生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ふけ防止剤
出願番号:1994134778
年次:2005
IPC分類:7,A61K31/415,A61K7/06,A61P17/00


特許情報キャッシュ

原 捷 之 木 次 茂 信 JP 3645287 特許公報(B2) 20050210 1994134778 19940617 ふけ防止剤 持田製薬株式会社 000181147 渡辺 望稔 100080159 三和 晴子 100090217 原 捷 之 木 次 茂 信 20050511 7 A61K31/415 A61K7/06 A61P17/00 JP A61K31/415 A61K7/06 A61P17/00 7 A61K 31/415 A61K 7/06 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG) PubMed 特開平05−025023(JP,A) 特開平03−127717(JP,A) 特開平05−194219(JP,A) 4 1996003042 19960109 11 20010615 加藤 浩 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、ふけ取りを目的をした抗真菌剤ミコナゾールおよび/または硝酸ミコナゾールを有効成分として配合する、有効性および安全性に優れた医薬部外品または化粧品用のふけ防止剤に関する。【0002】【従来の技術】ふけは被髪頭部にみられる肉眼的に見える大きさの粃糖様落屑で、その発生メカニズムについては、未だ明確には解明されていない。しかし、ふけ症患者の多くは、頭部において皮膚の常在真菌の1つであるピチロスポルム オバーレ(Pityrosporum ovale:以下 P.ovaleと略す)が健常人と比較して顕著に増加しているため、 P.ovaleがふけに深く関与していることは以前より明らかとされてきたが、 P.ovaleがふけの発生原因であるか、増悪因子であるかについては長期間にわたり議論がなされてきた。しかし、医学の進歩に伴い、近年 P.ovaleがふけ症や脂漏性皮膚炎の一因として認められるようになり、 P.ovaleがふけの発生と増悪に係わるという説が有力視されている。【0003】以前より、海外では頭部における脂漏性皮膚炎患者の治療に対しても、抗真菌剤配合の外用剤が用いられ、優れた症状改善効果がみられることが示されてきた(C. A.Green etc.:Brit.J.Dermatol.,116:217-221,1987)。ふけに対する P.ovale原因説が支持される現在、抗真菌剤のふけ防止効果に対する期待はますます大きくなっている。【0004】しかし、ふけ取りという目的を効果的にしかも速やかに達成するためには、単に塗布する外用剤よりも洗い落とすという機械的機能が加わるシャンプーの方が当然有利と考えられる。シャンプーにおいても、いわゆるふけ防止剤を配合すると著しくふけ防止効果が高まることが知られている(永島敬士他:香粧会誌、7:24−29、1983)。【0005】実際、 P.ovaleに対する抗菌効果を有するシャンプーがふけ取りシャンプーの市場をほぼ独占しているのが現状であり、具体的には、ジンクピリチオン、ピロクトンオラミンおよび二硫化セレンの3成分のいずれかを配合したシャンプーである。【0006】このうち、二硫化セレンは古くからふけ取りの効果自体は認められている成分であるが、長期間使用で副作用が生じたとの報告(中山秀夫他:最新の皮膚外用剤、P239、南山堂、1991)もあり、安全性の面で問題があるため、現在では厚生省認可の薬用シャンプーには配合が禁止されている成分である。【0007】次にジンクピリチオンは、ふけ取りシャンプーに最も汎用されている成分であるが、二硫化セレンやピロクトンオラミンと比較するとふけ防止効果の点で劣るとの報告(渡辺靖:毛髪科学:22,3721-3726,1990 ; 渡辺靖他:香粧会誌、6:79-84,1982)がある。【0008】ピロクトンオラミンは、1984年に厚生省より薬用シャンプーのふけ防止成分として承認された成分で、 P.ovaleに対する抗菌効果の他に、抗酸化作用を有する成分である。なお、これ以降は、 P.ovaleに対して抗菌効果を有する新たなふけ防止剤は認可されていないのが現状である。【0009】【発明が解決しようとする課題】以上のように、ふけ取りシャンプーには、 P.ovaleに対する抗菌効果を有する成分として、ジンクピリチオン、ピロクトンオラミンおよび二硫化セレンが現在使用されている。ふけ防止効果が極めて高く、しかも安全性の高いものが理想的なふけ取りシャンプーであるが、残念ながらこれら3成分は両方の条件を充分には満足しているとはいえない。したがって、ふけに悩む人は、決して現行のふけ取りシャンプーに満足しているわけではなく、より効果が高く、しかも安心して使用できる安全性の高い成分を配合した製品の出現を待ち望んでいる。また、シャンプー以外のふけ防止剤についても、よりふけ取り効果が大で安全なものが求められている。【0010】したがって、本発明は、上述した従来技術の問題を解消しようとするものであり、ふけ取り効果が高く、しかも安心して使用できる安全性の高い成分を配合した医薬部外品または化粧品用のふけ防止剤を提供することを目的とする。【0011】【課題を解決するための手段】発明者は、イミダゾール系の抗真菌剤であるミコナゾールおよび硝酸ミコナゾールが P.ovaleに対してピロクトンオラミンを上回る強い抗菌効果を示すことを見出し、既存のふけ防止成分以上の高いふけ防止効果が期待できるとの見解に至った。【0012】そこで発明者は、抗真菌剤として汎用されているミコナゾールおよび硝酸ミコナゾールが、 P.ovaleに対して強い抗菌効果を示すことを確認した後、ふけ防止剤に配合することにより、ふけ防止効果に優れた、安全性の高いふけ防止剤を完成した。【0013】すなわち、本発明は、ミコナゾールおよび/または硝酸ミコナゾールを有効成分として配合することを特徴とするふけ防止剤を提供するものである。ここで、ミコナゾールおよび/または硝酸ミコナゾールの配合量は0.01〜2.0wt%であるのが好適である。【0014】【作用】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、頭部に使用して洗い流すシャンプー等のふけ防止剤、および頭部に使用して洗い流さないヘアトニック等のふけ防止剤などを広く包含するふけ防止剤に関する。【0015】具体的には、本発明のふけ防止剤は、シャンプーに限らず、頭部に使用して洗い流す製品であるヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等を含む。これらの製品は基本的に、髪にコンディショニング成分を残すものであるため、配合した有効成分も残存しやすいものと考えられる。高いふけ防止効果のみられたシャンプーは、有効成分の頭皮への残存性、すなわちふけ防止効果の持続性という意味では、条件的に不利な剤型である。そのため、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等にミコナゾールおよび/または硝酸ミコナゾールを配合した場合、より持続的なふけ防止効果が得られることは明白である。【0016】また、頭部に塗布して使用するふけ防止剤においても、シャンプーのような即効性は期待できないが、頭皮への残存性からみて、ミコナゾールおよび/または硝酸ミコナゾールを配合した場合、持続的なふけ防止効果が期待できることは全く同様である。しかも、製剤への配合濃度が低くてもその効果を充分発揮できるものと考えられる。このような製剤も本発明のふけ防止剤に包含される。剤型としては、軟膏、クリーム、乳液、ローション、液剤、エアゾール等が可能で、ヘアクリーム、ヘアトニック、ヘアリキッド、ヘアスプレー、ヘアムース等の頭髪用化粧品や育毛剤等の形態をとることができる。さらに、拭き取るという操作が加わるが、ドライシャンプーという形態も可能である。【0017】これらのふけ防止剤中のミコナゾールおよび/または硝酸ミコナゾールの配合濃度については、以下に説明する濃度の範囲内で、適宜調製可能である。【0018】本発明のふけ防止剤は、ミコナゾールおよび/または硝酸ミコナゾールを有効成分として含有する医薬部外品または化粧品用のふけ防止剤である。ふけ防止剤としてはこれらの他に、一般に用いられる陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、油脂類、高級アルコール類、低級アルコール類、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、pH調整剤、香料、色素、紫外線吸収剤などを用途に応じて適宜選択して配合することができる。なお、ミコナゾールおよび硝酸ミコナゾールは下記(I)および(II)で表される構造を有する。【0019】【化1】【0020】【化2】【0021】ここで、 P.ovaleに対するMIC,MCCの値からミコナゾールおよび硝酸ミコナゾールのふけ防止効果は、理論的にかなり低濃度でも期待される(実施例1参照)。しかし、シャンプーやリンスなどは洗い流すという使用方法であるため、有効成分はかなり希釈された状態になる。事実、シャンプーにおいては配合量が0.01wt%より低い濃度ではふけ取り効果はかなり低下した。一方、海外ではミコナゾールは 2.0wt%配合したものが外用剤として用いられており、抗真菌剤として高い評価が得られている。薬用シャンプーを始めとするふけ防止剤は日常的に使用するため特に安全性を重視する必要があり、その意味では安全性評価の確立されている 2.0wt%以下の配合が望ましい。以上のことを考慮して、本発明に係る上述したふけ防止剤に配合するミコナゾールおよび/または硝酸ミコナゾールの配合量は0.01〜 2.0wt%にするのが好適である。【0022】【実施例】本発明に係るふけ防止剤を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。【0023】(実施例1)・・・ P.ovaleに対する抗菌効果の確認まず、 P.ovaleに対する抗菌効果を確認する目的で、ミコナゾールおよび硝酸ミコナゾールについて、 P.ovaleに対する最小発育阻止濃度(MIC)と最小殺菌濃度(MCC)を液体培地希釈法により測定した。対照薬剤には、ピロクトンオラミンを用い、その抗菌効果を比較した結果を表1に示す。【0024】【0025】ミコナゾールおよび硝酸ミコナゾールは、いずれも P.ovaleに対してピロクトンオラミンより、MICおよびMCCともに2倍もしくはそれ以上もの優れた抗菌効果が認められた。すなわち、いずれもMICの値は25μg/ml(0.0025W/V%)、MCCの値は50μg/ml(0.005 W/V%)であった。【0026】(実施例2)・・・処方例次に本発明に係るふけ取りシャンプーの処方例およびその製法について以下に示す。(製法)上記成分を混合し、84℃に加熱溶解し、攪拌しながら35℃まで冷却して、硝酸ミコナゾール配合のシャンプーを調製した。【0027】(製法)上記成分を混合し、84℃に加熱溶解し、攪拌しながら35℃まで冷却して、硝酸ミコナゾール配合のシャンプーを調製した。【0028】(製法)上記成分を混合し、84℃に加熱溶解し、攪拌しながら35℃まで冷却して、ミコナゾール配合のシャンプーを調製した。【0029】(実施例3)・・・使用試験次に、ピロクトンオラミンが厚生省において承認された濃度範囲である 0.75 wt%の硝酸ミコナゾールを含む本発明のシャンプー(実施例2の処方例1)のふけ取り効果ならびに安全性を確認する目的で、ふけ症の患者10名を対象として使用試験を実施した。使用期間は4週間とし、従来通りの洗髪回数(週2〜6回、平均週3.6 ± 1.2回)および使用方法で洗髪するよう指示した。試験前後のふけの状態を観察し、その評価を、消失、軽減、不変、悪化の4段階で実施するとともに、頭皮から採取したふけ中の P.ovaleの菌数を、顕微鏡下でカウントし、試験前後の菌数の推移より、消失、減少、やや減少、不変、増加の5段階で評価した。試験の結果を表2に示す。【0030】【0031】ふけの減少は90.0%の症例にみられ、改善のみられなかった症例はわずかに1例のみであった。また、改善のみられた症例は全例に、 P.ovaleの消失または減少がみられ、 P.ovaleの菌数減少と臨床上のふけの改善とに高い相関がみられることが本試験においても確認できた。なお、今回の患者には健常人(ふけのない人)10名の平均より数十倍もの菌数の P.ovaleのいる者もおり、硝酸ミコナゾール0.75wt%配合シャンプー(実施例2の処方例1)では、このような重症の患者にも充分効果があることが確認できた。この代表症例における試験前後の菌数の変化を表3に示す。【0032】【0033】また、上述した使用試験の結果、本発明のシャンプーの使用による症状の悪化および副作用は全例にみられなかった。【0034】(実施例4)・・・比較試験ミコナゾールおよび硝酸ミコナゾールのふけ防止効果の評価には、既存のふけ防止成分との比較が適当と考え、 P.ovaleに対する抗菌効果を有する成分として認可されたうちでは最も新しく、しかも、ふけ防止効果に優れた成分であるピロクトンオラミンとの比較を実施した。【0035】次に、実施例3の試験で用いたものと同じ処方の本発明のシャンプー(実施例2の処方例1)を用いて、ふけ症の患者40名を対象として比較使用試験を実施した。対照として、実施例2の処方例1の処方中の硝酸ミコナゾールを同量のピロクトンオラミンに置き換えたシャンプーを用いた。対象患者40名を20名ずつの2群に分けて本発明のシャンプーならびに対照シャンプーを無作為に割り付け、4週間使用させた。両群とも従来通りの洗髪回数(硝酸ミコナゾール配合シャンプー使用群が週3〜7回、平均週4.3±1.8回、ピロクトンオラミン配合シャンプー使用群が週3〜7回、平均週4.4±1.8回)および使用方法で洗髪するよう指示した。観察は試験前後のふけの状態を消失、軽減、不変、悪化の4段階で評価するとともに、 P.ovaleの生育条件に影響を与える脂漏状態を合わせて観察し、 P.ovale再感染によるふけの再発(Sam Shuster : Cosmetics & Toiletries,103 : 87-91,1988)防止効果すなわち、持続的なふけ防止効果の検討を行った。脂漏状態は改善、やや改善、不変、悪化の4段階で評価した。その結果を表4に示す。【0036】【0037】ふけの改善は、ピロクトンオラミン配合シャンプー使用群が75.0%の患者にみられたのに対し、硝酸ミコナゾール配合シャンプー使用群では95.0%もの患者にみられ、本発明のシャンプーは対照群と比較しても非常に高い改善率を示した。すなわち、硝酸ミコナゾール配合シャンプー使用群では効果の見られなかった症例はわずか1例にすぎなかったが、対照群では全体の25%に相当する5例の患者に何ら効果がみられないという成績であった。頭部における脂漏状態の改善についても、ピロクトンオラミン配合シャンプー使用群が65.0%であったのに対し、硝酸ミコナゾール配合シャンプー使用群では85.0%もの高い改善がみられ、対照群と比較しても高い改善率を示した。すなわち、硝酸ミコナゾール配合シャンプーは対照シャンプーと比較して、持続的なふけ防止効果があるものと考えられた。また、本発明のシャンプーの使用による症状の悪化および副作用は全例にみられなかった。【0038】(実施例5)・・・ヘアトニック次に、実施例2〜4について説明したシャンプーに代わるふけ防止剤として、本発明に係るヘアトニックの処方例および製法ならびにその効果について以下に示す。(処方例1)処方例(ヘアトニック)▲1▼エタノール相硝酸ミコナゾール 0.30 wt%プロピレングリコール 4.00ポリオキシエチレンオレイルエーテル(20E.O.) 1.00ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 3.00エタノール 40.00▲2▼水相グリセリン 2.00精製水 全量 100.00上記▲1▼および▲2▼をそれぞれ室温で混合溶解し、攪拌しながら▲2▼を▲1▼に徐々に加えて、硝酸ミコナゾール配合のヘアトニックを調製した。(試験結果)上記処方のヘアトニックを用い、実施例3と同様にして、1日に1回4週間使用した。その結果、実施例3に示すと同様のふけ取り効果および安全性が確認され、また本ヘアトニック使用による症状の悪化および副作用は認められなかった。【0039】以上のように、硝酸ミコナゾールを配合した本発明シャンプーは 0.75 wt%の濃度で、同濃度のピロクトンオラミン配合シャンプーに比べ極めて高いふけ取り効果および安全性を有することが確認できた。また、硝酸ミコナゾールを配合した本発明のヘアトニックもシャンプーと同様のふけ取り効果および安全性が確認された。【0040】【発明の効果】本発明によれば、ふけ防止の有効成分としてミコナゾールおよび/または硝酸ミコナゾールを配合することにより、従来のふけ防止剤と比較して、ふけ防止効果の優れたふけ防止剤が提供可能である。また、本発明のふけ防止剤は頭部における脂漏状態も改善するため、持続的なふけ防止効果の期待できる安全性の高いふけ防止剤である。 ミコナゾールおよび/または硝酸ミコナゾールを有効成分として配合することを特徴とする医薬部外品または化粧品用のふけ防止剤。 ミコナゾールおよび/または硝酸ミコナゾールの配合量が0.01〜2.0wt%である請求項1に記載の医薬部外品または化粧品用のふけ防止剤。 ミコナゾールおよび/または硝酸ミコナゾールの配合量が0.01〜1.5wt%である請求項1に記載の医薬部外品または化粧品用のふけ防止剤。 ミコナゾールおよび/または硝酸ミコナゾールの配合量が0.01〜0.75wt%である請求項1に記載の医薬部外品または化粧品用のふけ防止剤。


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