生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤
出願番号:2005014131
年次:2006
IPC分類:A61K 31/167,A61P 17/00


特許情報キャッシュ

大井 綱郎 JP 2006199642 公開特許公報(A) 20060803 2005014131 20050121 扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤 大鵬薬品工業株式会社 000207827 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 浅野 康隆 100089048 的場 ひろみ 100101317 大野 詩木 100134935 大井 綱郎 A61K 31/167 20060101AFI20060707BHJP A61P 17/00 20060101ALI20060707BHJP JPA61K31/167A61P17/00 1 OL 11 4C206 4C206AA01 4C206AA02 4C206JA24 4C206KA15 4C206NA14 4C206ZA89 本発明は、トシル酸スプラタストを有効成分とする扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤に関する。 扁平苔癬とは、皮膚と粘膜とにおける炎症性の単一な発疹(丘疹、ときに水疱)を原発疹とし、炎症、痒み、特徴的な皮膚病変を起こす皮膚と粘膜の疾患である。扁平苔癬の病因は、ウイルス説、自己免疫説、酵素異常説などが知られているが、いずれも決定的なものではなく、不明である。写真の現像液、抗マラリア剤、金製剤、ビスマス剤などの中毒疹で、本症に類似の発疹が出現することもあることから、何かの中毒による皮膚の酵素異常か、それより続発した自己免疫疾患の可能性はあるといわれている(非特許文献1)。 扁平苔癬は、一般に中年又は中年以降に発病する。最初の発作が数週間から数ヶ月続き、消長し、それから何年も再発することがある。扁平苔癬の臨床像は、痒みを伴う、光沢のある扁平な、皮溝で囲まれた多角形の、紫がかった紅色丘疹であることが特徴である。個々の丘疹の大きさは点状から、えんどう豆大と幅がある。これらの丘疹は孤立性のこともあるが、線状や環状、又は帯状に配列することもある。なお、環状の丘疹は、扁平苔癬の一つの大型の丘疹が、中心治癒することによっても生じる。全身どこの皮膚にも生じ得るが、特に手首、腰部、アキレス腱周囲が好発部位とされ、まれに紅皮症化する。粘膜部、特に頬粘膜と舌は好発部位で、その他、肛門、陰部、喉頭などにも生じ得る(非特許文献2)。 痒み、紅斑などの扁平苔癬と類似した皮膚症状を示し、病因が明らかでない疾患として、化学物質過敏症が知られているが、扁平苔癬はこれとは明らかに異なる疾患である。すなわち、化学物質過敏症は、(1)慢性的状態である、(2)症状が再現性を持って現れる、(3)低濃度の物質曝露に反応する、(4)関連のない多種類の化学物質に反応を示す、(5)刺激物質の除去で、改善又は治癒する、(6)症状が多数の器官系にわたる、と定義されているが(非特許文献3)、扁平苔癬は、再現性のある特定しうる原因物質がないため、(2)、(3)、(4)、(5)には該当せず、皮膚に限局した疾患であるため、(6)にも該当しないことから、両者は異なる疾患であるといえる。 また、アトピー性皮膚炎・Vidal苔癬などの慢性化した湿疹でみられる症状には、皮膚の「苔癬化」が観られるが、扁平苔癬はこれとも明らかに異なる。すなわち、「苔癬化」は、皮膚が硬く肥厚し、皮溝・皮丘の形成が顕著になることをいうが、扁平苔癬は、紅色丘疹が、孤立性か、又は線状や環状、或いは帯状に配列する皮膚症状を示し、両者の病態は異なる(非特許文献4)。また、アトピー性皮膚炎が、I型アレルギー反応、すなわち抗原特異的IgE抗体により引き起こされる反応であるのに対し、扁平苔癬においては、特異的抗原は存在せず、両者は異質の疾患である。 扁平苔癬の治療方法としては、対症的治療が主であり、痒感に対する治療により増悪を予防し、抗炎症製剤で炎症の軽減や消長が行われている。具体的には、副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン剤、放射線照射、外科的治療等のほか、粘膜疹にはビタミンA口内錠、局所麻酔剤の塗布などが行われている。しかしながら、斯かる薬剤には抵抗性を示すことも多く、優れた治療効果を有し、副作用の少ない、扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤の開発が医療の立場から望まれている。 (±)−[2−{4−(3−エトキシ−2−ハイドロキシプロポキシ)フェニルカルバモイル}エチル]ジメチルスルホニウム p−トルエンスルホネート(以下、「トシル酸スプラタスト」と称す)は、優れたIgE抗体産生抑制作用を有し、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の治療薬として公知であり(例えば、特許文献1参照)、排尿障害治療剤、腎透析に伴う掻痒治療薬、C型又は非B非C型肝炎ウイルスによる肝機能異常改善剤として有用であること(例えば、特許文献2〜4参照)、更には化学物質過敏症に対して有効であることも知られている(特許文献5参照)。 しかしながら、トシル酸スプラタストが、扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤として優れた効果を有することは全く知られていない。特公平3−70698号公報国際特許公開第00/27383号パンフレット特開平11−315019号公報特開2002−114672号公報特開2004−292407号公報医科学大事典(講談社)43, p.179〜181皮膚科 専門医に聞く最新の臨床(中外医学社)p.24〜25Arch. Environ. Health 54, p.147-149, 1999STEP皮膚科(海馬書房) p.32 本発明は、優れた扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤を提供することを目的とする。 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、トシル酸スプラタストが扁平苔癬の予防及び/又は治療に対して有用であり、しかも副作用が殆どないことを見出した。 すなわち本発明は、下記式(1):で表される(±)−[2−{4−(3−エトキシ−2−ハイドロキシプロポキシ)フェニルカルバモイル}エチル]ジメチルスルホニウム p−トルエンスルホネートを有効成分とする扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤に関する。 本発明の扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤は、優れた臨床効果を有し、しかも長期投与により扁平苔癬発現の予防効果も示し、かつ副作用が殆どない。 本発明で用いられるトシル酸スプラタストは、公知の方法、例えば、特公平3−70698号公報に記載の方法によって製造することができる。具体的には、(±)−[2−[4−(3−エトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルカルバモイル]エチル]メチルスルフィドとp−トルエンスルホン酸メチルとを反応させる方法等が挙げられる。 後記実施例に示すように、トシル酸スプラタストは、扁平苔癬に対して優れた臨床効果を発揮する。すなわち、グルセオフルビン等の抗真菌薬、デキサメタゾン、フランカルボン酸モメタゾン等のステロイド剤に対して効果のなかった症例について、紅斑、褐色調紅斑、褐色調色素斑等の軽快、掻痒の消失、上皮化の促進等の顕著な治療効果を示す。また、長期投与しても副作用は殆どみられない。従って、トシル酸スプラタストは、扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤として有用である。 本発明の扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤の投与形態は、特に限定されず、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、液剤、丸剤、乳剤、懸濁剤等の経口剤、注射剤、座剤、軟膏剤、硬膏剤、貼付剤等の非経口剤のいずれでもよく、それぞれ当業者に公知慣用の製造方法により製造できる。 経口用固形製剤を調製する場合には、本発明の有効成分に賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤等を製造することができる。賦形剤としては、例えば乳糖、マンニトール、蔗糖、澱粉、タルク、ステアリン酸マグネシウム、結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、グリセリン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム等が、結合剤としてはポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、アラビアゴム、シェラック、白糖等が、崩壊剤としては乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が、滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、タルク等が、矯味剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が使用できる。その他、着色剤、矯臭剤等は公知のものを用いることができる。なお、錠剤とする場合は周知の方法によりコーティングしてもよい。 経口用液体製剤を調製する場合には、本発明の有効成分に矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することもできる。この場合、矯味剤としては上記のものが、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。 注射剤を調製する場合は、本発明の有効成分にpH調整剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により静脈内、筋肉内、皮下、皮内又は腹腔内用注射剤を製造できる。pH調整剤及び緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはピロ亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、チオグリコール酸、チオ乳酸等が使用できる。等張化剤としては塩化ナトリウム、ブドウ糖等が、局所麻酔剤としては塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。 坐剤を調製する場合は、本発明の有効成分に通常使用される基剤、更に必要に応じて界面活性剤等を加えた後、常法により製造することができる。基剤としては、例えばマクロゴール、ラノリン、カカオ油、脂肪酸トリグリセライド、ウィテップゾール(ダイナマイトノーベル社製)等の油性基剤を用いることができる。 軟膏剤を調製する場合は、本発明の有効成分に通常使用される基剤、安定化剤、湿潤剤、保存剤等が必要に応じて配合され、常法により混合、製造化される。基剤としては流動パラフィン、白色ワセリン、サラシミツロウ、オクチルドデシルアルコール、パラフィン等が、保存剤としてはパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等が挙げられる。 貼付剤を製造する場合は、通常の支持体に前記軟膏、クリーム、ゲル、ペースト等を常法により塗布すればよい。支持体としては綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布や軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン等のフィルム或いは発砲体シートが挙げられる。 上記の各投与単位形態中に配合されるべきトシル酸スプラタストの量は、扁平苔癬の症状により或いはその剤型等により一定ではないが、一般に投与単位形態あたり経口剤では5−1000mg、注射剤及び経皮投与剤では0.1−500mg、坐剤では5−1000mgとするのが望ましい。また、上記投与形態を有する薬剤の投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別、その他の条件等に応じて適宜選択されるが、通常成人1回あたり経口剤では5−1000mg、注射剤及び経皮投与剤では0.1−1000mg、坐剤では5−1000mgの範囲で、それぞれ1日1回から数回投与するのが好ましい。 本発明の扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤は、1)扁平苔癬に対する予防・治療効果の補完及び/又は増強、2)トシル酸スプラタストの動態・吸収改善、投与量の低減、3)副作用の軽減、等のために放射線照射、外科的治療と組み合わせて投与してもよく、他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。 本発明の扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤と他の薬剤の併用は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。別々の製剤にして投与する場合には、同時投与及び時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、トシル酸スプラタストを先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、トシル酸スプラタストを後に投与してもかまわず、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。 上記併用により、トシル酸スプラタストの扁平苔癬に対する予防及び/又は治療効果の補完及び/又は増強せしめる他の薬剤としては、例えば、副腎皮質ホルモン、抗真菌剤、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、ビタミンA製剤、局所麻酔剤が挙げられる。以下にこれらの具体例を示すが、これらに限定されるものではなく、同様のメカニズムを持つ既存の薬剤の他、今後見出される同種の薬剤も使用できる。 抗真菌剤:例えば、アムホテリシンB、ナイスタチン、フルシトシン、ミコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、塩酸テルビナフィン、ミカファンギンナトリウム、グルセオフルビン等が挙げられる。 ステロイド剤:例えば、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、ピパル酸フルタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、吉草酸デキサメタゾン、プロピオン酸デキサメタゾン、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、酪酸クロベタゾン、フルドロキシコルチド、フルオシノニドハルシノニド、アムシノニド、ジフルプレドナート、吉草酸ジフルコルトロン、酢酸ジフロラゾン、プロピオン酸クロベタゾール、フランカルボン酸モメタゾン等が挙げられる。 抗ヒスタミン剤:例えば、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェニルピラリン、テオクル酸ジフェニルピラリン、フマル酸クレマスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリプロリジン、酒石酸アリメマジン、塩酸プロメタジン、塩酸ホモクロルシクリジン、ヒドロキシジン、塩酸シプロヘプタジン、フマル酸ケトチフェン、塩酸アゼラスチン、オキサトミド、メキタジン、塩酸フェキソフェナジン、フマル酸エメダスチン、塩酸エピナスチン、エバスチン、塩酸セチリジン、ベシル酸ベポタスチン、塩酸レボカバスチン、塩酸オロパタジン、ロタラジン等が挙げられる。 ビタミンA製剤:例えば、パルミチン酸レチノール等が挙げられる。 局所麻酔剤:例えば、塩酸ロピバカイン水和物、リドカイン、塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、塩酸プロピトカイン、塩酸ブピバカイン、塩酸メピバカイン、塩酸ジブカイン、塩酸ジブカイン・塩酸パラブチルアミノ安息香酸時エチルアミノエチル、塩酸テトラカイン、塩酸オキシブプロカイン等が挙げられる。非ステロイド系抗炎症薬としては、例えば、サリチル酸ナトリウム、アスピリン(アセチルサリチル酸)、サリチルアミド、フルフェナム酸アルミニウム、メフェナム酸、トルフェナム酸、ジクロフェナクナトリウム、スリンダク、フェンブフェン、アンフェナクナトリウム、インドメタシン、インドメタシン ファルネシル、マレイン酸プログルメタシン、アセメタシン、ナブメトン、エトドラク、モフェゾラク、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェン アキセチル、オキサプロジン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン酸、ナプロキセン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、ブコローム、ピロキシカム、アンピロキシカム、テノキシカム、メロキシカム、ロルノキシカム、エピリゾール(メピリゾール)、塩酸チアラミド、エモルファゾン等が挙げられる。 トシル酸スプラタストと上記他の薬剤の重量比は特に限定されず、また他の薬剤は、任意の2種以上を組み合わせて用いてもよい。 次に製剤例及び試験例を示して本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。製剤例1 錠剤製剤例2 カプセル剤製剤例3 顆粒剤製剤例4 細粒剤製剤例5 シロップ剤製剤例6 注射剤製剤例7 坐剤実施例1 症例1 患者:65歳男性 病歴;初診2年前より下口唇の皮疹出現し、扁平苔癬と診断された。デキサルチン軟膏(デキサメタゾン:日本化薬)外用、チョコラA(ビタミンA:エーザイ)内服投与したが軽快しなかった。 症状;初診時、下口唇中央半分に白色調角化落屑及び発赤がみられ、中央部はびらん化していた。口腔内両頬粘膜は軽度スレート状の色調であった。 治療;乾燥すると疼痛があったため、グリソビンFP(グルセオフルビン:三共)375mg/日の内服、デキサルチン軟膏外用としたところ、1〜2週間で自覚症状は軽快し、角化も軽減したが、その後もびらん及びヒリヒリ感を繰り返した。このため、グリソビンFP750mg/日に増量したところ、自覚症状の改善と皮疹の改善が見られたが、一進一退の状況であった。初診から3年2ヶ月経過後にグリソビンFP投与を中止し、アイピーディ(トシル酸スプラタスト:大鵬薬品)300mg/日に変更したところ、4日目には上皮化し、ピリピリした自覚症状も軽快した。3ヶ月服用しても再燃がないため、200mg/日に変更し、3ヶ月経過観察したが、略治状態のままであった。実施例2 症例2 患者:46歳男性 病歴;初診2年前より、自覚症状の無い皮疹が亀頭部にあることを自覚していた。初診時、老人性色素斑が疑われたため経過観察となっていた。その後、3年10ヶ月後に再診した。 症状;再診時、亀頭部に米粒大までの軽度角化症のわずかに隆起する紅斑が散在しており、扁平苔癬と診断した。 治療;再診時より、グリソビンFP(グルセオフルビン:三共)500mg/日を投与したところ、軽快傾向を示したが、消長を繰り返していた。8ヶ月経過後、グリソビンFP投与を中止し、アイピーディ(トシル酸スプラタスト:大鵬薬品)300mg/日に変更したところ、1ヶ月後の再診時には、紅斑軽快し、4ヶ月20日間投薬して経過観察したところ、再燃を認めないため治癒と判断した。なお、アイピーディ投与期間の併用薬はシナ−ル(ビタミンC:塩野義)3.0g/日のみであった。実施例3 症例3 患者:68歳女性 病歴;初診の数ヶ月前から下口唇が白色調となり扁平苔癬と診断された。 治療;アイピーディ(トシル酸スプラタスト:大鵬薬品)300mg/日で処方したところ、投与後10日目より軽快傾向出現し、2ヵ月後には略治の状態になった。実施例4 症例4 患者:54歳男性 病歴;初診の1ヶ月前に亀頭部の掻痒性斑に気付いた。 治療;初診時より、フルメタ軟膏(フランカルボン酸モメタゾン:塩野義)5g投与したが不変であった。1ヶ月後、アイピーディ(トシル酸スプラタスト:大鵬薬品)300mg/日14日分投与したところ、掻痒消失し紅斑軽快した。その後もアイピーディ300mg/日14日分、アイピーディ300mg/日21日分、アイピーディ300mg/日28日分と順次投与により治癒した。アイピーディ300mg/日内服開始1週間前後で、自覚症状(掻痒)消失、紅斑軽快し、以降、褐色調紅斑、褐色調色素斑も漸次軽快となった。 下記式(1):で表される(±)−[2−{4−(3−エトキシ−2−ハイドロキシプロポキシ)フェニルカルバモイル}エチル]ジメチルスルホニウム p−トルエンスルホネートを有効成分とする扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤。 【課題】扁平苔癬を予防剤又は治療する医薬を提供する。 【解決手段】下記式(1):【化1】で表される(±)−[2−{4−(3−エトキシ−2−ハイドロキシプロポキシ)フェニルカルバモイル}エチル]ジメチルスルホニウム p−トルエンスルホネートを有効成分とする扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤。【選択図】なし


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特許公報(B2)_扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤
出願番号:2005014131
年次:2011
IPC分類:A61K 31/167,A61P 17/00


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大井 綱郎 JP 4676770 特許公報(B2) 20110204 2005014131 20050121 扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤 大鵬薬品工業株式会社 000207827 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 浅野 康隆 100089048 的場 ひろみ 100101317 大野 詩木 100134935 大井 綱郎 20110427 A61K 31/167 20060101AFI20110407BHJP A61P 17/00 20060101ALI20110407BHJP JPA61K31/167A61P17/00 A61K 31/167 A61P 17/00 CA/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開昭59−167564(JP,A) 特開平11−315019(JP,A) 特表2004−292407(JP,A) 狩野葉子,皮膚疾患の診断と治療 (7) 扁平苔癬 ,アレルギー・免疫,2000年,Vol.7, No.10 ,p.1398-1399 1 2006199642 20060803 10 20070619 関 景輔 本発明は、トシル酸スプラタストを有効成分とする扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤に関する。 扁平苔癬とは、皮膚と粘膜とにおける炎症性の単一な発疹(丘疹、ときに水疱)を原発疹とし、炎症、痒み、特徴的な皮膚病変を起こす皮膚と粘膜の疾患である。扁平苔癬の病因は、ウイルス説、自己免疫説、酵素異常説などが知られているが、いずれも決定的なものではなく、不明である。写真の現像液、抗マラリア剤、金製剤、ビスマス剤などの中毒疹で、本症に類似の発疹が出現することもあることから、何かの中毒による皮膚の酵素異常か、それより続発した自己免疫疾患の可能性はあるといわれている(非特許文献1)。 扁平苔癬は、一般に中年又は中年以降に発病する。最初の発作が数週間から数ヶ月続き、消長し、それから何年も再発することがある。扁平苔癬の臨床像は、痒みを伴う、光沢のある扁平な、皮溝で囲まれた多角形の、紫がかった紅色丘疹であることが特徴である。個々の丘疹の大きさは点状から、えんどう豆大と幅がある。これらの丘疹は孤立性のこともあるが、線状や環状、又は帯状に配列することもある。なお、環状の丘疹は、扁平苔癬の一つの大型の丘疹が、中心治癒することによっても生じる。全身どこの皮膚にも生じ得るが、特に手首、腰部、アキレス腱周囲が好発部位とされ、まれに紅皮症化する。粘膜部、特に頬粘膜と舌は好発部位で、その他、肛門、陰部、喉頭などにも生じ得る(非特許文献2)。 痒み、紅斑などの扁平苔癬と類似した皮膚症状を示し、病因が明らかでない疾患として、化学物質過敏症が知られているが、扁平苔癬はこれとは明らかに異なる疾患である。すなわち、化学物質過敏症は、(1)慢性的状態である、(2)症状が再現性を持って現れる、(3)低濃度の物質曝露に反応する、(4)関連のない多種類の化学物質に反応を示す、(5)刺激物質の除去で、改善又は治癒する、(6)症状が多数の器官系にわたる、と定義されているが(非特許文献3)、扁平苔癬は、再現性のある特定しうる原因物質がないため、(2)、(3)、(4)、(5)には該当せず、皮膚に限局した疾患であるため、(6)にも該当しないことから、両者は異なる疾患であるといえる。 また、アトピー性皮膚炎・Vidal苔癬などの慢性化した湿疹でみられる症状には、皮膚の「苔癬化」が観られるが、扁平苔癬はこれとも明らかに異なる。すなわち、「苔癬化」は、皮膚が硬く肥厚し、皮溝・皮丘の形成が顕著になることをいうが、扁平苔癬は、紅色丘疹が、孤立性か、又は線状や環状、或いは帯状に配列する皮膚症状を示し、両者の病態は異なる(非特許文献4)。また、アトピー性皮膚炎が、I型アレルギー反応、すなわち抗原特異的IgE抗体により引き起こされる反応であるのに対し、扁平苔癬においては、特異的抗原は存在せず、両者は異質の疾患である。 扁平苔癬の治療方法としては、対症的治療が主であり、痒感に対する治療により増悪を予防し、抗炎症製剤で炎症の軽減や消長が行われている。具体的には、副腎皮質ホルモン、抗ヒスタミン剤、放射線照射、外科的治療等のほか、粘膜疹にはビタミンA口内錠、局所麻酔剤の塗布などが行われている。しかしながら、斯かる薬剤には抵抗性を示すことも多く、優れた治療効果を有し、副作用の少ない、扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤の開発が医療の立場から望まれている。 (±)−[2−{4−(3−エトキシ−2−ハイドロキシプロポキシ)フェニルカルバモイル}エチル]ジメチルスルホニウム p−トルエンスルホネート(以下、「トシル酸スプラタスト」と称す)は、優れたIgE抗体産生抑制作用を有し、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の治療薬として公知であり(例えば、特許文献1参照)、排尿障害治療剤、腎透析に伴う掻痒治療薬、C型又は非B非C型肝炎ウイルスによる肝機能異常改善剤として有用であること(例えば、特許文献2〜4参照)、更には化学物質過敏症に対して有効であることも知られている(特許文献5参照)。 しかしながら、トシル酸スプラタストが、扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤として優れた効果を有することは全く知られていない。特公平3−70698号公報国際特許公開第00/27383号パンフレット特開平11−315019号公報特開2002−114672号公報特開2004−292407号公報医科学大事典(講談社)43, p.179〜181皮膚科 専門医に聞く最新の臨床(中外医学社)p.24〜25Arch. Environ. Health 54, p.147-149, 1999STEP皮膚科(海馬書房) p.32 本発明は、優れた扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤を提供することを目的とする。 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、トシル酸スプラタストが扁平苔癬の予防及び/又は治療に対して有用であり、しかも副作用が殆どないことを見出した。 すなわち本発明は、下記式(1):で表される(±)−[2−{4−(3−エトキシ−2−ハイドロキシプロポキシ)フェニルカルバモイル}エチル]ジメチルスルホニウム p−トルエンスルホネートを有効成分とする扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤に関する。 本発明の扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤は、優れた臨床効果を有し、しかも長期投与により扁平苔癬発現の予防効果も示し、かつ副作用が殆どない。 本発明で用いられるトシル酸スプラタストは、公知の方法、例えば、特公平3−70698号公報に記載の方法によって製造することができる。具体的には、(±)−[2−[4−(3−エトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルカルバモイル]エチル]メチルスルフィドとp−トルエンスルホン酸メチルとを反応させる方法等が挙げられる。 後記実施例に示すように、トシル酸スプラタストは、扁平苔癬に対して優れた臨床効果を発揮する。すなわち、グルセオフルビン等の抗真菌薬、デキサメタゾン、フランカルボン酸モメタゾン等のステロイド剤に対して効果のなかった症例について、紅斑、褐色調紅斑、褐色調色素斑等の軽快、掻痒の消失、上皮化の促進等の顕著な治療効果を示す。また、長期投与しても副作用は殆どみられない。従って、トシル酸スプラタストは、扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤として有用である。 本発明の扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤の投与形態は、特に限定されず、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、液剤、丸剤、乳剤、懸濁剤等の経口剤、注射剤、座剤、軟膏剤、硬膏剤、貼付剤等の非経口剤のいずれでもよく、それぞれ当業者に公知慣用の製造方法により製造できる。 経口用固形製剤を調製する場合には、本発明の有効成分に賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤等を製造することができる。賦形剤としては、例えば乳糖、マンニトール、蔗糖、澱粉、タルク、ステアリン酸マグネシウム、結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、グリセリン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム等が、結合剤としてはポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、アラビアゴム、シェラック、白糖等が、崩壊剤としては乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が、滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、タルク等が、矯味剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が使用できる。その他、着色剤、矯臭剤等は公知のものを用いることができる。なお、錠剤とする場合は周知の方法によりコーティングしてもよい。 経口用液体製剤を調製する場合には、本発明の有効成分に矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することもできる。この場合、矯味剤としては上記のものが、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。 注射剤を調製する場合は、本発明の有効成分にpH調整剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により静脈内、筋肉内、皮下、皮内又は腹腔内用注射剤を製造できる。pH調整剤及び緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはピロ亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、チオグリコール酸、チオ乳酸等が使用できる。等張化剤としては塩化ナトリウム、ブドウ糖等が、局所麻酔剤としては塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。 坐剤を調製する場合は、本発明の有効成分に通常使用される基剤、更に必要に応じて界面活性剤等を加えた後、常法により製造することができる。基剤としては、例えばマクロゴール、ラノリン、カカオ油、脂肪酸トリグリセライド、ウィテップゾール(ダイナマイトノーベル社製)等の油性基剤を用いることができる。 軟膏剤を調製する場合は、本発明の有効成分に通常使用される基剤、安定化剤、湿潤剤、保存剤等が必要に応じて配合され、常法により混合、製造化される。基剤としては流動パラフィン、白色ワセリン、サラシミツロウ、オクチルドデシルアルコール、パラフィン等が、保存剤としてはパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等が挙げられる。 貼付剤を製造する場合は、通常の支持体に前記軟膏、クリーム、ゲル、ペースト等を常法により塗布すればよい。支持体としては綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布や軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン等のフィルム或いは発砲体シートが挙げられる。 上記の各投与単位形態中に配合されるべきトシル酸スプラタストの量は、扁平苔癬の症状により或いはその剤型等により一定ではないが、一般に投与単位形態あたり経口剤では5−1000mg、注射剤及び経皮投与剤では0.1−500mg、坐剤では5−1000mgとするのが望ましい。また、上記投与形態を有する薬剤の投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別、その他の条件等に応じて適宜選択されるが、通常成人1回あたり経口剤では5−1000mg、注射剤及び経皮投与剤では0.1−1000mg、坐剤では5−1000mgの範囲で、それぞれ1日1回から数回投与するのが好ましい。 本発明の扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤は、1)扁平苔癬に対する予防・治療効果の補完及び/又は増強、2)トシル酸スプラタストの動態・吸収改善、投与量の低減、3)副作用の軽減、等のために放射線照射、外科的治療と組み合わせて投与してもよく、他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。 本発明の扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤と他の薬剤の併用は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。別々の製剤にして投与する場合には、同時投与及び時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、トシル酸スプラタストを先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、トシル酸スプラタストを後に投与してもかまわず、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。 上記併用により、トシル酸スプラタストの扁平苔癬に対する予防及び/又は治療効果の補完及び/又は増強せしめる他の薬剤としては、例えば、副腎皮質ホルモン、抗真菌剤、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、ビタミンA製剤、局所麻酔剤が挙げられる。以下にこれらの具体例を示すが、これらに限定されるものではなく、同様のメカニズムを持つ既存の薬剤の他、今後見出される同種の薬剤も使用できる。 抗真菌剤:例えば、アムホテリシンB、ナイスタチン、フルシトシン、ミコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、塩酸テルビナフィン、ミカファンギンナトリウム、グルセオフルビン等が挙げられる。 ステロイド剤:例えば、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、ピパル酸フルタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、吉草酸デキサメタゾン、プロピオン酸デキサメタゾン、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、酪酸クロベタゾン、フルドロキシコルチド、フルオシノニドハルシノニド、アムシノニド、ジフルプレドナート、吉草酸ジフルコルトロン、酢酸ジフロラゾン、プロピオン酸クロベタゾール、フランカルボン酸モメタゾン等が挙げられる。 抗ヒスタミン剤:例えば、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェニルピラリン、テオクル酸ジフェニルピラリン、フマル酸クレマスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸トリプロリジン、酒石酸アリメマジン、塩酸プロメタジン、塩酸ホモクロルシクリジン、ヒドロキシジン、塩酸シプロヘプタジン、フマル酸ケトチフェン、塩酸アゼラスチン、オキサトミド、メキタジン、塩酸フェキソフェナジン、フマル酸エメダスチン、塩酸エピナスチン、エバスチン、塩酸セチリジン、ベシル酸ベポタスチン、塩酸レボカバスチン、塩酸オロパタジン、ロタラジン等が挙げられる。 ビタミンA製剤:例えば、パルミチン酸レチノール等が挙げられる。 局所麻酔剤:例えば、塩酸ロピバカイン水和物、リドカイン、塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、塩酸プロピトカイン、塩酸ブピバカイン、塩酸メピバカイン、塩酸ジブカイン、塩酸ジブカイン・塩酸パラブチルアミノ安息香酸時エチルアミノエチル、塩酸テトラカイン、塩酸オキシブプロカイン等が挙げられる。非ステロイド系抗炎症薬としては、例えば、サリチル酸ナトリウム、アスピリン(アセチルサリチル酸)、サリチルアミド、フルフェナム酸アルミニウム、メフェナム酸、トルフェナム酸、ジクロフェナクナトリウム、スリンダク、フェンブフェン、アンフェナクナトリウム、インドメタシン、インドメタシン ファルネシル、マレイン酸プログルメタシン、アセメタシン、ナブメトン、エトドラク、モフェゾラク、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェン アキセチル、オキサプロジン、フェノプロフェンカルシウム、チアプロフェン酸、ナプロキセン、プラノプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、アルミノプロフェン、ザルトプロフェン、ブコローム、ピロキシカム、アンピロキシカム、テノキシカム、メロキシカム、ロルノキシカム、エピリゾール(メピリゾール)、塩酸チアラミド、エモルファゾン等が挙げられる。 トシル酸スプラタストと上記他の薬剤の重量比は特に限定されず、また他の薬剤は、任意の2種以上を組み合わせて用いてもよい。 次に製剤例及び試験例を示して本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。製剤例1 錠剤製剤例2 カプセル剤製剤例3 顆粒剤製剤例4 細粒剤製剤例5 シロップ剤製剤例6 注射剤製剤例7 坐剤実施例1 症例1 患者:65歳男性 病歴;初診2年前より下口唇の皮疹出現し、扁平苔癬と診断された。デキサルチン軟膏(デキサメタゾン:日本化薬)外用、チョコラA(ビタミンA:エーザイ)内服投与したが軽快しなかった。 症状;初診時、下口唇中央半分に白色調角化落屑及び発赤がみられ、中央部はびらん化していた。口腔内両頬粘膜は軽度スレート状の色調であった。 治療;乾燥すると疼痛があったため、グリソビンFP(グルセオフルビン:三共)375mg/日の内服、デキサルチン軟膏外用としたところ、1〜2週間で自覚症状は軽快し、角化も軽減したが、その後もびらん及びヒリヒリ感を繰り返した。このため、グリソビンFP750mg/日に増量したところ、自覚症状の改善と皮疹の改善が見られたが、一進一退の状況であった。初診から3年2ヶ月経過後にグリソビンFP投与を中止し、アイピーディ(トシル酸スプラタスト:大鵬薬品)300mg/日に変更したところ、4日目には上皮化し、ピリピリした自覚症状も軽快した。3ヶ月服用しても再燃がないため、200mg/日に変更し、3ヶ月経過観察したが、略治状態のままであった。実施例2 症例2 患者:46歳男性 病歴;初診2年前より、自覚症状の無い皮疹が亀頭部にあることを自覚していた。初診時、老人性色素斑が疑われたため経過観察となっていた。その後、3年10ヶ月後に再診した。 症状;再診時、亀頭部に米粒大までの軽度角化症のわずかに隆起する紅斑が散在しており、扁平苔癬と診断した。 治療;再診時より、グリソビンFP(グルセオフルビン:三共)500mg/日を投与したところ、軽快傾向を示したが、消長を繰り返していた。8ヶ月経過後、グリソビンFP投与を中止し、アイピーディ(トシル酸スプラタスト:大鵬薬品)300mg/日に変更したところ、1ヶ月後の再診時には、紅斑軽快し、4ヶ月20日間投薬して経過観察したところ、再燃を認めないため治癒と判断した。なお、アイピーディ投与期間の併用薬はシナ−ル(ビタミンC:塩野義)3.0g/日のみであった。実施例3 症例3 患者:68歳女性 病歴;初診の数ヶ月前から下口唇が白色調となり扁平苔癬と診断された。 治療;アイピーディ(トシル酸スプラタスト:大鵬薬品)300mg/日で処方したところ、投与後10日目より軽快傾向出現し、2ヵ月後には略治の状態になった。実施例4 症例4 患者:54歳男性 病歴;初診の1ヶ月前に亀頭部の掻痒性斑に気付いた。 治療;初診時より、フルメタ軟膏(フランカルボン酸モメタゾン:塩野義)5g投与したが不変であった。1ヶ月後、アイピーディ(トシル酸スプラタスト:大鵬薬品)300mg/日14日分投与したところ、掻痒消失し紅斑軽快した。その後もアイピーディ300mg/日14日分、アイピーディ300mg/日21日分、アイピーディ300mg/日28日分と順次投与により治癒した。アイピーディ300mg/日内服開始1週間前後で、自覚症状(掻痒)消失、紅斑軽快し、以降、褐色調紅斑、褐色調色素斑も漸次軽快となった。 下記式(1):で表される(±)−[2−{4−(3−エトキシ−2−ハイドロキシプロポキシ)フェニルカルバモイル}エチル]ジメチルスルホニウム p−トルエンスルホネートを有効成分とする扁平苔癬の予防剤及び/又は治療剤。


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