生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ヨーネ病の検査方法
出願番号:2005509040
年次:2009
IPC分類:G01N 33/53,G01N 33/543,G01N 33/569


特許情報キャッシュ

百溪 英一 森 康行 彦野 弘一 ブザ ジョラム ジョセファット JP 4359684 特許公報(B2) 20090821 2005509040 20030917 ヨーネ病の検査方法 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 501203344 矢野 裕也 100086221 百溪 英一 森 康行 彦野 弘一 ブザ ジョラム ジョセファット 20091104 G01N 33/53 20060101AFI20091015BHJP G01N 33/543 20060101ALI20091015BHJP G01N 33/569 20060101ALI20091015BHJP JPG01N33/53 PG01N33/543 545HG01N33/569 F G01N 33/48-33/98 CAplus(STN) JSTPlus(JDreamII) Paul M. Coussens, Christopher J. Colvin, Kacie Wiersma, Amy Abouzied, and Sue Sipkovsky,Gene Expression Profiling of Peripheral Blood Mononuclear Cells from Cattle Infected with Mycobacterium paratuberculosis,Infection and Immunity ,2002年10月,Vol.70,No.10,p5494-5502 Douglas J. Weiss, Oral A. Evanson, Andreas Moritz, Ming Qi Deng, and Mitchell S. Abrahamsen ,Differential Responses of Bovine Macrophages to Mycobacterium avium subsp. paratuberculosis and Mycobacterium avium subsp. avium,Infection and Immunity,2002年10月,Vol.70,No.10,p5556-5561 Olsen I, Wiker HG, Johnson E, Langeggen H, Reitan LJ.,Elevated antibody responses in patients with Crohn's disease against a 14-kDa secreted protein purified from Mycobacterium avium subsp. paratuberculosis.,Scand J Immunol. ,2001年 2月,Vol.53, No.2,p198-203 3 JP2003011845 20030917 WO2005029079 20050331 13 20060821 白形 由美子 本発明は、ヨーネ病の診断方法に関し、詳しくは、ヨーネ菌感染動物を、特異抗体上昇以前の感染経過において高感度に診断することができ、しかも多検体処理も可能なヨーネ病の診断方法に関するものである。 ヨーネ病は、抗酸菌の一種であるヨーネ菌(Mycobacterium avium subsp.Paratuberculosis)に由来し、主に牛、山羊、めん羊、水牛等の反芻動物が感染する慢性肉芽腫性下痢性伝染病である。わが国の牛群におけるヨーネ病汚染は、1980年以降その発生頭数、発生地ともに拡大傾向にある。特に、発生頭数については、1990年代からは100〜200頭/年レベルで推移しながら増加し、2000年には800頭を超えた。 第1図は、ヨーネ病の感染経過(感染から発症まで)と免疫応答性の推移を示す図である。ヨーネ病は、出生後早期に経口的にヨーネ菌に感染することで成立するが、感染経過は未だ不明の部分が多い上に、個体レベルでの差異が他の疾病に類を見ないほど大きい。 感染後、発症(下痢などの臨床的兆候が見られる)までの間の不顕性感染期は、一般に2〜5年以上であり、時には10数年以上の個体や、一生発症しない個体もある。この点で、ヨーネ病は「超慢性感染症」と言うことができる。 ELISA法は、ヨーネ菌に対する特異抗体を検出することによる診断方法であり、簡便なことから世界中に普及している方法である(百渓英一「牛のヨーネ病診断の最新情報」臨床獣医、第16巻、9号、1998年、24−31頁参照)。しかし、この方法は、発症牛や抗体上昇後の感染動物のみ診断できるが特異抗体上昇以前の不顕性感染動物は診断できない点で、不十分なものであった。しかしながらこのELISA法がヨーネ病診断のスタンダードとして普及する結果、ELISA陽性牛は減少しつつも、ELISA法では診断できない不顕性感染動物が相対的に増え、診断はますます困難な状況になりつつある。 一方、ヨーネ菌感染動物の細胞性免疫は、第1図に示すように、感染初期に誘導されるが、その後次第に低下する。このような細胞性免疫を診断する方法としては、ヨーニン反応及びインターフェロンγ(IFNγ)ELISA法がある。 ヨーニン反応(ヨーニン皮内反応)は、ヨーネ菌に対する宿主の細胞性免疫応答を検出する診断方法であり、結核感染におけるツベルクリン反応と同様の皮内反応である。即ち、ヨーネ菌の培養上清(ヨーネ菌PPD、ヨーニンPPD)を尾根部皮内に注射後に再度注射部位の発赤や腫脹を観察し計測して診断する。古くから用いられてきた方法であり、我が国でも家畜伝染病予防法においてはヨーネ病の診断方法としてこの方法が採用されている。 しかし、ヨーニン反応は、診断のために農場に2回出向く必要がある上に、頭数が多い場合には更に手間と時間がかるため、多検体処理には不向きである。従って、世界的にはヨーニン反応よりもELISA法による特異抗体の検出がより広く実施される傾向にある。 一方、IFNγELISA法は、ヨーネ菌に対する細胞性免疫応答を利用して、IFNγの産生量をインビトロで検出する方法である(Billman−Jacobe H,Carrigan M,Cockram F,Corner LA,Gill IJ,Hill JF,Jessep T,Milner AR,Wood PR,1992.A comparison of the interferon gamma assay with the absorbed ELISA for the diagnosis of Johne’s disease in cattle.Aust Vet J.69:25−28参照)。サイトカインの一種であるIFNγは、ヨーネ菌に感染した不顕性感染牛及び発症牛の末梢血をヨーネ菌抗原で刺激すると、不顕性感染牛により多量に産生されることから、IFNγの産生量が不顕性感染牛の診断に有効であることが明らかにされ(Stabel JR,1996.Production of gamma−interferon by peripheral blood mononuclear cells:an important diagnostic tool for detection of subclinical paratuberculosis.J Vet Diagn Invest.8:345−350参照)、本方法が1990年代に登場した。 IFNγELISA法は、同様に細胞性免疫応答を利用したヨーニン反応に比べて高感度にヨーネ病の感染の診断が可能であるが、細胞性免疫が次第に低下するに従って感度が低下し、検出できない。また、感染時期や病変内のヨーネ菌増殖の度合い等、種々の要因によっても感度が低くなり、診断方法としての問題点が残されている。 また、ヨーネ菌抗原を認識したTリンパ球が、再度の抗原暴露の時に反応して、細胞増殖を起こす現象(リンパ球幼弱化反応、リンパ球増殖反応)を指標とした診断法(Kreeger JM,Snider TG 3rd.,1992.Measurement of lymphoblast proliferative capacity of stimulated blood mononuclear cells from cattle with chronic paratuberculosis.Am J Vet Res.53:392−395参照)も検討されてきたが、リンパ球増殖に放射性同位元素を利用するなどの条件があることから、野外での応用に適しておらず実用的ではなかった。 このように、ヨーネ菌の感染経過においては、上述のように不顕性感染期が長い上に、不顕性感染期中において更に細胞性免疫及び特異抗体検出のいずれの診断方法によっても診断できない免疫学的診断困難期が存在し、しかも、その期間も個体レベルでの差が大きく、3〜5年と長いため、国内防疫や輸入検疫で感染動物を効率良く発見することができず、ヨーネ病の清浄化を困難にさせている。 不顕性感染期の感染動物においては、一定の病変が存続し、不規則であるが、糞便中に排菌されるため、これが汚染源となり感染を拡大させる原因となる。特に、診断困難な免疫学的診断困難期においては防疫上極めて問題となる。 この不規則な排菌を利用した診断方法として、糞便中に排菌されたヨーネ菌を分離して同定する診断方法が挙げられる。 しかし、この方法は、ヨーネ菌を診断に必要な量まで培養するのに数か月を費やさなければならないため、早期診断が難しく、培養中にもキャリアー牛から排菌がなされ感染が拡大する問題がある。また、排菌は不規則であり、持続的に起こらないため、診断を免れる感染個体も存在するという問題もあった。 ヨーネ菌の培養に時間がかかるのは、ヨーネ菌が非定型抗酸菌III群に属し、通常、マイコバクチンを添加した培地上のみで増殖する特殊栄養要求性の細菌であって、目に見えるコロニー形成には7〜11週も要する超遅発育性の細菌であるためである。 近年、ヨーネ菌のDNAに含まれる特異的挿入配列IS900を、ポリメラーゼチェーンリアクション(Polymerase chain reaction:PCR)により検出することにより糞便中のヨーネ菌の有無を早期診断できる方法が提案された。 しかし、排菌は持続的に起こらないため、診断できない個体の存在や、汚染牧場においては環境中の菌が経口的に飲みこまれそのまま糞便中に排菌される「通過菌」の可能性などから、確実な診断に至らなかった。そのため、宿主がヨーネ菌に「感染」した証を示す免疫学的診断法が必要とされていた。 このように、ヨーネ病は、診断困難期が長く、免疫学的特性に起因して、従来普及しているヨーネ病の診断方法は、いずれも感染時期等が限定され確実性に欠ける状況にある。従って、ヨーネ病の感染動物、とりわけキャリアー動物は依然として多数存在し、世界的に本病が蔓延し、清浄化が困難な状況となっている。 このため、家畜衛生、公衆衛生、畜産経営の立場から、ヨーネ病を予防するとともに、感染早期における清浄化の実現が急務とされており、特に免疫学的診断困難期の感染動物の診断も可能なヨーネ病の診断技術が待たれていた。 一方、このようなヨーネ病の感染に起因する直接の被害とともに、因果関係は明確にされてはいないが、近年、ヒトのクローン病(厚生省指定難病)の原因としてヨーネ菌の関与の可能性がクローズアップされてきている(Collins MT、Mycobacterium paratuberculosis:a potential food−borne pathogen? J Dairy Sci 80:3445−8(1997);Engstrand L,Mycobacterium paratuberculosis and Crohn’s disease.Scand J Infect Dis Suppl 98:27−9、1995及び百渓英一「ヨーネ病と人間のクローン病の関係について−総説−」臨床獣医、第19巻、7号(別冊)、2001年)。 このため、ヨーネ病とヒトのクローン病との関係を明らかにするため、ヒトのヨーネ菌感染をも診断することができる診断技術が求められている。 本発明は、ヨーネ菌感染動物を、特異抗体上昇以前の潜伏期間において高感度に診断することができ、しかも多検体処理も可能なヨーネ病の診断方法の提供を目的とする。 上記目的を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ね、その過程で、動物のTリンパ球やBリンパ球、そして単球/マクロファージなどから分泌されるサイトカインの一種であるインターロイキン10(IL−10)と、IFNγ産生性との関係に注目した。 ヨーネ菌感染牛の末梢血を、ヨーネ菌抗原(ヨーネ菌PPD)を用いてインビトロで刺激すると、IFNγとともにIL−10が産生され、両者の産生量の間には相関関係があることが報告されている(Jungersen G,Huda A,Grell SN,Howard CJ,2002.M.paratuberculosis specific production of IL−10 after whole blood stimulation is correlated with specific IFN−gamma production and non−stimulated IL−10 levels.7th International Colloquium on Paratuberculosis:Bilbao,Spain:11th−14th June 2002.)。 IL−10は、多くのサイトカインの産生を抑制する性質をもつことが一般に知られている。本発明者らは、ヨーネ菌感染動物において、細胞性免疫反応の低下や消失現象が、IL−10の持続的な産生を誘導し、その結果IFNγの産生性が抑制される結果、細胞性免疫学的診断法における感度低下(陰性化)を招いていることを見出した。 そこで、被検動物の血液にインビトロでヨーネ菌抗原刺激を行うと共に、IL−10の生物活性を人為的に抑制すると、感染動物の場合はIFNγの産生量が著しく高まり持続的な産生が誘導されるので、IFNγ産生量を測定することにより非感染動物と区別することができることを確認した。特に、被検動物が、従来、細胞性免疫反応によっては検出不能であった免疫学的診断困難期の感染動物であっても、細胞免疫学的応答を高めることができることをも確認した。 また、この方法により、ヨーネ病のみならず、他の抗酸菌に起因する疾病、例えば、結核菌やハンセン病の診断についても、高感度化できることを見出した。 本発明は、かかる知見に基づくものである。 即ち、請求項1記載の本発明は、被検動物の血液を採取し、採取された該血液に抗インターロイキン10(IL−10)抗体とヨーネ菌抗原を添加して培養し、培養後の血液中のインターフェロンγ(IFNγ)産生量を測定することを特徴とするヨーネ病の診断方法を提供するものである。 請求項2記載の本発明は、血液中のIFNγ産生量をIFNγELISA法により測定することを特徴とする請求項1記載のヨーネ病の診断方法を提供するものである。 請求項3記載の本発明は、被検動物の血液を採取し、採取された該血液に抗インターロイキン10(IL−10)抗体と抗酸菌抗原を添加して培養し、培養後の血液中のインターフェロンγ(IFNγ)産生量を測定することを特徴とする抗酸菌病の診断方法を提供するものである。 第1図は、ヨーネ病の感染経過(感染から発症まで)と免疫応答性の推移を示す図である。 第2図は、実験1において、ヨーネ菌感染牛のIFNγ産生量の抗IL−10抗体濃度依存性を、同抗体と同じアイソタイプのマウスIgGを添加した場合と比較した結果を示す図である。 第3図は、実験1において、ヨーネ菌感染牛のIFNγ産生量の抗IL−10抗体濃度依存性を、非感染健康対照牛のそれと比較した結果を示す図である。 第4図は、実験2において、ヨーネ菌感染牛のIFNγ産生量の抗IL−10抗体濃度依存性を、非感染健康対照牛のそれと比較した結果を示す図である。 第5図は、実験3において、ヨーネ菌感染牛のIFNγ産生量の抗IL−10抗体濃度依存性を、同抗体と同じアイソタイプのマウスIgGを添加した場合と比較した結果を示す図である。 第6図は、比較実験1において、ヨーネ菌感染牛のIFNγ産生量の抗IL−10抗体濃度依存性を、非感染健康対照牛のそれと比較した結果を示す図である。 第7図は、比較実験2において、ヨーネ菌感染牛のIFNγ産生量の抗IL−10抗体濃度依存性を、非感染健康対照牛のそれと比較した結果を示す図である。 請求項1に係る本発明の診断方法は、被検動物の血液を採取し、採取された血液に抗インターロイキン10(IL−10)抗体とヨーネ菌抗原を添加して培養し、培養後の血液中のインターフェロンγ(IFNγ)産生量を測定することを特徴とする。 請求項1に係る本発明の診断方法においては、まず、被検動物の血液を採取する。 被検動物とは、ヨーネ菌に感染する可能性があり、本発明の診断方法の対象となる動物を意味する。動物としては、わが国におけるヨーネ病汚染が拡大傾向にある牛の他、めん羊、山羊、水牛等の反芻動物が挙げられる。また、ヨーネ菌感染が報告されている野生のシカやウシの仲間(偶蹄類)等の反芻動物以外の動物が挙げられる。更に、被検動物としてヒトを対象とすることにより、ヒトのクローン病(厚生労働省指定難病)におけるヨーネ菌抗原の関与をも明らかにすることができる。 血液の採取は、ヘパリン加真空採血管(Venoject II,Terumo,Tokyo,Japan)等の器具を用いることができる。採取部位は、被検動物の頸静脈とすることができる。 尚、採取された血液は、希釈してから次の培養に供することもできるが、後述のようにIFNγ産生量を測定した際に、被検動物が健康な動物の場合と感染動物の場合との間に統計的有意差が観察可能となる範囲の希釈濃度とすることが好ましい。希釈濃度については、例えば実施例のように10倍希釈とすることもできるし、2倍希釈程度として、IFNγ産生量を高めることもできる。 請求項1記載の本発明の診断方法においては、続いて、採取された血液に抗インターロイキン10(IL−10)抗体とヨーネ菌抗原を添加して培養する。 抗IL−10抗体としては、ウシの診断を行う場合、ウシIL−10に対する中和活性を有する抗体であれば使用可能であり、例えば、C.J.Howard博士(Institute of Animal health,Compton,UK)作出のCC320を用いることができる。尚、ウシ以外の動物種に対して本方法を実施する場合には、それぞれの動物種固有のIL−10に対する中和活性のある抗体を用いることができる。 抗IL−10抗体の添加濃度は、後述のようにIFNγ産生量を測定した際に、被検動物が健康な動物の場合と感染動物の場合との間に統計的有意差が観察可能となる範囲とすることが好ましい。具体的な添加濃度は、用いる抗体の力価(中和抗体価)がその製造条件により様々であるため、一概に規定することはできないが、例えば、添加濃度の下限については、血液を10倍に希釈して24〜72時間培養する場合には、培地に対する濃度として6400倍希釈よりも高濃度とすることが好ましく、上限については、経済的な面や、培地に対する悪影響を防ぐ濃度を適宜定めることができ、好ましくは1600倍よりも低濃度とすることが好ましい。 ヨーネ菌抗原としては、ヨーネ菌PPD(ヨーネ菌の培養上清:ヨーニンPPD)、ヨーネ菌生菌、ヨーネ菌加熱死菌可溶化抗原等を用いることができるが、中でも、インターフェロン誘導刺激の際に標準的に用いられることから、入手の容易なヨーネ菌PPD(ヨーニン)を用いることが好ましい。 ヨーネ菌PPDは、例えば、Manual of Standards for Diagnostic Protocols(Office International des Epizooties(OIE).2000.Manual of standards for diagnostic tests and vaccines.Paratuberculosis(Johne’s disease).http://www.oie.int/eng/normes/mmanual/A 00043.htm.)に記載の方法に従って調製することができる。 即ち、ヨーネ菌(例えば、KAG−1)を、Middlebrook 7H9液体培地等で培養後、得られる菌液から菌体を除去して得られる培養液を、限外濾過により濃縮する。濃縮された液に対し、40w/v%トリクロール酢酸水溶液を加えて、十分混和した後、生じた沈殿を遠心により集め、洗浄する。洗浄後の沈殿をリン酸緩衝液に溶解して、透析によりトリクロール酢酸を除去後、濾過滅菌したものを、ヨーネ菌PPDとして用いる。 尚、すぐに使用しない場合は、−10〜−30℃にて冷凍保存する。 ヨーネ菌生菌及びヨーネ菌加熱死菌可溶化抗原は、Joram J.Buzal,Yasuyuki Mori,Abusaleh M.Bari,Hirokazu Hikono,Aodon−geril,Sachiyo Hirayama,Yujing Shu and Eiichi Momotani(2003).Mycobacterium avium subsp.paratuberculosis Infection Causes Suppression of RANTES,MCP−1 and TNF−α Expression in Peripheral Blood of Experimentally Infected Cattle.(Infection and Immunity in press)に記載の方法に従って調製することができる。 即ち、ヨーネ菌生菌は、ヨーネ菌(Mycobacterium avium subsp.paratuberculosis、ATCC 10698株)をMiddlebrook OACD Enrichmentとマイコバクチンを添加したMiddlebrook 7H9 broth(Difco Laboratories,USA)で37℃、15日間培養した後、遠心により菌を集め、リン酸緩衝液にて洗浄後,0.01% Tween 80を添加したリン酸緩衝液に浮遊し、適当な濃度に調整して用いることができる。 一方、ヨーネ菌加熱死菌可溶化抗原は、上記ヨーネ菌生菌と同様にして調製した菌体を121℃、15分オートクレーブにより殺菌し、微細なビーズ(直径0.5mmのジルコニウムとシリカの混合物)とともに密閉チューブに入れ、Mini−Bead beater(Biospec社)を用い、高速振動(毎分5000回)することにより破砕(ビーズビーダー法)し、これを4℃、14,000(xg)にて遠心して、上清を採取し、0.45μmのフィルターを通して滅菌したものを用いることができる。 尚、すぐに使用しない場合は、−50℃以下で保存する。 ヨーネ菌抗原の添加量は、後述のようにIFNγ産生量を測定した際に、被検動物が健康な動物の場合と感染動物の場合との間に統計的有意差が観察可能となる範囲で添加することが好ましい。具体的な添加量は、例えばヨーネ菌抗原としてヨーネ菌PPDの場合、培地に対して、好ましくは0.1〜1.0μg/ml、特に好ましくは0.3〜0.7μg/mlとする。 培養条件は、採取された血液に抗インターロイキン10(IL−10)抗体とヨーネ菌抗原を添加して培養するのであれば、特に限定されない。 培地としては、ペニシリンとストレプトマイシンと10%FCSを添加したRPMI1640培地、ダルベッコMEM培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)、ハムF12培地(Ham’s Nutrient Mixture F12)、イーグルMEM培地Minimum Essential Medium(EMEM)等の動物細胞用基本培地の中から適宜選択して使用することができるが、中でも、ペニシリンとストレプトマイシンと10%FCSを添加したRPMI1640培地が好ましい。 培養時間は、使用する培地等に応じて、後述のようにIFNγ産生量を測定した際に、被検動物が健康な動物の場合と感染動物の場合との間に統計的有意差が観察可能となる範囲で適宜設定することができる。例えば、ペニシリンとストレプトマイシンと10%FCSを添加したRPMI1640培地を使用して、37℃、5%炭酸ガス(CO2)で培養する場合、通常は24〜48時間であるが、反応性の低い動物の場合には、培養時間を長時間(例えば、72時間)とすることもできる。 尚、培養後は、必要に応じて血液を遠心分離して、得られる上清を、次のIFNγ産生量測定に供することもできる。 請求項1に係る本発明の診断方法においては、続いて、培養後の血液中のインターフェロンγ(IFNγ)産生量を測定する。 IFNγ生産量の測定には、IFNγELISA、カードや試験紙タイプの検出系等、IFNγその他のサイトカインの測定法として一般に用いられている免疫学的方法を適用することができる。中でも、請求項2に記載するように、IFNγELISAによることが好ましい。 IFNγELISAは、感度が高く再現性が良い上に、半自動化した機械による多検体処理や測定も可能であることから、最もよく用いられている方法である。 被検動物がウシの場合のIFNγELISAの手順の一例を挙げると、以下の通りである。 まず、抗ウシIFNγでコーティング(固層化)した96wellのELISAプレートを用意する。即ち、1)コーティングするための抗ウシIFNγ濃度(添加量)は、抗ウシIFNγの力価によるので、まず、0.1M 炭酸バッファーpH9.6で抗体1μg/mlを目安に予備試験により濃度(添加量)を決定する。2)決定した濃度(添加量の)抗ウシIFNγを接種し、4℃一晩、もしくは37℃2時間、プレートに吸着する。3)その後0.02%ツイーン20加PBSで2回洗浄する。 続いて、上記のようにして培養した後の血液100μlを、ELISAプレートの各wellに添加し、室温で1時間感作する。感作終了後、0.02%Tween20加PBSで洗浄する。次に、1/50希釈した100μlのペロキシダーゼラベル抗牛IFNγを各wellに添加して室温で1時間感作した後、0.02%Tween20加PBSで洗浄する。更に、100μlの発色基質試薬(tetramethylbenzidineおよび過酸化水素水含む)を添加して撹拌後、室温で10分呈色反応する。呈色反応の結果を、マイクロプレートリーダー(コロナ製MTP−120等)にて読み取り、段階希釈された既知のIFNγ濃度のカーブからソフトウエア(コロナMTP−SF5やDeltadoftなど)により、サンプル中のIFNγ濃度を算定する。 尚、被検動物がウシの場合、ウシガンマインタフェロンELISAキット(BioX S.P.R.L.,Marche−en−Famenne,Belgium)等のキットを用いると、試薬の調製や機器の用意等の手間を省くことができ、更に、使用説明書に従って簡便に実施することができるので、再現性や多検体処理の点で好ましい。 尚、請求項1記載の本発明の診断方法においては、上述のように採取された血液に抗インターロイキン10(IL−10)抗体とヨーネ菌抗原を添加して培養することにより、血液中におけるIFNγの特異的な産生が高まることから、IFNγELISA法以外の感度の低い免疫学的検出法も利用可能である。 また、IFNγ生産量の測定には、タンパクとしてのIFNγでなく、末梢血細胞内のIFNγのmRNAを、RT−PCR法やリアルタイムRT−PCR法により検出して、IFNγの発現量を比較する方法を適用することも可能であるが、IFNγELISA法等の免疫学的検出法に比べてRNAの抽出やPCR反応に用いる試薬、サーマルサイクラー等の設備が必要となることから、多検体処理を考慮すると、IFNγELISA法等の免疫学的検出法が一番容易である。 請求項1に係る本発明の診断方法は、上述したようなものであるが、ヨーネ菌と同様に抗酸菌に起因する抗酸菌病にも応用が可能であり、このような抗酸菌の診断方法を提供するのが、請求項3に係る本発明である。 即ち、請求項3に係る本発明の診断方法は、被検動物の血液を採取し、採取された該血液に抗インターロイキン10(IL−10)抗体と抗酸菌抗原を添加して培養し、培養後の血液中のインターフェロンγ(IFNγ)産生量を測定することを特徴とする抗酸菌病の診断方法である。 抗酸菌病としては、抗酸菌に起因する病気、例えば、結核やハンセン病が挙げられる。抗酸菌病が結核の場合、被検動物としては、ヒトやウシ、その他の結核に感染するおそれがある動物が挙げられ、抗酸菌抗原としては、結核抗原(例えば、ツベルクリンPPD)を挙げることができる。また、抗酸菌病がハンセン病の場合、被検動物としては、ヒトその他のハンセン病に感染するおそれがある動物が挙げられ、抗酸菌抗原としては、らい菌抗原(例えば、レプロミン)を挙げることができる。 以下、本発明を実施例により詳細に説明する。実験1(抗IL−10抗体添加濃度とIFNγ産生性の関係) ヨーネ菌感染牛と非感染健康対照牛の末梢血についての抗IL−10抗体添加培養における、ヨーニンPPDによるIFNγ産生性の亢進の程度を比較した。(1)ヨーネ菌感染牛と非感染健康対照牛について ヨーネ菌感染牛として、生後1週間目に20.7×108CFUのヨーネ菌を経口投与され、その後去勢されたホルスタイン(実験採血時には25ヶ月齢)5頭を用いた。これらの牛はIFNγELISAでは陽性を呈するが、下痢などの臨床症状やELISAによる特異抗体検出は陰性で、糞便のPCRによる検査も陰性であった。 一方非感染健康対照牛として、ヨーネ菌感染牛と年齢の一致する去勢牛(ホルスタイン)5頭を用いた。 ヨーネ菌感染牛および非感染対照牛のそれぞれの頸静脈から、末梢血をヘパリン加真空採血管(Venoject II,Terumo,Tokyo,Japan)により採取した。(2)末梢血の培養 採取された末梢血に抗IL−10抗体とヨーネ菌PPDを添加して培養するにあたり、まず、ヨーネ菌PPDを「Manual of Standards for Diagnostic Protocols(Office International des Epizooties(OIE).2000.Manual of standards for diagnostic tests and vaccines.Paratuberculosis(Johne’s disease).http://www.oie.int/eng/normes/mmanual/A_00043.htm)により調製した。 即ち、製造用菌株として、ヨーネ菌野外例分離株であり、PPD抗原生産用に培地中にOACDコンプレックスを含まない培地で増殖可能にするためにクローニングされた菌株である、ヨーネ菌KAG−1株を用いた。尚、KAG−1株は、−80℃にて凍結保存されていたものである。 Middlebrook 7H9液体培地にマイコバクチンを2μg/l添加したものに、上記KAG−1株を接種し、37℃2ヶ月間培養を行った。尚、通常のヨーネ菌培養時にMiddlebrook 7H9液体培地に添加するMiddlebrook OADC enrichmentは、無蛋白培養のために添加しなかった。 培養終了後、得られる菌液を100℃にて3時間殺菌後、濾過および遠心により菌体を除去した。培養液を限外濾過により約5分の1量まで濃縮した。濃縮された液9容に対し、40w/v%トリクロール酢酸水溶液1容を加えて、十分混和する。生じた沈殿を遠心により集め、4w/v%トリクロール酢酸にて洗浄した。沈殿を濃縮液の5分の1量のリン酸緩衝液に溶解して、透析によりトリクロール酢酸を除去後、濾過滅菌してヨーネ菌PPDとして用いた。尚、使用時まで−20℃にて保存した。 採取した各末梢血を、ペニシリンとストレプトマイシンと10%子牛胎児血清(FCS)を添加したRPMI1640培地にて、10倍に希釈して、48well組織培養プレート(住友ベークライト、東京)の各wellに添加した。ここに、最終濃度5μg/mlとなるようにヨーネ菌PPDを添加して、更に、抗IL−10抗体を1/100(希釈倍率100倍)、1/400(希釈倍率400倍)、1/1,600(希釈倍率1600倍)、1/6,400(希釈倍率6,400倍)、1/25,600(希釈倍率25,600倍)、1/102,400(希釈倍率102,400倍)及び1/409,600(希釈倍率409,600倍)のいずれかになるように添加して、37℃、5%CO2で48時間培養した。 また、ヨーネ菌感染牛から採取した末梢血については、対照として、抗IL−10抗体の代わりに、アイソタイプの共通する正常マウスIgG50μg/mlを抗体と同様の希釈倍率となるように添加した。 抗IL−10抗体は、C.J.Howard博士(Institute of Animal health,Compton,UK)作出のCC320を使用した。 培養終了後、プレートを1,500rpm(400G)で5分間遠心し、各培養上清をIFNγ検出用に分離した。(3)IFNγ産生量の測定 牛ガンマインタフェロンELISAキット(BioX S.P.R.L.,Marche−en−Famenne,Belgium)を用いて、キットの使用説明書に従って各培養上清中のIFNγ産生量を測定した。 ヨーネ菌感染牛5頭のIFNγ産生量の各抗体添加濃度における平均値を、抗IL−10抗体を添加して培養した場合とIgGを添加して培養した場合のそれぞれについて算出した。ヨーネ菌感染牛のIFNγ産生量の抗IL−10抗体濃度依存性を、同抗体と同じアイソタイプのマウスIgGを添加した場合と比較した結果を、第2図に示す。 また、同様に、非感染健康対照牛5頭のIFNγ産生量の各抗体添加濃度における平均値も算出した。ヨーネ菌感染牛のIFNγ産生量の抗IL−10抗体濃度依存性を、非感染健康対照牛のそれと比較した結果を、第3図に示す。 抗IL−10抗体を添加して培養したヨーネ菌感染牛の末梢血サンプルにおいては、感染牛5頭のいずれにおいても、ヨーネ菌PPDの刺激により産生されるIFNγの産生量が、添加した抗IL−10抗体の添加濃度に相関して統計的に有意な上昇をすることが観察された(第2図参照)。 即ち、抗ウシIL−10を添加した場合、第2図から1/25,600(希釈倍率25,600倍)程度から平均値において、IFNγの産生量の増加が明らかであり、また、1/400〜1/100(希釈倍率400〜100倍)において、IFNγの産生量はプラトーに近づいた。 一方、IgGを添加して培養したヨーネ菌感染牛の末梢血サンプルにおいては、感染牛5頭のいずれにおいても、抗体の添加濃度によるIFNγ産生量の変化は誘導されなかった(第2図参照)。 第2図から明らかなように、抗IL−10抗体を添加した場合のIFNγ産生量と、IgGを添加した場合のIFNγ産生量とを分散分析(ANOVA)により比較解析した結果、抗体の希釈倍率100倍から1600倍まで分散分析による有意差(P<0.001)が示された。 更に、非感染健康対照牛5頭の末梢血サンプルにおいては、対照牛5頭のいずれにおいても、抗体の添加濃度によるIFNγ産生量の変化は誘導されなかった(第3図参照)。 第3図から明らかなように、抗IL−10抗体を添加した場合について、ヨーネ菌感染牛のIFNγ産生量と、非感染健康対照牛のIFNγ産生量とを、分散分析(ANOVA)により比較解析した結果、抗体の希釈倍率100倍から1600倍まで分散分析による有意差(P<0.001)が示された。 このような、ヨーネ菌感染牛の末梢血におけるIFNγ産生量の抗IL−10抗体濃度依存性は、ヨーネ菌抗原刺激によりIFNγ産生性が亢進するものの、抗原刺激により同時に産生されるIL−10により、IFNγ産生性が著しく抑制されていることを証明するものである。 本実験により、ヨーネ菌抗原で刺激された被検動物の末梢血に、抗IL−10抗体を添加して培養することにより、細胞性免疫反応が低下している感染動物であっても、抗原特異的なIFNγ産生性を著しく高めることができ、ヨーネ菌感染動物を確実かつ高感度に診断できることが明らかとなった。実験2(培養時間24時間の場合) 培養時間を24時間に短縮した他は、実施例1と同様の手順で、抗IL−10抗体を添加して培養した場合のヨーネ菌感染牛5頭のIFNγ産生量と、非感染健康対照牛5頭のIFNγ産生量について、各抗体添加濃度における平均値を算出した。ヨーネ菌感染牛のIFNγ産生量の抗IL−10抗体濃度依存性を、非感染健康対照牛のそれと比較した結果を、第4図に示す。 抗IL−10抗体を添加して培養したヨーネ菌感染牛の末梢血サンプルにおいては、感染牛5頭のいずれにおいても、ヨーネ菌PPDの刺激により産生されるIFNγの産生量が、添加した抗IL−10抗体の添加濃度に相関して統計的に優位な上昇をすることが観察された(第4図参照)。 一方、非感染健康対照牛5頭の末梢血サンプルにおいては、対照牛5頭のいずれにおいても、抗体の添加濃度による変化は誘導されなかった(第4図参照)。 第4図から明らかなように、ヨーネ菌感染牛のIFNγ産生量と、非感染健康対照牛のIFNγ産生量とを、分散分析(ANOVA)により比較解析した結果、抗体の希釈倍率100倍から1600倍まで分散分析による有意差(P<0.001)が示された。また、6400倍希釈では有意差はp<0.01であった。 本実験により、ヨーネ菌抗原で刺激された被検動物の末梢血に、抗IL−10抗体を添加して培養するにあたり、培養時間を24時間とした場合にも、細胞性免疫反応が低下している感染動物であっても、抗原特異的なIFNγ産生性を著しく高めることができ、ヨーネ菌感染動物を確実かつ高感度に診断できることが明らかとなった。 また、培養時間を24時間とし、抗IL−10抗体としてCC320を用いた場合には、抗体の添加濃度を1600倍希釈以下とすることにより、より有効な結果が得られることが示された。実験3(培養時間72時間の場合) 培養時間を72時間に延長した他は、実施例1と同様の手順で、ヨーネ菌感染牛5頭のIFNγ産生量の各抗体添加濃度における平均値を、抗IL−10抗体を添加して培養した場合とIgGを添加して培養した場合のそれぞれについて算出した。ヨーネ菌感染牛のIFNγ産生量の抗IL−10抗体濃度依存性を、同抗体と同じアイソタイプのマウスIgGを添加した場合と比較した結果を、第5図に示す。 抗IL−10抗体を添加して培養したヨーネ菌感染牛の末梢血サンプルにおいては、感染牛5頭のいずれにおいても、ヨーネ菌PPDの刺激により産生されるIFNγの産生量が、添加した抗IL−10抗体の添加濃度に相関して統計的に有意な上昇をすることが観察された(第5図参照)。特に、1/100(希釈倍率100倍)の抗体添加では、平均産生量が300μg/mlを超えた。 一方、IgGを添加して培養したヨーネ菌感染牛の末梢血サンプルにおいては、感染牛5頭のいずれにおいても、抗体の添加濃度による変化は誘導されなかった(第5図参照)。 第5図から明らかなように、抗IL−10抗体を添加した場合のIFNγ産生量と、IgGを添加した場合のIFNγ産生量とを分散分析(ANOVA)により比較解析した結果、抗体の希釈倍率100倍から1600倍まで分散分析による有意差(P<0.001)が示された。 本実験により、ヨーネ菌抗原で刺激された被検動物の末梢血に、抗IL−10抗体を添加して培養するにあたり、培養時間を72時間とした場合にも、細胞性免疫反応が低下している感染動物であっても、抗原特異的なIFNγ産生性を著しく高めることができ、ヨーネ菌感染動物を確実かつ高感度に診断できることが明らかとなった。比較実験1(Con Aを用いた場合) ヨーネ菌PPDの代わりにコンカナバリンAを用いた他は、実施例1と同様の手順で、抗IL−10抗体を添加して培養した場合のヨーネ菌感染牛5頭のIFNγ産生量と、非感染健康対照牛5頭のIFNγ産生量について、各抗体添加濃度における平均値を算出した。尚、Con Aは、免疫細胞に非特異的に刺激を与えるレクチンの一種である。 ヨーネ菌感染牛のIFNγ産生量の抗IL−10抗体濃度依存性を、非感染健康対照牛のそれと比較した結果を、第6図に示す。 その結果、ヨーネ菌感染牛、非感染健康対照牛ともに、IFNγは産生されたが、添加した抗IL−10抗体の添加濃度に依存した産生量の変化は誘導されなかった(第6図参照)。 本比較実験により、ヨーネ菌感染動物を確実かつ高感度に診断するためには、被検同物の末梢血に抗IL−10抗体を添加して培養する際に、非特異的刺激ではなく、ヨーネ菌抗原で抗原特異的に刺激することが必要であることが明らかとなった。比較実験2 ヨーネ菌PPDを用いない他は、実施例1と同様の手順で、抗IL−10抗体を添加して培養した場合のヨーネ菌感染牛5頭のIFNγ産生量と、非感染健康対照牛5頭のIFNγ産生量について、各抗体添加濃度における平均値を算出した。 ヨーネ菌感染牛のIFNγ産生量の抗IL−10抗体濃度依存性を、非感染健康対照牛のそれと比較した結果を、第7図に示す。 その結果、ヨーネ菌感染牛、非感染健康対照牛ともに、IFNγ産生量の有意な産生誘導は、いずれの濃度で添加した抗IL−10抗体によっても起こされなかった(第7図参照)。 本比較実験により、ヨーネ菌感染動物を確実かつ高感度に診断するためには、被検同物の末梢血に抗IL−10抗体を添加して培養する際に、ヨーネ菌抗原で抗原特異的に刺激することが必要であることが明らかとなった。 以上の実験結果から、請求項1に係る本発明のように、被検動物の血液を採取し、採取された該血液に抗インターロイキン10(IL−10)抗体とヨーネ菌抗原を添加して培養し、培養後の血液中のインターフェロンγ(IFNγ)産生量を測定することにより、特異抗体上昇以前の不顕性感染時期において高感度に診断することができ、しかも多検体処理も可能であることが明らかとなった。 請求項1記載の本発明の診断方法によれば、ヨーネ菌感染動物を、特異抗体上昇以前の不顕性感染時期において高感度に診断することができ、しかも多検体処理も可能である。 従って、請求項1に係る本発明の診断方法により、ヨーネ菌感染動物を排除してヨーネ菌感染のない清浄な動物群の確率を図ると共に、世界的に経済的損耗を与え、かつクローン病の原因の可能性等が問題となっているヨーネ病の対策に積極的な打開策を提供しようとするものである。 また、請求項3記載の本発明の診断方法によれば、結核、ハンセン病等の抗酸菌病感染動物をも、感染経過に関わらず確実に、かつ高感度に診断することができ、しかも多検体処理も可能である。 被検動物から採取された血液に抗インターロイキン10(IL−10)抗体とヨーネ菌抗原を添加して培養し、培養後の血液中のインターフェロンγ(IFNγ)産生量を測定することを特徴とするヨーネ病の検査方法。 血液中のIFNγ産生量をIFNγELISA法により測定することを特徴とする請求項1記載のヨーネ病の検査方法。 被検動物から採取された血液に抗インターロイキン10(IL−10)抗体と抗酸菌抗原を添加して培養し、培養後の血液中のインターフェロンγ(IFNγ)産生量を測定することを特徴とする抗酸菌病の検査方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る