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タイトル:特許公報(B2)_多形クロピドグレル硫酸水素塩フォーム
出願番号:2000554740
年次:2005
IPC分類:7,C07D495/04,A61K31/4365,A61P7/02


特許情報キャッシュ

ブスケ,アンドレ カストロ,ベルナール サン−ジェルマン,ジャン JP 3641584 特許公報(B2) 20050128 2000554740 19990610 多形クロピドグレル硫酸水素塩フォーム サノフィ−アベンティス 399050909 野河 信太郎 100065248 ブスケ,アンドレ カストロ,ベルナール サン−ジェルマン,ジャン FR 98/07464 19980615 20050420 7 C07D495/04 A61K31/4365 A61P7/02 JP C07D495/04 105A A61K31/4365 A61P7/02 7 C07D495/04 105 CA(STN) 特表2001−525817(JP,A) 特表2001−525818(JP,A) 特表2001−525819(JP,A) 特開昭63−203684(JP,A) 12 FR1999001371 19990610 WO1999065915 19991223 2002518399 20020625 19 20020403 渡辺 仁 【0001】本発明は、クロピドグレル(clopidogrel)硫酸水素塩または(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジニル−5−酢酸メチルエステル硫酸水素塩の新規な多形および、その製造法に関する。より詳細には、本発明は、フォーム2と呼ばれるこの多形の製造と、この新規な結晶形のこの化合物の単離と、ならびにそれを含む医薬組成物とに関する。【0002】クロピドグレル硫酸水素塩はEP281459号に最初に記載された抗血栓症薬である。この特許で請求された合成法によれば、フォーム1と称せられるクロピドグレル硫酸水素塩の製造が可能である。ここに、クロピドグレル硫酸水素塩が、その安定性、その物理的性質、そのスペクトル特性およびその製造方法において互いに異なる別の多形結晶フォームで存在し得ることを見出した。【0003】従って、これら新規な多形フォームの一つが、本発明の目的である;それは本発明中で説明され、フォーム2と呼ばれる。本発明はまた、多形フォーム2のクロピドグレル硫酸水素塩の製造法にも関する。【0004】特許EP第281459号は、テトラヒドロチエノピリジン誘導体およびその医薬的に許容される塩の鏡像異性体を記述している。EP第281459号には、すなわち右施性異性体が優れた抗血小板凝集活性を有し、一方左施性異性体が活性が低く耐性が低い、クロピドグレル硫酸水素塩が特に請求されている。特許EP第281459号は10年前に出願され、クロピドグレル硫酸水素塩の特定な多形フォームの存在には言及していない。EP第281459号に記載された合成で、クロピドグレル多形硫酸水素塩フォーム1の製造が可能である。EP第281459号は、クロピドグレルまたはクロピドグレル硫酸水素塩のどちらも様々な多形フォームが存在することを示唆していない。【0005】上記文献の全ての教示に従えば、クロピドグレルの右施性異性体は、アセトン中10-L-カンファースルホン酸のような光学的に活性な酸で、ラセミ化合物に加塩し、続いて一定の施光性を有する生成物が得られるまで、その塩を連続して再結晶し、その後その塩から塩基により右施性異性体を放出させることにより製造される。クロピドグレル硫酸水素塩は次いで、該塩基を氷冷アセトン中に溶解させ、沈殿が生じるまで濃硫酸を加えることによる通常の方法で得られる。そのようにして得られた沈殿物は、次いで、ろ過して単離し、洗浄し、乾燥して、その融点が184℃で、その施光度が+55.1°(c=1.891/CH3OH)である白色結晶フォームのクロピドグレル硫酸水素塩を得る。【0006】先行技術に記載された合成法によれば、クロピドグレル硫酸水素塩フォーム1の合成のみ可能である。従って、本発明は、クロピドグレル硫酸水素塩の多形フォーム、フォーム2に関する。この化合物の同様なフォーム1は、血小板凝集阻害剤として作用することにより血栓症の予防と治療用薬剤として有用である。クロピドグレルとその塩の使用に関し、Drugs of the Future 1993, 18, 2, 107-112が参照される。クロピドグレル硫酸水素塩多形フォーム2は、従って、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤と組み合わせて、フォーム1と同じ適用症において、薬剤製造用の有効成分として用いられる。【0007】ここに、クロピドグレル硫酸水素塩が溶媒から結晶化されると、EP第281459号に従って得られる生成物のものに相当する結晶、フォーム1、または、新規な非常に安定な、はっきりした構造を有する結晶フォーム、以後フォーム2と称する、が得られうることが見出された。より詳細には、クロピドグレル硫酸水素塩フォーム2の新規な結晶フォームが、記載されたフォーム1と少なくとも同等に安定であること、ならびにそれは以前に知られたフォーム1へ任意に変換されないことが見出された。さらに、フォーム2から得られた散剤は、より小型であり、フォーム1から得られたものより静電気的ではなく、従って、製薬技術、特に産業的な生薬薬理学の通常の条件の下でのいずれの処理にも、より容易に付すことができる。【0008】そのうえ、フォーム2は、そのより高い熱力学的安定性の結果、フォーム1より低い溶解性を示すことが見出だされている。本発明によるクロピドグレル硫酸水素塩の新規な結晶フォームであるフォーム2と、フォーム1との差異は、図1〜4を考察することから明らかである。一方、図5〜7によれば、フォーム2の結晶での構造が示されている。【0009】図1〜7は、以下に特徴がある:− 図1は、クロピドグレル硫酸水素塩フォーム1粉末のX線回折図を表し;− 図2は、クロピドグレル硫酸水素塩フォーム2粉末のX線回折図を表し;− 図3は、フォーム2の赤外スペクトルを示し;− 図4は、フォーム1の赤外スペクトルを示し;− 図5は、結晶フォーム2の原子の番号を付したクロピドグレル硫酸水素塩の構造式を示し;− 図6は、クロピドグレル硫酸水素塩フォーム2の空間的な立体配座を示し;− 図7は、結晶のメッシュ中にクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2分子の積重を示す。【0010】結晶データから、フォーム1の結晶構造がクロピドグレル結晶中に2つの遊離なカチオンと2つの遊離な硫酸水素塩アニオンを含むことが観察される。2つの遊離なカチオンは、同様な立体配座を有する。フォーム2の結晶データによれば、それは、結晶硫酸水素塩アニオン対中に遊離なカチオンを含むことが観察される。2つのフォーム中、カチオンは軸方向にプロトン化され、窒素原子はR立体配置にある;フォーム2中のカチオンの立体配座はフォーム1で見られるものとは異なっている。【0011】2つの結晶フォームの分子配列において、どの部位も溶媒分子により占められていない。アニオンの配列は、2つの結晶構造の間で互いに非常に異なっている。斜方晶形のフォーム2の結晶構造(1.462 g/cm3)は、単斜晶形のフォーム1の結晶構造(1.505 g/cm3)よりも密度が低い。【0012】別の観点に従えば、本発明の主題は、(a)(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジニル−5−酢酸メチルエステルカンファースルホン酸塩を有機溶媒に溶解させ、(b)カンファースルホン酸を炭酸カリウムのアルカリ水溶液で抽出し、かつ水洗し、(c)有機相を減圧下に濃縮して、濃縮残渣をアセトンに溶解させ、(d)80%硫酸を添加し、(e)その混合物を還流加熱し、生成物が結晶化し、その混合物を冷却、ろ過して、結晶を洗浄し、次いで減圧下に乾燥してクロピドグレル硫酸水素塩フォーム1を得、(f)生じた水性アセトン母液からその後、3〜6ヶ月後に、クロピドグレル硫酸水素塩フォーム2の結晶を遊離させることを特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2の製造方法である。【0013】従って、本発明は、(+)−(S)−クロピドグレル硫酸水素塩フォーム1の結晶化から生じた水性アセトン母液がその後、3〜6ヶ月の後に、クロピドグレル硫酸水素塩フォーム2の結晶を遊離させることを特徴とする、(+)−(S)−クロピドグレル硫酸水素塩フォーム2の製造法に関する。【0014】(+)−(S)−クロピドグレル硫酸水素塩フォーム1の結晶化から生じた水性アセトン母液は、0.3〜1%の水分を含有する。それらは、約10%までのクロピドグレル硫酸水素塩を含み、この量は硫酸水素塩への変換の際に用いられた(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジニル−5−酢酸メチルエステルカンファースルホン酸塩の量から計算される。【0015】これら水性アセトン母液は、3〜6ヶ月間の後に、40℃未満の温度で、クロピドグレル硫酸水素塩フォーム2をゆっくり遊離する。別の観点に従えば、本発明は、(a)(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジニル−5−酢酸メチルエステルカンファースルホン酸塩を有機溶媒に溶解させ、(b)カンファースルホン酸を炭酸カリウムのアルカリ水溶液で抽出し、かつ水洗し、(c)有機相を減圧下に濃縮して、濃縮残渣をアセトンに溶解させ、(d)96%硫酸を20℃で添加し、その混合物にクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2の結晶種を入れ、(e)生成物が結晶化し、その混合物を冷却、ろ過して、結晶を洗浄し、次いで減圧下に乾燥してクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2を得ることを特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2の別の製造法に関する。【0016】別の方法は、剪断装置の手助けを用いて、結晶懸濁液を機械的剪断に付すことにある。この装置は毎分約10,000〜15,000回転の回転速度に達することができる。これらの特徴を有する装置は、例えばイカ−ベルク(IKA-Werke)(DE)により市販されているテュラックス(Turrax)(登録商標)タイプである。これらの装置はさらに工業的な量での処理に適している。【0017】その原理は、全硫酸のごく一部を含むベース溶液から微細な粒子を粉砕で得ることである。残った部分は、結晶成長を促進させるために、その後ゆっくり注入される。はじめは所要の硫酸の10%を注入して、試しを行った。【0018】従って、本発明の主題は、表Iに挙げた粉末のX線回折図を特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2である。より詳細には、フォーム2は、また、示差エンタルピー分析(DSC)で測定される176℃の融点と、赤外領域および近赤外領域での特徴的な吸収をも特徴とする。【0019】本発明によるクロピドグレル硫酸水素塩の新規な結晶フォームの幾つかの物理的性質や挙動は、2つのフォームを通常の方法と技術により試して証明されたように、フォーム1のものと完全に異なっている。【0020】粉末のX線回折図(回折角度)は、シーメンズ(Siemens)D500TT回折計で確認した。ブラッグ2θ(2シータ、角度、CuKα用、λ=1.542Å)の2〜40°の特徴的な粉末回折図は、フォーム1のものは図1に、フォーム2のものは図2に示した。図1中の重要な線は、表II中に集め、一方図2のは表I中に集めている。【0021】表IおよびII中、dはインターラティッシュ間隔(interlattice distance)であり、I/I0は最大強度の線の割合で表した相対的強度を意味する。【0022】【表I:フォーム2】【0023】【表II:フォーム1】【0024】フォーム1および2の示差エンタルピー分析(DSC)を、パーキンエルマー(Perkin Elmer)DSC 7 装置を用い、インジウムを参照として較正して、比較して行った。熱量分析においては、2.899mgのフォーム1または実施例2で得られた2.574mgのフォーム2を、ひだの寄った穴の開いたアルミニウムのカップ中で、40〜230℃の温度範囲で10℃/分の加熱速度で、用いた。融点および融解(fusion)のエンタルピーは表IIIに示した。融点は、DSCで得られた特性融点に相当する。この値はまた、基準線と、DSCで観察された融解の上昇ピークの接線との交差点に相当する温度としても定義される。【0025】【表III】【0026】クロピドグレル硫酸水素塩の新規なフォーム2と、フォーム1の間の相違はまた、赤外分光によっても証明された。フーリエ変換IR(FTIR)スペクトルは、4000cm-1〜400cm-1で、4cm-1の分解能で、パーキンエルマーシステム2000分光計で得た。サンプルは、フォーム1またはフォーム2として0.3%のKBrのペレットの形態で用意した。ペレットを10トンで2分間圧縮した。各サンプルを4回積算した後に測定した。【0027】波長(cm-1で)および強度(透過パーセントで)に関して特徴的な線の比較を表IVに示した。【0028】【表IV】【0029】表IVから、フォーム2は、フォーム1には欠けている2551cm-1、1497cm-1、1189cm-1および1029cm-1に特徴的な吸収を示すことが明らかである。フォーム2の粉末の固有な構造は、MSC−リガカ(Rigaka)AFC65回折計ならびにSG IRIS インディゴ(Indigo)ワークステーションについてSHELXS-90およびSHELXS-93ソフトウエアを用いる粉末のX線回折による単結晶の分析により示された。C−H水素の位置は、0.95Åの距離に生じた。結晶データ、特に面間隔(a、b、c)、角度(α、β、γ)および各単位セルの容量を、表Vに示した。【0030】【表V】【0031】フォーム2の原子座標を表VIに示し、結合の長さを表VIIに示し、結合間の角度を表VIIに示し、ねじれの特徴的な角度を表IXに示した。【0032】【表VI】【0033】【表VII】距離はオングストロームである。十進法で判断した標準偏差は、括弧で示した。【0034】【表VIII】【0035】【表VIII(続き)】角度は、度である。最後の十進法で判断した標準偏差は、括弧中である。【0036】【表IX】【0037】【表IX(続き)】【0038】角度は度である。最後の十進方で判断した標準偏差は、括弧中である。原子2から3へ見て、原子1を時計周りで原子4に重ね合わせれば、サインは正である。X線結晶学研究、特に表Iの結晶データ、表VIの原子座標、表VII中の結合長さ、表VIII中の結合間の角度、および表IX中のねじれの特徴的な角度により、図5および6に示した提案された構造が証明される。【0039】顕微鏡での調査により、新規フォーム2の結晶は、フォーム1のものと形態学的に異なることが示された。フォーム1の結晶は、不規則な板の形態で存在し、一方、フォーム2の結晶は塊の形態で存在する。フォーム1のと比べて静電気性が低いため、従って、抗血栓症が示されているいかなる疾患の治療用医薬組成物の製造には特に適している。【0040】従って、その別の観点によれば、本発明の主題は、表Iに示された粉末のX線回折図を特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2を有効成分として含む医薬組成品である。本発明によるクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2を、少なくとも1つの医薬賦形剤との混合物の形態で、単位用量あたり75mgの有効成分を含む経口投与用医薬組成品に製剤化するのが好ましい。【0041】錠剤の形態の固形組成物を製造する際、主な有効成分をゼラチン、デンプン、乳糖、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アラビアゴム等のような医薬担体と混合する。錠剤は、白糖もしくは他の適当な物質でコートされても、または代わりに、それらが遅延されたか又は遅効性を有するように、かつそれらが連続的に有効成分の所定の量を放出するように処理されてもよい。【0042】ゼラチンカプセルの形態の製剤は、有効成分を賦形剤と混合し、得られた混合物を軟または硬カプセル中に注ぎ入れることにより得られる。水に分散可能な散剤または顆粒剤は、分散剤または湿潤剤または、ポリビニルピロリドンのような懸濁化剤、および甘味料、または香味中和剤との混合物の形態で、有効成分を含んでもよい。【0043】直腸投与用に有効成分を製剤化することが所望であれば、直腸での温度で融解する結合剤、例えばカカオ脂またはポリエチレングリコールとで製造された座剤が用いられる。非経口的投与用には、水性懸濁剤、食塩水、または滅菌注射用溶液を用いる。【0044】有効成分は、任意に1以上の担体または添加剤と共に、マイクロカプセルの形態に製剤化されてもよい。以下の実施例は、本発明を説明するもので、限定するものではない。【0045】(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジニル−5−酢酸メチルエステルカンファースルホン酸塩の製造400kgのラセミ化合物のα−(2−クロロフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジニル−5−酢酸メチルエステル塩酸塩と1840kgのジクロロメタンを攪拌反応器中に加える。1200kgの8%炭酸水素ナトリウム水溶液を次いでゆっくりと加える。落ち着いた後、有機相を真空下で濃縮する。濃縮された残渣を1000リットルのアセトンで希釈する。154kgの1 R-10カンファースルホン酸の620リットルのアセトン中溶液を20〜25℃で加える。α−(2−クロロフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジニル−5−酢酸メチルエステルカンファースルホン酸塩を冷却し、もし必要なら結晶種を入れて、結晶化させる。結晶化が豊富になったら、その混合物を還流加熱して次いで25℃に冷却する。結晶をその後ろ過し、アセトンで洗浄して、次いで減圧下に乾燥する。196kgの(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジニル−5−酢酸メチルエステルカンファースルホン酸塩をこのようにして得、その収率は33%である。【0046】クロピドグレル硫酸水素塩フォーム2の製造実施例1A上記のようにして製造した50gのクロピドグレルカンファースルホン酸塩を、窒素下に250mlの反応器中に導入する。100mlのジクロロメタンを加え、反応混合物を10分間攪拌する。その後、9.1gの炭酸カリウムを70mlの脱イオン水中に溶解させた溶液を導入する。有機相を抜き取り、水相をジクロロメタンで数回洗浄する。有機相を合わせ、真空下に濃縮する。229mlのアセトンを濃縮物に加え、その混合物を0.1μ〜0.22μの焼結材料でろ過する。塩基を含むアセトン溶液を窒素下に反応器へ導入し、7.4gの80%硫酸溶液をその後20℃で加え、次いでその混合物を還流が始まるまで加熱する;結晶化が始まり、還流を2時間保持する。【0047】溶媒を蒸留し、混合物を0〜-5℃の温度に冷却し、ブフナーフラスコでろ別した結晶を乾燥した後、21.4gのクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2;m.p.=176±3℃を得る。【0048】実施例1B上記のようにして製造した1200kgのクロピドグレルカンファースルホン酸塩を、窒素下に6000リットルの反応器中に導入する。2345リットルのジクロロメタンを加え、反応混合物を30分〜1時間攪拌する。その後、214.5kgの炭酸カリウムを1827リットルの脱イオン水中に溶解させた溶液を導入する。有機相を抜き取り、水相をジクロロメタンで数回洗浄する。有機相を合わせ、真空下に濃縮する。アセトンを濃縮物に加え、その混合物を0.1μ〜1μのカートリッジフィルターでろ過する。塩基を含むアセトン溶液(3033リットル)を窒素下に反応器へ導入し、264.8kgの80%硫酸溶液をその後20℃で加える。【0049】溶媒を蒸留し、混合物を0〜-5℃の温度に冷却し、ブフナーフラスコでろ別した結晶を乾燥した後、779.1kgのクロピドグレル硫酸水素塩フォーム1;m.p.=184±3℃を得る。生じた水性アセトン母液は40℃より低い温度でその後3〜6ヶ月後、クロピドグレル硫酸水素塩フォーム2;m.p.=176±3℃の結晶を遊離させる。【0050】実施例1C上記のようにして製造した1200kgのクロピドグレルカンファースルホン酸塩を、窒素下に6000リットルの反応器中に導入する。2345リットルのジクロロメタンを加え、反応混合物を30分〜1時間攪拌する。その後、214.5kgの炭酸カリウムを1827リットルの脱イオン水中に溶解させた溶液を導入する。有機相を抜き取り、水相をジクロロメタンで数回洗浄する。有機相を合わせ、真空下に濃縮する。アセトンを濃縮物に加え、その混合物を0.1μ〜1μのカートリッジフィルターでろ過する。塩基を含むアセトン溶液(3033リットル)を窒素下に反応器へ導入し、264.8kgの96%硫酸溶液をその後20℃で加える。【0051】溶媒を蒸留し、混合物を0〜-5℃の温度に冷却し、ブフナーフラスコでろ別した結晶を乾燥した後、785.3kgのクロピドグレル硫酸水素塩フォーム1;m.p.=184±3℃を得る。生じた水性アセトン母液は40℃より低い温度でその後3〜6ヶ月後、クロピドグレル硫酸水素塩フォーム2;m.p.=176±3℃の結晶を遊離させる。【0052】実施例2909リットルのジクロロメタンと450kgの(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジニル−5−酢酸メチルエステルカンファースルホン酸塩を反応器中に導入する。カンファースルホン酸を80kgの炭酸カリウムの680リットルの水溶液で抽出する。有機相を次いで水で洗浄する。ジクロロメタンを濃縮し、濃縮残渣を1140リットルのアセトンに溶解させる。100kgの96%硫酸を次いで20℃で加える。その混合物に、実施例1Bまたは1Cで得たクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2の0.3kgの結晶種を入れる。クロピドグレル硫酸水素塩が結晶化する。その物質をろ過し、次いでアセトンで洗浄して減圧下に乾燥する。310kgのクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2を得、その収率は90.9%である;m.p.=176±3℃。【0053】実施例3909リットルのジクロロメタンと450kgの(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジニル−5−酢酸メチルエステルカンファースルホン酸塩を反応器中に導入する。カンファースルホン酸を80kgの炭酸カリウムの680リットルの水溶液で抽出する。有機相を次いで水で洗浄する。ジクロロメタンを濃縮し、濃縮残渣を1296リットルのアセトンに溶解させる。温度を20℃で安定化させ、テュラックス(Turrax)(登録商標)を作動さす。10%の量の94〜96%硫酸(8.3kg)を次いで2,3分間で加える。その混合物に、実施例1Bまたは1Cで得たクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2の0.012kgの結晶種を入れる。クロピドグレル硫酸水素塩が結晶化する。反応混合物をテュラックス(登録商標)の作用下に45分間放置する。残った90%の94〜96%硫酸(74.6kg)を約2時間以内に注ぎ入れ、一方テュラックス(登録商標)を運転させ続ける。テュラックス(登録商標)を酸の添加の終了後30分で停止させ、その混合物を30分間20℃で攪拌する。それをろ過し、アセトンで洗浄して減圧下に乾燥する。【0054】310kgのクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2を得、その収率は90.9%である;m.p.=176±3℃。【図面の簡単な説明】【図1】 クロピドグレル硫酸水素塩フォーム1粉末のX線回折図を表す。【図2】 クロピドグレル硫酸水素塩フォーム2粉末のX線回折図を表す。【図3】 フォーム2の赤外スペクトルを示す。【図4】 フォーム1の赤外スペクトルを示す。【図5】 結晶フォーム2の原子の番号を付したクロピドグレル硫酸水素塩の構造式を示す。【図6】 クロピドグレル硫酸水素塩フォーム2の空間的な立体配座を示す。【図7】 結晶のメッシュ中にクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2分子の積重を示す。 粉末X線回折図が、面間隔で表すと4.11;6.86;3.60;5.01;3.74;6.49;5.66Åに現れる特徴的なピークを示すクロピドグレル硫酸水素塩(フォーム2)の結晶性(+)−(S)多形。 赤外スペクトルが、43、63.7、18、33.2の透過パーセントをそれぞれ有する、2551、1497、1189および1029cm-1における特徴的な吸収を示すクロピドグレル硫酸水素塩(フォーム2)の結晶性(+)−(S)多形。 176±3℃の融点を有するクロピドグレル硫酸水素塩(フォーム2)の結晶性(+)−(S)多形。 図2による粉末X線回折図を特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩(フォーム2)の結晶性多形。 図3による赤外スペクトルを特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩(フォーム2)の結晶性多形。 請求項1による粉末X線回折図と請求項2による赤外スペクトルを特徴とするクロピドグレル硫酸水素塩(フォーム2)の結晶性多形。 (+)−(S)−クロピドグレル硫酸水素塩フォーム1の結晶化から生じた水性アセトン母液が、3〜6ヶ月後にクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2の結晶を得るべく塩析されることを特徴とする請求項1、2および3による(+)−(S)−クロピドグレル硫酸水素塩フォーム2の製造法。 (+)−(S)−クロピドグレル硫酸水素塩フォーム1の結晶化から生じた水性アセトン母液が0.3〜1%の水を含むことを特徴とする請求項7による方法。 硫酸水素塩へ変換する際に用いた(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジニル−5−酢酸メチルエステルカンファースルホン酸塩の量から計算した量で、(+)−(S)−クロピドグレル硫酸水素塩フォーム1の結晶化から生じた水性アセトン母液が、約10%までのクロピドグレル硫酸水素塩を含むことを特徴とする請求項7による方法。 (+)−(S)−クロピドグレル硫酸水素塩フォーム1の結晶化から生じた水性アセトン母液が3〜6ヶ月の後に、40℃未満の温度でクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2を遊離させることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一つによる方法。 (a)(+)−(S)−α−(2−クロロフェニル)−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2-c]ピリジニル−5−酢酸メチルエステルカンファースルホン酸塩を有機溶媒に溶解させ、(b)カンファースルホン酸を炭酸カリウムのアルカリ水溶液で抽出、かつ水洗し、(c)有機相を減圧下に濃縮して、濃縮残渣をアセトンに溶解させ、かつ、94〜96%硫酸を添加し、その混合物にクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2の結晶種を入れ、生成物を結晶化させ、その混合物を冷却し、ろ過して結晶を洗浄し、次いで減圧下に乾燥してクロピドグレル硫酸水素塩フォーム2を得ることを特徴とする、クロピドグレル硫酸水素塩フォーム2の製造法。 少なくとも1つの医薬賦形剤と組み合わせて、活性成分として請求項1によるフォーム2多形のクロピドグレル硫酸水素塩を含有する医薬組成物。


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