生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_男性におけるテストステロン欠乏を平衡化し、同時に前立腺を保護する医薬組合せ物
出願番号:2000554127
年次:2005
IPC分類:7,A61K31/568,A61K31/569,A61P13/08,A61P35/00


特許情報キャッシュ

ヒュープラー ドーリス エッテル ミヒャエル ゾーベク ロタール エルガー ヴァルター アル−ムダファー アブドゥル−アッバース JP 3645489 特許公報(B2) 20050210 2000554127 19990607 男性におけるテストステロン欠乏を平衡化し、同時に前立腺を保護する医薬組合せ物 イエナフアルム ゲーエムベーハー ウント ツェーオー. カーゲー 596099505 渡辺 望稔 100080159 三和 晴子 100090217 ヒュープラー ドーリス エッテル ミヒャエル ゾーベク ロタール エルガー ヴァルター アル−ムダファー アブドゥル−アッバース DE 198 25 591.8 19980609 20050511 7 A61K31/568 A61K31/569 A61P13/08 A61P35/00 JP A61K31/568 A61K31/569 A61P13/08 A61P35/00 7 A61K 31/56-31/57 Tammela T,Drugs Aging.,1997年,10(5),349-66 Okada K et al.,Urol Res.,1988年,16(2),67-72 Habenicht UF et al.,Prostate.,1989年,14(4),309-22 Habenicht UF et al.,Prostate.,1987年,11(2),133-43 Murakoshi M et al.,Endocr J.,1993年,40(4),479-88 5 DE1999001652 19990607 WO1999065228 19991216 2002518294 20020625 8 20010118 川口 裕美子 【0001】 本発明は、天然アンドロゲンまたは合成アンドロゲンをゲスターゲンと組み合わせて含有する、男性における絶対的なテストステロン欠乏および相対的なテストステロン欠乏を平衡化し、同時に良性前立腺増殖(BHP)もしくは前立腺癌腫の発生を予防するための医薬組合せ物に関する。【0002】種々の内分泌機能は、老化するにつれて変化する。男性の場合の通常の老化は、睾丸の機能の低下、殊に血清テストステロン含量の減少と同時に現れる。血清テストステロン分泌は、二次性徴、性欲および性的能力に対して責任を負っており、また、気分状態および知的能力、赤血球生成、骨物質代謝、蛋白質同化作用および筋物質、脂肪分布ならびに特定のZNS機能に対して影響を及ぼす。血清テストステロン含量が減少した場合には、臨床学的に性欲および性的能力の低下ならびに疲労感、筋物質の減少、骨多孔症、のぼせ、汗の噴き出しおよび軽い貧血症を起こしうる。【0003】しかし、アンドロゲンは、良性前立腺増殖(BPH)ならびに前立腺癌腫の発生および症状発現に対して1つの本質的な役を演じることが書き添えられている。高齢においては、前立腺の疾病は、蓄積されて発生する。50歳を越えた男性の50%の場合には、前立腺の良性の成長(BPH)を生じる。性器機能が低下した男性または宦官は、決してBPHを展開しない。Bhasin他(編):Pharmacology,biology, and clinical applications of androgens. John Wiley, New York(1996) 中のGeller, J.: Androgen inhibition and BPH.【0004】しかし、BPHを有する男性とBPHを有しない男性の場合、血清中のアンドロゲン濃度の差異は全く存在せず[Lee, C., Prostate 6 Supple, 52-56 (1996);Levine,A.C.Trends Endocrinol, Metab.6, 128-132 (1995); Serio,M. およびFiorelli,G.Mol. Cell. Endocrinol.78, C77-C81 (1991); Bhasin 他(編): Pharmacology, biology, and clinical applications of androgens. John Wiley, New York(1996) 中のCunningham, G.R.: Overview of androgens on the normal and abnormal prostate.] 、したがって明らかに前立腺における5α−ジヒドロテストステロン(DHT)およびエストラジオールへのテストステロンの細胞代謝は、良性前立腺増殖(BPH)ならびに前立腺癌腫の発生に対する局部的な成長因子と共に決定的に重要である。50歳を越えた男性の場合ならびに種々の慢性疾患および持続的なストレスをもつ若い男性の場合には、提示された全ての臨床学的な症状は、12.0〜15nmol/lの標準下限での血清テストステロン含量の際に既に蓄積されて発生する。【0005】刊行物もしくは特許明細書の記載から、アンドロゲンに依存する体系的疾病、例えばBHPおよび前立腺癌腫を、抗アンドロゲンだけを用いて−WO94/26767 A1−か、抗アンドロゲンをアロマターゼ阻害剤としてのテストラクトンとの組合せで用いて−ドイツ連邦共和国特許出願公開第3121152号明細書A1−か、テストステロン−5α−レダクターゼ阻害剤だけを用いて−欧州特許出願公開第0547691号明細書A1;WO95/13077 A1−か、テストステロン−5α−レダクターゼ阻害剤を抗エストロゲンおよび/またはアロマターゼ阻害剤との組合せで用いて−WO91/00731 A1−処置することは、公知である。前立腺のための危険のないテストステロン置換治療については、提示されていない。【0006】また、専門文献には、アンドロゲン置換は、高齢において身体的および精神的な健康を改善することが提示されている[Bagatell 他, J. Clin. Endocrin. Metab.79: 561-567 (1994); Tenover, J. S., Endocrinology and Metabolism Clinics of North America 23: 878-892 (1994) ]。しかし、減少された血清テストステロン含量をもつ高齢の男性の場合のアンドロゲン置換については、多種多様の因果関係が現在なお論議されており、常に前立腺疾病の危険の高いことは、多数決での否決によって注目の的となっている。【0007】従って、高齢または若年の男性のアンドロゲン置換治療については、女性の閉経期後のホルモン置換と同様に警告が為されている[E. Nieschlag およびH.M. Behre(編): Andrologie - Grundlagen und Klinik der reproduktiven Gesundheit des Mannes. Springer 1996中のRolf, C.およびE. Nieschlag: Seneszenz; Jackson, J.A.他, Arch. Intern. Med. 149: 2365-2366 (1989); Allolio およびSchulte(編): Praktische Endokrinologie. Urban & Schwarzenberg, Muenchen 第416 〜419 頁 (1996)中のJockenhoevel, F., Androgensubstitution des aelteren Mannes.]。【0008】また、ホルメング(Holmaeng, S )他, Prostate23, 99-106(1996)は、例えば40〜65歳の23人の男性をテストステロンウンデカノエート(160mg/日)を用いて8ヶ月間治療した後に、12%だけの前立腺の大きさの増大を確認することができた。テストステロンエナンテートを用いての男性の避妊についての研究において、若い男性に関しては、外因性のテストステロン投与下で直腸を経ての超音波試験により前立腺の拡大が見い出された[Wu,C.W.他, Fertility and Sterility 65, 626-636 (1996); Wallace,E.M.他, Int.J.Androl. 16: 35-40 (1993)]。【0009】ドイツ連邦共和国特許出願公開第19610645号明細書A1には、男性における相対的アンドロゲン欠乏および絶対的アンドロゲン欠乏(ハイポアンドロゲンニズム(Hypoandrogennismus))を治療するためのデヒドロエピアンドロステロンとアロマターゼ阻害剤との組合せ物の使用が記載されている。このドイツ連邦共和国特許出願公開明細書の記載の範囲内のアロマターゼ阻害剤は、代謝前駆物質(この場合、DHEA)からのエストロゲンの形成を酵素のアロマターゼの阻害(生合成の阻害)によって阻止する全ての化合物である。【0010】しかし、アンドロゲン治療および同時の前立腺の保護については、提示されていない。 WO97/29735には、性器機能が低下した男性においてテストステロン含量が欠乏した際のアンドロゲン治療のため、閉経期後の女性におけるホルモン置換治療のため、および男性および女性におけるホルモン作用による避妊のためのアンドロゲン、抗アンドロゲン、エストロゲンまたは抗エストロゲンを含有する、単独かまたは組合せ物での経皮系の特許保護が請求されている。この場合も、アンドロゲン治療および同時の前立腺の保護は、推考することは不可能である。【0011】本発明の課題は、男性における絶対的テストステロン欠乏および相対的テストステロン欠乏を平衡化し、同時に前立腺を保護するのに適した組合せ調製剤を定義し、その際、上記の欠点および効果を回避させることである。この課題は、絶対的テストステロン欠乏および相対的テストステロン欠乏を平衡化し、同時に良性前立腺増殖(BPH)を治療するための請求項1記載の組合せ調製剤の本発明による使用によって解決される。【0012】組合せ調製剤の本発明による使用は、有利に天然アンドロゲンが物質のテストステロン、テストステロンウンデカノエート、デヒドロエピアンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロンスルフェート、テストステロンプロピオネート、テストステロンエナンテート、テストステロンブシクレート、テストステロンシピオネートまたはアンドロステンジオンの1つであり、合成アンドロゲンが物質の17−メチルテストステロン、フルオキシメステロン、ダナゾール、メステロロン、ナンドロロンデカノエート、ナンドロロンフェニルプロピオネート、オキサンドロロン、オキシメトロン、スタナゾロールであることによって特徴付けられる。【0013】アンドロゲン、例えばテストステロンウンデカノエートの投与量が、全部で4〜14週間で筋肉内へ250〜1500mgであることは、有利であることが判明した。この場合、全部で9〜10週間でテストステロンウンデカノエート1000mgの投与量は、特に好ましい。【0014】組合せ調製剤の本発明による使用は、有利にゲスターゲン成分が物質のジエノゲスト、レボノルゲストレル、ゲストーデン、デソゲストレル、ノルゲスチメート、ノルエチステロン、ノルエチステロンアセテート、レボノルゲストレルまたはプロゲステロン、クロルマジノンアセテート、シプロテロンアセテート、メドロキシプロゲステロンアセテート、メゲストロールアセテート、ジドロゲステロン、トリメゲストロンまたはノメゲストロールの1つであることによって特徴付けられる。この場合、ゲスターゲンの投与量が、20μg〜20mgであることは、好ましい。【0018】前記課題は、本発明によれば、異なる剤形もしくは投与形での組合せ物の使用によって解決される。製薬学的剤形は、単一の形としての組合せ物であってもよいし、2つの別々の配合物を含んでいてもよい。この場合には、経口薬、例えば錠剤、カプセル剤および施糖衣剤、経皮剤形、経皮治療系剤(TTS)またはゲル剤、噴霧剤もしくは軟膏、鼻腔内剤形、例えば鼻内スプレー剤または点鼻薬、直腸剤形、例えば座薬ならびに非腸管外薬、例えば皮下植え込み薬、圧縮加工薬およびアンプル剤が重要である。【0019】剤形は、自体公知の方法で、例えば”Remington's Pharmaceutical Sciences Handbook, Hack Pub. co., N.Y., USA”の記載と同様に、常用の助剤および担持剤を使用しながら製造される。男性における絶対的テストステロン欠乏および相対的テストステロン欠乏を平衡化し、同時に良性前立腺増殖(BPH)を予防するための製薬学的組合せ物が見い出された。【0020】本発明による組合せ物と比較して、それぞれの作用物質は、単独で望ましい目的を前記程度には達成することができず、重大な副作用の下でのみ達成することができる。本発明による組合せ物を用いた場合には、アンドロゲンの投与によって惹起される、前立腺内でのDHT刺激もしくは過剰刺激は、提示された成分、例えばゲスターゲン、抗ゲスターゲン、抗エストロゲン、GnRH類似体、テストステロン−5α−レダクターゼ阻害剤、α−アンドレノレセプター遮断薬またはホスホジエステラーゼ阻害剤によって平衡化される。【0021】LNCaP前立腺細胞内でのアンドロゲンに依存する細胞増殖を阻害する例について、組合せ物の17β−ヒドロキシ−17α−メチル−エストラ−4,9,11−トリエン−3−オン(R 1881)+17α−シアノ−メチル−17β−ヒドロキシ−エストラ−4,9−ジエン−3−オン(DIENOGEST=DNG )の生物学的作用機序が試験された。このために、ヒトの前立腺癌腫細胞LNCaPは、通常の条件下でダルベッコの変性イーグル培地(Dulbecco's modifiziertes Eagle medium )中でFCS10%(Fetal calf serum(ウシ胎児血清))の添加下に培養された。【0022】次に、細胞は、2〜6工程でDMEMおよびDCC−FCS10%(ステロイド消耗FCS)と一緒に育成され、その後にこの細胞は、DCC−FCS5%を用いての成長検定法に使用された。試験のために、細胞は、24個のウェルを有する板に播種された(細胞10000個/1mlのウェル)。24時間後、エタノール中に溶解されたステロイドが、新しい試験培地(エタノールの最終濃度0.1%)に付加され、細胞は、37℃(CO2 5%)で7日間恒温保持された。細胞の数は、この時間の後に細胞計数/分析システム(CASY, Schaerfe System GmbH)中で測定された。【0023】図1から、極めて強力なアンドロゲンの17β−ヒドロキシ−17α−メチル−エストラ−4,9,11−トリエン−3−オン(R 1881)は、細胞成長を誘発することが明らかになる。しかし、第2の成分−この場合、ゲスターゲンDNG−の投与量に依存して、前立腺癌腫細胞系列のアンドロゲンに依存する細胞増殖は、阻害される。ジエノゲスト作用は、主に生殖器の周辺で生じる(Oettel, M 他: Der Einfluss einer Ethinylestradiol-Dienogest-Kombination auf die Serum-Androgen-Konzentration, Zentralblatt Gynaekol 119, 597- 606, 1997 )。【0024】更に、本発明による組合せ物を用いて処置された、アンドロゲンによって誘発された前立腺成長の阻害は、動物実験において試験された。このために、28〜30gの体重のメーレゴール・ブリーディング・センター・ドイチュラント社(Moellegaard Breeding Centre Deutschland GmbH, Schoenwalde 在)の5匹の雄のNMRIマウスを去勢した。去勢してから2週間後に、対照の動物にテストステロンプロピオネート(TP)0.1mg/動物だけを投与した。同様に、去勢してから2週間後に、試験動物に1週間毎日テストステロンプロピオネート(TP)を0.1mg/動物/日で皮下投与し、同時に次にゲスターゲンおよび次の投与量を経口投与した:0.1;0.3;1;3mg/動物/日の投与量でのシプロテロンアセテート(CPA)0.3;1;3;10mg/動物/日の投与量でのジエノゲスト(DNG)、0.3;1;3;10mg/動物/日の投与量でのクロルマジノンアセテート(CMA)。試験の終了時にマウスの前立腺質量を測定し、試験群と比較した。第1表には、試験の経過の間に処置されたマウスの測定された前立腺質量が提示されている。【0025】【表1】【0026】第1表から、選択された純粋なテストステロン投与量0.1mg/動物/日により、去勢された対照動物および無傷の対照動物と比較して前立腺質量の明らかな増大が惹起されることが判明する。アンドロゲン/ゲスターゲンの組合せ物により、アンドロゲンに応じた前立腺質量の増大は、ゲスターゲンの投与量に依存して無傷の比較動物の前立腺質量の範囲内にまで減少される。それによって、明らかに相対的なテストステロン欠乏の平衡および同時に前立腺の保護が保証される。本発明による組合せ物を用いた場合には、男性における相対的なテストステロン欠乏を平衡化し、同時に前立腺を保護する医薬品が提供される。【図面の簡単な説明】【図1】 LNCaP前立腺細胞におけるアンドロゲンに依存した細胞増殖の阻害を示す棒グラフ。 −天然アンドロゲンまたは合成アンドロゲンおよび −ゲスターゲン を含有する、絶対的または相対的なテストステロン欠乏を平衡化し、同時に良性前立腺増殖(BPH)もしくは前立腺癌腫を予防するための組合せ調製剤。 天然アンドロゲン成分がテストステロン、テストステロンウンデカノエート、デヒドロエピアンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロンスルフェート、テストステロンプロピオネート、テストステロンエナンテート、テストステロンブシクレート、テストステロンシピオネートまたはアンドロステオンジオンであることを特徴とする、請求項1記載の組合せ調製剤。 合成アンドロゲン成分が17−メチルテストステロン、フルオキシメステロン、ダナゾール、メステロロン、ナンドロロンデカノエート、ナンドロロンフェニルプロピオネート、オキサンドロロン、オキシメトロン、スタナゾロールであることを特徴とする、請求項1記載の組合せ調製剤。 ゲスターゲン成分がジエノゲスト、レボルノゲストレル、ゲストーデン、デソゲストレル、ノルゲスチメート、ノルエチステロン、ノルエチステロンアセテート、レボルノゲストレルまたはプロゲステロン、クロルマジノンアセテート、シプロテロンアセテート、メドロキシプロゲステロンアセテート、メゲストロールアセテート、ジドロゲステロン、トリメゲストロンまたはノメゲストロールであることを特徴とする、請求項1記載の組合せ調整剤。 錠剤、カプセル剤、施糖衣剤、経皮治療系剤、アンプル剤、座薬、ゲル剤、軟膏、点鼻薬、皮下植え込み薬、プレス加工薬または生分解可能なマイクロスフェアの形で使用することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組合せ調整剤。


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