生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ビルハルツ住血吸虫症(ビルハルチア症)治療薬及びその製造方法
出願番号:1997148375
年次:2006
IPC分類:A61K 36/18,A61K 9/48,A61P 33/12


特許情報キャッシュ

アーメド モハメド アリ マソウド JP 3819535 特許公報(B2) 20060623 1997148375 19970502 ビルハルツ住血吸虫症(ビルハルチア症)治療薬及びその製造方法 ファルコ ファーマシューティカルス 502138854 特許業務法人ウィンテック 110000187 鈴木 守三郎 100061583 小田 富士雄 100093470 アーメド モハメド アリ マソウド 20060913 A61K 36/18 20060101AFI20060824BHJP A61K 9/48 20060101ALI20060824BHJP A61P 33/12 20060101ALI20060824BHJP JPA61K35/78 CA61K9/48A61P33/12 A61K 36/32 A61K 9/48 BIOSIS(STN) CA(STN) MEDLINE(STN) 特開平5−178755(JP,A) QURESHI S.,Evaluation of the genotoxic, cytotoxic, and antitumor properties of Commiphora molmol,Cancer Chemother Pharmacol,1993年,VOL. 33,NO. 2,PAGE.130-138 TARIQ M,Anti-inflammatory activity of Commiphora molmol,Agents Actions,1986年,VOL.17,NO. 3/4,PAGE. 381-382 6 1998298097 19981110 15 20020214 鶴見 秀紀 【発明の属する技術分野】【0001】 この発明は、ビルハルツ住血吸虫症(ビルハルチア症)治療薬及びその製造方法に関する。【従来の技術】【0002】 ビルハルチア症は、この疾患を抑制する非常な努力にも拘らず、概して、特定の区域で発生率増加の傾向にある。衛生教育、衛生設備そして巻貝の管理を用いた多岐にわたる抑制の方法が用いられてきているが、この疾患の媒介の阻止/予防に、化学療法および化学的予防法は最も重要で究極的な役割を演じている。【発明が解決しようとする課題】【0003】 プラチクアンテルは、現在、どのような種類のビルハルチア症の治療にも選ばれる薬剤である。唯一の不利な条件は費用であり、多くの開発途上国における使用を制限している。集団の化学療法のために有効で安全な薬剤が開発されつつあるが、ある開発途上国から、治療上の失敗および薬剤抵抗性の問題が報告されている。これらの状況の下で、代わりになる薬剤が求められている(Shekhar,1991)。ビルハルチア症の終局の抑制における決定的な目標は、集団治療において治癒が明確で有効であることが究極的に証明され、耐性が十分で毒性のない薬剤を得ることにある。【0004】【非特許文献1】【課題を解決するための手段】【0005】 本発明は、抗住血吸虫剤としてのミルラおよびその誘導体の使用に関する。ミルラは、北東アフリカおよびアラビアに自生するCommiphora molmol(カンラン科)の樹幹から得られるオレオ−ゴム−樹脂である。この生薬は、主としてソマリ(Somali)島で集められた。「ミルラ」の名称は、多分、アラビア語およびヘブライ語のムール(mur)に由来しており、「にがい」を意味する。多量の分泌物は、樹皮で普通に形成される裂け目や割れ目から自然に起こる滲出作用によって得られ、あるものは、ソマリ人によって作られた切り口から得られる。黄白色の粘性の液体は、高温で速やかに赤褐色の塊りに固化する。ミルラは7−17%の揮発性油、25−40%の樹脂、51−61%のゴム質そして約3−4%の不純物を含んでいる。【0006】 上記植物の混合抽出物は、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)の治療において有用な治療薬であることが知られている(Al−Awadi et al.,1991)。また、Commiphora molmol(ミルラ)は、標準的な細胞障害性の薬剤シクロホスファミドの効力に匹敵することが判った(Qureshi et al.,1993)。Commiphora molmol(ミルラ)(250および500mg/kg/日)は、エールリッヒ固形癌細胞に細胞障害性であることが判った。このC.molmolの抗腫瘍活性は、標準的な細胞障害性薬剤であるシクロホスファミドに匹敵するものであった。本研究は、C.molmolの細胞障害性および抗発癌性の活性を確証した(Al−Harbi et al.,1994)。【0007】 t−カジノール:香気を発するミルラのセスキテルペン活性成分は、摘出したモルモット回腸に対して、濃度依存性で平滑筋弛緩作用を有することが示された(Claeson et al.,1991)。樹脂(ミルラ)は、ソマリア人によって胃病および下痢の治療に広く使用されている(Zygmunt and Claeson,1991)。セスキテルペンのt−カジノールは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)における細菌の溶菌そして細胞内成分の次の致死的喪失を起こした(Claeson et al.,1992)。【0008】 ミルラ、天然ゴム樹脂は、貼付テストによって外傷性傷害に由来する疼痛および腫張を軽減するのに用いられた(Lee and Lam,1993)。コレステロールおよびトリグリセリド類の低下において、ミルラに新しい薬理学の応用が見いだされた。ミルラのチンキ剤は、アフタ性潰瘍(口内炎潰瘍)の治療に用いられる(Pesko,1990)。ミルラは、食品の試料に関して食品医薬品局(FDA)で承認されており(21CFR 172,510)、FEMAによって香料成分(No.2765)として一般に安全と認められる(GRAS)基準が与えられた。ヨーロッパ会議(Council of Europe,1981)は、植物およびその部分のリストにミルラを収載し、食品中の用途が許容されている(Food Chem.Technol.,1992)。【発明の実施の形態】【0009】 化学 主たる未加工の植物成分: 1.揮発性油は、ヒーラボレン、カジネン、エレモール、オイゲノール、クミンアルデヒド、フラノジエン、フラノジエノン、クルゼレノン、リンデストレン、2−メトキシフラノジエンおよびその他の誘導体を含む多数のフラノセスキテルペン類を含む。 2.樹脂は、α−,β−およびγ−コミホール酸、コミホリン酸、ヒーラボレセン、α−およびβ−ヒーラボミロールおよびコミフェリンを含む。 3.ゴムは、アラビノース、ガラクトース、キシロース、および4−O−メチルグルクロン酸を含む。【0010】 製造法1.揮発性油 a.水蒸気蒸留:植物を粉末とし、直ちに水層で覆い、パイプによって水蒸気を通じた。揮発性油は凝縮装置内に凝縮され、油層は水層から分離される。 b.石油エーテル抽出:ミルラ粉末1kgを3リットルの石油エーテルで3回、毎回1リットルで抽出される。石油エーテルを濃縮して油状の画分が得られる。【0011】2.樹脂 a.アルコール抽出:揮発性油成分を分離した後、粉末の植物はエタノールで抽出される。アルコール抽出液を濃縮し、沈殿した樹脂を集め、洗浄して乾燥する。 b.石油エーテル抽出:石油エーテルで抽出後、粉末の植物はメタノールで3回、毎回200mlで抽出される。メタノールを濃縮して樹脂画分が得られる。【0012】 実験の部 材料と方法: 発明者らの研究において、ハムスターの5群(各群30頭)を、S.mansoniのエジプト株の120±10セルカリアで実験的に感染させた。この試験に用いた動物の体重は、80ないし120gmの範囲であり、年令は8ないし10週令の範囲であった。第一群は、未加工植物の乳濁液「ミルラ」180mg/kgで処置された。第二群は、植物から分離した樹脂活性成分60mg/kgで処置された。第三群は、植物から分離した揮発性油活性成分30mg/kgで処置された。第四群は、樹脂および揮発性油(それぞれ、60mg/kgおよび30mg/kg)の配合剤で処置された。すべての群における処置は、感染の8週後に開始した。第五群は、感染させた非処置の対照群として使用した。全部の処置群において、均等に3分割した1日当りの経口用量に蒸留水を加えた乳濁液の形で、薬剤試料は投与された。非感染の正常ハムスターの別の5群(各群30頭)を試験した:4群は感染させた群と同様な投薬規制で処置し、5番目の群は、正常な非感染非処置対照群として使用した。【0013】 処置終了の1週間後、2週間後そして4週間後に、一夜絶食させた後、斬首によってハムスターを屠殺した(各群において各時点に10頭)。採血し、酵素:アルカリ性ホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT(GPT)]およびアスパラギン酸アミドトランスフェラーゼ[AST(GOT)]を評価するために、血清を遠心分離した。【0014】 薬剤の治療上の有効性を、寄生虫学的に試験した: 1.蠕虫量:斬首の直後、感染させた動物からの蠕虫は、灌流によって門脈および腸間膜の静脈ならびに肝臓から集めて計数した(Pellegrino and Siqueira,1965)。 2.オーグラム検査:感染させた動物の腸フラグメントからのプレス標本の顕微鏡検査を含む(Pellegrino and Faria,1965)。全腸壁(小腸)の3フラグメントを、各々1cmを測定して切り離した。各フラグメント当り100個の卵を計数し、発育の異なる4期に分類した(Pellegrino et al.,1962)。【0015】 最初の期の卵は、卵の直径の三分の一を占める小さな胚を有している。2期の胚は、交軸直径の半分よりも僅かに大きい。3期の卵は、大きさが卵の直径の三分の二に相当する胚を示す。4期の卵は、卵殻全体を占める胚を示す。成熟卵は、ミラシディウム生命力の徴候を有する十分に発育したミラシディウムを含んでいる(焔細胞活動および繊毛打)。死滅卵は、半透明の粒状で、収縮した胚と共に黒ずんでいた。3フラグメントにおける卵の各発育段階の平均百分率は、300個の卵に関して算出された。何れかの住血吸虫殺虫剤の用量は、オーグラムが50%以上の成熟卵を示し、1期以上の未熟卵が存在しない場合に、S.mansoni寄生虫に対して有効であると考えられる(Pellegrino et al.,1962)、これらの著者は、活性な住血吸虫殺虫剤は、不定の期間後の生育可能な卵に関して、成熟卵の百分率において100%まで増加し得ると記述している。【0016】 3.肝臓および腸における卵数:均質な乳濁液の卵は、スライドに広げた後に計数し、組織1グラム当りの卵数を計測した(Pellegrino and Faria,1965)。【0017】 結果 この薬剤は、配合処置を受けた群において処置の2週間後に100%に達する蠕虫量における顕著な減少を起こした(表1および図1)。さらに、この薬剤は、配合処置および植物生薬の投与を受けた群において、より多くの抗住血吸虫活性を有して、オーグラムの有効な変化を起こした(表2)。配合処置および植物生薬の投与を受けた群において比較的顕著な肝臓および腸における卵数の有意な減少があり、最高の減少は1ヵ月後に達成された(表3および図2、3)。評価された血清酵素は、植物生薬の投与を受けた群(感染させた処置群および非感染の正常な処置群)においてのみに1週間後に認められた一時的の上昇を示し、レベルは1週間後には正常になった(表4および図4,5,6)。他方、樹脂、揮発性油そして配合処置は、実験期間を通じて、正常な非感染群の全部において酵素レベルに如何なる有意な変化も起こさなかった(表5および図7,8,9)。【0018】【発明の効果】 結論 上記の結果から、以下の理由で、配合治療は最善の住血吸虫殺虫剤であると結論する: 1.配合処置は、血清酵素レベルにおける初期上昇を起こさなかった、 2.配合処置は、蠕虫量における100%減少を起こすのに短時間(2週間)であった、 3.配合処置は、肝臓および腸における卵の数に比較的顕著な減少を起こした。【0019】【表1】【0020】【表2】【0021】【表3】【0022】【表4】【0023】【表5】【図面の簡単な説明】【図1】蠕虫減少。【図2】処置四週間後の肝1グラム当りの卵の数。【図3】処置四週間後の腸1グラム当りの卵の数。【図4】感染群におけるアルカリ性ホスファターゼに及ぼす薬剤の効果。【図5】感染群におけるAST(SGOT)に及ぼす薬剤の効果。【図6】感染群におけるALT(SGPT)に及ぼす薬剤の効果。【図7】正常群におけるアルカリ性ホスファターゼに及ぼす薬剤の効果。【図8】正常群におけるAST(SGOT)に及ぼす薬剤の効果。【図9】正常群におけるALT(SGPT)に及ぼす薬剤の効果。 所定量の不活性な基剤とともにCommiphora molmol(カンラン科)から抽出された樹脂及び揮発性油分を含むビルハルツ住血吸虫症(ビルハルチア症)治療薬。 Commiphora molmol(カンラン科)から樹脂及び揮発性油分を抽出し、不活性基材と混合して軟質ゼラチンカプセル内に封入することを特徴とするビルハルツ住血吸虫症(ビルハルチア症)治療薬の製造方法。 前記揮発性油分を、 1.粉末にしたCommiphora molmol(カンラン科)を水層で被覆する工程、 2.この混合物にパイプによって水蒸気を吹き込む工程、 3.凝縮室に揮発性油を凝縮する工程、 4.水層から油層を分離する工程、を経て得ることを特徴とする請求項2に記載のビルハルツ住血吸虫症(ビルハルチア症)治療薬の製造方法。 前記揮発性油分を、 1.粉末にしたCommiphora molmol(カンラン科)を石油エーテルで抽出する工程、 2.前記石油エーテル抽出液を濃縮して油画分を生成する工程、を経て得ることを特徴とする請求項2に記載のビルハルツ住血吸虫症(ビルハルチア症)治療薬の製造方法。 前記樹脂分を、 a.粉末にしたCommiphora molmol(カンラン科)をアルコールで抽出する工程、 b.前記アルコール抽出液を濃縮する工程、 c.前記アルコール抽出液から沈殿した樹脂を集め、洗浄して乾燥する工程、を経て得ることを特徴とする請求項2に記載のビルハルツ住血吸虫症(ビルハルチア症)治療薬の製造方法。 前記樹脂分を、 a.粉末にしたCommiphora molmol(カンラン科)を石油エーテル抽出液で抽出する工程、 b.前記エーテル抽出液をメタノールで抽出する工程、 c.前記メタノール抽出液を濃縮して樹脂画分を生成する工程、を経て得ることを特徴とする請求項2に記載のビルハルツ住血吸虫症(ビルハルチア症)治療薬の製造方法。


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