療のための未来のベクターであることに注目することは重要である。AAV部位特異的組込みの詳細な分子機構解析により、必要な遺伝子の部位特異的組込みを制御することができ、そして遺伝子治療が有意に発展するであろう。図1は、AAVS1結合性因子としてTRP-185の同定を示す。 Aは、mnAAVS1野生型あるいは変異型DNA配列およびDNA固定化ラテックスビーズを模式的に示す。 Bは、用いたNE (レーン1) 、対照ビーズ (レーン2) およびmnAAVS1野生型固定化ビーズ (レーン3) あるいはmnAAVS1変異型固定化ビーズ(レーン4)からの溶出液を5〜20 % SDSポリアクリルアミドゲル上で分離し、そしてタンパク質を銀染色により可視化した結果を示す。mnAAVS1野生型に特異的に結合したタンパク質バンドを矢印で示す。下のパネルにおいては、抗TRP-185モノクローナル抗体を使用してイムノブロットを行った結果を示している (NK 5.18) 。分子量マーカーの位置を左に示す。 Cは、上記B におけるように、精製した組換えTRP-185を使用して、アフィニティー精製を実施した結果を示す。レーン1は16 ngのrTRP-185を示す。分子量マーカーの位置を左に示す。 Dは、HeLa細胞にpcTRP-185-FlagまたはpcDNA3.1 (+) (モック) をトランスフェクトし、次いで 抗Flag抗体を使用してChIP分析した結果を示す。AAVS1 RBS領域または染色体2q34 (下のパネル) 上の領域を特別に増幅するプライマーを使用するリアルタイムPCRにより、免疫沈降前(Input)および免疫沈降した (Ppt) DNAを分析した。PCR生成物を2%アガロースゲル電気泳動により分析した (下のパネル) 。データは3回の独立実験からの平均±平均の標準誤差 (SEM) を表す。図2は、TRP-185がin vitroにおいてRep68仲介AAV-AAVS1ジャンクション形成を阻害することを示す。 Aは、in vitroのジャンクションの形成アッセイの模式図を示している。二本鎖AAVゲノム (15 fmol) および1.6 kbの野生型または変異型AAVS1配列を含有するスーパーコイルドプラスミドDNA (30 fmol) を、ATPおよび示した量のタンパク質とインキュベートする。次いでRBSにおけるAAV-AAVS1ジャンクションを増幅するプライマーを使用するリアルタイムPCRにより、組込み生成物を定量する。PCR生成物はほぼ0.2 kbの大きさであることが期待される。 Bは、示した量のrRep68を使用して、ジャンクション形成アッセイを実施した結果を示す。サイズマーカーの位置を右に示す。3回の独立実験からの定量結果を下に示す。 Cは、TRP-185を免疫除去したHeLa NEのイムノブロット分析の結果を示す。抗TRP-185または前免疫血清 (ctrl) を吸着させたプロテインA-セファローズ上に、HeLa NEを反復 (1〜3回) 通過させた。上清をイムノブロットによりTRP-185およびHMG-1の存在について分析した。 Dは、対照 (ctrl) またはTRP-185除去 (deltaTRP) NEの存在下に、AAV-AAVS1ジャンクション形成反応を実施した結果を示す。サイズマーカーの位置を右に示す。3回の独立実験からの定量結果を下に示す。図3は、TRP-185がin vivoにおいてAAV組込みをRBSから下流領域に変更することを示す。 AおよびBは、TRP-185 (deltaTRP) または対照ベクター (ctrl) をターゲッティングするshRNAをコードするレンチウイルスベクターを、HeLa細胞に感染させた結果を示す。感染7日後に、全細胞抽出液および全RNAを調製した。全細胞抽出液を7.5% SDS-PAGEにより分離し、抗TRP-185および抗β-チューブリン抗体でイムノブロットした(A)。TRP-185のmRNAレベルをリアルタイムRT-PCRにより定量した(B)。 Cは、in vivo AAV組込みアッセイをPCRとサザンハイブリダイゼーションを用いて解析した結果を示す。各領域に対して特異的なプライマー組を使用するPCRにより、次いでサザンブロット分析により、RBS、RBSから下流の領域およびAlu反復領域中へのAAV組込みを分析した。AAV感染試料については、二重反復実験において分析した; AAVを感染してない細胞から、「モック」試料を調製した。DNAのサイズマーカーの位置を右に示す。左の模式図は、種々の組込み生成物の予測される構造、ならびにPCRプライマーおよびサザンブロッティングに使用したプローブの位置を描写する。Kotin 他、Embo J. 11、5071-5078 (1992) のナンバリングシステムを使用して、AAVS1のヌクレオチド位置を上に示す。図4は、TRP-185がRep68のヘリケース活性を促進することを示す。12.5 fmolの野生型または変異型RBSのいずれかを含有する32P標識化基質、および示した量のrTRP-185およびrRep68を使用して、ヘリケースアッセイを実施した。 「Boil」は試料を電気泳動直前に98℃に5分間加熱したものを示す。基質および生成物の模式図を右に示す。図5は、TRP-185がRep68のオリゴマー化およびAAVS1 RBSに対する結合を増強することを示す。A〜Cは、10 fmolの32P標識化mnAAVS1野生型プローブおよび示した量のRep68およびrTRP-185を使用して、ゲルシフトアッセイを実施した結果を示す。Bにおいて、示したように、抗His (H) および抗Flag (F) 抗体を結合反応に含めた。Cにおいては、変異したRBSを含有する32P標識化プローブを使用した。Dは、材料および方法に記載されているように、trsおよびRBSを含む32P標識化256 bpのAAVS1プローブ (7.5 fmol) を使用して、DNaseIフットプリント分析を実施した結果を示す。DMS (レーン1) またはギ酸 (レーン2) で標識化プローブを切断し、次いでそれをピペリジンで処理することによって、配列ラダーを作成した。プローブ配列および保護された領域を左に示す。図6は、TRP-185がRep68およびAAVS1 DNAに結合するが、Rep68-AAVS1複合体に結合しないことを示す。 Aは、His-タグプルダウンアッセイ実施して、rTRP-185とrRep68との間の直接の相互作用を解析した結果を示す。示した量のrTRP-185をNi-NTAビーズに結合させ、2.5 pmolのmnAAVS1 DNAの非存在下または存在下において3.75 pmolのrRep68とインキュベートした。抗Flagおよび抗His抗体を使用するイムノブロットにより、溶出した試料およびプルダウン前の試料を分析した。 Bは、2 pmolのmnAAVS1 DNAを固定化したラテックスビーズを使用して、示した量のrTRP-185およびrRep68を、個々にまたは組合わせて、AAVS1結合性を解析した結果を示す。溶出した試料を7.5% SDS-PAGEにより分離し、そしてタンパク質を銀染色により可視化した。分子量マーカーの位置を左に示す。図7は、AAV部位特異的組込みにおけるTRP-185の役割を示すモデル図である。 アデノ随伴ウイルス(AAV)のゲノムDNA全長、あるいはAAVゲノムの両末端に存在するITRをもったDNAを、ヒト細胞の第19番染色体上のAAVS1領域に組込む際に、AAVS1結合因子TRP-185の活性を制御することを特徴とする、DNAの組込み部位制御方法。 前記AAVS1結合因子TRP-185の制御を、TRP-185の発現抑制により行う、請求項1に記載の方法。 前記AAVS1結合因子TRP-185の発現量が低いあるいは発現していない細胞において、TRP-185の制御を、TRP-185の発現あるいは導入により行う、請求項1に記載の方法。 前記AAVS1結合因子TRP-185の制御を、TRP-185の活性あるいは発現量を制御するTRP-185の欠損あるいは点変異体あるいは薬剤により行う、請求項1に記載の方法。 前記AAVS1結合因子TRP-185の制御を、TRP-185の活性あるいは発現量を制御する細胞因子により行う、請求項1に記載の方法。 アデノ随伴ウイルス(AAV)のゲノムDNA全長、あるいはAAVゲノムの両末端に存在するITRをもったDNAを、ヒト細胞の第19番染色体上のAAVS1領域に組込む際に、AAVの非構造タンパク質であるRep68あるいはRep78の活性を制御することを特徴とする、DNAの組込み部位制御方法。 前記AAVの非構造タンパク質Rep68あるいはRep78の活性の制御が、DNA上でのオリゴマー化制御である請求項6に記載の方法。 前記オリゴマー化制御を、TRP-185とその活性を維持した欠損あるいは点変異体によって行う、請求項7に記載の方法。 前記AAVの非構造タンパク質Rep68あるいはRep78の活性の制御が、ヘリケース活性の制御である請求項6に記載の方法。 前記ヘリケース活性の制御を、TRP-185とその活性を維持した欠損あるいは点変異体によって行う、請求項9に記載の方法。 前記AAVの非構造タンパク質Rep68の活性の制御を、Rep68あるいはRep78それ自身の発現量および細胞への導入量の制御によって行う、請求項6に記載の方法。 TRP-185のノックダウンによる発現抑制方法において、それを行うための配列またはその配列を含むプラスミドDNA、あるいはウイルスベクターを用いることを特徴とする方法。 請求項12に記載の方法を実施するための配列またはその配列を含むプラスミドDNA、あるいはウイルスベクター。 TRP-185とその欠損あるいは点変異体タンパク質を発現させるためのバキュロウイルスベクターとそれを用いてタンパク質を発現、精製する方法。 C末端にFlag配列が付加されたTRP-185を恒常的に発現する細胞株。 TRP-185の1411位から1621位のアミノ酸を認識するポリクローナル抗体とそれを用いたTRP-185の活性制御方法。 【課題】アデノ随伴ウイルス(AAV)のゲノムDNA全長、あるいはAAVゲノムの両末端に存在するITRをもったDNAを、ヒト細胞の第19番染色体上のAAVS1領域に組込む際に、DNAの組込み部位の制御のための新規な方法の提供。【解決手段】アデノ随伴ウイルス(AAV)のゲノムDNA全長、あるいはAAVゲノムの両末端に存在するITRをもったDNAを、ヒト細胞の第19番染色体上のAAVS1領域に組込む際に、AAVS1結合因子TRP−185の活性を制御することを特徴とする、あるいは、AAVの非構造タンパク質Rep68あるいはRep78の活性を制御することを特徴とする、DNAの組込み部位の制御方法。【選択図】なし配列表


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