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タイトル:特許公報(B2)_熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんのニューロン遺伝子のナトリウムチャネルα1サブユニットおよびそのポリペプチドの変異およびその治療
出願番号:2002551989
年次:2008
IPC分類:C12N 15/09,C12N 5/10,C07K 14/47,C07K 16/18,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C12P 21/02,C12Q 1/02,C12Q 1/68,G01N 33/15,G01N 33/50,G01N 33/53


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ワレス, ロバイン, ヒーサー マレイ, ジョン, チャールズ ベルコヴィック, サミュエル, フランク JP 4204317 特許公報(B2) 20081024 2002551989 20011220 熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんのニューロン遺伝子のナトリウムチャネルα1サブユニットおよびそのポリペプチドの変異およびその治療 バイオノミックス リミテッド 502386053 風早 信昭 100103816 浅野 典子 100120927 ワレス, ロバイン, ヒーサー マレイ, ジョン, チャールズ ベルコヴィック, サミュエル, フランク AU PR 2203 20001220 20090107 C12N 15/09 20060101AFI20081211BHJP C12N 5/10 20060101ALI20081211BHJP C07K 14/47 20060101ALI20081211BHJP C07K 16/18 20060101ALI20081211BHJP C12N 1/15 20060101ALI20081211BHJP C12N 1/19 20060101ALI20081211BHJP C12N 1/21 20060101ALI20081211BHJP C12P 21/02 20060101ALI20081211BHJP C12Q 1/02 20060101ALI20081211BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20081211BHJP G01N 33/15 20060101ALI20081211BHJP G01N 33/50 20060101ALI20081211BHJP G01N 33/53 20060101ALI20081211BHJP JPC12N15/00 AC12N5/00 AC07K14/47C07K16/18C12N1/15C12N1/19C12N1/21C12P21/02 CC12Q1/02C12Q1/68 AG01N33/15 ZG01N33/50 ZG01N33/53 M C12N 15/09 GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq UniProt/GeneSeq BIOSIS/WPI(DIALOG) Am J Hum Genet.(2001),Vol.68,No.4,p.859-865 Nat Genet.(2000),Vol.24,No.4,p.343-345 Am J Hum Genet.(2001),Vol.68,No.4,p.866-873 Journal of Physiology(2000),Vol.529,p.533-539 11 AU2001001648 20011220 WO2002050096 20020627 2004515252 20040527 165 20040929 ▲高▼ 美葉子 【0001】技術分野本発明は、特発性てんかんならびに悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症、および不整脈などの他の障害に関連する哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルのαサブユニットの変異、ならびにαサブユニットをコードする遺伝子の多型に関する。【0002】背景技術熱性痙攣プラスを伴う全般てんかん(GEFS+;MIM 604236)は、Scheffer and Berkovic(1997)によって最初に記載され、現在、一般的なてんかん症候群として認識されている(Singhら、1999;Baulacら、1999;Moulardら、1999;Peifferら、1999;Schefferら、2000)。GEFS+は家族性であるにもかかわらず、最初各家族内の臨床的異質性のために異なる症候群として認識するのが困難であった。共通の表現型は、典型的な熱性痙攣(FS)および熱性痙攣プラス(FS+)であり、FS+は、熱を伴う発作が6歳を超えて続き、そして/または無熱性強直性間代性発作を含むという点でFSと異なる。あまり一般的ではない表現型には、アブサンス発作、ミオクローヌス発作、またはアトニー発作、ミオクローヌス失立てんかんなどのさらにより重症の症候群が含まれる。このような表現型の多様性が1遺伝子の変異の分離に関連し得ることが、電位依存性ナトリウムチャネルβ1サブユニット遺伝子(SCN1B)の変異の同定を使用して確立された(Wallaceら、1998)。この変異(C121W)は、保存されているシステイン残基を変化させ、推定ジスルフィド結合を破壊し、in vitroでβ1サブユニット機能を喪失させる。機能的β1サブユニットが存在しない場合、ナトリウムチャネルのαサブユニットの不活化が減速し、ナトリウム流入を増加させ、膜電位が脱分極し、興奮性亢進を引き起こし得る。変更遺伝子または環境はSCN1B遺伝子と相互作用することにより臨床的異質性が説明されるが、SCN1B変異は稀であることから、他の家族において大きな影響を与えるさらなる遺伝子がGEFS+の基礎となることが強く示唆される(Singhら、1999)。【0003】4つの家族におけるGEFS+が染色体2qにマッピングされている(Baulacら、1999;Moulardら、1999;Peifferら、1999;Lopes−Cendesら、2000)。最近、2つのGEFS+家族におけるニューロンの電位依存性ナトリウムチャネルα1(SCN1A)の変異が記載されている(Escaygら、2000)。変異(T785dMおよびR1468H)は、チャネルゲーティングの役割を果たすことが公知のチャネルの高度に保存されたS4膜貫通セグメントに存在する。これらの変異はSCN1Aの不活化速度を減少させることができるので、β−1サブユニット変異と類似の効果を有することが示唆される。【0004】GEFS+は、強力な遺伝的根拠、不完全浸透度ならびに遺伝子および表現型の異質性を伴う明白に共通の複雑性障害である。熱性痙攣は、集団の3%で起こるので、この表現型は、GEFS+遺伝子の遺伝的変異の結果としての発症に加えて、GEFS+家族において散発的に発症し得る(Wallaceら、1998)。また、いくつかの家族では、主要な効果の常染色体優性遺伝子が分離されるにもかかわらず、多くの場合臨床的に遺伝学的証拠(両親のいずれかからの遺伝性など)から、いくつかの小家族について、この障害が多因子性であることが示唆される(Singhら、1999)。これにもかかわらず、大家族では確認されつづけており、臨床的表現型分析を使用して、関連遺伝子を局在化し、最終的に同定する機会が与えられている。【0005】発明の開示本発明者らは、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんに関連する電位依存性ナトリウムチャネルのα−1サブユニット(SCN1A)の3つの新規の変異を同定し、この遺伝子のヌクレオチド配列も決定した。【0006】本発明の1つの態様によれば、点変異、欠失、挿入、および再配列からなる群から選択される変異が起こり、前記変異により、構築されたナトリウムチャネルの機能が破壊されててんかん表現型が得られるが、前記変異がα−1サブユニットにおけるC2624TトランジションまたはG4943Aトランジションではない、哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルの変異αサブユニットをコードする単離DNA分子が得られる。【0007】好ましくは、変異は点変異である。【0008】典型的には、変異は、細胞内ループ、好ましくは、ドメインIの膜貫通セグメント2と3との間の細胞内ループ、アミノ酸1656位のドメインIVのS4セグメント、または膜貫通ドメインのS5セグメントで起こる。好ましくは、変異により熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんの表現型が得られる。【0009】本発明の1つの形態では、変異は、SCN1Aのエクソン4に存在し、それによりアミノ酸188位で高度に保存されたアスパラギン酸残基がバリン残基に置換される。D188V変異はSCN1AのドメインIのS3セグメントのすぐ外側の細胞内ループに存在し、この変異は配列番号1に記載のSCN1Aコード配列の563位でのAからTへのヌクレオチドの置換の結果として起こる。【0010】本発明のさらなる形態では、変異は、SCN1Aのエクソン21に存在し、それによりアミノ酸1353位で高度に保存されているバリン残基がロイシン残基に保存される。V1353L変異はSCN1AのドメインIIIのS5セグメント中に存在し、この変異は配列番号3に記載のSCN1Aコード配列の4057位でのGからCへのヌクレオチドの置換の結果として起こる。【0011】 本発明のなおさらなる形態では、変異は、SCN1Aのエクソン26に存在し、それによりアミノ酸1656位で高度に保存されているイソロイシン残基がメチオニン残基に置換される。I1656M変異はSCN1AのドメインIVのS4セグメント中に存在し、この変異は配列番号5に記載のSCN1Aコード配列の4968位でのCからGへのヌクレオチドの置換の結果として起こる。【0012】配列番号89に記載の遺伝子のヌクレオチド配列もまた、本発明の一部を形成する。さらに、表3で同定した多型も本発明の一部を形成する(配列番号7〜9および11)。【0013】本発明はまた、点変異、欠失、挿入、および再配列からなる群から選択される1つまたは複数のさらなる変異が起こるDNA分子を含む。任意のこのようなDNA分子は、上記のてんかんに関連する変異を含み、機能的であるが、配列番号1、3、および5に記載のDNA分子と有意に異なってもよい。【0014】本発明のヌクレオチド配列を、種々の目的のために当該分野で受け入れられている方法を使用して操作することができる。これらには、遺伝子産物のクローニング、プロセシング、および/または発現の修飾が含まれるが、これらに限定されない。遺伝子フラグメントのPCR再構築および合成オリゴヌクレオチドの使用により、本発明のヌクレオチド配列を操作可能である。例えば、オリゴヌクレオチド媒介部位特異的変異誘発により新規の制限部位を作製し、発現パターンが変更し、スプライス変異型が産生されるさらなる変異を移入することができる。【0015】遺伝コードの縮重の結果として、多数のポリヌクレオチド配列、任意の公知の遺伝子および天然に存在する遺伝子のポリヌクレオチド配列との類似性が最小であり得るいくつかの配列を産生することができる。したがって、本発明には、可能なコドン選択に基づく選択の組み合わせによって作製することができるポリヌクレオチド配列の全ての可能な組み合わせが含まれる。本発明のポリヌクレオチド配列に適用される標準的なトリプレット遺伝コードにしたがってこれらの組み合わせが得られ、全てのこのようなバリエーションは特に開示するように考慮すべきである。【0016】本発明のDNA分子には、cDNA、ゲノムDNA、合成形態、混合ポリマー、センスおよびアンチセンス鎖が含まれ、且つ化学的または生化学的に修飾することができるか当業者によって認識される非天然または誘導化ヌクレオチド塩基を含み得る。このような修飾には、標識、メチル化、挿入剤、アルキル化剤、および結合の修飾が含まれる。いくつかの例では、本発明のポリヌクレオチド配列とコドン使用頻度が実施的に異なるヌクレオチド配列を産生することが有利であり得る。例えば、特定のコドンが宿主によって使用される頻度に対応する特定の原核宿主または真核宿主におけるペプチドの発現速度を増加させるようにコドンを選択することができる。コードされたアミノ酸配列を変化させること無くヌクレオチド配列を変化させる他の理由には、天然に存在する変異配列から産生される転写物より望ましい特性(より長い半減期)を有するRNA転写物の産生が含まれる。【0017】本発明はまた、完全な合成化学による本発明のDNA配列の産生を含む。合成配列を、適切な宿主中の挿入コード配列の転写および翻訳調節に必要なエレメントを含む発現ベクターおよび細胞系に挿入することができる。これらのエレメントには、本発明のポリペプチドをコードする配列がより有効に翻訳される調節配列、プロモーター、5’および3’非翻訳領域および特定の開始シグナル(ATG開始コドンおよびKozakコンセンサス配列など)を含み得る。開始コドンおよび上流調節配列を含む完全なコード配列を適切な発現ベクターに挿入する場合、さらなる調節シグナルは必要ない。しかし、コード配列またはそのフラグメントのみを挿入する場合、ベクターによって上記の外因性翻訳調節シグナルが得られるはずである。このようなシグナルは起源が様々であってよく、天然および合成の両方であってよい。使用する特定の宿主細胞系に適切なエンハンサーの封入によって発現効率を増大させることができる(Scharfら、1994)。【0018】本発明はまた、本明細書中に記載の配列の相補物である核酸分子を含む。【0019】本発明のさらに別の態様によれば、配列番号1、3、5、7、8、9、11、および89のいずれか1つに記載のヌクレオチドからなる単離DNA分子が得られる。【0020】本発明により、本発明のポリヌクレオチドまたはその変異型から精製ポリペプチドまたはタンパク質が調製される。これを行うために、宿主細胞を、上記のDNA分子で形質転換することができる。典型的には、宿主細胞と本発明のDNA分子を含む発現ベクターでトランスフェクトする。種々の発現ベクター/宿主系を使用して、本発明のポリペプチドをコードする配列を含めるか発現することができる。これらには、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生物;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染された昆虫細胞系;またはマウス、他の動物、もしくはヒトの組織細胞系が含まれるが、これらに限定されない。哺乳動物細胞を使用し、種々の発現ベクター(プラスミド、コスミド、およびワクシニアウイルス発現系などのウイルス系を含む)を使用してタンパク質を発現することができる。本発明は、使用した宿主細胞によって制限されない。【0021】本発明のポリヌクレオチド配列またはその変異型を、哺乳動物系で組換えタンパク質を長期産生させるように細胞株で安定に発現させることができる。本発明のポリペプチドをコードする配列を、同一または異なるベクター中にウイルスの複製起点および/または内因性発現エレメントおよび選択マーカー遺伝子を含み得る発現ベクターを使用して細胞株に形質転換することができる。選択マーカーは選択因子への耐性を付与し、その存在により、移入配列を首尾よく発現する細胞を成長および回収可能である。安定に形質転換した細胞の耐性クローンを、細胞型に適切な組織培養技術を使用して増殖させることができる。【0022】形質転換細胞によって産生されたタンパク質を、使用した配列および/またはベクターに依存して細胞内に分泌または保持することができる。当業者に理解されるように、タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを、原核または真核細胞膜を通過してタンパク質を直接分泌するシグナル配列を含むようにデザインすることができる。【0023】さらに、挿入配列の発現を調整する能力または所望の様式で発現タンパク質をプロセシングする能力について宿主細胞株を選択することができる。ポリペプチドのこのような修飾には、アセチル化、グリコシル化、リン酸化、およびアシル化が含まれるが、これらに限定されない。タンパク質の「プレプロ」形態の翻訳後切断を使用して、タンパク質のターゲティング、折りたたみ、および/または活性を特定することもできる。翻訳活性のための特定の細胞機構および特徴的機構を有する異なる宿主細胞(例えば、CHOまたはHeLa細胞)は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から利用可能であり、外来タンパク質の正確な修飾およびプロセシングを確実にするように選択することができる。【0024】抗体産生などのために大量の遺伝子が必要である場合、T5またはT7バクテリオファージ誘導プロモーターを含むベクターなどのこのタンパク質の高発現レベルを支持するベクターを使用することができる。本発明はまた、タンパク質の重要な機能的ドメインを含む融合タンパク質の作製および単離における上記の発現系の使用を含む。これらの融合タンパク質を、結合、構造、および機能の研究ならびに適切な抗体の産生に使用する。【0025】融合タンパク質としてタンパク質を発現および精製するために、本発明の適切なポリヌクレオチド配列を、別のペプチド(例えば、グルタチオン−s−トランスフェラーゼ)をコードするヌクレオチド配列を含むベクターに挿入する。原核細胞または真核細胞から融合タンパク質を発現および回収する。次いで、融合タンパク質を、融合ベクター配列に基づく親和性クロマトグラフィーによって精製することができる。次いで、融合タンパク質の酵素切断によって所望のタンパク質を得る。【0026】本発明のポリペプチドフラグメントを、固相技術を使用した直接的ペプチド合成によって産生することもできる。ABI 431Aペプチド合成機(Perkin−Elmer)の使用によって合成を行うことができる。このタンパク質の種々のフラグメントを、個別に合成し、その後合わせて全長分子を産生することができる。【0027】本発明のさらに別の態様によれば、哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルであり、点変異、欠失、挿入、および再配列からなる群から選択される変異が起こり、前記変異により、構築されたナトリウムチャネルの機能が破壊されててんかん表現型が得られるが、前記変異がα−1サブユニットにおけるT785MトランジションまたはR1648Hトランジションではない単離ポリペプチドが得られる。【0028】好ましくは、変異は、細胞内ループ、好ましくは、ドメインIの膜貫通セグメント2と3との間の細胞内ループ、アミノ酸1656位のドメインIVのS4セグメント、またはSCN1Aの膜貫通ドメインのS5セグメントで起こる。好ましくは、変異により熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんの表現型が得られる。【0029】本発明の1つの形態では、変異は、高度に保存されたアスパラギン酸残基がSCN1AのドメインIのS3セグメントのすぐ外側に存在する細胞内ドメイン中に存在するバリン残基に置換される置換である。好ましくは、置換は、配列番号2に記載のD188Vトランジションである。【0030】本発明のさらなる形態では、変異は、高度に保存されたバリン酸残基がSCN1AのドメインIIIのS5セグメント中に存在するロイシン残基に置換される置換である。好ましくは、置換は、配列番号4に記載のV1353Lトランジションである。【0031】本発明のなおさらなる形態では、変異は、高度に保存されたイソロイシン残基がSCN1AのドメインIVのS4セグメント中に存在するメチオニン残基に置換される置換である。好ましくは、置換は、配列番号6に記載のI1656Mトランジションである。【0032】さらに、表3で同定した多型は、本発明の一部を形成する(配列番号10および12)。これらの多型はSCN1Aの変化を反映し、ナトリウムチャネル機能がわずかに変化し得る。これらのわずかな変化により個体がてんかんを起こしやすくなり、他のイオンチャネルの変化と組み合わせて発現される場合、疾患の特定のサブタイプを発症し得る(PCT/AU01/00872を参照のこと)。【0033】本発明の単離ポリペプチドを、てんかんに関連する変異に加えて、置換、欠失、挿入、および再配列からなる群から選択される1つまたは複数の変異に供することができた。典型的には、これらの変異は、保存的置換である。【0034】本発明のさらに別の態様によれば、配列番号2、4、6、10、および12のいずれか1つに記載の配列を含む単離ポリペプチドが得られる。【0035】本発明のさらに別の態様によれば、配列番号2、4、6、10、および12のいずれか1つに記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドが得られる。【0036】本発明のさらに別の態様によれば、構築された哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルであり、置換、欠失、挿入、および再配列からなる群から選択される変異が複合体のαサブユニット中で起こる、単離ポリペプチド複合体が得られる。変異には、膜貫通セグメント2と3との間の細胞内ループ、アミノ酸1656位のドメインIVのS4セグメント、またはαサブユニットの膜貫通ドメインのS5ドメイン中の変異が含まれる。特定の態様では、αサブユニット中にこのような任意の変異を有する構築された哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルにより、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかん、またはナトリウムチャネルに関連する他の障害(悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症(低および高カリウム血性周期性四肢麻痺、先天性筋緊張症、およびカリウム増悪筋強直、および心律動異常(QT延長症候群など)が含まれるが、これらに限定されない)を発症する。【0037】特定の態様では、構築された哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルであり、膜貫通セグメント2と3との間細胞内ループ、アミノ酸1656位のドメインIVのS4セグメント、またはチャネルのSCN1Aサブユニットの膜貫通ドメインのS5セグメントに変異を有する複合体が得られる。【0038】本発明のさらに別の態様によれば、(1)ポリペプチド産生に有効な条件下で上記の核酸分子を含む発現ベクターでトランスフェクトした宿主細胞を培養する工程と、(2)変異αサブユニットを回収する工程とを含む、哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルの変異αサブユニットであるポリペプチドを調製する方法が得られる。【0039】変異αサブユニットもまたナトリウムチャネルの他のサブユニットで構築して構築された変異ナトリウムチャネルを回収することができる。【0040】本発明のさらに別の態様によれば、上記プロセスの産物であるポリペプチドが得られる。【0041】次いで、実質的に精製されたタンパク質またはそのフラグメントを、さらなる生化学分析で使用して、例えば、タンパク質のX線結晶学または核磁気共鳴(NMR)によって二次構造および三次構造を確立することができる。構造決定により変異ナトリウムチャネルと相互作用するか、全体的なナトリウムチャネルタンパク質の電荷配置を変化させるか、他のタンパク質との相互作用を変化させるか、細胞中のその機能を変化させる医薬品を合理的にデザインすることが可能である。【0042】これらのタンパク質においててんかんに関連する変異が同定されている、変異ナトリウムチャネルαサブユニットが正常遺伝子もしくは変異遺伝子または遺伝子産物のいずれかの存在をスクリーニングまたは検出するための種々のハイブリッド形成および免疫アッセイを含むさらなる適用に有用であることが認識される。本発明はまた、てんかんの治療および野生型および変異核酸分子を有するてんかんの診断が可能である。特に、本発明は、上記の熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよびナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害の治療および診断が可能である。【0043】治療への適用本発明の1つの態様によれば、上記の変異が起こった場合、特に、膜貫通セグメント2と3との間の細胞内ループ、アミノ酸1656位のドメインIVのS4セグメント、またはαサブユニットの膜貫通ドメインのS5セグメントの変異を含む場合、ナトリウムチャネルの選択的アンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターを投与する工程を含む、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよびナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害(悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症(低および高カリウム血性周期性四肢麻痺、先天性筋緊張症、およびカリウム増悪筋強直など)、および心律動異常(QT延長症候群など)が含まれるが、これらに限定されない)の治療方法が得られる。【0044】本発明のさらに別の態様では、上記の変異が起こった場合、特に、膜貫通セグメント2と3との間の細胞内ループ、アミノ酸1656位のドメインIVのS4セグメント、またはαサブユニットの膜貫通ドメインのS5セグメントの変異を含む場合であって、前記変異がてんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよびナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害(悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症(低および高カリウム血性周期性四肢麻痺、先天性筋緊張症、およびカリウム増悪筋強直など)、および心律動異常(QT延長症候群など)が含まれるが、これらに限定されない)を含む傷害の原因である、上記障害の治療薬の製造におけるナトリウムチャネルへのナトリウムチャネルの選択的アンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターの使用が得られる。【0045】本発明の1つの態様では、適切なアンタゴニストまたはモジュレーターはαサブユニットの変異を含むナトリウムチャネル(本発明の一部を形成するナトリウムチャネルを含む)に対する野生型機能を回復させる。【0046】当該分野で周知の方法を使用し、変異ナトリウムチャネルを使用して、疾患の原因である変異チャネルに特異的な抗体を産生するか、変異ナトリウムチャネルに特異的に結合する医薬品を同定するための医薬品ライブラリーをスクリーニングすることができる。【0047】1つの態様では、変異ナトリウムチャネルに特異的に結合する抗体を、アンタゴニストまたはモジュレーターとして、または間接的に医薬品を変異ナトリウムチャネルを発現する細胞または組織に輸送するための送達機構として使用することができる。【0048】本発明のなおさらなる態様では、上記のポリペプチドと免疫学的な反応性を示すが、野生型ナトリウムチャネルまたはそのサブユニットとは反応性を示さない抗体が得られる。【0049】特に、受容体を含むサブユニットにおいて上記の障害の原因である変異を含む構築されたナトリウムチャネルに対する抗体が得られる。このような抗体には、当業者に理解されているポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、および一本鎖抗体を含み得るが、これらに限定されない。【0050】抗体産生のために、ウサギ、ラット、ヤギ、マウス、ヒト、およびその他を含む種々の宿主を、上記のポリペプチドまたは免疫原性を示すその任意のフラグメントもしくはオリゴペプチドの注射によって免疫化することができる。種々のアジュバントを使用して、免疫応答を増加させることができ、これらのアジュバントには、水酸化アルミニウムなどのフロイントミネラルゲルおよびリゾレシチンなどの界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。ヒトで使用されるアジュバントには、BCG(弱毒化ウシ結核菌株)およびCorynebacterium parvumが含まれる。【0051】変異ナトリウムチャネルに対する抗体を誘導するために使用されるオリゴペプチド、ペプチド、またはフラグメントは、少なくとも5個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも10個のアミノ酸からなるアミノ酸を有することが好ましい。これらのオリゴヌクレオチド、ペプチド、またはフラグメントは、天然タンパク質のアミノ酸配列の一部と同一であり、天然に存在する小分子のアミノ酸配列全体を含むことも好ましい。ナトリウムチャネルアミノ酸の短鎖を別のタンパク質(例えばKLH)の鎖と融合することができ、キメラ分子に対する抗体を使用することができる。【0052】変異ナトリウムチャネルに対するモノクローナル抗体を、培養での連続継代細胞系による抗体分子産生が提供される任意の技術を使用して調製することができる。これらには、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、およびEBV−ハイブリドーマ技術が含まれるが、これらに限定されない。(例えば、Kohlerら、1975;Kozborら、1985;Coteら、1983;Coleら、1984を参照のこと)。【0053】リンパ球集団でのin vivo産生の誘導または高度に特異的な結合試薬の免疫グロブリンライブラリーもしくはパネルのスクリーニングによって抗体を産生することもできる。(例えば、Orlandiら、1989;Winterら、1991を参照のこと)。【0054】変異ナトリウムチャネルの特異的結合部位を含む抗体フラグメントを作製することもできる。例えば、このようなフラグメントには、抗体分子のペプシン消化によって産生されるF(ab’)2フラグメントおよびF(ab’)2フラグメントのジスルフィド結合の還元によって作製されるFabフラグメントが含まれる。あるいは、所望の特異性を有するモノクローナル抗体が迅速且つ容易に同定されるようなFab発現ライブラリーを構築することが可能である。(例えば、Huseら、1989を参照のこと)。【0055】所望の特異性を有する抗体の同定スクリーニングのために種々の免疫アッセイを使用することができる。多数の競合結合プロトコールまたは特異性が確立されたポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体のいずれかを使用した免疫二量体アッセイが当該分野で周知である。このような免疫アッセイは、典型的には、ナトリウムチャネルとその特異的抗体との間の複合体形成の測定を含む。2つの非妨害ナトリウムチャネルエピトープに反応性を示す抗体を使用した2つの部位のモノクローナルベースの免疫アッセイを使用することもできる。【0056】本発明のさらなる態様では、上記の任意の1つのDNA分子の相補物(アンチセンス)であり、変異ナトリウムチャネルαサブユニットをコードするmRNAとハイブリッド形成するRNA分子をコードする単離DNA分子を治療が必要な患者に投与する工程を含む、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよびナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害(悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症(低および高カリウム血性周期性四肢麻痺、先天性筋緊張症、およびカリウム増悪筋強直など)、および心律動異常(QT延長症候群など)が含まれるが、これらに限定されない)の治療方法が得られる。【0057】典型的には、本発明のポリヌクレオチドの相補物を発現するベクターを、このような治療が必要な患者に投与することができる。アンチセンスストラテジーは、アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用、アンチセンスRNA、リボザイム、およびDNアーゼの注射、ならびにアンチセンスRNA発現ベクターのトランスフェクションを含む種々のアプローチを使用することができる。細胞または組織へのベクターの多数の移入法が利用可能であり、in vivo、in vitro、およびex vivoで等しく適切である。ex vivo療法のために、ベクターを患者から採取した幹細胞に移入し、この患者に自家移植片を戻すためのクローンを増殖することができる。トランスフェクション、リポソーム注入、またはポリカチオン性ポリマーによる送達を、当該分野で周知の方法を使用して達成することができる。(例えば、Goldmanら、1997を参照のこと)。【0058】本発明のなおさらなる態様では、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよびナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害(悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症(低および高カリウム血性周期性四肢麻痺、先天性筋緊張症、およびカリウム増悪筋強直など)、および心律動異常(QT延長症候群など)が含まれるが、これらに限定されない)の治療薬の製造における、本発明のDNA分子の相補物であり、変異ナトリウムチャネルαサブユニットをコードするmRNAとハイブリッド形成するRNA分子をコードする、単離DNA分子の使用が得られる。【0059】さらなる態様では、適切なアゴニストまたはモジュレーターには、上記のαサブユニットの変異を含むナトリウムチャネルの野生型活性を修復することができる小分子を含み得るか、チャネルを正常な機能に修復することができる変異ナトリウムチャネルに対する抗体を含み得る。【0060】下記の薬物スクリーニングにおいて本発明の核酸およびペプチドを使用して、治療に適切な小分子を同定することができる。【0061】さらなる実施形態では、本発明の任意のアゴニスト、アンタゴニスト、モジュレーター、抗体、相補配列、またはベクターを、単独または他の適切な治療薬と組み合わせて投与することができる。従来の薬学的原理に従って、当業者は適切に薬剤を選択することができる。治療薬の組み合わせにより、上記の種々の障害を治療または予防するように相乗的に作用することができる。このアプローチを使用して、より低用量の各薬剤で治療効果を得ることが可能であり、それにより副作用の可能性も減少し得る。【0062】薬物スクリーニング本発明のさらに別の態様では、本発明のペプチド、特に精製された変異ナトリウムチャネルαサブユニットポリペプチドおよびこれらを発現する細胞は、種々の技術での候補医薬品のスクリーニングに有用である。てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよびナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害(悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症(低および高カリウム血性周期性四肢麻痺、先天性筋緊張症、およびカリウム増悪筋強直など)、および心律動異常(QT延長症候群など)が含まれるが、これらに限定されない)の治療に有用な治療薬は、本発明のポリペプチドに対する結合親和性を示すようであることが認識される。【0063】このような技術には、好ましくは競合結合アッセイにおけるポリペプチドまたはフラグメントを発現する組換え分子で安定に形質転換された真核または原核宿主細胞の使用が含まれるが、これらに限定されない。結合アッセイは、変異ナトリウムチャネルαサブユニットポリペプチドまたはフラグメントと試験薬剤との間の複合体の形成を測定するか、試験薬剤が変異ナトリウムチャネルαサブユニットポリペプチドまたはフラグメントと試験薬剤との間の複合体の形成を妨害する程度を測定する。【0064】別の薬物スクリーニング技術により、変異ナトリウムチャネルαサブユニットポリペプチドまたはこれらを含むナトリウムチャネルに対して適切な結合親和性を有する化合物の高処理スクリーニングが得られる(PCT公開出願WO84/03564を参照のこと)。この記載の技術では、多数の小ペプチド試験化合物を固相上で合成し、変異ナトリウムチャネルまたは変異ナトリウムチャネルαサブユニットポリペプチドの結合および洗浄によってアッセイすることができる。結合した変異ナトリウムチャネルまたは変異ナトリウムチャネルαサブユニットポリペプチドを、当該分野で周知の方法によって検出する。種々のこの技術では、本発明の精製ポリペプチドを、プレート上に直接コーティングして相互作用した試験化合物を同定することができる。【0065】本発明はまた、変異ナトリウムチャネルに特異的に結合することができる中和抗体がこれに結合する試験化合物と競合する競合薬物スクリーニングアッセイの使用を意図する。この様式では、抗体を使用して、変異ナトリウムチャネルの1つまたは複数の抗原決定基を共有する任意のペプチドの存在を検出することができる。【0066】本発明は、変異ナトリウムチャネルαサブユニット(特に、本発明のもの)を保有する形質転換細胞、トランスフェクトもしくは注射卵母細胞、または動物モデル(トランスジェニック動物または遺伝子標的化(ノックイン)動物など(以下を参照のこと))における本発明のポリペプチドの使用による化合物のスクリーニングに特に有用である。特定の薬物を、培養中細胞に添加するか、変異ナトリウムチャネルαサブユニットを含む動物モデルに投与して、チャネルの電流に対する効果を野生型ナトリウムチャネルを含む細胞または動物の電流と比較する。電流をより正常なレベルに変化させる薬物候補は、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよび上記のナトリウムチャネルに関連する他の障害の治療または予防に有用である。【0067】本発明のポリペプチドを、組み合わせライブラリーテクノロジーの結果として開発された化合物のスクリーニングに使用することもできる。これにより、ポリペプチドの活性を調整する能力について多数の異なる物質を試験する方法が得られる。このようなライブラリーおよび当該分野で公知のその使用と共にペプチドライブラリーを使用することが好ましい(WO97/02048を参照のこと)。【0068】ポリペプチド機能のモジュレーターとして同定された物質は、本質的にペプチドでも非ペプチドでもよい。多くのin vivoでの薬学的適用において非ペプチド「小分子」がしばしば好ましい。さらに、類似物または模倣物を、薬学的用途のためにデザインすることができる。公知の薬学的に活性な化合物(「リード」化合物)に基づいた模倣物のデザインは、新規の医薬品開発への共通のアプローチである。元の活性化合物が合成が困難であるか高価である場合、または望ましくない投与方法が得られる場合にこれはしばしば望ましい。模倣物デザインの場合、標的特性の決定に重要な元の活性化合物の特定の部分を同定する。化合物の活性領域のこれらの部分または残渣は、その薬理作用団として公知である。一旦見出されると、薬理作用団の構造をX線回折データおよびNMRを含む各種情報源由来のデータを使用してその物理的性質によってモデリングする。次いで、薬理作用団を模倣する化学基を付加することができるテンプレート分子を選択する。模倣物の合成が容易であり、薬学的に許容可能であると考えられ、in vivoで分解されず、リード化合物の生物活性を保持するように選択することができる。in vivoまたは臨床試験に有用な1つまたは複数の模倣物が選択されるようにさらなる最適化または修飾を行うことができる。【0069】標的特異的抗体を単離し、その結晶構造を解析することも可能である。原則的には、このアプローチにより薬理作用団が得られ、その後の薬物デザインは上記に基づくことができる。概して機能的な薬理学的に活性な抗体に対する抗イディオタイプ抗体(抗ids)の作製によってタンパク質の結晶学的解析を回避することが可能である。鏡像の鏡像として、抗idの結合部位は、元の受容体のアナログであると予想される。次いで、抗idを使用して、科学的または生物学的に産生されたペプチドバンクからペプチドを単離することができる。【0070】上記の任意の治療方法を、このような療法を必要とする任意の被験体(例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、および最も好ましくはヒトなどの哺乳動物が含まれる)に適用することができる。【0071】診断への適用本発明のポリヌクレオチド配列を、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよびナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害(悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症(低および高カリウム血性周期性四肢麻痺、先天性筋緊張症、およびカリウム増悪筋強直など)、および心律動異常(QT延長症候群など)が含まれるが、これらに限定されない)の診断に使用することができるので、これらの障害の診断における本発明のDNA分子の使用が意図される。【0072】本発明の別の実施形態では、診断に使用することができるポリヌクレオチドには、オリゴヌクレオチド配列、ゲノムDNA、ならびに相補RNAおよびDNA分子が含まれる。ポリヌクレオチドを使用して、生体サンプル中の遺伝子発現を検出および定量することができる。診断用のゲノムDNAを、体細胞(血液中に存在するものなど)、組織生検、外科標本、または剖検材料から得ることができる。DNAを単離し、特定の配列の検出に直接使用するか、分析前にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅することができる。同様に、PCR増幅を使用するか使用しないでRNAまたはcDNAを使用することもできる。特定の核酸配列を検出するために、特定のオリゴヌクレオチドを使用したハイブリッド形成、制限酵素消化およびマッピング、PCRマッピング、RNアーゼ保護、ならびに種々の他の方法を使用することができる。例えば、ナトリウムチャネルサブユニット由来の増幅産物の直接ヌクレオチド配列決定を使用することができる。サンプルアンプリコン配列を、野生型アンプリコン配列と比較して、ヌクレオチドの相違の存在(または非存在)を同定する。【0073】本発明のさらなる態様によれば、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよび上記のナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害の診断における上記のポリペプチドの使用が得られる。【0074】診断アッセイがナトリウムチャネルを構築する変異タンパク質に基づく場合、種々のアプローチが可能である。例えば、ナトリウムチャネルの一部を形成する正常および変異のαサブユニットタンパク質の電気泳動移動度の相違のモニタリングによって診断することができる。このようなアプローチは、電荷置換が存在するか、挿入、欠失、または置換により得られたタンパク質の電気泳動移動度が有意に変化する変異の同定に特に有用である。あるいは、診断は、正常および変異タンパク質のタンパク質分解パターンの相違、種々のアミノ酸残基のモル比の相違、または遺伝子産物の機能の変異を示す機能アッセイに基づき得る。【0075】別の態様では、変異ナトリウムチャネルに特異的に結合する抗体を、てんかんの診断、または変異ナトリウムチャネルのアゴニスト、アンタゴニスト、モジュレーター、またはインヒビターで治療した患者をモニターするアッセイで使用することができる。診断に有用な抗体を、治療薬について上記と同一の様式で調製することができる。変異ナトリウムチャネルを検出するための診断アッセイには、ヒト体液または細胞もしくは組織の抽出物における変異ナトリウムチャネルを検出するために抗体および標識を使用する方法が含まれる。改変を行うか行わずに抗体を使用することができ、レポーター分子の共有結合または非共有結合によって標識することができる。【0076】ELISA、RIA、およびFACSを含む変異ナトリウムチャネルの存在を測定する種々のプロトコールが当該分野で公知であり、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよび上記のナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害の診断の基本が得られる。変異チャネルの発現を、試験哺乳動物被験体(好ましくは、ヒト)から採取した体液または細胞抽出物とチャネルに対する抗体との複合体形成に適切な条件下での組み合わせによって確立する。複合体の形成量を、種々の方法、好ましくは光度測定手段によって定量することができる。変異チャネルに特異的な抗体は、変異チャネルを発現する個体のみと結合し、野生型チャネルのみを発現する個体(すなわち、正常な個体)には結合しない。これにより疾患診断の基礎が確立される。【0077】一旦個体が罹患していると診断されると、有効な治療を開始することができる。これらは、変異チャネルへ変異チャネルの選択的モジュレーターまたはアンタゴニスト(上記の抗体または変異補体など)を投与する工程を含む。別の治療は、正常なチャネル機能に修復するために変異チャネルへ選択的アゴニストまたはモジュレーターを投与する工程を含む。【0078】マイクロアレイさらなる実施形態では、本明細書中に記載の完全長cDNA、オリゴヌクレオチド、または任意のポリヌクレオチド由来のより長いフラグメントを、マイクロアレイのプローブとして使用することができる。マイクロアレイを使用して、多数の遺伝子の発現レベルを同時にモニターし、遺伝子の変異型、変異体、および多型を同定することができる。この情報を使用して、遺伝子の機能を決定し、障害の遺伝的根拠を理解し、障害を診断し、治療薬を開発し、その活性をモニターすることができる。マイクロアレイを、当該分野で公知の方法を使用して、調製、使用、および分析することができる。(例えば、Schenaら、1996;Hellerら、1997を参照のこと)。【0079】本発明のさらなる態様によれば、特定のナトリウムチャネルαサブユニットのヒト変異の結果として作成された動物モデルから得た神経物質、特異本発明で開示された神経物質をマイクロアレイ実験で使用することができる。これらの実験を行って、正常なコントロール脳組織に対するてんかんの脳組織の特定のナトリウムチャネルαサブユニットの発現レベルまたは全脳ライブラリー由来の任意のcDNAクローンを同定することができる。2つの組織の間のナトリウムチャネルαサブユニットを含む遺伝子の発現レベルの変動は、動物モデルに存在する元のナトリウムチャネル変異の原因または結果のいずれかとしててんかんプロセスに関連することを示す。マイクロアレイを上記のように調製することができる。【0080】形質転換宿主本発明はまた、本発明のDNA分子で形質転換された、遺伝子が改変された(ノックアウト、ノックイン、およびトランスジェニック)、非ヒト動物モデルを提供する。これらの動物は、ナトリウムチャネルに関連する疾患の機構を研究するためのナトリウムチャネル機能の研究、候補薬学的化合物のスクリーニング、変異ナトリウムチャネルを発現する移植哺乳動物細胞培養物の作製、および潜在的な治療介入の評価に有用である。【0081】本発明の動物モデルに適切な動物種には、ラット、マウス、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、およびサルおよびチンパンジーなどの非ヒト霊長類が含まれるが、これらに限定されない。比較的操作が容易で寿命が短いので、最初の研究には遺伝子操作したマウスおよびラットが非常に望ましい。迅速にスクリーニング可能であり、取扱いがさらに容易であるので、一定の研究にはトランスジェニック酵母または無脊椎動物が適切且つ好ましい。長期研究には、ヒトと類似しているので非ヒト霊長類が望ましい。【0082】変異ナトリウムチャネルの動物モデルを作製するために、いくつかの方法を使用することができる。これらには、相同な動物遺伝子の特異的変異、相同組換えによる野生型ヒト遺伝子および/またはヒト化動物遺伝子の挿入、野生型、変異、もしくは人工プロモーターエレメントを使用したゲノムまたはミニ遺伝子cDNAとしての変異(1つまたは複数)ヒト遺伝子の挿入、または相同組換えによる内因性遺伝子の人為的に改変したフラグメントの挿入が含まれるが、これらに限定されない。改変には、変異終止コドンの挿入、DNA配列の欠失、またはCreリコンビナーゼなどの酵素によって認識される組換えエレメント(lox p部位)の封入が含まれる。【0083】好ましいトランスジェニックまたは遺伝子標的化(ノックイン)マウスを作製するために、ナトリウムチャネルαサブユニットの変異バージョンを、それぞれ標準的な卵母細胞微量注入技術を使用してマウス生殖細胞系に挿入するか、胚性幹細胞にトランスフェクトすることができる。あるいは、内因性ナトリウムチャネルαサブユニット遺伝子を不活化するか置換することが望ましい場合、胚性幹細胞を使用した相同組換えを適用することができる。【0084】卵母細胞注射のために、変異ナトリウムチャネルαサブユニット遺伝子の1または複数のコピーを、受精直後のマウス卵母細胞の前核に挿入することができる。次いで、この卵母細胞を、偽妊娠養母に再移植する。次いで、新生マウスを、他の組織由来のテールDNAまたはDNAの分析を使用して特定のヒトサブユニット遺伝子配列の存在について構成要素をスクリーニングすることができる。導入遺伝子は、YAC、BAC、PAC、または他の染色体DNAフラグメントとして注射された完全なゲノム配列、天然のプロモーターもしくは異種プロモーターのいずれかを含む完全なcDNA、または全てのコード領域および最適な発現に必要であることが見出されている他のエレメントを含むミニ遺伝子のいずれかであり得る。【0085】本発明のさらに別の態様によれば、候補薬学的化合物のスクリーニングのための上記の遺伝子改変非ヒト動物の使用が得られる。【0086】多数の先行技術の刊行物について本明細書で言及しているが、この引例は任意のこれらの書類がオーストラリアまたは他の任意の国の当該分野の共通の一般知識の一部を形成していることを許可していないことが明白に理解される。【0087】本明細書および特許請求の範囲を通して、用語「含む」(「comprise」、「comprises」、および「comprising」)は、文脈上必要である場合を除き、非排他的意味で使用される。【0088】図面の簡単な説明本発明の好ましい形態を、例示のみの目的で以下の実施例および添付の図面を参照して記載する。図1は、三家族の熱性痙攣プラスを伴う全般てんかん(GSFS+)の家系図を示す。文字(X、Y、またはZ)または0を割り当てていない個体由来のDNAは使用していない。A:Scheffer&Berkovic(1997)における図1に基づいてそれぞれ番号をつけたオーストラリア人の家族の家系図。B:アシュケナジ人家族の家系図。C:ドルーズ人家族の家系図。図2は、この研究で同定された3つの変異の位置を示す、ナトリウムチャネルのαサブユニット(SCN1A)の略図である。図3は、ナトリウムチャネルのアミノ酸アラインメントを示す図である。3つのSCN1A変異を囲むナトリウムチャネルアミノ酸のアラインメント。【0089】発明実施の形態実施例1:罹患親族の臨床診断53人の関連のないGEFS+表現型の発端者群を研究した。これらの被験体を、双生児および家族の研究ならびに日常的な治療法に基づいて確認した。発端者および親族の表現型を、上記のように分類した(Scheffer & Berkovic1997;Singhら、1999)。少なくとも1人の発端者の一等親血縁者がGEFS+範囲内の表現型を有している家族(n=36)。全ての被験体からインフォームドコンセントを得た。【0090】本明細書中に詳述の図1Aのオーストラリア人家族(Scheffer & Berkovic1997;Lopes−Cendesら、2000)は、GEFS+症候群を最初に描写および説明した最初の家系図である。【0091】図1Bのイスラエル人家族は、アシュケナジ人を起源とし、6世代にわたる。12人の親族が痙攣を発症していた。2人の最も老いた親族(I−2、III−3)では、小児期に痙攣を発症しているが、データは表現型が分類されるほど十分ではない。痙攣を発症した他の10人の親族のうち、3人は9〜13ヶ月で熱性痙攣を発症していた。全ての発作は熱を伴って発症し、1〜4歳の間にそれぞれ1〜7回の発作を伴って鎮静される。5人が9〜24ヶ月で熱性痙攣プラスを発症し、5〜41歳の間にそれぞれ2〜15回の発作を伴って鎮静される。幼児期の痙攣は、熱性痙攣と無熱性強直性間代性発作の両方であるが、十代と成人期との間に稀に発症する痙攣は無熱性である。被験体V−16は、6ヶ月から5歳の間に約20回の無熱性痙攣を発症し、5〜15歳で10回の無熱性強直性間代性発作を発症し、中程度の学習障害に関連する複雑部分発作を発症するより重篤な表現型を有していた。彼女を、熱性痙攣プラスおよび複雑部分発作を有する個体と分類した。彼女の姉(V−15)は、典型的な熱性痙攣プラスを発症し、14歳の弟(V−17)は、熱性痙攣を発症しないが、12歳6ヶ月および14歳で無熱性強直性間代性発作を発症した。連鎖分析のために、無熱性強直性間代性発作しか発症しなかったが、彼を発症個体とみなした。V−16(上記を参照のこと)以外の全ての罹患被験体は知能が正常または優れており、全員に通常の神経学的試験を行った。てんかんの活動期に時折脳波記録(EEG)研究を行い、結果は通常正常であるか全般放電を示すと報告された。【0092】第2のイスラエル人家族は、ドルーズ人起源であり、両親は異なるが近くの村に住み、親戚であるとは知られていない。この家族は、2世代であり、4人の親族が痙攣を発症していた(図1Cを参照のこと)。41歳の発端者(I−2)は、時折発熱を伴って何百回もの強直性間代性発作を発症した。これらは4歳から始まり、研究時まで1月に約1回の割合で継続していた。発端者は、中程度の知能障害者であった。EEGは、不規則な全般性の棘波および多棘波放電が認められ、熱性痙攣プラスと診断された。彼女の4人の子供のうち、年長の子供は罹患せず(II−1)、2人の子供は熱性痙攣を罹患し(II−2、II−4)、1人の子供は熱性痙攣プラスを発症した(II−3)。【0093】実施例2:SCN1Aゲノムクローンの単離および配列決定本研究の開始時に、ヒトSCN1A遺伝子の全長配列は公知ではなかった。この配列を決定するために、Genome Systemから入手したヒトBACライブラリーを最初にスクリーニングして、SCN1A遺伝子を含むヒトゲノム配列を同定した。BACフィルターを、ヒトSCN1Aの部分的cDNA配列(Genbankアクセッション番号X65362)からデザインしたプライマー対5’AGATGACCAGAGTGAATATGTGACTAC3’(配列番号13)および5’CCAATGGTAAAATAATAATGGCGT3’(配列番号14)を使用して増幅したPCR産物でスクリーニングした。【0094】製造者の説明にしたがって、BACフィルターをハイブリッド形成させ、洗浄した。最初に、膜を大きなガラスボトル中で、20mlの6×SSC;0.5%SDS;5×デンハート溶液;100μg/ml変性サケ精子DNAにて65℃で少なくとも2時間それぞれ予備ハイブリッド形成させた。[α−32P]dCTP標識プローブとの一晩のハイブリッド形成を、65℃の6×SSC;0.5%SDS;100μg/ml変性サケ精子DNAを含む20mlの溶液中で行った。フィルターを以下の溶液で連続的に洗浄した:2×SSC;0.5%SDS(室温で5分間)、2×SSC;0.1%SDS(室温で15分間)および0.1×SSC;0.5%SDS(必要ならば37℃で1時間)。【0095】このハイブリッド形成物から多数のBACクローンを同定し、サブクローニングおよび配列決定のためにBAC129e04を選択した。このBACクローン由来のDNAを、噴霧によって剪断した(10psiで45秒間)。次いで、剪断されたDNAを標準的な方法(Sambrookら、1989)を使用して平滑末端にし、アガロースゲルで泳動して2〜4Kbのサイズ範囲でDNAを単離した。QIAquickカラム(Qiagen)を使用してこれらのフラグメントのアガロースを洗浄し、puc18にライゲーションし、これを使用してコンピテントXL−1 Blue E.coli細胞に形質転換した。形質転換クローンからDNAを単離し、ベクター特異的プライマーを使用してABI377シークエンサーによって配列決定し、BACクローンの被覆度1Xを得た。配列データをPhred、Phrap、およびGap4項処理配列決定ソフトウェアを使用してコンティーグに構築する。SCN1Aの全長ヒトcDNA配列が知られていないので、ラットScn1aのcDNA配列(Genbank Accession Number M22253)に基づいてエクソン−イントロン境界を予想した。【0096】ヒトSCN1A遺伝子は、8,381塩基対長と決定され、100Kbを超えるゲノムDNAにわたり27個のエクソンに配置されている。関連するナトリウムチャネルSCN4A、SCN5A、およびSCN8Aとの比較を容易にするために、SCN1Aの第1の非翻訳エクソンをエクソン1Aとし、予備、開始コドンを含む第2のエクソンはエクソン1のままである(表1)。SCN1A遺伝子は、DNAおよびタンパク質レベルの両方においてSCN2AおよびSCN3Aと高い相同性を示す。第2染色体でこれらの遺伝子が相互に近接していることから、ナトリウムチャネル遺伝子ファミリーの進化の間に重複が考えられる。SCN4AおよびSCN8Aとの比較により、SCN1Aの3’UTR中にさらなる配列が存在し、最後のエクソンの全長は約3.3kbである。【0097】SCN1Aのスプライス部位の調査は、2つのイントロン(イントロン2および23)以外の全イントロンがGT−AGで結合したコンセンサススプライスモチーフと密接に一致することを示す。これらのイントロンは、コンセンサススプライスモチーフパターンから逸脱し、AT−AC末端ジヌクレオチドで結合している。これらの稀なスプライス部位のバリエーションは、他の特徴付けられたナトリウムチャネルサブユニット(SCN4A、SCN8A、およびより遠縁のSCN5A)中で保存されており、これは先祖の起源を示す。【0098】イントロンの位置もまたナトリウムチャネルサブユニット間で高度に保存されており、ほとんどのバリエーションが遺伝子のドメインIとIIとの間の細胞質ループをコードする領域で認められる(表1)。この領域内で、SCN8A中のエクソン10Bの選択的スプライシングに匹敵するSCN1Aの選択的スプライシングが認められた(Plummerら、1998)。細胞質ループ1は、長さおよび組成の両方が変化し、異なるナトリウムチャネルの間で機能的に多様な提唱部位が存在する(Plummer & Meisler、1999)。【0099】実施例3:てんかんの変異についてのSCN1Aの分析SCN1Aのゲノム構造の決定により、熱性痙攣プラスを伴う全般てんかん(GEFS+)患者の変異について試験するためのSCN1Aの27個の各エクソンを増幅するためのイントロンプライマー(表2および配列番号15〜88)をデザインすることが可能である。全部で53人の関連のない患者(上記)を、蛍光一本鎖高次構造多型(SSCP)分析によってスクリーニングした。【0100】SCN1A全エクソンを増幅するようにHEX標識プライマーをデザインした(表2)。30ngの患者のDNAサンプルを、全体積10μlに増幅した。GelScan2000(Corbett Research)を使用して2%グリセロールを含む非変性4%ポリアクリルアミドゲルで産物を分離した。高次構造が変化したPCR産物を、非標識プライマーを用いて100ngのゲノムDNAから再増幅させ、製造者の説明にしたがってBigDye Terminator反応キット(Perkin Elmer)を使用して配列決定した。【0101】第2染色体上でSCN1Aと同一の位置にマッピングされた2家族を含む全部で53人の無関係のGEFS+患者を、蛍光SSCPによってスクリーニングした(図1Aおよび1B)。試験したGEFS+の17人の散発性症例で変異は認められなかった。試験した36家族のうち、3人がアミノ酸配列が変化するSCN1Aの点変異を有することが見出され、コントロール集団(n=60)では存在しない。図1Aの家族における表現型は、第2染色体にマッピングされており(Lopes−Cendesら、2000)、SCN1Aコード配列の563位でA→T変異を有する。この変異により罹患親族を分離する。SCN1Aのエクソン4でのこの変異によりD188Vアミノ酸置換がおこり、これはドメインIのS3セグメントのすぐ外側に存在する(図2)。アルギニンであるクラゲおよびセリンである扁虫以外のヒトおよび多数の異なる動物種では、全ての同定されたナトリウムチャネル中でアスパラギン酸が保存されている(図3)。公開されたラットScn2a配列(Genbankアクセッション番号NM_012647)もまた、残基188にアスパラギン酸の代わりにアルギンを有する。【0102】エクソン21の変異(SCN1Aコード配列の4057位でのGからCへのヌクレオチドの変化)により、アシュケナジ人家族がGEFS+で分けられることが見出された(図1B)。この変異により、ドメインIIIのS5セグメント中に存在する高度に保存されたアミノ酸(V1353L)が変化する(図2)。1人の親族(V−13)は、変異を保有していなかった(図1B)。本件のDNAが利用可能ではないので、この親族の親のDNA試験によってこれを決定した。幼少時に終結する典型的な熱性痙攣を罹患したこの個体は、表現型模写のようである。高カリウム血性周期性四肢麻痺の原因であるSCN4AのS5セグメントの変異もまた、チャネル不活化速度に影響を与えることが示されている(Bendahhouら、1999)。【0103】ドルーズ人家族で発見された第3の変異(SCN1Aコード配列の4968位におけるCからGへのヌクレオチドの変化)(図1C)により、ドメインIVのS4セグメント中のアミノ酸(I1656M)が変化する(図2)。S4セグメントは、チャネルゲーティングの役割を果たし、SCN1Aのこの領域の変異により、不活化速度が減少する(Kuhn and Greef、1996)。【0104】SCN1Aの変異スクリーニングにより、複数の一塩基多型(SNP)が同定された(表3)。GEFS+およびコントロール集団でR1928G変異体が低頻度で見出された。両集団でT1067A変異体は共通であり、同定された残りのSNPのSCN1Aのアミノ酸は変化しなかった(表3)。【0105】実施例4:変異ナトリウムチャネルおよびナトリウムチャネルαサブユニットの分析以下の方法を使用して、変異ナトリウムチャネルまたはナトリウムチャネルαサブユニットの構造および機能を決定する。【0106】分子の生物学的研究全体または一貫したαサブユニットとしての変異ナトリウムチャネルの公知または公知ではないタンパク質に結合する能力を試験することができる。酵母2ハイブリッド系などの手順を使用して、任意の機能的パートナーを発見および同定する。酵母2ハイブリッド系の原理は、多数の真核転写アクチベーター(酵母中のアクチベーターを含む)が2つの異なる分子ドメインからなるということである。第1のドメインは特定プロモーター配列に結合するDNA結合ドメインであり、第2のドメインはDNA結合部位下流の遺伝子を転写するようにRNAポリメラーゼII複合体を指示する活性化ドメインである。いずれのドメインもそれ自体では転写を活性化することができないので、両ドメインは転写活性化が必要である。酵母2ハイブリッド手順では、目的の遺伝子またはその一部(ベイト)を、DNA結合ドメインを有するペプチドとの融合物として発現されるような方法でクローン化する。第2の遺伝子またはcDNAライブラリー由来の遺伝子などの多数の遺伝子(標的)を、活性化ドメインとの融合物として発現するようにクローン化する。目的のタンパク質のその結合パートナーとの相互作用により、活性化ドメインを含むDNA結合ペプチドが得られ、レポーター遺伝子の転写を開始する。第1のレポーター遺伝子は、相互作用タンパク質を含む酵母細胞を選択する(このレポーターは、通常、選択培地での成長に必要な栄養遺伝子である)。相互作用タンパク質に応答して発現する一方で、通常、成長には必要ない第2のレポーターを確認のために使用する。【0107】変異ナトリウムチャネルと相互作用する遺伝子およびタンパク質の性質を、これらのパートナーが薬物発見の標的でもあり得るように研究することもできる。【0108】構造研究変異ナトリウムチャネルαサブユニットに対応する組換えタンパク質を、細菌、酵母、昆虫、および/または哺乳動物細胞中で産生し、結晶学研究およびNMR研究で使用することができる。タンパク質の分子モデルを使用して、構造駆動薬物デザインを容易にすることができる。【0109】実施例5:変異ナトリウムチャネルまたはナトリウムチャネルαサブユニットに対するポリクローナル抗体の作製熱性痙攣プラスを伴う全般てんかん個体のナトリウムチャネルのαサブユニットの新規の変異の同定後、選択的に結合し、正常なタンパク質と変異体とを区別することができる変異チャネルに対する抗体を作製することができる。変異誘発エピトープに特異的な抗体は、医薬品で治療した細胞をスクリーニングして薬剤の治療可能性を評価する細胞培養アッセイで特に有用である。【0110】ポリクローナル抗体を調製するために、ナトリウムチャネルサブユニットのアミノ酸配列に相同な短鎖ペプチドをデザインすることができる。このようなペプチドは、典型的には、10〜15アミノ酸長である。これらのペプチドを、他の受容体サブユニットと最も相同性が低い領域でデザインすべきであり、モノクローナル抗体産生などのさらなる下流実験での異種間の相互作用を回避するためにマウスのオルソログとの相同性は低くあるべきである。次いで、合成ペプチドを、PIERCETMキット(PIERCE)などの市販のキットに添付の標準的なプロトコールを使用して、ビオチン(Sulfo−NHS−LCビオチン)に結合させることができる。その後、ビオチン化ペプチドを、溶液中でアビジンと複合体を形成させ、各ペプチド複合体のために、2匹のウサギを、3週間間隔で4回の抗原(1回あたり200μg)で免疫化する。最初の投薬はフロイント完全アジュバントを混合し、その後の投薬はフロイント免疫アジュバントと組み合わせる。免疫化の完了後、ウサギを試験採血し、血清の反応性を、元のペプチドの連続希釈物を使用したドットブロットによってアッセイする。ウサギが免疫前血清と比較して有意な反応性を示す場合、ウサギを屠殺し、さらなる実験のために免疫血清を分離することができるように採血する。【0111】この手順を繰り返して、受容体サブユニットの野生型形態に対する抗体を作製する。その後に変異ナトリウムチャネルに特異的な抗体を使用して、種々の組織中の変異形態の存在および相対レベルを検出することができる。【0112】実施例6:変異ナトリウムチャネルまたはナトリウムチャネルαサブユニットに対するモノクローナル抗体の作製このクローナル抗体を、以下の様式で調製することができる。インタクトなナトリウムチャネルまたはナトリウムチャネルαサブユニットペプチドを含む免疫原を含むフロイントアジュバントをマウスに注射し、各マウスは10μg〜100μgの免疫原を4回注射する。第4の注射後、マウスから採取した血液サンプルを、免疫原に対する抗体の存在について試験する。免疫マウスを屠殺し、その脾臓を取り出し、1細胞懸濁液を調製する(Harlow and Lane、1988)。脾臓細胞は、リンパ球の供給源として使用し、次いで、恒久的に成長する骨髄腫パートナー細胞と融合させる(Kohler and Milstein、1975)。細胞を96ウェルプレートに2×105細胞/ウェルの密度でプレートし、各ウェルを成長について試験する。次いで、これらのウェルを、野生型または変異サブユニットタンパク質を使用したELISAまたはRIAによってナトリウムチャネル特異的抗体の存在について試験する。陽性ウェル中の細胞を拡大し、サブクローニングして単クローン性を確立および確認する。所望の特異性を有するクローンをマウスの腹水として拡大および成長させ、その後プロテインASepharoseを使用した親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、またはこれらの技術の変形形態および組み合わせを使用して精製する。【0113】産業上の利用性本発明により、てんかんまたはナトリウムチャネルに関連する他の障害(悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症(低および高カリウム血性周期性四肢麻痺、先天性筋緊張症、およびカリウム増悪筋強直など)、および心律動異常(QT延長症候群など)が含まれるが、これらに限定されない)の診断および治療が可能である。特に、本発明により、熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんの診断および治療が可能である。【0114】【表1】【0115】【表2】【0116】【表3】【参考文献】【図面の簡単な説明】【図1】 三家族の熱性痙攣プラスを伴う全般てんかん(GSFS+)の家系図を示す。【図2】 この研究で同定された3つの変異の位置を示す、ナトリウムチャネルのαサブユニット(SCN1A)の略図である。【図3】 ナトリウムチャネルのアミノ酸アラインメントを示す図である。3つのSCN1A変異を囲むナトリウムチャネルアミノ酸のアラインメント。【配列表】 哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルの変異α−1サブユニットをコードする単離核酸分子であって、ナトリウムチャネルのα−1サブユニットのコード配列の4968位でのCからGへのヌクレオチド置換である変異が起こり、前記変異により、構築されたナトリウムチャネルの機能が破壊されててんかん表現型が得られるものにおいて、前記単離核酸分子が配列番号5に記載のヌクレオチド配列の267位から8381位までのヌクレオチド配列からなることを特徴とする単離核酸分子。 哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルの変異α−1サブユニットである単離ポリペプチドであって、ナトリウムチャネルのα−1サブユニットのアミノ酸1656位のイソロイシン残基がメチオニン残基に置換される変異が起こり、前記変異により、構築されたナトリウムチャネルの機能が破壊されててんかん表現型が得られるものにおいて、前記単離ポリペプチドが配列番号6に記載のアミノ酸配列からなることを特徴とする単離ポリペプチド。 請求項2記載のα−1サブユニットを含む構築された哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルである単離ポリペプチド。 請求項1記載の単離核酸分子で形質転換された細胞。 真核細胞または細菌細胞である請求項4記載の細胞。 請求項2または3記載の変異ポリペプチドと免疫学的な反応性を示すが、哺乳動物の野生型電位依存性ナトリウムチャネルとは反応性を示さない抗体。 モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、Fabフラグメントを含む抗体フラグメント、(Fab’)2フラグメント、Fvフラグメント、一本鎖抗体、およびシングルドメイン抗体からなる群から選択される請求項6記載の抗体。 候補医薬品をスクリーニングするための請求項2または3記載のポリペプチドの使用。 高処理スクリーニング技術が用いられる請求項8記載の使用。 候補医薬品のスクリーニングにおける請求項4または5記載の細胞の使用。 請求項1記載のDNA分子を含む発現ベクター。


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特許公報(B2)_熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんのニューロン遺伝子のナトリウムチャネルα1サブユニットおよびそのポリペプチドの変異およびその治療

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんのニューロン遺伝子のナトリウムチャネルα1サブユニットおよびそのポリペプチドの変異およびその治療
出願番号:2002551989
年次:2009
IPC分類:C12N 15/09,C12N 5/10,C07K 14/47,C07K 16/18,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C12P 21/02,C12Q 1/02,C12Q 1/68,G01N 33/15,G01N 33/50,G01N 33/53


特許情報キャッシュ

ワレス, ロバイン, ヒーサー マレイ, ジョン, チャールズ ベルコヴィック, サミュエル, フランク JP 4204317 特許公報(B2) 20081024 2002551989 20011220 熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんのニューロン遺伝子のナトリウムチャネルα1サブユニットおよびそのポリペプチドの変異およびその治療 バイオノミックス リミテッド 502386053 風早 信昭 100103816 浅野 典子 100120927 ワレス, ロバイン, ヒーサー マレイ, ジョン, チャールズ ベルコヴィック, サミュエル, フランク AU PR 2203 20001220 20090107 C12N 15/09 20060101AFI20081211BHJP C12N 5/10 20060101ALI20081211BHJP C07K 14/47 20060101ALI20081211BHJP C07K 16/18 20060101ALI20081211BHJP C12N 1/15 20060101ALI20081211BHJP C12N 1/19 20060101ALI20081211BHJP C12N 1/21 20060101ALI20081211BHJP C12P 21/02 20060101ALI20081211BHJP C12Q 1/02 20060101ALI20081211BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20081211BHJP G01N 33/15 20060101ALI20081211BHJP G01N 33/50 20060101ALI20081211BHJP G01N 33/53 20060101ALI20081211BHJP JPC12N15/00 AC12N5/00 AC07K14/47C07K16/18C12N1/15C12N1/19C12N1/21C12P21/02 CC12Q1/02C12Q1/68 AG01N33/15 ZG01N33/50 ZG01N33/53 M C12N 15/09 GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq UniProt/GeneSeq BIOSIS/WPI(DIALOG) Am J Hum Genet.(2001),Vol.68,No.4,p.859-865 Nat Genet.(2000),Vol.24,No.4,p.343-345 Am J Hum Genet.(2001),Vol.68,No.4,p.866-873 Journal of Physiology(2000),Vol.529,p.533-539 11 AU2001001648 20011220 WO2002050096 20020627 2004515252 20040527 165 20040929 ▲高▼ 美葉子 【0001】技術分野本発明は、特発性てんかんならびに悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症、および不整脈などの他の障害に関連する哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルのαサブユニットの変異、ならびにαサブユニットをコードする遺伝子の多型に関する。【0002】背景技術熱性痙攣プラスを伴う全般てんかん(GEFS+;MIM 604236)は、Scheffer and Berkovic(1997)によって最初に記載され、現在、一般的なてんかん症候群として認識されている(Singhら、1999;Baulacら、1999;Moulardら、1999;Peifferら、1999;Schefferら、2000)。GEFS+は家族性であるにもかかわらず、最初各家族内の臨床的異質性のために異なる症候群として認識するのが困難であった。共通の表現型は、典型的な熱性痙攣(FS)および熱性痙攣プラス(FS+)であり、FS+は、熱を伴う発作が6歳を超えて続き、そして/または無熱性強直性間代性発作を含むという点でFSと異なる。あまり一般的ではない表現型には、アブサンス発作、ミオクローヌス発作、またはアトニー発作、ミオクローヌス失立てんかんなどのさらにより重症の症候群が含まれる。このような表現型の多様性が1遺伝子の変異の分離に関連し得ることが、電位依存性ナトリウムチャネルβ1サブユニット遺伝子(SCN1B)の変異の同定を使用して確立された(Wallaceら、1998)。この変異(C121W)は、保存されているシステイン残基を変化させ、推定ジスルフィド結合を破壊し、in vitroでβ1サブユニット機能を喪失させる。機能的β1サブユニットが存在しない場合、ナトリウムチャネルのαサブユニットの不活化が減速し、ナトリウム流入を増加させ、膜電位が脱分極し、興奮性亢進を引き起こし得る。変更遺伝子または環境はSCN1B遺伝子と相互作用することにより臨床的異質性が説明されるが、SCN1B変異は稀であることから、他の家族において大きな影響を与えるさらなる遺伝子がGEFS+の基礎となることが強く示唆される(Singhら、1999)。【0003】4つの家族におけるGEFS+が染色体2qにマッピングされている(Baulacら、1999;Moulardら、1999;Peifferら、1999;Lopes−Cendesら、2000)。最近、2つのGEFS+家族におけるニューロンの電位依存性ナトリウムチャネルα1(SCN1A)の変異が記載されている(Escaygら、2000)。変異(T785dMおよびR1468H)は、チャネルゲーティングの役割を果たすことが公知のチャネルの高度に保存されたS4膜貫通セグメントに存在する。これらの変異はSCN1Aの不活化速度を減少させることができるので、β−1サブユニット変異と類似の効果を有することが示唆される。【0004】GEFS+は、強力な遺伝的根拠、不完全浸透度ならびに遺伝子および表現型の異質性を伴う明白に共通の複雑性障害である。熱性痙攣は、集団の3%で起こるので、この表現型は、GEFS+遺伝子の遺伝的変異の結果としての発症に加えて、GEFS+家族において散発的に発症し得る(Wallaceら、1998)。また、いくつかの家族では、主要な効果の常染色体優性遺伝子が分離されるにもかかわらず、多くの場合臨床的に遺伝学的証拠(両親のいずれかからの遺伝性など)から、いくつかの小家族について、この障害が多因子性であることが示唆される(Singhら、1999)。これにもかかわらず、大家族では確認されつづけており、臨床的表現型分析を使用して、関連遺伝子を局在化し、最終的に同定する機会が与えられている。【0005】発明の開示本発明者らは、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんに関連する電位依存性ナトリウムチャネルのα−1サブユニット(SCN1A)の3つの新規の変異を同定し、この遺伝子のヌクレオチド配列も決定した。【0006】本発明の1つの態様によれば、点変異、欠失、挿入、および再配列からなる群から選択される変異が起こり、前記変異により、構築されたナトリウムチャネルの機能が破壊されててんかん表現型が得られるが、前記変異がα−1サブユニットにおけるC2624TトランジションまたはG4943Aトランジションではない、哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルの変異αサブユニットをコードする単離DNA分子が得られる。【0007】好ましくは、変異は点変異である。【0008】典型的には、変異は、細胞内ループ、好ましくは、ドメインIの膜貫通セグメント2と3との間の細胞内ループ、アミノ酸1656位のドメインIVのS4セグメント、または膜貫通ドメインのS5セグメントで起こる。好ましくは、変異により熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんの表現型が得られる。【0009】本発明の1つの形態では、変異は、SCN1Aのエクソン4に存在し、それによりアミノ酸188位で高度に保存されたアスパラギン酸残基がバリン残基に置換される。D188V変異はSCN1AのドメインIのS3セグメントのすぐ外側の細胞内ループに存在し、この変異は配列番号1に記載のSCN1Aコード配列の563位でのAからTへのヌクレオチドの置換の結果として起こる。【0010】本発明のさらなる形態では、変異は、SCN1Aのエクソン21に存在し、それによりアミノ酸1353位で高度に保存されているバリン残基がロイシン残基に保存される。V1353L変異はSCN1AのドメインIIIのS5セグメント中に存在し、この変異は配列番号3に記載のSCN1Aコード配列の4057位でのGからCへのヌクレオチドの置換の結果として起こる。【0011】 本発明のなおさらなる形態では、変異は、SCN1Aのエクソン26に存在し、それによりアミノ酸1656位で高度に保存されているイソロイシン残基がメチオニン残基に置換される。I1656M変異はSCN1AのドメインIVのS4セグメント中に存在し、この変異は配列番号5に記載のSCN1Aコード配列の4968位でのCからGへのヌクレオチドの置換の結果として起こる。【0012】配列番号89に記載の遺伝子のヌクレオチド配列もまた、本発明の一部を形成する。さらに、表3で同定した多型も本発明の一部を形成する(配列番号7〜9および11)。【0013】本発明はまた、点変異、欠失、挿入、および再配列からなる群から選択される1つまたは複数のさらなる変異が起こるDNA分子を含む。任意のこのようなDNA分子は、上記のてんかんに関連する変異を含み、機能的であるが、配列番号1、3、および5に記載のDNA分子と有意に異なってもよい。【0014】本発明のヌクレオチド配列を、種々の目的のために当該分野で受け入れられている方法を使用して操作することができる。これらには、遺伝子産物のクローニング、プロセシング、および/または発現の修飾が含まれるが、これらに限定されない。遺伝子フラグメントのPCR再構築および合成オリゴヌクレオチドの使用により、本発明のヌクレオチド配列を操作可能である。例えば、オリゴヌクレオチド媒介部位特異的変異誘発により新規の制限部位を作製し、発現パターンが変更し、スプライス変異型が産生されるさらなる変異を移入することができる。【0015】遺伝コードの縮重の結果として、多数のポリヌクレオチド配列、任意の公知の遺伝子および天然に存在する遺伝子のポリヌクレオチド配列との類似性が最小であり得るいくつかの配列を産生することができる。したがって、本発明には、可能なコドン選択に基づく選択の組み合わせによって作製することができるポリヌクレオチド配列の全ての可能な組み合わせが含まれる。本発明のポリヌクレオチド配列に適用される標準的なトリプレット遺伝コードにしたがってこれらの組み合わせが得られ、全てのこのようなバリエーションは特に開示するように考慮すべきである。【0016】本発明のDNA分子には、cDNA、ゲノムDNA、合成形態、混合ポリマー、センスおよびアンチセンス鎖が含まれ、且つ化学的または生化学的に修飾することができるか当業者によって認識される非天然または誘導化ヌクレオチド塩基を含み得る。このような修飾には、標識、メチル化、挿入剤、アルキル化剤、および結合の修飾が含まれる。いくつかの例では、本発明のポリヌクレオチド配列とコドン使用頻度が実施的に異なるヌクレオチド配列を産生することが有利であり得る。例えば、特定のコドンが宿主によって使用される頻度に対応する特定の原核宿主または真核宿主におけるペプチドの発現速度を増加させるようにコドンを選択することができる。コードされたアミノ酸配列を変化させること無くヌクレオチド配列を変化させる他の理由には、天然に存在する変異配列から産生される転写物より望ましい特性(より長い半減期)を有するRNA転写物の産生が含まれる。【0017】本発明はまた、完全な合成化学による本発明のDNA配列の産生を含む。合成配列を、適切な宿主中の挿入コード配列の転写および翻訳調節に必要なエレメントを含む発現ベクターおよび細胞系に挿入することができる。これらのエレメントには、本発明のポリペプチドをコードする配列がより有効に翻訳される調節配列、プロモーター、5’および3’非翻訳領域および特定の開始シグナル(ATG開始コドンおよびKozakコンセンサス配列など)を含み得る。開始コドンおよび上流調節配列を含む完全なコード配列を適切な発現ベクターに挿入する場合、さらなる調節シグナルは必要ない。しかし、コード配列またはそのフラグメントのみを挿入する場合、ベクターによって上記の外因性翻訳調節シグナルが得られるはずである。このようなシグナルは起源が様々であってよく、天然および合成の両方であってよい。使用する特定の宿主細胞系に適切なエンハンサーの封入によって発現効率を増大させることができる(Scharfら、1994)。【0018】本発明はまた、本明細書中に記載の配列の相補物である核酸分子を含む。【0019】本発明のさらに別の態様によれば、配列番号1、3、5、7、8、9、11、および89のいずれか1つに記載のヌクレオチドからなる単離DNA分子が得られる。【0020】本発明により、本発明のポリヌクレオチドまたはその変異型から精製ポリペプチドまたはタンパク質が調製される。これを行うために、宿主細胞を、上記のDNA分子で形質転換することができる。典型的には、宿主細胞と本発明のDNA分子を含む発現ベクターでトランスフェクトする。種々の発現ベクター/宿主系を使用して、本発明のポリペプチドをコードする配列を含めるか発現することができる。これらには、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生物;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染された昆虫細胞系;またはマウス、他の動物、もしくはヒトの組織細胞系が含まれるが、これらに限定されない。哺乳動物細胞を使用し、種々の発現ベクター(プラスミド、コスミド、およびワクシニアウイルス発現系などのウイルス系を含む)を使用してタンパク質を発現することができる。本発明は、使用した宿主細胞によって制限されない。【0021】本発明のポリヌクレオチド配列またはその変異型を、哺乳動物系で組換えタンパク質を長期産生させるように細胞株で安定に発現させることができる。本発明のポリペプチドをコードする配列を、同一または異なるベクター中にウイルスの複製起点および/または内因性発現エレメントおよび選択マーカー遺伝子を含み得る発現ベクターを使用して細胞株に形質転換することができる。選択マーカーは選択因子への耐性を付与し、その存在により、移入配列を首尾よく発現する細胞を成長および回収可能である。安定に形質転換した細胞の耐性クローンを、細胞型に適切な組織培養技術を使用して増殖させることができる。【0022】形質転換細胞によって産生されたタンパク質を、使用した配列および/またはベクターに依存して細胞内に分泌または保持することができる。当業者に理解されるように、タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを、原核または真核細胞膜を通過してタンパク質を直接分泌するシグナル配列を含むようにデザインすることができる。【0023】さらに、挿入配列の発現を調整する能力または所望の様式で発現タンパク質をプロセシングする能力について宿主細胞株を選択することができる。ポリペプチドのこのような修飾には、アセチル化、グリコシル化、リン酸化、およびアシル化が含まれるが、これらに限定されない。タンパク質の「プレプロ」形態の翻訳後切断を使用して、タンパク質のターゲティング、折りたたみ、および/または活性を特定することもできる。翻訳活性のための特定の細胞機構および特徴的機構を有する異なる宿主細胞(例えば、CHOまたはHeLa細胞)は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から利用可能であり、外来タンパク質の正確な修飾およびプロセシングを確実にするように選択することができる。【0024】抗体産生などのために大量の遺伝子が必要である場合、T5またはT7バクテリオファージ誘導プロモーターを含むベクターなどのこのタンパク質の高発現レベルを支持するベクターを使用することができる。本発明はまた、タンパク質の重要な機能的ドメインを含む融合タンパク質の作製および単離における上記の発現系の使用を含む。これらの融合タンパク質を、結合、構造、および機能の研究ならびに適切な抗体の産生に使用する。【0025】融合タンパク質としてタンパク質を発現および精製するために、本発明の適切なポリヌクレオチド配列を、別のペプチド(例えば、グルタチオン−s−トランスフェラーゼ)をコードするヌクレオチド配列を含むベクターに挿入する。原核細胞または真核細胞から融合タンパク質を発現および回収する。次いで、融合タンパク質を、融合ベクター配列に基づく親和性クロマトグラフィーによって精製することができる。次いで、融合タンパク質の酵素切断によって所望のタンパク質を得る。【0026】本発明のポリペプチドフラグメントを、固相技術を使用した直接的ペプチド合成によって産生することもできる。ABI 431Aペプチド合成機(Perkin−Elmer)の使用によって合成を行うことができる。このタンパク質の種々のフラグメントを、個別に合成し、その後合わせて全長分子を産生することができる。【0027】本発明のさらに別の態様によれば、哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルであり、点変異、欠失、挿入、および再配列からなる群から選択される変異が起こり、前記変異により、構築されたナトリウムチャネルの機能が破壊されててんかん表現型が得られるが、前記変異がα−1サブユニットにおけるT785MトランジションまたはR1648Hトランジションではない単離ポリペプチドが得られる。【0028】好ましくは、変異は、細胞内ループ、好ましくは、ドメインIの膜貫通セグメント2と3との間の細胞内ループ、アミノ酸1656位のドメインIVのS4セグメント、またはSCN1Aの膜貫通ドメインのS5セグメントで起こる。好ましくは、変異により熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんの表現型が得られる。【0029】本発明の1つの形態では、変異は、高度に保存されたアスパラギン酸残基がSCN1AのドメインIのS3セグメントのすぐ外側に存在する細胞内ドメイン中に存在するバリン残基に置換される置換である。好ましくは、置換は、配列番号2に記載のD188Vトランジションである。【0030】本発明のさらなる形態では、変異は、高度に保存されたバリン酸残基がSCN1AのドメインIIIのS5セグメント中に存在するロイシン残基に置換される置換である。好ましくは、置換は、配列番号4に記載のV1353Lトランジションである。【0031】本発明のなおさらなる形態では、変異は、高度に保存されたイソロイシン残基がSCN1AのドメインIVのS4セグメント中に存在するメチオニン残基に置換される置換である。好ましくは、置換は、配列番号6に記載のI1656Mトランジションである。【0032】さらに、表3で同定した多型は、本発明の一部を形成する(配列番号10および12)。これらの多型はSCN1Aの変化を反映し、ナトリウムチャネル機能がわずかに変化し得る。これらのわずかな変化により個体がてんかんを起こしやすくなり、他のイオンチャネルの変化と組み合わせて発現される場合、疾患の特定のサブタイプを発症し得る(PCT/AU01/00872を参照のこと)。【0033】本発明の単離ポリペプチドを、てんかんに関連する変異に加えて、置換、欠失、挿入、および再配列からなる群から選択される1つまたは複数の変異に供することができた。典型的には、これらの変異は、保存的置換である。【0034】本発明のさらに別の態様によれば、配列番号2、4、6、10、および12のいずれか1つに記載の配列を含む単離ポリペプチドが得られる。【0035】本発明のさらに別の態様によれば、配列番号2、4、6、10、および12のいずれか1つに記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドが得られる。【0036】本発明のさらに別の態様によれば、構築された哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルであり、置換、欠失、挿入、および再配列からなる群から選択される変異が複合体のαサブユニット中で起こる、単離ポリペプチド複合体が得られる。変異には、膜貫通セグメント2と3との間の細胞内ループ、アミノ酸1656位のドメインIVのS4セグメント、またはαサブユニットの膜貫通ドメインのS5ドメイン中の変異が含まれる。特定の態様では、αサブユニット中にこのような任意の変異を有する構築された哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルにより、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかん、またはナトリウムチャネルに関連する他の障害(悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症(低および高カリウム血性周期性四肢麻痺、先天性筋緊張症、およびカリウム増悪筋強直、および心律動異常(QT延長症候群など)が含まれるが、これらに限定されない)を発症する。【0037】特定の態様では、構築された哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルであり、膜貫通セグメント2と3との間細胞内ループ、アミノ酸1656位のドメインIVのS4セグメント、またはチャネルのSCN1Aサブユニットの膜貫通ドメインのS5セグメントに変異を有する複合体が得られる。【0038】本発明のさらに別の態様によれば、(1)ポリペプチド産生に有効な条件下で上記の核酸分子を含む発現ベクターでトランスフェクトした宿主細胞を培養する工程と、(2)変異αサブユニットを回収する工程とを含む、哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルの変異αサブユニットであるポリペプチドを調製する方法が得られる。【0039】変異αサブユニットもまたナトリウムチャネルの他のサブユニットで構築して構築された変異ナトリウムチャネルを回収することができる。【0040】本発明のさらに別の態様によれば、上記プロセスの産物であるポリペプチドが得られる。【0041】次いで、実質的に精製されたタンパク質またはそのフラグメントを、さらなる生化学分析で使用して、例えば、タンパク質のX線結晶学または核磁気共鳴(NMR)によって二次構造および三次構造を確立することができる。構造決定により変異ナトリウムチャネルと相互作用するか、全体的なナトリウムチャネルタンパク質の電荷配置を変化させるか、他のタンパク質との相互作用を変化させるか、細胞中のその機能を変化させる医薬品を合理的にデザインすることが可能である。【0042】これらのタンパク質においててんかんに関連する変異が同定されている、変異ナトリウムチャネルαサブユニットが正常遺伝子もしくは変異遺伝子または遺伝子産物のいずれかの存在をスクリーニングまたは検出するための種々のハイブリッド形成および免疫アッセイを含むさらなる適用に有用であることが認識される。本発明はまた、てんかんの治療および野生型および変異核酸分子を有するてんかんの診断が可能である。特に、本発明は、上記の熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよびナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害の治療および診断が可能である。【0043】治療への適用本発明の1つの態様によれば、上記の変異が起こった場合、特に、膜貫通セグメント2と3との間の細胞内ループ、アミノ酸1656位のドメインIVのS4セグメント、またはαサブユニットの膜貫通ドメインのS5セグメントの変異を含む場合、ナトリウムチャネルの選択的アンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターを投与する工程を含む、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよびナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害(悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症(低および高カリウム血性周期性四肢麻痺、先天性筋緊張症、およびカリウム増悪筋強直など)、および心律動異常(QT延長症候群など)が含まれるが、これらに限定されない)の治療方法が得られる。【0044】本発明のさらに別の態様では、上記の変異が起こった場合、特に、膜貫通セグメント2と3との間の細胞内ループ、アミノ酸1656位のドメインIVのS4セグメント、またはαサブユニットの膜貫通ドメインのS5セグメントの変異を含む場合であって、前記変異がてんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよびナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害(悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症(低および高カリウム血性周期性四肢麻痺、先天性筋緊張症、およびカリウム増悪筋強直など)、および心律動異常(QT延長症候群など)が含まれるが、これらに限定されない)を含む傷害の原因である、上記障害の治療薬の製造におけるナトリウムチャネルへのナトリウムチャネルの選択的アンタゴニスト、アゴニスト、またはモジュレーターの使用が得られる。【0045】本発明の1つの態様では、適切なアンタゴニストまたはモジュレーターはαサブユニットの変異を含むナトリウムチャネル(本発明の一部を形成するナトリウムチャネルを含む)に対する野生型機能を回復させる。【0046】当該分野で周知の方法を使用し、変異ナトリウムチャネルを使用して、疾患の原因である変異チャネルに特異的な抗体を産生するか、変異ナトリウムチャネルに特異的に結合する医薬品を同定するための医薬品ライブラリーをスクリーニングすることができる。【0047】1つの態様では、変異ナトリウムチャネルに特異的に結合する抗体を、アンタゴニストまたはモジュレーターとして、または間接的に医薬品を変異ナトリウムチャネルを発現する細胞または組織に輸送するための送達機構として使用することができる。【0048】本発明のなおさらなる態様では、上記のポリペプチドと免疫学的な反応性を示すが、野生型ナトリウムチャネルまたはそのサブユニットとは反応性を示さない抗体が得られる。【0049】特に、受容体を含むサブユニットにおいて上記の障害の原因である変異を含む構築されたナトリウムチャネルに対する抗体が得られる。このような抗体には、当業者に理解されているポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、および一本鎖抗体を含み得るが、これらに限定されない。【0050】抗体産生のために、ウサギ、ラット、ヤギ、マウス、ヒト、およびその他を含む種々の宿主を、上記のポリペプチドまたは免疫原性を示すその任意のフラグメントもしくはオリゴペプチドの注射によって免疫化することができる。種々のアジュバントを使用して、免疫応答を増加させることができ、これらのアジュバントには、水酸化アルミニウムなどのフロイントミネラルゲルおよびリゾレシチンなどの界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。ヒトで使用されるアジュバントには、BCG(弱毒化ウシ結核菌株)およびCorynebacterium parvumが含まれる。【0051】変異ナトリウムチャネルに対する抗体を誘導するために使用されるオリゴペプチド、ペプチド、またはフラグメントは、少なくとも5個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも10個のアミノ酸からなるアミノ酸を有することが好ましい。これらのオリゴヌクレオチド、ペプチド、またはフラグメントは、天然タンパク質のアミノ酸配列の一部と同一であり、天然に存在する小分子のアミノ酸配列全体を含むことも好ましい。ナトリウムチャネルアミノ酸の短鎖を別のタンパク質(例えばKLH)の鎖と融合することができ、キメラ分子に対する抗体を使用することができる。【0052】変異ナトリウムチャネルに対するモノクローナル抗体を、培養での連続継代細胞系による抗体分子産生が提供される任意の技術を使用して調製することができる。これらには、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、およびEBV−ハイブリドーマ技術が含まれるが、これらに限定されない。(例えば、Kohlerら、1975;Kozborら、1985;Coteら、1983;Coleら、1984を参照のこと)。【0053】リンパ球集団でのin vivo産生の誘導または高度に特異的な結合試薬の免疫グロブリンライブラリーもしくはパネルのスクリーニングによって抗体を産生することもできる。(例えば、Orlandiら、1989;Winterら、1991を参照のこと)。【0054】変異ナトリウムチャネルの特異的結合部位を含む抗体フラグメントを作製することもできる。例えば、このようなフラグメントには、抗体分子のペプシン消化によって産生されるF(ab’)2フラグメントおよびF(ab’)2フラグメントのジスルフィド結合の還元によって作製されるFabフラグメントが含まれる。あるいは、所望の特異性を有するモノクローナル抗体が迅速且つ容易に同定されるようなFab発現ライブラリーを構築することが可能である。(例えば、Huseら、1989を参照のこと)。【0055】所望の特異性を有する抗体の同定スクリーニングのために種々の免疫アッセイを使用することができる。多数の競合結合プロトコールまたは特異性が確立されたポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体のいずれかを使用した免疫二量体アッセイが当該分野で周知である。このような免疫アッセイは、典型的には、ナトリウムチャネルとその特異的抗体との間の複合体形成の測定を含む。2つの非妨害ナトリウムチャネルエピトープに反応性を示す抗体を使用した2つの部位のモノクローナルベースの免疫アッセイを使用することもできる。【0056】本発明のさらなる態様では、上記の任意の1つのDNA分子の相補物(アンチセンス)であり、変異ナトリウムチャネルαサブユニットをコードするmRNAとハイブリッド形成するRNA分子をコードする単離DNA分子を治療が必要な患者に投与する工程を含む、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよびナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害(悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症(低および高カリウム血性周期性四肢麻痺、先天性筋緊張症、およびカリウム増悪筋強直など)、および心律動異常(QT延長症候群など)が含まれるが、これらに限定されない)の治療方法が得られる。【0057】典型的には、本発明のポリヌクレオチドの相補物を発現するベクターを、このような治療が必要な患者に投与することができる。アンチセンスストラテジーは、アンチセンスオリゴヌクレオチドの使用、アンチセンスRNA、リボザイム、およびDNアーゼの注射、ならびにアンチセンスRNA発現ベクターのトランスフェクションを含む種々のアプローチを使用することができる。細胞または組織へのベクターの多数の移入法が利用可能であり、in vivo、in vitro、およびex vivoで等しく適切である。ex vivo療法のために、ベクターを患者から採取した幹細胞に移入し、この患者に自家移植片を戻すためのクローンを増殖することができる。トランスフェクション、リポソーム注入、またはポリカチオン性ポリマーによる送達を、当該分野で周知の方法を使用して達成することができる。(例えば、Goldmanら、1997を参照のこと)。【0058】本発明のなおさらなる態様では、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよびナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害(悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症(低および高カリウム血性周期性四肢麻痺、先天性筋緊張症、およびカリウム増悪筋強直など)、および心律動異常(QT延長症候群など)が含まれるが、これらに限定されない)の治療薬の製造における、本発明のDNA分子の相補物であり、変異ナトリウムチャネルαサブユニットをコードするmRNAとハイブリッド形成するRNA分子をコードする、単離DNA分子の使用が得られる。【0059】さらなる態様では、適切なアゴニストまたはモジュレーターには、上記のαサブユニットの変異を含むナトリウムチャネルの野生型活性を修復することができる小分子を含み得るか、チャネルを正常な機能に修復することができる変異ナトリウムチャネルに対する抗体を含み得る。【0060】下記の薬物スクリーニングにおいて本発明の核酸およびペプチドを使用して、治療に適切な小分子を同定することができる。【0061】さらなる実施形態では、本発明の任意のアゴニスト、アンタゴニスト、モジュレーター、抗体、相補配列、またはベクターを、単独または他の適切な治療薬と組み合わせて投与することができる。従来の薬学的原理に従って、当業者は適切に薬剤を選択することができる。治療薬の組み合わせにより、上記の種々の障害を治療または予防するように相乗的に作用することができる。このアプローチを使用して、より低用量の各薬剤で治療効果を得ることが可能であり、それにより副作用の可能性も減少し得る。【0062】薬物スクリーニング本発明のさらに別の態様では、本発明のペプチド、特に精製された変異ナトリウムチャネルαサブユニットポリペプチドおよびこれらを発現する細胞は、種々の技術での候補医薬品のスクリーニングに有用である。てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよびナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害(悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症(低および高カリウム血性周期性四肢麻痺、先天性筋緊張症、およびカリウム増悪筋強直など)、および心律動異常(QT延長症候群など)が含まれるが、これらに限定されない)の治療に有用な治療薬は、本発明のポリペプチドに対する結合親和性を示すようであることが認識される。【0063】このような技術には、好ましくは競合結合アッセイにおけるポリペプチドまたはフラグメントを発現する組換え分子で安定に形質転換された真核または原核宿主細胞の使用が含まれるが、これらに限定されない。結合アッセイは、変異ナトリウムチャネルαサブユニットポリペプチドまたはフラグメントと試験薬剤との間の複合体の形成を測定するか、試験薬剤が変異ナトリウムチャネルαサブユニットポリペプチドまたはフラグメントと試験薬剤との間の複合体の形成を妨害する程度を測定する。【0064】別の薬物スクリーニング技術により、変異ナトリウムチャネルαサブユニットポリペプチドまたはこれらを含むナトリウムチャネルに対して適切な結合親和性を有する化合物の高処理スクリーニングが得られる(PCT公開出願WO84/03564を参照のこと)。この記載の技術では、多数の小ペプチド試験化合物を固相上で合成し、変異ナトリウムチャネルまたは変異ナトリウムチャネルαサブユニットポリペプチドの結合および洗浄によってアッセイすることができる。結合した変異ナトリウムチャネルまたは変異ナトリウムチャネルαサブユニットポリペプチドを、当該分野で周知の方法によって検出する。種々のこの技術では、本発明の精製ポリペプチドを、プレート上に直接コーティングして相互作用した試験化合物を同定することができる。【0065】本発明はまた、変異ナトリウムチャネルに特異的に結合することができる中和抗体がこれに結合する試験化合物と競合する競合薬物スクリーニングアッセイの使用を意図する。この様式では、抗体を使用して、変異ナトリウムチャネルの1つまたは複数の抗原決定基を共有する任意のペプチドの存在を検出することができる。【0066】本発明は、変異ナトリウムチャネルαサブユニット(特に、本発明のもの)を保有する形質転換細胞、トランスフェクトもしくは注射卵母細胞、または動物モデル(トランスジェニック動物または遺伝子標的化(ノックイン)動物など(以下を参照のこと))における本発明のポリペプチドの使用による化合物のスクリーニングに特に有用である。特定の薬物を、培養中細胞に添加するか、変異ナトリウムチャネルαサブユニットを含む動物モデルに投与して、チャネルの電流に対する効果を野生型ナトリウムチャネルを含む細胞または動物の電流と比較する。電流をより正常なレベルに変化させる薬物候補は、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよび上記のナトリウムチャネルに関連する他の障害の治療または予防に有用である。【0067】本発明のポリペプチドを、組み合わせライブラリーテクノロジーの結果として開発された化合物のスクリーニングに使用することもできる。これにより、ポリペプチドの活性を調整する能力について多数の異なる物質を試験する方法が得られる。このようなライブラリーおよび当該分野で公知のその使用と共にペプチドライブラリーを使用することが好ましい(WO97/02048を参照のこと)。【0068】ポリペプチド機能のモジュレーターとして同定された物質は、本質的にペプチドでも非ペプチドでもよい。多くのin vivoでの薬学的適用において非ペプチド「小分子」がしばしば好ましい。さらに、類似物または模倣物を、薬学的用途のためにデザインすることができる。公知の薬学的に活性な化合物(「リード」化合物)に基づいた模倣物のデザインは、新規の医薬品開発への共通のアプローチである。元の活性化合物が合成が困難であるか高価である場合、または望ましくない投与方法が得られる場合にこれはしばしば望ましい。模倣物デザインの場合、標的特性の決定に重要な元の活性化合物の特定の部分を同定する。化合物の活性領域のこれらの部分または残渣は、その薬理作用団として公知である。一旦見出されると、薬理作用団の構造をX線回折データおよびNMRを含む各種情報源由来のデータを使用してその物理的性質によってモデリングする。次いで、薬理作用団を模倣する化学基を付加することができるテンプレート分子を選択する。模倣物の合成が容易であり、薬学的に許容可能であると考えられ、in vivoで分解されず、リード化合物の生物活性を保持するように選択することができる。in vivoまたは臨床試験に有用な1つまたは複数の模倣物が選択されるようにさらなる最適化または修飾を行うことができる。【0069】標的特異的抗体を単離し、その結晶構造を解析することも可能である。原則的には、このアプローチにより薬理作用団が得られ、その後の薬物デザインは上記に基づくことができる。概して機能的な薬理学的に活性な抗体に対する抗イディオタイプ抗体(抗ids)の作製によってタンパク質の結晶学的解析を回避することが可能である。鏡像の鏡像として、抗idの結合部位は、元の受容体のアナログであると予想される。次いで、抗idを使用して、科学的または生物学的に産生されたペプチドバンクからペプチドを単離することができる。【0070】上記の任意の治療方法を、このような療法を必要とする任意の被験体(例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、および最も好ましくはヒトなどの哺乳動物が含まれる)に適用することができる。【0071】診断への適用本発明のポリヌクレオチド配列を、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよびナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害(悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症(低および高カリウム血性周期性四肢麻痺、先天性筋緊張症、およびカリウム増悪筋強直など)、および心律動異常(QT延長症候群など)が含まれるが、これらに限定されない)の診断に使用することができるので、これらの障害の診断における本発明のDNA分子の使用が意図される。【0072】本発明の別の実施形態では、診断に使用することができるポリヌクレオチドには、オリゴヌクレオチド配列、ゲノムDNA、ならびに相補RNAおよびDNA分子が含まれる。ポリヌクレオチドを使用して、生体サンプル中の遺伝子発現を検出および定量することができる。診断用のゲノムDNAを、体細胞(血液中に存在するものなど)、組織生検、外科標本、または剖検材料から得ることができる。DNAを単離し、特定の配列の検出に直接使用するか、分析前にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅することができる。同様に、PCR増幅を使用するか使用しないでRNAまたはcDNAを使用することもできる。特定の核酸配列を検出するために、特定のオリゴヌクレオチドを使用したハイブリッド形成、制限酵素消化およびマッピング、PCRマッピング、RNアーゼ保護、ならびに種々の他の方法を使用することができる。例えば、ナトリウムチャネルサブユニット由来の増幅産物の直接ヌクレオチド配列決定を使用することができる。サンプルアンプリコン配列を、野生型アンプリコン配列と比較して、ヌクレオチドの相違の存在(または非存在)を同定する。【0073】本発明のさらなる態様によれば、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよび上記のナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害の診断における上記のポリペプチドの使用が得られる。【0074】診断アッセイがナトリウムチャネルを構築する変異タンパク質に基づく場合、種々のアプローチが可能である。例えば、ナトリウムチャネルの一部を形成する正常および変異のαサブユニットタンパク質の電気泳動移動度の相違のモニタリングによって診断することができる。このようなアプローチは、電荷置換が存在するか、挿入、欠失、または置換により得られたタンパク質の電気泳動移動度が有意に変化する変異の同定に特に有用である。あるいは、診断は、正常および変異タンパク質のタンパク質分解パターンの相違、種々のアミノ酸残基のモル比の相違、または遺伝子産物の機能の変異を示す機能アッセイに基づき得る。【0075】別の態様では、変異ナトリウムチャネルに特異的に結合する抗体を、てんかんの診断、または変異ナトリウムチャネルのアゴニスト、アンタゴニスト、モジュレーター、またはインヒビターで治療した患者をモニターするアッセイで使用することができる。診断に有用な抗体を、治療薬について上記と同一の様式で調製することができる。変異ナトリウムチャネルを検出するための診断アッセイには、ヒト体液または細胞もしくは組織の抽出物における変異ナトリウムチャネルを検出するために抗体および標識を使用する方法が含まれる。改変を行うか行わずに抗体を使用することができ、レポーター分子の共有結合または非共有結合によって標識することができる。【0076】ELISA、RIA、およびFACSを含む変異ナトリウムチャネルの存在を測定する種々のプロトコールが当該分野で公知であり、てんかん、特に熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんおよび上記のナトリウムチャネル機能障害に関連する他の障害の診断の基本が得られる。変異チャネルの発現を、試験哺乳動物被験体(好ましくは、ヒト)から採取した体液または細胞抽出物とチャネルに対する抗体との複合体形成に適切な条件下での組み合わせによって確立する。複合体の形成量を、種々の方法、好ましくは光度測定手段によって定量することができる。変異チャネルに特異的な抗体は、変異チャネルを発現する個体のみと結合し、野生型チャネルのみを発現する個体(すなわち、正常な個体)には結合しない。これにより疾患診断の基礎が確立される。【0077】一旦個体が罹患していると診断されると、有効な治療を開始することができる。これらは、変異チャネルへ変異チャネルの選択的モジュレーターまたはアンタゴニスト(上記の抗体または変異補体など)を投与する工程を含む。別の治療は、正常なチャネル機能に修復するために変異チャネルへ選択的アゴニストまたはモジュレーターを投与する工程を含む。【0078】マイクロアレイさらなる実施形態では、本明細書中に記載の完全長cDNA、オリゴヌクレオチド、または任意のポリヌクレオチド由来のより長いフラグメントを、マイクロアレイのプローブとして使用することができる。マイクロアレイを使用して、多数の遺伝子の発現レベルを同時にモニターし、遺伝子の変異型、変異体、および多型を同定することができる。この情報を使用して、遺伝子の機能を決定し、障害の遺伝的根拠を理解し、障害を診断し、治療薬を開発し、その活性をモニターすることができる。マイクロアレイを、当該分野で公知の方法を使用して、調製、使用、および分析することができる。(例えば、Schenaら、1996;Hellerら、1997を参照のこと)。【0079】本発明のさらなる態様によれば、特定のナトリウムチャネルαサブユニットのヒト変異の結果として作成された動物モデルから得た神経物質、特異本発明で開示された神経物質をマイクロアレイ実験で使用することができる。これらの実験を行って、正常なコントロール脳組織に対するてんかんの脳組織の特定のナトリウムチャネルαサブユニットの発現レベルまたは全脳ライブラリー由来の任意のcDNAクローンを同定することができる。2つの組織の間のナトリウムチャネルαサブユニットを含む遺伝子の発現レベルの変動は、動物モデルに存在する元のナトリウムチャネル変異の原因または結果のいずれかとしててんかんプロセスに関連することを示す。マイクロアレイを上記のように調製することができる。【0080】形質転換宿主本発明はまた、本発明のDNA分子で形質転換された、遺伝子が改変された(ノックアウト、ノックイン、およびトランスジェニック)、非ヒト動物モデルを提供する。これらの動物は、ナトリウムチャネルに関連する疾患の機構を研究するためのナトリウムチャネル機能の研究、候補薬学的化合物のスクリーニング、変異ナトリウムチャネルを発現する移植哺乳動物細胞培養物の作製、および潜在的な治療介入の評価に有用である。【0081】本発明の動物モデルに適切な動物種には、ラット、マウス、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、およびサルおよびチンパンジーなどの非ヒト霊長類が含まれるが、これらに限定されない。比較的操作が容易で寿命が短いので、最初の研究には遺伝子操作したマウスおよびラットが非常に望ましい。迅速にスクリーニング可能であり、取扱いがさらに容易であるので、一定の研究にはトランスジェニック酵母または無脊椎動物が適切且つ好ましい。長期研究には、ヒトと類似しているので非ヒト霊長類が望ましい。【0082】変異ナトリウムチャネルの動物モデルを作製するために、いくつかの方法を使用することができる。これらには、相同な動物遺伝子の特異的変異、相同組換えによる野生型ヒト遺伝子および/またはヒト化動物遺伝子の挿入、野生型、変異、もしくは人工プロモーターエレメントを使用したゲノムまたはミニ遺伝子cDNAとしての変異(1つまたは複数)ヒト遺伝子の挿入、または相同組換えによる内因性遺伝子の人為的に改変したフラグメントの挿入が含まれるが、これらに限定されない。改変には、変異終止コドンの挿入、DNA配列の欠失、またはCreリコンビナーゼなどの酵素によって認識される組換えエレメント(lox p部位)の封入が含まれる。【0083】好ましいトランスジェニックまたは遺伝子標的化(ノックイン)マウスを作製するために、ナトリウムチャネルαサブユニットの変異バージョンを、それぞれ標準的な卵母細胞微量注入技術を使用してマウス生殖細胞系に挿入するか、胚性幹細胞にトランスフェクトすることができる。あるいは、内因性ナトリウムチャネルαサブユニット遺伝子を不活化するか置換することが望ましい場合、胚性幹細胞を使用した相同組換えを適用することができる。【0084】卵母細胞注射のために、変異ナトリウムチャネルαサブユニット遺伝子の1または複数のコピーを、受精直後のマウス卵母細胞の前核に挿入することができる。次いで、この卵母細胞を、偽妊娠養母に再移植する。次いで、新生マウスを、他の組織由来のテールDNAまたはDNAの分析を使用して特定のヒトサブユニット遺伝子配列の存在について構成要素をスクリーニングすることができる。導入遺伝子は、YAC、BAC、PAC、または他の染色体DNAフラグメントとして注射された完全なゲノム配列、天然のプロモーターもしくは異種プロモーターのいずれかを含む完全なcDNA、または全てのコード領域および最適な発現に必要であることが見出されている他のエレメントを含むミニ遺伝子のいずれかであり得る。【0085】本発明のさらに別の態様によれば、候補薬学的化合物のスクリーニングのための上記の遺伝子改変非ヒト動物の使用が得られる。【0086】多数の先行技術の刊行物について本明細書で言及しているが、この引例は任意のこれらの書類がオーストラリアまたは他の任意の国の当該分野の共通の一般知識の一部を形成していることを許可していないことが明白に理解される。【0087】本明細書および特許請求の範囲を通して、用語「含む」(「comprise」、「comprises」、および「comprising」)は、文脈上必要である場合を除き、非排他的意味で使用される。【0088】図面の簡単な説明本発明の好ましい形態を、例示のみの目的で以下の実施例および添付の図面を参照して記載する。図1は、三家族の熱性痙攣プラスを伴う全般てんかん(GSFS+)の家系図を示す。文字(X、Y、またはZ)または0を割り当てていない個体由来のDNAは使用していない。A:Scheffer&Berkovic(1997)における図1に基づいてそれぞれ番号をつけたオーストラリア人の家族の家系図。B:アシュケナジ人家族の家系図。C:ドルーズ人家族の家系図。図2は、この研究で同定された3つの変異の位置を示す、ナトリウムチャネルのαサブユニット(SCN1A)の略図である。図3は、ナトリウムチャネルのアミノ酸アラインメントを示す図である。3つのSCN1A変異を囲むナトリウムチャネルアミノ酸のアラインメント。【0089】発明実施の形態実施例1:罹患親族の臨床診断53人の関連のないGEFS+表現型の発端者群を研究した。これらの被験体を、双生児および家族の研究ならびに日常的な治療法に基づいて確認した。発端者および親族の表現型を、上記のように分類した(Scheffer & Berkovic1997;Singhら、1999)。少なくとも1人の発端者の一等親血縁者がGEFS+範囲内の表現型を有している家族(n=36)。全ての被験体からインフォームドコンセントを得た。【0090】本明細書中に詳述の図1Aのオーストラリア人家族(Scheffer & Berkovic1997;Lopes−Cendesら、2000)は、GEFS+症候群を最初に描写および説明した最初の家系図である。【0091】図1Bのイスラエル人家族は、アシュケナジ人を起源とし、6世代にわたる。12人の親族が痙攣を発症していた。2人の最も老いた親族(I−2、III−3)では、小児期に痙攣を発症しているが、データは表現型が分類されるほど十分ではない。痙攣を発症した他の10人の親族のうち、3人は9〜13ヶ月で熱性痙攣を発症していた。全ての発作は熱を伴って発症し、1〜4歳の間にそれぞれ1〜7回の発作を伴って鎮静される。5人が9〜24ヶ月で熱性痙攣プラスを発症し、5〜41歳の間にそれぞれ2〜15回の発作を伴って鎮静される。幼児期の痙攣は、熱性痙攣と無熱性強直性間代性発作の両方であるが、十代と成人期との間に稀に発症する痙攣は無熱性である。被験体V−16は、6ヶ月から5歳の間に約20回の無熱性痙攣を発症し、5〜15歳で10回の無熱性強直性間代性発作を発症し、中程度の学習障害に関連する複雑部分発作を発症するより重篤な表現型を有していた。彼女を、熱性痙攣プラスおよび複雑部分発作を有する個体と分類した。彼女の姉(V−15)は、典型的な熱性痙攣プラスを発症し、14歳の弟(V−17)は、熱性痙攣を発症しないが、12歳6ヶ月および14歳で無熱性強直性間代性発作を発症した。連鎖分析のために、無熱性強直性間代性発作しか発症しなかったが、彼を発症個体とみなした。V−16(上記を参照のこと)以外の全ての罹患被験体は知能が正常または優れており、全員に通常の神経学的試験を行った。てんかんの活動期に時折脳波記録(EEG)研究を行い、結果は通常正常であるか全般放電を示すと報告された。【0092】第2のイスラエル人家族は、ドルーズ人起源であり、両親は異なるが近くの村に住み、親戚であるとは知られていない。この家族は、2世代であり、4人の親族が痙攣を発症していた(図1Cを参照のこと)。41歳の発端者(I−2)は、時折発熱を伴って何百回もの強直性間代性発作を発症した。これらは4歳から始まり、研究時まで1月に約1回の割合で継続していた。発端者は、中程度の知能障害者であった。EEGは、不規則な全般性の棘波および多棘波放電が認められ、熱性痙攣プラスと診断された。彼女の4人の子供のうち、年長の子供は罹患せず(II−1)、2人の子供は熱性痙攣を罹患し(II−2、II−4)、1人の子供は熱性痙攣プラスを発症した(II−3)。【0093】実施例2:SCN1Aゲノムクローンの単離および配列決定本研究の開始時に、ヒトSCN1A遺伝子の全長配列は公知ではなかった。この配列を決定するために、Genome Systemから入手したヒトBACライブラリーを最初にスクリーニングして、SCN1A遺伝子を含むヒトゲノム配列を同定した。BACフィルターを、ヒトSCN1Aの部分的cDNA配列(Genbankアクセッション番号X65362)からデザインしたプライマー対5’AGATGACCAGAGTGAATATGTGACTAC3’(配列番号13)および5’CCAATGGTAAAATAATAATGGCGT3’(配列番号14)を使用して増幅したPCR産物でスクリーニングした。【0094】製造者の説明にしたがって、BACフィルターをハイブリッド形成させ、洗浄した。最初に、膜を大きなガラスボトル中で、20mlの6×SSC;0.5%SDS;5×デンハート溶液;100μg/ml変性サケ精子DNAにて65℃で少なくとも2時間それぞれ予備ハイブリッド形成させた。[α−32P]dCTP標識プローブとの一晩のハイブリッド形成を、65℃の6×SSC;0.5%SDS;100μg/ml変性サケ精子DNAを含む20mlの溶液中で行った。フィルターを以下の溶液で連続的に洗浄した:2×SSC;0.5%SDS(室温で5分間)、2×SSC;0.1%SDS(室温で15分間)および0.1×SSC;0.5%SDS(必要ならば37℃で1時間)。【0095】このハイブリッド形成物から多数のBACクローンを同定し、サブクローニングおよび配列決定のためにBAC129e04を選択した。このBACクローン由来のDNAを、噴霧によって剪断した(10psiで45秒間)。次いで、剪断されたDNAを標準的な方法(Sambrookら、1989)を使用して平滑末端にし、アガロースゲルで泳動して2〜4Kbのサイズ範囲でDNAを単離した。QIAquickカラム(Qiagen)を使用してこれらのフラグメントのアガロースを洗浄し、puc18にライゲーションし、これを使用してコンピテントXL−1 Blue E.coli細胞に形質転換した。形質転換クローンからDNAを単離し、ベクター特異的プライマーを使用してABI377シークエンサーによって配列決定し、BACクローンの被覆度1Xを得た。配列データをPhred、Phrap、およびGap4項処理配列決定ソフトウェアを使用してコンティーグに構築する。SCN1Aの全長ヒトcDNA配列が知られていないので、ラットScn1aのcDNA配列(Genbank Accession Number M22253)に基づいてエクソン−イントロン境界を予想した。【0096】ヒトSCN1A遺伝子は、8,381塩基対長と決定され、100Kbを超えるゲノムDNAにわたり27個のエクソンに配置されている。関連するナトリウムチャネルSCN4A、SCN5A、およびSCN8Aとの比較を容易にするために、SCN1Aの第1の非翻訳エクソンをエクソン1Aとし、予備、開始コドンを含む第2のエクソンはエクソン1のままである(表1)。SCN1A遺伝子は、DNAおよびタンパク質レベルの両方においてSCN2AおよびSCN3Aと高い相同性を示す。第2染色体でこれらの遺伝子が相互に近接していることから、ナトリウムチャネル遺伝子ファミリーの進化の間に重複が考えられる。SCN4AおよびSCN8Aとの比較により、SCN1Aの3’UTR中にさらなる配列が存在し、最後のエクソンの全長は約3.3kbである。【0097】SCN1Aのスプライス部位の調査は、2つのイントロン(イントロン2および23)以外の全イントロンがGT−AGで結合したコンセンサススプライスモチーフと密接に一致することを示す。これらのイントロンは、コンセンサススプライスモチーフパターンから逸脱し、AT−AC末端ジヌクレオチドで結合している。これらの稀なスプライス部位のバリエーションは、他の特徴付けられたナトリウムチャネルサブユニット(SCN4A、SCN8A、およびより遠縁のSCN5A)中で保存されており、これは先祖の起源を示す。【0098】イントロンの位置もまたナトリウムチャネルサブユニット間で高度に保存されており、ほとんどのバリエーションが遺伝子のドメインIとIIとの間の細胞質ループをコードする領域で認められる(表1)。この領域内で、SCN8A中のエクソン10Bの選択的スプライシングに匹敵するSCN1Aの選択的スプライシングが認められた(Plummerら、1998)。細胞質ループ1は、長さおよび組成の両方が変化し、異なるナトリウムチャネルの間で機能的に多様な提唱部位が存在する(Plummer & Meisler、1999)。【0099】実施例3:てんかんの変異についてのSCN1Aの分析SCN1Aのゲノム構造の決定により、熱性痙攣プラスを伴う全般てんかん(GEFS+)患者の変異について試験するためのSCN1Aの27個の各エクソンを増幅するためのイントロンプライマー(表2および配列番号15〜88)をデザインすることが可能である。全部で53人の関連のない患者(上記)を、蛍光一本鎖高次構造多型(SSCP)分析によってスクリーニングした。【0100】SCN1A全エクソンを増幅するようにHEX標識プライマーをデザインした(表2)。30ngの患者のDNAサンプルを、全体積10μlに増幅した。GelScan2000(Corbett Research)を使用して2%グリセロールを含む非変性4%ポリアクリルアミドゲルで産物を分離した。高次構造が変化したPCR産物を、非標識プライマーを用いて100ngのゲノムDNAから再増幅させ、製造者の説明にしたがってBigDye Terminator反応キット(Perkin Elmer)を使用して配列決定した。【0101】第2染色体上でSCN1Aと同一の位置にマッピングされた2家族を含む全部で53人の無関係のGEFS+患者を、蛍光SSCPによってスクリーニングした(図1Aおよび1B)。試験したGEFS+の17人の散発性症例で変異は認められなかった。試験した36家族のうち、3人がアミノ酸配列が変化するSCN1Aの点変異を有することが見出され、コントロール集団(n=60)では存在しない。図1Aの家族における表現型は、第2染色体にマッピングされており(Lopes−Cendesら、2000)、SCN1Aコード配列の563位でA→T変異を有する。この変異により罹患親族を分離する。SCN1Aのエクソン4でのこの変異によりD188Vアミノ酸置換がおこり、これはドメインIのS3セグメントのすぐ外側に存在する(図2)。アルギニンであるクラゲおよびセリンである扁虫以外のヒトおよび多数の異なる動物種では、全ての同定されたナトリウムチャネル中でアスパラギン酸が保存されている(図3)。公開されたラットScn2a配列(Genbankアクセッション番号NM_012647)もまた、残基188にアスパラギン酸の代わりにアルギンを有する。【0102】エクソン21の変異(SCN1Aコード配列の4057位でのGからCへのヌクレオチドの変化)により、アシュケナジ人家族がGEFS+で分けられることが見出された(図1B)。この変異により、ドメインIIIのS5セグメント中に存在する高度に保存されたアミノ酸(V1353L)が変化する(図2)。1人の親族(V−13)は、変異を保有していなかった(図1B)。本件のDNAが利用可能ではないので、この親族の親のDNA試験によってこれを決定した。幼少時に終結する典型的な熱性痙攣を罹患したこの個体は、表現型模写のようである。高カリウム血性周期性四肢麻痺の原因であるSCN4AのS5セグメントの変異もまた、チャネル不活化速度に影響を与えることが示されている(Bendahhouら、1999)。【0103】ドルーズ人家族で発見された第3の変異(SCN1Aコード配列の4968位におけるCからGへのヌクレオチドの変化)(図1C)により、ドメインIVのS4セグメント中のアミノ酸(I1656M)が変化する(図2)。S4セグメントは、チャネルゲーティングの役割を果たし、SCN1Aのこの領域の変異により、不活化速度が減少する(Kuhn and Greef、1996)。【0104】SCN1Aの変異スクリーニングにより、複数の一塩基多型(SNP)が同定された(表3)。GEFS+およびコントロール集団でR1928G変異体が低頻度で見出された。両集団でT1067A変異体は共通であり、同定された残りのSNPのSCN1Aのアミノ酸は変化しなかった(表3)。【0105】実施例4:変異ナトリウムチャネルおよびナトリウムチャネルαサブユニットの分析以下の方法を使用して、変異ナトリウムチャネルまたはナトリウムチャネルαサブユニットの構造および機能を決定する。【0106】分子の生物学的研究全体または一貫したαサブユニットとしての変異ナトリウムチャネルの公知または公知ではないタンパク質に結合する能力を試験することができる。酵母2ハイブリッド系などの手順を使用して、任意の機能的パートナーを発見および同定する。酵母2ハイブリッド系の原理は、多数の真核転写アクチベーター(酵母中のアクチベーターを含む)が2つの異なる分子ドメインからなるということである。第1のドメインは特定プロモーター配列に結合するDNA結合ドメインであり、第2のドメインはDNA結合部位下流の遺伝子を転写するようにRNAポリメラーゼII複合体を指示する活性化ドメインである。いずれのドメインもそれ自体では転写を活性化することができないので、両ドメインは転写活性化が必要である。酵母2ハイブリッド手順では、目的の遺伝子またはその一部(ベイト)を、DNA結合ドメインを有するペプチドとの融合物として発現されるような方法でクローン化する。第2の遺伝子またはcDNAライブラリー由来の遺伝子などの多数の遺伝子(標的)を、活性化ドメインとの融合物として発現するようにクローン化する。目的のタンパク質のその結合パートナーとの相互作用により、活性化ドメインを含むDNA結合ペプチドが得られ、レポーター遺伝子の転写を開始する。第1のレポーター遺伝子は、相互作用タンパク質を含む酵母細胞を選択する(このレポーターは、通常、選択培地での成長に必要な栄養遺伝子である)。相互作用タンパク質に応答して発現する一方で、通常、成長には必要ない第2のレポーターを確認のために使用する。【0107】変異ナトリウムチャネルと相互作用する遺伝子およびタンパク質の性質を、これらのパートナーが薬物発見の標的でもあり得るように研究することもできる。【0108】構造研究変異ナトリウムチャネルαサブユニットに対応する組換えタンパク質を、細菌、酵母、昆虫、および/または哺乳動物細胞中で産生し、結晶学研究およびNMR研究で使用することができる。タンパク質の分子モデルを使用して、構造駆動薬物デザインを容易にすることができる。【0109】実施例5:変異ナトリウムチャネルまたはナトリウムチャネルαサブユニットに対するポリクローナル抗体の作製熱性痙攣プラスを伴う全般てんかん個体のナトリウムチャネルのαサブユニットの新規の変異の同定後、選択的に結合し、正常なタンパク質と変異体とを区別することができる変異チャネルに対する抗体を作製することができる。変異誘発エピトープに特異的な抗体は、医薬品で治療した細胞をスクリーニングして薬剤の治療可能性を評価する細胞培養アッセイで特に有用である。【0110】ポリクローナル抗体を調製するために、ナトリウムチャネルサブユニットのアミノ酸配列に相同な短鎖ペプチドをデザインすることができる。このようなペプチドは、典型的には、10〜15アミノ酸長である。これらのペプチドを、他の受容体サブユニットと最も相同性が低い領域でデザインすべきであり、モノクローナル抗体産生などのさらなる下流実験での異種間の相互作用を回避するためにマウスのオルソログとの相同性は低くあるべきである。次いで、合成ペプチドを、PIERCETMキット(PIERCE)などの市販のキットに添付の標準的なプロトコールを使用して、ビオチン(Sulfo−NHS−LCビオチン)に結合させることができる。その後、ビオチン化ペプチドを、溶液中でアビジンと複合体を形成させ、各ペプチド複合体のために、2匹のウサギを、3週間間隔で4回の抗原(1回あたり200μg)で免疫化する。最初の投薬はフロイント完全アジュバントを混合し、その後の投薬はフロイント免疫アジュバントと組み合わせる。免疫化の完了後、ウサギを試験採血し、血清の反応性を、元のペプチドの連続希釈物を使用したドットブロットによってアッセイする。ウサギが免疫前血清と比較して有意な反応性を示す場合、ウサギを屠殺し、さらなる実験のために免疫血清を分離することができるように採血する。【0111】この手順を繰り返して、受容体サブユニットの野生型形態に対する抗体を作製する。その後に変異ナトリウムチャネルに特異的な抗体を使用して、種々の組織中の変異形態の存在および相対レベルを検出することができる。【0112】実施例6:変異ナトリウムチャネルまたはナトリウムチャネルαサブユニットに対するモノクローナル抗体の作製このクローナル抗体を、以下の様式で調製することができる。インタクトなナトリウムチャネルまたはナトリウムチャネルαサブユニットペプチドを含む免疫原を含むフロイントアジュバントをマウスに注射し、各マウスは10μg〜100μgの免疫原を4回注射する。第4の注射後、マウスから採取した血液サンプルを、免疫原に対する抗体の存在について試験する。免疫マウスを屠殺し、その脾臓を取り出し、1細胞懸濁液を調製する(Harlow and Lane、1988)。脾臓細胞は、リンパ球の供給源として使用し、次いで、恒久的に成長する骨髄腫パートナー細胞と融合させる(Kohler and Milstein、1975)。細胞を96ウェルプレートに2×105細胞/ウェルの密度でプレートし、各ウェルを成長について試験する。次いで、これらのウェルを、野生型または変異サブユニットタンパク質を使用したELISAまたはRIAによってナトリウムチャネル特異的抗体の存在について試験する。陽性ウェル中の細胞を拡大し、サブクローニングして単クローン性を確立および確認する。所望の特異性を有するクローンをマウスの腹水として拡大および成長させ、その後プロテインASepharoseを使用した親和性クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、またはこれらの技術の変形形態および組み合わせを使用して精製する。【0113】産業上の利用性本発明により、てんかんまたはナトリウムチャネルに関連する他の障害(悪性高体温、筋無力症、エピソード性運動失調、神経障害性疼痛および炎症性疼痛、アルツハイマー病、パーキンソン病、精神分裂病、驚愕過剰症、筋緊張症(低および高カリウム血性周期性四肢麻痺、先天性筋緊張症、およびカリウム増悪筋強直など)、および心律動異常(QT延長症候群など)が含まれるが、これらに限定されない)の診断および治療が可能である。特に、本発明により、熱性痙攣プラスを伴う全般てんかんの診断および治療が可能である。【0114】【表1】【0115】【表2】【0116】【表3】【参考文献】【図面の簡単な説明】【図1】 三家族の熱性痙攣プラスを伴う全般てんかん(GSFS+)の家系図を示す。【図2】 この研究で同定された3つの変異の位置を示す、ナトリウムチャネルのαサブユニット(SCN1A)の略図である。【図3】 ナトリウムチャネルのアミノ酸アラインメントを示す図である。3つのSCN1A変異を囲むナトリウムチャネルアミノ酸のアラインメント。【配列表】 哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルの変異α−1サブユニットをコードする単離核酸分子であって、ナトリウムチャネルのα−1サブユニットのコード配列の4968位でのCからGへのヌクレオチド置換である変異が起こり、前記変異により、構築されたナトリウムチャネルの機能が破壊されててんかん表現型が得られるものにおいて、前記単離核酸分子が配列番号5に記載のヌクレオチド配列の267位から8381位までのヌクレオチド配列からなることを特徴とする単離核酸分子。 哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルの変異α−1サブユニットである単離ポリペプチドであって、ナトリウムチャネルのα−1サブユニットのアミノ酸1656位のイソロイシン残基がメチオニン残基に置換される変異が起こり、前記変異により、構築されたナトリウムチャネルの機能が破壊されててんかん表現型が得られるものにおいて、前記単離ポリペプチドが配列番号6に記載のアミノ酸配列からなることを特徴とする単離ポリペプチド。 請求項2記載のα−1サブユニットを含む構築された哺乳動物の電位依存性ナトリウムチャネルである単離ポリペプチド。 請求項1記載の単離核酸分子で形質転換された細胞。 真核細胞または細菌細胞である請求項4記載の細胞。 請求項2または3記載の変異ポリペプチドと免疫学的な反応性を示すが、哺乳動物の野生型電位依存性ナトリウムチャネルとは反応性を示さない抗体。 モノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、Fabフラグメントを含む抗体フラグメント、(Fab’)2フラグメント、Fvフラグメント、一本鎖抗体、およびシングルドメイン抗体からなる群から選択される請求項6記載の抗体。 候補医薬品をスクリーニングするための請求項2または3記載のポリペプチドの使用。 高処理スクリーニング技術が用いられる請求項8記載の使用。 候補医薬品のスクリーニングにおける請求項4または5記載の細胞の使用。 請求項1記載のDNA分子を含む発現ベクター。


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