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タイトル:特許公報(B2)_3−置換−4−ピリミドン誘導体
出願番号:2004560630
年次:2011
IPC分類:C07D 401/14,A61K 31/513,A61P 43/00,A61P 25/28


特許情報キャッシュ

臼井 義浩 奥山 昌弘 花野 篤志 JP 4616003 特許公報(B2) 20101029 2004560630 20031212 3−置換−4−ピリミドン誘導体 田辺三菱製薬株式会社 000002956 サノフィ−アベンティス 399050909 特許業務法人特許事務所サイクス 110000109 臼井 義浩 奥山 昌弘 花野 篤志 JP 2002383300 20021216 JP 2002383301 20021216 20110119 C07D 401/14 20060101AFI20101222BHJP A61K 31/513 20060101ALI20101222BHJP A61P 43/00 20060101ALI20101222BHJP A61P 25/28 20060101ALI20101222BHJP JPC07D401/14A61K31/513A61P43/00 111A61P25/28 C07D 401/00 A61K 31/33-33/44 A61P 1/00-43/00 CAplus/REGISTRY(STN) 特表2002−525366(JP,A) 国際公開第01/070729(WO,A1) 国際公開第01/070728(WO,A1) 国際公開第01/096308(WO,A1) 国際公開第98/042699(WO,A1) C.G.WERMUTH 編, 長瀬博 監訳,最新 創薬化学 上巻,株式会社 テクノミック,1998年,p.243 LEGRAVEREND,M. et al.,Synthesis and in vitro evaluation of novel 2,6,9-trisubstituted purines acting as cyclin-dependent kinase inhibitors,Bioorganic & Medicinal Chemistry,1999年,1999,Vol.7, No.7,p.1281-1293 7 JP2003015968 20031212 WO2004055007 20040701 2006510684 20060330 37 20061205 鳥居 福代 本発明は、神経変性疾患(例えばアルツハイマー病)などの、タウプロテインキナーゼ1の異常亢進に主に起因する疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用な化合物に関する。 アルツハイマー病は進行性の老年期痴呆であり、神経細胞の変性及び神経細胞数の減少による脳の萎縮が顕著に認められる。病理学的には、脳内に多数の老人斑と神経原線維変化が認められる。患者数は、老齢人口の増加と共に増大し、該疾患は深刻な社会問題を起こしている。この疾患の原因については諸説あるものの未だ不明であり、早期の解明が望まれている。 アルツハイマー病に特徴的な2つの病理変化の出現程度は、知的機能障害の程度とよく相関することが知られている。そこで、この2つの病理変化の構成成分に関する分子レベルの研究を通して、該疾患の病因を明らかにしようとする研究が1980年代前半より行われてきた。老人斑は細胞外に蓄積するもので、その主構成成分がアミロイドβ蛋白(本明細書において以下「Aβ」と略す)であることが解明されている(Biochem. Biophys. Res. Commun., 120, 885(1984); EMBO J., 4, 2757(1985); Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 4245(1985) )。また、もう1つの病理変化である神経原線維変化はペアード-ヘリカル-フィラメント(Paired Helical Filament:本明細書において以下「PHF」と略す)と呼ばれる二重螺旋状の線維状物質が細胞内に蓄積してくるものであり、その主構成成分は脳に特異的な微小管付随蛋白質の一種であるタウ蛋白質であることが明らかにされている(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 4506(1988); Neuron, 1, 827(1988) )。 さらに遺伝学的研究より、家族性アルツハイマー病の原因遺伝子としてプレセニリン1及び2が見つかり(Nature, 375, 754(1995); Science, 269, 973(1995); Nature. 376, 775(1995)) 、プレセニリン1及び2の変異体が存在するとAβの分泌が促進することが明らかとなった(Neuron, 17, 1005(1996); Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 94, 2025(1997)) 。これらの結果からアルツハイマー病は、何らかの原因でAβが異常に蓄積、凝集し、これがPHFの形成と連動して神経細胞の死を招くものと考えられている。また、虚血性脳血管障害に伴う神経細胞死の発生過程において、細胞外へのグルタミン酸流出、及びそれに応答するグルタミン酸受容体の活性化が重要な因子になると考えられる(最新医学, 49, 1506(1994))。 グルタミン酸受容体の一種であるAMPA 受容体を刺激するカイニン酸処置によってAβの前駆体であるアミロイド前駆体蛋白(amyloid precursor protein:本明細書において以下「APP」と略す)のmRNAが増加すること(Society for Neuroscience Abstracts, 17,1445(1991)) 、APPの代謝が亢進すること(The Journal of Neuroscience, 10,2400(1990)) が報告されており、Aβの蓄積が虚血性脳血管障害による細胞死に関与していることが強く示唆される。Aβが異常に蓄積、凝集する疾患としては、他にダウン症候群、孤発性脳アミロイドアンギオパチーによる脳出血、及びレビー小体病等を挙げることができる(神経進歩, 34, 343(1990); 蛋白質・核酸・酵素, 41, 1476(1996))。またPHF蓄積による神経原線維変化を示す疾患としては、進行性核上麻痺、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソン症候群、脳炎後パーキンソン症候群、拳闘家脳症、グアム・パーキンソン痴呆複合症及びレビー小体病等を挙げることができる(蛋白質・核酸・酵素, 36, 2(1991); 医学のあゆみ, 158, 511(1991); 蛋白質・核酸・酵素, 41, 1476(1996))。 タウ蛋白質は、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分子量48-65KDaに数本のバンドを形成する一群の近縁蛋白質であり、微小管の形成を促進する。アルツハイマー病脳のPHF中に組み込まれたタウ蛋白質は通常のタウ蛋白質に比べて異常にリン酸化されていることが証明されてきている(J. Biochem., 99, 1807(1986); Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83, 4913(1986))。この異常なリン酸化を触媒する酵素が単離され、タウプロテインキナーゼ1(本明細書において以下、「TPK1」と略す)と命名され、その理化学的性質が解明されている(生化学, 64, 308(1992); J. Biol. Chem., 267, 10897 (1992))。更に、TPK1の部分アミノ酸配列に基づいてラット大脳皮質cDNAライブラリーからラットTPK1のcDNAがクローニングされ、そのヌクレオチド配列が決定されると共にアミノ酸配列が推定された(特開平6-239893号公報)。その結果、このラットTPK1の1次構造がラットGSK-3β(グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β)として知られる酵素の1次構造と一致することが確認されている(FEBS Lett., 325, 167(1993))。 老人斑の主構成成分であるAβには神経毒性があることが報告されている(Science, 250, 279(1990) )。しかしながら、なぜAβが細胞を死に至らしめるのかについては諸説あり、統一された見解は得られていない。高島らはラット胎児の海馬初代培養系にAβを処理すると細胞死が起こることを確認した後、Aβ処理によりTPK1活性が増加すること、及びAβによる細胞死をTPK1のアンチセンスが阻止することを発見した(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 7789(1993); 特開平6-329551号公報)。 以上のことから、TPK1活性を阻害する化合物は、Aβの神経毒性及びPHFの形成を抑え、アルツハイマー病における神経細胞死を阻止し、病気の進行を阻止あるいは遅らせることができる可能性がある。また、TPK1活性を阻害する化合物は同様にAβの細胞毒性を抑えることにより、脳血管障害(例えば虚血性の加齢性黄斑変性症)、ダウン症候群、脳アミロイドアンギオパチーによる脳出血、パーキンソン症候群、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソン症候群、脳炎後パーキンソン症候群、拳闘家脳症、グアム・パーキンソン痴呆複合症、レビー小体病、タウオパチー(例えば、ピック病、皮質底部変性症、前頭側頭性痴呆、進行性核上麻痺など)、及び血管性痴呆を含むその他の痴呆;急性その他の外傷性損傷、脳及び脊髄損傷、末梢性ニューロパシー、網膜症、及び緑内障などの神経変性疾患、ならびにインスリン非依存性糖尿病(例えばII型糖尿病)、肥満症、躁鬱病、統合失調症、脱毛症、乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、T又はB細胞白血病、及びウイルス誘導性腫瘍などの癌のような他の疾患の予防及び/又は治療のための医薬として用いることができる可能性がある。 後に記載する式(I)で表される本発明の化合物と構造的に類似する化合物として、以下の式(A):(式中、Rは2,6−ジクロロベンジル基、2−(2−クロロフェニル)エチルアミノ基、3−フェニルプロピルアミノ基、又は1−メチル−3−フェニルプロピルアミノ基を表す(国際公開WO98/24782号公報))で表される化合物が知られている。式(A)で表される化合物は、ピリミジン環の5位に4−フルオロフェニル基を有することを特徴としており、本発明の範囲に包含されない。さらに、式(A)で表される化合物の主たる薬理活性は抗炎症作用であるが、式(I)で表される本発明の化合物はTPK1阻害剤又は神経変性疾患の治療薬として有用であり、従って、それらの薬理活性は互いに全く異なっている。国際公開WO 00/18758号公報国際公開WO 01/70728号公報国際公開WO 01/70729号公報 本発明の課題は、アルツハイマー病などの予防及び/又は治療に有用な医薬の有効成分として有用な化合物を提供することにある。より詳細には、本発明の課題は、TPK1活性を阻害することによりAβの神経毒性及びPHFの形成を抑え、また神経細胞死を阻止することにより、アルツハイマー病などの神経変性疾患に対して根本的な予防及び/又は治療を可能にする医薬の有効成分として有用な新規化合物を提供することにある。 本発明者らは上記課題を解決すべく、TPK1のリン酸化能に対する阻害作用を有する各種化合物をスクリーニングした。その結果、下記式(I)で表される化合物が所望の作用を有しており、上記の疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用であることを見出した。本発明はこれらの知見を基にして完成されたものである。 すなわち本発明は、式(I)で表される3−置換−4−ピリミドン誘導体若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物若しくはそれらの水和物を提供するものである。式中、XはCH又は窒素原子を示し;R1は、置換されていてもよいC1〜C12のアルキル基を示し;R2は、置換されていてもよいC1〜C8のアルキル基、置換されていてもよいベンゼン環、置換されていてもよいナフタレン環、置換されていてもよいインダン環、置換されていてもよいテトラヒドロナフタレン環、又は酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から成る群から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有し、かつ全部で5〜10個の環構成原子を有する、置換されていることもあるヘテロ環を示す。 本発明の別の観点からは、式(I)で表わされる3−置換−4−ピリミドン誘導体及びその生理学的に許容される塩、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物からなる群より選ばれる物質を有効成分として含む医薬が提供される。本医薬の好ましい態様としては、タウプロテインキナーゼ1の機能亢進に起因する疾患の予防及び/又は治療に用いられる前記の医薬及び神経変性疾患の予防及び/又は治療のために用いられる前記の医薬が提供される。本発明のさらに好ましい態様としては、該疾患が、アルツハイマー病、脳血管障害(例えば虚血性の加齢性黄斑変性症)、ダウン症候群、脳アミロイドアンギオパチーによる脳出血、パーキンソン症候群、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソン症候群、脳炎後パーキンソン症候群、拳闘家脳症、グアム・パーキンソン痴呆複合症、レビー小体病、タウオパチー(例えば、ピック病、皮質底部変性症、前頭側頭性痴呆、進行性核上麻痺など)、及び血管性痴呆を含むその他の痴呆;急性その他の外傷性損傷、脳及び脊髄損傷、末梢性ニューロパシー、網膜症、及び緑内障、並びにインスリン非依存性糖尿病(例えばII型糖尿病)、肥満症、躁鬱病、統合失調症、脱毛症、乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、T又はB細胞白血病、及び種々のウイルス誘導性腫瘍などの癌のようなその他の疾患から成る群から選ばれる前記の医薬;及び活性成分としての上記の物質を1以上の製剤用添加物と共に含む医薬組成物の形態の前記の医薬が提供される。本発明はさらに、式(I)の3−置換−4−ピリミドン誘導体及びその塩、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物からなる群より選ばれる物質を有効成分として含む選ばれるタウプロテインキナーゼ1の阻害剤を提供するものである。 本発明のさらに別の観点によれば、タウプロテインキナーゼ1の機能亢進に起因する疾患の予防及び/又は治療方法であって、式(I)の3−置換−4−ピリミドン誘導体及び生理学的に許容されるその塩、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物からなる群より選ばれる物質の予防及び/又は治療有効量を患者に投与する工程を含む方法;及び、上記医薬の製造のための式(I)の3−置換−4−ピリミドン誘導体及び生理学的に許容されるその塩、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物からなる群から選ばれる物質の使用が提供される。 本発明の化合物はTPK1阻害活性を有しており、神経変性疾患(例えばアルツハイマー病)や上記の疾患等のTPK1の異常昂進に起因する疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用である。本発明に用いられるアルキル基は直鎖状又は分枝鎖状のいずれでもよい。R1で表されるC1〜C12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、直鎖状又は分枝鎖状のヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、又はドデシル基を挙げることができる。本明細書において、官能基が、「置換されてもよい」又は「置換されることもある」と定義されている場合、置換基の数、ならびにその種類、置換位は限定されず、2又は3以上の置換基が存在する場合、それらは同じであっても異なっていてもよい。 R1で示されるC1〜C12のアルキル基が、1又は2以上の置換基を有する場合、該アルキル基は、ハロゲン原子;シアノ基;水酸基;ニトロ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基などのC1〜C5アルコキシ基;アミノ基;C1〜C3のアルキルアミノ基又はC2〜C6のジアルキルアミノ基;フェニル基、1−ナフチル基、及び2−ナフチル基などのC6〜C10のアリール基から成る群から選ばれる1又は2以上の置換基を有していてもよい。 R2で示されるC1〜C8のアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、又は直鎖状若しくは分枝鎖状のヘプチル基又はオクチル基であればよい。 R2で示されるC1〜C8のアルキル基が、1又は2以上の置換基を有する場合、該アルキル基は、ハロゲン原子、C1〜C6アルコキシ基、C3〜C8シクロアルコキシ基、置換されていてもよいベンゼン環、置換されていてもよいナフタレン環、置換されていてもよいフェノキシ基、置換されていてもよいフェニルアミノ基から成る群から選ばれる1又は2以上の置換基を有していてもよい。上述のベンゼン環、ナフタレン環、フェノキシ基、フェニルアミノ基がR2で示されるC1〜C8のアルキル基の置換基である場合、これらの環又は基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基などのC1〜C5のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC3〜C6のシクロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチロキシ基、イソペンチロキシ基などのC1〜C5のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、及びペンチルチオ基などのC1〜C5のアルキルチオ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子などのハロゲン原子;トリフルオロメチル基などのC1〜C5のハロゲン化アルキル基;水酸基;シアノ基;アミノ基から成る群から選ばれる1又は2以上の置換基を有していてもよい。 R2で示されるベンゼン環、ナフタレン環、インダン環、テトラヒドロナフタレン環、又はヘテロ環が1又は2以上の置換基を有する場合、該環はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基などのC1〜C5のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC3〜C6のシクロアルキル基;シクロプロピロキシ基、シクロブチロキシ基、シクロペンチロキシ基、シクロヘキシロキシ基などのC3〜C6のシクロアルキロキシ基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチロキシ基、イソペンチロキシ基などのC1〜C5のアルコキシ基;シクロプロピルメトキシ基、シクロペンチルメトキシ基などのC4〜C7のシクロアルキルアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、及びペンチルチオ基などのC1〜C5のアルキルチオ基;メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、及びペンタンスルホニル基などのC1〜C5のアルキルスルホニル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子などのハロゲン原子;トリフルオロメチル基などのC1〜C5のハロゲン化アルキル基;トリフルオロメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基などのC1〜C5のハロゲン化アルコキシ基;シアノ基;ニトロ基;ホルミル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、及びバレリル基などのC2〜C6のアルキルカルボニル基;ベンゼン環、ナフタレン環、フェノキシ基又はフェニルアミノ基;アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、及びイソペンチルアミノ基などのC1〜C5のモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、及びジイソプロピルアミノ基などのC2〜C10のジアルキルアミノ基;メチルアミノメチル基、エチルアミノメチル基、プロピルアミノメチル基、イソプロピルアミノメチル基、ブチルアミノメチル基、イソブチルアミノメチル基、tert−ブチルアミノメチル基、ペンチルアミノメチル基、イソペンチルアミノメチル基などのC2〜C10のモノアルキルアミノメチル基;ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、エチルメチルアミノメチル基、メチルプロピルアミノメチル基などのC3〜C11のジアルキルアミノメチル基;ピロリジニルメチル基;ピペリジニルメチル基;モルホリノメチル基;ピペラジニルメチル基;ピロリルメチル基;イミダゾリルメチル基;ピラゾリルメチル基;トリアゾリルメチル基;及びピロリジニルカルボニル基から成る群から選ばれる1又は2以上の置換基を有していてもよい。上述のチ喚基はさらに、好ましくは上記に例示した基から選ばれる1又は2以上の他の置換基で置換されていてもよい。 R2で示される酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から成る群から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を有し、かつ全部で5〜10個の環構成原子を有するヘテロ環は例えば、フラン環、ジヒドロフラン環、テトラヒドロフラン環、ピラン環、ジヒドロピラン環、テトラヒドロピラン環、ベンゾフラン環、ジヒドロベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、クロメン環、クロマン環、イソクロマン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、チアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリジンオキシド環、ピペリジン環、ピラジン環、ピペラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドール環、インドリン環、イソインドール環、イソインドリン環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾイソキサゾール環、1H−インダゾール環、テトラヒドロイソキノリン環、ベンゾチアゾリノン環、ベンゾキサゾリノン環、プリン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、プテリジン環、オキサゾール環、オキサゾリジン環、イソキサゾール環、イソキサゾリジン環、オキサジアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、チアジリジン環、イソチアゾール環、イソチアゾリジン環、ベンゾジオキソール環、ジオキサン環、ベンゾジオキサン環、ジチアン環、モルホリン環、チオモルホリン環及びフタルイミド環であればよい。 R1は好ましくはC1〜C3のアルキル基であればよく、より好ましくはメチル基であればよい。 R2は好ましくは置換されていてもよいベンゼン環、置換されていてもよいチオフェン環、置換されていてもよいベンゾイソキサゾール環、置換されていてもよいベンジル基、又は置換されていてもよいフェノキシメチル基であればよい。 前記の式(I)で表される化合物は塩を形成する場合がある。塩の例としては、酸性基が存在する場合には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属塩;アンモニア、及びメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、エタノールアミン、N-メチルグルカミン、L-グルカミン等のアミンの塩;又はリジン、δ-ヒドロキシリジン、及びアルギニンなどの塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。塩基性基が存在する場合には、例として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸との塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、乳酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、サリチル酸等の有機酸との塩;又はアスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸との塩が挙げられる。 本発明の範囲には、前記式(I)で表される3−置換−4−ピリミドン誘導体及びその塩に加えて、それらの溶媒和物及び水和物も包含される。また、前記式(I)で表される3−置換−4−ピリミドン誘導体は1個又は2個以上の不斉炭素を有する場合があるが、不斉炭素の立体化学についてはそれぞれ独立して(R)体又は(S)体のいずれかをとることができる。また、該ピリミドン誘導体は光学異性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体として存在することがある。純粋な形態の任意の立体異性体、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などは、いずれも本発明の範囲に包含される。 本発明の好適な化合物の例を以下の表1に示すが、本発明の範囲は次の化合物に限定されない。 式(I)で表わされる本発明の化合物の特に好適な例として、A001: 2−(5−フェニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A020: 2−[5−(2−メトキシフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A022: 2−[5−(4−メトキシフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A008: 2−[5−(2−ブロモフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A002: 2−[5−(2−フルオロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A004: 2−[5−(4−フルオロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A012: 2−[5−(2,4−ジフルオロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A005: 2−[5−(2−クロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A007: 2−[5−(4−クロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A017: 2−[5−(2,4−ジクロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A026: 2−[5−(2,6−ジメトキシフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A027: 2−[5−(2−トリフルオロメチルフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A049: 2−[5−(ベンゾイソキサゾール−3−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A050: 2−(5−ベンジル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A033: 2−(5−ビフェニル−2−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A043: 2−(5−チオフェン−3−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A044: 2−(5−チオフェン−2−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A056: 2−[5−(4−フルオロフェノキシメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;A057: 2−[5−(4−ピロリジニルカルボニルフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B001: 2−(5−フェニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B020: 2−[5−(2−メトキシフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B022: 2−[5−(4−メトキシフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B008: 2−[5−(2−ブロモフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B002: 2−[5−(2−フルオロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B004: 2−[5−(4−フルオロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B012: 2−[5−(2,4−ジフルオロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B005: 2−[5−(2−クロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B007: 2−[5−(4−クロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B017: 2−[5−(2,4−ジクロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B026: 2−[5−(2,6−ジメトキシフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B027: 2−[5−(2−トリフルオロメチルフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B049: 2−[5−(ベンゾイソキサゾール−3−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B050: 2−(5−ベンジル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B033: 2−(5−ビフェニル−2−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B043: 2−(5−チオフェン−3−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B044: 2−(5−チオフェン−2−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;B056: 2−[5−(4−フルオロフェノキシメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン; 及びB057: 2−[5−(4−ピロリジニルカルボニルフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オンが挙げられる。上記好ましい化合物の塩、又は上記好ましい化合物及びその塩の溶媒和物若しくは水和物もまた好ましい。 前記式(I)で表される3−置換−4−ピリミドン化合物は、例えば、下記に説明する方法に従って製造することができる。(上記スキームにおいて、R1及びR2の定義は上記と同義である。) 上記式(XI)で表される2−メルカプトピリミドンは、EP354,179号に記載の方法の改良法によって容易に製造される。反応は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセ−7−エンなどの塩基の存在下、窒素又はアルゴン雰囲気下又は通常の空気中、0℃〜200℃の範囲の好適な温度で、1〜100時間行って、目的化合物(XI)を得る。反応の溶媒の例としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール性溶媒;ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒、水などが挙げられる。通常は、用いる塩基に適した単独の溶媒もしくは2種類以上の溶媒の混合物を使用すればよい。 次に、2−メルカプトピリミドン誘導体(XI)を2−クロロピリミドン(XII)に塩素化剤によって転換する。反応時間及び温度は用いる塩素化剤による。本反応に用いる塩素化剤としては例えば塩化チオニル、塩化チオニルとジメチルホルムアミド、オキシ塩化リン、オキシ塩化リンとジメチルホルムアミド、塩化オキサリル、オキシ塩化リンとジメチルホルムアミド、及びペンタ塩化リンなどが挙げられる。 次に、塩化物誘導体(XII)をアミン(III)若しくはその塩に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、及び1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセ−7−エンなどの塩基の存在下、窒素又はアルゴン雰囲気下又は通常の空気中、0℃〜200℃の範囲の好適な温度で、1〜100時間行って、目的化合物(I)を得る。 反応の溶媒の例としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール性溶媒;ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒、水などが挙げられる。通常は、用いる塩基に適した単独の溶媒もしくは2種類以上の溶媒の混合物を使用すればよい。 本発明の化合物はTPK1に対する阻害活性を有しており、アルツハイマー病などの神経変性疾患においてTPK1活性を阻害することにより、Aβの神経毒性及びPHFの形成を抑え、神経細胞死を阻止する。従って、本発明の化合物は、アルツハイマー病の予防及び/又は治療を根本的に可能にする医薬の有効成分として有用である。また、本発明の化合物は、脳血管障害(例えば虚血性の加齢性黄斑変性症)、ダウン症候群、孤発性脳アミロイドアンギオパチーによる脳出血、パーキンソン症候群、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソン症候群、脳炎後パーキンソン症候群、拳闘家脳症、グアム・パーキンソン痴呆複合症、レビー小体病、タウオパチー(例えば、ピック病、皮質底部変性症、前頭側頭性痴呆、進行性核上麻痺など)、及び血管性痴呆を含むその他の痴呆;急性その他の外傷性損傷、脳及び脊髄損傷、末梢性ニューロパシー、網膜症、及び緑内障、並びにインスリン非依存性糖尿病(例えばII型糖尿病)、肥満症、躁鬱病、統合失調症、脱毛症、乳癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、T又はB細胞白血病、及び種々のウイルス誘導性腫瘍などの癌のようなその他の疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として有用である。 本発明の医薬の有効成分としては、前記式(I)で表される化合物及び生理学的に許容されるその塩、並びにそれらの溶媒和物及びそれらの水和物からなる群より選ばれる物質を用いることができる。本発明の医薬としては、該物質自体を投与してもよいが、有効成分として前記の物質と1又は2以上の製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態の医薬を投与することが望ましい。本発明の医薬の有効成分としては、上記の物質の2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記医薬組成物には、アルツハイマー病などの治療のための他の医薬の有効成分を配合することも可能である。 医薬組成物の種類は特に限定されず、経口又は非経口投与用の任意の製剤形態として提供される。例えば、医薬組成物は、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、液剤等の経口投与用医薬組成物の形態として、又は、静脈内投与用、筋肉内投与用、若しくは皮下投与用の注射剤、点滴剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、点鼻剤、吸入剤、坐剤等の非経口投与用医薬組成物の形態として調製することができる。注射剤や点滴剤は、凍結乾燥形態などの粉末状の製剤として調製し、使用直前に生理食塩水などの適宜の水性媒体に溶解して用いることもできる。また、高分子で被覆したものなどの徐放製剤を脳内に直接投与することも可能である。 医薬組成物の製造に用いられる製剤用添加物の種類、有効成分に対する製剤用添加物の含量比、及び医薬組成物の製造方法は、当業者が適宜選択することが可能である。製剤用添加物としては無機又は有機物質、あるいは固体又は液体の物質を用いることができる。一般的には、製剤用添加物は有効成分質量に対して1質量%から90質量%の範囲の割合で配合することができる。 固体の医薬組成物の製造に用いられる賦形剤の例としては、例えば、乳糖、蔗糖、デンプン、タルク、セルロース、デキストリン、カオリン、炭酸カルシウム等が挙げられる。経口投与のための液体組成物の製造には、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば水又は植物油等を用いることができる。この液体組成物には、不活性な希釈剤以外に、補助剤、例えば湿潤剤、懸濁補助剤、甘味剤、芳香剤、着色剤又は保存剤等などを配合してもよい。液体組成物をゼラチンのような吸収されうる物質のカプセル中に充填してもよい。非経口投与用の組成物、例えば注射剤や坐剤の製造に用いられる溶剤又は懸濁剤の例としては、水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、オレイン酸エチル、レシチン等が挙げられる。坐剤に用いられる基剤の例としては、例えばカカオ脂、乳化カカオ脂、ラウリン脂、ウィテップゾールが挙げられる。 本発明の医薬の投与量及び投与回数は特に限定されず、予防及び/又は治療の目的、疾患の種類、患者の体重や年齢、疾患の重篤度などの条件に応じて、適宜選択することが可能である。一般的には、経口投与における成人一日あたりの投与量は0.01〜1000mg(有効成分質量)程度であり、一日1回又は数回に分けて、あるいは数日ごとに投与することができる。該医薬を注射剤として用いる場合には、成人に対して一日量0.001〜100mg(有効成分質量)を連続投与又は間欠投与することが望ましい。 本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。実施例中の化合物番号は、上記の表中の化合物番号に対応している。(参考例1) 2−メルカプト−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オンの合成 3−オキソ−3−(4−ピリジル)プロピオン酸エチル(29.0g、150mmol)、N−メチルチオ尿素(40.6g、450mmol)及び1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(22.4ml、150mmol)の溶液を4時間還流し、メタンスルホン酸(14.4g、150mmol)の水溶液(50ml)を氷水で冷却した後添加した。沈殿物を水にて洗浄し、ろ過し、乾燥して標題の化合物を得た(23.7g、72%)。1H-NMR (DMSO-d6)δ: 3.58(s, 3H), 6.40(s, 1H), 7.72(dd, J=1.8, 4.5Hz, 2H), 8.73(dd, J=1.5, 4.8Hz, 2H), 12.92(brd, 1H)(参考例2) 2−クロロ−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オンの合成 オキシ塩化リン(26.11g、170mmol)をジメチルホルムアミド(180ml)に添加し、20分間攪拌した。2−メルカプト−3−メチル−6−(4−ピリジル)−ピリミジン−4−オン(24.15g、110mmol)を該溶液に添加し、5分間攪拌し、その後70℃にて2時間攪拌した。酢酸エチル(630ml)を氷冷した溶液に添加し、20分間攪拌した後、沈殿物をろ過で集めた。乾燥後、沈殿物を水(400ml)に溶解しpHを水酸化ナトリウム水溶液で10に調整した。沈殿物を水にて洗浄し、ろ過し、乾燥して標題の化合物を得た(18.82g、77%)。1H-NMR (CDCl3)δ: 3.72(s, 3H), 6.90(s, 1H), 7.78(dd, J=1.7, 4.5Hz, 2H), 8.75(dd, J=1.6, 4.5Hz, 2H)(参考例3) 2−メルカプト−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オンの合成 3−オキソ−3−(4−ピリミジル)プロピオン酸エチル(34.1g、176mmol)、N−メチルチオ尿素(47.5g、527mmol)及び1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(26.3ml、176mmol)のエタノール(340ml)溶液を2時間還流し、メタンスルホン酸(16.9g、176mmol)の水溶液(70ml)を氷水で冷却した後添加した。沈殿物を水にて洗浄し、ろ過し、乾燥して標題の化合物を得た(30.2g、78%)。1H-NMR (DMSO-d6)δ: 3.56(s, 3H), 6.88(s, 1H), 8.24(dd, J=1.2, 5.4Hz, 1H), 9.05(d, J=5.4Hz, 1H), 9.38(s, 1H), 11.94(s, 1H).MS[M-H]-: 219(参考例4) 2−クロロ−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オンの合成 オキシ塩化リン(4.60g、30mmol)をジメチルホルムアミド(32ml)に添加し、0℃で20分間攪拌した。2−メルカプト−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−ピリミジン−4−オン(4.40g、20mmol)を該溶液に添加し、5分間攪拌し、70℃にて1時間攪拌した。反応混合物を氷水に注ぎ、固体K2CO3によって中和し、酢酸エチルにて抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、真空下で溶媒留去した。残渣の精製をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)によって行い、標題の化合物を得た(1.20g、27%)。1H-NMR (CDCl3)δ: 3.74(s, 3H), 7.56(s, 1H), 8.18 (d, J=5.1, 1H), 8.92 (d, J=5.1Hz, 1H), 9.30(s, 1H).MS[M+H]+: 223(実施例1)2−[5−(2−クロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン:{3−メチル−2−[5−(2−クロロフェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル]−6−ピリジン−4−イルピリミジン−4(3H)−オン}(表1の化合物番号A005)の合成 2−クロロフェニルボロン酸(5.0g)、3−ブロモピリジン(4.8g)及びテトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)(1.0g)のトルエン(47ml)、2M炭酸ナトリウム水溶液(35ml)及びエタノール(2.4ml)中の混合物を5.5時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、トルエン層を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し有機抽出層を合わせて乾燥させ(MgSO4)、ろ過した。ろ液を減圧留去して粗3−(2−クロロフェニル)ピリジン(7.9g)を得た。3−(2−クロロフェニル)ピリジン(7.9g)のジクロロメタン(50ml)溶液にヨードメタン(3.8ml)を加え、混合物を15時間攪拌した。溶媒を減圧留去し得られた残渣を酢酸エチルで結晶化して淡黄色の結晶を得た。得られた結晶のメタノール(60ml)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(1.7g)を氷冷下で加え、混合物を室温下で3時間攪拌した。混合物は飽和塩化ナトリウム水溶液でクエンチした。混合物は酢酸エチルで抽出した。抽出物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して粗5−(2−クロロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−1−メチルピリジン(5.9g)を得た。 5−(2−クロロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−1−メチルピリジン(5.9g)のジクロロメタン(60ml)溶液にクロロギ酸1−クロロエチル(5.1ml)を加え、混合物を2.5時間攪拌した。混合物を水、その後飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して茶色油状物を得た。得られた油状物のメタノール溶液を2時間還流した。溶媒を減圧留去して得られた残渣を酢酸エチルで結晶化して5−(2−クロロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン塩酸塩(2.4g)を得た。5−(2−クロロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン塩酸塩(156mg)、2−クロロ−1,6−ジヒドロ−1−メチル−6−オキソ−4−(ピリジン−4−イル)ピリミジン(150mg)及びトリエチルアミン(236μl)のジメチルホルムアミド(3ml)溶液を室温で6時間攪拌した。反応混合物に水(3ml)を加え、析出した結晶をろ過で集め標題の化合物を白色結晶で得た(240mg)。1H-NMR (CDCl3) δ: 2.56(m, 2H), 3.53(m, 2H), 3.55(s, 3H), 4.10(s, 2H), 5.88(m, 1H), 6.65(s, 1H), 7.20-7.27(m, 3H), 7.39(m, 1H), 7.83(d, J = 5.2 Hz, 2H), 8.67(d, J = 5.2 Hz, 2H)MS: 378(M+)(実施例2)2−[5−(2,6−ジメトキシフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン:{3−メチル−2−[5−(2,6−ジメトキシフェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル]−6−ピリジン−4−イルピリミジン−4(3H)−オン}(表1の化合物番号A026)の合成 5−(2,6−ジメトキシフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン塩酸塩を2,6−ジメトキシフェニルボロン酸から実施例1と同様に調製した。5−(2,6−ジメトキシフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン塩酸塩(173mg)、2−クロロ−1,6−ジヒドロ−1−メチル−6−オキソ−4−(ピリジン−4−イル)ピリミジン(150mg)及びトリエチルアミン(236μl)のジメチルホルムアミド(5ml)溶液を室温で2時間攪拌した。反応混合物に水(5ml)を加え、析出した結晶をろ過で集め標題の化合物を白色結晶で得た(250mg)。1H-NMR (CDCl3)δ: 2.57(m, 2H), 3.53(s, 3H), 3.58(m, 2H), 3.75(s, 6H), 3.93(m, 2H), 5.74(m, 1H), 6.55-6.61(m, 3H), 7.21(m, 1H), 7.81(d, J = 6.4 Hz, 2H), 8.67(d, J = 6.0 Hz, 2H)MS: 404(M+)(実施例3)2−[5−(2−クロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン:{3−メチル−2−[5−(2−クロロフェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル]−6−ピリミジン−4−イルピリミジン−4(3H)−オン}(表1の化合物番号B005)の合成 2−クロロフェニルボロン酸(5.0g)、3−ブロモピリジン(4.8g)及びテトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)(1.0g)のトルエン(47ml)、2M炭酸ナトリウム水溶液(35ml)及びエタノール(2.4ml)中の混合物を5.5時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、トルエン層を分離した。水層を酢酸エチルで抽出し有機抽出層を合わせて乾燥させ(MgSO4)、ろ過した。ろ液を減圧留去して粗3−(2−クロロフェニル)ピリジン(7.9g)を得た。3−(2−クロロフェニル)ピリジン(7.9g)のジクロロメタン(50ml)溶液にヨードメタン(3.8ml)を加え、混合物を15時間攪拌した。溶媒を減圧留去し得られた残渣を酢酸エチルで結晶化して淡黄色の結晶を得た。得られた結晶のメタノール(60ml)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(1.7g)を氷冷下で加え、混合物を室温下で3時間攪拌した。混合物は飽和塩化ナトリウム水溶液でクエンチした。混合物を酢酸エチルで抽出した。抽出物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して粗5−(2−クロロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−1−メチルピリジン(5.9g)を得た。 5−(2−クロロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−1−メチルピリジン(5.9g)のジクロロメタン(60ml)溶液にクロロギ酸1−クロロエチル(5.1ml)を加え、混合物を2.5時間攪拌した。混合物を水、その後飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去して茶色油状物を得た。得られた油状物のメタノール溶液を2時間還流した。溶媒を減圧留去して得られた残渣を酢酸エチルで結晶化して5−(2−クロロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン塩酸塩(2.4g)を得た。5−(2−クロロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン塩酸塩(155mg)、2−クロロ−1,6−ジヒドロ−1−メチル−6−オキソ−4−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン(150mg)及びトリエチルアミン(235μl)のジメチルホルムアミド(3ml)溶液を室温で2時間攪拌した。反応混合物に水(3ml)を加え、析出した結晶をろ過で集め標題の化合物を白色結晶で得た(240mg)。1H-NMR (CDCl3) δ: 2.56(m, 2H), 3.52(m, 2H), 3.56(s, 3H), 4.09(m, 2H), 5.88(m, 1H), 7.21-7.29(m, 4H), 7.39(m, 1H), 8.13(d, J = 5.1 Hz, 1H), 8.82(d, J = 5.1 Hz, 1H), 9.25(s, 1H)MS: 379(M+)(実施例4)2−[5−(2,6−ジメトキシフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン:{3−メチル−2−[5−(2,6−ジメトキシフェニル)−3,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−イル]−6−ピリミジン−4−イルピリミジン−4(3H)−オン}(表1の化合物番号B026)の合成 5−(2,6−ジメトキシフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン塩酸塩を2,6−ジメトキシフェニルボロン酸から実施例1と同様に調製した。5−(2,6−ジメトキシフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン塩酸塩(172mg)、2−クロロ−1,6−ジヒドロ−1−メチル−6−オキソ−4−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン(150mg)及びトリエチルアミン(235μl)のジメチルホルムアミド(6ml)溶液を室温で3時間攪拌した。反応混合物に水(10ml)を加え、析出した結晶をろ過で集め標題の化合物を白色結晶で得た(260mg)。1H-NMR (CDCl3) δ: 2.60(m, 2H), 3.57-3.61(m, 5H), 3.78(s, 6H), 3.94(m, 2H), 5.76(m, 1H), 6.59(d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.22-7.28(m, 2H), 8.20(d, J = 5.4 Hz, 1H), 8.84(d, J = 5.4 Hz, 1H), 9.27(s, 1H)MS: 405(M+) 下記表2中の化合物を上記の方法と同様にして調製した。下記表中の化合物番号は、前記の好ましい化合物の表1に示された番号に対応する。試験例:ウシ脳TPK1によるP−GS1リン酸化に対する本発明の医薬の阻害作用 反応系として、100mM MES−水酸化ナトリウム(pH6.5)、1mM酢酸マグネシウム、0.5mM EGTA、5mM β−メルカプトエタノール、0.02% ツイン20、10% グリセロール、12μg/ml P−GS1、41.7μM[γ-32P]ATP(68kBq/ml)、ウシ脳TPK1、及び表に記載された化合物(被検化合物の溶液を10% DMSOの存在下で調製したことにより、最終の混合物は1.7% DMSOを含む)を含む混合物を用いた。ATP添加によりリン酸化反応を開始し、25℃で2時間反応させた後、氷上で21%過塩素酸を添加して反応を停止した。反応液を12,000rpmで5分間遠心し、P81ペーパー(Whatmann)に吸着させ、その後ペーパーを75mMリン酸で4回、水で3回、アセトンで1回洗浄した。ペーパーを乾燥して、残留した放射能を液体シンチレーションカウンターで測定した。結果を下記表に示す。被検化合物はTPK1によるP−GS1リン酸化を顕著に阻害した。この結果は、本発明の医薬がTPK1活性を阻害することによってAβの神経毒性及びPHFの形成を抑制すること、及び本発明の医薬がアルツハイマー病や上記疾患の予防及び/又は治療に有効であることを強く示唆している。製剤例(1) 錠剤 下記の成分を常法に従って混合し、慣用の装置により打錠した。実施例1の化合物 30mg結晶セルロース 60mgコーンスターチ 100mg乳 糖 200mgステアリン酸マグネシウム 4mg(2) 軟カプセル剤 下記の成分を常法に従って混合し、軟カプセルに充填した。実施例1の化合物 30mgオリーブ油 300mgレシチン 20mg 下記式(I)(式中、XはCH又は窒素原子を示し;R1は、C1〜C12のアルキル基を示し;R2はフェニル基で置換されているC1〜C8のアルキル基;フッ素原子で置換されていてもよいフェニルオキシ基で置換されているC1〜C8のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メトキシ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、フェニル基、フェニルオキシ基またはピロリジルカルボニル基で置換されていてもよいベンゼン環;ナフタレン環;チオフェン環;ベンゾチオフェン環;又はベンゾイソキサゾール環を示す)で表されるピリミドン誘導体若しくはその塩。 R1がメチル基である、請求項1に記載のピリミドン誘導体若しくはその塩。 2−(5−フェニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(2−メトキシフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(4−メトキシフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(2−ブロモフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(2−フルオロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(4−フルオロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(2,4−ジフルオロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(2−クロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(4−クロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(2,4−ジクロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(2,6−ジメトキシフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(2−トリフルオロメチルフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(ベンゾイソキサゾール−3−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−(5−ベンジル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−(5−ビフェニル−2−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−(5−チオフェン−3−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−(5−チオフェン−2−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(4−フルオロフェノキシメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(4−ピロリジニルカルボニルフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−(5−フェニル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(2−メトキシフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(4−メトキシフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(2−ブロモフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(2−フルオロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(4−フルオロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(2,4−ジフルオロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(2−クロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(4−クロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(2,4−ジクロロフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(2,6−ジメトキシフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(2−トリフルオロメチルフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(ベンゾイソキサゾール−3−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−(5−ベンジル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−(5−ビフェニル−2−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−(5−チオフェン−3−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−(5−チオフェン−2−イル−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル)−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;2−[5−(4−フルオロフェノキシメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン;及び2−[5−(4−ピロリジニルカルボニルフェニル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オンから成る群から選ばれるピリミドン誘導体若しくはその塩。 請求項1〜3のいずれか一項に記載のピリミドン誘導体若しくはその塩から成る群より選ばれる物質を有効成分として含有する医薬。 請求項1〜3のいずれか一項に記載のピリミドン誘導体若しくはその塩から成る群からより選ばれるタウプロテインキナーゼ1の阻害剤。 タウプロテインキナーゼ1の機能亢進に起因する疾患の予防及び/又は治療に用いる、請求項4に記載の医薬。 神経変性疾患の予防及び/又は治療のための、請求項4に記載の医薬。


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