生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_腋臭防止剤
出願番号:2000106454
年次:2008
IPC分類:A61K 8/97,A61Q 15/00,A61K 36/00,A61P 43/00


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与茂田 敏 高橋 隆二 早瀬 基 JP 4056677 特許公報(B2) 20071221 2000106454 20000407 腋臭防止剤 クラシエ製薬株式会社 306018343 与茂田 敏 高橋 隆二 早瀬 基 20080305 A61K 8/97 20060101AFI20080214BHJP A61Q 15/00 20060101ALI20080214BHJP A61K 36/00 20060101ALN20080214BHJP A61P 43/00 20060101ALN20080214BHJP JPA61K8/97A61Q15/00A61K35/78 AA61P43/00 111 A61K 8/97 A61Q 15/00 A61K 36/00 A61P 43/00 CA/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDream2) 特開平01−311013(JP,A) 特開平10−072329(JP,A) 特開平08−026956(JP,A) 特開昭64−016713(JP,A) 特開2000−154129(JP,A) 特開2000−256156(JP,A) 特開2001−302482(JP,A) 1 2001288063 20011016 14 20060217 天野 貴子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリホスファターゼ阻害剤およびそれに基づく腋臭防止剤に関する。さらに詳しくは、アルテア、セージ、ローマカミツレ、オウゴン及びセイヨウマツの群から選ばれる1または2以上の植物抽出エキスを含有するアルカリホスファターゼ阻害剤およびそれに基づく腋臭防止剤に関する。【0002】【従来の技術】腋臭は、腋窩に密に存在するアポクリン汗腺から分泌されるミルク様の分泌物の中に含まれる脂質が、皮膚常在菌により分解されて脂肪酸になった結果生じる臭気である。【0003】アポクリン汗腺の分泌機構や分泌調整の機序は不明な点が多いが、分泌様式は乳腺と同様に離出分泌であること、またアポクリン汗腺の筋上皮細胞と分泌細胞が接する部位においては、それらの細胞膜にアルカリフォスファターゼ(Alkaline Phosphatase、以下ALPと略記する)が認められていることが知られている(K.Saga ら、J.Histochem.Cytochem.、43(9)、927(1995))。【0004】さらに細胞膜のALPは、膜タンパク質であること(N.Takamiら、Biol.Chem.、267、1042(1992))から、アポクリン汗腺からの分泌と密接に関与していると考えられる。また、アポクリン汗腺におけるALPの分布は、乳腺組織における分布に似ていることも知られている。【0005】アポクリン汗腺や乳腺からの分泌物は粘稠であるため、ALPは筋上皮細胞の収縮に関与していると考えられる。このことは、存在部位が主として細胞膜、特に小腸上皮の絨毛、腎細尿管上皮の刷子縁あるいは各臓器の毛細血管壁などのように、物質の吸収、透過の旺盛な部位に強い活性を示すことから、細胞膜のATPaseと同様に、膜の能動輸送に関与していることは確かであると考えられている。また、代謝が異常に旺盛な部分ではALPの活性も増強し、時には異常代謝に際して出現することも知られている(酵素組織化学、朝倉書店(1967))。【0006】ALPは、アルカリ領域のpHにおいて、有機あるいは無機のリン酸エステルを加水分解する酵素の総称であり、動植物組織に広範囲に存在する。【0007】ヒトの場合、各臓器に存在するALPはそれぞれ特徴があり、臓器特有のアイソザイムが存在し、肝性ALP(肝/骨/腎性ALP、L/B/K ALPともいう)、胎盤性ALP及び小腸性ALPの3群に分別される。そのうち、アポクリン汗腺のALPは、肝性ALPの特異的阻害剤であるレバミゾールで強く阻害されることから、肝性ALPに属すると考えられている(前記K.Sagaら)。【0008】肝性ALPは,ホモアルギニンによっては強く阻害される一方、フェニルアラニンによる阻害は軽度であるのに対して、胎盤性や小腸性のALPは、ホモアルギニンによる阻害は軽度である一方、フェニルアラニンによっては強く阻害されることが知られており(H.Harrisら、Clinica ChemicaActa、186、133(1989))、このことは乳腺のALPに類似していることが知られている(CT.Leung、J.Dairy Sci.、72、2495(1989))。【0009】上記事項から、ALPが腋臭に関与すると考えられる離出分泌に関与している可能性が高いと考えられる。このことから、ALPを阻害することにより、腋臭を効果的に防止できると考えられる。【0010】ALP阻害活性を有する生薬としては、既に、オウレン、オウバク(Nat.Med.、48、165(1994)、ボウイ、キョウニン、商陸、ヨクイニン及びカンショウ(東北薬科大学研究年報、41、149(1994))などが知られているが、これらはいずれも内服医薬品原料としての生薬の品質評価法に関するものであり、腋臭防止剤として使用可能な植物抽出エキスについては何ら知られていない。【0011】また従来、腋臭防止剤として、分泌物の分泌抑制の目的としてクロロヒドロキシアルミニウムや酸化亜鉛のようなアルミニウムや亜鉛化合物が、また皮膚常在菌を殺菌する目的で殺菌剤が使用されてきたが、これら腋臭防止剤はいずれも満足され得るものではない。【0012】本発明に使用するアルテア、セージ、ローマカミツレ、オウゴン及びセイヨウアカマツの群から選ばれる1または2以上の植物抽出エキスが、ALP阻害活性作用を有すること、またALP阻害活性作用が腋臭防止効果につながることについては何ら知られていない。【0013】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、植物を原料とするALP阻害剤を提供し、さらにこのALP阻害剤を用いた腋臭防止剤を提供することにある。【0014】【課題を解決するための手段】本発明者らは、腋臭防止剤について種々検討した結果、セイヨウアカマツの植物抽出エキスを有効成分とする腋臭防止剤を見出し、本発明を完成した。【0015】【発明の実施の形態】本発明に用いられるアルテア抽出エキスは、ビロウドアオイ(ウスベニタチアオイ、Altheae officinalis)の根又は根及び葉から抽出されたエキスを意味する。【0016】セージ抽出エキスは、セージ(サルビア、Salvia officinalis)の花,葉又は全草から抽出されたエキスを意味する。【0017】ローマカミツレエキスは、ローマカミツレ(Anthemis nobilis)の頭花から抽出されたエキスを意味する。【0018】オウゴンエキスは、コガネバナ(Scutellia baicalensis)の根から抽出されたエキスを意味する。【0019】マツエキスは、セイヨウアカマツ(Pinus sylvestris)の球果から抽出されたエキスを意味する。【0020】上記抽出エキスは、通常、原料生薬を極性または非極性溶媒の抽出溶媒を用いて常法によって抽出して得られる抽出液、濃縮液、希釈液及び乾燥物を意味する。【0021】抽出方法としては、加熱抽出(煎出)、加温抽出(温浸)、低温抽出(冷浸)が挙げられる。【0022】抽出溶媒としては、水のほかにエタノール、1,3−ブチレングリコール、酢酸エチル、へキサン、エーテル、アセトン、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等の有機溶媒が挙げられ、それらを単独で用いるか、または2種以上を適宜混合して使用することができる。【0023】本発明の腋臭防止剤は、外用剤として用いることができ、通常、外用剤に使用される医薬品、医薬部外品または化粧品の製造に用いられる乳化剤(例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル等の界面活性剤)、乳化安定剤(例えばアルギン酸プロピレングリコール、カルボキシビニルポリマー等)、湿潤剤(例えばグリセリン、プロピレングリコール等)、防腐剤(例えばパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等)あるいはその他の添加剤を加え、要すればその他の生薬エキス、殺菌剤、収斂剤等を加えて、常法により容易に各種軟膏、ローション、W/O型クリーム、O/W型クリーム、液剤、スティック剤、外用スプレー剤の外用製剤とすることができる。【0024】【発明の効果】本発明の本発明の腋臭防止剤は、ALP阻害作用に基づき、腋臭を効果的に防止し、安全に使用することができる。【0025】以下、本発明の効果を試験例を挙げて説明する。【0026】ALPが腋臭に関与すると考えられる離出分泌に関与している可能性が高いと考えられることから、ALPを阻害活性を腋臭防止剤の評価の指標として検討した。【0027】なお、前記のようにリン汗腺ALPは肝性ALPであるので、阻害活性の評価に当たっては、阻害様式が肝性ALP様式の酵素源を使用する必要があり、種々ALP阻害剤に対する阻害挙動を検討した結果、ラビット血清を用いることとした。【0028】[試験例1](ALP阻害生薬のラビット血清ALPに対して作用する阻害活性)(1)試験方法植物抽出エキスとして、乾燥エキス粉末はアルカリホスファターゼ(ALP)活性測定時にブランク溶液の吸光度が1を越えない濃度となるように2〜10mg/mLの水溶液を調製し試料溶液とした。【0029】50%エタノール抽出液は、活性測定時に試料添加後に窒素気流中で溶媒を留去し、同量の水を加えて試料溶液とした。【0030】50%1,3−ブチレングリコール抽出液は抽出液をそのまま試料溶液として用いた。【0031】ALPとしては、Rabbit serum(GibcoBRL)を用いた。【0032】ラビット血清ALPに対する阻害作用を試料濃度及び血清添加量ともに2つの濃度で試験を行った。ALP阻害活性は、Bessey−Lowry法を基にしたアルカリ性ホスファBテストワコー(和光純薬製)を用い、試料溶液100μL(或いは200μL)に基質緩衝液(p−ニトロフェニルリン酸)0.8mLを加え、37#Cで5分間予備加温後に酵素(血清)100μLまたは200μLを加えた後、37#Cで正確に15分間反応させた。0.02N水酸化ナトリウム溶液5.0mLを加えて反応を停止させた後、405nmの吸光度を測定して、評価した。【0033】また、試料ブランクは、0.02N水酸化ナトリウム溶液添加後に酵素を添加したものとした。【0034】さらに、試料溶液の代わりに水を加えて同様に操作したものを対照試料とし、このとき酵素を0.02N水酸化ナトリウム溶液添加後に加えたものを対照ブランクとした。【0035】ALP阻害率(%)は、試料反応溶液の吸光度−試料ブランクの吸光度をAT、対照反応溶液の吸光度−対照ブランクの吸光度をASとしたとき、(AS−AT)/AS×100で求めた。【0036】【表1】【0037】結果を表1に示す。【0038】 表1から明らかなように、アルテア、セージ、ローマカミツレ、オウゴン及びセイヨウアカマツに強いALP阻害活性が認められた。【0039】[試験例2](腋臭防止試験)(1)試験方法腋臭のする被験者6名を2群に分け、それぞれの群に対して、右腋に実施例1または実施例2のサンプルを、左腋には両群ともに比較例1のサンプルを1週間連続で朝夕に約0.5gずつ塗布し、1週間後にそれぞれの腋臭を評価した。評価方法は、両腋の臭いを比較して、「著効」、「効果あり」、「やや効果あり」、「効果なし」の4段階に分けて行った。【0040】(2)試験結果実施例1のサンプルを使用した被験者3名はいずれも実施例を使用した右腋が比較例を使用した左腋より腋臭を防止したと回答した。その内訳は「効果あり」と回答した者が2名で、「やや効果あり」と回答した者が1名であった。【0041】一方、実施例2のサンプルを使用した被験者3名もいずれも右腋の方が、左腋より腋臭を防止したとの回答した。そのいずれもが「効果あり」との回答であった。【0042】以上のことから、本発明の有効成分として使用するアルテア、セージ抽出エキスは、腋臭を防止する効果が認められた。【0043】【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。【0044】(製造方法)ヒドロキシプロピルセルロース、カルボシキビニルポリマー及びポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールを精製水に溶解後、0.1mol/L水酸化ナトリウムを加えた後、エタノール及びセージエキスを加えて混合し、実施例1のローション剤を得た。【0045】【0046】(製造方法)ヒドロキシプロピルセルロース、カルボシキビニルポリマー及びポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールを精製水に溶解後、0.1mol/L水酸化ナトリウムを加えた後、エタノール及びアルテアエキスを加えて混合し、実施例2のローション剤を得た。【0047】【0048】(製造方法)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油以下ジプロピレングリコールまでの各成分を加温溶解し、油相を調製した。別に、カルボキシビニルポリマー以下キサンタンガムまでの各成分を精製水の適量に加温溶解し、水相を調製した。上記油相に、水相を加えてホモミキサーにて激しく攪拌して乳化した。更に攪拌しながら 50〜60#C付近まで冷却させた後、アルテアエキス及びセージエキスを加え、更に室温まで冷却して、実施例3のクリーム剤を得た。【0049】【0050】(製造方法)POEセチル共変成ジメチルポリシロキサン以下パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルまでの各成分を加温溶解し、油相を調製した。別に、塩化セチルピリジニウム以下塩化ナトリウムまでの各成分を精製水の適量に加温溶解し、水相を調製した。上記油相に、水相を加えてホモミキサーにて激しく攪拌して乳化した。更に攪拌しながら 50〜60#C付近まで冷却させた後、ローマカミツレ抽出エキス 及びマツ抽出エキスを加え、更に室温まで冷却して、実施例4の親油クリーム剤を得た。【0051】【0052】(製造方法)オウゴン抽出エキス以下フェノキシエタノールまでの各成分をエタノールに溶解し、アルコール相を調製した。別に、エチルグルコース以下リン酸水素二ナトリウムまでの各成分を精製水に溶解し、水相を調製した。この水相に、上記アルコール相を加えた後、ろ過し、実施例5のデオドラント化粧水を得た。【0053】【0054】(製造方法)オウゴン抽出エキス以下ミリスチン酸イソプロピルまでの各成分を無水エタノールに溶解し、ろ過した。エアゾール容器に原液を注入しバルブを装着後、LPGを充てんし、実施例6のデオドラントスプレーを得た。【0055】【0056】(製造方法)ワセリン以下流動パラフィンまでの各成分を加熱溶解し、亜鉛華を加えてホモミキサーで均一に分散させた後、アルテア抽出エキスを加え更に攪拌し、型に流し込み急冷し、実施例7のデオドラントスティックを得た。【0057】【0058】(製造方法)タルク及び着色顔料をブレンダーで混合後、塩化セチルピリジニウム以下セリサイトまでの各成分を添加し均一に混合した。これを粉砕機で粉砕した後、ふるいを通し、調製粉末を得た。【0059】次にカルボキシビニルポリマーに精製水を加えた液にオウゴン抽出エキス及びマツ抽出エキスを添加し、上記調製粉末を分散させ、それをコーターで紙に均一に塗布した後、乾燥させ、裁断し携帯ケースにセットし、実施例8のシートを得た。【0060】【0061】(製造方法)タルク、カオリン及び亜鉛華をブレンダーで混合後、ローマカミツレ抽出エキス及び臭化セチルトリメチルアンモニウム末を分散した流動パラフィンを均一に噴霧し、粉砕後圧縮成型し、実施例8のデオドラントパウダーを得た。【0062】【0063】(製造方法)セージ抽出エキス以下ホホバ油までの各成分に水を適量加え、ブレンダーで均一に練合し、押し出し造粒を行い、乾燥、篩過して実施例9の入浴剤を得た。【0064】比較例1セージエキスをエタノールに代えた以外は実施例1と同様に調製した。【0065】比較例2アルテアエキスをエタノールに代えた以外は実施例2と同様に調製した。 セイヨウアカマツの植物抽出エキスを有効成分とする腋臭防止剤。


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