生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_尿酸値低下剤及び尿酸値低下効果を備えた飲食物
出願番号:2001176842
年次:2008
IPC分類:A61K 31/353,A61K 36/18,A61P 19/06,A23L 1/30,A23L 2/52


特許情報キャッシュ

野澤 歩 杉本 明夫 角田 隆巳 JP 4160276 特許公報(B2) 20080725 2001176842 20010612 尿酸値低下剤及び尿酸値低下効果を備えた飲食物 株式会社 伊藤園 591014972 竹内 三郎 100072084 橋本 清 100103399 市澤 道夫 100110962 野澤 歩 杉本 明夫 角田 隆巳 20081001 A61K 31/353 20060101AFI20080911BHJP A61K 36/18 20060101ALI20080911BHJP A61P 19/06 20060101ALI20080911BHJP A23L 1/30 20060101ALN20080911BHJP A23L 2/52 20060101ALN20080911BHJP JPA61K31/353A61K35/78 CA61P19/06A23L1/30 BA23L2/00 F A61K 31/00-33/44 CAplus(STN) REGISTRY(STN) BIOSIS(DIALOG) MEDLINE(DIALOG) EMBASE(STN) 特開平11−193239(JP,A) 特開平01−299224(JP,A) 特開2000−060427(JP,A) AUCAMP,J. et al,Inhibition of xanthine oxidase by catechins from tea (Camellia sinensis),Anticancer Research,ギリシャ,1997年,Vol.17, No.6D,p.4381-4385 LIN,J.K. et al,Inhibition of xanthine oxidase and suppression of intracellular reactive oxygen species in HL-60 cel,Journal of agricultural and food chemistry,米国,2000年,Vol.48, No.7,p.2736-2743 3 2002370980 20021224 6 20030930 高原 慎太郎 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、体内の尿酸値を効果的に低下させることができる尿酸値低下剤、及びそのような薬理効果を備えた飲食物に関する。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】からだの中では、食べ物から摂取したプリン体を肝臓で分解するなどして毎日ほぼ一定量の尿酸を産生している。この尿酸は、血液等の体液に溶けて循環し、産生量とほぼ同量が主に腎臓から尿中へ濾し取られて排泄されている。ところが、何らかの原因(例えば食生活、飲酒、ストレス、腎臓機能の低下、薬剤による影響、遺伝的要因など)で尿酸産生量と排泄量とのバランスが崩れると、体内の尿酸量が増え過ぎて高尿酸血症になることがある。ちなみに、血液中の尿酸濃度(血清尿酸値)は、一般的に男性3.8〜7.0mg/dL、女性2.4〜5.8mg/dLの範囲が管理基準値とされ、男女ともに尿酸値7.0mg/dLを超えると高尿酸血症発症の可能性が高いとされている。【0003】高尿酸血症そのものはなんの症状もないが、これを放っておくと痛風をはじめとする様々な疾病を引き起こすことになる。すなわち、血液中の尿酸の濃度が上昇して飽和濃度を超えると、溶けなくなった尿酸はナトリウムと塩を作って結晶を形成する。尿酸の濃度が高い状態が続くと、この尿酸塩結晶が体内の各部位に沈着して、例えば関節内に尿酸塩が沈着して痛風を引き起したり、腎臓内で結晶化すれば尿路結石や腎障害などを引き起こしたりするのである。また、高尿酸血症は心筋梗塞などの虚血性心疾患の原因となるとも言われている。【0004】現在、尿酸値を下げる薬としては、ベンズブロマロンなどの尿酸排泄を促進する薬と、アロプリノールなどの尿酸合成を阻害する薬とがあり、患者の高尿酸血症のタイプに合わせて処方されている。現在処方されているこれらの薬は、尿酸値のコントロール剤として極めて優秀であり、薬の服用によって血清尿酸値を正常に戻すことができる。しかしながら、高尿酸血症そのものは非常に治りにくい病気であるため、薬の服用を中止すると再び高尿酸血症の状態に戻ってしまう。このため、高尿酸血症を根本的に治療するためには長期に渡って根気よく薬を服用し続ける必要がある。このような点から、高尿酸血症の治療剤としては、長期間安心して無理なく服用できるもの、例えば古くから日常的に摂取されてきた天然物に由来するものが望まれていた。【0005】ところが、従来、天然物由来の高尿酸血症の治療剤或いは尿酸値低下剤として開示されていたものは極僅かであった。例えば、特開平6−311868号が、シラカンバ樹液を主成分とする食用液には痛風などに効果がある旨を開示し、特開平6−247868号は、クロレラを有効成分とする尿酸値低下剤を開示している程度であった。【0006】そこで本発明は、古くから日常的に摂取され、誰でも安心して摂取することができる天然物由来の成分を有効成分とする尿酸値低下剤、及び尿酸値低下効果を備えた飲食物を提供せんとするものである。【0007】【課題を解決するための手段】本発明は、古くから日常的に摂取されている茶に由来する茶ポリフェノールを有効成分として含有する尿酸値低下剤及び尿酸値低下効果を備えた飲食物を提供するものである。【0008】本発明の尿酸値低下剤及び飲食物は、摂取することによって高尿酸血症の状態にある尿酸値を効果的に低下させて正常に戻すことができる。しかも、古くから日常的に愛飲され、誰でも安心して摂取できる茶に由来する成分を有効成分とするものであるから、長期間安心して服用することができ、高尿酸血症を根本的に治療するための治療剤として極めて有用である。また、日常的に無理なく摂取できるから高尿酸血症の予防剤としても極めて有用である。更には、痛風をはじめ、高尿酸血症を原因とする様々な疾病の治療剤または予防剤、これらの薬理効果を備えた飲食物としても有用である。【0009】【発明の実施の形態】上記の如く、本発明の尿酸値低下剤は、茶を抽出して得られるポリフェノールすなわち茶ポリフェノールを有効成分として含有する尿酸値低下剤及び尿酸値低下効果を備えた飲食物である。【0010】ここで、本発明における茶ポリフェノールとは、茶ポリフェノールは、フラバン-3-オールの基本構造を有する次の茶カテキン類すなわち(-)-エピカテキン、(-)-エピガロカテキン、(-)-エピカテキンガレート、(-)-エピガロカテキンガレート、(±)-カテキン、(-)-ガロカテキン、(-)-カテキンガレート、(-)-ガロカテキンガレート、或いは、遊離型テアフラビン、テアフラビンモノガレートA、テアフラビンモノガレートB、テアフラビンジガレート、これらいずれかの重合体、及びこれらのうちの二種類以上の共重合体からなる群から選ばれたいずれか或いは二種類以上の混合物、中でも茶カテキン類、その中でも特に(-)-エピカテキンガレート及び(-)-エピガロカテキンガレートを50%以上含有してなるもののが本発明の有効成分として好ましい。なお、上記の茶カテキン類を含む混合物をレトルト殺菌すると、これら茶カテキン類の重合体や共重合体が生じることが知られている。【0011】これらの茶ポリフェノールは、ツバキ科に属する茶樹(Camellia sinensis )から得られる葉、茎、木部、根、実のいずれか、或いはこれらの2種類以上の混合物から得られる茶から抽出することができ、その茶としても、茶生葉、紅茶やプアール茶等の発酵茶、ウーロン茶や包種茶等の半発酵茶、緑茶や釜煎り緑茶、ほうじ茶等の不発酵茶のいずれか、又は、これらの2種類以上の混合物であればよく、それぞれの茶から抽出して得られるもの(単独)、又はそれぞれの茶から抽出したもの混合物を用いることができる。抽出方法としては、現在既知の任意の方法によって抽出及び精製を行えばよく、また、市販の茶ポリフェノールを使用することもできる。【0012】本発明の有効成分は、茶ポリフェノールのみで構成することも勿論可能であるが、茶ポリフェノールを高濃度で含有する茶抽出物を本発明の有効成分とすることも可能である。また、既に尿酸値低下効果の知られた成分を加えて有効成分とすることもできる。上記の茶ポリフェノールを高濃度で含有する茶抽出物としては、例えば、上記の茶を水、温水または熱水、好ましくは40℃〜100℃の温熱水中でも90〜100℃の熱水にて抽出して得られた抽出物、更に好ましくはこの抽出物を樹脂吸着や限外濾過・逆浸透濾過等の濾過、或いは酢酸エチル等を使用した分配抽出などの精製手段によって茶カテキン含有量を高める方向に精製して得られる茶抽出物、或いは更にこれらの茶抽出物を濃縮或いは乾燥させた茶抽出エキスを挙げることができる。この際、茶ポリフェノール含有濃度は、25〜97%、好ましくは30〜90%であり、この茶抽出物の具体例としては、緑茶を熱水抽出処理し、この抽出物を乾燥させて茶カテキン濃度を約30%とした緑茶エキス(伊藤園社製商品名:テアフラン30A)や、緑茶を熱水抽出処理し、この抽出物を茶カテキン以外の成分を排除するためにカラム法により処理し乾燥させて、茶ポリフェノール濃度を約85〜95%とした緑茶エキス(伊藤園社製商品名:テアフラン90S)などを例示することができる。【0013】本発明の尿酸値低下剤は、医薬品、医薬部外品、健康食品や健康飲料、食品添加剤、飼料、飼料用添加剤など様々な用途に使用することができ、その際の形態としては、凍結乾燥或いは噴霧乾燥等により乾燥させて乾燥粉末として提供することもできるし、液剤、錠剤、散剤、顆粒、糖衣錠、カプセル、懸濁液、乳剤、アンプル剤、注射剤、その他任意の形態に調製して提供することもできる。医薬品として提供する場合、例えば、有効成分をそのまま精製水又は生理食塩水などに溶解して調製することも可能である。医薬部外品としては、医薬部外品に通常配合する成分を加えて調製し、これを瓶ドリンク飲料等の飲用形態、或いはタブレット、カプセル、顆粒等の形態として提供することができる。飲食物としては、例えば、本発明の有効成分に、食品素材(果実やゼリーなども含む)、乳成分、炭酸、賦形剤(造粒剤含む)、希釈剤、或いは更に甘味剤、フレーバー、小麦粉、でんぷん、糖、油脂類等の各種タンパク質、糖質原料やビタミン、ミネラル、その他の生理活性成分、ホルモン、栄養成分などから選ばれた一種或いは二種以上を加えて、スポーツ飲料、果実飲料、茶飲料、野菜ジュース、乳性飲料、アルコール飲料、ゼリー飲料、炭酸飲料などの各種飲料、ゼリー、チューインガム、チョコレート、アイスクリーム、キャンディ、ビスケットなどの菓子類、スナック、パン、ケーキなどの澱粉系加工食品、魚肉練り製品、畜肉製品、豆腐、チーズなどのタンパク質系加工食品、味噌やしょうゆ、ドレッシングなどの調味料、その他、サプリメント、飼料、ペットフードなど様々な形態として提供することができる。【0014】本発明における有効成分の含有量は、用途によっても異なるが、医薬品であれば、カテキン乾燥重量換算にして0.001〜1重量%、特に0.01〜0.5重量%配合することが好ましく、飲食品であれば、カテキン乾燥重量換算にして0.001〜1重量%、特に0.01〜0.5重量%配合することが好ましい。摂取量としては、カテキン乾燥重量換算で一日に10〜5000mg、好ましくは100〜1500mg程度が好ましい。【0015】(試験) 一缶190mLあたりテアフラン90S(:商品名、伊藤園社製)230mgを含有し、かつ味の改良のために若干量のサイクロデキストリン、ビタミンC及び香料を添加してなる被験飲料を作成した。上記のテアフラン90Sは、茶ポリフェノール含量92%、茶カテキン含量としては63%(そのうち、EGCg50%、ECg13%)であった。また、被験飲料はレトルト殺菌してあるため茶カテキン類の重合物や異性体を含んだ混合物飲料となっている。【0016】血清尿酸値の管理基準値上限である7.0mg/dLを超える血清尿酸値濃度を持つ20歳以上の男性7名(高尿酸血症群)と、血清尿酸値濃度が6.5mg/dL未満の20歳以上の男性9名(正常尿酸値群)とを被験者とし、それぞれの被検者に上記被験試料を8週間にわたり1日3回の食事と共に摂取してもらい、試験開始直前、試験開始から4週、6週及び8週後のそれぞれの時点で血清尿酸値を測定した。図1は、高尿酸血症群の平均血清尿酸値(mg/dL)を経時的に示したグラフであり、図2は、正常尿酸値群の平均血清尿酸値(mg/dL)を経時的に示したグラフである。【0017】この結果、血中尿酸値が7.0mg/dLを超える高尿酸血症群では血中の尿酸値が有意に低下した。その一方、血中尿酸値が6.5mg/dL未満の正常尿酸値群では大きな変動は認められなかった。いずれの群も摂取期間中、被験者には何ら副作用は認められず、摂取に際して抵抗感もなかった。これより、本被験飲料は安全かつ無理なく継続的に摂取することができ、特に血清尿酸値が高値を示す者に対して効果的に尿酸値を低下せしめ得ることが判明した。【0018】(実施例1)以下の処方で尿酸値低下剤としてのタブレットを作成した。【0019】茶抽出物(テアフラン90S又はテアフラン30A) … 120mgビタミンC … 50mg乳化オリゴ糖 … 90mg造粒剤 … 60mg結晶セルロース … 80mg還元麦芽糖水飴 … 90mgスクロース … 100mg香料 … 適量【0020】(実施例2)以下の処方で尿酸値低下効果を備えた飲食物としてのある飲料を作成した。【0021】茶抽出物(テアフラン90S又はテアフラン30A) … 150mgビタミンC … 50mg果糖ぶどう液糖 … 10g水溶性食物繊維 … 500mg香料 … 適量イオン交換水 … 100mLに調整【図面の簡単な説明】【図1】高尿酸血症群7名の平均血清尿酸値(mg/dL)を経時的に示したグラフである。【図2】正常尿酸値群9名の平均血清尿酸値(mg/dL)を経時的に示したグラフである。 血漿尿酸値が高値を示す者に対しては尿酸値を低下させ、血漿尿酸値が正常値を示す者に対しては尿酸値が略変動しない、茶カテキン類を有効成分として含有する尿酸値低下剤。 前記茶カテキン類は、フラバン-3-オールの基本構造を有する次の茶カテキン類すなわち(-)-エピカテキン、(-)-エピガロカテキン、(-)-エピカテキンガレート、(-)-エピガロカテキンガレート、(±)-カテキン、(-)-ガロカテキン、(-)-カテキンガレート、(-)-ガロカテキンガレート、これらいずれかの重合体、及びこれらのうちの二種類以上の共重合体からなる群から選ばれたいずれか或いは二種類以上の混合物である請求項1に記載の尿酸値低下剤。 前記茶カテキン類としてEGCgとECgの両方を含有し、これらが総カテキン量の50%以上である茶抽出物を0.001〜1重量%配合してなる、請求項1又は2に記載の尿酸値低下剤。


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