生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ワサビ葉のイソサポナリンの抽出および利用方法
出願番号:2011540381
年次:2014
IPC分類:C07H 1/08,C07H 15/26,A61K 31/7048,A61K 8/60,A61K 8/97,A61K 36/18,A61K 36/00,A61P 17/00,A61Q 19/00,A23L 1/30,A23L 2/52


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三浦 陽介 永井 雅 JP 5550658 特許公報(B2) 20140530 2011540381 20091112 ワサビ葉のイソサポナリンの抽出および利用方法 金印株式会社 591011007 染谷 仁 100070758 三浦 陽介 永井 雅 20140716 C07H 1/08 20060101AFI20140626BHJP C07H 15/26 20060101ALI20140626BHJP A61K 31/7048 20060101ALN20140626BHJP A61K 8/60 20060101ALN20140626BHJP A61K 8/97 20060101ALN20140626BHJP A61K 36/18 20060101ALN20140626BHJP A61K 36/00 20060101ALN20140626BHJP A61P 17/00 20060101ALN20140626BHJP A61Q 19/00 20060101ALN20140626BHJP A23L 1/30 20060101ALN20140626BHJP A23L 2/52 20060101ALN20140626BHJP JPC07H1/08C07H15/26A61K31/7048A61K8/60A61K8/97A61K35/78 CA61K35/78 XA61K35/78 YA61P17/00A61Q19/00A23L1/30 BA23L2/00 F C07H 1/08 C07H 15/26 A61K 31/7048 A61K 8/60 CAplus/REGISTRY(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特開2008−260747(JP,A) 秋田 慶子,ワサビ葉抽出物のI型コラーゲン産生促進作用及び関与成分の同定,日本農芸化学会2007年度(平成19年度)大会講演要旨集,2007年,p.287 5 JP2009069592 20091112 WO2011058661 20110519 6 20121102 田村 直寛 本発明はワサビからイソサポナリンを高含有率で抽出し、得られた抽出物を食品、医薬品、化粧品として利用するイソサポナリンの抽出および利用方法に関する。 ワサビ(Wasabia japonica)は日本原産のアブラナ科植物であり、日本各地で栽培されているが、主要な産地は静岡県、長野県、岩手県、島根県である。古来より薬草として使用されており、その成分には優れた生体調節作用があることが知られている。 ワサビ葉は日本の本州においては主に4月から10月にかけて収穫が可能であり、その葉の大きさは、葉茎に直交する方向の葉の最大幅(以下、「葉茎に直交する方向の葉の最大幅」を「葉のサイズ」と記述する)が25cmに達する。 ワサビの葉には多種のフラボノイド類が含まれているが、その中でもイソサポナリンには繊維芽細胞のコラーゲン産生を促進する効果が認められている(特開2008−260747)。 しかし、茶のカテキンを例外として、植物体中のフラボノイドは概して低濃度であり、生体調節機能を発揮させるためには、該植物を多量に摂取する必要があった。 一般的に、植物等からの有効成分の抽出には、熱水や含水アルコールが使用される(特開2005−281220号公報、特開平11−196818号公報)。 また、特開2006−241005には水、もしくは50%エタノールを用いてワサビ葉から成分を抽出する方法が示されている。 しかし、これらの方法をワサビ葉に適用した場合、イソサポナリンの濃度が必要なレベルに達しないため、実用的な方法とはなり得ない。また、原料の使用量を増やせばイソサポナリンの濃度が向上する場合もあるが、原料コストが上昇するため、こちらも実用的な方法とはなり得ない。 食と健康・美容への関心が高まっている昨今、食品素材や医薬品素材、化粧品素材としてのフラボノイド類が注目されつつある。このため、イソサポナリンを安定的に高濃度で含有した食品・医薬品・化粧品の開発が望まれている。特許公開2008−260747号公報特開2005−281220号公報特開平11−196818号公報特開2006−241005号公報 そこで、本発明の課題はイソサポナリンを高濃度で抽出し、このイソサポナリンを食品・医薬品・化粧品に利用し、上述の公知技術に存する欠点を克服したわさび葉のイソサポナリンの抽出および利用方法を提供することにある。 上述の課題を解決するため、本発明のイソサポナリンの抽出方法によれば、ワサビ葉はサイズが比較的小面積、例えば3cm〜14cmの範囲のものを用い、ワサビ葉は畑栽培ものを用い、さらにワサビ葉を含水エタノールまたは1,3−ブチレングリコールで抽出することを特徴とする。得られた抽出物を食品素材、医薬品、または化粧品の素材として利用される。 本願発明は、使用するワサビ葉のサイズを3cmから14cmの範囲に限定し、さらに栽培方法を畑栽培に限定し、さらに有機溶媒の組成を含水エタノールまたは1,3−ブチレングリコールに限定することにより、高濃度のイソサポナリンを抽出する事が出来る。さらに、この事によりイソサポナリンを高濃度で含有した食品、医薬品、化粧品を提供する事ができる。ワサビ葉のサイズ・栽培方法とイソサポナリン含有量との関係抽出溶媒の種類とイソサポナリン含有量との関係 以下、本発明を具体的に詳述する。 本発明において、使用するワサビ葉のサイズを選別する事が肝要である。葉のサイズが小さいほどイソサポナリン含有量が多いことが発明者らの研究により分かった。イソサポナリン含有量は葉のサイズが3cmの時が最大で、14cmで半分になる。通常収穫する葉のサイズは5cm〜20cmであるので、無選別な収穫は完成品、あるいは商品のイソサポナリン含有率が低下する原因となる。よって、本発明において使用するワサビ葉のサイズは3cm〜14cmの範囲に限定するのが効率的である。 ワサビの栽培方法には水栽培と畑栽培がある。水栽培は山間地方において特殊なワサビ田を作り、湧水を利用して栽培する方法である。ワサビ田の様式には渓流式、地沢式、平地式、畳石式、北駿式が存在する。 一方、畑栽培は林間の畑地や体耕田などの畑で栽培する方法で、水栽培より管理が容易であり、主に加工用ワサビの栽培方法として広まっている。サイズが15cm以下の葉のイソサポナリン含有量は、水栽培のものと比べて畑栽培の方が高い傾向にあることが発明者らの研究で明らかになった。よって、本発明において使用するワサビ葉は畑栽培に限定するのが効率的である。 ワサビ葉からイソサポナリンを抽出する際に用いる溶媒は、含水エタノールか1,3−ブチレングリコールが最適である。水、あるいは100重量%エタノールで抽出した場合には回収率が低下する。抽出の際、原料由来の水が混入する事を勘案して、10重量%から90重量%の範囲のもの、更に好ましくは50重量%から75重量%の含水エタノールを使用する。 1,3−ブチレングリコールは、そのまま、あるいは水で希釈して使用することができる。1,3−ブチレングリコール含有率は10重量%から100重量%の範囲のものが使用できるが、好ましくは75重量%から100重量%である。 本発明で得られた抽出液はそのまま、あるいは粉末化して食品もしくは医薬品(含水エタノール抽出の場合)、あるいは化粧品(含水エタノール抽出または1,3−ブチレングリコール抽出の場合)の素材として利用される。具体的には、清涼飲料水、茶飲料、ドリンク剤、アルコール飲料等の液体食品、菓子、米飯類、パン類、麺類、調味料等の固形食品、粉末状、顆粒状、カプセル状、錠剤等の医薬品、美容液、乳液、石鹸、パック等の化粧品等に使用することができる。 以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。 ワサビ葉からのイソサポナリンの抽出 ワサビ葉1kgに水あるいは50重量%エタノール、あるいは100重量%エタノール、あるいは100重量%1,3−ブチレングリコールを10リットル添加し、フードプロセッサにより裁断した。これを室温で時々撹拌しながら1時間抽出した。これをNo.1のろ紙でろ過し抽出液とした。ワサビ葉はサイズ毎、栽培方法毎、抽出溶媒毎に分けて抽出を行なった。なお、抽出に使用する葉と溶媒の量は使用目的により適宜スケールアップ、ないしはスケールダウンした。 ワサビ葉抽出物に含まれるイソサポナリンの分析 イソサポナリン含有量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて測定した。HPLCはウォーターズ2696セパレーションモジュール、996フォトダイオードアレイ検出器(検出波長254nm)(ウォーターズ社製)を用いた。カラムはDevelosil ODS−UG−5(250×4.6mm i.d.、5μm粒径)(野村化学社製)を用いた。送液は20%メタノールから100%メタノールへのグラジエント、0.5ml/分とした。 ワサビ葉のサイズ・栽培方法とイソサポナリン含有量との関係を図1に示す。抽出溶媒は50%エタノールである。ワサビ葉のサイズが小さいほどイソサポナリン含有量が多く、またワサビ葉のサイズが15cm以下のサイズにおいて、水栽培と比較して畑栽培の方がイソサポナリン含有量が多いことが分かった。よって、使用するワサビ葉のサイズは3cmから14cmの範囲で、なおかつ畑栽培が好ましいことが分かった。特開2008−260747号公報特開2005−281220号公報特開平11−196818号公報特開2006−241005号公報秋田慶子、ワサビ葉抽出物のI型コラーゲン、産生促進作用及 び関与成分の同定、日本農芸化学会2007年度(平成19年度)大会講演要旨 集2007年P287 食品(飲料)の製造 実施例1の抽出液(畑栽培で、葉のサイズが3cm〜14cmの範囲のものを50重量%のエタノールで抽出したもの)をスプレードライに供し粉体を得た。 1.精製水 86.986%(以下全て重量%) 2.ワサビ葉粉体 1% 3.コラーゲンペプチド 6% 4.ヒアルロン酸 0.01% 5.ビタミンB2 0.002% 6.ビタミンB6 0.002% 7.アセスルファムK 6% 上記1〜7を混合し、殺菌し(90℃達温後、冷却)、50mlずつガラス瓶に充填し、飲料とした。 医薬品の製造 実施例3で製造したワサビ葉の紛体を内容量が250mgとなるようにハードカプセルに充填して医薬品を製造した。 化粧品の製造 実施例1で作製した抽出液(畑栽培で、葉のサイズが3cm〜14cmの範囲のものを100重量%の1,3−ブチレングリコールで抽出したもの)を用いて美容液を製造した。 1.精製水 52.05%(以下全て重量%) 2.グリセリン 10.0% 3.ショ糖脂肪酸エステル 1.3% 4.カルボキシビニルポリマー 17.5% 5.アルギン酸ナトリウム 15.0% 6.モノラウリン酸ポリグリセリル 1.0% 7.コラーゲン 2.0% 8.実施例1のワサビ葉抽出液 0.15% 9.スクワラン 1.0% 上記1〜8の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解した。9の油相成分を75℃にて加熱溶解させ、両者を混合して予備乳化を行った。その後、ホモミキサーにて均一に乳化させ、冷却して美容液とした。 本発明のワサビ葉のイソサポナリンの利用方法は、ワサビから有効成分であるイソサポナリンを高濃度で抽出するように工夫され、それを食品、医薬品、化粧品の製造に利用するものである。この発明を用いることにより、食品や医薬品、化粧品の利用範囲が増大し、産業上の利用可能性が大である。 比較的小面積のワサビ葉を含水エタノールまたは1、3−ブチレングリコールで抽出してイソサポナリンを回収することを特徴とするワサビ葉のイソサポナリンの抽出方法。 請求項1において、ワサビ葉が葉茎に直交する方向の葉の最大幅が3cm〜14cmの範囲である請求項1に記載の抽出方法。 請求項1において、ワサビ葉が畑栽培のワサビから得られる請求項1に記載の抽出方法。 請求項1において、含水エタノールのエタノール含有率が10〜90重量パーセントである請求項1に記載の抽出方法。 請求項1において、1、3−ブチレングリコールの含有率が10〜100重量パーセントである請求項1に記載の抽出方法。


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