生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_消臭剤組成物
出願番号:1995212999
年次:2004
IPC分類:7,A61L9/01,A23G3/30,A61K7/28,A61K7/32


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根岸 紀 小澤 哲夫 JP 3562668 特許公報(B2) 20040611 1995212999 19950731 消臭剤組成物 高砂香料工業株式会社 000169466 江幡 敏夫 100100734 根岸 紀 小澤 哲夫 20040908 7 A61L9/01 A23G3/30 A61K7/28 A61K7/32 JP A61L9/01 H A23G3/30 A61K7/28 A61K7/32 A61L9/01 P 特開昭63−309269(JP,A) 特開昭64−5552(JP,A) 1 1997038183 19970210 7 20001006 2003020693 20031024 多喜 鉄雄 岡田 和加子 西村 和美 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は消臭剤組成物に関し、さらに詳しくは口臭、冷蔵庫内の臭い、ペットや家畜に由来する臭い、工場内の臭い、あるいは工場廃液中の悪臭など、人にとって悪臭と感じられる環境の臭いを消去する為に使用する消臭剤組成物に関する。【0002】【従来の技術】例えば、冷蔵庫内などの臭い、口臭、家畜の臭いなど、私たちの周りにはいろいろな臭いが存在し、その臭いが人に不快感を与えるため、その臭いを消去する工夫がいろいろとなされており、その消臭方法の一つとして、悪臭をもたらす原因である物質を吸着除去する方法が知られている。このような消臭用物質として、例えば、活性炭、カテキンを含有するお茶が知られている。【0003】しかし、活性炭は微量な物質を十分に除去することができないうえに、食品など人の口内にふくませるものには使用できず、さらに多量の物質を吸着した後の活性炭を廃棄すると地球環境の悪化を招く原因となるという、不都合さがある。その点、カテキン等の天然に存在する物質は地球環境に優しく、チューインガムなどに配合し、口臭を除去することが可能であるが、消臭効果の点では十分ではないという欠点がある。【0004】【発明が解決しようとする課題】そこで、消臭効果に優れ、地球環境に優しい消臭剤組成物を開発することが本発明の課題である。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者らは、カテキン類等のフェノール性化合物が消臭効果を有する点に着目し、鋭意研究した結果、これらの化合物にポリフェノールオキシダーゼを共存させると、消臭効果が驚くほど向上するという知見を得、遂に本発明に到達したものである。【0006】即ち、フェノール性化合物の消臭作用は、それらの化合物がその環境中の酸素又は酸化酵素によって酸化されて反応性の高いキノン構造になり、それらがさらに悪臭物質と反応して消臭効果を奏するものと推定されるが、本発明においては、ポリフェノールオキシダーゼを積極的に共存させることにより、この自動酸化を促進させ、短時間で、しかも高い消臭率で悪臭を消去できると推定される。【0007】以下、本発明を詳しく説明する。本発明は、水酸基が酸化されてケトンとなる構造を持つ芳香環に直接結合されたフェノール性水酸基を2以上有するフェノール性化合物と、該フェノール性化合物をキノン構造を有する化合物に酸化する酵素を少なくとも含有することを特徴とする消臭剤組成物である。【0008】本発明の消臭剤組成物の一方の成分は、水酸基が酸化されてケトンとなる構造を持つ芳香環に直接結合されたフェノール性水酸基を2以上有するフェノール性化合物(以下、フェノール性化合物と略称することがある)であり、ここでいうフェノール性水酸基とは、ベンゼン等の芳香環に直接結合された水酸基を意味する。芳香環としては、水酸基が酸化されてケトンとなる構造を持つものであれば、どのようなものでもよいのであり、例えば、ベンゼン、ピリジン、チオフェン、ナフタレン、ビフェニル等が挙げられるが、ベンゼンがより好ましい。【0009】フェノール性化合物としては、例えば、カテコール、4−メチルカテコール、5−メチルカテコール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、5−メチル−レゾルシノール、ハイドロキノン等のジフェノール類;4,4'−ビフェニルジオール、3,4'−ビフェニルジオールなどのビフェニルジオール類;(+)カテキン、(−)エピカテキン、(−)エピガロカテキン、エピカテキンガレートなどのカテキン類、ドーパ、ドーパミン、クロロゲン酸、コーヒー酸、パラクマル酸、チロシンなどのカテコール誘導体などを挙げることができる。なかでも、カテコール、カテキン類、及びクロロゲン酸が好ましく、特にカテキン類、クロロゲン酸が好ましい。これらの化合物は、2種類以上共存させてもよい。【0010】本発明の消臭剤組成物のもう一方の成分であるフェノール性化合物を酸化する酵素は、上記フェノール性化合物をキノン構造を有する化合物に酸化する作用を有する酵素、あるいは当該作用と共に、フェノール性水酸基を付加させ、キノンに酸化させる作用を有する酵素を意味する。この作用を有する酵素であれば、どのようなものでもよいが、例えば、ポリフェノールオキシダーゼ、モノフェノールオキシダーゼ、過酸化水素を生成するオキシダーゼ及びパーオキシダーゼを挙げることができる。より具体的には、ラッカーゼ、チロシナーゼ、グルコースオキシダーゼ、パーオキシダーゼを好ましいものとして挙げることができる。これらの酵素も2種類以上共存させてもよい。【0011】また、本発明では、上記作用を有するかぎり、前記酵素を含有する物質又は組成物も本発明のフェノール性化合物を酸化する酵素の範囲内のものである。その例として、前記酵素を含む植物からの抽出物、前記酵素を含む微生物からの抽出物、あるいはそれら抽出物を含む粉末、例えばアセトンパウダーを例示できる。前記酵素を含む植物としては、リンゴ、ナシ、ゴボウなどの果物や野菜が好ましく、同様な微生物としては、マッシュルームやイロガワリなどのハラタケ属やヤマドリタケ属のきのこが好ましい。【0012】これら酵素は市販されたものを使用することができるが、本出願前公知の方法を用いて調製することもできる。【0013】本発明の消臭剤組成物には、前記2成分の他に、担体、安定剤、増量剤など常用の配合剤が添加・配合されていてもよい。【0014】本発明の消臭剤組成物は悪臭物質を除去することができるが、その悪臭物質の例としては、メルカプタン等の含硫黄化合物あるいはインドール、スカトール、アミン類その他の含窒素化合物がある。【0015】【発明の実施の形態】本発明の消臭剤組成物を用いて消臭するには、該組成物を悪臭物質存在下に、接触反応させることにより達成されるが、通常は反応を容易に進行させるために混合することが望ましい。この際、水を共存させると反応が円滑に進行し、有利である。【0016】その際の温度は、酵素反応が進行する範囲内であればどのような温度でもよく、酵素の種類により異なるが、通常、室温で混合すると反応が速やかに進行し、好ましい。また、所要時間は、これまた酵素の種類及び使用量により異なるが、通常数分間から数十時間までで十分である。その他の条件は、前記酵素反応が進行する環境に設定されるものであれが、特に制限されるものではない。【0017】【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。【0018】参考例1フェノール性化合物を酸化する酵素の一調製法として、アセトンパウダーの調製法を以下に示す。植物あるいはきのこ(下記実施例のリンゴやゴボウ等)100gに−20℃のアセトン400mlを入れてミキサーで磨砕した後、吸引濾過した。残渣は5℃の80%アセトン500mlで十分に洗浄し、さらにアセトンを除去後、凍結乾燥して粉末にしてアセトンパウダーを得た。【0019】実施例1〜630mlのバイアル瓶に下記表1記載の市販の酵素製品(SIGMA Chemical Co.製)、水1ml及び悪臭物質であるCH3 SNaの約15%水溶液を2μl入れ、さらに表1記載の市販の基質(フェノール性化合物)2mgの水溶液0.5mlを加え、手で振盪した。表1記載の時間、振盪あるいは放置すると反応液の色が変化した。このバイアル瓶内のガス10mlを検知管〔ガステック(株)〕に通して、ガス内に残存する悪臭物質の濃度を測定した。結果を表1に示す。【0020】【表1】注)酵素の製品番号;*1:T-7755、*2:P-8125、*3:G-6125検知管の数値は検知管内の変色部の目盛り値である。【0021】実施例8〜1430mlのバイアル瓶に上記のようにして調製したアセトンパウダー10mg及び水1mlを入れて懸濁させておき、それにCH3 SNaの約15%水溶液2μlを入れ、さらに表2記載の市販の基質2mgの水溶液0.5mlを加え、手で10分間振盪した。ついで、バイアル瓶内のガス10mlを検知管〔ガステック(株)〕に通して、ガス内に残存する悪臭物質の濃度を測定するとともに、実際に臭いをかいだ。結果を表2に示す。【0022】【表2】【0023】実施例15クロロゲン酸2mgとゴボウのアセトンパウダー10mgとを含むチュウイングガム(A)3gを用意した。一方、比較のためにクロロゲン酸2mgを含むチュウイングガム(B)3gも用意した。すりおろしたニンニク0.5gを被験者(A)の口に5分間含ませ口の中に臭いをつけた後、口を水ですすいだ。上記チュウイングガム(A)を10分間噛んだ後、ポリエステル製の袋に口からの呼気を集め、袋内の臭いを評価した。被験者(B)に対しチュウイングガム(B)を噛ませる以外は、同様な操作を行った。その結果、被験者(A)の呼気は殆ど臭が消えているが、被験者(B)の呼気にはニンニク臭が残っていた。【0024】実施例16クロロゲン酸2mgの水溶液0.5mlとゴボウのアセトンパウダー40mgとを用意した。一方、比較のためにクロロゲン酸2mgの水溶液0.5mlを用意した。すりおろしたニンニク0.5gを被験者(C)の口に5分間含んで口の中に臭いをつけた後、口を水ですすいだ。引き続いて、上記クロロゲン酸2mgの水溶液0.5mlとゴボウのアセトンパウダー40mgとを口に5分間含んだ。口腔内をすすいだ後、実施例16と同様な操作で被験者(C)の呼気を集め、臭いを評価した。被験者(D)に対しクロロゲン酸2mgの水溶液0.5mlを噛ませる以外は、同様な操作を行った。その結果、被験者(C)の呼気は殆ど臭が消えているが、被験者(D)の呼気にはニンニク臭が残っていた。【0025】実施例1730mlのバイアル瓶にリンゴのアセトンパウダー10mg、水1mlおよび家畜の糞尿から分離した液20μlを入れておき、さらにクロロゲン酸2mgの水溶液0.5mlを加えて手で10分間振盪した。ついでバイアル瓶内のガスの臭いを実際にかいだ。比較のために、リンゴのアセトンパウダー10mgを欠いたもの、クロロゲン酸2mgの水溶液0.5mlを欠いたもの、両方とも欠いたものの3種を用意し、同様に操作してガスの臭いを実際にかいだ。結果を表3に示す。【0026】【表3】【0027】【発明の効果】本発明の消臭剤組成物を用いる消臭方法は、消臭用基材であるフェノール性化合物をこれを酸化する酵素と共存させることにより、活性化して用いるため、短時間に反応が進行し、優れた消臭効果を奏する。本消臭剤組成物を口臭の消去に用いる場合、酵素として野菜やきのこなどの食物を用いることにより、極めて安全性の高い消臭方法となる。また、環境中の悪臭を消去する場合にも環境汚染の問題を起こすことがない。 水酸基が酸化されてケトンとなる構造を持つ芳香環に直接結合されたフェノール性水酸基を2以上有するフェノール性化合物と、該フェノール性化合物をキノン構造を有する化合物に酸化する酵素とを少なくとも含有する消臭剤組成物。


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