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タイトル:特許公報(B2)_ヒトUPF1P、真核性終結因子1および真核性終結因子3を含む監視複合体を必要とする異常なmRNAの翻訳終結および分解の効率を調整する方法
出願番号:2000550985
年次:2012
IPC分類:C12N 9/00,G01N 33/53,C12Q 1/68,G01N 33/15,G01N 33/50,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

ペルツ スチュアート チャプリンスキー ケヴィン ウェン ヨウミン JP 4889150 特許公報(B2) 20111222 2000550985 19990527 ヒトUPF1P、真核性終結因子1および真核性終結因子3を含む監視複合体を必要とする異常なmRNAの翻訳終結および分解の効率を調整する方法 ユニヴァーシティー オブ メディシン アンド デンティストリー オブ ニュージャージー 500547809 浅井 賢治 100093300 中村 稔 100059959 大塚 文昭 100067013 熊倉 禎男 100082005 宍戸 嘉一 100065189 竹内 英人 100096194 今城 俊夫 100074228 小川 信夫 100084009 村社 厚夫 100082821 西島 孝喜 100086771 箱田 篤 100084663 ペルツ スチュアート チャプリンスキー ケヴィン ウェン ヨウミン US 09/086,260 19980528 20120307 C12N 9/00 20060101AFI20120216BHJP G01N 33/53 20060101ALI20120216BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20120216BHJP G01N 33/15 20060101ALI20120216BHJP G01N 33/50 20060101ALI20120216BHJP C12N 15/09 20060101ALN20120216BHJP JPC12N9/00G01N33/53 DC12Q1/68 AG01N33/15 ZG01N33/50 ZC12N15/00 A C12N 9/00 C12N 15/09 PubMed BIOSIS/WPI(DIALOG) Nucleic Acids Res. (1997) vol.25, no.4, p.814-821 Prog. Nucleic Acid Res. Mol. Biol. (1994) vol.47, no.271-298 14 US1999011826 19990527 WO1999061600 19991202 2002516091 20020604 59 20060529 池上 文緒 【0001】 本発明の基礎となった研究は、少なくとも部分的には米国予防衛生研究所のグラント(GM48631−01号)によって支援された。したがって前記の政府は本発明において一定の権利を有する。 本発明は、ヒトUpf1p、真核性終結因子1および真核性終結因子3を含む多蛋白質複合体に関する。本複合体は異常なmRNAの翻訳終結および分解の効率の調整に必要である。本複合体の特定は以下のような物質を特定するin vitroアッセイを提供する:フレームシフト頻度を変化させることによってmRNAの機能的活性に影響を与える物質;終結事象のモニタリングを可能にする物質;異常な転写物の分解を促進する物質;翻訳の開始、伸長、終結およびmRNAの分解時のペプチジルトランスフェラーゼ活性の調整物質(抑制物質/刺激物質)。作動物質または拮抗物質となりえる物質は、時期尚早な翻訳の結果であるか、または時期尚早な翻訳の原因である疾患または症状のスクリーニングおよび診断のために、さらにそのような疾患または症状の治療薬として有用である。【0002】従来技術最近の研究によって、細胞は、それらの正常な機能を優性的に干渉する異常な蛋白質および転写物をそれら自身から排除する複雑な機構を進化させてきたことが明らかになった(以下の文献によって概括されている:Gottesman et al. 1997; He et al. 1993; Jacobson & Peltz, 1996; Ruiz-Echevarria et al. 1996; Suzuki et al. 1997; Weng et al. 1997; Maquat, 1995; Pulak & Anderson, 1993) 。そのような経路は、遺伝子発現調節物質および不適切なポリペプチド合成のセンサーと見なすことができる。このナンセンス仲介mRNA崩壊経路(それぞれの頭文字をとってNMD)は、蛋白質コード領域内にナンセンス変異を含む異常なmRNAを排除するので、翻訳終結監視経路の例である(Gottesma et al. 1997; He et al. 1993; Jacobson & Peltz, 1996; Ruiz-Echevarria et al. 1996; Suzuki et al. 1997; Weng et al. 1997; Pulak & Anderson, 1993; Caponigro & Parker, 1996; Maquat, 1995)。NMD経路はこれまで調べられた全ての真核細胞系で機能することが観察され、翻訳の終結が転写物内の適切なコドンで生じることを担保するために進化してきたらしい。時期尚早なナンセンスを含む転写物は急速に分解され、したがって不完全で潜在的に有害な蛋白質の合成が防止される。優に200を越える、時期尚早な翻訳終結に起因する遺伝的疾患が存在する(McKusick, 1994)。【0003】NMDを促進するために必要な蛋白質が、哺乳類細胞のC.エレガンス(C. elegans)およびビール酵母(Saccharomyces cerevisiae)で調べられてきた。NMDに関与する3つの因子が酵母で特定された。UPF1、UPF2およびUPF3遺伝子の変異は、ほとんどの野性型mRNAの崩壊速度に影響を与えないで初期ナンセンス変異を含むmRNAを選択的に安定化させることが示された(He & Jacobson, 1995; Lee & Culbertson, 1995; Leeds et al. 1992; Leeds et al. 1991; Cui et al. 1995)。最近の結果は、Upf1p、Upf2pおよびUpf3pは相互に作用して複合体を形成することを示した(He & Jacobson, 1995; He et al. 1997; Weng et al. 1996b)。C.エレガンスでは、ナンセンス含有転写物の増加をもたらす7つのsmg遺伝子座が特定された(Pulak & Anderson, 1993)。UPF1遺伝子のヒトの相同体(RENT1またはHUPF1と称される)が特定され、NMDは進化の間保存された経路であることが示唆された(Perlick et al. 1996; Applequist et al. 1997)。【0004】NMDが哺乳類細胞で惹起される細胞内小区画については異論があるが(Weng et al. 1997; Marquat, 1995; Zhang & Marqua, 1997)、しかしながら酵母では転写物がリボソームと結合しているときはNMDは細胞質で惹起されるようである。この結論を支持する結果は以下のとおりである;1)酵母でNMD経路の基質であるナンセンス含有RNAおよびイントロン含有RNAはポリゾームと結合し、翻訳伸長抑制物質シクロヘキシミドの存在下で安定化される(Zhang et al. 1997)。しかしながら、ポリゾーム結合RNAは、この薬剤が培養液から洗い流されると正常な急速崩壊キネティクスを再度獲得し、翻訳が再開される(Zhang et al. 1997);2)Upf1p、Upf2pおよびUpf3pはポリゾームと結合することが示された(Peltz et al. 1993a, 1994; Atkin et al. 1995; Atkin et al. 1997);3)蛍光in situハイブリダイゼーション分析で明らかにされたように、5'スプライス部位または分枝点の変異を含むイントロン含有LacZRNAの細胞質での豊富さは、UPF1+株で劇的に減少するが、upf1Δ細胞では細胞質での豊富さが増加する(Long et al. 1995);4)NMDはナンセンス抑圧(nonsense-suppressing)tRNAによって防止することができる(Losson & Lacroute, 1979; Gozalbo & Hohmann, 1990; Belgrader et al. 1993);5)NMD経路は、少なくとも1つの翻訳開始/終結サイクルが完了した後でのみ機能する(Ruiz-Echevarria & Peltz, 1996; Ruiz-Echevarria et al. 1998; Zhang & Maquat, 1997)。さらにまた、翻訳再開事象はNMD経路の活性化を防止することができる(Ruiz-Echevarria & Peltz, 1996; Ruiz-Echevarria et al. 1998; Zhang & Maquat, 1997)。総合すれば、これらの結果は、酵母のNMD経路は細胞質で生じる翻訳依存事象であることを示している。rent1/hupf1蛋白質もまたもっぱら細胞質に存在する(Applequist et al. 1997)。【0005】酵母のUPF1遺伝子およびその蛋白生成物は、もっとも広範囲に研究された仮説的監視複合体の成分である(Czaplinski et al. 1995; Weng et al. 1996a, b; Weng et al. 1998; Altamura et al. 1992; Cui et al. 1996; Koonin, 1992; Leeds et al. 1992; Atkin et al. 1995, 1997)。Upf1pはシステイン富裕領域およびヒスチジン富裕領域をそのアミノ末端近くに含み、全てのモチーフがヘリカーゼI群上科に属するものであることが要求される。酵母のUpf1pが精製され、RNA結合ATPアーゼおよびRNA依存ATPアーゼ活性、およびRNAヘリカーゼ活性が明らかにされた(Czaplinski et al. 1995; Weng et al. 1996a, b)。UPF1P遺伝子の崩壊はナンセンス含有mRNAの安定化およびある種のナンセンス対立遺伝子座のサプレッションをもたらす(Leeds et al. 1991; Cui et al. 1995; Czaplinski et al. 1995; Weng et al. 1996a; Weng et al. 1996b)。【0006】発明が解決しようとする課題翻訳終結を調整する能力はナンセンス変異と深い関係がある疾患の治療に重要な関わりをもつ。一切の生物学的システムに関して言えば、完全長の蛋白質発現をもたらす(アミノ酸置換または欠失を含む場合また含まない場合がある)ナンセンス変異のわずかなサプレッションが存在する。天然の状態では、病的結果としてそのような少量の完全長蛋白質が産生される。しかしながら、ナンセンスmRNAを安定化させることによって、"リードスルー(read-through)"転写物が劇的に増加し、十分量のこの蛋白質の発現によって病的表現型が克服される可能性がある。【0007】 ナンセンス仲介mRNA崩壊経路は、ナンセンス変異を含む転写物をもつ細胞を排除する、進化によって保存された監視経路の一例である。UPF1P遺伝子生成物は、異常なmRNAを認識し分解する仮説的監視複合体で必要とされる成分である。本明細書で提示する結果は、酵母およびヒトのUpf1pは真核性翻訳終結因子eRF1およびeRF3の両方と相互作用することを明らかにした。eRFとのUpf1pの相互作用と一致して、Upf1pはプリオン様凝集物で見出され、これは酵母の〔PSI+〕株で認められたeRF1およびeRF3を含んでいる。これらの結果は、Upf1pとペプチジル終結因子との相互作用は、翻訳終結が不完全な状態で生じたか否かの翻訳終結モニターを強化し、異常な転写物の分解を促進させるこの仮説的監視複合体のアッセンブリーで重要な事象であることを示している。【0008】 本発明は、ヒトUpf1p蛋白質、ペプチジル真核性終結因子1(eRF1)およびペプチジル真核性終結因子3(eRF3)を含む単離複合体を提供する。本複合体は効率的にペプチジルトランスフェラーゼ活性を調整する。ある実施態様では、本発明はさらにヒトUpf3pおよびUpf2pを含む。【0009】 本発明は、相当量のヒトUpf1p蛋白質、ペプチジル真核性終結因子1(eRF1)およびペプチジル真核性終結因子3(eRF3)を含む、翻訳終結に有効な複合体と結合する物質を提供する。本発明は、請求項1の複合体と結合する物質を提供する。前記物質は、Upf1pのATPアーゼ;eRF1またはeRF3のGTPアーゼ活性;またはリボソームとのRNAの結合を抑制する。本発明は、ヒトUpf1pのeRF1もしくはeRF3との結合、またはeRF1もしくはeRF3のUpf1pとの結合を抑制または調整する物質を提供する。本発明は、ヒトUpf3pのeRF1もしくはeRF3との結合、またはeRF1もしくはeRF3のUpf3pとの結合を抑制または調整する物質を提供する。本発明は、ヒトUpf1pのeRF1もしくはeRF3との結合;またはeRF3もしくはeRF1もしくはeRF3のUpf1pとの結合を促進する物質を提供する。本発明は、ヒトUpf3pのeRF1もしくはeRF3との結合;またはeRF3もしくはeRF1もしくはeRF3のUpf3pとの結合を促進する物質を提供する。本発明は、ヒトUpf1p、eRF1またはeRF3のリボソームとの結合を調整する物質を提供する。【0010】本発明は、翻訳時にペプチジルトランスフェラーゼ活性を調節する方法を提供し、本方法は、翻訳終結を促進するために有効な量の複合体と細胞を接触させ、それによってペプチジルトランスフェラーゼ活性を調整することを含む。本発明は、翻訳時にペプチジルトランスフェラーゼ活性を調節する方法を提供する。本方法は、ナンセンス翻訳終結を抑圧するために有効な量の物質と細胞を接触させ、それによってペプチジルトランスフェラーゼ活性を調整することを含む。翻訳中の前記ペプチジルトランスフェラーゼ活性は、開始、伸長、終結およびmRNAの分解時に発生する。【0011】本発明は、ナンセンスコドンにおけるmRNAの翻訳終結効率の調整および/または異常な転写物の分解促進の方法を提供する。本方法は、ヒトUpf1pのeRF1もしくはeRF3との結合、またはeRF1もしくはeRF3のUpf1pとの結合を抑制するために有効な量で、物質を細胞と接触させ、それによってナンセンスコドンにおけるmRNAの翻訳終結効率を調整し、および/または異常な転写物の分解を促進することを含む。本発明は、ナンセンスコドンにおけるmRNAの翻訳終結効率の調整および/または異常な転写物の分解促進の方法を提供する。本方法は、ヒトUpf1pのATPアーゼ/ヘリカーゼ活性;eRF1またはeRF3のGTPアーゼ活性;またはRNAのリボソームとの結合を抑制する物質を細胞と接触させ、それによってナンセンスコドンにおけるmRNAの翻訳終結効率を調整し、および/または異常な転写物の分解を促進することを含む。【0012】本発明は、以下を含む翻訳時のペプチジルトランスフェラーゼ活性に必要な薬剤をスクリーニングする方法を提供する:a)細胞を候補薬剤と接触させ;さらにb)複合体の調整についてアッセイする。前記の方法では、複合体を調整する薬剤はペプチジルトランスフェラーゼ活性に必要とされるか、または翻訳終結を強化する。本発明は、以下を含む翻訳終結の強化に必要な薬剤をスクリーニングする方法を提供する:a)前記薬剤および前記複合体を保温し;さらにb)ナンセンスサプレッションに対する効果を測定し、それによって翻訳終結の強化に必要な薬剤をスクリーニングする。本アッセイはRNAアッセイまたはNTPアーゼアッセイ、例えばATPアーゼまたはGTPアーゼアッセイであろう。【0013】本発明は、以下を含む、mRNAの翻訳終結の効率、および/または細胞中の異常な転写物の分解を調整する方法を提供する:a)前記複合体の蛋白質、前記複合体をコードする核酸、またはそのアンチセンス分子を含むベクターを含有する細胞を提供し;b)前記核酸を前記細胞で過剰発現させて過剰発現複合体を産生し、それによって前記複合体の機能と干渉させる。【0014】本発明は、以下の工程を含む、複合体の欠陥が関与する症状を特定する方法を提供する:(a)複合体をコードする核酸を細胞にトランスフェクトし;(b)トランスフェクション後に細胞の欠陥複合体の割合を決定し;(c)トランスフェクション後の細胞の欠陥複合体の割合をトランスフェクション前の細胞の欠陥複合体の割合と比較する。本発明は、ペプチジルトランスフェラーゼ活性と関係がある疾患の治療方法を提供する。本方法は、前記複合体または前記物質および医薬担体または希釈剤を含む医薬組成物の治療的有効量を対象者に投与し、それによって前記対象者を治療することを含む。【0015】課題を解決するための手段時期尚早なナンセンスコドンを含む転写物は容易に分解し、したがって不完全で潜在的に有害な蛋白質の合成を防止する。監視経路は、蛋白質コード領域にナンセンス変異を含む異常なmRNAを排除する。本発明の目的は、転写後調節の3つの局面に向けられている:遺伝性疾患および癌のナンセンス変異の抑制;ウイルス感染におけるリボソームフレームシフトの抑制;および多くの疾患で重要なmRNAのレベルを調整するRNA−蛋白質相互作用の改変。【0016】 Upf1pは、ペプチジル終結因子である真核性終結因子1(頭文字をとってeRF1)および終結因子3(eRF3)と相互作用してそれらの活性を増大させることによって翻訳終結を強化させる。eRF1もeRF3もともに、相互作用して真核細胞でペプチジル終結を促進させる保存された蛋白質である。酵母では、eRF1およびeRF3はそれぞれSUP45およびSUP35遺伝子によってコードされる(Frolova et al. 1994; Zhouravleva et al. 1995)。Sup45pおよびSup35pは相互作用することが示された(Stansfield et al. 1995; Paushkin et al. 1997)。eRF1は固有のペプチド加水分解活性を含み、一方、eRF3(これは翻訳伸長因子EF1α(Didichenko et al. 1991)と相同性を有する)はGTPアーゼ活性を示し(Frolova et al. 1996)、eRF1(Zhouravleva et al. 1995)の終結活性を強化する。本明細書で提示した結果は、ヒトおよび酵母のUpf1pとペプチジル終結因子eRF1およびeRF3との間の生化学的相互反応を明らかにした。【0017】 以下は、NMD経路がどのように機能して翻訳終結を強化し、続いてナンセンス含有転写物を認識し分解するかのモデルである。翻訳作業中のリボソームのA部位の終止コドンはリボソームに作業を中断させる(工程1)。翻訳終結因子eRF1およびeRF3はA部位で相互作用し、さらにUpf1pと相互作用することによって監視複合体のアッセンブリーを促進する(Upf1pは他の複数の因子と複合体を形成することはきわめて有りそうなことである)(工程2)。終結因子とUpf1pとの相互作用は、そのATPアーゼおよびRNA結合活性を抑制する。この抑制は、Upf1pが終結因子の活性を強化し、Upf1p複合体が時期尚早に終結因子から解離しないで、DSEを探索することを担保するために必要かもしれない。【0018】 ペプチド加水分解は、終結因子が監視複合体と結合している間に発生する。eRF3によるGTP加水分解および終結の完了に続いて、eRFはリボソームから解離する(工程3)。終結因子の解離はUpf1pのRNA結合およびATPアーゼ活性を賦活し、Upf1p複合体がDSEの探索で終止コドンの3'をスキャンを開始させる(工程4)。複合体がDSEまたはDSE付随因子と結合する場合は、当該RNAがDcp1pによる急速な脱キャップのための基質となるように、RNP複合体が形成される(工程5)。監視複合体がDSEと相互作用する結果として形成されるRNP複合体は、3'ポリ(A)−PABP複合体と5'キャップ構造との間の正常な相互作用を妨げる。続いて脱キャップmRNAは、Xrn1pエキソリボヌクレアーゼによって分解される(工程6)。【0019】 本明細書で規定されるように、"監視複合体は"は少なくともUpf1p並びに真核性終結因子1および3を含む。"UPF1"遺伝子はRENT1またはHUPF1とも称される。本複合体はまたUpf2pおよび/またはUpf3pを含むことができる。【0020】多くの知見が、mRNA崩壊プロセスにおける蛋白質合成の重要な役割を指摘している。実際のところ、これらの2つのプロセスは同時に発達し、さらに一方のプロセスに必須の因子はまた他方で機能するようである。この連携の証拠には以下を明らかにした実験が含まれる:a)翻訳伸長に干渉する薬剤または変異はmRNA安定化を促進する、b)迅速なmRNA崩壊を指令する配列エレメントはmRNAコード領域に配置することができ、さらにそのようなエレメントの活性はそれらの翻訳に依存する、c)分解因子はリボソームに結合する、およびd)時期尚早の翻訳終結はmRNA崩壊速度を強化することができる。【0021】ある時間に合成される個々の蛋白質の量はそのmRNAの細胞濃度に依存するので、当然、mRNA崩壊速度の調節は遺伝子発現を制御する強力な手段を提供することになる。哺乳類細胞では、mRNA崩壊速度(半減期と表現される)は、短いもので15−30分また長いもので500時間である。mRNA崩壊速度におけるそのような相違は、個々の蛋白質レベルでは1000倍もの相違をもたらすことができる。さらに別の制御レベルは、個々のmRNAの崩壊速度は必ずしも固定されていないが、自原的フィードバック機構、特異的ホルモンの存在、特定の分化段階もしくは細胞サイクル、またはウイルス感染の結果として調節されるという知見によって提供される。【0022】翻訳およびmRNA崩壊の統合のもっとも良い例は、おそらく時期尚早な翻訳終結の結果を示す実験であろう。時期尚早な翻訳終結は、DNAの欠失、塩基置換またはフレームシフトが、不適切な終止コドン(ナンセンスコドン)をその蛋白質コード領域内に含むmRNAの合成を生じるときに発生する。そのような時期尚早な終止コドンの出現は、初期終結部位で翻訳の進行を阻み、切端蛋白質の合成をもたらす。それらの"正常な"崩壊速度に関係なく、ナンセンス変異を含む遺伝子から転写されたmRNA("ナンセンス含有mRNA"と呼ぶ)は急速に分解される。そのような"ナンセンス仲介mRNA崩壊"は普遍的である。すなわち、それは検査された全ての器官で観察され、個々のmRNAの豊富さは10倍から100倍の減少をもたらす。【0023】激しいmRNA量の減少および時期尚早な翻訳終結の組合せは、遺伝子欠失の結果と同様に激烈な、個々の遺伝子発現の全体的レベルの低下をもたらす。ナンセンス仲介mRNA崩壊のヒトの健康に対する重要性は、ナンセンス変異が病的状態をもたらし、対応するmRNAがナンセンス仲介mRNA崩壊経路の基質であることが示された多数の遺伝疾患が特定されたことによって説明できる。【0024】重要な点は、ナンセンス仲介mRNA崩壊経路の不活化は細胞増殖を妨げることなく達成でき、ナンセンス含有mRNAの正常なレベルおよび正常な崩壊速度の復活をもたらすことである。より重要なことには、酵母の実験(および他の実験)で、mRNAはなおナンセンスコドンを含んでいるかもしれないが、この崩壊経路の不活化は機能を有する十分な蛋白質の合成を可能にし、細胞が本来の遺伝的欠陥を克服できることが明らかにされた。したがって、ナンセンス仲介mRNA崩壊経路をダウンレギュレートすることによってナンセンス変異によって発生する疾患を治療することが可能である。【0025】 本発明は、ヒトUpf1p蛋白質、ペプチジル真核性終結因子1(eRF1)およびペプチジル真核性終結因子3(eRF3)を含む単離複合体を提供する。本複合体はペプチジルトランスフェラーゼ活性の調整に有効である。 Upf1pは、ペプチジル真核性終結因子eRF1およびeRF3と相互作用する。Upf1pは、ペプチジル真核性終結因子eRF1およびeRF3と相互作用することによって翻訳終結を調整する。eRF1およびeRF3は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合蛋白質として大腸菌で個々に発現され、グルタチオンセファロースビーズを用いて精製された。グルタチオンセファロースビーズと結合した精製GST−RF(終結因子)融合蛋白質をFLAGエピトープ貼付Upf1pを含む酵母の細胞質抽出物に添加した。インキュベーション後に、GST−RFおよび結合蛋白質をアフィニティークロマトグラフィーで精製し、SDS−PAGEに付した。免疫ブロットを実施し、Upf1pの存在をFLAGエピトープに対する抗体を用いてアッセイした。抗FLAG抗体は、FLAG−Upf1pを発現するプラスミドで形質転換した細胞の細胞抽出物で109kDのUpf1pのみを認識した。この分析によって、Upf1pはまたeRF1またはeRF3のどちらかを特異的に同時精製することが明らかにされた。Upf1pは、もう1つの蛋白質と融合していないGST蛋白質またはGST−JIP蛋白質を同時精製しなかった。この実験では、GSTと融合させたJak2相互作用蛋白質を反応の特異性をモニターするために用いた。【0026】精製Upf1pとeRF1またはeRF3のどちらかとの相互作用もまたモニターした。エピトープ貼付Upf1p(FLAG−Upf1p)の精製は以前に記載されている。精製FLAG−Upf1pを塩濃度を高めながらGST−RF融合蛋白質と保温し、上記のようにこれら蛋白質の相互作用をモニターした。結果は、精製FLAG−Upf1pはeRF1またはeRF3のどちらかと相互作用することを明らかにした。Upf1p−eRF3複合体は、Upf1p−eRF1複合体よりも塩濃度の増加に対して感受性が低い。この相互作用は特異的である。なぜならば、精製Upf1pはGST蛋白質またはGST−JIPとは相互作用しなかった。Upf1pとeRF1またはeRF3との相互作用は用量依存性であることが示された。【0027】ある実施態様では、複合体はさらにヒトUpf3pを含む。本明細書に提示する結果は、Upf3pは翻訳読み枠の適切な維持を担保する機能をもつことを示唆している。このプロセスにおけるUpf3pの機能は、Upf1pおよびUpf2pよりも遺伝的に上位性であるようである。なぜならば、upf3Δのプログラム化された−1フレームシフトおよびキラー維持表現型は、upf1Δおよびupf2Δ株で観察されるからである。本明細書に提示した結果は、Upfpは、翻訳およびmRNAターンオーバープロセスの別々の局面に影響を与える別個の役割を有することを明らかにしている。重要なことに、これらの結果はまた実際的な意味をもつかもしれない。なぜならば、臨床的、獣医学的および農業的に重要な多くのウイルスがプログラム化フレームシフトを利用するからである。したがって、プログラム化リボソームフレームシフトは、抗ウイルス剤のための固有の標的として機能し、このプロセスに含まれる因子の特定および性状決定は、これらの化合物を特定するアッセイの開発に役立つであろう。別の実施態様では複合体はヒトUpf2pを含む。【0028】 本発明は、ヒトUpf1p蛋白質、ペプチジル真核性終結因子1(eRF1)およびペプチジル真核性終結因子3(eRF3)をコードする核酸が調節エレメントに機能的に連結されたものを含む発現ベクターを提供する。 本発明にしたがえば、当業者の通常の分子生物学、微生物学、および遺伝子組換えDNA技術を利用することができる。そのような技術は文献で完全に説明されている。例えば以下を参照された:Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition(1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York(本明細書では"Sambrook et al. 1989"と表す);DNA Coling: A Practical Approach, Vol.I and II(D.N. Glover ed. 1985); Olignucleotide Synthesis (M.J. Gait ed. 1984); Nucleic Acid Hybridization (B.D. Hames & S.J. Higgins eds. 1985); Transcription and Translation (B.D. Hames & S.J. Higgins eds. 1984); Animal Cell Culture (R.I. Freshney, ed. 1986); Immoblized Cells and Enzymes (IRL Press, 1986); B. Perbal, A Practical Guide to Molecular Cloning (1984); F.M. Ausubel et al.(eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc.(1994)。【0029】"ベクター"とは、それに対して別のDNAセグメントを結合させ、結合セグメントを複製させることができるレプリコン、例えばプラスミド、ファージ、またはコスミドである。"レプリコン"は、in vivoでDNA複製の自律的単位として機能する、すなわちそれ自身の制御下で複製することができる任意の遺伝的要素(例えばプラスミド、染色体、ウイルス)である。"カセット"とは、ベクターの固有の制限部位に挿入できるDNAセグメントを指す。DNAセグメントは問題のポリペプチドをコードし、さらに、転写および翻訳のために適切な読み枠内にカセットを挿入することを担保するために、このカセットおよび制限部位はデザインされる。【0030】"核酸分子"とは、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンまたはシチジン;RNA分子)、またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジンまたはデオキシシチジン;DNA分子)のリン酸エステルのポリマー形、またはいずれかのそのホスホエステル類似体(例えばホスホロチオエートおよびチオエステル)で、一本鎖形または二本鎖螺旋のものを指す。二本鎖のDNA−DNA、DNA−RNAおよびRNA−RNA螺旋が考えられる。核酸分子という用語、特にDNAまたはRNA分子は当該分子の一次および二次構造のみを指し、それらはいずれの三次元形態にも限定されない。したがって、この用語は、とりわけ直線状もしくは環状DNA分子(例えば制限フラグメント)、プラスミドおよび染色体で見出される二本鎖DNAを含む。特定の二本鎖DNA分子の構造を考察する場合、配列は本明細書では通常の慣習にしたがって記載され、DNAの非転写鎖(すなわちmRNAと相同な配列をもつ鎖)に沿って5'から3'方向の配列のみが示される。"リコンビナントDNA分子"は、分子生物学的操作を受けたDNA分子である。【0031】転写および翻訳制御配列は、DNA調節配列(例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーターなど)で、ホスト細胞でコード配列を発現させる。真核細胞では、ポリアデニル化シグナルは制御配列である。"プロモーター配列"は、細胞内のRNAポリメラーゼと結合して下流(3'方向)のコード配列の転写を開始させる、DNAの調節領域である。本発明をより明確に規定すれば、プロモーター配列はその3'末端の境界に転写開始部位をもち、上流(5'方向)に伸長し、バックグラウンド以上の検出可能なレベルでの転写を開始させるために必要な最低限の塩基またはエレメントを含む。プロモーター配列内には転写開始部位(簡便にはヌクレアーゼS1によるマッピングで示される)が、RNAポリメラーゼの結合に必要な蛋白質結合ドメイン(コンセンサス配列)と同様に見出されるであろう。コード配列は、RNAポリメラーゼがこのコード配列をmRNAに転写するとき、細胞内の転写および翻訳制御配列の"制御下"にある。前記mRNAは続いてトランス−RNA作用でスプライスされ、さらにコード配列によってコードされた蛋白質に翻訳される。【0032】当分野で既知の多数のベクター−ホスト系を用いることができる。考えられるベクターにはプラスミドまたは改変ウイルスが含まれる(ただしこれらに限定されない)が、ベクター系は使用するホスト細胞に適合しなければならない。ベクターの例には大腸菌、バクテリオファージ(例えばラムダ誘導体)またはプラスミド(例えばpBR322誘導体またはpUCプラスミド誘導体(例えばpGEXベクター、pmal−c、pFLAGなど))が含まれるが、ただしこれらに限定されない。【0033】クローニングベクターへの挿入は、例えば、DNAフラグメントを相補的な粘着性末端を有するクローニングベクターに連結することによって達成できる。しかしながら、DNAの分断化に用いる制限部位がクローニングベクターに存在しない場合は、DNA分子の末端を酵素的に改変してもよい。また別にはヌクレオチド配列(リンカー)をDNA末端に連結することによって、いずれの所望部位も作製可能である。これらの連結リンカーは、特定の化学的に合成された、制限エンドヌクレアーゼ認識配列をコードするオリゴヌクレオチドを含むことができる。【0034】リコンビナント分子を形質転換、トランスフェクション、感染、電気穿孔などによって細胞に導入し、それによって前記遺伝子の多くのコピーを製造できる。好ましくは、クローン化遺伝子はシャトルベクタープラスミドに包含させる。シャトルベクタープラスミドはクローニング細胞の範囲の拡張(例えば大腸菌)を提供し、所望の場合はその後の適切な発現細胞株への挿入のために精製を促進する。例えば、シャトルベクター(2種類以上の生物で複製できるベクター)は、大腸菌およびビール酵母菌の両方での複製のために、大腸菌プラスミドの配列を酵母2μプラスミドの配列に連結することによって調製できる。【0035】 複合体の蛋白質、Upf1p、Upf2p、Upf3p並びに終結因子1および2をコードするDNAの発現は、当分野で既知のいずれのプロモーター/エンハンサーによっても制御できるが、これらの調節エレメントは発現のために選択したホストで機能できなければならない。使用可能なプロモーターには以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):SV40初期プロモーター領域(Benoist & Chambon, 1981; Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスに含まれる3'末端繰り返し配列に含まれるプロモーター(Yamamoto et al. Cell 22:787-797(1980))、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 78:1441-1445(1981))、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinster et al. Nature 296:39-42(1982))、原核細胞発現ベクター、例えばβ−ラクタマーゼプロモーター(Villa-Kamaroff et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75:3727-3731(1978))またはtacプロモーター(DeBoer et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:21-25(1983))。【0036】ベクターは所望のホスト細胞に例えば以下の当分野で既知の方法によって導入される:トランスフェクション、電気穿孔、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、燐酸カルシウム沈澱、リポフェクチン(リソソーム融合)、遺伝子銃の使用、またはDNAベクタートランスポーター(例えば以下を参照されたい:Wu et al. J. Biol. Chem. 267:963-967(1992); Wu & Wu, J. Biol. Chem. 263:14621-14624(1988);カナダ特許出願2012311号(Hartmut et al. 1990年3月15日出願)。【0037】 本発明は、翻訳終結の調整に有効な、かなりの量のヒトUpf1p蛋白質、ペプチジル真核性終結因子1(eRF1)およびペプチジル真核性終結因子2(eRF3)を含む複合体と結合する物質を提供する。本発明は、前記複合体と結合する物質を提供し、ここで前記物質は以下を抑制する:Upf1pのATPアーゼ;eRF1またはeRF3のGTPアーゼ活性;RNA結合;前記因子のリボソームとの結合;または前記因子の互いとの結合。本発明は、ヒトUpf1pのeRF1もしくはeRF3との結合、またはeRF1もしくはeRF3のUpf1pとの結合;RNA結合;または前記因子のリボソームとの結合;前記因子の互いとの結合を抑制または調整する物質を提供する。本発明は、ヒトUpf3pのeRF1もしくはeRF3との結合、またはeRF1もしくはeRF3のUpf3pとの結合を抑制または調整する物質を提供する。【0038】本発明は、ヒトUpf1pのeRF1もしくはeRF3との結合、またはeRF1もしくはeRF3のUpf1pとの結合を促進する物質を提供する。本発明は、ヒトUpf3pのeRF1もしくはeRF3との結合、またはeRF1もしくはeRF3のUpf3pとの結合;または前記因子のリボソームとの結合;前記因子の互いとの結合を促進する物質を提供する。本発明は、ヒトUpf3p、eRF1またはeRF3のリボソームとの結合を調整する物質を提供する。【0039】本発明は前記複合体と結合する抗体を提供する。前記抗体はモノクローナルでもポリクローナルでもよい。さらに、前記抗体は、検出可能なマーカーで標識されていてもよい。前記マーカーは、放射能活性マーカー、比色測定マーカー、蛍光マーカーまたは化学発光マーカーである。前記標識抗体はモノクローナルでもポリクローナルでもよい。ある実施態様では、標識抗体は精製標識抗体である。抗体を標識する方法は当技術分野では周知である。【0040】"抗体"という用語は、例示すれば、天然に存在する抗体および天然には存在しない抗体の両方を含む。特に、"抗体"という用語はポリクローナルおよびモノクローナル抗体並びにそのフラグメント含む。さらにまた、"抗体"という用語はキメラ抗体、完全合成抗体およびそのフラグメントを含む。そのような抗体にはポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、FabフラグメントおよびFab発現ライブラリーが含まれるが、ただしこれらに限定されない。さらに前記蛋白質または抗体は検出可能なマーカーを含むことができる。マーカーは、放射性マーカー、比色測定マーカー、蛍光マーカーまたは化学発光マーカーである。【0041】抗体は、in vitroでの検出のために、例えば酵素、蛍光発光団、発色団、放射性同位元素、染料、コロイド性金、ラテックス粒子、および化学発光物質のようなもので標識できる。また別に、抗体は、in vivoでの検出のために、例えば放射性同位元素(好ましくはテクネチウムまたはヨウ素);磁気共鳴シフト試薬(例えばガドリニウムおよびマンガン);または放射線非透過試薬で標識できる。これらの実験でもっとも一般的に利用される標識は、放射性元素、酵素、紫外光に暴露したとき蛍光を発する化学物質およびその他のものである。多数の蛍光物質が知られており、標識として用いることができる。これらには、例えばフルオレセイン、ローダミン、オーラミン、テキサスレッド、AMCAブルーおよびルシファーイェローが含まれる。具体的な検出物質は、ヤギで調製した抗ウサギ抗体で、イソチオシアネートでフルオレセインと結合させることができる。蛋白質はまた放射性元素または酵素で標識できる。放射性標識は、現在利用可能な計測方法のいずれを用いても検出できる。好ましい同位元素は3H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、125I、131Iおよび186Reから選択できる。【0042】酵素標識も同様に有用で、現在利用されている比色法、分光測定、蛍光分光測定、電流測定またはガス測定技術のいずれを用いても検出できる。酵素は、選択した粒子と架橋分子、例えばカルボジイミド、ジイソシアネート、グルタルアルデヒドなどとの反応によって結合させる。これらの方法で用いることができる多くの酵素が知られており、利用可能である。好ましいものは、ペルオキシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、β−D−グルコシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ+ペルオキシダーゼおよびアルカリホスファターゼである。米国特許第3654090号、3850752号および4016043号ではまた別の標識物質および方法が開示されているので、例示として引用する。【0043】複合体に特異的な抗体および核酸を、サンプル中または特定の種類の細胞で複合体ポリペプチド(抗体を用いる)または核酸(核酸プローブを用いる)の存在を検出する方法でプローブとして用いることができる。これらの方法では、複合体−特異抗体または核酸プローブを疾患と関連する複合体をもつと思われる患者から得たサンプルと接触させ、抗体または核酸プローブのサンプルとの特異的結合が検出される。被験サンプルに存在する複合体または核酸のレベルを、コントロールサンプル(例えば非罹患個体の同等なサンプル)中のレベルと比較し、患者が疾患関連複合体をもつか否かを決定することができる。複合体ポリペプチド(またはそのフラグメント)もまた、診断方法(例えばサンプル中の複合体特異抗体の存在を検出する)でプローブとして用いることができる。さらにまた、前記複合体またはそのフラグメントと複合体を形成した新規な補助因子を検出するために複合体特異抗体を用いることができる。【0044】本発明は、翻訳時にペプチジルトランスフェラーゼ活性を調整する方法を提供する。本方法は、翻訳終結を促進するために有効な量の複合体を細胞と接触させ、それによってペプチジルトランスフェラーゼ活性を調整する工程を含む。本発明は、翻訳時にペプチジルトランスフェラーゼ活性を調整する方法を提供する。本方法は、ナンセンス翻訳終結をサプレスするために有効な量の物質を細胞と接触させ、それによってペプチジルトランスフェラーゼ活性を調整する工程を含む。翻訳時のペプチジルトランスフェラーゼ活性は、開始、伸長、終結およびmRNAの分解中に生じる。【0045】本発明は、ナンセンスコドンにおけるmRNAの翻訳終結の効率を調整し、および/または異常な転写物の分解を促進する方法を提供する。本方法は、ヒトのUpf1pのeRF1もしくはeRF3との結合、またはeRF1もしくはeRF3のUpf1との結合を抑制するために有効な量の物質と細胞を接触させ、それによってナンセンスコドンにおけるmRNAの翻訳終結の効率を調整し、および/または異常な転写物の分解を促進する。【0046】本発明は、ナンセンスコドンにおけるmRNAの翻訳終結の効率を調整し、および/または異常な転写物の分解を促進する方法を提供する。本方法は、Upf1pのATPアーゼ/ヘリカーゼ活性;eRF1もしくはeRF3のGTPアーゼ活性;RNA結合;またはRNAのリボソームとの結合を抑制する物質と細胞を接触させ、それによってナンセンスコドンにおけるmRNAの翻訳終結の効率を調整し、および/または異常な転写物の分解を促進する。【0047】具体的な実施態様では、NTPアーゼ(例えばATPアーゼ活性、GTPアーゼ)、ヘリカーゼ活性、または亜鉛フィンガーモチーフ構造と干渉する物質がテストのために選択できる。そのような物質はウイルス感染を治療する有用な薬剤であろう。なぜならば、多くのレトロウイルス(特にHIV)、コロナウイルスおよび他のRNAウイルスが、医学的および獣医学的疾患に付随しているからである。フレームシフト現象を調整する蛋白質が特定されることによって、最初のスクリーニング方法はそのような蛋白質との結合アッセイを含むであろう。このアッセイは、酵母または他の非ヒト起源(動物を含むがただし動物に限定されない)の生物とともにヒト由来のフレームシフト関連蛋白質の活性に対する物質の有効性をテストするために用いることができる。【0048】例えば、崩壊経路を抑制し、ナンセンス転写物を安定化させ、または翻訳終結の効率を調整する物質の特定は、アンチセンスRNA技術の成功のために重要である。アンチセンスRNAは、小型の拡散性で非翻訳性で、さらに特異的な標的RNAと相補的領域で対を形成する高度な構造をもつ転写物で、それによって標的RNAの機能または発現を制御する。しかしながら、アンチセンスRNA技術を適用する試みの成功は限られていた。制限要因は、標的RNAの発現を抑制または低下させるために、細胞内のアンチセンスRNAの十分な濃度を達成することにあるようである。十分な濃度の達成に対する障害はナンセンス崩壊経路である。なぜならば、短いアンチセンスRNA転写物(これは遺伝子生成物をコードすることは意図されていない)は、翻訳が発生する場合、おそらく急速な翻訳終結に向かい、結果として細胞内でのアンチセンスRNAの急速な分解および低濃度をもたらすであろう。したがって、異常なmRNA転写物を安定化させる本発明の物質はまたアンチセンスRNAを安定化させることができる。【0049】複合体の有無、相対量は抗体の結合によって決定される。考えられる検出方法には、アフィニティークロマトグラフィー、ウェスタンブロッティング、または他の当業者に周知の技術が含まれる。このアプローチは、アンチセンス核酸をもつmRNAをマスクするか、またはそれをリボザイムで切断するかのどちらかによって特異的mRNAの翻訳を遮断するために、アンチセンス核酸およびリボザイムを利用する。【0050】アンチセンス核酸は、特定のmRNA分子の少なくとも一部分と相補的なDNAまたはRNA分子である(Marcus-Sekura, Anal. Biochem. 172:298(1988))。細胞内で、それらは前記mRNAとハイブリダイズして二本鎖分子を形成する。細胞はこの二本鎖形のmRNAを翻訳しない。したがって、アンチセンス核酸はmRNAの蛋白質への発現に干渉する。AUG開始コドンにハイブリダイズする約15ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドおよび分子は特に効率的である。なぜならば、それらは合成が容易で、器官細胞にそれらを導入する場合より大きな分子よりも問題が少ないように思われるからである。アンチセンス法は多くの遺伝子をin vitroで抑制するために用いられた(Marcus-Sekura, 1988, 上掲書;Hambor et al. J. Exp. Med. 168:1237(1988))。【0051】リボザイムは、DNA制限エンドヌクレアーゼといくぶん類似する態様で他の一本鎖RNA分子を特異的に切断する能力をもつRNA分子である。リボザイムは、ある種のmRNAがそれら自身のイントロンを切り出す能力をもつという知見から発見された。これらのRNAのヌクレオチド配列を改変することによって、RNA分子中の特定のヌクレオチド配列を認識し、これを切断する分子が作りだされた(Cech, J. Am. Med. Assoc. 260:3030(1988))。それらは、配列特異的であるので、特定の配列をもつmRNAのみが不活化される。【0052】2種類のリボザイム、テトラヒメナ型および"ハンマーヘッド"型が特定された。テトラヒメナ型リボザイムは4塩基配列を認識し、一方、"ハンマーヘッド"型は11から18塩基配列を認識する。認識配列が長ければ長いほど、そのような認識がmRNA種で排他的に発生する確率が高くなる。したがって、特定のmRNA種を不活化する場合には、ハンマーヘッド型リボザイムがテトラヒメナ型リボザイムより好ましく、18塩基認識配列はより短い認識配列よりも好ましい。【0053】本発明は、翻訳時にペプチジルトランスフェラーゼ活性に必要な薬剤をスクリーニングする方法を提供する。本方法は以下を含む:a)細胞を候補薬剤と接触させ;さらにb)複合体の調整についてアッセイする(複合体を調整する薬剤はペプチジルトランスフェラーゼ活性に必要である)。さらにまた、NTPアーゼ活性(例えばATPアーゼ、GTPアーゼ)、RNA結合活性、複合体と結合する因子(例えばeRF1およびeRF3(ただしこれらに限定されない))、リボソームから解離する因子、凝集を促進する因子、ペプチドの加水分解を遅らせることによって翻訳終結を強化する因子について複合体をアッセイすることができる。【0054】本発明は、以下の工程を含む翻訳終結の強化に必要な薬剤をスクリーニングする方法を提供する:a)細胞を候補薬剤と接触させ;さらにb)蛋白質複合体の調整についてアッセイする(蛋白質複合体を調整する薬剤は翻訳終結の強化に必要である)。本発明は、以下の工程を含む翻訳終結の強化に必要な薬剤をスクリーニングする方法を提供する:a)薬剤と複合体を保温し;さらにb)ナンセンスサプレッションに対する影響を測定し、それによって翻訳終結の強化に必要な薬剤をスクリーニングする。本アッセイは、当業者に既知のRNAアッセイまたはNTPアーゼアッセイ(例えばATPアーゼまたはGTPアーゼアッセイ)であろう。【0055】例えば、複合体の有無、相対量は抗体との結合によって検出できる。Upf1は、以前に記載(Czaplinski et al. 1995; Weng et al. 1996a,b)されたように、FLAGエピトープに対して作製したM2マウスモノクローナル抗体を用いて検出できる。eRF3はDidichencoら(1991)の記載にしたがって検出し、eRF1はStansfieldら(1992)の記載にしたがって検出した。Upf1pRNA依存ATPアーゼ活性は、以前の報告(Czaplinski et al. 1995)にしたがい、GST−RF融合蛋白質の存在下で20ngのUpf1pを用い木炭アッセイによって100μg/mlのBSAとともに1μg/mlのポリ(U)RNAを用いて測定できる。結果は、遊離32Pのピコモルを蛋白質の表示濃度に対して作図して表した。RNA結合は以下のように決定できる:均一に標識された32ntのRNAを、以前の報告(Czaplinski et al. 1995)にしたがい、SstI消化pGEM5Zf(+)のSP6転写によって合成した。RNA結合緩衝液は、100μg/mlのBSAを全反応物に加えた点を除き、以前の報告のとおりである(Czaplinski et al. 1995)。表示量のGST−eRF3(28)を200ngのUpf1pと4℃で15分インキュベートした。50fmolのRNA基質を添加して5分間インキュベートした。停止溶液を加え、反応物を4.5%の非変性PAGEゲル(0.5xTBE、30:0.5のアクリルアミド:ビスアクリルアミド、5%グリセロール含有)で電気泳動に付した。【0056】本発明は、mRNAの翻訳終結効率および/または異常な転写物の分解を細胞内で調整する方法を提供する。本方法は以下の工程を含む:前記複合体をコードする核酸またはそのアンチセンスを含むベクターを含有する細胞を提供し;b)前記核酸ベクターを前記細胞で過剰発現させて過剰発現複合体を生成し、それによって前記複合体の機能と干渉させるか、またはそれを抑制する。【0057】本発明は、請求項1の複合体の欠陥を含む症状を特定する方法を提供する。本方法は以下の工程を含む:(a)複合体をコードする核酸を細胞にトランスフェクトし;(b)トランスフェクション後の細胞の欠陥をもつ複合体の割合を決定し;(c)トランスフェクション後の細胞の欠陥をもつ複合体の割合をトランスフェクション前の細胞の欠陥をもつ複合体の割合と比較する。上記で特記したように、ナンセンス仲介mRNA崩壊は細胞の必須の蛋白質の欠乏をもたらし、したがって疾患をもたらす。正常なmRNAの安定性の制御を改変することは極めて重大な結果をもたらすであろう。【0058】本発明は、ペプチジルトランスフェラーゼ活性と密接な関係をもつ疾患を治療する方法を提供する。本方法は、請求項1の複合体または前記複合体を調整または刺激する物質、および医薬担体または希釈剤を含む医薬組成物を対象者に投与し、それによって対象者を治療することを含む。ナンセンス突然変異は240種を超える異なる遺伝疾患(膵のう胞性繊維炎、血友病、家族性高コレステロール血症、色素性網膜炎、デュシェーヌ筋ジストロフィー、及びマルファン症候群を含む)の個々の原因の約20-40%を生じる。機能性タンパク質のわずかに1%が生成される多くの疾患について、患者はひどい症候に苦しむが、正常レベルのわずかに5%へのブースチング発現がその重度を大いに軽減でき、又はその疾患を排除し得る。加えて、結腸癌、乳癌、食道癌、肺癌、頭部及び首の癌、膀胱癌の著しく多数の最も普通の形態が調節遺伝子(即ち、p53、BRCA1、BRCA2等)のフレームシフト突然変異及びナンセンス突然変異から生じる。夫々のタンパク質の合成を可能にするための調節遺伝子のナンセンス突然変異の修正は癌細胞の死滅を生じるべきである。【0059】 ナンセンス突然変異又はフレームシフト突然変異の結果である疾患、タンパク質、又は遺伝子として、下記のものが挙げられるが、これらに限定されない:ヘモグロビン--β遺伝子座;膵のう胞性繊維炎膜貫通コンダクタンス調節因子;筋ジストロフィー型、偽肥大性進行型、デュシェーヌ型及びベッカー型;フェニルケトン尿症、インスリン受容体;血友病A、結腸の腺腫様ポリープ症、高コレステロール血症、家族性、神経線維腫症、型I、血友病B、高リポタンパク質血症型I、テイ−サックス病、乳癌型1、副腎性過形成、フォン・ウィルブランド病、ムコ多糖体沈着症型I、白子症I、多のう胞性腎臓病1、オルニチンアミノトランスフェラーゼ欠乏角化血管腫、広汎性多発性内分泌腺腫瘍形成型1、性決定領域Y、溶質キャリヤーファミリー4陰イオン交換体メンバー1、【0060】コラーゲン型Iα-1鎖、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ1、グルコキナーゼ、腫瘍タンパク質p53、プロテオリピドタンパク質、ミエリン、成長ホルモン受容体、黄体形成ホルモン/絨毛性ゴナドトロピン受容体;高密度リポタンパク質のアポリポたんぱくA-I、グルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ欠乏アンモニア過剰症、色素性乾皮症I、ペアードボックス異形化遺伝子6、フォンヒッペル−リンダウ症候群、サイクリン依存性キナーゼインヒビター2A、結節硬化症2、チロシン血症、型Iノリエ病、ホスホジエステラーゼ6B、パルミトイル−タンパク質チオエステラーゼ、アポリポたんぱくB、ブルトン型無ガンマグロブリン血症チロシンキナーゼ、副腎形成不全、溶質キャリヤーファミリー5、5,10-@メチレンテトラヒドロフォレート還元酵素、ウィルムス腫瘍、多のう胞性腎臓、転写因子14、肝細胞核因子、ムコ多糖体沈着症型II、【0061】プロテインC欠乏、神経繊維腫症型IIのための先天性血栓疾患、副腎白質ジストロフィー、コラーゲン型VIIα-1、コラーゲン、型Xα1、ヘモグロビン--α遺伝子座-2、グリコーゲン貯蔵疾患VII、フラクトース不耐性、乳癌2早期発症;BRCA2、フコシルトランスフェラーゼ2、ヘルマンスキィ−プドラク症候群、チログロブリン、網膜芽細胞腫、ウィスコット−アルドリッチ症候群、ロドプシン、コラーゲン型XVII、コリン作用性受容体、環状ヌクレオチドゲートチャンネル、光受容体、cGMPゲート、コリン作用性受容体ニコチンエプシロンポリペプチド、組換え活性化遺伝子-1、カンポメリック(CAMPOMELIC)形成異常、増大されたIgMによる免疫不全、RETプロトオンコジーン、RETムコ多糖体沈着症型IVA、レプチン受容体、球状赤血球症、遺伝病、アルギニンバソプレシン、膵のう胞性繊維症のためのアポリポたんぱくC-II欠乏型I高リポタンパク質血症、ウィルソン病、レプチン、血管運動神経性水腫、塩化物チャンネル5、生殖器発育不全、ポルフィリア、急性間欠性疾患、ヘモグロビン、ガンマA、クラッベ病、グリコーゲン貯蔵疾患V、異染性白質萎縮、乳児後期の巨大血小板症候群、ビタミンD受容体、サルコグリカン、デルタ、ツイスト、ショウジョウバエ、アルツハイマー病、腎管アシドーシスによる大理石骨病、エナメル質形成不全-1、発育不全型、POUドメイン、クラス1、転写因子1、真性糖尿病、常染色体優性V-キットハーディ−ズッカーマン4ネコ肉腫ウイルス癌遺伝子同族体、ヘモグロビン--デルタ遺伝子座、アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、ホスファターゼ及びテンシン同族体、成長ホルモン1、【0062】カテプシンK、ウェルナー症候群、ニーマン−ピック病、成長ホルモン放出ホルモン受容体、セルロプラスミン、コロニー刺激因子3受容体、顆粒細胞、末梢ミエリンタンパク質22、フコース蓄積症、多発性外骨腫症型II、ファンコーニ貧血、相補性グループC、毛細管拡張性運動失調、カドヘリン1、溶質キャリヤーファミリー2、員2、UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー、A1、結節硬化症1、ラミニン、ガンマ2、シスタチンB、多のう胞性腎臓疾患2、ミクロソームトリグリセリド移入タンパク質、88KD、変形性形成異常、フラビン含有モノオキシゲナーゼ3、グリコーゲン貯蔵疾患III、POUドメイン、クラス3、転写因子4、シトクロムP450、サブファミリーIID、ポルフィリア、先天性造血性、ATPase、Cu(2+)輸送、αポリペプチド、結腸癌、家族性、無ポリープ症型1、ホスホリラーゼキナーゼ、α1サブユニット(筋肉)、エラスチン、カナバン病切除修復、チャイニーズハムスター中の補体欠損5、ヤーヌスキナーゼ3、ステロイド産生急性調節タンパク質、フコシルトランスフェラーゼ6、緑内障1、開放、外骨腫症、多発性、型1、ミオシリン、顆粒球減少症、乳児遺伝性エリスロポイエチン受容体、運動神経1の生存、末端小粒、音波ヘッジホッグ、ショウジョウバエ、レシチンの同族体;コレステロールアシルトランスフェラーゼ欠乏、後還元分離増大(S.CEREVISIAE)-1、【0063】切除修復交差補体げっ歯類修復欠陥、グループ6、カエデシロップ病アポトーシス抗原1、転写因子1、肝臓ユビキチン−タンパク質リガーゼE3A、トランスグルタミナーゼ1、ミオシンVIIA、ギャップ結合タンパク質、β-1、32-KD、転写因子2、肝臓タンパク質4.2、赤血球甲状腺ホルモン刺激ホルモン、β鎖、トリーチャーコリンズ−フランセスチェッチ症候群1、先天性脈絡膜欠如、心内膜繊維弾性症-2、カウデン病、抗ミュラーホルモン、SRY-ボックス10、PTA欠乏チロシナーゼ関連タンパク質1、ホスホリラーゼキナーゼ、βサブユニット、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼ11、ホスホリパーゼA2、グループIIA、【0064】チャイニーズハムスター3の切除修復、補体欠陥、副腎形成異常IIコラーゲン、型IV、α-4鎖、グランツマン及びナエゲリレチナール色素上皮特異性タンパク質の血小板無力症、65-KD、ホメオボックスA13、カルパイン、大ポリペプチドL3、キサンチン尿ラミニン、α2、シトクロムP450、サブファミリーXIX、ムコ多糖体沈着症型VI、セロイド脂褐素症、ニューロナル3、ユニベルリヒト及びルンドボルグホスホリラーゼキナーゼの若年性シトルリン血症ミオクローヌス癲癇、睾丸/肝臓、ガンマ2、溶質キャリヤーファミリー3、員1、プテリン-4-α-カルビノールアミンデヒドラターゼ、眼性白子症、型1、妖精症癲癇、良性新生児のヒルシュスプルング病大理石骨病、常染色体劣性RAS p21タンパク質アクチベーター1、ムコ多糖体沈着症型VIIチャディアク−ヒガシ症候群、カリウムチャンネル、内向き矯正サブファミリーJ、員1、プラコフィリン1、血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼイソ型1B、αサブユニット、プレクチン1、短身長、MHCクラスIIトランスアクチベーター、低リン酸塩血症、ビタミンD耐性くる病、【0065】リーグ・ビコイド(RIEG BICOID)関連ホメオボックス転写因子1、筋ジストロフィー、肢帯筋、型2E、色素性網膜炎-3、MutS、E.COLI、3の同族体、チロシントランスアミナーゼ欠乏ロウ眼脳腎臓症候群、黄色色素異常腎ノフチシス(XANTHISM NEPHRONOPHTHISIS)、家族性若年性1、ヘテロタキシイ(HETEROTAXY)、内臓、X結合ミラー−ディーカー脳回欠損症候群、プロペルジン欠乏、X結合3-@オキソ酸CoAトランスフェラーゼ、ワーデンブルグ−シャー症候群筋ジストロフィー、肢帯筋、型2、アルポート症候群、常染色体劣性グリコーゲン貯蔵疾患IV真性糖尿病、常染色体優性、型II溶質キャリヤーファミリー2、員1、手足−子宮症候群シスチン症、早期発症又は若年性神経障害型、クリグラー−ナジャー症候群インスリン様成長因子1、ラクテートデヒドロゲナーゼ-A、スチックラー症候群、型II、レーバーIα−ガラクトシダーゼBの先天性黒内症、副腎形成異常Iリー−フラウメニ症候群、溶質キャリヤーファミリー12、員1、クライン−ワーデンブルグ症候群ペルオキシソーム生物発生因子7、修復ボックスホメオチック遺伝子8、網膜分離症、5-ヒドロキシトリプタミン受容体2C、【0066】尿酸塩オキシダーゼ、ポイツ−ジェガーズ症候群僧帽弁脱出症、家族性、メラノーマ、悪性皮膚、2、フコシルトランスフェラーゼ1、ピクノジソストシス(PYCNODYSOSTOSIS)、ムコ多糖体沈着症型IIIB P-糖タンパク質-3、重度の合併免疫不全、B細胞陰性色素性網膜炎、リボソームタンパク質S6キナーゼ、90KD、ポリペプチド3、症候群症候群、デカペンタプレギック(DECAPENTAPLEGIC)ショウジョウバエ、補体4の同族体に対する因子欠乏X結合型、デヒドロゲナーゼ/デルタ−イソメラーゼ、型I、あぶみ骨固定AQP1 1と伝導性、進行性、進行性家族性肝臓内、型IIIモノホスフェートデアミナーゼ-1、ホメオボックス転写因子1。【0067】 本発明はナンセンス突然変異及びフレームシフト突然変異により生じた疾患を治療する治療薬として作用する薬物をスクリーニングするための方法を提供する。ATP結合の活性、ATPase活性、RNAヘリカーゼ活性、GTP結合、GTPase活性、終結因子、又は複合体への、もしくは互いのRNA結合(即ち、eRF1及びeRF3へのUpf1p、又はUpf3pへのUpf2)を監視する生化学的アッセイ及びin vitroアッセイ;mRNA崩壊及び翻訳抑制におけるヒト遺伝子産物の活性を定量化することができる開発アッセイ;上記アッセイを使用する化合物のスクリーニングによる。本明細書に開示された実験は因子の複合体、複合体のタンパク質の活性の拮抗/作動が必須遺伝子のナンセンス突然変異のそうしないと致死性の効果を解消し得ることを示し、酵母をヒト薬剤又は化合物が得られる薬物開発のためのモデル系として証明した。【0068】本明細書に使用される“試験組成物”は所定の能力で機能するその能力又は複合体の活性を模擬する化合物についてアッセイし得るコンビナトリアルライブラリー又はその他のコンビナトリアルプロセスの使用により生じたあらゆる組成物、例えば、遺伝子、核酸配列、ポリペプチド、ペプチド断片又は組成物である。しばしばこのような試験組成物、核酸配列又はポリペプチドは、その配列又は構造のために、所定の能力で機能することができるものと推測される。“コファクター”は複合体をモジュレートし、NMRD又は翻訳終結の効力に影響することができるあらゆる組成物(例えば、ポリペプチド、ポリペプチド誘導体、又はペプチド擬態)である。複合体によりNMRD又は翻訳終結の効力を自然に誘発する組成物が含まれる。また、NMRDを自然に誘発しない組成物(例えば、人工組成物及びその他の目的に利用できる天然組成物)が含まれる。本明細書に使用される“アゴニスト”という用語は複合体又は複合体のUpf1pと相互作用する複合体の因子、例えば、eRF1又はeRf3と相互作用し、又はそれらに結合することにより翻訳終結又はmRNA分解の効力を増大又は刺激することができるあらゆる組成物を意味する。本明細書に使用される“アンタゴニスト”という用語は複合体又は複合体のUpf1pと相互作用する複合体の因子、例えば、eRF1又はeRf3と相互作用し、又はそれらに結合することにより翻訳終結又はmRNA分解の効力を低下又は抑制することができるあらゆる組成物を意味する。【0069】また、本発明は試験薬剤又は組成物が複合体を細胞中でモジュレートするか否かを測定する方法を提供する。その方法は(i)複合体を有する細胞を用意し、(ii)試験薬剤又は組成物の不在下で細胞を複合体を細胞中で活性化する試験薬剤又は組成物と細胞を接触し、そして(iii)細胞の複合体の変化を検出することにより行い得る。本発明を実施する際に、細胞が同時又は連続的に試験薬剤又は組成物と接触し得る。複合体の増加は試験薬剤又は組成物が複合体のアゴオニストであることを示し、一方、複合体の減少は試験薬剤又は組成物が複合体のアンタゴニストであることを示す。所望により、複合体のモジュレーターを同定するための上記方法が本発明のこの局面に使用するための複合体を含む複合体経路内の組成物、コファクター又はその他の組成物を同定するのに使用し得る。あらゆる薬剤又は組成物が本発明を実施する際に試験薬剤又は組成物として使用し得る。好ましい試験薬剤又は組成物として、ポリペプチド及び小有機薬剤又は組成物が挙げられる。配列又は構造相同性は試験薬剤又は組成物が複合体を細胞中でモジュレートし得ることを推測する基礎を与え得るが、ランダムに選ばれた試験薬剤又は組成物がまた本発明における使用に適している。薬剤又は組成物をランダムに生成するための当業界で知られている方法(例えば、核酸ライブラリーからのポリペプチドの発現)が好適な試験薬剤又は組成物を生成するのに使用し得る。当業者は本明細書に記載された特別な技術に代えて別の技術が使用し得ることを認めるであろう。【0070】また、本発明は複合体を含むサンプルを試験組成物と接触させ、試験組成物の適用後に複合体の変化を測定することを特徴とする、複合体を結合する新規コファクター又はインヒビターの検出方法を提供する。本発明の複合体は複合体に影響する新規試験化合物又は新規試験組成物を同定するためのスクリーニング方法に有益である。こうして、別の実施態様において、本発明は成分(これらは試験組成物を含む)を相互作用させるのに十分な条件下で成分及び複合体をインキュベートし、続いて試験組成物が試験細胞中で複合体に対して有する効果を測定することを特徴とする試験組成物のスクリーニング方法を提供する。複合体に対して観察された効果及び組成物は反発的又は拮抗性であってもよい。本発明は(a)タンパク質複合体をコードする核酸で細胞をトランスフェクトし、(b)トランスフェクション後に細胞の欠陥タンパク質複合体の比率を測定し、(c)トランスフェクション後の細胞の欠陥タンパク質複合体の比率をトランスフェクション前の細胞の欠陥タンパク質複合体の比率と比較することを特徴とする欠陥タンパク質複合体に関係する症状の同定方法を提供する。【0071】当業界で知られているあらゆるスクリーニング技術が翻訳終結又はmRNA崩壊タンパク質に影響する薬剤についてスクリーニングするのに使用し得る。本発明は小分子リガンドのスクリーンを意図している。翻訳終結又はmRNA崩壊タンパク質の一次配列の知識、及び既知の機能のタンパク質とのその配列の類似性は、おそらくタンパク質活性に影響する薬剤について初期の手がかりを与え得る。このような薬剤の同定及びスクリーニングが、例えば、X線結晶学、中性子回折、核磁気共鳴分析法、及び構造決定のためのその他の技術を使用して、タンパク質の構造的特徴を測定することにより更に促進される。これらの技術はアゴニスト及びアンタゴニストの合理的な設計又は同定を与える。スクリーニングはタンパク質、翻訳終結に関係する複合体もしくはmRNA崩壊タンパク質を発現する組換え細胞、又は精製タンパク質を用いて行い得る。例えば、標識タンパク質がコンビナトリアルライブラリー中の分子に結合する能力が、以上の参考文献に記載されたような、スクリーニングアッセイとして使用し得る。【0072】本発明は対照細胞に対し候補宿主細胞により生成された複合体の量について前記細胞をスクリーニングする方法を提供し、前記方法はa)前記候補宿主細胞のクローン集団を用意し、b)細胞内タンパク質が抗体に接近できるように細胞の前記クローン集団を処理し、c)前記細胞内タンパク質を複合体に特異的に結合する抗体と接触させ、そしてd)前記候補宿主細胞により生成された複合体の相対量を測定することを特徴とする。本発明はmRNAの翻訳終結効率及び/又は細胞中の異常な転写産物の分解を実質的に抑制する方法を提供し、前記方法はa)DNAを含む細胞を用意し、b)前記DNAを前記細胞中で過剰発現してUpf1pに結合し、Upf1p機能に干渉する過剰発現されたポリペプチドを生成することを特徴とする。【0073】本発明はmRNAの翻訳終結効率及び/又は細胞中の異常な転写産物の分解を実質的に抑制する方法を提供し、前記方法はa)細胞を用意し、b)複合体に結合するのに十分な量で複合体のアンチセンス転写産物を発現することを特徴とする。本発明は細胞中の翻訳終結を実質的に抑制する方法を提供し、前記方法は機能性複合体が前記細胞中で本質的に生成されないようにUpf1p、Upf2p、Upf3p、eRF1、及びeRF3を含む複合体を突然変異させることを特徴とする。本発明はmRNAの翻訳終結効率及び/又は異常な転写産物の分解と関連する疾患の治療方法であって、被験者の細胞に導入される複合体;及び医薬担体又は希釈剤を含む医薬組成物の治療有効量を被験者に投与し、それにより被験者を治療することを特徴とする治療方法を提供する。【0074】一つの実施態様において、本発明は遺伝子欠陥、疾患又は臨床措置の結果としての早期段階を有し、又は有するおそれがある患者(その症状は欠陥と関連する病因を有する)の治療方法を提供し、その方法は患者の状態が回復されるように複合体の発現をモジュレートする治療有効量の製剤又は組成物を患者に投与することを特徴とする。本明細書に使用される“治療有効”はこうして治療される患者の状態を回復するのに十分な量である製剤量を表す。“回復する”は治療を受ける患者の症状又は疾患の有害な作用の減少を表す。本発明の主題はヒトであることが好ましいが、あらゆる動物が本発明の方法で治療し得ることが考えられる。“モジュレートする”という用語は複合体、mRNA、核酸、ポリペプチド又はタンパク質の発現を増進、抑制、変化、又は変更することを意味する。【0075】これは、一つのドメイン又はその他のドメインが、例えば、コンビナトリアルライブラリー技術又は合理的な薬物設計技術を使用して、薬物開発のために標的とし得る点で、薬物ターゲッティングについての明らかな意味を有する。以上に鑑みて、本発明は抗ウイルス治療及び病的ナンセンス突然変異の抑制について重要な意味を有する、翻訳終結に影響するための幾つかの経路を提供することが明らかになる。こうして、本発明は抗ウイルス化合物としての使用又はリボソーム崩壊を変化するための使用のための薬物を提供する。“薬物”という用語は開始、伸長、終結、mRNA分解中にペプチジルトランスフェラーゼ中心の機能に影響し得る抗生物質又はタンパク質の如き化合物又は薬剤を表すのに本明細書に使用される。このような化合物は異常なmRNA及び翻訳終結の効率を増大又は減少し得る。【0076】 遺伝子治療及びトランスジェニックベクター 一つの実施態様において、複合体又は複合体の因子をコードする核酸;複合体に特異的、又は終結因子及びUpf1pの領域に特異的なアンチセンス又はリボザイムがウイルスベクターにin vivo導入される。このようなベクターとして、弱毒化又は欠陥DNAウイルス、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)、パピローマウイルス、エプスタイン・バールウイルス(EBV)、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)等が挙げられるが、これらに限定されない。欠陥ウイルス(これらはウイルス遺伝子を完全に又は殆ど完全に欠いている)が好ましい。欠陥ウイルスは細胞への導入後に感染性ではない。欠陥ウイルスベクターの使用は、ベクターがその他の細胞を感染し得ることを気にしないで、特定の局在領域における細胞への投与を可能にする。こうして、脂肪組織が特異的に標的とし得る。特別なベクターの例として、欠陥ヘルペスウイルス1(HSV1)ベクター〔Kaplittら, Molec. Cell. Neurosci. 2:320-330 (1991)〕、弱毒化アデノウイルスベクター、例えば、Stratford-Perricaudetらにより記載されたベクター〔J. Clin. Invest. 90:626-630 (1992)〕、及び欠陥アデノ関連ウイルスベクター〔Samulskiら, J. Virol. 61:3096-3101 (1987); Samulskiら, J. Virol. 63:3822-3828 (1989)〕が挙げられるが、これらに限定されない。【0077】別の実施態様において、遺伝子が、例えば、Andersonらの米国特許第5,399,346号;Mannら, 1983, Cell 33:153; Teminらの米国特許第4,650,764号;Teminらの米国特許第4,980,289号;Markowitzら, 1988, J. Virol. 62:1120; Teminらの米国特許第5,124,263号;1995年3月16日に公開されたDoughertyらの国際特許公開WO 95/07358;及びKuoら, 1993, Blood 82:845に記載されたようにレトロウイルスベクター中で導入し得る。標的遺伝子送出が1995年10月に公開された国際特許公開WO 95/28494に記載されている。また、ベクターがリポフェクションによりin vivo導入し得る。過去10年間にわたって、in vitroの核酸の封入及びトランスフェクションのためのリポソームの使用が増大しつつあった。リポソーム媒介トランスフェクションで見られる難点及び危険を制限するように設計された合成陽イオン脂質がマーカーをコードする遺伝子のin vivoトランスフェクションのためのリポソームを調製するのに使用し得る〔Felgnerら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84:7413-7417 (1987); Mackeyら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:8027-8031 (1988)を参照のこと〕。陽イオン脂質の使用は負に荷電された核酸の封入を促進し、また負に荷電された細胞膜との融合を促進し得る〔Felgner及びRingold, Science 337:387-388 (1989)〕。外因性遺伝子をin vivoで特定臓器に導入するためのリポフェクションの使用は或る種の実用的な利点を有する。特定の細胞へのリポソームの分子ターゲッティングは利益の一つの領域に相当する。特別な細胞型へのトランスフェクションの誘導は細胞不均一性を有する組織、例えば、膵臓、肝臓、腎臓、及び脳中で特に有利であることが明らかである。脂質はターゲッティングの目的のためにその他の分子に化学的にカップリングされてもよい〔Mackeyらの上記文献を参照のこと〕。標的ペプチド、例えば、ホルモンもしくは神経伝達物質、及びタンパク質、例えば、抗体、又は非ペプチド分子がリポソームに化学的にカップリングし得る。【0078】また、ベクターを裸DNAプラスミドとしてin vivo導入することが可能である。遺伝子治療のための裸DNAベクターが当業界で知られている方法、例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、遺伝子銃の使用、又はDNAベクタートランスポーターの使用により所望の宿主細胞に導入し得る〔例えば、Wuら, J. Biol. Chem. 267:963-967 (1992); Wu及びWu, J. Biol. Chem. 263:14621-14624 (1988); 1990年3月15日に出願されたHartmutらのカナダ特許出願第2,012,311号を参照のこと〕。更に別の実施態様において、本発明は協調発現調節のもとに無関連アンチセンス核酸又はリボザイムの遺伝子とともにペプチジルトランスフェラーゼ中心のモジュレーターをコードする遺伝子(突然変異体フレームシフトもしくはmRNA崩壊タンパク質、又はこのようなタンパク質をコードするmRNAに特異的なアンチセンスRNAもしくはリボザイムの遺伝子を含むが、これらに限定されない)の両方を含む遺伝子治療発現ベクターを用意することによる特異的DNA認識配列の制御下のペプチジルトランスフェラーゼ中心で活性をモジュレートする遺伝子産物及び治療異種アンチセンス又はリボザイム遺伝子の同時発現を提供する。一つの実施態様において、これらの要素が別々のベクターに用意される。また、これらの要素は単一発現ベクター中に用意されてもよい。【0079】抗ウイルス治療更に別の実施態様において、本発明は翻訳終結をモジュレートし、こうしてウイルス複製又はウイルス粒子の集合に直接影響する薬剤を提供することによりウイルス感染症を治療する手段を与える。本発明は動物ウイルスの四つの大きいファミリー及び植物ウイルスの三つの大きいファミリーを含む、基本的な-1リボソームフレームシフトメカニズムを使用するウイルスの抗ウイルス(又はナンセンス抑制)治療用の薬物及び薬物の同定方法を有利に提供する。詳しくは、本発明は複合体を伴うフレームシフトを行い、Upf3pを伴う、薬剤、アンタゴニスト/アゴニストをスクリーニングするためのアッセイを提供する。また、本発明は突然変異体Upf3を提供する。【0080】例えば、レンチウイルス(免疫不全ウイルス)、例えば、HIV-1及びHIV-2、SIV、FIV、BIV、ビスナウイルス、関節炎−脳炎ウイルス、及びウマ感染性貧血ウイルス;スプマウイルス(泡沫状ウイルス)、例えば、ヒト泡沫状ウイルス及びその他の哺乳類泡沫状ウイルス;T細胞リンフォトロピック(lymphotrophic)ウイルス、例えば、HTLV-1、HTLV-II、STLV、及びBLV;ニワトリ白血病ウイルス、例えば、商用の飼鳥類を含む多くの鳥の白血病ウイルス及び肉腫ウイルス;マウス乳癌ウイルスを含む型Bレトロウイルス;並びに型Dレトロウイルス、例えば、メイソン−ファイザーサルウイルス及びヒツジ肺アデノ腺癌ウイルスを含む殆ど全てのレトロウイルスが-1リボソームフレームシフトを使用する。加えて、ヒトコロナウイルス、例えば、229-E、OC43;動物コロナウイルス、例えば、ウシコロナウイルス、ブタの伝染性胃腸炎ウイルス、ブタの赤血球凝集性脳脊髄炎ウイルス、及びブタ伝染性下痢症ウイルス;イヌコロナウイルス;ネコ感染性腹膜炎ウイルス及びネコ腸管内コロナウイルス;ニワトリの感染性気管支炎ウイルス及びシチメンチョウブルーコムウイルス;マウス肝炎ウイルス、ラットコロナウイルス、及びウサギコロナウイルスを含む多くのコロナウイルスが-1フレームシフトを使用する。同様に、トロウイルス(コロナウイルスの一つの型)、例えば、腸疾患及び呼吸疾患と関連するヒトトロウイルス;ウシのブレダウイルス及びウシ呼吸ウイルス;ウマのベルネウイルス;ブタトロウイルス;ネコトロウイルスが示される。別のコロナウイルスはアーテリウイルス(これはシミアン出血熱ウイルスを含む)、ウマ動脈炎ウイルス、レリイスタッド(Lelystad)ウイルス(ブタ)、VR2332ウイルス(ブタ)、及び乳酸デヒドロゲナーゼ上昇ウイルス(げっ歯類)である。その他の動物ウイルスはパラミクソウイルス、例えば、麻疹で報告されたヒト-1リボソームフレームシフト、及びアストロウイルス、例えば、ヒトアストロウイルス1-5、並びにウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、及びアヒルのアストロウイルスである。【0081】-1フレームシフトメカニズムを伴う植物ウイルスとして、テトラウイルス、例えば、ソベモウイルス(例えば、南部豆モザイクウイルス、コックスフット・メトル(cocksfoot mettle)ウイルス)、ロイテオウイルス(leuteoviruses)(例えば、大麦イエロースワーフ(yellowswarf)ウイルス、西部ビートイエローウイルス、及びジャガイモリーフロール(leaf roll)ウイルス、エナモウイルス(例えば、エンドウ豆モザイクウイルス)、及びアンブラウイルス(例えば、ニンジン斑紋ウイルス);トンブウイルス、例えば、トンブウイルス(例えば、トマトブッシイ・スタント(bushy stunt)ウイルス)、カルモウイルス(例えば、カーネーション斑紋ウイルス)、ネクロウイルス(例えば、タバコネクロシスウイルス);ジアンソウイルス(dianthoviruses)(例えば、赤クローバーナネロマチックモザイクウイルス)、及びマチオモウイルス(machiomovirus)(例えば、トウモロコシクロロチック・モトル(chlorotic mottle)ウイルス)が挙げられる。加えて、トチウイルス(totiviruses)、例えば、L-A及びL-BC(酵母)ウイルス及びその他の菌類ウイルス、ギラジア・ラムブリア(giradia lamblia)ウイルス(腸寄生虫)、トリコネラ・バギネルウイルス(ヒト寄生虫)、リーシュマニア・ブラジリエンシスウイルス(ヒト寄生虫)、及びその他の原生動物ウイルスが-1フレームシフトウイルスである。【0082】本発明によれば、本発明の治療組成物の一種以上の成分は非経口、パラカンセラリイ(paracancerally)、経粘膜、経皮、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、腹腔内、心室内、又頭蓋内に導入又は投与されてもよい。送出の様式として、裸DNA、タンパク質、ペプチド、もしくはウイルスベクター内、又はリポソーム内が挙げられるが、これらに限定されない。一つの実施態様において、ウイルスベクターはレトロウイルス、アデノ関連ウイルス、又はアデノウイルスである。当業者により容易に認められるように、本発明の組成物及び方法はあらゆる動物、特に哺乳類、更に特別にはヒトの治療に特に適している。家畜動物、例えば、ネコもしくはイヌ被験者、牧畜動物、例えば、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、及びブタ被験者、野生動物(荒野又は動物園中を問わない)、獣医療用の研究動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、等が挙げられるが、これらに限定されない。【0083】本明細書に使用される“医薬組成物”はSCF治療に有益な好適な希釈剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバント及び/又は担体とともに治療有効量の複合体を意味し得る。本明細書に使用される“治療有効量”は所定の条件及び投与レジメについて治療効果を与える量を表す。このような組成物は液体又は凍結乾燥もしくはそれ以外に乾燥された製剤であり、種々の緩衝剤内容物(例えば、トリス-HCl、酢酸塩、リン酸塩)、pH及びイオン濃度の希釈剤、添加剤、例えば、表面への吸収を防止するためのアルブミンもしくはゼラチン、洗剤(例えば、トゥイーン20、トゥイーン80、プルロニックF68、胆汁酸塩)、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン)、増量物質もしくは張度改良剤(例えば、ラクトース、マンニトール)、タンパク質へのポリエチレングリコールの如きポリマーの共有結合、金属イオンとの錯生成、又はポリマー化合物、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲル等又はリポソーム、ミクロエマルション、ミセル、単層小胞もしくは多層小胞、赤血球ゴースト、又はスフェロプラストへのその物質の混入を含む。このような組成物はSCFの物理的状態、溶解性、安定性、in vivo放出の速度、及びin vivoクレアランスの速度に影響するであろう。組成物の選択はSCF活性を有するタンパク質の物理的性質及び化学的性質に依存するであろう。例えば、SCFの膜結合形態から誘導された製品は洗剤を含む製剤化を必要とし得る。制御放出組成物又は持続放出組成物は親油性デポー剤(例えば、脂肪酸、ワックス、油)中の製剤化を含む。また、ポリマー(例えば、ポロキサマー又はポロキサミン)で被覆された粒状組成物及び組織特異性受容体、リガンドもしくは抗原に対し誘導された抗体に結合され、又は組織特異性受容体のリガンドに結合されたSCFが本発明により包含される。本発明の組成物のその他の実施態様は非経口、肺内、鼻内及び経口を含む投与の種々の経路のために粒状形態、保護被覆物、プロテアーゼインヒビター又は透過増進剤を含む。【0084】更に、本明細書に使用される“医薬上許される担体”は当業者に公知であり、0.01-0.1M、好ましくは0.05Mのリン酸緩衝液又は0.8%の食塩液を含むが、これらに限定されない。更に、このような医薬上許される担体は水性又は非水性の溶液、懸濁液、及びエマルションであってもよい。非水性溶媒の例はプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えば、オリーブ油、及びオレイン酸エチルの如き注射可能な有機エステルである。水性担体として、食塩液及び緩衝媒体を含む、水、アルコール/水溶液、エマルション又は懸濁液が挙げられる。非経口ビヒクルとして、塩化ナトリウム溶液、リンゲルのデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸処理リンゲル又は固定油が挙げられる。静脈内ビヒクルとして、液体及び栄養の補給液、電解質補給液、例えば、リンゲルのデキストロースをベースとするもの等が挙げられる。防腐剤及びその他の添加剤、例えば、抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、不活性ガス等がまた存在してもよい。【0085】“治療有効量”という用語は宿主の活性、機能及び応答の臨床上重大な不足を少なくとも約15%、好ましくは少なくとも50%、更に好ましくは少なくとも90%減少し、最も好ましくはそれを防止するのに十分な量を意味するために本明細書に使用される。また、治療有効量は宿主の臨床上重大な症状の改善を生じるのに十分である。当業者により認められるように、化合物の量はその比活性に応じて変化し、毎日の個体の体重1kg当り約0.1-20mg、好ましくは約0.5-約10mg、更に好ましくは1mgから数mgの範囲であってもよく、また投与の経路に依存する。一つの実施態様において、その量は10ピコグラム/kg〜20mg/kgの範囲である。別の実施態様において、その量は10ピコグラム/kg〜2mg/kgである。別の実施態様において、その量は2-80マイクログラム/kgである。別の実施態様において、その量は5-20マイクログラム/kgである。本発明の治療組成物に言及して使用される場合の“単位投薬量”という用語はヒトについての単体投薬として好適な物理的に不連続の単位を表し、夫々の単位が必要とされる希釈剤、即ち、担体、又はビヒクルと混在して所望の治療効果を生じるように計算された前もって決めた量の活性物質を含む。【0086】更に別の実施態様において、治療化合物は制御された放出系中で送出し得る。例えば、複合体は静脈内注入、移植可能な浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、又はその他の投与の様式を使用して投与されてもよい。一つの実施態様において、ポンプが使用されてもよい(Langerの上記文献;Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201 (1987); Buchwaldら, Surgery 88:507 (1980); Saudekら, N. Engl. J. Med. 321:574 (1989)を参照のこと)。別の実施態様において、ポリマー物質が使用し得る(Medical Applications of Controlled Release, Langer及びWise(編集), CRC Pres., Boca Raton, Florida (1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen及びBall(編集), Wiley, New York (1984); Ranger及びPeppas, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61 (1983)を参照のこと;また、Levyら, Science 228:190 (1985); Duringら, Ann. Neurol. 25:351 (1989); Howardら, J. Neurosurg. 71:105 (1989)を参照のこと)。更に別の実施態様において、制御された放出系が治療標的、即ち、脳に接近して置かれて、こうして全身投薬量の一部のみを必要とする(例えば、Goodson, Medical Applications of Controlled Release,上記文献, 2巻, pp. 115-138 (1984)を参照のこと)。好ましくは、制御された放出装置が不適な免疫活性化又は腫瘍の部位に接近して被験者に導入される。その他の制御された放出系がLanger(Science 249:1527-1533 (1990))により総説に説明されている。【0087】当業者により容易に認められるように、本発明の方法及び医薬組成物はあらゆる動物、特に哺乳類への投与に特に適しており、これらとして、家畜動物、例えば、ネコ又はイヌ被験者、牧畜動物、例えば、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、及びブタ被験者、野生動物(荒野又は動物園中を問わない)、研究動物(即ち、獣医療用の)、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明が下記の非限定実施例を参考にして更に良く理解され、これらは本発明の例示として示される。【0088】 実施例の詳細セクション実施例1: 異常mRNAsの翻訳終結及び分解の増強 ナンセンス媒介mRNA崩壊経路は、ナンセンス変異を含む転写物の細胞を取り除く進化的に保存された監視経路の例である。UPF1遺伝子の生成物は、異常mRNAsを認識しかつ分解する推定監視複合体の必要成分である。ここで提示される結果は、酵母菌及びヒト型のUpflpが、真核性翻訳終結因子eRF1とeRF3の両方と相互作用することを示している。eRFsと相互作用するUpflpが一致している場合、そのUpflpは、酵母菌[PSI+]株中に観察されるeRF1及びeRF3を含むポリオン様凝集体中に見られる。これらの結果は、Upflpとペプチジル終結因子との相互作用が、終結が早期に起こったか、また異常転写物の分解を促進するかの翻訳終結モニターを増強する推測監視複合体の構築にキーとなる事象であることを示している。【0089】材料及び方法一般的な酵母菌法:記載されたように(Roseら,1990)、酵母菌培地を調製した。リチウムアセテート法で(Scheist及びGeitz,1989)、酵母菌の形質転換を行った。RNAの単離、ブロッティング及びハイブリダイゼーションは、記載どおりにした(Wengら,1996a、Haganら,1995)。プラスミド:MET25プロモータ下、キメラ遺伝子を含んでいるpMET25CHIMERA(Perlickら,1996)由来の4.5kbのSstI-Asp718断片を、YCplac22とYEplac112(Fergusonら,1981)にそれぞれ結合させて、プラスミドYCpとYEp RENTCHI4−2を創製した。YCpFLAGUPF1とYEpFLAGUPF1は、以前に記載されている(Wengら−1990)。GST-RF融合プラスミド、pGEX2T、gGEX2T-SUP35及びGEX2T-SUP45は、以前に記載されている(Paushkinら,1997b)。【0090】グルタチオンセファロース-RF融合複合体の調製:pGEX2T、pGEX2T-SUP35又はpGEX2T-SUP45(Paushkinら,1997b)で形質転換された菌株BL21(DE3)pLysSは、50μg/mlのアンピシリン及び30μg/mlのクロラムフェニコールでOD600=0.6にしたLB中24℃で増殖させた。0.3mMのIPTGを加えて一晩中細胞を増殖させた。細胞を収集し、0.5mMのPMSFを有する冷TBST(50mMのトリスpH7.4、150mMのNaCl、0.1%トリトンX−100)で1回洗浄した。細胞を、培養液1ml当たり0.5mMのPMSFを有する50μlのTBSTに懸濁させ、超音波処理で溶解した。トリトンX−100を添加して最終濃度を1%にし、そのライセートを20分間4℃で混ぜた。細胞デブリを30,000xgで30分間遠心分離して除去した。抽出液1ml毎に、TBSTで平衡化されたグルタチオンセファロース(Pharmacia)の50%スラリー80μlを添加し、30分間混ぜながら4℃でインキュベートした。セファロースビーズを500xgで3分間収集し、NaClで500mMに補充したTBSTで3分間洗浄し、前と同様にトータルで2回収集した。そして、そのセファロース−タンパク質複合体を、前と同様にIBTB(25mMトリス−HClpH7.5、50mMのKCl、10mMのMgCl2、2%グリセロール、0.1%トリトンX−100、100μg/mlBSA)で、トータルで2回洗浄かつ収集し、IBTB中に再懸濁させて緩衝液の充填ビーズ体積に対する比2:1を得た。1μlのGST-RF複合体は、典型的には0.9μgのGST-eRF1又は1.5μgのGST-eRF3を含んでおり、GST複合体は、典型的には樹脂1μl当たり4.5μgのGSTを含んでいた。【0091】細胞形質抽出物の調製:BJ3503(MATαpep4::HIS3prb−Δ1.6R HIS lys2-208trpΔura3-52gal2 canl)細胞は、OD600=1.0に成長させ、0.5mMのPMSFを有する冷緩衝液IB(BSAを欠いたIBTB)中で洗浄した。細胞を再ペレット化し、細胞質量1g当たり0.5mMのPMSF及びプロテアーゼインヒビター(PI、1μg/mlのそれぞれロイペプチン、アプロチニン及びペプスタチンA)を有する冷IB1.3ml中に懸濁させた。ほぼ同量のガラスビーズを加え、6回20分間ボルテックスして溶菌を行い、ボルテックスの間氷上で1分間冷却した。そのライセートを除去し、0.5mMのPMSF及び1μg/mlのそれぞれロイペプチン、アプロチニン及びペプスタチンAを有する同量のIBで2回洗浄した。その洗浄物をライセートと混ぜて、30,000xgで20分間遠心分離して細胞デブリを除去した。【0092】[PSI+]upflΔ菌株の調製:記載どおりに(Cuiら,1995)、[PSI+]菌株7G-H66(MATa ade2−1 SUQ5 trpI-289 leu2-3、112ura3-52[PSI+])からUPF1を欠失させた。欠失は、サザンブロット解析で確認した。[PSI+]決定因子を熟成させるため、3mMのGuHCl(Ter-Avanesyanら,1994)を含有する培地で7G-H66upflΔを増殖させた。UPF1が破壊して、ade2−1が抑制され、[PSI+]のサプレッサー表現型を監視するのに使用し、そして、GuHCl培地で増殖後に得られたクローンの[psi-]状態を、1A-H19[psi-]テスター株との交雑種で確認した(MATa ade2−1 lys2−1 his3−11,15 leu2−3,112 SUQ5[psi-])(Ter-Avanesyanら,1994)。upflΔアレルのサプレッサー表現型は劣性形質であり、一方[PSI+]決定因子は優勢である。従って、二倍体の非サプレッサー表現型は、クローンの[psi-]状態を示した。中心体ベースプラスミドYCplac22FLAGUPF1で、菌株7G-H66upflΔの[PSI+]及び[psi-]単体を形質転換した(Wengら,1996a、Wengら,1996b)。【0093】[PSI+]凝集体と共に遠心分離するためのライセートの調製:YCplac22又はYCpFLAGUPF1で形質転換した7G-H66upflΔは、トリプトファンを欠失させた培地で増殖させてOD600=1.5にし、水で洗浄、かつ1mMのPMSF及びPI(2μg/mlのアプロチニン、1μg/mlのペプスタチンA、0.5μg/mlのロイペプチン、2.5μg/mlのアンチパイン、0.5μg/mlのTLCK、0.5μg/mlのTPCK、0.1mMのベンズアミジン、及び0.1mMの亜硫酸水素ナトリウム)を含有する緩衝液A(25mMトリス-HCl pH7.5、50mMKCl、10mMのMgCl2、1mMのEDTA、2%のグリセロール)中、ガラスビーズと共に混合することによって溶菌した。そのライセートを15,000xgで20分間遠心分離して、RNアーゼA(400μg/ml)で処理して、ポリリボソームを破壊した。そして、以前に記載された(Paushkinら,1997b)スクロースクッションを通して抽出物を遠心分離に供した。リボソームは、主にスクロースフラクションに移動し、かつeRF1、eRF3及びUpflpはすべてリボソームに伴うので、それらは[psi-]抽出物のこのフラクション中に存在している。【0094】精製GST-RF融合タンパク質の調製:pGEX2T、pGEX2T-SUP35又はpGEX2T-SUP45で形質転換された菌株BL21(DE3)pLysSは、GST-RF融合複合体の調製について上述したように調製した。グルタチオンセファロースの50%スラリー80μlを添加し、30分間混ぜながらインキュベートした。セファロースビーズを収集し、NaClで500mMに補充したTBSTで3分間2回洗浄し、500xgで3分間遠心分離で収集した。そして、そのセファロースビーズをTBST中で洗浄し、トータルで2回収集した。その洗浄したセファロースビーズを400μlのグルタチオン溶出緩衝液(10mMトリス-HCl pH8.0、1mMのグルタチオン)に再懸濁させ、かつ混合しながら室温で10分間インキュベートすることによって、GST融合タンパク質を溶出させた。セファロースビーズを収集し、その上澄みを除去した。前と同様にトータルで3回溶出を繰り返し、その溶出留分を混ぜた。タンパク質の濃度は、ブラッドフォード(Bradford)アッセイで測定した。【0095】Upfl、eRF1及びeRF3の免疫検出:Upflは、FLAGエピトープに対するM2マウスモノクロナール抗体を用いて以前に記載されたように検出した(Czaplinskiら,1995、Wengら,1996a,b)。eRF3は、Didichenkoら,1991に記載のとおりに検出した。eRF1は、Stansfieldら,1992に記載のように検出した。ATPアーゼの解析:Upflp RNA−依存性ATPアーゼ活性は、以前に記載されたとおりに(Czaplinskiら,1995)1μg/mlのポリ(U)RNA及び100μg/mlのBSAを用いた木炭アッセイで、GST-RF融合タンパク質の存在下、20ngのUpflpを使用して測定した。その結果は、遊離された32Pのpmol対その指標タンパク質の濃度としてプロットした。【0096】RNA結合性アッセイ:均一に標識された32ntのRNAは、以前に記載されたように(Czaplinskiら,1995)、SstI消化pGEM5Zf(+)のSP6転写によって合成した。RNA結合緩衝液は、すべての反応で100μg/mlBSAが含まれることを除き、以前に記載された(Czaplinskiら,1995)とおりであった。指示量のGST-eRF3(28)を200ngのUpflpで15分間4℃でインキュベートした。50fmolのRNA基質を添加し、5分間インキュベートした。停止液を添加し、4.5%未変性PAGEゲル(0.5xTBE、30:0.5のアクリルアミド:ビスアクリルアミド、5%グリセロールと共に)中で反応物を電気泳動させた。【0097】 (結果) Upflpは、ペプチジル終結因子eRF1及びeRF3と相互作用する:Upflpは、ペプチジル終結因子eRF1及びeRF3と相互作用することによって翻訳終結を調節する。eRF1及びeRF3は、個々にE.Coli.中でグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質として発現し、グルタチオンセファロースビーズで精製した。グルタチオンセファロースビーズに付随する精製GST-RF(終結因子)融合タンパク質を、FLAGエピトープ標識Upflpを含有する酵母菌細胞質抽出物に添加した(Czaplinskiら,1995、Wengら,1996a)。インキュベーション後、GST-FRs及び付随タンパク質をアフィニティークロマトグラフィーで精製し、SDS-PAGEに供した。免疫ブロットを行い、FLAGエピトープに対する抗体を用いてUpflpの存在を検定した。抗−FLAG抗体は、FLAG-Upflpを発現するプラスミドで形質転換された細胞由来の細胞質抽出物中の109kDのUpflpのみを認識した(図1A、レーン2をレーン1と比較せよ)。この解析は、UpflpがeRF1(図1A、レーン5)又はeRF3(図1A、レーン4)のどちらかと特異的に共に精製されることをも示した。Upflpは、他のタンパク質と融合されないGSTタンパク質、又はGST-JIPタンパク質とは共に精製されず、この場合、GSTに融合されるタンパク質と相互作用するJak2を用いて反応の特異性を監視した。【0098】eRF1又はeRF3のどちらかと共に精製されたUpflpの相互作用も監視した。エピトープ標識Upflp(FLAG-Upflp)の精製は、以前に記載されている(Czaplinskiら,1995)。精製FLAG-UpflpをGST-FR融合タンパク質と共に食塩濃度を増加させながらインキュベートし、これらタンパク質の相互作用を上述と同様に監視した。その結果は、精製FLAG-UpflpがeRF1又はeRF3のどちらかと相互作用することを示した(図1B、レーン8〜12(eRF1)及びレーン3〜7(eRF3))。Upflp-eRF3複合体は、食塩濃度の増加には、Upfl-eRF1複合体よりも感受性が低かった(図1B)。精製UpflpはGSTタンパク質(図1B、レーン2)又はGST-JIPとは相互作用しないので、相互作用は特異的であった。UpflpのeRF1又はeRF3との相互作用は、投与量に依存することがわかった。【0099】 Upflpは、[PSI+]菌株中のeRF3の凝集体に付随する:生化学的な結果は、Upflpが、ペプチジル終結因子と相互作用し、かつその活性を高めることによって、ナンセンスコドンにおける翻訳終結を高めることができることを示した。最近の結果は、細胞質的−遺伝性決定因子[PSI+]を保有する菌株中で観察されるナンセンスサプレッサー表現型が、酵母菌eRF3(Sup35p)の特異的な二者択一的タンパク質の立体配座の状態の結果であることがわかった。[PSI+]状態において、eRF3は高分子量の凝集体、又はeRF3の活性を阻害するアミロイド様の繊維を形成して、リボソームによる翻訳終結コドンの読過しを高める(Wickner,1994;Paushkinら,1997a、Patinoら,1996;Gloverら,1997)。このeRF3の特異的な二者択一的立体配座が、哺乳類プリオンのそれと同様に(Paushkinら,1997a、Gloverら,1997、Wickner,1994)、自己触媒機構によって自己増殖できることも示唆された。従って、eRF3の二者択一的なタンパク質の立体配座状態が、かつSUP35遺伝子の変異ではなく、[PSI+]表現型の自己増殖を可能にする。酵母菌eRF1(Sup45p)は、eRF3と相互作用し、かつ[PSI+]細胞に存在する凝集体にも見出された(Paushkinら,1997b)。【0100】UpflpのeRF1及びeRF3との相互作用のために、Upflpが[PSI+]細胞中のeRF3凝集体と結合しうると判断した。この可能性を試験するために、[PSI+]細胞中に見られるeRF3及びeRF1凝集体中のUpflpの存在を監視した。以前の結果は、[PSI+]細胞から調製された抽出物中のスクロースパッド全体にeRF1/eRF3凝集体が沈殿することを示した。アイソジェニックな[psi-]及び[PSI+]細胞由来の細胞質抽出物を調製し、スクロースクッションによって遠心分離し、かつウェスタンブロット解析で、種々の留分中のUpflp、eRF1及びeRF3の存在を監視した。その結果は、Upflp、eRF1及びeRF3は、[PSI+]細胞由来の抽出物のペレット留分には存在したが、[psi-]抽出物のペレット留分には見出されないことを示した(図2、レーン3と6を比較せよ)。この結果は、Upflpが酵母菌細胞の翻訳終結因子と相互作用するという証拠を与える。【0101】eRF3とRNAは、Upflpとの相互作用で競合する:精製FLAG-Upflpと、精製GST-eRF1又はGST-eRF3のどちらかと、GTP、又はポリ(U)RNAのどちらかとを含有する反応混合物を調製した。インキュベーション後、セファロース-GST-RF融合複合体を、GTP、又はポリ(U)RNAのどちらかを含有する同一の緩衝液で洗浄した。残留結合タンパク質をSDS-PAGEに供した後、FLAGエピトープに対する抗体を使用して免疫ブロットした。その結果は、UpflpとeRF3との間の相互作用は、GTPによって影響されないことを示した(図3A、レーン3と4を比較せよ)。また同様の実験は、ATPがeRF3とUpflpとの間の相互作用に効果を及ぼさないことを示した(図3A、レーン3と5を比較せよ)。ポリ(U)RNAは、Upflp−eRF1相互作用には影響しないが(図3B)、Upflp−eRF3相互作用は、ポリ(U)RNAを含む反応で劇的に減少した(図3A、レーン3と6を比較せよ)。【0102】上述の結果は、RNAとeRF3が、Upflpへの結合で競合することを示した。RNAと複合するUpflpの能力に及ぼすeRF3の効果を監視した。UpflpとRNAを含有し、かつeRF3の濃度上昇がないか又はある反応混合物を調製し、Upflp:RNA複合体の形成を、RNAゲルシフトエッセイによって監視した(Czaplinskiら,1995、Wengら,1996a、Wengら,1998)。eRF3がない場合(図3C、レーン2)、Upflp-RNA複合体が生成するが、反応混合物中のeRF3の濃度を増加させると、生成するUpflp-RNA複合体の量が減少した(図3C、レーン4〜8)。GSTタンパク質は、Upfl-RNA複合体形成に効果を及ぼさないので、阻害はeRF3に特異的だった(図3C、レーン9)。eRF3-RNA複合体は生成しなかったことは(図3C、レーン3)、観察された複合体がUpflpに対する結合によることを示している。総括して考えると、これらの結果は、RNAとeRF3が競合的にUpflpに結合することを示唆している。【0103】さらに、ポリ(U)RNAと共に精製されたFLAG-Upflpを、ATPの存在下、又は不在下でインキュベートした。インキュベーション後、その反応混合物にGST-eRF3を添加し、前と同様に免疫ブロット解析で監視した。その結果、反応混合物にポリ(U)及びATPが両方存在する場合、Upflpは、ポリ(U)RNAを欠いている反応におけると同様に、同一の親和性でeRF3と相互作用することがわかった(図4A、レーン6、8及び10)、対照実験は、ATPは、UpflpとeRF3の結合を妨げず(図4A、レーン4)、かつポリ(U)RNAは、その相互作用を完全に阻害することを示した(図4A、レーン5、7及び9)。これら結果は、Upflpに対するATPの結合が、競合するRNAsの結合を妨げることによって、機能的にUpflとeRF3との相互作用を高めるという考えと一致する。【0104】 UpflpのK436A型は、翻訳終結因子と変形した相互作用を示す:次に、UPF1遺伝子のmRNAターンオーバー及び翻訳終結活性を不活性化するUPF1遺伝子の変異が、翻訳終結因子と相互作用するUpflpの能力に影響するかどうかを決定した。以前の結果は、Upflp(K436)の位置436に保存されたリジン残基中に変異を有する菌株は、ナンセンス含有mRNAs及びナンセンス抑制表現型を安定化することを示している(Wengら−,1996a)。Upflpの精製K436A型を使用する場合(Wengら,1996a,1998)、この変異が、UpflpのeRF1と相互作用する能力に影響するかが問題だった。UpflpのK436A型、GST-eRF1及び種々のKCl濃度を有する反応混合物を調製し、上述したようにその相互作用を監視した。その結果は、K436A変異が、UpflK436AのeRF1との相互作用が、野生型UpflのeRF1との相互作用に比し、少なくとも4〜6倍、劇的に減少することを示した(図4B、レーン3及び4を7及び8と比較せよ)。【0105】eRF3と相互作用するK436A Upflpの能力を監視した。K436A Upflp及びGST-eRF3を含有する反応混合物を調製し、上述と同様にUpflp−eRF3相互作用を監視した。その結果は、Upflpの変異型が、野生型Upflpと同等の親和性でeRF3と相互作用できることを示した(図4C、レーン3)。【0106】 反応混合物にATPが存在する場合、K436A変異は、eRF3対RNAと選択的に相互作用するUpflpの能力に影響した。K436A変異は、ATPに対するUpflpの親和性を減少させることが示されている(Wengら,1996a,1998)。しかし、UpflpのK436A型は、まだRNAと結合できるが、野生型Upflpと異なり、ATPは、RNA:UpflpK436A複合体を解離できない(Wengら,1996a,1998)。そこで、ATP及びRNAの存在下、eRF3と相互作用するUpflpK436Aの能力を監視した。変異体Upflpと、ATP、ポリ(U)RNA、又はATP及びポリ(U)RNAを含有する反応混合物を調製し、上述と同様にUpflpのeRF3との相互作用を監視した。その結果、野生型Upflpと同様に、ポリ(U)RNAがUpflpK436AのeRF3との相互作用を妨げることがわかった(図4C、レーン4)。しかし、野生型Upflpと異なり、ATPは、ポリ(U)RNAの存在下、UpflpK436AのeRF3との相互作用を復元することはできなかった(図4C、レーン5)。この結果は、反応にATPが存在する場合、UpflpK436Aが、Upflp−RNA複合体以上にはUpflp−eRF3複合体を好まないことを示している。総括して考えると、これらの結果は、K436A upflアレルを含む菌株は、もはや異常mRNAsを分解しないで、ナンセンス抑制表現型を表示し、翻訳終結因子との変形した相互作用を示すことを示唆している。インビトロ反応で観察される変形したUpflpK436A:eRF相互作用は、インビボmRNA崩壊及びこの変異体upflアレルのナンセンス抑制表現型と良く相関している。【0107】eRF1及びeRF3は、Upflp ATPアーゼ活性を阻害する:遺伝的及び生化学的データは、ATPアーゼ/ヘリカーゼ活性は、翻訳終結を増強するのには必要ないが、ナンセンス含有転写物を分解するのには必要であることを示した(Wengら,1996a,b;Wengら,1997)。これらの結果に基づき、そのATPアーゼ/ヘリカーゼ活性を阻害し、ひいてはUpflpに翻訳終結を増強させるようなUpflpのeRFsとの相互作用を予測した。そこで、UpflpのeRF1又はeRF3のどちらかとの相互作用が、UpflpのRNA依存性ATPアーゼ活性に影響するかどうかを調べた。放射標識γ32P-ATPと、1)Upflp、2)Upflp及びRNA、3)Upflp、RNA及びGST、4)Upflp、RNA及びGST-eRF1、又は5)Upflp、RNA及びGST-eRF3のいずれかを含有する反応混合物を調製した。これら反応におけるATPアーゼ活性を、以前に記載されたように木炭アッセイで監視した(Czaplinskiら,1995、Wengら,1996a、Wengら,1996b)。その結果は、Upflpのみを含む反応は、検出可能なATPアーゼ活性が無かったが、Upflpとポリ(U)RNAを含む反応は最大のATPアーゼ活性を示すことを実証した。eRF1又はeRF3のどちらかを添加すると、投与量に依存して、UpflpのRNA依存性ATPアーゼ活性を阻害した(図5、GST-eRF1及びGST-eRF3)。反応混合物にGSTタンパク質を添加してもUpflpのRNA依存性ATPアーゼ活性に何ら効果がなかった(図5、GST)。eRF1もeRF3もどちらも何らの内因性ATPアーゼ活性も示さないか、又はRNAを欠いている反応でUpflp ATPアーゼ活性を刺激しなかった。Upflp ATPアーゼ活性のeRF1による阻害は、eRF1が、Upflpのこの機能を阻害しないので、単にそのRNA結合性を阻害するという結果だった。総括して考えると、これらの結果は、UpflpのATPアーゼ活性は、その翻訳終結因子との相互作用によって調節できることを示している。【0108】酵母菌/ヒトUPF1アレルは、翻訳終結を調節する機能を果たす:rent1又はhupflとも呼ばれる、酵母菌Upflpのヒト相同体が、このタンパク質の進化を通じて保存される役割を示唆する、翻訳終結及びmRNAターンオーバーを調節するかどうかを決定した。酵母菌細胞のrent1/hupflを監視した(Perlickら,1996)。そこで、酵母菌/ヒトUPF1ハイブリッド遺伝子の発現がupflΔ菌株中のナンセンス抑制を妨げ、かつ異常転写物の崩壊を促進するかどうかが問題だった。ヒト及び酵母菌のUpflpのアミノ及びカルボキシル末端は多岐にわたるが、rent1/hupflは、システイン/ヒスチジン−リッチ領域と酵母菌UPF1遺伝子に見いだされるヘリカーゼモチーフの両方を含み、かつこの領域に渡って60%の同一性と90%の類似性を示す(Perlickら,1996、Applequistら,1997)。これら実験で用いたハイブリッド構成は、酵母菌UPF1遺伝子由来のN終端及びC終端間に挟まれたヒトタンパク質由来の保存ドメインから成っていた(Perlickら,1996)。このハイブリッド遺伝子は、フレームシフト異種抑制アッセイにおける補体upflΔ菌株として以前に示された(Perlickら,1996)。このハイブリッド遺伝子の発現が、ナンセンス抑制を妨げる機能を果たすかどうかを最初に問題にした。この可能性を調べるため、leu2-2及びtyr7-1ナンセンスアレルを含むupflΔ菌株を、以下;1)ベクターのみ、2)野生型酵母菌UPF1遺伝子、又は3)中心体(YCpRENT1CHI4-2)又は高コピープラスミド(YEpRENT1CHI4-2)のどちらかに挿入されたMET25プロモータから発現された酵母菌/ヒトハイブリッド遺伝子;のどれかで形質転換した。培地からメチオニンを除外して、そのハイブリッド遺伝子の発現を高めた(Perlickら,1996)。leu2-2及びtyr7−1ナンセンスアレルの抑制を、−trp−met−leu−tyr培地上に細胞を植えて監視した。対照として、これら細胞を−trp−met培地に植えた。その結果は、ベクターを含むupflΔ細胞は、両タイプの培地上で増殖することを実証し(図6A)、これらナンセンスアレルの抑制を示している。酵母菌UPF1遺伝子を有する細胞は、−trp−met−leu−tyr培地上では増殖できず、酵母菌UPF1遺伝子の存在がこれらナンセンスアレルの抑制を妨げたことを実証している(図6A)。同様に、ハイブリッド酵母菌/ヒトUPF1遺伝子は、−trp−met−leu−tyr培地上でのこれら細胞の増殖を妨げ、このタンパク質がleu2-2及びtyr7−1アレルの抑制を妨げることで酵母菌Upflpと代替えできることを示している(図6A)。マルチコピープラスミドから発現されるときに、ハイブリッド遺伝子はよく機能した(図6A)。これらプラスミドを有する細胞は、−trp−met培地上で野生型と同様に増殖したので、キメラタンパク質の発現は、正常細胞の増殖に何ら効果を及ぼさなかった(図6A)。【0109】酵母菌/ヒトUPF1遺伝子は、酵母菌細胞におけるナンセンス含有転写物の崩壊を促進する。これを調べるため、ベクタープラスミド、酵母菌UPF1遺伝子、又は高コピープラスミド中のヒト/酵母菌ハイブリッドUPF1アレルのどれかを有するupflΔ菌株中で、tyr7−1とleu2-2ナンセンス含有転写物の発生量を測定した。これら細胞由来の全RNAsを単離し、TYR7及びLEU2遺伝子をコードする放射標識DNAプローブでブロットを探査するRNAブロット解析によって、tyr7−1とleu2-2転写物の発生量を分析した(Wengら,1996a、Wengら,1998)。その結果は、leu2-2及びtyr7−1mRNAsは、UPF1+細胞では少量であるが、upflΔ菌株及び酵母菌/ヒトハイブリッドアレル含有upflΔの両方で大量であることを示した(図6B)。同様に、HMDの内因性基質であるCHY2前駆体(Heら,1993)は、酵母菌/ヒトハイブリッドアレルを発現する細胞中に大量にあったが、CHY2 mRNAレベルは、すべての3つの菌株中で同様だった(図6B)。総括して考えると、これらの結果は、酵母菌/ヒトUPF1ハイブリッド遺伝子の生成は、翻訳終結では機能するが、酵母菌細胞のHMD経路は活性しないことを示した。【0110】 ヒトUpflpは、ペプチジル終結因子eRF1及びeRF3と相互作用する:上記結果は、UPF1遺伝子のヒト相同体が、ペプチジル終結因子の翻訳終結活性を調節するのにいも機能することを示している。そこで、完全長rent1/hupflがeRF1及びeRF3と相互作用するかどうかが問題だった。この可能性を調べるため、放射標識rent1/hupflタンパク質を、インビトロ転写/翻訳系で結合させて合成した。rent1/hupflのインビトロ合成は、ほぼ130kDのバンドを生成し(図7、レーン1)、報告されているrent1/hupflのサイズと一致した(Applequistら,1997)。上述したようにルシフェラーゼタンパク質も合成し、相互作用の特異性のための対照タンパク質として使用した。ルシフェラーゼタンパク質の合成によって68kdタンパク質を得た(図7、レーン5)。rent1/hupfl又はルシフェラーゼタンパク質を上述のGST、GST-eRF1又はGST−eRF3でインキュベートし、rent1/hupfl又はルシフェラーゼのこれらタンパク質との相互作用を、SDS-PAGE後オートラジオグラフィーで監視した。その結果は、rent1/hupflがGST-eRF1又はGST-eRF3の両者と相互作用することを示した(図7、レーン3及び4)。rent1/hupflはGSTタンパク質と複合体を形成しなかったので、相互作用は特異的だった(図7、レーン2)。さらに、インビトロ合成されたルシフェラーゼタンパク質は、GST、GST-eRF1又はGST-eRF3と相互作用しなかった(図7、レーン6〜8)。さらに、ポリ(U)RNAは、hupfl/rent1のeRF3との相互作用を妨げた。総括して考えると、これら結果は、rent1/hupflが、その監視複合体中のペプチジル終結因子eRF1とeRF3及びUpflpeとも相互作用し、かつ翻訳終結を調節することを示している。【0111】 (考察) 以前の結果は、Upflpは、ナンセンスコドンにおける翻訳終結を増強すること、及びナンセンス含有転写物の崩壊を促進することについて、多機能性であることを示した(Wengら,1996a,b;Wengら,1998)。ここで提示した結果は、Upflpがどうやって翻訳終結を増強するかを明らかにし始めている。Upflpの酵母菌及びヒト型の両方が、ペプチジル終結因子eRF1及びeRF3と相互作用し、かつそれらの活性を調節することによって、翻訳終結に効果を及ぼすことがわかった(図1)。これら結果は、Upflpが、[PSI+]酵母菌細胞中で観察されるペプチジル終結因子凝集体、又は繊維の一部としても観察され、かつUpflの変異型がその終結因子との相互作用を変化させたことを示すことによって実証された。【0112】 Upflpのペプチジル終結因子との相互作用は、Upflpがこれら因子の活性を高めることを示唆している:Upflpが、[PSI+]細胞中に見いだされるeRF3凝集体とも相互作用するという発見は、このタンパク質がインビボで翻訳終結因子と相互作用することと一致している(図2)。この結果は、翻訳終結を増強するための細胞として通常利用されるUpflpの一部が、酵母菌[PSI+]細胞の細胞プールから消耗されることを示唆している。現在、HMDに及ぼすUpflpのこのタンパク質を除去することの効果は知られていない。ここで示した結果は、Upflpを[PSI+]複合体の成分として同定し、かつ凝集体の形成又は維持において役割を果たす。【0113】 リボソームのA部位が終結コドンで占有されているときに、どのようにしてeRF1及びeRF3が終結を促すかという正確なメカニズムは、完全には明らかにされていない(Buckinghamら,1997でレビューされる)。eRF1は構造的にtRNAのステムを模倣でき、eRF3はEF-1αを模倣できることが示唆されている(Didichenkoら,1991)。これら2つのタンパク質のリボソームA部位での相互作用は、P部位におけるtRNAに関連したペプチドの切断を促進する(Zhouravleaら,1995)。終結因子のUpflpとの相互作用が翻訳終結効力を高めると考えられる終結プロセスにはいくつかの段階がある。これらは以下を包含する;1)eRFsが近くの同族tRNAsと競合し、かつ生産的にリボソームと相互作用して終結を促す効力を高めること、2)eRFsのペプチジル加水分解を促進する効力、3)又は、終結を促すことのできるこれら因子の大きな自由プールが生じるように、eRFsの再利用を高めること。【0114】翻訳終結増強におけるUpflpの役割は、進化の間じゅう保存されうる:最近、酵母菌UPF1遺伝子のヒト相同体が単離された(Perlickら,1996;Applequistら,1996)。ヒト遺伝子は、酵母菌UPF1遺伝子には存在しないアミノ及びカルボキシル末端ドメインを含むが、ヒト遺伝子は、酵母菌相同体に見られるシステイン−ヒスチジン−リッチ領域及びヘリカーゼモチーフを含む(Perlickら,1996;Applequistら,1996)。さらに、UPF1遺伝子の酵母菌/ヒトハイブリッドの発現は、upf1Δ菌株で発現される場合、フレームシフト抑制アッセイで機能した(Perlickら,1996)。ここで提示した結果は、Upflpと同様に、酵母菌/ヒトUPF1アレルの発現が、ナンセンス含有leu2-2及びtyr7−1アレルを有するupf1Δ菌株に観察されるナンセンス抑制表現型を阻害することを示している(図6)。酵母菌/ヒトハイブリッドは、酵母菌Upflpの翻訳終結表現型を補完できるが、それはナンセンス含有mRNAsの迅速な崩壊を促さない(図6)。さらに、翻訳終結における役割と一致して、ヒトrent1/hupflタンパク質は、翻訳終結因子eRF1及びeRF3とも相互作用する(図6)。これら結果は、酵母菌Upflpとrent1/hupflの両方の優先的な細胞質の局在化と同様に(Jacobson及びPetlzでレビューされる;1996;Applequistら,1996参照)、このタンパク質の翻訳終結を調節することにおける役割と一致する。総括して考えると、これら結果は、翻訳終結におけるUpflpの役割が、おそらく進化の間じゅう観察されることを示唆している。【0115】 終結因子との相互作用が、Upflpの生化学的活性を調節する:結果は、Upflpの終結因子との相互作用がそのATPアーゼ活性を阻害し、かつUpflpがRNAに結合するのを妨げることを示している(図3及び5)。これらの結果は、UpflpのATPアーゼ/ヘリカーゼ及びRNA結合性が、HMDの促進には必要であるが、その翻訳終結活性には不要であるという以前の生化学的及び遺伝的結果(Wengら,1996a,b;Wengら,1998)と一致している。また、RNA及びeRF3は、Upflpへの結合において競合することもわかった(図3)。この結果は、UpflpのRNAに対する親和性を減じる因子が、必然的に終結因子に対する結合を好むことを示唆している。以前に、ATPのUpflpへの結合が、RNAに対する親和性を減少させることが示された(Wengら,1996a,1998)。ここで示された結果は、ATPがUpflをRNA以上にeRF3と相互作用させることを実証した(図4C、図8A)。これら結果に基づくと、ATPは、その翻訳終結とHMD活性とを切り換えさせるUpflpの補助因子である。Upflpの遺伝的及び生化学的解析による結果は、この仮説と一致している(Wengら,1996a,1998)。例えば、ATPアーゼ活性を欠くが、まだATPが結合されているUpflpの変異型は、翻訳終結の阻害においてまだ機能的だった(Wengら,1996a,1998)。意味深いことに、Upflpのこの変異型へのATPの結合性は、まだそのRNA結合親和性を調節した(Wengら,1996a,1998)。さらに、そのRNA結合性がATPで調節できない変異体UpflpK436Aは、ナンセンスコドンにおける翻訳終結を促すのに機能しなかった(Wengら,1996a,Wengら,1998)。このUpflpK436Aは、eRF1との相互作用を劇的に減少させ(図4B)、かつRNA及びATPの存在下ではeRF3と相互作用しなかった(図4C)。【0116】上記モデルに基づくと、終結事象は、監視複合体の構築においてキーポイントであり、かつ翻訳終結及びナンセンス含有転写物の崩壊を増強させる。翻訳終結は、野生型転写物の翻訳効力の安定性を調節するのにも重要な事象でありうる。多くの転写物の3'−非翻訳領域は、翻訳効力及び/又はそれらのそれぞれのmRNAsの安定性を調節する制御エレメントをコードする(Ross,1995;Jacobson及びPeltz,1996;Jacobson,1996;Caponigroら,1995;Wickensら,1997でレビューされる)。終結事象は、複合体の構築、続く複合体の安定性及び/又は翻訳効力を調節する3'-UTRのエレメントとの相互作用において手掛かりでもある。興味深いことに、タンパク質ホスファターゼ2A(PP2A)の1つのサブユニットは、翻訳終結因子eRF1である(Andjelkovicら,1996)。eRF1の1つの役割は、翻訳事象においてPP2Aホスファターゼをリボソームに運ぶことである。そして、PP2Aは、適切な場所に配置され、翻訳効力又は問題の転写物の安定性を調節する因子の活性を調節することができる。興味深いことに、この筋書きは、NMD経路機能がどのように保存されるかに非常に類似している。野生型及びNMDの両者の基本的な前提は、終結が、リボソームを休止しかつある転写物の寿命中の次の事象を調節する複合体の構築にシグナルを送る律速事象であることである。興味深いことに、翻訳におけるPP2Aの役割は調査されていないが、ホスファターゼをコードするSAL6遺伝子の変異が、ナンセンス変異の抑制を促すことが示された(Vincentら,1994)。明らかに,この仮説を調べるためにはさらなる実験が必要である。【0117】実施例2:Upf3タンパク質は、翻訳及びmRNAターンオーバーの両方を監視する監視複合体の成分であり、かつウイルス維持に影響する。ナンセンス媒介mRNA崩壊(NMD)経路は、早期の翻訳終結コドンを含む異常mRNAsを分解する機能を果たす。サッカロミセスセレビジエでは、Upf1、Upf2及びUpf3タンパク質は、この経路に関わるトランス作用因子として同定されている。最近の結果から、Upfタンパク質は、翻訳プロセスのいくつかの局面のフィデリティーを維持することにも関与しうることがわかった。UPF1遺伝子の特定の変異が、ナンセンスコドンにおける翻訳終結及び/又はウイルスの遺伝子発現をコントロールするためにウィルスによって使用されるプログラム−1リボソームフレームシフトのプロセスの効力に影響することがわかった。プログラムフレームシフト効力の変化は、ウイルスタイターの低減又はウイルスの除去を導くウイルスの構築に影響しうる。ここで、Upf3タンパク質は、プログラム−1フレームシフト効力を制御する機能を果たすことが示される。upf3Δ菌株は、プログラム−1リボソームフレームシフト効力を高め、その結果M1ウィルスの維持能力を減少させる。さらに、upf3Δ菌株は、抗体パロモマイシンに対して、野生型細胞より感受性であり、かつフレームシフト効力は、この薬物の存在下、upf3Δ菌株中で増加する。さらに、Upf3pは、Upf1及びUpf2に対して上位性である。これらの観察及びUPF1遺伝子のmof4−1アレルもNMD及びプログラム−1リボソームフレームシフト効力に影響するという事実に基づき、Upfpタンパク質は、翻訳フィデリティー及びmRNAターンオーバーの監視の機能をする監視複合体の一部であることがわかった。【0118】(材料及び方法)材料、菌株、プラスミド、培地、及び一般的な方法:制限酵素は、Boehringer Mannheim,New England Biolab、及びBRLから得た。放射性ヌクレオチドは、NEN又はAmershamから得た。本研究で使用したアイソジェニック酵母菌株は、表1に掲載されている。E. coliDH5αを用いてプラスミドDNAを増幅した。プラスミドpF8及びpTI25は、以前に記載されており(Dinman,J.D.,Icho,T.及びWickner,R.B.(1991))、図7に示されている。YCplac33ベクター中でmof4−1アレルを運ぶプラスミドpmof4BEは記載のとおりであった(Cui,Y,K.W.Hagan,S.Zhang,及びPeltz,S.W.(1995))。酵母菌培地は、記載どおりに調製した(Rose,M.D.,Winston,F.及びHieter,P.(1990))。酵母菌の形質転換は、リチウムアセテート法によって行った(Schiestl,R.H.,及びGietz,R.D.(1989))。L-A及びM1のrho-o菌株へのサイトダクション(cytoductions)は、以前に記載のとおりで(Dinman,J.D.,及びWickner,R.B.(1992))、サイトダクションドナーとして菌株3164及び3165を用いた(Dinman,J.D.,及びWickner,R.B.(1994);Dinman,J.D.,及びWickner,R.B.(1992))。β-ガラクトシダーゼ(β-ガル)アッセイは、標準的な手順に従った(Guarente,L.(1983))。【0119】UPF3のクローニング:UPF3をクローニングするのに使用した戦略は、UPF2をクローニングするのに使用したのと同一であった(Cui,Y,K.W.Hagan,S.Zhang,及びPeltz,S.W.(1995))。続くサブクローニングは、2.1kbのAsp718-BglII断片がupf3変異を補完するのに十分であることを明らかにし、かつこのクローンの配列解析により、それが、以前に報告されたUPF3配列と同一であることがわかった(Lee,B.S.,及びCulbertson,M.R.(1995))。【0120】キラーアッセイ、フレームシフトアッセイ及び全核酸の抽出及び解析:キラーアッセイは、以前に記載のように(Dinman,J.D.,及びWickner,R.B.(1992))、新しく5x47のキラー指標細胞のローンで接種された4.7MBプレート上へのレプリカ栽植コロニーによって行った(プレート当たり1ml毎に1単位の光学密度で550nmで0.5mlの懸濁液)20℃で2日後、キラー活性をキラーコロニー周囲の増殖阻害のゾーンとして観察した。キラー活性の損失を定量するために、キラー+として同定されたコロニーをシングルコロニーのために再ストリークして、キラーコロニーの割合を決定した。−1フレームシフトの効力は、以前に記載されたとおりに(Cui,Y.,Dinman,J.D.,及びPeltz,S.W.(1996);Dinman,J.D.,Ruiz-Echevarria,M.J.,Czaplinski,K.及びPeltz,S.W.(1997b))、0-フレーム対照(pTI25)及び−1レセプター(pF8)プラスミドを用いて決定した。【0121】全核酸(TNA)は、以前に記載されているように細胞から抽出した(Dinman,J.D.,及びWickner,R.B.(1994);Dinman,J.D.,及びWickner,R.B.(1992))。同量のTNAを1.0%アガロースゲルで分離し、臭化エチジウムで可視化した。TNAは、50%ホルムアミド、9.25%ホルムアルデヒド、1xTAE中45℃で30分間ゲル中で変性させ、そのゲルを水で洗浄し、核酸をニトロセルロースに変換した。抽出及びmRNAsは、以前に記載のとおりであった(Cui,Y.,Dinman,J.D.,及びPeltz,S.W.(1996))。L-A及びM1(+)鎖RNAの発生量を記載どおりに監視した(28)。lacZ−1フレームシフトレセプターmRNA及びU3 snRNAのRNA発生量は、基本的に記載どおりに(Sambrook)、リボヌクレアーゼ保護アッセイによって決定した。【0122】放射性プローブの調製:リボヌクレアーゼ保護アッセイのため、RNAプローブを[α-32P]UTPで標識した。lacZ mRNA発生量を監視するため、LacZ遺伝子を含有するpGEM誘導ペプチドをHincIIで消化し、RNAポリメラーゼT7でインビトロ転写した。U3転写物の発生量を監視するため、pGEM-U3、pGEM誘導プラスミドをSspIで切断し、RNAポリメラーゼT3でインビトロ転写した。L-A及びM1(+)鎖RNAプローブを[α-32P]CTP標識T3RNAポリメラーゼ流出転写物を用いて以前に記載されたように調製した(28)。【0123】(結果)upf3Δ菌株は、プログラム−1リボソームフレームシフトの効力を高める:mof4−1は、プログラム−1リボソームフレームシフト効力を特異的に高め、かつM1サテライトウィルスの損失を促進する。しかし、upflΔ菌株は、これら表現型を示さない。Upf2又はUpf3タンパク質を含む推定監視複合体の他の因子も、プログラム−1リボソームフレームシフトに影響する。従って、UPF遺伝子が欠失しているアイソジェニック菌株が、リボソームフレームシフト効力を高めるか調べた。【0124】インビボのプログラムリボソームフレームシフトの効力を測定するための方法は、以前に記載されている(Cui,Y.,Dinman,J.D.,及びPeltz,S.W.(1996));Dinman,J.D.,Icho,T.,及びWickner,R.B.(1991);Dinman,J.D.,Ruiz-Echevarria,M.J.,Czaplinski,K.及びPeltzS.W.(1997b))。転写が酵母菌PGK1プロモータから行われ、PGK1ポリアデニル化部位で終結する一連のlacZレポータープラスミドを使用した。翻訳開始コドンの後に多クローニング部位、次にE. coliのlacZ遺伝子が続く。プラスミドpTI25は、lacZが翻訳開始部位について0-フレームにあるので、0-フレーム対照として役立つ(図8)。プラスミドpF8、L-A誘導プログラム−1リボソームフレームシフトシグナルはポリリンカーにクローン化され、lacZ遺伝子は翻訳開始部位について−1フレームにある(図8)。従って、この構成では、lacZ遺伝子は、リボソームが−1方向のフレームをシフトする場合にのみ翻訳されるだろう。+1フレームシフトレポータープラスミド、jpD104(図8)は、酵母菌のTy1逆転移性エレメントから誘導されるプログラム+1リボソームフレームシフトシグナルのlacZ遺伝子挿入3'を含む。この構成では、lacZ遺伝子は、リボソームが+1方向にシフトする場合にのみ翻訳されるだろう。−1リボソームフレームシフトの効力は、−1フレームシフトレポータープラスミド、pF8を含む細胞中で測定されるβ-ゲル活性の、0−フレーム対照プラスミド、pTI25を含む細胞に対する比率を決定し、かつ100%を掛けることによって計算される。同様に、+1リボソームフレームシフト効力は、pjD104のpTI25 β−ゲルに対する比率に基づいて計算される。これらの実験は、種々のUPF遺伝子が欠失しているアイソジェニックな酵母菌株中で行い、菌株の特異的な相異を回避した(表1)。【0125】表1.この研究で用いた菌株【0126】これら実験の結果は、β−ゲル活性のレベル、ひいてはプログラム−1リボソームフレームシフトの見かけ上の効力は、野生型細胞におけるより、upf1Δ及びupf2Δにおいて、それぞれ1.8倍及び1.5倍だけわずかに高かった(表2)。後述するように、−1プログラムフレームシフトの小さい増加は、M1ウィルスの欠損を促すには十分でなかった。対照的に、upf3Δ細胞におけるプログラム−1リボソームフレームシフトの効力は、野生型より3.4倍高く、かつM1ウィルスの欠損を促すのに十分だった(以下参照)。この結果は、mof4-1菌株と同様に、upf3Δ菌株がプログラム−1リボソームフレームシフトのレベルを高めたことを示唆している。【0127】表2.プログラム−1リボソームフレームシフト及びUPF遺伝子の単一欠失を有する菌株のM1ウィルス維持a 1リボソームフレームシフト効率(%)を-1リボソームフレームシフトリポータープラスミドを宿している株中のβ−ガラクトシダーゼ活性対0フレーム対照プラスミドを宿している同株中のその活性の比により測定した。2L-AHN及びM1を細胞質導入により株に導入し、M1 dsRNAの維持(+)又は損失(-)を物質及び方法に記載されたキラープレートアッセイ及びノーザンブロット分析により分析した。【0128】重要なことに、突然変異体株のいずれもがβ−ガラクトシダーゼ活性のレベルにより測定してプログラムされた+1リボソームフレームシフトの見掛効率の著しい増加を示さなかった。一緒にされると、これらの結果はupf3Δ株が-1リボソームフレームシフトを特異的に変化することを示した。フレームシフトリポーター転写産物の存在量はupfΔ株中で均等である。これらのアッセイに使用した-1フレームシフトリポーター転写産物はフレームシフト部位の短いタンパク質コーディング領域5'続いてリポータータンパク質をコードし、5'オープンリーディングフレームの翻訳開始部位を含むフレーム外である配列を有する。リボソームフレームシフト効率の見掛の変化は翻訳機構がナンセンスを含むmRNAとして認識し得るLacZ 1フレームシフトリポーターmRNAの存在量の変化から生じ得る。UPF遺伝子の欠失が-1フレームシフトリポーター転写産物の安定化をもたらし、β-galリポータータンパク質の増大された合成をもたらす。upf3Δ株がリポーター転写産物をupf1Δ株及びupf2Δ株よりも大きい程度に蓄積するか否かに取り組むために、lacZ 1フレームシフトリポーターmRNAの存在量をRNase保護分析により測定した。ローディング対照として、U3 snRNAの存在量を測定した。ハイブリダイジングバンドの定量はU3 snRNAに対し標準化されたlacZフレームシフトリポーターmRNAの存在量が同質遺伝子の野生型、upf1Δ株、upf2Δ株及びupf3Δ株中で均等であることを明らかにした(図9)。それ故、これらの結果は、upf3Δ中で観察された増大されたプログラムされた-1リボソームフレームシフト効率が、upf1Δ株又はupf2Δ株と比較された場合に、リポーター転写産物をその他のupfΔ株よりも大きい程度に安定化することの結果ではないことを示した。-1 LacZ mRNAの存在量の適度の増加はupf3Δ株中で観察されたβ-galリポータータンパク質の生成の4倍の増加を説明することができなかった。それ故、upf3ΔはまたそれがナンセンスmRNAを安定化するその能力とは独立に-1リボソームフレームシフトの効率を増大する点でmof表現型を示す。【0129】M1キラーウイルスはupf3Δ株中で維持されない。-1リボソームフレームシフトの効率の変化はウイルス粒子集合に利用できるGapタンパク質対Gap-polタンパク質の比を変化し、従ってウイルス増殖に干渉する(Cui, Y., Dinman, J.D.,及びPeltz, S.W. (1996); Dinman, J.D.及びWickner, R.B. (1994); Dinman, J.D.,及びWickner, R.B. (1992); Dinman, J.D., Ruiz-Echevarria, M.J., Czaplinski, K.及びPeltz, S.W. (1997b))。L-Aウイルス及びM1ウイルスを細胞質導入により同質遺伝子野生型UPF+、upf1Δ株、upf2Δ株及びupf3Δ株に導入し、これらの細胞を増殖させ、レプリカをキラートキシンに感受性の細胞のローンに塗布した。M1ウイルスを維持する細胞はキラートキシンを分泌し、増殖抑制のリングを生じ、一方、M1を失った細胞はこの増殖抑制を示さない(Cui, Y., Dinman, J.D.,及びPeltz, S.W. (1996); Dinman, J.D.,及びWickner, R.B. (1992); Dinman, J.D., Ruiz-Echevarria, M.J., Czaplinski, K.及びPeltz, S.W. (1997b))。このアッセイの結果は野生型、upf1Δ株及びupf2Δ株がキラー表現型を維持し、一方、upf3Δ株がキラー表現型を維持するその能力をゆるめることを実証した(図10A;表2)。先の結果と一致して、mof4-1対立遺伝子を宿している細胞はまたキラー表現型を維持することができなかった(Cui, Y., Dinman, J.D.,及びPeltz, S.W. (1996))。【0130】キラー表現型の欠如がキラートキシンの生成との干渉ではなくウイルス維持欠陥の結果であるか否かを測定するために、全核酸をUPF+、upf1Δ株、upf2Δ株及びupf3Δ株の夫々一つのコロニーから抽出し、等しい量の核酸を非変性アガロースゲル中で分離した。RNAをニトロセルロースに移し、〔α-32P〕CTP標識L-A及びM1 (+)ストランドRNA特異的プローブでハイブリダイズした。結果を図10Bに示す。キラー表現型の損失と一致して、1.8 kb M1 ds RNAはmof4-1細胞及びupf3Δ細胞中に不在であったが、upf1突然変異体及びupf2突然変異体並びに野生型株中に存在した。これらの結果はUPF3遺伝子の欠失がM1サテライトウイルスの増殖に干渉する-1リボソームフレームシフトの効率を変化するという仮説を支持する。【0131】upf3Δ株はパロモマイシンに対する増大された感受性を示す。翻訳忠実度を減少する突然変異を宿している株は酵母中で誤解読の頻度を増大すると考えられている薬物であるアミノグリコシド抗生物質パロモマイシンに高感受性である。先の結果はUPF1遺伝子(これは-1リボソームフレームシフトの効率を増大する)のmof4-1対立遺伝子を宿している細胞がまた同質遺伝子の野生型株よりもパロモマイシンに対する増大された感受性を示すことを実証した。upf3Δ株がまたこの抗生物質に対する増大された感受性を示すことを測定した。パロモマイシン1mgを含むディスクを細胞のローンの上に置き、ディスクのまわりの増殖抑制のゾーンを測定することにより、パロモマイシン感受性を同質遺伝子の野生型株及びupf3Δ株中で監視した(図11)。結果は、mof4-1株と同様に、upf3Δ株が同質遺伝子の野生型株よりもパロモマイシンに対し感受性であったことを示す。upf1Δ株又はupf2Δ株のいずれもがパロモマイシンに対する高感受性を示さない。【0132】-1リボソームフレームシフトに関するパロモマイシンの効果を同質遺伝子の野生型株及びupf3Δ株中でプラスミドpF8(-1フレームシフトリポーター構築物)又はpTI25(0フレーム対照)を使用するβ−ガラクトシダーゼアッセイにより更に分析した。細胞を異なる濃度の薬物の存在下で液体培地中で増殖させ、β−ガラクトシダーゼ活性を測定し、アッセイに使用した細胞の数について標準化した。pF8(-1フレームシフトリポーター構築物)を有するupf3Δ細胞からのβ−ガラクトシダーゼ活性はパロモマイシンの濃度の増大につれて連続的に増大した。しかしながら、β−ガラクトシダーゼ活性はpF8を含む野生型細胞又はpTI25(0フレーム対照構築物)を有する株のいずれ中でも影響されなかった。一緒にされると、これらの結果はパロモマイシンがUPF3遺伝子の欠失が-1リボソームフレームシフトの効率に関して有する効果を増強し得ることを示す。【0133】upf3Δ株及びupf3Δmof4-1株の増大された-1プログラムされたフレームシフト及びキラーウイルス維持欠陥表現型は均等である。上記結果はupf3Δ株がmof4-1細胞と同様の表現型を有することを示す。UPF1遺伝子の欠失ではなくUPF1遺伝子のmof4-1対立遺伝子はプログラムされた-1リボソームフレームシフト及びM1維持に影響したので、本発明者らはmof4-1pがUpf3pの機能を変化し得ると仮定した。こうして、mof4-1 upf3Δ株はupf3Δ株と同じプログラムされた-1フレームシフト及びキラー表現型を有するべきである。同質遺伝子のmof4-1株、upf3Δ株及びmof4-1 upf3Δ株中のプログラムされた-1リボソームフレームシフト効率及びウイルス維持表現型を上記のように監視した。この実験の結果を表3に要約する。mof4-1株、upf3Δ株及びmof4-1 upf3Δ株中で観察されたプログラムされた-1リボソームフレームシフト効率は均等であった。更に、これらの株の全てがキラー表現型を欠いていた(表3)。これらの結果はUPF1遺伝子のmof4-1対立遺伝子がUpf3pの活性をモジュレートすることによりプログラムされた-1リボソームフレームシフトを変化することを示唆する。【0134】upf3Δ対立遺伝子のプログラムされたフレームシフト及びキラー表現型はその他のupfΔ対立遺伝子とは独立である。upf1Δ、upf2Δ及びupf3Δの間の上位関係を-1リボソームフレームシフト効率及びキラー維持の両方に関して調べた。プログラムされた-1リボソームフレームシフト及びキラー表現型の両方を上記のようにして同質遺伝子のUPF+、upf1Δupf2Δ株、upf1Δupf3Δ株、upf2Δupf3Δ株及びupf1Δupf2Δupf3Δ株中で監視した。これらの実験の結果を表3に示す。upf3Δを宿している株の全てがUPF3遺伝子のみの欠失を宿しているものと均等に、UPF2遺伝子のUPF1の状態とは独立に、-1リボソームフレームシフトの効率を増大した(表3)。逆に、upf1ΔUPF3+株、upf2ΔUPF3+株及びupf1Δupf2ΔUPF3+株はキラー表現型の損失を促進するのに十分なプログラムされた-1フレームシフト効率の増大を示さなかった(表2及び3)。一緒にされると、これらの結果はUpf3pがUpf1p及びUpf2pの両方の上流で作用することを示す。【0135】説明Upfタンパク質はmRNAターンオーバー及び翻訳の両方を監視するサーベイランス複合体の部分である。NMD経路は細胞が異常なナンセンスを含む転写産物(これらは翻訳された場合に正常な細胞機能に主として干渉し得る異常なペプチドを生成し得る)の除去に進化したメカニズムの例である(Jacobson, A.及びPeltz. S.W. (1996); Ruiz-Echevarria, M.J., K. Czaplinski,及びPeltz, S.W. (1996); Weng, Y., M.J. Ruiz-Echevarria, S. Zhang, Y. Cui, K. Czaplinski, J. Dinman,及びS.W. Peltz. (1997); He, F., Peltz, S.W., Donahue, J.L., Rosbasch, M.及びJacobson, A. (1993); Pulak, R.及びAnderson, P. (1993))。重要なことに、ナンセンス突然変異の結果である幾つかのヒト遺伝子疾患の臨床発現及び重度はナンセンスを含む転写産物が安定化される条件下で増大し得る(Hall, G.W.,及びThein, S. (1994); Dietz, H.C., I. McIntosh, L.Y. Sakai, G.M. Corson, S.C. Chalberg, R.E. Pyeritz,及びFrancomano, C.A. (1993); Dietz, H.C., U. Franke, H. Furthmayr, C.A. Francomano, A. De Paepe, R. Devereux, F. Ramirez,及びPyeritz, R.E. (1995))。今まで研究された夫々の真核生物がNMD経路を維持したという事実、並びにこのプロセスに関係した少なくとも一つの因子のヒト細胞中の保存(Perlick, H.A., Medghalchi, S.M., Spencer, F.A., Kendzior, R.J.Jr., 及びDietz, H.C. (1996); Applequist, S.E., Selg, M., Roman, C.,及びJack, H. (1997))は異常なmRNAを排除する圧力が進化中にこのプロセスを維持するのに十分であることを示唆する。【0136】 最近の結果はNMD経路に関係した因子が翻訳プロセスの幾つかの局面をモジュレートするのに付加的な役割を果たすことを示す。Upf1pの遺伝子研究はそれがNMD及び翻訳終結プロセスのモジュレーションの両方で作用する多機能性タンパク質であることを示唆する(Weng, Y., K. Czaplinski,及びPeltz, S.W. (1996a); Weng, Y., K. Czaplinski,及びPeltz, S.W. (1996b))。更に最近の生化学的証拠はUpf1pが翻訳終結因子eRF1及びeRF3と相互作用することを示す。翻訳終結をモジュレートする際のUpf1pの機能は驚くべきことではない。何とならば、NMD経路は翻訳終結が異常に起こったか否かを監視し、次いで異常なmRNAを分解することにより機能するからである。【0137】UPF1遺伝子のmof4-1対立遺伝子はプログラムされた-1リボソームフレームシフト効率の増大を示し、M1キラーウイルスを維持することができない(Cui, Y., Dinman, J.D.,及びPeltz, S.W. (1996))。加えて、mof2-1突然変異体は増大されたプログラムされた-1リポソーム効率を発現する(Cui, Y., Dinman, J.D.D., Goss Kinzy, T.及びPeltz, S.W. (1997))。mof2-1突然変異体はSUII遺伝子の対立遺伝子であり(Cui, Y., Dinman, J.D.D., Goss Kinzy, T.及びPeltz, S.W. (1997))、これは翻訳開始部位選択に役割を果たすことが既に示された。重要なことに、mof2-1突然変異体株はまたナンセンス含有の蓄積を示す。これらの結果は、NMDに関係した因子を含む、サーベイランス複合体がまた翻訳プロセスのその他の工程を監視するのに関係しているかもしれないことを示唆する。ここに示された結果はUpf3pがNMDにおけるその役割に加えて適当な翻訳リーディングフレームを維持するのに関係する推定のサーベイランス複合体の部分であることを示す。また、結果は-1リボソームフレームシフトにおけるUpf1pのmof4-1対立遺伝子の効果がおそらく翻訳装置とのUpf3pの相互作用をモジュレートすることにより生じることを示唆する。【0138】Upf3pはUpfp複合体をプログラムされた-1リボソームフレームシフトにリンクする主要な因子である。UPF1遺伝子、UPF2遺伝子又はUPF3遺伝子の欠失を宿している細胞のプログラムされたリボソームフレームシフト及びM1ウイルス維持プロフィールの監視はupf3Δ株がプログラムされた-1フレームシフト効率及びウイルス維持に影響することを実証した(表2及び3)。upf3Δ株における増大されたプログラムされた-1リボソームフレームシフトはupf1Δ株又はupf2Δ株中で観察されたよりも大きい程度にリポーター転写産物を安定化することの結果ではない(図9)。これと一致して、upf3Δ細胞中の-1リボソームフレームシフトの効率が翻訳忠実度に影響することが知られている薬物であるパロモマイシンの次第に増加する投薬量に応答して上昇された。upf1Δ対立遺伝子ではなく、UPF1遺伝子のmof4-1対立遺伝子がプログラムされた-1リボソームフレームシフト及びキラー維持に影響したという観察はUpf1pが翻訳リーディングフレームの維持に直接に影響しないことを示唆した。Upf3pがプログラムされたフレームシフトをモジュレートするUpfp複合体の中心成分であるという概念はmof4-1 upf3Δ株がmof4-1株と同じプログラムされた-1リボソームフレームシフト及びキラー表現型を有するという観察により支持される(表2)。【0139】ここに示された結果はUpf3pが翻訳リーディングフレームの適当な維持を確実にする機能を有することを示す。このプロセスにおけるUpf3pの機能はUpf1p及びUpf2pの遺伝的に上位であることが明らかである。何とならば、upf3Δのプログラムされた-1フレームシフト及びキラー維持表現型がupf1Δ株及びupf2Δ株中で観察されるからである(表3)。このプロセスにおけるUpf3Pの正確な生化学的機能は知られていないが、ここに示された結果はUpfpが翻訳プロセス及びmRNAターンオーバープロセスの異なる局面に影響し得る異なる役割を有し得ることを実証する。重要なことに、これらの結果はまた実用的な意味を有しているかもしれない。何とならば、臨床上、獣医学上及び農業上重要な多くのウイルスがプログラムされたフレームシフトを利用するからである(Brierley, I. (1995); Dinman, J.D.D., Ruiz-Echevarria, M.J.及びPeltz, S.W. (1997)に概説されている)。こうして、プログラムされたリボソームフレームシフトは抗ウイルス剤の特異な標的として利用でき、このプロセスに関係する因子の同定及び特性決定がこれらの化合物を同定するアッセイを開発することを助けるであろう(Dinman, J.D.D., Ruiz-Echevarria, M.J.及びPeltz, S.W. (1997))。【0140】【表1】UPF遺伝子の多重突然変異を宿している株のプログラムされた-1リボソームフレームシフト及びM1ウイルス維持【0141】a プログラムされた-1リボソームフレームシフト効率及びM1ウイルス維持を表2の脚注に記載されたようにして測定した。上記のように、UPF遺伝子中の突然変異は変化された翻訳終結表現型、増大されたプログラムされたフレームシフト及びナンセンスを含む転写産物の安定化をもたらし得る(Weng, Y., K. Czaplinski,及びPeltz, S.W. (1996a); Weng, Y., K. Czaplinski,及びPeltz, S.W. (1996b); Cui, Y., Dinman, J.D.,及びPeltz, S.W. (1996); Ruiz-Echevarria, M.J., K. Czaplinski,及びPeltz, S.W. (1996); Weng, Y., M.J. Ruiz-Echevarria, S. Zhang, Y. Cui. K. Czaplinski, J. Dinman,及びS.W. Peltz. (1997)に概説されている)。こうして、これらの遺伝子の産物は初期に異常なmRNAを分解するのにのみ関係すると考えられたが、現れた絵はこの経路に関係する因子が翻訳(翻訳伸長及び終結を含む)及びmRNAターンオーバーの幾つかの局面に多重の役割を果たすことを示す(Weng, Y., K. Czaplinski,及びPeltz, S.W. (1996a); Weng, Y., K. Czaplinski,及びPeltz, S.W. (1996b); Cui, Y., Dinman, J.D.,及びPeltz, S.W. (1996))。これはUpfp複合体がサーベイランス複合体の部分であり、“翻訳チェックポイント”として機能することを実証する。細胞サイクルコントロールチェックポイントと同様に、UPF遺伝子は必須ではないが、それらが関係するプロセスが高い忠実度で起こることを確実にする。これらの因子の不在下では、翻訳プロセス及びmRNAターンオーバープロセスのサブセットがそれ程正確ではなく進行させられる。【0142】 停止されたリボソームはUpfp複合体の集合を促進する主要なイベントであることがあり、これが続いてこれらのプロセスを監視する。プログラムされたフレームシフト及び翻訳終結の両方がリボソーム停止を伴う(Wolin, S.L.及びWalter, P. (1988); Tu, C., Tzeng, T.-H.及びBruenn, J.A. (1992); Tate, W.P.及びBrown, C.M. (1992)に概説されている)。結果は翻訳終結因子eRF1及びeRF3とA部位中に終止コドンを含む停止されたリボソームとの相互作用がUpfp複合体の集合を促進することを助けることを示す。結果はUpfp複合体と終結因子の相互作用が増進された翻訳終結及びその後のナンセンスを含む転写産物の分解をもたらすことを示す。プログラムされた-1リボソームフレームシフトの場合、スリッペリイ部位後のRNAシュードノット(pseudoknot)がリボソーム停止を促進する(Tu, C., Tzeng, T.-H.及びBruenn, J.A. (1992); Somogyi, P., Jenner, A.J., Brierley, I.A.及びInglis, S.C. (1993))。また、停止されたリボソームはサーベイランス複合体の集合を誘発し得る。この複合体、又はUpfタンパク質のサブセットはリボソームが適当な翻訳リーディングフレームを維持することを助けるかもしれない。これらの因子の不在下では、リボソームがリーディングフレームをスリップし、変化する傾向がある。【0143】【図面の簡単な説明】【図1】 酵母Upf1p蛋白質はペプチジル終結因子と特異的に相互作用する。(A)GST−eRF1またはGST−eRF3融合蛋白質は酵母抽出物のUpf1pと特異的に結合する。pG−1(ベクター)またはpG−1FLAGUPF(Flag−Upf1p)のどちらかで形質転換した酵母株BJ3505から細胞質抽出物をIBTBで調製し、30μlのGST、GST−eRF1またはGST−eRF3セファロース−蛋白質複合体と保温した。前記セファロース−蛋白質複合体をIBTB(材料と方法の項参照)中で2回洗浄し、SDS−PAGEローディング緩衝液に再懸濁し、8%SDS−PAGEゲルで分離し、抗FLAG抗体を用いて免疫ブロットを実施した。(B)Upf1pはeRF1およびeRF3の両方と直接相互作用する。Upf1pを以前に記載されたように(Czaplinski et al. 1995)精製した。各レーンの上部に表示した最終濃度でKClを補充したIBTBの総反応容積200μl中のGST、GST−eRF1またはGST−eRF3セファロース−蛋白質複合体の10μlに200ngのUpf1pを添加した。4℃で1時間後に、各レーンの上部に表示した最終濃度にKClを補充したIBTBの1mlでセファロース−蛋白質複合体を3分間洗浄した。精製セファロース−蛋白質複合体をSDS−PAGEローディング緩衝液に再懸濁し、7.5%のSDS−PAGEゲルで分離し、(A)のように免疫ブロットを実施した。【図2】 Upf1pはeRF3〔PSI+〕凝集物と結合する。7G−H66upf1Δ株の同質遺伝系統〔PSI+〕および〔psi-〕変種で、セントロメアプラスミドに挿入されたFLAG−UPF1を含む細胞抽出物を、以前の報告(Paushkin et al. 1997b)にしたがってシュクロースクッションで遠心して分画した。上清(サイトゾル)、シュクロースパッド(シュクロース)およびペレット分画をSDS−PAGEに付し、これらの分画内のeRF1、eRF3およびUpf1pの分布をeRF1およびeRF3に対するポリクローナル抗体、並びにFLAGエピトープに対するモノクローナル抗体を用いて免疫ブロットによって決定した。95kDa蛋白質は7G−H66株で抗FLAG抗体と交差反応し、〔PSI+〕および〔psi-〕細胞で同じ分布を示す。95kD蛋白質はBJ3505株から調製した抽出物には存在しない(図1参照)。【図3】 eRF3およびRNAはUpf1pとの結合で競合する。(A)ポリ(U)RNAはUpf1pとeRF3との結合を妨げる。反応混合物を図1Bのように調製するが、ただし、結合はTBSTB(100μg/mlのBSAを含むTBST)中で実施し、さらに反応混合物は、各レーンの上部に表示するように1mMのATP、1mMのGTP、または100μg/mlのポリ(U)RNAを含んでいた点を除く。反応混合物を4℃で1時間混合した。混合の後、各レーンの上部に表示するように1mMのATP、1mMのGTPまたは100μg/mlのポリ(U)RNAを含むTBSTBで複合体を図1Bのように洗浄した。(B)ポリ(U)RNAはUpf1pとeRF1との相互作用を妨げない。各レーンの上部に表示するように100μg/mlのポリ(U)RNAの存在下または非存在下で図1Bのように反応混合物を調製した。(C)eRF3はUpf1pRNAの結合を抑制する。SstI消化pGEM5Zf(+)のSP6転写によって均一に標識した32ntのRNAを合成した。表示の量のGST−eRF3を200ngのUpf1pとともに4℃で15分保温した。50fmolのRNA基質を添加して5分保温した。停止溶液を添加し、反応物を4.5%非変性PAGEゲル(0.5xTBE、アクリルアミド:ビスアクリルアミドを30:0.5;5%グリセロール)中で電気泳動した。【図4】 eRF1およびeRF3は、Upf1pRNA依存ATPアーゼ活性を抑制する。Upf1pRNA依存ATPアーゼ活性をGST−RF融合物の存在下で、1μg/mlのポリ(U)RNAおよび100μg/mlのBSAを用いて木炭分析によって決定した。結果は、遊離された32Pのピコモル対表示の蛋白質量をプロットした。【図5】 RENT1/HUPF1キメラ遺伝子座は翻訳終結で機能する。(A)RENT1/HUPF1キメラ遺伝子座はupf1Δ株でナンセンスサプレッションを防止する。PLY146株(MATαura3−52trp1Δupf1::URA3leu2−2tyr7−1)をYCplac22(ベクター)、YCpUPF1(UPF1)、YCpRent1CHI4−2またはYEpRent1CHI4−2で形質転換し、細胞を−trp−met培養液でOD600=0.5まで増殖させた。1/10、1/100および1/1000の希釈を−trp−met培養液で調製し、これら希釈の5μlを−trp−met(上方のプレート)または−trp−met−leu−tyr(下方のプレート)培養液に同時に平板培養した。細胞の増殖を30℃でモニターした。(B)RENT1/HUPF1キメラ遺伝子座はナンセンス含有mRNAの崩壊を促進しない。全RNAを(A)で述べた株に由来する細胞からOD600=0.8で単離した。YCplac22(ベクター)、YCpUPF1(UPF1)またはYEpRent1CHI4−2(YEpRENT1CHI4−2)(10)で形質転換したPLY146株由来の40μgのRNAをノザンブロッティング分析に付し、LEU2、TYR7またはCYH2プローブで調べた。【図6】 Rent1/hupf1はeRF1およびeRF3と相互作用する。NotIで直線化したpT7RENT1(レーン1−4)またはルシフェラーゼ鋳型(レーン5−8)を製造元の指示にしたがってTNT共役網状赤血球in vitro転写翻訳(Promega)に用いた。2μlの完結翻訳反応物をレーン1で電気泳動し、さらに各レーンの上部に表示したように、10μlのGST、GST−eRF1またはGST−eRF3セファロース−蛋白質複合体と前記完結反応物の5.5μlを200μlのIBTB中でインキュベートした。1時間4℃で混合した後、前記セファロース−蛋白質複合体を図1Aのように洗浄し、結合蛋白質を8%ゲルでSDS−PAGEに付した。電気泳動の後で、ゲルを50%メタノール、10%酢酸で30分固定し、続いて1Mのサリチル酸で1時間処理した。ゲルを乾燥させ、オートラジオグラフィーを実施した。【図7】 Upf1のためのモデルはmRNA監視で機能する。(A)RNA結合調整はUpf1とペプチジル終結因子との相互作用を強化する。Upf1pとATPの結合はUpf1のRNAに対する親和性を低下させる。RNAとeRF3はUpf1との結合について競合するので、eRF3との相互作用は好ましい。(B)mRNA監視のためのモデル。Upf1pとペプチジル終結因子との相互作用は、翻訳終結事象でmRNA監視複合体のアッセンブリーをもたらす。この相互作用はUpf1をRNA結合およびATP加水分解から保護し、翻訳終結を強化する。ペプチドの加水分解に続いて、終結因子がリボソームから解離し、Upf1pヘリカーゼ活性を賦活する。続いて監視複合体は終止コドンの3'をDSEのためにスキャンする。DSEと監視複合体の相互反応によって、時期尚早な翻訳終結の発生が知らされ、続いて、それぞれDcp1pおよびXrn1pエキソリボヌクレアーゼによってmRNAが脱キャップされ、さらに分解される。【図8】 プログラム化されたin vivoの−1リボソームフレームシフト効率を測定するために用いられたベクターの模式図。転写はPGK1プロモーターから駆動され、PGK1翻訳開始コドンが使用される。pTI25では、細菌のlacZ遺伝子は開始部位に対して0−フレームにある。プラスミドpF8では、lacZ遺伝子はL−Aウイルスのフレームシフトシグナルの3'に位置し、翻訳開始部位に対して−1フレームに存在する。【図9】 upf3Δ株は、ナンセンス含有転写物の安定化を促進するその能力とは別個に、プログラム化された−1リボソームフレームシフトを高める。種々のupf欠損株におけるPGK1−LacZの−1レポーターmRNAの豊富さはRNアーゼの保護分析によって決定された。U3snRNAの豊富さはローディングのための内部コントロールとして使用した。野性株のレポーター転写物の豊富さを任意に1.0として用いた。【図10】 upf3Δ株をM1キラーウイルスを維持することができない。(A)upf変異株のキラーアッセイ。これらの株のコロニーを、M1ウイルスによって産生される分泌キラートキシンに感受性を有する細胞床の上で増殖させた。キラー活性はコロニー周囲の増殖抑制ゾーンとして観察された。(B)全RNAを同じ株から単離し、L−AおよびM1ウイルスRNAの存在についてノザンブロッティングによって分析した。【図11】 同質遺伝系統の野性型およびupf3Δ株で、1mgのパロマイシンを含むディスクを細胞床の上に静置し、ディスク周囲の増殖抑制ゾーンを測定することによってパロマイシン感受性をモニターした。 単離された多タンパク質複合体であって、 ヒトUpf1pタンパク質、 ペプチジル真核性終結因子1(eRF1)、及び、 ペプチジル真核性終結因子3(eRF3)を含み、該複合体が翻訳中のペプチジルトランスフェラーゼ活性の調節に有効であることを特徴とする複合体。 翻訳中のペプチジルトランスフェラーゼ活性を調節する方法であって、インビトロで、細胞と、翻訳終結を促進するのに有効な量の請求項1記載の複合体とを接触させて、ペプチジルトランスフェラーゼ活性を調節する工程、を含むことを特徴とする方法。 翻訳終結の増強に関連する薬剤をスクリーニングする方法であって、 a)薬剤及び請求項1記載の複合体をインキュベートする工程、及び、 b)ナンセンス抑制に対する影響を測定して、翻訳終結の増強に関連する薬剤をスクリーニングする工程、を含むことを特徴とする方法。 前記アッセイがRNA結合性アッセイ又はATPアーゼアッセイである、請求項3記載の方法。 mRNAの翻訳終結及び/又は細胞内の異常な転写産物の分解の効率をインビトロで調節する方法であって、 a)請求項1記載の複合体をコードする核酸を含むベクターを含む細胞を提供する工程、及び、 b)該細胞中で、前記核酸を過剰発現させて過剰発現した複合体を生成し、mRNAの翻訳終結及び/又は細胞内の異常な転写産物の分解の効率を調節する工程、を含むことを特徴とする方法。 疾患に関連するナンセンス変異又はフレームシフト変異を検出する方法であって、 (a)前記疾患を有すると疑われる患者から得たサンプル又は細胞を、複合体−特異抗体又は核酸プローブと接触させ、前記抗体又は核酸プローブの前記疑われるサンプル又は細胞との特異的な結合を検出することにより、前記サンプル又は細胞中の請求項1記載の複合体又は複合体核酸分子のインビトロレベルを測定する工程、及び、 (b)前記疑われるサンプル又は細胞中の請求項1記載の複合体又は前記複合体核酸分子のレベルを、コントロールサンプル又は細胞中におけるレベルと比較する工程、を含むことを特徴とする方法であって、前記ナンセンス変異又はフレームシフト変異が、ヘモグロビン--β遺伝子座;膵のう胞性繊維炎膜貫通コンダクタンス調節因子;筋ジストロフィー、偽肥大性進行型、デュシェーヌ型及びベッカー型;フェニルケトン尿症、インスリン受容体;血友病A、結腸の腺腫様ポリープ症、高コレステロール血症、家族性、神経線維腫症、型I、血友病B、高リポタンパク質血症型I、テイ−サックス病、乳癌型1、副腎性過形成、フォン・ウィルブランド病、ムコ多糖体沈着症型I、白子症I、多のう胞性腎臓病1、オルニチンアミノトランスフェラーゼ欠乏、角化血管腫、広汎性多発性内分泌腺腫瘍形成型1、性決定領域Y、溶質キャリヤーファミリー4陰イオン交換体メンバー1、コラーゲン型Iα-1鎖、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ1、グルコキナーゼ、腫瘍タンパク質p53、プロテオリピドタンパク質、ミエリン、成長ホルモン受容体、黄体形成ホルモン/絨毛性ゴナドトロピン受容体;高密度リポタンパク質のアポリポたんぱくA-I、グルコース-6-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ欠乏アンモニア過剰症、色素性乾皮症I、ペアードボックス異形化遺伝子6、フォンヒッペル−リンダウ症候群、サイクリン依存性キナーゼインヒビター2A、結節硬化症2、チロシン血症、型Iノリエ病、ホスホジエステラーゼ6B、パルミトイル−タンパク質チオエステラーゼ、アポリポたんぱくB、ブルトン型無ガンマグロブリン血症チロシンキナーゼ、副腎形成不全、溶質キャリヤーファミリー5、5,10-@メチレンテトラヒドロフォレート還元酵素、ウィルムス腫瘍、多のう胞性腎臓、転写因子14、肝細胞核因子、ムコ多糖体沈着症型II、プロテインC欠乏、神経繊維腫症型IIのための先天性血栓疾患、副腎白質ジストロフィー、コラーゲン型VIIα-1、コラーゲン、型Xα1、ヘモグロビン--α遺伝子座-2、グリコーゲン貯蔵疾患VII、フラクトース不耐性、乳癌2早期発症;BRCA2、フコシルトランスフェラーゼ2、ヘルマンスキィ−プドラク症候群、チログロブリン、網膜芽細胞腫、ウィスコット−アルドリッチ症候群、ロドプシン、コラーゲン型XVII、コリン作用性受容体、環状ヌクレオチドゲートチャンネル、光受容体、cGMPゲート、コリン作用性受容体ニコチンエプシロンポリペプチド、組換え活性化遺伝子-1、カンポメリック(CAMPOMELIC)形成異常、増大されたIgMによる免疫不全、RETプロトオンコジーン、RETムコ多糖体沈着症型IVA、レプチン受容体、球状赤血球症、遺伝病、アルギニンバソプレシン、膵のう胞性繊維症のためのアポリポたんぱくC-II欠乏型I高リポタンパク質血症、ウィルソン病、レプチン、血管運動神経性水腫、塩化物チャンネル5、生殖器発育不全、ポルフィリア、急性間欠性疾患、ヘモグロビン、ガンマA、クラッベ病、グリコーゲン貯蔵疾患V、異染性白質萎縮、乳児後期の巨大血小板症候群、ビタミンD受容体、サルコグリカン、デルタ、ツイスト、ショウジョウバエ、アルツハイマー病、腎管アシドーシスによる大理石骨病、エナメル質形成不全-1、発育不全型、POUドメイン、クラス1、転写因子1、真性糖尿病、常染色体優性V-キットハーディ−ズッカーマン4ネコ肉腫ウイルス癌遺伝子同族体、ヘモグロビン--デルタ遺伝子座、アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、ホスファターゼ及びテンシン同族体、成長ホルモン1、カテプシンK、ウェルナー症候群、ニーマン−ピック病、成長ホルモン放出ホルモン受容体、セルロプラスミン、コロニー刺激因子3受容体、顆粒細胞、末梢ミエリンタンパク質22、フコース蓄積症、多発性外骨腫症型II、ファンコーニ貧血、相補性グループC、毛細管拡張性運動失調、カドヘリン1、溶質キャリヤーファミリー2、員2、UDPグルクロノシルトランスフェラーゼ1ファミリー、A1、結節硬化症1、ラミニン、ガンマ2、シスタチンB、多のう胞性腎臓疾患2、ミクロソームトリグリセリド移入タンパク質、88KD、変形性形成異常、フラビン含有モノオキシゲナーゼ3、グリコーゲン貯蔵疾患III、POUドメイン、クラス3、転写因子4、シトクロムP450、サブファミリーIID、ポルフィリア、先天性造血性、ATPase、Cu(2+)輸送、αポリペプチド、結腸癌、家族性、無ポリープ症型1、ホスホリラーゼキナーゼ、α1サブユニット(筋肉)、エラスチン、カナバン病切除修復、チャイニーズハムスター中の補体欠損5、ヤーヌスキナーゼ3、ステロイド産生急性調節タンパク質、フコシルトランスフェラーゼ6、緑内障1、開放、外骨腫症、多発性、型1、ミオシリン、顆粒球減少症、乳児遺伝性エリスロポイエチン受容体、運動神経1の生存、末端小粒、音波ヘッジホッグ、ショウジョウバエ、レシチンの同族体;コレステロールアシルトランスフェラーゼ欠乏、後還元分離増大(S.CEREVISIAE)-1、切除修復交差補体げっ歯類修復欠陥、グループ6、カエデシロップ病アポトーシス抗原1、転写因子1、肝臓ユビキチン−タンパク質リガーゼE3A、トランスグルタミナーゼ1、ミオシンVIIA、ギャップ結合タンパク質、β-1、32-KD、転写因子2、肝臓タンパク質4.2、赤血球甲状腺ホルモン刺激ホルモン、β鎖、トリーチャーコリンズ−フランセスチェッチ症候群1、先天性脈絡膜欠如、心内膜繊維弾性症-2、カウデン病、抗ミュラーホルモン、SRY-ボックス10、PTA欠乏チロシナーゼ関連タンパク質1、ホスホリラーゼキナーゼ、βサブユニット、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼ11、ホスホリパーゼA2、グループIIA、チャイニーズハムスター3の切除修復、補体欠陥、副腎形成異常IIコラーゲン、型IV、α-4鎖、グランツマン及びナエゲリレチナール色素上皮特異性タンパク質の血小板無力症、65-KD、ホメオボックスA13、カルパイン、大ポリペプチドL3、キサンチン尿ラミニン、α2、シトクロムP450、サブファミリーXIX、ムコ多糖体沈着症型VI、セロイド脂褐素症、ニューロナル3、ユニベルリヒト及びルンドボルグホスホリラーゼキナーゼの若年性シトルリン血症ミオクローヌス癲癇、睾丸/肝臓、ガンマ2、溶質キャリヤーファミリー3、員1、プテリン-4-α-カルビノールアミンデヒドラターゼ、眼性白子症、型1、妖精症癲癇、良性新生児のヒルシュスプルング病大理石骨病、常染色体劣性RAS p21タンパク質アクチベーター1、ムコ多糖体沈着症型VIIチャディアク−ヒガシ症候群、カリウムチャンネル、内向き矯正サブファミリーJ、員1、プラコフィリン1、血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼイソ型1B、αサブユニット、プレクチン1、短身長、MHCクラスIIトランスアクチベーター、低リン酸塩血症、ビタミンD耐性くる病、リーグ・ビコイド(RIEG BICOID)関連ホメオボックス転写因子1、筋ジストロフィー、肢帯筋、型2E、色素性網膜炎-3、MutS、E.Coli、3の同族体、チロシントランスアミナーゼ欠乏ロウ眼脳腎臓症候群、黄色色素異常腎ノフチシス(XANTHISM NEPHRONOPHTHISIS)、家族性若年性1、ヘテロタキシイ(HETEROTAXY)、内臓、X結合ミラー−ディーカー脳回欠損症候群、プロペルジン欠乏、X結合3-@オキソ酸CoAトランスフェラーゼ、ワーデンブルグ−シャー症候群筋ジストロフィー、肢帯筋、型2、アルポート症候群、常染色体劣性グリコーゲン貯蔵疾患IV真性糖尿病、常染色体優性、型II溶質キャリヤーファミリー2、員1、手足−子宮症候群シスチン症、早期発症又は若年性神経障害型、クリグラー−ナジャー症候群インスリン様成長因子1、ラクテートデヒドロゲナーゼ-A、スチックラー症候群、型II、レーバーIα−ガラクトシダーゼBの先天性黒内症、副腎形成異常Iリー−フラウメニ症候群、溶質キャリヤーファミリー12、員1、クライン−ワーデンブルグ症候群ペルオキシソーム生物発生因子7、修復ボックスホメオチック遺伝子8、網膜分離症、5-ヒドロキシトリプタミン受容体2C、尿酸塩オキシダーゼ、ポイツ−ジェガーズ症候群僧帽弁脱出症、家族性、メラノーマ、悪性皮膚、2、フコシルトランスフェラーゼ1、ピクノジソストシス(PYCNODYSOSTOSIS)、ムコ多糖体沈着症型IIIB P-糖タンパク質-3、重度の合併免疫不全、B細胞陰性色素性網膜炎、リボソームタンパク質S6キナーゼ、90KD、ポリペプチド3、症候群症候群、デカペンタプレギック(DECAPENTAPLEGIC)ショウジョウバエ、補体4の同族体に対する因子欠乏X結合型、デヒドロゲナーゼ/デルタ−イソメラーゼ、型I、あぶみ骨固定AQP1 1と伝導性、進行性、進行性家族性肝臓内、型IIIモノホスフェートデアミナーゼ-1、ホメオボックス転写因子1から選択される遺伝子中にある方法。 翻訳中のペプチジルトランスフェラーゼ活性の増大に関連する薬剤をスクリーニングする方法であって、 a)請求項1記載の複合体を含む細胞と候補薬剤とを接触させる工程、及び、 b)請求項1記載の複合体の活性についてアッセイする工程、を含み、前記薬剤がペプチジルトランスフェラーゼ活性の増大に関連していることを特徴とする方法。 翻訳中のペプチジルトランスフェラーゼ活性の減少に関連する薬剤をスクリーニングする方法であって、 a)請求項1記載の複合体を含む細胞と候補薬剤とを接触させる工程、及び、 b)請求項1記載の複合体の活性についてアッセイする工程、を含み、前記薬剤がペプチジルトランスフェラーゼ活性の減少に関連していることを特徴とする方法。 翻訳終結の増強に関連する薬剤をスクリーニングする方法であって、 a)請求項1記載の複合体を含む細胞と候補薬剤とを接触させる工程、及び、 b)請求項1記載の複合体の活性についてアッセイする工程、を含み、前記薬剤がペプチジルトランスフェラーゼ活性の増大に関連していることを特徴とする方法。 翻訳終結の減少に関連する薬剤をスクリーニングする方法であって、 a)請求項1記載の複合体を含む細胞と候補薬剤とを接触させる工程、及び、 b)請求項1記載の複合体の活性についてアッセイする工程、を含み、前記薬剤がペプチジルトランスフェラーゼ活性の減少に関連していることを特徴とする方法。 翻訳終結の減少に関連する薬剤をスクリーニングする方法であって、 a)薬剤及び請求項1記載の複合体をインキュベートする工程、及び、 b)ナンセンス抑制に対する影響を測定して、翻訳終結の減少に関連する薬剤をスクリーニングする工程、を含むことを特徴とする方法。 翻訳終結の増大に関連する薬剤をスクリーニングする方法であって、 a)薬剤及び請求項1記載の複合体をインキュベートする工程、及び、 b)フレームシフト効力に対する影響を測定して、翻訳終結の増大に関連する薬剤をスクリーニングする工程、を含むことを特徴とする方法。 翻訳終結の減少に関連する薬剤をスクリーニングする方法であって、 a)薬剤及び請求項1記載の複合体をインキュベートする工程、及び、 b)フレームシフト効力に対する影響を測定して、翻訳終結の減少に関連する薬剤をスクリーニングする工程、を含むことを特徴とする方法。 請求項1記載の複合体に関連する疾患が、β−サラセミア、β−グロビン、膵のう胞性繊維炎膜貫通コンダクタンス調節因子、筋ジストロフィー、デュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィー、A型血友病、B型血友病、フォンウィルブランド病、ムコ多糖体沈着症型I、骨形成不全症、乳ガン、卵巣ガン、ウィルムス腫瘍、ヒルシュスプルング病、嚢胞性線維症、腎臓結石、家族性高コレスレロール血症、網膜色素変性症、神経線維腫症、網膜芽細胞腫、毛細管拡張性運動失調又はコストマン病から選択される、請求項6記載の方法。


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