生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_抗アレルギー剤、抗掻痒剤、及び抗菌剤
出願番号:2004085643
年次:2005
IPC分類:7,A61K35/78,A61P17/04,A61P31/04,A61P37/08


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久保 道▲徳▼ 松田 秀秋 JP 2005272326 公開特許公報(A) 20051006 2004085643 20040323 抗アレルギー剤、抗掻痒剤、及び抗菌剤 株式会社 ア・ファーマ近大 504061374 高橋 剛 100096758 高橋 雅和 100114845 久保 道▲徳▼ 松田 秀秋 7A61K35/78A61P17/04A61P31/04A61P37/08 JPA61K35/78 CA61P17/04A61P31/04A61P37/08 4 OL 10 4C088 4C088AB12 4C088AC05 4C088BA08 4C088CA03 4C088NA14 4C088ZA89 4C088ZB13 4C088ZB35 本発明は、テリハボクを有効成分とする抗アレルギー剤、薬剤耐性菌に対する抗菌剤、及びテリハボクの葉を有効成分とする抗掻痒剤、並びにテリハボクを有効成分とする抗アレルギー作用、抗掻痒作用、抗菌作用を併せ持つ優れた抗アレルギー剤に関する。 従来、抗アレルギー剤及び抗炎症剤としては、グルココルチコイド型の副腎皮質ホルモン剤や、インドメタシンなどの非ステロイド性抗炎症剤などが用いられている。しかしながら、ステロイドホルモン剤は抗アレルギー作用及び抗炎症作用を有するものの副作用が強いという問題があり、また、インドメタシンなどは抗炎症作用のみを有するため抗アレルギー剤としては有用でなかった。 従って、副作用が少なく、優れた抗アレルギー作用を有する経口投与可能な薬剤が望まれていた。 さらに、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎などの皮膚アレルギー性疾患罹患時には痒みを伴うことが多く、掻く行為がその原疾患を増悪させることがしばしばある。皮膚掻痒は生体にとって厄介な問題で、種々の原因に由来するが、その発症原因は必ずしも明らかにされているわけではない。対症療法として、抗掻痒剤が局所的には外用剤として種々用いられている。抗掻痒剤はその種類も多く、掻痒に対してのみ有効のものもあるが、むしろアレルギー、網内系、植物神経あるいは内分泌系に影響し、さらに消炎効果の結果、痒みを軽減させるものが多い。 しかし、インドメタシンのごとくプロスタグランジン合成阻害を機序とする消炎剤ではむしろ痒みを憎悪させるという報告がある。日常汎用されている抗掻痒剤には抗ヒスタミン剤があるが、他に抗プラスミン剤、SH系製剤(還元グルタチオン、チオ硫酸ナトリウムなど)、ビタミン剤(B2群)、ホルモン剤、植物神経遮断剤、肝機能亢進剤などがある。しかし、これらのものも抗掻痒剤として十分に満足できる治療効果が得られていない。 又、アトピー性皮膚炎の発症原因はアレルギー反応で、この治療薬としてステロイド剤が汎用されている。一度発症すると、痒みを伴う発疹によりその部位を掻くことになるが、掻く行為によって感染症(主に黄色ブドウ球菌による皮膚感染症)が惹起される。そこで、抗生剤が用いられることになるが、ステロイド剤、抗生剤を長期連用すると、黄色ブドウ球菌が耐性化し、通常の抗菌剤では効果がなくなり、ますます、治癒することが困難になってくる。 そこで、副作用が少なく、抗アレルギー、抗掻痒、抗菌作用を有する経口投与可能な薬剤が望まれていた。 かかる実情において、本発明者等は、テリハボクに注目した。現在、テリハボクに関しては下記のような研究がなされている。1.テリハボクの植物分類学的研究 テリハボクは、オトギリソウ科のCalophyllum inophyllumで、所により照葉木、タマナノキ、ヤラボ、タマナとも呼ばれる。欧米ではAlexandrian laurelとも呼ばれ、アユルヴェーダ医学にも記載があるこの植物は、ポリネシア一帯の伝承医療薬として用いられ、神の宿る樹として聖域に祭られていたようである。2.テリハボクの民族薬物学的研究 種子の油;民族薬物としては主に、その種子から得られる油が痒み止め、白癬、鼻カタル、にきびや汗疹、あらゆる火傷、創傷、打撲傷、古傷、皮膚病、らい病由来の神経炎、化膿傷、リウマチ、関節痛、不眠症に用いられている。ハワイでは伝統的マッサージ(lomi-lomi)の際に、マッサージオイルとして使用されている。また、内服薬として肺疾患の治療にも使われているようである。外傷に用いると傷跡の回復が良いようである。 葉;葉も薬用に供され、水に浸した汁が眼の炎症に使われている。フィリピンでは痔の薬としても使用されているようである。浸剤は熱射病の治療に内服され、また外傷に温シップとして用いられている。片頭痛、めまいの治療に吸入薬としても使われている。葉を柔らかくなるまで加熱したものは皮膚潰瘍、火傷、切り傷、疼痛、あばたに使用され、茹でた汁は発疹、皮膚炎、下肢の潰瘍にも使用されているようである。 その他の部位;木皮の汁を瀉下薬としたり、淋病に応用され、またこれをライム果汁と混ぜ、臭汗症に、成熟果実が殺鼠剤に、樹液と硫黄を混ぜたものが火傷、傷の塗り薬として使われている。3.テリハボクの化学的研究 葉からはtriterpene類であるfriedelinとcanophyllal、canophyllol、canophyllic acid、inophyllum類が得られている。種子からはcalophylloide、dehydrocycloguanidin、calophylin-B、jacareubin、6-deoxyjacareubinが得られている。油や木皮には安息香酸が含有されている。4.テリハボクの薬理学的研究 薬理学的研究としては、inophyllum類(特にinophyllum-B、P)に抗HIV作用、calophylloide類に抗炎症、抗関節炎、抗菌作用、dehydrocycloguanidin、calophylin-B、jacareubin、6-deoxyjacareubinに中枢神経抑制、抗炎症、抗血液凝固作用、calocoumarin-Aに抗癌作用が報告されている。 又、テリハボクは、液状脂肪相として使用されたり(例えば、特許文献1)乳化剤に使用する脂肪に使用されたり(例えば、特許文献2)、マトリックスメタロプロテアーゼの活性を阻害して皮膚の老化の予防や改善に使用されたり(例えば、特許文献3)している。特開2000−178126([0033])特開2000−309507([0016])特開2001−192317([0008]) かかる実情において、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、テリハボクあるいはその抽出物が、副作用が少なく抗アレルギー、抗掻痒、薬剤耐性菌に対する抗菌作用、及びそれらの3つの作用を併せ持つ優れた経口投与可能な抗アレルギー作用を有することを見出し、本発明を完成した。 そこで、本発明の目的は、副作用がほとんどない抗アレルギー剤、抗掻痒剤、薬剤耐性菌に対する抗菌剤、かつ抗アレルギー、抗掻痒、抗菌作用を併せ持つ抗アレルギー剤を提供することである。 前記目的を達成するため、本発明の抗アレルギー剤は、テリハボク、又はその抽出物を有効成分とするものである。 又、本発明の抗掻痒剤は、テリハボクの葉、又はその抽出物を有効成分とするものである。 又、本発明の薬剤耐性菌に対する抗菌剤は、テリハボク、又はその抽出物を有効成分とするものである。 又、本発明の抗アレルギー剤は、テリハボク、又はその抽出物を有効成分とする抗アレルギー作用、抗菌作用、抗掻痒作用を併せ持つ抗アレルギー剤である。 テリハボクから単離されたinophyllum類(特にinophyllum-B、P)に抗HIV作用、calophylloide類に抗炎症、抗関節炎、抗菌作用、dehydrocycloguanidin、calophylin-B、jacareubin、6-deoxyjacareubinに中枢神経抑制、抗炎症、抗血液凝固作用、calocoumarin-Aに抗癌作用が報告されているが、抗アレルギー作用、薬剤耐性菌に対する抗菌作用、及び抗掻痒作用は知られていない。 さらに、テリハボクの種子油が民族薬物学的に痒み止めに使用されているが、テリハボクの葉に抗掻痒作用があることは知られていない。 このように本発明は、優れた抗アレルギー作用、薬剤耐性菌に対する抗菌作用、及び抗掻痒作用を有し、しかも安全性も高いため、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、湿疹皮膚炎、蕁麻疹、急性または慢性結膜炎、気管支炎、痒み、かぶれなどの治療剤に有用である。 さらに、テリハボクの抽出物は、そのままあるいは種々の投与形態で投与することができる。本発明の抗アレルギー剤、抗菌剤及び抗掻痒剤の投与形態については特に制限はなく、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤などの経口剤や、注射剤、外用剤、坐剤、吸入剤、点鼻剤、点眼剤、軟膏剤、貼付剤などの非経口剤のいずれによっても投与することができる。 以下、本発明の製造例及び実験例を記述する。(製造例) 本発明においては、この植物を構成する部位全てまたは葉、茎、根、花などの一部をそのまま用いることができ、これらを乾燥した後、粉砕して粉末にして用いることもできる。また、本発明において、抽出物を得る方法としては、例えばこの植物の果実、葉、根、根茎、茎、花などを水及び/または親水性有機溶媒を用いて抽出して抽出液を得る方法がある。さらに、このような抽出液から凍結乾燥、噴霧乾燥、減圧留去などにより粉末を得る方法などが挙げられる。 親水性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノールなどの炭素数1〜4の低級アルコール、アセトン、などが挙げられる。特にエタノールが好ましい。これらの溶媒は単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよく。また、水とこれらの親水性有機溶媒を混合して使用してもよい。好ましい抽出溶媒としては、含水アルコールが挙げられ、特に含水エタノールが好ましい。これらの抽出溶媒の使用量は特に制限されないが、例えばエキス剤、チンキ剤などを製する際に用いられる冷浸法、温浸法、パーコレーション法などを適用することができる。 さらに、この粉末、又は抽出物に、必要に応じて製剤学的に受容可能な添加物(例えば、賦形剤、界面活性剤等)を加えることにより薬剤を製造することが出来る。(実験例1) テリハボクの3相性皮膚反応に及ぼす影響 実験方法1.実験動物はICR系雌性マウス(体重24-26 g)を用いた。 2.DNFB誘発アトピー性皮膚炎試験 1) ジニトロフェニル化卵白アルブミン(DNP-OVA)の作成;卵白アルブミン(EWA)およびK2CO3を各2 gずつ100 mlの水に溶解し、この溶液に2 gのdinitrobezenesulfonic acid sodium saltを加え、遮光下で37℃にて、24時間スターラーで攪拌する。得られた反応液を水で2日間透析後、その内液を凍結乾燥した。 2) DNFB誘発3相性皮膚反応試験;ICR系雌性マウスにaluminum hydroxide gel 1 mgとDNP-OVA 10μgを含む生理食塩液0.2 mlを腹腔内投与し、能動的に感作した。その1週間後、0.1% DNFBを両耳の表裏に10μlずつ塗布した。その翌日に再度感作し、1週間後に反応を惹起させた。耳介の厚さは反応惹起前および惹起後1、24時間および8日後をdial thickness gaugeを用いて測定し、耳介浮腫率として算定した。また、掻痒行動の観察は反応惹起から1時間観察した。なお、被検体は反応惹起1時間前および惹起2日後から8日後まで連日経口投与した。 3.被検体の調製 パラオ共和国で採取したテリハボクを乾燥後、粉砕し、その10倍量の50%エタノールで熱時抽出したもの。 実験結果 マウスにDNFB誘発3相性皮膚反応を惹起させたところ、1時間後(即時相;IPR)、24時間後(遅発相;LPR)および8日後(超遅発相;vLPR)にピークを示す3相性の耳浮腫が観察された。また、IPRにおいては引っ掻き行動(痒み)が観察されたので、その回数を観察した。 その結果、テリハボクエキスにはIPRにおける引っ掻き行動、IPR、LPR、vLPRの耳浮腫を有意に抑制する作用が認められた。1相目(即時相、IPR)の耳浮腫は、肥満細胞から遊離されるヒスタミンなどのケミカルメディエータにより惹起され、2相目(遅発相、LPR)は、種々のサイトカインが引き金となって惹起される炎症だといわれている。また、vLPRは顕著な好酸球の浸潤が認められる反応で、これは、アトピー性皮膚炎罹患者にみられる病理像と類似している。(実験例2) Compound 48/80誘発肥満細胞からのHistamine遊離抑制作用 テリハボクの抗掻痒作用を痒みの惹起と密接に関係しているマスト細胞からのヒスタミン遊離抑制試験を指標に検討した。 被検体の調製:乾燥したテリハボクの葉あるいは枝を細切後、10倍量の70%メタノールで熱時2時間抽出を1回行い、ろ紙にてろ過した後、減圧下濃縮し凍結乾燥を施した。得られたそれぞれのエキスを被検体として実験に供した。 実験方法 1.ラット腹腔肥満細胞の調製;Wistar系雄性ラットからの腹腔肥満細胞の分離はUvnasらの方法に準じた。すなわち、ラットを断頭しゃ血後、ただちにHank's液(10 U/mlのheparin含有)10 mlを腹腔内に注入した。約90秒間腹部を静かにマッサージした後、腹腔内液を採取し、40% ficoll溶液に静かに重層し、室温で30分間放置後、5℃、1200 rpm、10分間遠心分離し、ficoll層上の肥満細胞を集めた。この肥満細胞をリン酸緩衝液(PBS、pH 7.0)に懸濁させ、遠心分離による洗浄を4回繰り返し、再びPBSに浮遊(2.9×106 cells/ml)させた。この浮遊液中の肥満細胞含有率は85〜90%で、生存率はtoluidine blue(0.1%、50% ethanol溶液)染色法で90%以上を確認した。 2.肥満細胞からのHistamine遊離量の測定;肥満細胞浮遊液1.8 mlを37℃、10分間preincubation後、被検液(PBS溶解)0.1 mlを加え、5分間incubationし、さらにcompound 48/80(最終濃度 10 μg/ml)0.1 mlを加えて10分間incubationした。氷冷により反応を停止し、5℃、1200 rpm、5分間遠心分離後、上清中のhistamine量をShoreの方法に準じて測定した。 すなわち、上清0.7 mlにH2O 1.4 ml、1N NaOH溶液0.4 ml、1% o-phtaldialdehyde-methanol溶液0.1 mlを加えて4分間放置後、3N HCl溶液0.2 mlで反応を停止させる。反応終了10分後に5℃、3000 rpm、5分間遠心分離を行い、上清および沈渣を得た.上清の蛍光は励起波長360 nm、蛍光波長450 nmで測定し、既知濃度のhistamine検量線から上清中histamine量を求めた。また、肥満細胞に残存するhistamine量は沈渣にPBS 2mlを加え、超音波処理、更に凍結融解法で肥満細胞からhistamineを遊離させ、上記と同様の方法で測定した。Compound 48/80によるhistamine遊離率(histamine release %)は次式によって算出した。 Histamine release %=(histamine released with compound 48/80−spontaneously released histamine)/total histamine×100 Inhibition %=(% histamine release without test substance−% histamine release with test substance)/% histamine release without test substance×100 実験結果 その結果は表1に示したごとく、ラット腹腔内マスト細胞にcompound 48/80を作用させたところ、マスト細胞からヒスタミンが76.9±2.4%遊離した。陽性対照薬のsodium cromoglycate(SCG)は500 μg/mlの濃度で抑制作用を示した。被検体も500 μg/mlで抑制作用を示した。 Compound 48/80誘発引っ掻き行動に及ぼす影響(抗掻痒作用) テリハボクの抗掻痒作用をcompound 48/80誘発引っ掻きモデルを用いて検討した。 実験方法 被検体エキスの調製;乾燥したテリハボクの葉を細切後、10倍量の70%メタノールで熱時2時間抽出を1回行い、ろ紙にてろ過した後、減圧下濃縮し凍結乾燥を施した。得られたそれぞれのエキスを被検体として実験に供した.エキス収率は20.1%であった。 実験動物;ddY系雄性マウス(体重26〜28 g)を用いた。 実験方法;18時間絶食したddY系雄性マウスに被検体を経口投与し、その1時間後、マウス背部に48/80生理食塩液0.1 mlを皮下注射し、引っ掻き行動を惹起させた。後肢で注射部位を引っ掻く行動を掻痒行動とし、注射直後から10分間、その引っ掻き行動の回数を求めた。なお、陽性対照薬としてdiphenhydramineを用いた。 結果;その結果は表2に示したごとく、48/80生理食塩液をマウスの背部皮下に投与したところ、対照群で52.1±5.4回の引っ掻き行動が認められた。陽性対照薬であるdiphenhydramineは50 mg/kgの用量でcompound 48/80による引っ掻き行動を有意に抑制した。テリハボクエキスは500 mg/kgの用量でこの引っ掻き行動を有意に抑制した。 アトピー性皮膚炎患者由来黄色ブドウ球菌に対する抗菌作用 アトピー性皮膚炎はアトピー素因を持ち、掻痒を伴う湿疹を主病変とし、増悪と寛解を繰り返すアレルギー性皮膚疾患である。その発症要因のひとつに環境汚染や食品添加物の使用、化学繊維の着用、ストレスなどが挙げられている。この疾患の薬物療法としてステロイド剤が汎用されている。ステロイド剤はアトピー性皮膚炎を短時間で劇的に好転させる反面、副作用やリバウンドに問題がある。ステロイド剤ほどの効果が得られなくても、副作用が少なく、抗アレルギー作用、抗炎症作用があり、しかも原疾患を増悪させる一要因である掻痒や感染症に対する治療効果、保湿効果などの幅広い活性のある素材が天然物資源に求められている。 なかでも、アトピー性皮膚炎は掻痒が伴うことが多く、その掻痒行動により感染症が惹起され、原疾患がより増悪することが多いといわれる。その主病原菌は黄色ブドウ球菌(黄ブ菌)といわれ、この菌が二次感染あるいはアトピー性皮膚炎の増悪因子と考えられている。よって、アトピー性皮膚炎の治療手段のひとつとして除菌療法が取り入れられている。そこで、Staphylococcus aureus JCM 2151および医療機関でアトピー性皮膚炎と診断された患者の皮膚病変部から採取した臨床分離菌株に対するテリハボクの抗菌作用について検討した。 実験方法 被検体エキスの調製;乾燥したテリハボクの葉を細切後、10倍量の70%メタノールで熱時2時間抽出を1回行い、ろ紙にてろ過した後、減圧下濃縮し凍結乾燥を施した。得られたエキスを被検体として実験に供した。エキス収率は20.1%であった。 実験菌株;Staphylococcus aureus JCM 2151は理化学研究所微生物系統保存施設より入手し、標準菌株として用いた。医療機関でアトピー性皮膚炎と診断された患者の皮膚病変部から採取した臨床分離菌株(A、B)は、EssersとRadeboldやPascoliらの方法によってS. aureusと同定した。 抗菌活性試験;抗菌試験はStaphylococcus Medium 110を用いたペーパーディスク拡散法で行った。陽性対照薬としてオキシテトラサイクリン(OTC)を用いた。被検体は滅菌精製水に溶解させ、径8 mmのペーパーディスク(Toyo Roshi Kaisha、 Ltd.、 Japan)に25 μl滴下した。37℃、24時間培養後、阻止円の直径を測定した。結果A氏、B氏の皮膚から単離培養した黄色ブドウ球菌に対してOTCは、A氏に対しては抗菌作用を示したが、B氏由来の黄色ブドウ球菌に対してはまったく効果がなかった。しかし、テリハボクの葉エキスは両氏由来の黄色ブドウ球菌に対して強い抗菌作用を示した。 以上より、今回アトピー性皮膚炎患者から単離された黄色ブドウ球菌は薬剤耐性化している可能性が強く示唆されるとともに、OTCが抗菌作用を示さなかった患者菌に対してもテリハボクエキスが抗菌作用を示した。 テリハボク、又はその抽出物を有効成分とすることを特徴とする抗アレルギー剤。 テリハボクの葉、又はその抽出物を有効成分とすることを特徴とする抗掻痒剤。 テリハボク、又はその抽出物を有効成分とすることを特徴とする薬剤耐性菌に対する抗菌剤。 テリハボク、又はその抽出物を有効成分とする抗アレルギー作用、抗菌作用、抗掻痒作用を併せ持つ抗アレルギー剤。 【課題】 副作用がほとんどない抗アレルギー剤、抗掻痒剤、薬剤耐性菌に対する抗菌剤、かつ抗アレルギー、抗掻痒、抗菌作用を併せ持つ抗アレルギー剤を提供すること。【解決手段】 抗アレルギー剤、薬剤耐性菌に対する抗菌剤はテリハボク又はその抽出物を有効成分とすることからなり、抗掻痒剤はテリハボクの葉又はその抽出物を有効成分とすることからなり、抗アレルギー作用、抗掻痒作用、抗菌作用を併せ持つ優れた抗アレルギー剤はテリハボク又はその抽出物を有効成分とすることからなる。【選択図】 なし


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