生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_徐脈性不整脈治療剤
出願番号:1995072985
年次:2006
IPC分類:A61K 31/47,A61P 9/06,C07D 401/12


特許情報キャッシュ

新 博次 斎藤 寛和 JP 3758700 特許公報(B2) 20060113 1995072985 19950330 徐脈性不整脈治療剤 大塚製薬株式会社 000206956 青山 葆 100062144 田村 恭生 100068526 新 博次 斎藤 寛和 20060322 A61K 31/47 20060101AFI20060302BHJP A61P 9/06 20060101ALI20060302BHJP C07D 401/12 20060101ALN20060302BHJP JPA61K31/47A61P9/06C07D401/12 A61K 31/00- 31/80 A61P 1/00- 43/00 C07D401/00-421/14 CA(STN) REGISTRY(STN) 特公昭63−20235(JP,B1) 特開昭63−166882(JP,A) 特開平3−167126(JP,A) 斎藤 寛和ら,洞不全症候群に対するCilostazolの有用性,薬理と治療(Jpn. Pharmacol. Ther.),23(4),pp.977-982 (Apr. 1995) 2 1996268891 19961015 7 20011030 荒木 英則 【0001】【産業上の利用分野】本発明は徐脈性不整脈治療剤、さらに詳しくは、一般式(1)【化2】〔式中、Aは低級アルキレン基、Rはシクロアルキル基、カルボスチリル骨格の3位と4位間の結合は1重結合または2重結合を示す〕で示されるカルボスチリル誘導体またはその塩、好ましくは、6−[4−(1−シクロヘキシル−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロカルボスチリルまたはその塩を有効成分とする徐脈性不整脈治療剤に関する。【0002】【従来の技術と発明が解決しようとする課題】上記一般式(1)で示されるカルボスチリル誘導体およびその製法および該化合物が抗血栓剤、脳循環改善剤、消炎剤、抗潰瘍剤、降圧剤、抗喘息剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、血小板凝集抑制剤などとして有用であることが知られている(特公昭63−20235号公報および特公平6−53666号公報)。【0003】また、徐脈性不整脈には、洞性徐脈、洞停止、洞房ブロック、洞不全症候群、房室ブロック、徐脈性心房細動等があり、薬物療法として、アトロピン等の迷走神経遮断薬とβ−刺激薬等の交感神経作動薬が用いられているが、前者は口渇、排尿障害、便秘等の副作用のため、後者は動悸、心筋虚血を誘発する恐れがあるので長期投与が困難であるため、その多くは人工ペースメーカーに頼らざるを得ないのが現状であり、より有用な薬物の開発が望まれている。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々研究を重ねるうちに、前記一般式(1)で示されるカルボスチリル誘導体、なかんずく、6−[4−(1−シクロヘキシル−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロカルボスチリルまたはその塩が徐脈性不整脈、ことに洞性徐脈、洞停止、洞房ブロック、洞不全症候群、房室ブロック、徐脈性心房細動等に対して、副作用のない有用な薬物であることを見出し、本発明を完成するに至った。とくに、洞不全症候群に対して顕著な作用を示す。また、徐脈性不整脈による心房内血栓の合併にも有用である。すなわち、本発明は、前記一般式(1)で示されるカルボスチリル誘導体を有効成分とする徐脈性不整脈治療剤を提供するものである。【0005】本発明の徐脈性不整脈治療剤は、前記一般式(1)で示されるカルボスチリル誘導体またはその塩を一般的な医薬製剤の形態に調製される。そのような製剤は通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤などの希釈剤あるいは賦形剤を用いて調製される。この医薬製剤としては各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表的なものとして錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)などが挙げられる。錠剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸などの賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラミック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖などの崩壊剤、白糖、ステアリン、カオバター、水素添加油などの崩壊抑制剤、第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収促進剤、グリセリン、デンプンなどの保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸などの吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ホン酸末、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤などが例示できる。さらに錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フイルムコーティング剤あるいは二重錠、多層錠とすることができる。丸剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば、ブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤、アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結合剤、ラミナラン、カンテンなどの崩壊剤などが例示できる。坐剤の形態に成形するに際しては、担体として従来公知のものを広く使用でき、例えばポリエチレングリコール、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライドなどを挙げることができる。注射剤として調製される場合には、液剤および懸濁剤は殺菌され、かつ血液と等張であるのが好ましく、これら液剤、乳剤および懸濁剤の形態に成形するのに際しては、希釈剤としてこの分野において慣用されているものをすべて使用でき、例えば水、エチルアルコール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類などを挙げることができる。なお、この場合等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖あるいはグリセリンを該治療剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤などを、更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などや他の医薬品を該治療剤中に含有せしめてもよい。本発明の徐脈性不整脈治療剤中に含有されるべきカルボスチリル誘導体(1)またはその塩の量はとくに限定されず広範囲に選択されるが、通常全組成物中1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%である。【0006】本発明の徐脈性不整脈治療剤の投与方法にはとくに制限はなく、各種製剤形態、患者の年令、性別その他の条件、疾患の程度などに応じた方法で投与される。例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤の場合には経口投与される。また注射剤の場合には単独であるいはブドウ糖、アミノ酸などの通常の補液と混合して静脈内投与され、さらには必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしくは腹腔内投与される。坐剤の場合には直腸内投与される。本発明の徐脈性不整脈治療剤の投与量は用法、患者の年令、性別その他の条件、疾患の程度などにより適宜選択されるが、通常カルボスチリル誘導体(1)またはその塩の量の1日当り体重1kg当り0.6〜50mgとするのがよい、また、投与単位形態中に有効成分を10〜1000mg含有せしめるのがよい。【0007】【実施例】つぎに製剤例および薬理実験例を挙げて本発明の徐脈性不整脈治療剤をさらに具体的に説明する。製剤例 16−[4−(1−シクロヘキシル−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロカルボスチリル 150gアビセル(商品名,旭化成(株)製) 40gコーンスターチ 30gステアリン酸マグネシウム 2gヒドロキシプロピルメチルセルロース 10gポリエチレングリコール−6000 3gヒマシ油 40gメタノール 40g本発明の活性化合物、アビセル、コーンスターチおよびステアリン酸マグネシウムを混合研磨後、糖衣R10mmのキネで打錠する。得られた錠剤をヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール−6000、ヒマシ油およびメタノールからなるフイルムコーティング剤で被覆を行いフイルムコーティング錠を製造する。【0008】製剤例 26−[4−(1−シクロヘキシル−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロカルボスチリル 150gクエン酸 1.0gラクトース 33.5gリン酸二カルシウム 70.0gプルロニックF−68 30.0gラウリル硫酸ナトリウム 15.0gポリビニルピロリドン 15.0gポリエチレングリコール(カルボワックス1500) 4.5gポリエチレングリコール(カルボワックス6000) 45.0gコーンスターチ 30.0g乾燥ラウリル硫酸ナトリウム 3.0g乾燥ステアリン酸マグネシウム 3.0gエタノール 適 量本発明の活性化合物、クエン酸、ラクトース、リン酸二カルシウム、プルロニックF−68およびラウリル硫酸ナトリウムを混合する。上記混合物をNo.60スクリーンでふるい、ポリビニルピロリドン、カルボワックス1500および6000を含むアルコール性溶液で湿式粒状化する。必要に応じてアルコールを添加して粉末をペースト状塊にする。コーンスターチを添加し、均一な粒子が形成されるまで混合を続ける。No.10スクリーンを通過させ、トレイに入れ100℃のオープンで12〜14時間乾燥する。乾燥粒子をNo.16スクリーンでふるい、乾燥ラウリル硫酸ナトリウムおよび乾燥ステアリン酸マグネシウムを加え混合し、打錠機で所望の形状に圧縮する。上記の芯部をワニスで処理し、タルクを散布し湿気の吸収を防止する。芯部の周囲に下塗り層を被覆する。内服用のために十分な回数のワニス被覆を行う。錠剤を完全に丸くかつ滑かにするためにさらに下塗層および平滑被覆が適用される。所望の色合が得られるまで着色被覆を行う。乾燥後、被覆錠剤を磨いて均一な光沢の錠剤にする。【0009】製剤例 36−[4−(1−シクロヘキシル−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロカルボスチリル 5gポリエチレングリコール(分子量:4000) 0.3g塩化ナトリウム 0.9gポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート 0.4gメタ重亜硫酸ナトリウム 0.1gメチルーパラベン 0.18gプロピル−パラベン 0.02g注射用蒸留水 10.0ml上記パラベン類、メタ重亜硫酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを攪拌しながら80℃で上記の約半量の蒸留水に溶解する。得られた溶液を40℃まで冷却し、本発明の活性化合物、つぎにポリエチレングリコールおよびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートをその溶液中に溶解した。次にその溶液に注射用蒸留水を加えて最終の容量に調製し、適当なフィルターペーパーを用いて滅菌濾過することにより滅菌して、注射剤を調製する。【0010】薬理試験1 (臨床試験)患者(70歳女性)は60歳頃より階段登行時に息切れを認めるようになり、近医にて気管支喘息として治療を受けたが軽快せず、65歳頃からは平地歩行時にも息切れを生じるようになった。2年余前、夕食後左側臥位になったところ突然呼吸困難出現し、失神し、病院での心臓超音波検査にて巨大左房粘液腫(62×55×55mm)が認められ、約1カ月後腫瘍摘出術を施行し、6−[4−(1−シクロヘキシル−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロカルボスチリル(以下、シロスタゾールという)100mgを1日2回投与した。その後、経過観察中の総心拍数はホルター心電図にて約10万/日であったが、肝機能障害が悪化したため、シロスタゾール投与を中止したところ失神、眩暈を頻回に発現し、ホルター心電図にて洞徐脈を認めたため再入院し、精密検査を行った。【0011】入院時現症:意識清明、血圧116/60mmHg,脈拍46/分、整、左第三助間に最強点を有する収縮期駆出性雑音(Levine 2/6)を聴取。肺ラ音聴取せず。腹部平坦、軟、肝・脾・腎触知せず。腹水なし。下腿浮腫なし。神経学的所見異状なし。入院時検査所見:GPT 68、GOT 86、LDH 484、AIP 220、γ−GTP 101と軽度肝機能異常を認める以外甲状腺機能を含め異常なし。末梢静脈圧95mm H2O。胸部X線:左上肺野に石灰化陰影あり。心胸郭比51.4%と軽度心拡大あるも肺野の鬱血は認めない。入院時12誘導心電図:心拍数42/分の洞性徐脈および完全右脚ブロックを呈する。入院後経過:ホルター心電図(無投薬下)にて一日総心拍数64935拍と減少し、特に夜間は洞停止と心室逸脱調律を頻回に起こし、最低心拍数は31/分であった。ホルター心電図で得られた各時間の平均心拍数をみると、無投薬下では夜間心拍数が30/分台にまで低下し、昼間も50/分程度までしか増加せず、洞自動能の著明な低下が示唆される。一方、シロスタゾール内服中は、夜間も50/分以下に低下することはなく、昼間は90/分にまで達しており、洞自動能の低下を示唆する所見はない。【0012】本例に対しての臨床電気生理検査施行時は約42/分の接合部調律を呈したが、HV時間は50msecと正常であった。オーバードライブ・サプレッション・テストでは、刺激周期550msec、30秒間の高位右房刺激後に最大自動能回復時間4.2秒を呈した。また、アトロピン0.04mg/kg、プロプラノロール0.2mg/kg投与による薬理学的自律神経遮断後も接合部調律のままで、オーバードライブ・サプレッション・テストでも最大自動能回復時間は4.1秒と不変であった。以上より、徐脈性不整脈(洞不全症候群 Rubenstein type 2)と診断し、恒久的ペースメーカー植え込みの適応と判断し、胸部外科にてDDD−Rペースメーカー植え込みを施行し、経過順調のため、約1カ月後退院となった。植え込み後に再びシロスタゾール投与を行い、ホルター心電図検査を行った際の心拍数をみると、無投薬下では、ペースメーカーが作動し、最低心拍数60/分を示すことが多いのに対し、シロスタゾール投与下では、術前同様に昼間の自己心拍数増加が認められており、総心拍数は9万9千/日まで増加し、症状は改善され、シロスタゾールの徐脈解除作用が確認された。【0013】上記臨床試験にみられるように、シロスタゾール投与中止により患者の平均心拍数が70/分から44/分へと約38%低下し失神、眩暈などの脳虚血症状が発現したが、ペースメーカー植え込み後、シロスタゾール再投与によって心拍数はシロスタゾール投与中止前とほぼ同等にまで増加しており、該薬物によって患者の洞機能不全が抑えられていたことがわかる。また、徐脈性不整脈(洞不全症候群、徐脈性心房細動)は心房内血栓を形成しやすく、血栓塞栓症の危険を高めるが、シロスタゾールの持つ血小板凝集抑制作用は、血栓塞栓症の予防においても合目的的であり、臨床的に高い有用性が期待されるものである。【0014】薬理試験2 (臨床試験)高度房室ブロック、徐脈性心房細動の症例を示す患者(78歳・男性)にシロスタゾールを100mg/日投与すると、無投薬下ではホルター心電図において心拍数は86746/日であったのが、98920/日に改善された。また、別心電図の所見では無投薬下では最長R−R間隔は3.2秒であったのに対して、シロスタゾールを100mg/日投与すると最長R−R間隔は2.3秒に改善され、ペースメーカー植え込みは必要なくなった。以上よりシロスタゾールは房室ブロック、徐脈性心房細動に有用であることがわかる。 一般式〔式中Aは低級アルキレン基、Rはシクロアルキル基、カルボスチリル骨格の3位と4位間の結合は1重結合または2重結合を示す〕で示されるカルボスチリル誘導体またはその塩を有効成分とする徐脈性不整脈治療剤。 有効成分が6−[4−(1−シクロヘキシル−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)ブトキシ]−3,4−ジヒドロカルボスチリルまたはその塩である請求項1に記載の徐脈性不整脈治療剤。


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