生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_SCF結合阻害剤
出願番号:2001103203
年次:2006
IPC分類:A61K 36/73,A61K 36/896,A61P 11/06,A61P 17/00,A61P 37/08,A61P 43/00,A61K 8/97,A61Q 19/00,C07G 17/00


特許情報キャッシュ

八谷 輝 小林 明美 大内 敦 楠奥 比呂志 JP 3816346 特許公報(B2) 20060616 2001103203 20010402 SCF結合阻害剤 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 浅野 康隆 100089048 的場 ひろみ 100101317 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 八谷 輝 小林 明美 大内 敦 楠奥 比呂志 20060830 A61K 36/73 20060101AFI20060810BHJP A61K 36/896 20060101ALI20060810BHJP A61P 11/06 20060101ALI20060810BHJP A61P 17/00 20060101ALI20060810BHJP A61P 37/08 20060101ALI20060810BHJP A61P 43/00 20060101ALI20060810BHJP A61K 8/97 20060101ALI20060810BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20060810BHJP C07G 17/00 20060101ALI20060810BHJP JPA61K35/78 HA61K35/78 VA61P11/06A61P17/00A61P37/08A61P43/00 111A61K8/97A61Q19/00C07G17/00 Z A61K 36/73 A61K 8/97 A61K 36/896 BIOSIS(STN) CA(STN) MEDLINE(STN) 特開平10−045615(JP,A) 特開2000−204046(JP,A) 特開2000−239144(JP,A) 特開平10−139679(JP,A) 特開2001−064192(JP,A) 特開平09−157177(JP,A) 特開平10−036276(JP,A) 特開平02−011520(JP,A) 特開2000−247897(JP,A) 特開平09−158042(JP,A) 特開平10−175874(JP,A) 特開平10−218784(JP,A) 岸田勝 他,アレルギーの臨床によせる246小児アトピー性皮膚炎に対する精製ツバキ油の効果,アレルギーの臨床,1996年,No.210,pp.855-860 Bouskela, Eliete et al,Possible mechanisms for the inhibitory effects of Ruscus extract on increased microvascular ,Journal of Cardiovascular Pharmacology,1994年,Vol.24,No.2,pp.281-285 1 2002302451 20021018 6 20011002 鶴見 秀紀 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、細胞表面のc−kitレセプターに対するステムセルファクター(Stem cell factor、以下「SCF」という)の結合を阻害するSCF結合阻害剤に関する。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】SCFは、造血幹細胞の表面に発現しているc−kitレセプターのリガンドであり、造血細胞の増殖、分化を促す膜結合型の増殖因子として知られている。近年、c−kitが造血細胞の他に、肥満細胞や生殖細胞等の表面にも発現していることが明らかになり、SCFが肥満細胞上のc−kitレセプターに結合することにより、肥満細胞が遊走、分化・増殖し、これにより喘息やアトピー性皮膚炎等の即時型アレルギーが引き起こされることが報告されている(J.Immunol 1996 May 15;156(10),3945-3951)。【0003】従って、肥満細胞表面上のc−kitレセプターとSCFとの結合を特異的に阻害することができれば、斯かる細胞の分化・増殖に起因するアレルギー疾患の予防及び治療が可能となる。【0004】しかしながら、細胞表面上のc−kitレセプターに対するSCFの結合を阻止する物質については、これまでに全く知られていない。【0005】本発明の目的は、細胞表面、特に肥満細胞表面上のc−kitレセプターに対するSCFの結合を阻害し、医薬又は化粧料として有用なSCF結合阻害剤を提供することにある。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、細胞表面上のc−kitレセプターに対するSCFの結合を特異的に阻害する天然物を探索したところ、特定の植物又はその抽出物に、SCF結合阻害活性があり、当該細胞の分化・増殖に起因する疾患の予防・治療効果を有する医薬又は化粧料として有用であることを見出した。【0007】 すなわち本発明は、ノバラ及びユリから選ばれる植物又はそれらの抽出物からなるSCF結合阻害剤を提供するものである。【0008】【発明の実施の形態】本発明のSCF結合阻害剤とは、細胞表面、特に肥満細胞表面上のc−kitレセプターに対するSCFの結合を特異的に阻害し、当該細胞の分化・増殖に起因する疾患、例えば喘息、枯草熱、アトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患に対して予防・治療効果を有するものをいう。【0009】本発明におけるカンゾウとは、マメ科(Leguminosae)のGlycyrrhiza uralensis Fischer, Glycyrrhiza glabra L.またはその他同属植物の根及びストロンを、アスパラサスリネアリスとは、マメ科(Leguminosae)のAspalathus linearis(N.L.Burm.)R.Dahlgrの全草を、アセンヤクとは、アカネ科(Rubiaceae)のUncaria gambir ROXB.の葉及び若枝から得た乾燥水製エキスを、ブッチャーブルームとは、ユリ科(Liliaceae)のRuscus aculeatus Linneの根茎を、シコンとは、ムラサキ科(Boraginaceae)のムラサキLithospermum erythrorhizon Siebold et Zuccariniの根を、エンメイソウとは、シソ科(Labiatae)のヒキオコシ Isodon japonicus Haraの茎葉を、トウガラシとはナス科(Solanaceae)のトウガラシ Capsicum annuum L. 又はその変種の果実を、ウコンとは、ショウガ科(Zingiberaceae)のウコン Curcuma domestica Valetonの根茎を、コンフリーとは、ムラサキ科(Boraginaceae)のSymphytum officinale Linneの葉を、ノバラとは、バラ科(Rosaceae)のRose canina Linneの果実を、ユリとは、ユリ科(Liliaceae)のユリ Lilium candidumを、チャとは、ツバキ科(Theaceae)のThea sinensis Linneの葉を、チョウジとは、フトモモ科(Myrtaceae)のEugenla caryophyllata THUNB.を、ツバキとは、ツバキ科のCamellia japonica Linneの花をそれぞれ意味する。【0010】本発明における上記植物は、その植物の全草、葉、樹皮、枝、果実又は根等をそのまま又は粉砕して用いることができるが、カンゾウ、シコンについては根を、アスパラサスリネアリス、エンメイソウについては全草を、アセンヤク、コンフリー、チャについては葉を、ブッチャーブルーム、ウコンについては根茎を、トウガラシ、ノバラについては果実を、ユリについては球根を、チョウジについてはつぼみを、ツバキについては花を使用することが好ましい。また、本発明における抽出物とは、更にこれを常温又は加温下にて抽出するか又はソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出することにより得られる各種溶媒抽出液、その希釈液、その濃縮液又はその乾燥末を意味するものである。ここで抽出物は、2種以上の植物から得られたものであってもよい。【0011】本発明の植物抽出物を得るために用いられる抽出溶剤としては、極性溶剤、非極性溶剤のいずれをも使用することができる。例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;スクワラン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;トルエン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;及び二酸化炭素等が挙げられ、これらは混合物として用いることができる。【0012】上記の植物抽出物は、そのまま用いることもできるが、当該抽出物を希釈、濃縮若しくは凍結乾燥した後、粉末又はペースト状に調製して用いることもできる。また、上記の植物抽出物は、クロマトグラフィー液々分配等の分離技術により、上記抽出物から不活性な夾雑物を除去して用いることもできる。【0013】これらの植物又はその抽出物は、後記実施例に示すように優れたSCF結合阻害活性を有する。従って、これを配合した製剤は、喘息、枯草熱、アトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患に対して予防・治療効果を有する医薬又は化粧料として有用である。【0014】本発明のSCF結合阻害剤を医薬として配合する場合には、錠剤、カプセル剤等の内服剤、軟膏、水剤、エキス剤、ローション剤、乳剤等の外用剤、注射剤とすることができ、中でも外用医薬品としての使用が好ましい。【0015】また、化粧料として配合する場合は、種々の形態、例えば、油中水型又は水中油型の乳化化粧料、クリーム、ローション、ジェル、フォーム、エッセンス、ファンデーション、パック、スティック、パウダー等とすることができ、本発明の植物又はその抽出物の他に、化粧料成分として一般に使用されている油分、界面活性剤、紫外線吸収剤、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、色素類、香料、各種皮膚栄養剤等を任意に組合せて配合することができる。【0016】医薬又は化粧料における本発明の植物又はその抽出物の配合量は、乾燥物として通常全組成の0.00001〜1重量%、特に0.0001〜0.1重量%が好ましい。【0017】【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明する。製造例1 チョウジ抽出物の製造チョウジのつぼみを乾燥し、細切した後、その150gに50%(v/v)エタノール水溶液1500mLを加え、室温で7日間抽出した後、ろ過した。このものを減圧濃縮し、さらに水7500mLを加えて減圧濃縮した後、50%(v/v)エタノール水溶液1500mLに溶かした。ここに活性炭36gを加え、室温で6時間攪拌した後、ろ過し、チョウジ抽出物を得た。収量1200mL、蒸発残分1.5%。【0018】製造例2製造例1に準じて下記表1に示す各植物抽出物を調製した。【0019】【表1】【0020】実施例1 SCF結合阻害活性24穴プレート(岩城商事)にヒト培養メラノサイト(三光純薬)を播種し、コンフルエントになるまで培養した。その後、メラノサイト増殖培地から0.05%アルブミン(和光純薬)を含むRPMI1640(Gibco社)に交換し、IODO-GEN lodination Reagent(PIERCE社)を用いて、PIERCE社の示すプロトコ―ルに従い、125Iでラベリングしたヒト組み換えSCF(IBL社)を終濃度で1nMの表2に示す各植物抽出物をそれぞれ終濃度1%で添加した。125I−SCFに対してその100倍量の未標識SCFを加えることで非特異的結合量を求めた。90分間インキュベーション後、非結合SCFを除去するため、反応終了後、氷冷RPMI1640を用いて細胞の洗浄を行った。細胞を2M NaOHで溶解し、メラノサイト上のc−kitへの結合を常法に従い、γ−カウンターを用いて測定した。いずれも総結合量から非特異的結合量を差し引いたものをSCF/c−kitの特異的結合量とした。結果を表2に併せて示す。【0021】【表2】【0022】表2に示したとおり、本発明の植物抽出物は、c−kitに対するSCFの結合阻害活性を有することが認められた。【0023】【発明の効果】本発明の植物又は植物抽出物は、細胞表面のc−kitに対するSCFの結合を阻害することから、喘息、枯草熱、アトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患に対して予防・治療効果を有する医薬又は化粧料として使用することができる。 ノバラ及びユリから選ばれる植物又はそれらの抽出物からなるSCF結合阻害剤。


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