生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_感覚神経の異常改善剤
出願番号:2006068508
年次:2006
IPC分類:A61K 31/20,A61P 43/00,A61P 25/02,A61P 25/04


特許情報キャッシュ

前川 仁志 JP 2006290880 公開特許公報(A) 20061026 2006068508 20060314 感覚神経の異常改善剤 小野薬品工業株式会社 000185983 前川 仁志 JP 2005072838 20050315 A61K 31/20 20060101AFI20060929BHJP A61P 43/00 20060101ALI20060929BHJP A61P 25/02 20060101ALI20060929BHJP A61P 25/04 20060101ALI20060929BHJP JPA61K31/20A61P43/00 123A61P25/02 101A61P25/02A61P25/04 13 OL 21 4C206 4C206AA01 4C206DA03 4C206MA01 4C206MA04 4C206NA14 4C206NA15 4C206ZA08 4C206ZA20 4C206ZA21 4C206ZA34 本発明は、(2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグを含有してなる感覚神経の異常改善剤、および感覚神経の異常が関与する疾患および/または症状の治療、予防および/または進展抑制剤に関する。 神経系は、中枢神経系、末梢神経系に大別され、なかでも末梢神経系は、脳および脊髄と身体末梢を連絡し、神経伝達を担う。末梢神経系は、体性神経系(脳脊髄神経系)と自律神経系として分類できる。さらに、体性神経系は脳神経と脊髄神経に分けられる。また、体性神経系を機能的に分類すると、感覚受容器から生じた神経信号(興奮)を中枢神経に伝えるものを求心性、あるいは感覚性の神経線維と呼び、それに対して、脳・脊髄から筋や腺等の効果器に向かう神経信号を伝えるものを遠心性、あるいは運動性の神経線維と呼ぶ。脳神経は脳から出る末梢神経で12対あり、あるものは感覚性、あるものは運動性、またはあるものは混合性の神経線維から成っている。第1〜第12神経対は、それぞれ嗅神経、視神経、動眼神経、滑車神経、三叉神経、外転神経、顔面神経、内耳神経、舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経と呼ばれる。これらのうち、感覚性または混合性の神経線維から成る神経は、嗅神経、視神経、三叉神経、顔面神経、内耳神経、舌咽神経、迷走神経である。脊髄神経は脊髄から発する末梢神経で左右31対あり、8対の頚神経、12対の胸神経、5対の腰神経、5対の仙骨神経と1対の尾骨神経から成る。脊髄神経はすべて混合性の神経線維から成り、皮膚等に行く感覚線維(後根)と骨格筋に行く運動線維(前根)とを含んでいる。 感覚性の神経線維、すなわち感覚神経は視覚器、聴覚器、嗅覚器、味覚器および皮膚等の感覚受容器が受け取った光、音、温度や接触等の刺激を中枢神経系に正確に伝える機能を担っている。中枢神経系に伝えられた神経信号は、最終的には大脳皮質の各感覚野、例えば、視覚野、聴覚野等に伝達され、正常に感覚が認識される。しかしながら、これらの感覚神経が、例えば、ウイルス感染、腫瘍、癌、糖尿病、虚血、外傷、圧迫、薬物や放射線療法等により、軸索、ミエリン鞘またはシュワン細胞等が侵され、細胞死や脱髄等の様々な神経障害が引き起こされることがある。その結果、障害が生じた感覚神経では正確な神経伝達が行われないため、例えば、難聴や神経障害性疼痛等の疾患が発症する。 これら以外に、特定の感覚神経だけでなく、感覚神経を含む様々な末梢神経が、例えば、代謝疾患、自己免疫疾患等の疾患、外傷、薬物中毒等の原因によって同時に障害を受ける末梢神経障害がある。本症は、単一神経、別々の領域にある2つ以上の神経、または多数の神経が同時に障害を受けることがある。その症状は、末梢部の刺痛、しびれ、灼熱感、関節の固有覚低下、振動覚低下、疼痛(神経障害性疼痛も含む)、異常感覚、冷え、ほてり等の非常に複雑で多岐に渡っている。 現在、これら感覚神経の異常が関与する疾患の治療法には、その疾患に応じて、神経外科的手術や、ステロイド薬、血管拡張薬、代謝賦活薬、抗うつ薬、免疫抑制薬、神経伝達物質、神経栄養因子等の投薬といった補充療法あるいは対症療法が行われている。しかしながら、これらの治療法では、神経に生じた障害の進行を完全に抑えることはできず、根治治療は難しいのが現状である。しかしながら、一度損傷を受けた末梢神経系の神経細胞は再生が可能であることが知られている。例えば、坐骨神経損傷モデルにおいて神経再生により運動機能と感覚機能が回復することが報告されている(ペイン(Pain)、第58巻、157〜168ページ、1994年)。 近年、これらの感覚神経の異常が関与する疾患の治療を目的として、障害された末梢神経の再生を可能にする試みが行われている。例えば、ラット坐骨神経障害モデルにおいて、FK506結合タンパク質(FKBP)リガンドの処置は神経保護作用を有することが報告されている(プロシーディングス・オブ・ナチュラル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)、第94巻、2019〜2024ページ、1997年)。また、ラット聴神経障害モデルにおいて、阻害タンパク質中和抗体(mAbIN−1)を処置すると、障害された神経線維の延長と再生が促され、聴覚機能も回復することが報告されている(Acta Neurochirgica、第144巻、181〜187ページ、2002年)。 一方、神経変性疾患、脳卒中や脳脊髄外傷に伴う神経機能障害、脳腫瘍、感染症に伴う脳脊髄疾患、パーキンソン病、パーキンソン症候群等の治療剤として(2R)−2−プロピルオクタン酸を含めたペンタン酸誘導体が有用であることが知られている(例えば、特許文献1および2参照)。 また、(2R)−2−プロピルオクタン酸のこれらの作用は、細胞内S100β含量の減少作用に基づく異常活性化アストロサイトの機能改善作用によるものであると報告されている(例えば、非特許文献1参照)。 このS100βは、S100タンパクの一つであり、中枢神経系および末梢神経系のグリア細胞およびシュワン細胞に高濃度で存在する他、下垂体前葉細胞やランゲルハンス細胞にも存在することが知られており、脳脊髄液中あるいは血中のS100β含量は、脳梗塞、クモ膜下出血、頭部外傷、種々の神経変性疾患、心肺バイパス手術後の神経合併症等において上昇するため、例えば脳卒中において、血中S100タンパク含量を測定することは、脳病変および神経学的損傷の診断に有用であると報告されている(ストローク(Stroke)、第28巻、1956〜1960ページ、1997年)。 さらにまた、神経栄養性因子刺激物質として、ONO−2506、すなわち(2R)−2−プロピルオクタン酸の神経保護作用が、緑内障、視神経乳頭神経症、ドライアイの治療に有用であることが知られている(例えば、特許文献3および4参照)。しかしながら、これらの文献には、(2R)−2−プロピルオクタン酸が、神経変性疾患、脳卒中や脳脊髄外傷に伴う神経機能障害、脳腫瘍、感染症にともなう脳脊髄疾患、パーキンソン病、パーキンソン症候群等の中枢神経系の疾患に有用であることが記載されているものの、中枢神経系以外の疾患としては、緑内障、視神経乳頭神経症、ドライアイに有効であると一行記載をするにとどまっており、(2R)−2−プロピルオクタン酸が、感覚神経の異常を改善する作用を有し、これらの疾患以外の感覚神経の異常が関与する疾患の治療剤として有用であることや、感覚神経の異常が関与する症状の治療剤として有用であることについては記載も示唆も一切されていない。欧州特許公開第0632088号パンフレット欧州特許公開第1174131号パンフレット国際公開第00/032197号パンフレット国際公開第03/020281号パンフレットTateishi.N、他8名、ジャーナル・オブ・セレブラル・ブラッド・フロウ・アンド・メタボリズム(Journal of Cerebral Blood Flow & Metabolism)第22巻、723〜734ページ、2002年 感覚神経の異常が関与する疾患および/または症状は、感覚神経細胞が障害を受け、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、皮膚感覚の五感を担う感覚活動に異常をきたす重大な疾患および/または症状であるにも拘らず、対症療法ではない原因療法等の効果的な治療法は未だ見出されていない。そこで、感覚神経の異常を改善する作用を持つ有用な化合物を見出し、その化合物を感覚神経の異常が関与する疾患および/または症状の治療剤、予防剤等の医薬として開発することが切望されている。 本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、驚くべきことに(2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグが、感覚神経の異常を改善する作用を有することを見出した。さらに、(2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグを感覚神経の異常が関与する疾患および/または症状に適用することによって、上記したような中枢神経系が関与する疾患に対する治療効果と同様の効果が得られることを見出し、その知見に基づいてさらに検討を加えることにより本発明を完成させた。 すなわち、本発明は、[1](2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグを含有してなる感覚神経の異常改善剤、[2]感覚神経が、嗅神経、視神経、三叉神経、顔面神経、内耳神経、舌咽神経、迷走神経および/または脊髄神経である前記[1]記載の剤、[3]感覚神経の異常が、感覚神経の神経変性、神経障害、および/または神経再生を要する状態である前記[1]記載の剤、[4]感覚神経の異常が関与する疾患および/または症状の治療、予防および/または進展抑制剤である前記[3]記載の剤、[5]感覚神経の異常が関与する疾患が、末梢神経障害、神経障害性疼痛または難聴である前記[4]記載の剤、[6]感覚神経の異常が関与する症状が、疼痛、しびれ、痒み、冷え、灼熱感、感覚異常、感覚低下である前記[4]記載の剤、[7]末梢神経障害が、糖尿病による末梢神経障害、ヒト免疫不全ウイルス感染による末梢神経障害、椎間板ヘルニアによる末梢神経障害、脊柱管狭窄症による末梢神経障害または栄養欠乏症による末梢神経障害である前記[5]記載の剤、[8]神経障害性疼痛が、帯状疱疹後疼痛、癌性疼痛、三叉神経痛または幻肢痛である前記[5]記載の剤、[9]難聴が後迷路性難聴である前記[5]記載の剤、[10]1回あたりの経口投与量が約50mg乃至約1500mgである前記[1]記載の剤、[11」投与期間が1日乃至約1年間である前記[10]記載の剤、[12]1回あたりの静脈内投与量が約0.5mg/kg乃至約25mg/kgである前記[1]記載の剤、[13」投与期間が1日乃至約10日間である前記[12]記載の剤、[14](2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、感覚神経の異常改善方法、[15](2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、感覚神経の異常が関与する疾患および/または症状の治療、予防および/または進展抑制方法、[16]感覚神経の異常が関与する疾患および/または症状の治療、予防および/または進展抑制剤を製造するための(2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグの使用等に関する。 本発明において、(2R)−2−プロピルオクタン酸とは、式(I)(式中、はβ−配置を表わす。)で示される化合物である。 本発明において、(2R)−2−プロピルオクタン酸の塩は、薬学的に許容される塩が好ましい。薬学的に許容される塩は、毒性の低い、水溶性のものが好ましい。(2R)−2−プロピルオクタン酸の適当な塩としては、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、塩基性天然アミノ酸との塩等が挙げられる。無機塩基との塩としては、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等)、アンモニウム塩(例えば、テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等)等が好ましい。有機塩基との塩としては、例えば、アルキルアミン(例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等)、複素環式アミン(例えば、ピリジン、ピコリン、ピペリジン等)、アルカノールアミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、N−メチル−D−グルカミン等との塩が好ましい。塩基性天然アミノ酸との塩は、天然に存在し、精製することが可能な塩基性アミノ酸との塩であれば特に限定されないが、例えば、アルギニン、リジン、オルニチン、ヒスチジン等との塩が好ましい。 (2R)−2−プロピルオクタン酸またはその塩の溶媒和物としては、毒性の低い、水溶性のものが好ましく、例えば、水、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール等)等の溶媒和物が挙げられる。 (2R)−2−プロピルオクタン酸またはその塩は、それ自体公知の方法、例えば、欧州特許第0632008号明細書、国際公開第99/58513号パンフレット、国際公開第00/48982号パンフレット、特許第3032447号明細書、特許第3084345号明細書等に記載された方法に従って、またはそれらの方法を適宜組み合わせることにより製造することができる。反応の生成物は通常の精製手段、例えば、常圧下または減圧下における蒸留、シリカゲルまたはケイ酸マグネシウムを用いた高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、あるいはカラムクロマトグラフィーまたは洗浄、再結晶等の方法により精製することができる。また所望によって、凍結乾燥等の処理に付してもよい。 本発明において、(2R)−2−プロピルオクタン酸のプロドラッグとは、通常、当業者によって用いられるように、(2R)−2−プロピルオクタン酸の誘導体であって、体内で酵素的または化学的に変換されることで(2R)−2−プロピルオクタン酸となる化合物であればよく、その構造は特に限定されるものではない。例えば、カルボキシ基がエステル化された化合物(例えば、(2R)−2−プロピルオクタン酸のメチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、イソブチルエステル、フェニルエステル、カルボキシメチルエステル、ジメチルアミノメチルエステル、ピバロイルオキシメチルエステル、エトキシカルボニルオキシエチルエステル、フタリジルエステル、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル、またはシクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル等)、カルボキシ基がアミド化された化合物(例えば、(2R)−2−プロピルオクタン酸のメチルアミド、エチルアミドまたはフェニルアミド等)、カルボキシ基が還元されたアルコール体およびその保護体(例えば、(2R)−2−プロピルオクタノール、または酢酸の(2R)−2−プロピルオクタニルエステル等)等が挙げられる。これらの化合物は公知の方法によって製造することができる。また、(2R)−2−プロピルオクタン酸のプロドラッグは、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻「分子設計」163−198ページに記載されているような生理的条件で、(2R)−2−プロピルオクタン酸で示される化合物に変化するものであってもよい。さらに、(2R)−2−プロピルオクタン酸で示される化合物は同位元素(例えば、3H、14C、35S、125I等)等で標識されていてもよい。 本発明において、(2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグは、実質的に純粋で単一な物質であるものに限定されず、不純物(例えば、製造工程に由来する副生成物、溶媒、原料または分解物等)を、医薬品原薬として許容される範囲であれば含有していてもよい。医薬品原薬として許容される不純物の含有量は、(2R)−2−プロピルオクタン酸を用いるかあるいはその塩、その溶媒和物またはそのプロドラッグを用いるかによっても異なるし、また、その含有される不純物によっても異なるが、例えば、(2R)−2−プロピルオクタン酸であれば、重金属は約20ppm以下、光学異性体は約5質量%以下、残留溶媒である2−プロパノールやヘプタンは合計約5000ppm以下、水分は約0.2質量%以下であることが好ましい。特に、光学純度が約99%e.e.以上の(2R)−2−プロピルオクタン酸、とりわけ、光学純度が約99.3%e.e.以上の(2R)−2−プロピルオクタン酸が好適である。 本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、不斉炭素の存在等による異性体(R体、S体、α配置、β配置、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D体、L体、d体、l体)、クロマトグラフィー分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、回転異性体、およびこれらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。また、本発明においては、互変異性体による異性体をもすべて包含する。 本明細書中、「感覚神経」とは、当該分野で用いられる用語である「感覚神経」をすべて包含する。すなわち、末梢神経系のうち体性神経系に分類され、感覚受容器から生じた神経信号(興奮)を中枢神経に伝える機能を有する求心性、あるいは感覚性(知覚性)の神経線維をすべて含む。該「感覚神経」には、例えば、嗅神経、視神経、三叉神経、顔面神経、内耳神経、舌咽神経、迷走神経、脊髄神経等が含まれる。 本明細書中、内耳神経には、例えば、前庭神経、蝸牛神経等が含まれる。 本明細書中、感覚神経細胞には、例えば、軸索、細胞体、シュワン細胞(末梢鞘細胞)、ミエリン鞘(髄鞘)等が含まれる。 本明細書中、五感には、例えば、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、皮膚感覚が含まれる。 本明細書中、聴覚には、例えば、聴覚、平衡覚が含まれる。 本明細書中、皮膚感覚には、例えば、触覚、圧覚、温覚、痛覚、固有覚(深部感覚)、振動覚、位置覚等が挙げられる。 本明細書中、視覚に関与する感覚神経には、例えば、視神経等が含まれる。 本明細書中、聴覚に関与する感覚神経には、例えば、蝸牛神経、前庭神経等が含まれる。 本明細書中、嗅覚に関与する感覚神経には、例えば、嗅神経等が含まれる。 本明細書中、味覚に関与する感覚神経には、例えば、舌咽神経、迷走神経等が含まれる。 本明細書中、皮膚感覚に関与する感覚神経には、例えば、顔面神経、三叉神経、迷走神経、脊髄神経等が含まれる。 本明細書中、感覚神経の異常とは、感覚神経の神経変性、神経障害および/または神経再生を要する状態をすべて包含するが、これらだけに限定されず、感覚神経に異常をきたす状態であればよい。 本発明において、感覚神経の異常改善剤は、感覚神経を正常に機能するように改善することを意味し、どのようなメカニズムに基づくものであってもよい。そのメカニズムは、例えば、神経変性を修復、進展抑制するものであってもよいし、神経障害を修復、抑制するものであってもよいし、または神経再生を促すものであってもよく、その効果によって、感覚神経の異常が関与する疾患の治療、予防および/または進展抑制剤として用いることができるだけでなく、感覚神経の異常が関与する症状の治療、予防および/または進展抑制剤としても用いることができる。 本明細書中、神経変性とは、原因不明の代謝障害により、感覚神経細胞が進行性の脱落、変性を伴い細胞死に至る状態をすべて包含する。 本明細書中、神経障害とは、外傷、他の疾患等の様々な原因により、感覚神経細胞が切断、損傷を受けることやミエリン鞘の脱髄が生じることによって、神経機能、神経細胞の障害等が生じることをすべて包含する。 本明細書中、神経再生を要する状態とは、細胞体あるいはシュワン細胞が欠落することにより神経体あるいはシュワン細胞の絶対数が減少し、正常な神経機能が損なわれることを意味する。ここで「神経再生」とは、当該分野で用いられる用語である「神経新生」および「神経再生」を共に包含する。また、神経再生は、神経における正常発生の過程を少なくとも一部再現することを表わし、再生する細胞の由来に左右されない。また、神経再生は、組織再生または機能再生を包含し、神経栄養因子様作用や神経栄養因子活性増強作用も包含する。 本明細書中、神経栄養因子としては、例えば、ニューロトロフィン、TGF−βスーパーファミリー、ニューロカインファミリー、増殖因子等が挙げられる。ここで、ニューロトロフィンとは、NGF(Nerve Growth Factor;神経成長因子)遺伝子ファミリーの総称で、中枢および末梢神経系細胞の分化や機能維持、またはシナプス形成や、損傷時の再生、修復等に重要な役割を演じるタンパク質である。該ニューロトロフィンとしては、例えば、NGF、BDNF(Brain Derived Neurotrophic Factor;脳由来神経栄養因子)、NT−3(Neurotrophin-3;ニューロトロフィン−3)、NT−4/5(Neurotrophin-4/5;ニューロトロフィン4/5)、NT−6(Neurotrophin-6;ニューロトロフィン−6)等が挙げられる。ここで、TGF−βスーパーファミリーとは、成熟分子内のシステインの配置が特徴的な構造を有し、様々な細胞や組織に対して多彩な作用を及ぼすことが知られているタンパク質群を意味する。該TGF−βスーパーファミリーとしては、例えば、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、BMP(Bone Morphogenetic Protein;骨形成因子)−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8A、BMP−8B、BMP−14(GDF−5)、GDNF(Glial cell line-derived neurotrophic factor;グリア細胞由来神経栄養因子)、neurturin、artemin、persephin、GDF(Growth/Differentiation Factor;成長/分化因子)−1、GDF−8、GDF−15、inhibin α、inhibin β、DAF(dauer formation)7等が挙げられる。該ニューロカインファミリーとしては、例えば、CNTF(ciliary neurotrophic factor;毛様体神経栄養因子)、IL−6(interleukin-6;インターロイキン−6)等が挙げられる。該増殖因子としては、例えば、IGF−1(Insulin Growth Factor-1;インスリン様増殖因子−1)、bFGF(basic fibroblast growth factor;塩基性線維芽細胞増殖因子)等が挙げられる。神経栄養因子様作用とは、これら神経栄養因子の如き作用であればよく、例えば、軸索の伸長作用、神経伝達物質の合成促進作用、神経細胞の分化・増殖を促進する作用、神経細胞の活動を維持する栄養分としての作用、シナプス形成作用、神経細胞保護作用等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また神経栄養因子活性増強作用としては、上記の神経栄養因子による作用を増強する活性を意味する。 本明細書中、感覚神経の異常が関与する症状としては、感覚神経の異常によって生じる症状だけでなく、感覚神経の異常が関与する疾患を起因として生じる症状も含み、例えば、疼痛、しびれ、痒み、冷え、灼熱感、感覚異常、感覚低下等が挙げられる。 本明細書中、「治療」とは病態を治癒の方向へ導くことを、「進展抑制」とは悪化を抑制し病態の進行をとどめることを、「予防」とは疾患の成立そのものを予防することを意味する。 本明細書中、感覚神経の異常が関与する疾患とは、感覚神経細胞だけでなく、感覚神経細胞を含めた末梢神経系における神経細胞の神経変性、神経障害、神経再生を要する状態等の結果生じる疾患をすべて包含し、その原因によって限定されるものではない。 本明細書中、末梢神経障害とは、当該分野で用いられる「モノニューロパシー(単神経炎)」、「多発性モノニューロパシー(多発性単神経炎)」、「ポリニューロパシー(多発神経炎)」、「遺伝性ニューロパシー」をすべて包含し、特定の感覚神経だけでなく、感覚神経を含む様々な末梢神経が、後記するような様々な原因によって単独に、または複数同時に障害を受けることを意味する。 本明細書中、「神経障害性疼痛」とは、当該分野で用いられる「神経障害性疼痛」および「神経因性疼痛」をすべて包含し、「末梢神経障害」の症状としての神経障害性疼痛も含む。「神経障害性疼痛」は、発症のメカニズムは不明な点が多いが、感覚神経細胞のいずれかの部分が、例えば、外傷、外科的侵襲、癌等の疾患、薬物、放射線治療等によって障害や圧迫を受け、該細胞の閾値が低下し、異常な持続的興奮が起こることにより、疼痛が生じる状態をいう。 本明細書中、「難聴」とは、伝音難聴または感音難聴に分けられ、感音難聴はさらに内耳性難聴、後迷路性難聴に分けられるが、該「難聴」はこれらすべてを包含する。ここで、伝音難聴とは、外耳道や中耳の物理的な問題で音が遮られるために生じるものをいう。また、感音難聴とは、内耳の感覚器(有毛細胞)、聴神経、脳の聴神経路が損傷を受けたために生じるものをいう。 [毒性] (2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグの毒性は十分に低いものであり、医薬品として使用するために十分安全であることが確認された。例えば、イヌを用いた単回静脈内投与では、(2R)−2−プロピルオクタン酸は、100mg/kgで死亡例が見られなかった。 [医薬品への適用] (2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグは、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト動物、例えば、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等)において、感覚神経の異常が関与する疾患であればどのような疾患であっても治療、予防および/または進展抑制に有用である。そのような疾患としては、例えば、視覚に関与する感覚神経が異常をきたす疾患(例えば、緑内障、ドライアイ、一過性黒内障、鬱血乳頭、視神経乳頭炎(例えば、乳頭浮腫等)、視(神経)交叉障害、視覚皮質障害、球後視神経炎、中毒性弱視、視神経萎縮、高位視路病変、核間性眼筋麻痺、注視麻痺、中毒性−栄養性視神経症、虚血性視神経症、ホルネル症候群、視神経低形成等)、聴覚に関与する感覚神経が異常をきたす疾患(例えば、聴神経障害、聴神経腫瘍、聴神経髄種、薬物性聴器毒(その原因薬物としては、例えば、サリチル酸塩、キニーネとその合成代用薬、アミノグリコシド系抗生物質、利尿薬(例えば、エタクリン酸、フロセミド等)、一酸化炭素、重金属、アルコール等が挙げられる。)、難聴(例えば、伝音難聴(その原因としては、例えば、真珠腫、慢性滲出性中耳炎、中耳炎、外耳道の閉塞、耳硬化症、鼓膜の穿孔等が挙げられる。)、感音難聴(その原因としては、加齢、脳腫瘍、薬物、小児期の感染(例えば、流行性耳下腺炎、髄膜炎等)、先天性の感染(例えば、トキソプラズマ症、風疹、サイトメガロウイルス、梅毒等。)、遺伝、騒音、メニエール病、ウイルス性内リンパ性内耳炎等が挙げられる。)等)、急性低音障害型感音難聴、突発性難聴、老人性難聴、耳鳴(その原因としては、例えば、耳垢や異物による外耳道の閉塞、感染(例えば、外耳炎、鼓膜炎、中耳炎、内耳炎、錐体尖炎、梅毒、髄膜炎等)、耳管の障害、耳硬化症、中耳新生物(例えば、鼓室隆起、頚静脈小体の腫瘍等)、メニエール病、クモ膜炎、小脳橋角部腫瘍、薬物性聴器毒、心臓血管病(例えば、動脈硬化、動脈瘤等)、貧血、甲状腺機能低下症、遺伝性の感音難聴、騒音性難聴、音響外傷、頭部外傷等が挙げられる。)、めまい、メニエール病、良性発作性頭位めまい、悪性発作性頭位めまい、耳性帯状疱疹、前庭神経炎、遅発性内リンパ水腫(急性迷路炎)、耳の変性障害および血管障害等)、嗅覚に関与する感覚神経が異常をきたす疾患(例えば、無嗅症(その原因としては、ウイルス性感染、萎縮性鼻炎、肉芽腫症、腫瘍による慢性鼻炎、頭部外傷、頭蓋内手術、性腺機能低下症(カルマン(Kallmann)症候群)等が挙げられる。)、嗅覚過敏、嗅覚不全、嗅覚鈍麻等)、味覚に関与する感覚神経が異常をきたす疾患(例えば、味覚異常、味覚消失、味覚鈍麻等)、皮膚感覚に関与する感覚神経が異常をきたす疾患(例えば、神経障害性疼痛(例えば、帯状疱疹、三叉神経痛、非定型顔面痛、舌咽神経痛、坐骨神経痛、異常感覚性大腿痛、癌性疼痛、内臓痛、腰痛、異性痛(アロディニア(allodynia))、触覚過敏、痛覚過敏、急性術後疼痛、神経障害性疼痛症候群(例えば、帯状疱疹後神経痛、ラムゼイハント(Ramsay Hunt)症候群、幻肢痛、神経根引抜損傷、有痛性外傷単神経障害、有痛性多発神経障害、糖尿病性末梢神経障害疼痛、中枢性疼痛症候群、手術後疼痛症候群(例えば、乳房切除後症候群、断端痛等)等)、複雑局所疼痛症候群(例えば、反射交感神経ジストロフィー、灼熱痛(カウザルギー(causalgia))等)等)、末梢神経障害(例えば、外傷による末梢神経障害、治療(例えば、外科的手術、化学療法、放射線療法等)による末梢神経障害、自己免疫疾患(例えば、結節性多発動脈炎、全身性エリテマトーデス、シェーグレン(Sjogren)症候群、関節リウマチ、特発性好酸球増加症候群、炎症性大腸炎、ランゲルハンス細胞組織球増加症(例えば、ハンド−シュラー−クリスチャン(Hand-Schuller-Christian)病等)、セリアック(Coeliac)病等)による末梢神経障害、栄養欠乏症および代謝疾患(例えば、アルコール依存症、糖尿病、アミロイドーシス(amyloidosis)、脚気、悪性貧血、腎不全、慢性肝疾患(例えば、肝硬変等)、イソニアジド誘導性、ピリドキシン欠乏、吸収不良症候群、妊娠悪阻、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、ポルフィリン症、サルコイドーシス(sarcoidosis)、尿毒症、ビタミンB12欠乏、原発性全身性アミロイドーシス、ライソゾーム病、糖原病、マンノース症、ムコ多糖症、フコシドーシス(fucosidosis)、スフィンゴリピドーシス(sphingolipdosis)、ニーマン−ピック(Nieman-Pick)病、ガングリオシドーシス(gangliosidosis)、セロイドリポフスチン症(Ceroid lipofuscinosis)、チアミン欠乏症、パントテン酸欠乏、葉酸欠乏、無βリポタンパク血症(有棘赤血球増加症;バッセン−コルンツヴァイク(Bassen-Kornzweig)症候群)、タンジアー(Tangier)病(家族性α−リポタンパク欠損症)、先端肥大症(末端肥大症)等)による末梢神経障害、感染病(例えば、結核、マイコプラズマ、レジオネラ、梅毒、ライム病、ヒト免疫不全ウイルス(以下、HIVと略記する。)感染、インフルエンザウイルス、レプトスピラ症、ハンセン病、ポリオ、サイトメガロウイルス等)による末梢神経障害、毒性物質(例えば、ボツリヌス菌、ジフテリア、エメチン、ヘキソバルビタール、バルビタール、クロロブタノール、スルホンアミド、フェニトイン、ニトロフラントイン、ビンカアルカロイド類、重金属、一酸化炭素、シアン化水素、トリオルトクレジールリン酸、オルトジニトロフェノール、ヒ素、カドミウム、有機水銀、サリン、ソマン、タブン、VXガス等)による末梢神経障害、薬物中毒(例えば、ストレプトマイシン、ネオマイシン、バイオマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、クロラムフェニコール、メトロニダゾール、ニトロフラントイン、アシクロビル、エタクリル酸、フロセミド、サリチル酸塩、特定の後天性免疫不全症候群(以下、AIDSと略記する。)治療薬(例えば、ザルシタビン、ジダノシン、ジドブジン、スタブジン等)等)による末梢神経障害、腫瘍性疾患(例えば、悪性腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄腫、リンパ腫等)による末梢神経障害、遺伝的要因による末梢神経障害(例えば、遺伝性(家族性)痙性対麻痺、家族性アミロイドポリニューロパシー、ペリツェウス・メルツバッヘル(Pelizaeus-Merzbacher)病等)、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、続発性パーキンソン症候群、ハラーフォルデン・シュパッツ(Hallervorden-Spatz)病、進行性核上性(眼筋)麻痺、線条体黒質変性症、アルツハイマー病等)による末梢神経障害、中枢神経系の脱髄疾患(例えば、多発性硬化症、視神経脊髄炎、急性および亜急性出血性白質脳炎、びまん性硬化症、橋中心髄鞘崩壊症、急性横断性脊髄炎、亜急性壊死性脊髄炎、同心性硬化症等)による末梢神経障害、神経筋接合部の疾患(例えば、重症筋無力症、イートン−ランバート(Eaton-Lambert)症候群、全身性強直症候群、アイザック症候群、ミトコンドリア筋症等)による末梢神経障害、神経叢疾患(例えば、急性腕神経叢炎、腰仙神経叢炎、腕神経叢裂離等)による末梢神経障害、神経血管症候群(例えば、手根管症候群、肘部管症候群、撓骨管症候群、足根管症候群等)による末梢神経障害、その他の末梢神経障害(その原因疾患としては、例えば、椎間板ヘルニア、知覚神経節神経根炎、腰仙椎狭窄、脊柱管狭窄症、馬尾症候群、末梢神経鞘腫瘍、神経症細胞腫(シュワノーマ(Schwannoma))、シャルコー・マリー・トゥース(Charcot-Marie-Tooth)病(腓骨筋萎縮)、ファブリ(Fabry)病、デジュリン・ソッタス(Dejerine-Sottas)病(肥厚性間質性ニューロパシー)、レフサム(Refsum)病、白質ジストロフィー(例えば、異染性白質ジストロフィー(異染性白質萎縮症)、アイカルディ・ゴーシェ(Aicardi-Goutiere)病、アレキサンダー(Alexander)病、カナバン(Canavan)病、クラッベ(Krabbe)病、副腎白質ジストロフィー等)等)、ギラン−バレー(Guillain-Barre)症候群(急性炎症性脱髄性多発神経炎)、フィッシャー(Fisher)症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、脊髄損傷による感覚(知覚)解離(例えば、半側障害(ブラウン−セカール(Brown-Sequard)症候群)、脊髄空洞症、脊髄癆、前脊髄動脈症候群等)、胸部出口圧迫症候群、末梢神経線維腫症(フォン・レックリングハウゼン(vonRecklinghausen)病)等が挙げられる。)等が挙げることができる。感覚神経の異常が関与する疾患として好ましくは、例えば、難聴、無嗅症、味覚異常、神経障害性疼痛、末梢神経障害等が挙げられ、より好ましくは、例えば、難聴、神経障害性疼痛、末梢神経障害等が挙げられる。ここで、末梢神経障害として好ましくは、例えば、糖尿病による末梢神経障害、HIV感染による末梢神経障害、椎間板ヘルニアによる末梢神経障害、脊柱管狭窄症による末梢神経障害、栄養欠乏症による末梢神経障害等が挙げられる。ここで、神経障害性疼痛として好ましくは、帯状疱疹後神経痛、癌性疼痛、三叉神経痛、幻肢痛等が挙げられる。ここで、難聴として好ましくは、後迷路性難聴等が挙げられる。 また、(2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグは、哺乳動物において、感覚神経の異常が関与する症状であればどのような症状であっても治療、予防および/または進展抑制に有用である。そのような症状としては、例えば、疼痛、しびれ、痒み、冷え、灼熱感、感覚異常、感覚低下、感覚鈍麻、めまい、難聴等が挙げられる。 (2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグは、1)その化合物の治療、予防および/または進展抑制効果の補完および/または増強、2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、および/または3)その化合物の副作用の軽減のために他の薬剤と組み合わせて、併用薬として投与してもよい。 (2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、または(2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグと他の薬剤の併用薬(以下、本発明の併用薬と略記する。)を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、経口投与の場合、通常、成人一人当たり、1回につき、1μgから5000mgの範囲で1日1回から数回経口投与される。好ましくは、1回あたり、50mgから1500mgの範囲であり、より好ましくは、1回あたり、300mgから1500mgの範囲である。非経口投与の場合は、成人一人当たり、1回につき、1ng/kgから25mg/kgの範囲で1日1回から数回非経口投与されるか、または1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。好ましくは、1回あたり、0.5mg/kgから25mg/kgの範囲である。もちろん投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を超えて投与の必要な場合もある。 (2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグ、または本発明の併用薬を投与する際には、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤および、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤、点眼剤、点耳剤、点鼻剤、吸入剤等として用いられる。 経口投与のための内服用固形剤には例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等が含まれる。錠剤には例えば、舌下錠、口腔内貼付錠、口腔内速崩壊錠等が含まれる。カプセル剤には、例えば、ハードカプセルおよびソフトカプセル等が含まれる。 このような内服用固形剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(例えば、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(例えば、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。 舌下錠は公知の方法に準じて製造、調製される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質に賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、コロイダルシリカ、デンプン等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(例えば、デンプン、L−ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム等)、膨潤剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カーボポール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、グアーガム等)、膨潤補助剤(例えば、グルコース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルトース、トレハロース、リン酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、グリシン、グルタミン酸、アルギニン等)、安定剤、溶解補助剤(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルタミン酸、アスパラギン酸等)、香味料(例えば、オレンジ、ストロベリー、ミント、レモン、バニラ等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(例えば、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。また、必要に応じて常用される防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を加えることもできる。 口腔内貼付錠は公知の方法に準じて製造、調製される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質に賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、コロイダルシリカ、デンプン等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(例えば、デンプン、L−ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム等)、付着剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カーボポール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、グアーガム等)、付着補助剤(例えば、グルコース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルトース、トレハロース、リン酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、グリシン、グルタミン酸、アルギニン等)、安定剤、溶解補助剤(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルタミン酸、アスパラギン酸等)、香味料(例えば、オレンジ、ストロベリー、ミント、レモン、バニラ等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(例えば、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。また、必要に応じて常用される防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を加えることもできる。 口腔内速崩壊錠は公知の方法に準じて製造、調製される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質をそのまま、あるいは原末もしくは造粒原末粒子に適当なコーティング剤(例えば、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸メタクリル酸コポリマー等)、可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル等)を用いて被覆を施した活性物質に賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、コロイダルシリカ、デンプン等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(例えば、デンプン、L−ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム等)、分散補助剤(例えば、グルコース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルトース、トレハロース、リン酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、グリシン、グルタミン酸、アルギニン等)、安定剤、溶解補助剤(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルタミン酸、アスパラギン酸等)、香味料(例えば、オレンジ、ストロベリー、ミント、レモン、バニラ等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(例えば、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。また、必要に応じて常用される防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を加えることもできる。 ソフトカプセル剤は公知の方法に準じて製造、調製される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を、一般的に使用されるカプセル皮膜で被覆することによって製造することができる。カプセル皮膜は、カプセル基剤と可塑剤とを必須成分とし、所望によって、香料、防腐剤、色素、不透明化剤、溶解度調節剤等を用いて製造することができる。ここで、カプセル基剤としては、例えば、蛋白質(例えば、ゼラチン、コラーゲン等)、多糖類(例えば、デンプン、アミロース、ポリガラクツロン酸、寒天、カラギナン、アラビアガム、ジェランガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸等)、生分解性プラスチック(例えば、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリグルタミン酸等)、硬化油脂(例えば、中鎖脂肪酸のトリグリセリドやジグリセリド等)等が挙げられる。可塑剤としては、糖、糖アルコール、多価アルコール等を用いることができ、例えば、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。香料としては、例えば、ハッカ油、桂皮油、ストロベリーその他の果実エッセンスやフレーバー等が挙げられる。防腐剤としては、例えば、パラヒドロキシ安息酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル等が挙げられる。色素としては、例えば、黄色4号、黄色5号、赤色3号、青色1号、銅クロロフィン等が挙げられる。不透明化剤としては、例えば、二酸化チタン、ベンガラ等が挙げられる。溶解度調節剤としては、例えば、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのアルカリ金属塩、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネートのアルカリ金属塩、アルギン酸アルカリ塩、ポリアクリル酸アルカリ金属塩、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カゼイン、コラーゲン、寒天末、ポリビニールアルコール、ペクチン等)が挙げられる。 経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(例えば、精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。 非経口投与のための外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、点眼剤、点耳剤および点鼻剤等が含まれる。これらはひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、公知の方法または通常使用されている処方により製造、調製される。 軟膏剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に研和、または溶融させて製造、調製される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(例えば、アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(例えば、ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(例えば、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(例えば、ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(例えば、親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(例えば、ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。 ゲル剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させて製造、調製される。ゲル基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、低級アルコール(例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等)、ゲル化剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、中和剤(例えば、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(例えば、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ガム類、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。 クリーム剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融または乳化させて製造、調製される。クリーム基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸エステル、低級アルコール、炭化水素類、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、高級アルコール(例えば、2−ヘキシルデカノール、セタノール等)、乳化剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル類等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。 湿布剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、練合物とし支持体上に展延塗布して製造される。湿布基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、増粘剤(例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース等)、湿潤剤(例えば、尿素、グリセリン、プロピレングリコール等)、充填剤(例えば、カオリン、酸化亜鉛、タルク、カルシウム、マグネシウム等)、水、溶解補助剤、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。 貼付剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して製造される。貼付剤用基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。 リニメント剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物を水、アルコール(例えば、エタノール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸、グリセリン、セッケン、乳化剤、懸濁化剤等から選ばれるもの単独または2種以上に溶解、懸濁または乳化させて製造、調製される。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。 噴霧剤、吸入剤、およびスプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691号パンフレットおよび同第3,095,355号パンフレットに詳しく記載されている。また、エアロゾル剤としても構わない。 非経口投与のための注射剤としては、すべての注射剤を包含する。例えば、筋肉への注射剤、静脈内への注射剤、静脈内への点滴剤等を含む。 非経口投与のための注射剤としては、一般的に注射剤に使用される金属塩(例えば、リン酸三ナトリウム、リン酸一水素二ナトリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等)やpH調節剤(例えば、水酸化ナトリウム等)の他、安定化剤、界面活性剤、緩衝剤、可溶化剤、抗酸化剤、消泡剤、等張化剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、無痛化剤、溶解剤、溶解補助剤等の、例えば、薬事日報社2000年刊「医薬品添加物辞典」(日本医薬品添加剤協会編集)等に記載されているような添加剤を溶媒(例えば、注射用蒸留水等)に溶解させることにより製造することができる。また、輸液製剤の場合はこれらの添加剤に加え、電解質類(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム等)、糖類(例えば、グルコース、果糖、ソルビトール、マンニトール、デキストラン等)、蛋白アミノ酸類(例えば、グリシン、アスパラギン酸、リジン等)、ビタミン類(例えば、ビタミンB1、ビタミンC等)等の一般的に輸液に用いられる成分も用いることができる。かかる医薬組成物は、最終工程において滅菌するか、無菌操作法によって製造、調製される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の滅菌精製水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。 非経口投与のための点眼剤には、点眼液、懸濁型点眼液、乳濁型点眼液、用時溶解型点眼液および眼軟膏が含まれる。これらの点眼剤は公知の方法に準じて製造、調製される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。点眼剤の溶剤としては、例えば、滅菌精製水、生理食塩水、その他の水性溶剤または注射用非水性用剤(例えば、植物油等)等およびそれらの組み合わせが用いられる。点眼剤は、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、緩衝化剤(例えば、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、界面活性化剤(例えば、ポリソルベート80(登録商標)、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、安定化剤(例えば、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等)、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、パラベン等)等を必要に応じて適宜選択して含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか、無菌操作法によって製造、調製される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の滅菌精製水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。 非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤又は吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水又は他の適当な媒体に溶解又は懸濁させて使用する形態であってもよい。 これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(例えば、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(例えば、カルボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤等を必要に応じて適宜選択して調製される。吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(例えば、ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(例えば、デンプン、デキストリン等)、賦形剤(例えば、乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤等を必要に応じて適宜選択して調製される。吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(例えば、アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。 非経口投与のためその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリー等が含まれる。 (2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグの具体的な投薬期間としては、例えば、経口投与であれば、1日乃至5年間等、好ましくは1日乃至1年間等、より好ましくは1日乃至6ヶ月間等、特に好ましくは1日乃至2ヶ月間等が挙げられる。また非経口投与、例えば、静脈内投与であれば、1日乃至100日間等、好ましくは1日乃至10日間等、より好ましくは1日乃至7日間等、最も好ましくは、7日間等が挙げられる。 本発明の併用薬は、1つの製剤中に両成分を配合した配合薬の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また時間差による投与は、(2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグを先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、(2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグを後に投与してもかまわず、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。 (2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグの治療、予防および/または進展抑制効果を補完および/または増強する他の薬剤の併用薬は、本明細書中に例示したものに限定されない。また、(2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグの治療、予防および/または進展抑制効果を補完および/または増強する他の薬剤の併用薬には、本明細書中に示したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく、今後見出されるものも含まれる。 本発明の併用薬により、治療、予防および/または進展抑制効果を奏する疾患および/または症状は特に限定されず、本発明の併用薬によって、それらを単独で投与した場合に比較して、治療、予防および/または進展抑制効果を補完および/または増強する疾患および/または症状であればよい。 本発明の併用薬に用いられる他の薬剤としては、前記「感覚神経の異常が関与する疾患」および/または前記「感覚神経の異常が関与する症状」の予防、治療および/または進展抑制薬として一般的に用いられるものが含まれる。具体的な疾患および/または症状の予防、治療および/または進展抑制薬は後に列挙するが、そのような一般的に用いられる薬剤としては、例えば、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ニコチン受容体調節薬、βアミロイドタンパク産生、分泌、蓄積、凝集および/または沈着抑制薬(例えば、βセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼ阻害薬、βアミロイドタンパク凝集阻害作用薬、βアミロイドワクチン、βアミロイド分解酵素等)、脳機能賦活薬(例えば、脳代謝賦活薬、脳循環改善薬等)、ドパミン受容体作動薬(ドパミン受容体刺激薬)、ドパミン遊離促進薬(ドパミン分泌促進薬あるいはドパミン放出促進薬)、ドパミン取り込み阻害薬、ドパミン作用薬、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬、芳香族L−アミノ酸脱炭酸酵素阻害薬(DCI)、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)補充薬、抗コリン薬、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬、筋萎縮性側索硬化症治療薬、高脂血症治療薬、痴呆の進行に伴う異常行動、徘徊等の治療薬、アポトーシス阻害薬、神経再生・分化促進薬、降圧薬、糖尿病治療薬、糖尿病性合併症治療薬、抗うつ薬(例えば、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬等)、抗不安薬、抗てんかん薬、抗けいれん薬、抗攣縮薬、非ステロイド性抗炎症薬、疾患修飾性抗リウマチ薬、抗サイトカイン薬(例えば、TNF阻害薬、MAPキナーゼ阻害薬等)、ステロイド薬、性ホルモンまたはその誘導体(例えば、プロゲステロン、エストラジオール、安息香酸エストラジオール等)、甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン(例えば、PTH等)、カルシウムチャネル遮断薬(カルシウム拮抗薬)、カルシウム受容体拮抗薬、オピオイド受容体作動薬、N−メチル−D−2−アミノ−5−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬、VR−1受容体作動薬、神経筋接合部遮断薬、カンナビノイド−2受容体刺激薬、GABAA受容体調節薬(例えば、GABAA受容体作動薬等)、GABAB受容体調節薬、プロスタグランジン類、コレシストキニン拮抗薬、一酸化窒素合成酵素(NOS)阻害薬、局所麻酔薬、神経栄養因子(例えば、ニューロトロフィン、TGF−βスーパーファミリー、ニューロカインファミリー、増殖因子等)、交感神経作動薬、副交感神経作動薬、交感神経抑制薬、プロスタグランジン受容体拮抗薬、プロスタグランジン受容体作動薬、炭酸脱水酵素阻害薬、高張浸透圧薬、血管拡張薬、代謝賦活薬、利尿薬(例えば、チアジド系利尿薬、ループ利尿薬、カリウム保持性利尿薬等)、末梢血流改善薬、免疫抑制薬、免疫グロブリン、α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソオキサゾールプロピオン酸(AMPA)/カイニン酸受容体拮抗薬、Rho−キナーゼ阻害薬、ビタミン類(例えば、ビタミンB6、ビタミンB12等)、シクロオキシゲナーゼ(COX)−2阻害薬、抗めまい薬、貧血治療薬、重金属中毒治療薬、ムスカリン受容体アゴニスト、HIV感染およびAIDS治療薬、ハンセン病治療薬、ポリオ治療薬、薬物中毒治療薬、アルドース還元酵素阻害薬、神経再生促進薬、プロテインキナーゼC(PKC)阻害薬、終末糖化産物(AGE)阻害薬、活性酸素消去薬、筋弛緩薬等が挙げられる。 これらの併用薬は、低分子化合物であってもよく、また高分子のタンパク、ポリペプチド、抗体であるか、あるいはワクチン等であってもよい。 本発明の併用薬のうち、具体的な疾患および/または症状の治療薬としては、以下に示すものが挙げられる。 末梢神経障害の治療薬としては、例えば、アルドース還元酵素阻害薬(例えば、エパルレスタット(epalrestat)、SNK−860、CT−112等)、塩酸メキシレチン(mexiletine hydrochloride)、神経栄養因子(例えば、NGF等)、NT−3、BDNF、神経再生促進薬、PKC阻害薬、AGE阻害薬、活性酸素消去薬、ビタミンB6(例えば、塩酸ピリドキシン(pyridoxine hydrochloride)、リン酸ピリドキサール(pyridoxal phosphate)等)、ビタミンB12(例えば、シアノコバラミン(cyanocobalamin)、酢酸ヒドロキソコバラミン(hydroxocobalamin acetate)、メコバラミン(mecobalamin)等)等が挙げられる。 神経障害性疼痛の治療薬としては、例えば、三環系抗うつ薬(例えば、塩酸アミトリプチリン(amitriptyline hydrochloride)、塩酸イミプラミン(imipramine hydrochloride)、塩酸クロミプラミン(clomipramine hydrochloride)、塩酸ドスレピン(dosulepin hydrochloride)、塩酸ノルトリプチリン(nortriptyline hydrochloride)、塩酸ロフェプラミン(lofepramine hydrochloride)、マレイン酸トリミプラミン(trimipramine maleate)、アモキサピン(amoxapine)、塩酸デシプラミン(desipramine hydrochloride)等)、四環系坑うつ薬(例えば、塩酸ミアンセリン(mianserin hydrochloride)、塩酸マプロチリン(maprotiline hydrochloride)、マレイン酸セチプチリン(setiptiline maleate)等)、抗てんかん薬(例えば、カルバマゼピン(carbamazepine)、抱水クロラール(chloral hydrate)、クロナゼパム(clonazepam)、ジアゼパム(diazepam)、フェルバメート(felbamate)、フォスフェニトイン(fosphenytoin)、ガバペンチン(gabapentin)、ラモトリジン(lamotrigine)、レベチラセタム(levetiracetam)、ロラゼパム(lorazepam)、オキシカルバゼピン(oxcarbazepine)、フェノバルビトンナトリウム(phenobarbitone sodium)、チアガビン(tiagabine)、トピラメート(topiramate)、バルプロ酸ナトリウム(valproate semisodium)、バルプロ酸ナトリウム(valproate sodium)、ビガバトリン(vigabatrin)、ゾニサミド(zonisamide)、プレガバリン(pregabalin)、フェノバルビタール(phenobarbital)、プリミドン(primidone)、フェニトイン(phenytoin)、エトスクシミド(ethosuximide)等)、筋弛緩薬(例えば、塩酸トルペリゾン(tolperisone hydrochloride)、クロルゾキサゾン(chlorzoxazone)、クロルメザノン(chlormezanone)、メトカルバモール(methocarbamol)、フェンプロバメート(phenprobamate)、メシル酸プリジノール(pridinol mesilate)、カルバミン酸クロルフェネシン(chlorphenesin carbamate)、バクロフェン(baclofen)、塩酸エペリゾン(eperisone hydrochloride)、アフロクアロン(afloqualone)、塩酸チザニジン(tizanidine hydrochloride)、塩化アルクロニウム(alcuronium chloride)、塩化スキサメトニウム(suxamethonium chloride)、塩化ツボクラリン(tubocurarine chloride)、ダントロレンナトリウム(dantrolene sodium)、臭化パンクロニウム(pancuronium bromide)、臭化ベクロニウム(vecuronium bromide)、臭化ブチルスコポラミン(scopolamine butylbromide)等)、NMDA受容体拮抗薬(例えば、ケタミン(ketamine)、臭化水素酸デキストロメトルファン(dextromethorphan hydrobromide)等)、オピオイド受容体作動薬(例えば、アヘン(opium)、アヘン・トコン散(opium ipecac powder)、塩酸アヘンアルカロイド(opium alkaloids hydrochlorides)、アヘンアルカロイド・アトロピン(opium alkaloids and atropine Injection)、アヘンアルカロイド・スコポラミン(opium alkaloids and scopolamine injection)、硫酸モルヒネ(morphine sulfate)、塩酸モルヒネ(morphine hydrochloride)、モルヒネ・アトロピン(morphine and atropine injection)、塩酸エチルモルヒネ(ethylmorphine hydrochloride)、複方オキシコドン(compound oxycodone injection)、複方オキシコドン・アトロピン(compound oxycodone and atropine injection)、リン酸コデイン(codeine phosphate)、リン酸ジヒドロコデイン(dihydrocodeine phosphate)、オキシメテバノール(oxymetebanol)、塩酸コカイン(cocaine hydrochloride)、塩酸ペチジン(pethidine hydrochloride)、クエン酸フェンタニル(fentanyl citrate)、ペンタゾシン(pentazocine)、塩酸ペンタゾシン(pentazocine hydrochloride)、塩酸トラマドール(tramadol hydrochloride)、酒石酸ブトルファノール(butorphanol tartrate)、塩酸ブプレノルフィン(buprenorpine hydrochloride)、臭化水素酸エプタゾシン(eptazocine hydrobromide)、フェンタニル(fentanyl)、プロスタグランジン類(例えば、プロスタグランジン受容体作動薬、プロスタグランジン受容体拮抗薬等)等が挙げられる。 難聴の治療薬としては、例えば、ステロイド薬(例えば、アムシノニド(amcinonide)、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム(hydrocortisone sodium succinate)、コハク酸プレドニゾロンナトリウム(prednisolone sodium succinate)、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム(methylprednisolone sodium succinate)、シクレソニド(ciclesonide)、ジフルプレドナート(difluprednate)、ジプロピオン酸ベタメタゾン(betamethasone dipropionate)、デキサメタゾン(dexamethasone)、デキサメタゾンパロミチオネート(dexamethasone)、デフラザコート(deflazacort)、トリアムシノロン(triamcinolone)、トリアムシノロンアセトニド(triamcinolone acetonide)、ハルシノニド(halcinonide)、パルミチン酸デキサメタゾン(dexamethasone palmitate)、ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)、ピバル酸フルメタゾン(flumetasone pivalate)、ブチル酢酸プレドニゾロン(prednisolone butylacetate)、ブデソニド(budesonide)、プラステロンスルホネート(prasterone sulfonate)、フランカルボン酸モメタゾン(mometasone furoate)、フルオシノニド(fluocinonide)、フルオシノロンアセトニド(fluocinolone acetonide)、フルドロキシコルチド(fludroxycortide)、フルニソリド(flunisolide)、プレドニゾロン(prednisolone)、プロピオン酸アルクロメタゾン(alclometasone dipropionate)、プロピオン酸クロベタゾール(clobetasol propionate)、プロピオン酸デキサメタゾン(dexamethasone propionate)、プロピオン酸デプロドン(deprodone propionate)、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone propionate)、プロピオン酸ベクロメタゾン(beclometasone dipropionate)、ベタメタゾン(betamethasone)、メチルプレドニゾロン(methylprednisolone)、メチルプレドニゾロンスレプタネート(methylprednisolone suleptanate)、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート(methylprednisolone sodium succinate)、モメタゾンフランカルボネート(mometasone furoate)、リン酸デキサメタゾンナトリウム(dexamethasone sodium phosphate)、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム(hydrocortisone sodium phosphate)、リン酸プレドニゾロンナトリウム(prednisolone sodium phosphate)、吉草酸ジフルコルトロン(diflucortolone valerate)、吉草酸デキサメタゾン(dexamethasone valerate)、吉草酸ベタメタゾン(betamethasone valerate)、吉草酸酢酸プレドニゾロン(prednisolone valerate-acetate)、酢酸コルチゾン(cortisone acetate)、酢酸ジフロラゾン(diflorasone diacetate)、酢酸デキサメタゾン(dexamethasone acetate)、酢酸トリアムシノロン(triamcinolone acetate)、酢酸パラメサゾン(paramethason acetate)、酢酸ハロプレドン(halopredone Acetate)、酢酸フルドロコルチゾン(fludrocortisone acetate)、酢酸プレドニゾロン(prednisolone acetate)、酢酸メチルプレドニゾロン(methylprednisolone acetate)、酪酸クロベタゾン(clobetasone butyrate)、酪酸ヒドロコルチゾン(hydrocortisone butyrate)、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン(hydrocortisone butyrate propionate)、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン(betamethasone butyrate propionate)、ST−126P等)、ビタミン剤(例えば、メコバラミン(mecobalamin)等)、血管拡張薬(例えば、塩酸ジルチアゼム(diltiazem hydrochloride)、塩酸トリメタジジン(trimetazidine hydrochloride)、ジピリダモール(dipyridamole)、塩酸ジラゼプ(dilazep hydrochloride)、トラピジル(trapidil)、ニコランジル(nicorandil)、アルプロスタジルアルファデクス(alprostadil alfadex)、アルプロスタジル(alprostadil)、リマプロストアルファデクス(limaprost alfadex)、リマプロスタット、エポプロステノールナトリウム(epoprostenol sodium)、ヘプロニカート、塩酸イソクスプリン(isoxsuprine hydrochloride)、塩酸トラゾリン(tolazoline hydrochloride)、ジピリダモール除放剤(dipyridamole)等)等が挙げられる。 以上の薬剤は例示であって、本発明の併用薬はこれらに限定されるものではない。 本発明の併用薬における(2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグの投与量、および投与方法は、前記と同様である。 (2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグと他の薬剤の重量比は特に限定されない。他の薬剤は、任意の2種以上を組み合わせて投与してもよい。また、(2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグの治療、予防および/または進展抑制効果を補完および/または増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。 (2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグは、哺乳動物(例えば、ヒト、非ヒト動物、例えば、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等)、特にヒトにおいて、感覚神経の異常を改善する作用、例えば、感覚神経細胞における神経変性を修復、進展抑制、神経障害の修復、抑制および/または神経再生を促す作用等を有するので、感覚神経の異常が関与する疾患(例えば、末梢神経障害、神経障害性疼痛、難聴等)および/または症状の治療、予防および/または進展抑制に有効である。 [製剤実施例] 以下、本発明の製剤例を開示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 製剤例1 (2R)−2−プロピルオクタン酸含有注射剤の製造 注射用水に、(2R)−2−プロピルオクタン酸(2.0kg)とリン酸二ナトリウム・12水和物(3.54kg)を加え、注射用水を用いて40Lとした。均一な溶液とした後、無菌フィルター(デュラポア0.22μmメンブレン)で濾過し、2mLずつプラスチックアンプルに充填し、高圧蒸気滅菌(123℃、15分間)することにより、1アンプル中100mgの活性成分を含有するアンプル2万本を得た。 製剤例2 (2R)−2−プロピルオクタン酸含有ソフトカプセルの製造 ゼラチン(20kg)および濃グリセリン(6kg)を、精製水(20kg)の存在下、70℃で混和し、均一な溶液を得た。この溶液および(2R)−2−プロピルオクタン酸(0.9kg)を、ソフトカプセル充填機(ロータリー式軟カプセル成型機H−1型;カマタ)に投入し、(2R)−2−プロピルオクタン酸を充填したソフトカプセルの生球を得た。得られた生球を、タンブラ乾燥および棚乾燥に順次付すことにより、1カプセル中に300mgの(2R)−2−プロピルオクタン酸を含有するソフトカプセル(2200カプセル)を得た。 (2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそのプロドラッグは、哺乳動物、特にヒトにおいて、感覚神経の異常を改善する作用、例えば、感覚神経細胞における神経変性を修復、進展抑制、神経障害の修復、抑制および/または神経再生を促す作用等を有するので、感覚神経の異常が関与する疾患(例えば、末梢神経障害、神経障害性疼痛、難聴等)の治療、予防および/または進展抑制に有用であり、また、感覚神経の異常が関与する症状の治療、予防および/または進展抑制にも有用であるため、医薬品として利用可能である。 (2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグを含有してなる感覚神経の異常改善剤。 感覚神経が、嗅神経、視神経、三叉神経、顔面神経、内耳神経、舌咽神経、迷走神経および/または脊髄神経である請求項1記載の剤。 感覚神経の異常が、感覚神経の神経変性、神経障害、および/または神経再生を要する状態である請求項1記載の剤。 感覚神経の異常が関与する疾患および/または症状の治療、予防および/または進展抑制剤である請求項3記載の剤。 感覚神経の異常が関与する疾患が、末梢神経障害、神経障害性疼痛または難聴である請求項4記載の剤。 感覚神経の異常が関与する症状が、疼痛、しびれ、痒み、冷え、灼熱感、感覚異常、感覚低下である請求項4記載の剤。 末梢神経障害が、糖尿病による末梢神経障害、ヒト免疫不全ウイルス感染による末梢神経障害、椎間板ヘルニアによる末梢神経障害、脊柱管狭窄症による末梢神経障害または栄養欠乏症による末梢神経障害である請求項5記載の剤。 神経障害性疼痛が、帯状疱疹後疼痛、癌性疼痛、三叉神経痛または幻肢痛である請求項5記載の剤。 難聴が後迷路性難聴である請求項5記載の剤。 1回あたりの経口投与量が約50mg乃至約1500mgである請求項1記載の剤。 投与期間が1日乃至約1年間である請求項10記載の剤。 1回あたりの静脈内投与量が約0.5mg/kg乃至約25mg/kgである請求項1記載の剤。 投与期間が1日乃至約10日間である請求項12記載の剤。 【課題】 感覚神経の異常が関与する疾患および/または症状を効果的に治療するための薬剤の提供。 【解決手段】 (2R)−2−プロピルオクタン酸、その塩、その溶媒和物またはそれらのプロドラッグは、感覚神経の異常を改善する作用、例えば、感覚神経細胞における神経変性を修復、進展抑制、神経障害の修復、抑制および/または神経再生を促す作用等を有するので、感覚神経の異常が関与する疾患および/または症状の治療、予防および/または進展抑制剤、として有用である。 【選択図】 なし


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